(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】自転車のかごカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 9/21 20200101AFI20240709BHJP
【FI】
B62J9/21
(21)【出願番号】P 2021007197
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504105689
【氏名又は名称】有限会社川住製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】川住 富夫
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-213240(JP,A)
【文献】特開2003-300489(JP,A)
【文献】特開2001-233266(JP,A)
【文献】特開平11-079029(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108068926(CN,A)
【文献】米国特許第06505765(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のかごの少なくとも側面を覆う筒状の本体カバー部と、前記本体カバー部の上端部から延出される筒状の補助カバー部と、前記補助カバー部の上端開口部を開閉可能に設けられる蓋部と、前記蓋部を前記補助カバー部の前記上端開口部に閉状態で固定又は固定解除するための蓋用ファスナーと、を備え、
前記補助カバー部は、前記かごの上端部よりも上方へ延びた伸長状態と、前記補助カバー部の上下方向の中途部が前記本体カバー部の内部に折り込まれて収納された収納状態と、に変更可能とされ、
前記補助カバー部は、収納状態において前記補助カバー部の上端側と下端側とを連結するオープンファスナーを備え、
前記オープンファスナーは、前記補助カバー部の上端側と下端側との連結を解除することにより上下方向に二つに分離可能とされ、
前記補助カバー部には、前記中途部を前記補助カバー部の内側に縮径させる縮径部材が設けられ
、
前記縮径部材による縮径方向の力が調節可能とされる、自転車のかごカバー。
【請求項2】
前記縮径部材として、伸縮可能な弾性体が用いられる、請求項1に記載の自転車のかごカバー。
【請求項3】
前記縮径部材は、環状に形成されるとともに、前記補助カバー部の周方向に沿って前記中途部に設けられる、請求項2に記載の自転車のかごカバー。
【請求項4】
前記縮径部材は、前記補助カバー部の上下方向の中央部に設けられる、請求項3に記載の自転車のかごカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車のかごカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車の前かごや後かごに収容した荷物がひったくり等の盗難に遭わないようにするため、かごに装着するかごカバーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなかごカバーとして、筒状のカバー本体の上部開口に開閉自在な蓋部を設ける構造が広く採用されている。このようなかごカバーによれば、蓋部を閉じることでかごカバーの内部を外側から遮蔽して、ひったくり等の盗難被害を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係るかごカバーは、本体カバー部と、伸長状態と収納状態とに変更可能とされた筒状の補助カバー部と、を備えている。そして、補助カバー部の中間部が本体カバー部の内部に折り込まれた収納状態とされた際に、補助カバー部の上端側と下端側とを連結固定するオープンファスナーが設けられている。このオープンファスナーは、補助カバー部の上端側と下端側との連結を解除するために上下方向に二つに分離可能とされている。
【0005】
