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特許7517653超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法
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  • 特許-超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法 図1
  • 特許-超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法 図2
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  • 特許-超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法 図4
  • 特許-超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法 図5
  • 特許-超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G02F1/13 505
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021011098
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114701
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開年月日、令和2年9月6日、IEEE International Ultrasonics Symposium2020の予稿集 (2)発表年月日、令和2年9月11日、IEEE International Ultrasonics Symposium2020(米国ネバダ州ラスベガスにて開催)の集会
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 大介
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ ミエコ ヂアス オナカ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201396(JP,A)
【文献】特開2018-092069(JP,A)
【文献】特表2013-515969(JP,A)
【文献】特開2018-031818(JP,A)
【文献】特開2013-142867(JP,A)
【文献】特開2013-061549(JP,A)
【文献】特開2018-189701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央開口部を有する環状の超音波振動子と、
前記中央開口部に配置された液晶層を含み、中心部および前記中心部の周りの周辺部を有するレンズと、
前記超音波振動子に電気信号を印加して超音波を発生させる駆動部と、
を備える超音波式液晶レンズであって、
前記超音波振動子は、周方向にN分割されたN個の電極(Nは3以上の整数)を備え、
前記駆動部は、
前記N個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした前記電気信号を印加し、前記レンズの周方向に伝搬する前記超音波の進行波を生じさせて、前記液晶層の前記周辺部における液晶分子の配向を変化させる進行波モードを有する
ことを特徴とする超音波式液晶レンズ。
【請求項2】
前記駆動部は、
同位相の前記電気信号を前記N個の電極に印加し、前記液晶層に前記超音波の定在波を生じさせて、前記液晶層の前記中心部における液晶分子の配向を変化させる定在波モードを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波式液晶レンズ。
【請求項3】
前記N個の電極は、同一の形状である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波式液晶レンズ。
【請求項4】
中央開口部を有する環状に形成されるとともに周方向にN分割されたN個の電極(Nは3以上の整数)を備える超音波振動子と、前記中央開口部に配置された液晶層からなるレンズと、前記超音波振動子に電気信号を印加して超音波を発生させる駆動部とを備える超音波式液晶レンズの制御方法であって、
前記駆動部により前記N個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした前記電気信号を印加し、前記レンズの周方向に伝搬する前記超音波の進行波を生じさせて、前記液晶層の中心部の周りの周辺部における液晶分子の配向を変化させる第1ステップを含む
ことを特徴とする超音波式液晶レンズの制御方法。
【請求項5】
