IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧 ▶ ListenField株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-農業支援システム 図1
  • 特許-農業支援システム 図2
  • 特許-農業支援システム 図3A
  • 特許-農業支援システム 図3B
  • 特許-農業支援システム 図3C
  • 特許-農業支援システム 図3D
  • 特許-農業支援システム 図3E
  • 特許-農業支援システム 図3F
  • 特許-農業支援システム 図4
  • 特許-農業支援システム 図5
  • 特許-農業支援システム 図6
  • 特許-農業支援システム 図7
  • 特許-農業支援システム 図8
  • 特許-農業支援システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】農業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021052093
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149787
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】518029889
【氏名又は名称】ListenField株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原 博之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】武田 修司
(72)【発明者】
【氏名】本多 潔
(72)【発明者】
【氏名】シナショウティラナン ラサリン
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125117(JP,A)
【文献】特開2019-211889(JP,A)
【文献】特開2021-009456(JP,A)
【文献】特開2003-168057(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138927(WO,A1)
【文献】特開2020-113122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を作付け可能な圃場における農業に関するデータを記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記作物の生育状況を予測する生育予測部と、
前記生育予測部予測た前記作物の生育状況に基づいて、前記作物栽培するときの農作業の計画を作成する計画作成部と、
前記農作業で使用する複数の農業機械を記憶する機械記憶部と、
前記機械記憶部に記憶されている複数の前記農業機械の中から、前記農作業に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間の要求を行う機械要求部と、
前記機械要求部によって要求された前記使用機械前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械の前記借入時間を調整する調整部と、
を備え
前記生育予測部は、作業期間を変えて前記農作業を行った場合の前記作物の生育状況をそれぞれ予測し、
前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記農作業の最適な前記作業期間を設定して、当該作業期間を含む前記農作業の計画を通知し、
前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記作業期間内で前記借入時間を変更して、当該変更した借入時間を通知する農業支援システム。
【請求項2】
前記計画作成部は、外部端末に前記農作業の計画を通知し、
前記調整部は、前記外部端末に前記借入時間の変更を通知する請求項に記載の農業支援システム。
【請求項3】
作物を作付け可能な圃場における農業に関するデータを記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記作物の生育状況を予測する生育予測部と、
前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記作物を栽培するときの農作業の計画を作成する計画作成部と、
前記農作業で使用する複数の農業機械を記憶する機械記憶部と、
前記機械記憶部に記憶されている複数の前記農業機械の中から、前記農作業に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間の要求を行う機械要求部と、
前記機械要求部によって要求された前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械の前記借入時間を調整する調整部と、
を備え、
前記生育予測部は、作業期間を変えて前記農作業を行った場合の前記作物の生育状況をそれぞれ予測し、
前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記農作業の最適な前記作業期間を設定して、当該作業期間を含む前記農作業の計画を通知し、
前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記作業期間内で前記借入時間を前記農作業を実施しない休業時間に変更し且つ前記借入時間以外の休業時間を前記農作業を実施する作業時間に変更して、前記農作業の計画を調整し、当該変更内容を通知る農業支援システム。
【請求項4】
前記計画作成部は、外部端末に前記農作業の計画を通知し、
前記調整部は、前記外部端末に前記農作業の計画の変更を通知する請求項に記載の農業支援システム。
【請求項5】
前記データ記憶部は、前記データとして、少なくとも前記圃場の気象情報、前記圃場に肥料を散布したときの施肥情報、前記圃場の土壌情報、前記作物の収穫情報、前記作物の生育情報のいずれかを記憶し、
前記生育予測部は、前記気象情報、前記施肥情報、前記土壌情報、前記収穫情報、前記生育情報のいずれかによって前記作物の生育状況を予測する請求項1~4のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【請求項6】