上記のかごカバーによれば、補助カバー部を収納状態として、補助カバー部の上端側と下端側をオープンファスナーで連結しようとした際に、オープンファスナーに補助カバー部の一部が噛みこまれる場合があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、補助カバー部の上端側と下端側をオープンファスナーで連結する際に、オープンファスナーに補助カバー部の一部が噛みこまれることを防止できる、自転車のかごカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る自転車のかごカバーは、自転車のかごの少なくとも側面を覆う筒状の本体カバー部と、前記本体カバー部の上端部から延出される筒状の補助カバー部と、前記補助カバー部の上端開口部を開閉可能に設けられる蓋部と、前記蓋部を前記補助カバー部の前記上端開口部に閉状態で固定又は固定解除するための蓋用ファスナーと、を備え、前記補助カバー部は、前記かごの上端部よりも上方へ延びた伸長状態と、前記補助カバー部の上下方向の中途部が前記本体カバー部の内部に折り込まれて収納された収納状態と、に変更可能とされ、前記補助カバー部は、収納状態において前記補助カバー部の上端側と下端側とを連結するオープンファスナーを備え、前記オープンファスナーは、前記補助カバー部の上端側と下端側との連結を解除することにより上下方向に二つに分離可能とされ、前記補助カバー部には、前記中途部を前記補助カバー部の内側に縮径させる縮径部材が設けられ、前記縮径部材による縮径方向の力が調節可能とされる。
【0009】
また、本発明に係る自転車のかごカバーにおいて、前記縮径部材として、伸縮可能な弾性体が用いられることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る自転車のかごカバーにおいて、前記縮径部材は、環状に形成されるとともに、前記補助カバー部の周方向に沿って前記中途部に設けられることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る自転車のかごカバーにおいて、前記縮径部材は、前記補助カバー部の上下方向の中央部に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自転車のかごカバーによれば、補助カバー部の上端側と下端側をオープンファスナーで連結する際に、オープンファスナーに補助カバー部の一部が噛みこまれることを防止できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】補助カバー部を収納状態としたカゴカバーを示す斜視図。
【
図2】補助カバー部を伸張状態としたカゴカバーを示す斜視図。
【
図3】補助カバー部を収納状態としたカゴカバーを示す正面断面図。
【
図4】補助カバー部を収納状態としたカゴカバーを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係る自転車のかごカバー(以下、単に「カバー」と記載する)1について、
図1から
図6を用いて説明する。カバー1は、自転車の前かごや後かごを覆った状態で用いられる。本実施形態においては
図1及び
図2に示す如く、前かごであるかご10を覆うカバー1について説明する。
図1から
図4に示す如く、カバー1は、本体カバー部2、補助カバー部3、蓋部4、蓋用ファスナー5、及び、オープンファスナー6を主な構成部材として備えている。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0015】
本体カバー部2は、可撓性を有するシート状部材であり、例えば防水性を備えた繊維素材で形成されている。本体カバー部2は、かご10の少なくとも側面を覆うようにして筒状に形成され、かご10の形状に対応させて変形可能である。本実施形態においては
図3及び
図4に示す如く、本体カバー部2はかご10の底面の一部と側面とを覆うように形成されている。
【0016】
本体カバー部2の上端は、かご10の上面とほぼ同じ高さに位置するように、本体カバー部2の上端付近に備えられた紐状の固定部材9によってかご10に固定されている(
図3を参照)。また、本体カバー部2の下端に備えられている紐部材11をかご10の底面を覆うように下端部分を絞り、カバー1をかご10に固定している(
図3及び
図4を参照)。
【0017】
補助カバー部3は本体カバー部2と同様の素材で形成されている。補助カバー部3は、本体カバー部2の上端部から延出される筒状の部材である。補助カバー部3は
図2に示す如く、かご10の上端部よりも上方へ延びた伸長状態とすることができる。また、補助カバー部3は
図1、
図3及び
図4に示す如く、上下方向の中途部が本体カバー部2の内部に折り込まれて収納された収納状態とすることもできる。即ち、補助カバー部3は、伸長状態と収納状態との何れかに変更可能に構成されている。