前記駆動部により同位相の前記電気信号を前記N個の電極に印加し、前記液晶層に前記超音波の定在波を生じさせて、前記液晶層の前記中心部における液晶分子の配向を変化させる第2ステップを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波式液晶レンズの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波式液晶レンズとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の超音波式液晶レンズは、中央開口部を有する環状の超音波振動子と、中央開口部に配置された液晶層を含むレンズとを備える。特許文献1に記載の超音波式液晶レンズは、超音波振動子で発生させた超音波のたわみ振動によって液晶層の液晶分子の配向を変化させることで、レンズとして機能させることができ、超音波振動子に印加する電気信号の電圧値を制御することで、焦点距離を制御することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波式液晶レンズでは、たわみ振動による圧力がレンズの中心部に集中するため、レンズの中心部においてのみ液晶分子の配向が変化し、結果的に、レンズ径(レンズとして機能する領域)が小型化してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-92069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、レンズ径を拡大することが可能な超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る超音波式液晶レンズは、
中央開口部を有する環状の超音波振動子と、
前記中央開口部に配置された液晶層を含み、中心部および前記中心部の周りの周辺部を有するレンズと、
前記超音波振動子に電気信号を印加して超音波を発生させる駆動部と、
を備える超音波式液晶レンズであって、
前記超音波振動子は、周方向にN分割されたN個の電極(Nは3以上の整数)を備え、
前記駆動部は、
前記N個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした前記電気信号を印加し、前記レンズの周方向に伝搬する前記超音波の進行波を生じさせて、前記液晶層の前記周辺部における液晶分子の配向を変化させる進行波モードを有する
ことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、超音波の進行波により液晶層の周辺部の圧力を高めて周辺部における液晶分子の配向を変化させることで、レンズ径を拡大することができる。
【0008】
前記超音波式液晶レンズにおいて、
前記駆動部は、
同位相の前記電気信号を前記N個の電極に印加し、前記液晶層に前記超音波の定在波を生じさせて、前記液晶層の前記中心部における液晶分子の配向を変化させる定在波モードを有するよう構成できる。
【0009】
前記超音波式液晶レンズにおいて、
前記N個の電極は、同一の形状であってもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る超音波式液晶レンズの制御方法は、
中央開口部を有する環状に形成されるとともに周方向にN分割されたN個の電極(Nは3以上の整数)を備える超音波振動子と、前記中央開口部に配置された液晶層からなるレンズと、前記超音波振動子に電気信号を印加して超音波を発生させる駆動部とを備える超音波式液晶レンズの制御方法であって、
前記駆動部により前記N個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした前記電気信号を印加し、前記レンズの周方向に伝搬する前記超音波の進行波を生じさせて、前記液晶層の中心部の周りの周辺部における液晶分子の配向を変化させる第1ステップを含むことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、超音波の進行波により液晶層の周辺部の圧力を高めて周辺部における液晶分子の配向を変化させることで、レンズ径を拡大することができる。
【0012】
前記超音波式液晶レンズの制御方法は、
前記駆動部により同位相の前記電気信号を前記N個の電極に印加し、前記液晶層に前記超音波の定在波を生じさせて、前記液晶層の前記中心部における液晶分子の配向を変化させる第2ステップを含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レンズ径を拡大することが可能な超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る超音波式液晶レンズであって、(A)は平面図、(B)は断面図である。
図2】電気信号を印加していないときの液晶分子の配向を示す図である。
図3】液晶分子の配向およびレンズ径を示す図であって、(A)は定在波モードにおける図、(B)は進行波モードにおける図である。
図4】進行波モードにおけるレンズの振動振幅を示す図である。
図5】定在波モードにおけるレンズのリタデーション変化を示す図である。
図6】進行波モードにおけるレンズのリタデーション変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法の実施形態について説明する。
【0016】
[超音波式液晶レンズ]
図1に、本発明の一実施形態に係る超音波式液晶レンズ1を示す。超音波式液晶レンズ1は、基板2と、超音波振動子3と、レンズ4と、駆動部5とを備える。
【0017】
基板2は、円盤状に形成されたガラス基板である。基板2は、30[mm]の径、0.5[mm]の厚みを有する。
【0018】
超音波振動子3は、中央開口部を有する円環形状の圧電超音波振動子であり、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で構成されている。超音波振動子3は、20[mm]の内径、30[mm]の外径、1[mm]の厚みを有する。
【0019】
超音波振動子3は、周方向に4分割された4個のアルミニウム電極(第1電極31、第2電極32、第3電極33および第4電極34)を備える。4個のアルミニウム電極は、いずれも互いに絶縁された正電極および負電極からなり、同一形状である。
【0020】