前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に対応させて、前記農作業の計画を作成する請求項1~5のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【請求項7】
前記機械記憶部は、外部端末が接続可能な管理装置に設けられ、
前記機械要求部は、前記外部端末に設けられ且つ、前記管理装置に対して、前記使用機械及び前記借入時間の要求を行う請求項1~のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【請求項8】
前記調整部は、前記借入時間における前記使用機械の台数が、前記機械記憶部に記憶された前記農業機械の台数よりも多い場合、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断する請求項1~のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【請求項9】
前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械を機種が異なる貸出可能な別の前記農業機械に変更する請求項1~のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【請求項10】
前記調整部は、前記使用機械の変更を通知する請求項に記載の農業支援システム。
【請求項11】
前記機械記憶部は、外部端末が接続可能な管理装置に設けられ、
前記管理装置は、前記外部端末から貸出可能な前記農業機械に関する情報を受け付けて、前記機械記憶部に記憶させる請求項1~10のいずれか1項に記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機を貸し出す技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された作業機のレンタルシステムは、作業機のレンタル予約が行われた場合に、作業機に関する第1情報を出力可能な通信部を有する第1管理サーバと、製造又は販売された作業機に関する第2情報を記憶させる記憶部を有する第2管理サーバとを備えている。第2管理サーバは、第1情報と記憶部に記憶された第2情報とを参照して、作業機のレンタル許可又はレンタル不許可を含む指令情報を発行する発行部を有している。
【0003】
また、農業を支援する技術として、特許文献2に開示された技術が知られている。
特許文献2に開示された農業支援システムは、圃場で農作業を行う農業機械に設けられ且つ農業機械で農作業を行った場合の農作業データを収集するデータ収集装置と、農業データを記憶するサーバと、サーバに対して通信可能な携帯端末とを備える。携帯端末は、少なくとも圃場と農業機械とを含む作業内容を作成可能な作成手段と、作成手段で作成された作業内容をサーバに送信する通信部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-68453号公報
【文献】特開2017-37681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定の地域で作物を生育するために、農業機械により農作業を行う場合に、農業機械を貸し借り(シェアリング)することが行われている。しかしながら、農業機械で農作業を行いたいときに、借入可能な農業機械が無いため、農業機械により農作業が行えないことがあり、農作業の実行が遅れて、作物の生育状況に悪影響を及ぼすおそれがある。
特許文献1の技術では、作業機の製造又は販売に関する情報に基づいて、当該作業機のレンタルを許可したり又は許可しなかったりすることはできるが、機械の使用状況を考慮していないため、農業機械を貸し借りするのを管理することはできない。また、農業機械で行った農作業のデータを管理する特許文献2の技術でも、農業機械の貸し借りを管理することはできない。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、作物の生育に最適な農作業を農業機械の台数に可及的に制約されることなく、スムーズに行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係る農業支援システムは、作物を作付け可能な圃場における農業に関するデータを記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記作物の生育状況を予測する生育予測部と、前記生育予測部予測た前記作物の生育状況に基づいて、前記作物栽培するときの農作業の計画を作成する計画作成部と、前記農作業で使用する複数の農業機械を記憶する機械記憶部と、前記機械記憶部に記憶されている複数の前記農業機械の中から、前記農作業に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間の要求を行う機械要求部と、前記機械要求部によって要求された前記使用機械前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械の借入時間を調整する調整部と、を備え、前記生育予測部は、作業期間を変えて前記農作業を行った場合の前記作物の生育状況をそれぞれ予測し、前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記農作業の最適な前記作業期間を設定して、当該作業期間を含む前記農作業の計画を通知し、前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記作業期間内で前記借入時間を変更して、当該変更した借入時間を通知する
【0008】
本発明の一態様では、前記計画作成部は、外部端末に前記農作業の計画を通知し、前記調整部は、前記外部端末に前記借入時間の変更を通知する。
【0009】