【0018】
図1及び
図2に示す如く、蓋部4は補助カバー部3の上端開口部を開閉可能に設けられる。蓋部4は、例えば防水性を備えた繊維素材からなり、その周縁には蓋用ファスナー5が設けられている。蓋部4は、かご10の上面の形状とほぼ同じ形状で上面とほぼ同じ大きさ、又は少し大きく形成されている。また、かご10の上面の形状が矩形のときには、蓋部4が矩形のカバー1が装着され、かご10上面の形状が楕円形のときには蓋部4が楕円形のカバー1が装着される。
【0019】
蓋部4の上面は、繊維素材が二重になり、その間にスポンジなどの緩衝材4aが挟まれ、蓋部4の上面が押さえられたときでもかご10に収納されている荷物を保護する。蓋部4の外周縁には、上方に折り曲げた立ち上げ部4bが形成されている。
【0020】
本実施形態において、蓋部4の一辺は補助カバー部3の上端側の一辺と連結され、その連結部を支点として蓋部4を開閉できるようになっている。即ちカバー1は、蓋部4を開いたときに、蓋部4とカバー1とが取り外しできないようになっている。なお、蓋部4の周縁の全周に渡って、後述するオープンファスナー6のように上下方向で二つに分離可能なファスナーを設け、蓋部4を開けたときに蓋部4が取り外し可能に構成することも可能である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、蓋用ファスナー5は、蓋部4の外周縁を補助カバー部3の上端開口部に閉状態で固定又は固定解除するために用いられる。
図5及び
図6に示す如く、蓋用ファスナー5は、上下一対のテープ部5a・5aと、テープ部5a・5aにおいて対向する辺に設けられた務歯5b・5bと、二個のスライダー5c・5cと、で構成される。
【0022】
図5及び
図6に示す如く、蓋用ファスナー5における上側のテープ部5aの上部は、蓋部4における立ち上げ部4bと重複される。そして、テープ部5aと立上げ部4bとの重複部分を上方から逆U字状に折り曲げたカバー部材15にて覆った状態で縫い付けることにより、蓋部4の周縁に蓋用ファスナー5が組付けられる。
【0023】
一方、蓋用ファスナー5における下側のテープ部5aの下部は、オープンファスナー6を構成するテープ部6aに組付けられている。詳細には、下側のテープ部5aと上側のテープ部6aとの重複部分を逆U字状に折り曲げたカバー部材16にて覆った状態で縫い付ける。これにより、蓋用ファスナー5とオープンファスナー6とが組付けられる。
【0024】
カバー1において、かご10に荷物を収納する、又は収納されている荷物を取り出すときには、スライダー5c・5cの何れか一方又は両方を周方向に移動操作して、蓋部4を開閉する。本実施形態に係るカバー1においては、
図2に示すように二個のスライダー5c・5cによって蓋部4を開閉できるように構成している。これにより、両手で蓋部4の開閉作業を行うことができる。また、小さな荷物を出し入れするときには、一方のスライダー5cのみを操作するだけで作業を行うことができる。なお、蓋用ファスナー5は、スライダー5cを一個として構成することも可能である。
【0025】
図3に示す如く、カバー1における補助カバー部3は、収納状態において補助カバー部3の上端側と下端側とを連結するオープンファスナー6を備えている。
図5及び
図6に示す如く、オープンファスナー6は、テープ部6aと、補助カバー部3の上辺及び下辺に設けられた務歯6b・6bと、二個のスライダー6c・6cと、で構成される。
図5及び
図6に示す如く、オープンファスナー6におけるテープ部6aの上部は、上記のように蓋用ファスナー5における下側のテープ部5aと結合される。
【0026】
カバー1において、補助カバー部3の上端側と下端側とを連結又は連結解除するときには、スライダー6c・6cを周方向に操作して、補助カバー部3の背面側に移動させる。オープンファスナー6は、補助カバー部3の上端側と下端側との連結を解除することにより上下方向に二つに分離可能とされている。
【0027】
即ち、スライダー6c・6cを背面側に移動させ、務歯6b・6b同士の噛み合いを解除することで、オープンファスナー6が上下方向に分離する。これにより、補助カバー部3を伸長状態に変更することが可能となる。一方、上下の務歯6b・6bを互いに近づけた状態で、スライダー6c・6cを正面側に移動させ、務歯6b・6b同士の噛み合わせることで、オープンファスナー6が一体となる。これにより、補助カバー部3を収納状態に変更することが可能となる。