第1電極31は、第1正電極31aおよび第1負電極31bからなる。第2電極32は、第2正電極32aおよび第2負電極32bからなる。第3電極33は、第3正電極33aおよび第3負電極33bからなる。第4電極34は、第4正電極34aおよび第4負電極34bからなる。第1負電極31b、第2負電極32b、第3負電極33bおよび第4負電極34bは、超音波振動子3の下面側(基板2側)に形成された共通の負電極に接続されている。
【0021】
レンズ4は、超音波振動子3の中央開口部に配置されている。図2に示すように、レンズ4は、対向配置された第1基板41および第2基板42と、第1基板41の下面側に設けられた第1配向膜43と、第2基板42の上面側に設けられた第2配向膜44と、液晶層45とを含む。液晶層45は、液晶分子46を含む。
【0022】
第1基板41は、径が15[mm]、厚みが0.5[mm]の円盤状に形成されたガラス基板である。第2基板42は、基板2のうちの第1基板41に対向した部分である。
【0023】
第1配向膜43および第2配向膜44は、液晶分子46のプレチルト角が90度となる垂直配向膜であり、ポリイミド系の材料で構成される。
【0024】
液晶層45は、ネマティック液晶の液晶分子46を含み、スペーサ(例えば、PETフィルム)によって200[μm]の厚みが確保される。液晶層45の周囲は、シール材(例えば、エポキシ樹脂)によってシールされている。液晶分子46は、超音波振動子3が超音波を発生させていないとき、第1配向膜43および第2配向膜44に対して垂直に立ち上がった状態になる。
【0025】
駆動部5は、進行波モードと定在波モードとを有し、超音波振動子3に電気信号(交流電圧信号)を印加して超音波を発生させるよう構成される。駆動部5は、第1電極31に接続される第1駆動部51と、第2電極32に接続される第2駆動部52と、第3電極33に接続される第3駆動部53と、第4電極34に接続される第4駆動部54とを含む。第1駆動部51~第4駆動部54は、それぞれ独立して電気信号の位相、電圧値および周波数を制御できる。
【0026】
定在波モード時の駆動部5は、同位相の電気信号を超音波振動子3に印加する。すなわち、第1駆動部51~第4駆動部54が、それぞれの接続先の第1電極31~第4電極34に、同位相の電気信号を印加する。第1電極31~第4電極34は、電気信号に応じた所定の周波数の超音波を発生させる。例えば、第1電極31~第4電極34は、レンズ4の共振周波数に一致した周波数をもつ超音波を発生させる。
【0027】
第1電極31~第4電極34で発生した超音波がレンズ4に伝搬すると、レンズ4では超音波の定在波(音響定在波)、具体的には1次モードのたわみ振動の定在波が発生する。1次モードのたわみ振動とは、振動強度がレンズ4の中心から外周面に向かって連続的に小さくなる振動のことをいう。なお、本発明では、レンズ4の中心およびその近傍を中心部とし、中心部の周り(レンズ4全体のうち中心部以外のところ)を周辺部とする。
【0028】
レンズ4でたわみ振動の定在波が発生すると、レンズ4において(例えば、液晶層45と第1配向膜43との境界面および液晶層45と第2配向膜44との境界面において)、定在波の音響放射力による圧力が働く。定在波の音響放射力による圧力は、レンズ4の中心部で高くなる。
【0029】
図3(A)に示すように、定在波の音響放射力による圧力は、レンズ4の中心部における液晶分子46の配向を変化させる。例えば、定在波の音響放射力による圧力は、レンズ4の中心部における液晶層45の厚みをわずかに変化させることで(本実施形態では、わずかに大きくすることで)、中心部における液晶分子46の配向を変化させる。なお、図3では、厚みの変化は示していない。また、中心部における中心に位置する液晶分子46は、軸対称性を有し安定しているため、配向変化が生じない。
【0030】
定在波モードでは、レンズ4の中心部における液晶分子46の配向を変化させるので、レンズ4の中心部のみがレンズとして機能する。換言すれば、レンズ4の中心部がレンズ径D1となる。
【0031】
進行波モード時の駆動部5は、第1電極31~第4電極34に対して周方向に位相を90°ずつずらした電気信号を印加する。すなわち、第1駆動部51が第1電極31に印加する電気信号に対して、第2駆動部52が第2電極32に印加する電気信号は90°の位相差を有し、第3駆動部53が第3電極33に印加する電気信号は180°の位相差を有し、第4駆動部54が第4電極34に印加する電気信号は270°の位相差を有する。第1電極31~第4電極34は、各電気信号に応じた超音波を発生させる。
【0032】
第1電極31~第4電極34で発生した超音波がレンズ4に伝搬すると、レンズ4では、周方向に伝搬する超音波の進行波(音響進行波)、すなわち、たわみ振動の進行波が発生する。
【0033】
レンズ4でたわみ振動の進行波が発生すると、レンズ4において(例えば、液晶層45と第1配向膜43との境界面および液晶層45と第2配向膜44との境界面において)、進行波の音響放射力による圧力が働く。進行波の音響放射力による圧力は、レンズ4の周辺部で高くなる。
【0034】
図3(B)に示すように、進行波の音響放射力による圧力は、主にレンズ4の周辺部における液晶分子46の配向を変化させる。中心部における中心に位置する液晶分子46は、軸対称性のため配向変化が生じないが、中心部における周辺部側に位置する液晶分子46は、わずかに配向変化が生じる。その結果、進行波モードでは、レンズ4の中心部および周辺部がレンズとして機能する。換言すれば、レンズ4の中心部および周辺部がレンズ径D2となる。
【0035】
[超音波式液晶レンズの制御方法]