本発明の別の一態様に係る農業支援システムは、作物を作付け可能な圃場における農業に関するデータを記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記作物の生育状況を予測する生育予測部と、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記作物を栽培するときの農作業の計画を作成する計画作成部と、前記農作業で使用する複数の農業機械を記憶する機械記憶部と、前記機械記憶部に記憶されている複数の前記農業機械の中から、前記農作業に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間の要求を行う機械要求部と、前記機械要求部によって要求された前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械の前記借入時間を調整する調整部と、を備え、前記生育予測部は、作業期間を変えて前記農作業を行った場合の前記作物の生育状況をそれぞれ予測し、前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に基づいて、前記農作業の最適な前記作業期間を設定して、当該作業期間を含む前記農作業の計画を通知し、前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記作業期間内で前記借入時間を前記農作業を実施しない休業時間に変更し且つ前記借入時間以外の休業時間を前記農作業を実施する作業時間に変更して、前記農作業の計画を調整し、当該変更内容を通知する。
【0010】
本発明の一態様では、前記計画作成部は、外部端末に前記農作業の計画を通知し、前記調整部は、前記外部端末に前記農作業の計画の変更を通知する。
【0011】
本発明の一態様では、前記データ記憶部は、前記データとして、少なくとも前記圃場の気象情報、前記圃場に肥料を散布したときの施肥情報、前記圃場の土壌情報、前記作物の収穫情報、前記作物の生育情報のいずれかを記憶し、前記生育予測部は、前記気象情報、前記施肥情報、前記土壌情報、前記収穫情報、前記生育情報のいずれかによって前記作物の生育状況を予測する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記計画作成部は、前記生育予測部が予測した前記作物の生育状況に対応させて、前記農作業の計画を作成する。
また、本発明の一態様では、前記機械記憶部は、外部端末が接続可能な管理装置に設けられ、前記機械要求部は、前記外部端末に設けられ且つ、前記管理装置に対して、前記使用機械及び借入時間の要求を行う。
また、本発明の一態様では、前記調整部は、前記借入時間における前記使用機械の台数が、前記機械記憶部に記憶された前記農業機械の台数よりも多い場合、前記使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記調整部は、前記使用機械を前記借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、前記使用機械を機種が異なる貸出可能な別の前記農業機械に変更する。
また、本発明の一態様では、前記調整部は、前記使用機械の変更を通知する。
さらに、本発明の一態様では、前記機械記憶部は、外部端末が接続可能な管理装置に設けられ、前記管理装置は、前記外部端末から貸出可能な前記農業機械に関する情報を受け付けて、前記機械記憶部に記憶させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作物の生育に最適な農作業を農業機械の台数に可及的に制約されることなく、スムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】農業支援システムの概略図である。
図2】農業に関する様々なデータ及び農業機械のシェアリングのイメージ図である。
図3A】生育状況(草丈)と耕耘との関係の一例を示す図である。
図3B】生育状況(草丈)と代掻きとの関係の一例を示す図である。
図3C】生育状況(草丈)と基肥との関係の一例を示す図である。
図3D】生育状況(草丈)と田植えとの関係の一例を示す図である。
図3E】生育状況(草丈)と農薬散布との関係の一例を示す図である。
図3F】生育状況(シラタ米量)と収穫布との関係の一例を示す図である。
図4】農作業計画の一例を示す図である。
図5】登録画面の一例を示す図である。
図6】登録情報の一例を示す図である。
図7】入力画面の一例を示す図である。
図8】農業機械のシェアリング状況の確認画面を示す図である。
図9】農業機械の借入時間変更後のシェアリング状況の確認画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の農業支援システム100は、所定の地域で作物を生育するための農業を支援するシステムである。図1に示すように、農業支援システム100は、管理装置10と
外部端末20とを備えている。管理装置10は、農業を管理するためのサーバ等である。外部端末20は、農作業を行う農作業者又は農作業を統括管理する管理者が操作可能なコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット型端末などのような端末装置である。図1に示す例では、3台の外部端末20が設けられているが、外部端末20は農作業者などの人数に応じて少なくとも1台以上設けらる。外部端末20は、例えばインターネット等の広域通信網を介して、管理装置10と通信する。
【0017】
<圃場のデータの概要>
管理装置10はデータ記憶部11を有している。データ記憶部11は、不揮発性のメモリ等から構成されていて、農業に関する様々なデータを記憶する。例えば、データ記憶部11は、作物を作付け可能な圃場に関するデータを記憶する。
データ記憶部11は、図2に示す、圃場H1の気象情報F1、圃場H1の施肥を行ったときの施肥情報F2、圃場H1の土壌情報F3、圃場H1で栽培した作物の収穫情報F4、及び圃場H1における作物の現在の生育情報F5のうち、少なくともいずれか1つを記憶している。
【0018】
気象情報F1は、圃場又は圃場の周辺の風向、風速、気温、湿度、天候(晴れ、曇り、雨、雷、雪)、降雨量、降雪量、降水確率、気圧、又は気圧配置などと、これらを観測した日付及び時刻に変化する情報を含んでいる。管理装置10は、気象情報を管理する気象庁又は気象情報を提供する提供会社などに設置されたサーバに接続することによって、当該サーバに格納された気象情報を取得し、当該気象情報をデータ記憶部11に記憶させることが可能である。気象情報には、圃場又は圃場周辺の実際の風向、風速、気温、湿度、天候(晴れ、曇り、雨、雷、雪)、降雨量、降雪量、降水確率、気圧、又は気圧配置が含まれている。