【0028】
詳述すれば、オープンファスナー6は、スライダー6c・6cを両端の務歯6b・6bまで移動させて、全ての務歯6b・6bの噛合を解除したときに上下方向で二つに分離可能なファスナーである。補助カバー部3の上端側に備えられるオープンファスナー6の務歯6bは、補助カバー部3が伸長状態のときには下方を向くように設けられている。一方、補助カバー部3の下端側に備えられるオープンファスナー6の務歯6bは、補助カバー部3が伸長状態のときには上方を向くように設けられている。このように、補助カバー部3が伸長状態のときには、オープンファスナー6の務歯6b・6b同士が向き合って操作容易になっている。
【0029】
上記の如く、カバー1においては、かご10に収納する荷物がかご10の高さより高いときには、オープンファスナー6のスライダー6cを操作してオープンファスナー6を分離し、
図2及び
図5に示す如く補助カバー部3を伸張状態とすることができる。一方、荷物がかご10の高さより低いときや、かご10に荷物を収納しないときには、オープンファスナー6を閉じて、
図1及び
図6に示す如く補助カバー部3を収納状態とすることができる。
【0030】
本実施形態に係るカバー1において、補助カバー部3には、補助カバー部3の上下方向の中途部を補助カバー部3の内側に縮径させる縮径部材が設けられる。具体的に、補助カバー部3の内周面には、縮径部材として、伸縮可能な弾性体12が設けられている。本実施形態において弾性体12には防水性を有するゴム材が用いられる。
図2から
図4に示す如く、弾性体12は環状に形成されるとともに、補助カバー部3の周方向に沿って、補助カバー部3の中途部に設けられる。
【0031】
本実施形態に係るカバー1によれば、補助カバー部3を収納状態として、補助カバー部3の上端側と下端側をオープンファスナー6で連結しようとした際に、
図6に示す如く弾性体12が補助カバー部3の中途部を内側に縮径させてオープンファスナー6から離間させる。これにより、上下の務歯6b・6bを互いに近づけた状態においては、補助カバー部3の中途部が務歯6b・6bから離間されるため、補助カバー部3の一部がオープンファスナー6に噛みこまれることがない。即ち、本実施形態に係るカバー1においては、オープンファスナー6に補助カバー部3の一部が噛みこまれることを防止することができる。
【0032】
なお、本実施形態において、縮径部材として弾性体12を用いているが、補助カバー部3の中途部を内側に縮径させる構成であれば、他の素材を用いることも可能である。例えば、重力や磁力を用いて補助カバー部3の中途部を内側に引っ張る構成とすることも可能である。
【0033】
また、本実施形態においては弾性体12を環状に形成し、補助カバー部3の周方向に沿って設けている。これにより、補助カバー部3の中途部を全体的に縮径させることができるため、効果的に補助カバー部3の噛みこみを防止することが可能となる。なお、縮径部材によって補助カバー部3の中途部のうち一部を内側に引っ張ることにより、補助カバー部3の中途部を縮径させる構成とすることも可能である。
【0034】
また、本実施形態の如く、縮径部材である弾性体12は、補助カバー部3の上下方向の中央部に設けられることが好ましい。これにより、補助カバー部3の上端側と下端側をオープンファスナー6で連結しようとした際に、補助カバー部3が上側又は下側でだぶつくことがない。即ち、オープンファスナー6に噛みこまれることをより効果的に防止できる。
【0035】
また、カバー1においては、縮径部材による縮径方向の力を調節可能とされることが好ましい。例えば、弾性体12の径を調節可能とすることにより、補助カバー部3の中途部を内側に縮径させる力を調節することが可能となる。これにより、補助カバー部3の素材や使用方法に応じて、収納状態における補助カバー部3の開口の大きさ(
図4を参照)を調節することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 カバー(かごカバー) 2 本体カバー部
3 補助カバー部 4 蓋部
4a 緩衝材 4b 立ち上げ部
5 蓋用ファスナー 5a テープ部
5b 務歯 5c スライダー
6 オープンファスナー 6a テープ部
6b 務歯 6c スライダー
9 固定部材 10 かご(前かご)
11 紐部材 12 弾性体(縮径部材)
15 カバー部材 16 カバー部材