本発明の一実施形態に係る超音波式液晶レンズの制御方法は、上記の超音波式液晶レンズ1の制御方法である。すなわち、当該制御方法は、主にレンズ4の周辺部における液晶分子46の配向を変化させる第1ステップと、レンズ4の中心部における液晶分子46の配向を変化させる第2ステップとを含む。
【0036】
第1ステップでは、駆動部5(第1駆動部51~第4駆動部54)が、第1電極31~第4電極34に対して周方向に位相を90°ずつずらした電気信号を印加し、レンズ4の周方向に伝搬するたわみ振動の進行波を生じさせる。第1駆動部51~第4駆動部54が出力する各電気信号は、位相のみ相違し、電圧値および周波数は共通している。
【0037】
レンズ4でたわみ振動の進行波が発生すると、レンズ4には進行波の音響放射力による圧力が働き、その圧力はレンズ4の周辺部で高くなる。これにより、レンズ4の周辺部における液晶分子46の配向が変化し、レンズ4の中心部における液晶分子46の配向もわずかに変化して、レンズ4の中心部および周辺部がレンズとして機能する。
【0038】
第2ステップでは、駆動部5(第1駆動部51~第4駆動部54)が、第1電極31~第4電極34に対して同相の電気信号を印加し、レンズ4にたわみ振動の定在波を生じさせる。第1駆動部51~第4駆動部54が出力する各電気信号は、電圧値および周波数も共通している。
【0039】
レンズ4でたわみ振動の定在波が発生すると、レンズ4には定在波の音響放射力による圧力が働き、その圧力はレンズ4の中心部で高くなる。その結果、レンズ4の中心部における液晶分子46の配向が変化して、レンズ4の中心部のみがレンズとして機能する。
【0040】
第1ステップおよび第2ステップにおいて、第1駆動部51~第4駆動部54が、電気信号の電圧値を変化させると、音響放射力による圧力の大きさが変化し、レンズ4の焦点距離が変化する。また、第1駆動部51~第4駆動部54による各電気信号の電圧値の変化量が異なる場合、焦点距離に加えて、XY平面における焦点位置も制御することができる。
【0041】
[評価実験]
次に、超音波式液晶レンズ1およびその制御方法の評価実験について説明する。
【0042】
図4に、進行波モードにおけるレンズ4の振動振幅を示す。図4の横軸はレンズ4の径方向(X方向)の位置を示し、レンズ4の中心を0とする。図4から、たわみ振動の振動強度がレンズ4の周辺部で高くなっており、中心部で低くなっていることが分かる。
【0043】
図5および図6は、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下でオルソスコープ観察を行った時のレンズ4の上面の画像である。図5は定在波モード時、図6は進行波モード時の画像である。図5は、図中の0.42[mm]のところがレンズ4のレンズ径D1であることを示し、図6は、図中の0.83[mm]のところがレンズ4のレンズ径D2であることを示す。すなわち、定在波モードから進行波モードに切り替えることで、レンズ径が拡大することが分かる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明に係る超音波式液晶レンズおよび超音波式液晶レンズの制御方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0045】
本発明に係る超音波式液晶レンズは、環状の超音波振動子と、超音波振動子の中央開口部に配置された液晶層を含むレンズと、超音波振動子に電気信号を印加して超音波を発生させる駆動部と、を備える超音波式液晶レンズであって、超音波振動子は、周方向にN分割されたN個の電極(Nは3以上の整数)を備え、駆動部は、N個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした電気信号を印加し、レンズの周方向に伝搬する超音波の進行波を生じさせて、液晶層の周辺部における液晶分子の配向を変化させる進行波モードを有するのであれば、適宜構成を変更できる。
【0046】
上記実施形態では、駆動部5は、第1電極31~第4電極34に対して周方向に位相を90°の1倍ずつずらした電気信号を印加しているが、例えば、90°の2倍ずつずらした電気信号を印加してもよい。その場合、第1駆動部51が第1電極31に印加する電気信号に対して、第2駆動部52が第2電極32に印加する電気信号は180°の位相差を有し、第3駆動部53が第3電極33に印加する電気信号は360°の位相差を有し、第4駆動部54が第4電極34に印加する電気信号は540°の位相差を有する。
【0047】
本発明に係る超音波式液晶レンズの制御方法は、駆動部によりN個の電極に対して周方向に位相を(360/N)°の整数倍ずつずらした電気信号を印加し、レンズの周方向に伝搬する超音波の進行波を生じさせて、液晶層の中心部の周りの周辺部における液晶分子の配向を変化させる第1ステップを含むのであれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0048】
1 超音波式液晶レンズ
2 基板
3 超音波振動子
31 第1電極
31a 第1正電極
31b 第1負電極
32 第2電極
32a 第2正電極
32b 第2負電極
33 第3電極
33a 第3正電極
33b 第3負電極
34 第4電極
34a 第4正電極
34b 第4負電極
4 レンズ
41 第1基板
42 第2基板
43 第1配向膜
44 第2配向膜
45 液晶層
46 液晶分子
5 駆動部
51 第1駆動部
52 第2駆動部
53 第3駆動部
54 第4駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6