【0019】
また、現時点から数分後、数十分後、若しくは数時間後などの短期の予測される気象情報、又は数日後、数週間後、数か月後などの中期・長期の予測される気象情報を、管理装置10が上記サーバから取得して、データ記憶部11に記憶させてもよい。
施肥情報F2は、散布機等によって散布剤を圃場に散布したときの所定位置における散布量及び肥料の種類等を含んでいる。管理装置10は、散布機又は散布を管理するコンピュータ等に接続することによって、当該コンピュータから施肥情報を取得し、当該施肥情報をデータ記憶部11に記憶させることが可能である。
【0020】
土壌情報F3は、圃場H1の土壌の成分(化学成分)及び土壌の硬度等を示す情報を含んでいる。土壌情報は、土壌採取器によって土壌を採取し、採取した土壌を化学分析等を行うことで得られた情報であってもよいし、人工衛星、無人飛行体等によって圃場H1のセンシングを行い、センシング時のスペクトルデータを分析することによって得られた情報であってもよい。管理装置10は、圃場H1の土壌を化学分析したデータを提供するサーバ、又は圃場H1のセンシングデータを提供するサーバ等に接続することによって、当該サーバから土壌情報を取得し、当該土壌情報をデータ記憶部11に記憶させることが可能である。
【0021】
収穫情報F4は、コンバイン等の収穫機において、作物を収穫したときの所定位置における収穫量と収穫日時などを含んでいる。管理装置10は、収穫機又は収穫を管理するコンピュータ等に接続することによって、当該収穫期又はコンピュータから収穫情報を取得し、当該収穫情報をデータ記憶部11に記憶させることが可能である。なお、作物の収穫前において、人工衛星又は無人飛行体等によって圃場H1のセンシングを行い、当該センシング時のスペクトルデータを分析することによって収穫量を推定した結果を、収穫情報F4に含めてもよい。
【0022】
生育情報F5は、作物を作付けした後に人工衛星又は無人飛行体等によって圃場H1のセンシングを行い、当該センシングしたときのスペクトルデータを分析することによって得られた作物の生育状況を示す情報を含んでいる。また、生育情報F5は、例えば、圃場の上空から作物を撮像したときの撮像画像に対して、DVI、RVI、NDVI、GNDVI、SAVI、TSAVI、CAI、MTCI、REP、PRI、又はRSI等の植生指標で解析して得られた情報も含んでいる。
【0023】
<生育予測>
図1に示すように、管理装置10は生育予測部12を備えている。生育予測部12は、管理装置10に設けられた電気電子回路又はプログラム等から構成されている。生育予測部12は、データ記憶部11に記憶されたデータに基づいて、作物の生育(生育状況)を予測する。なお、生育予測部12が予測する作物の生育(生育状況)には、例えば、作物の背丈、作物の茎、葉、実の大きさ、作物の茎、葉、実の色合い、作物の病気状況、害虫による作物の劣化状況、作物の倒伏度などが含まれる。
【0024】
生育予測部12は、予測する作物の生育状況に応じて様々な生育モデルを有している。例えば、現在の生育情報F5及び気象情報F1を予め定められた生育モデルに適用することで、作物の生育(生育状況)として作物の背丈の推移、作物の茎、葉、実の色合い、作物の病気状況、害虫による作物の劣化状況などを予測する。或いは、生育予測部12は、過去の施肥の実績である施肥情報F2及び収穫情報F4を生育モデルに適用することによって、作物の生育(生育状況)として、作物の茎、葉、実の大きさ、倒伏度等を予測する。
【0025】
また、気象変動の不確実性を考慮し、確率的な季節予報に基づいて生成された多数の気象シナリオを気象情報F1に含めて、当該気象情報F1を生育モデルに適用することにより、生育予測部12が作物の生育を予測してもよい。また、実際の気象観測結果に基づいて気象情報F1を日々更新し、当該気象情報F1に基づいて生育予測部12による作物の生育予測も日々更新してもよい。
【0026】
生育予測部12による作物の生育予測は確率的な予測である。このため、例えば作物の開花や登熟の日程のような生育事象を生育予測部12により確率的に予測するとともに、その信頼度を確率的に演算して、農作業者などに通知してもよい。
また、上述した生育予測部12における予測は一例であり、限定するものではない。例えば、気象情報F1、施肥情報F2、土壌情報F3、収穫情報F4、又は生育情報F5を、作物の生育を予測するコンピュータに入力し、当該コンピュータによって深層学習を行うことにより、人工知能による学習済みモデルを構築し、学習済みモデルを用いて、作物の生育(生育状況)を予測してもよい。
【0027】
<計画作成部>
図1に示すように、管理装置10は計画作成部13を備えている。計画作成部13は、管理装置10に設けられた電気電子回路又はプログラム等から構成されている。計画作成部13は、生育予測部12によって予測された作物の生育(生育状況)に基づいて、作物の栽培するときの農作業の計画を作成する。計画作成部13は、生育予測部12が予測した生育に対応させて、作物の栽培時の農作業の作業内容を作成する。作業内容には、床土作り、畦塗り、耕耘、播種、田植え、代掻き、溝切り、除草(農薬散布、草刈)、追肥、又は収穫等が含まれている。
【0028】
図3A図3Fは、生育予測部12が予測した生育(生育状況)の一例を示している。生育状況として、図3A図3Eでは、作物の草丈(植生指数)を例に示し、図3Fでは、収穫された米に含まれるシラタ米の量を例に示しているが、これらに生育状況は限定されない。
図3Aに示すように、生育予測部12は、4/10~4/19の期間に耕耘を行った場合の草丈の推移W1と、3/29~4/までの期間に耕耘を行った場合の草丈の推移W2と、4/20以降に耕耘を行った場合の草丈の推移W3とを予測したとする。この場合、計画作成部13は、例えば草丈が最も伸びている推移W1を最も良い草丈の推移(パターン)として選択し、当該推移W1に対応する4/10~4/19の期間に耕耘を行うことを設定する。
【0029】
図3Bに示すように、生育予測部12は、4/20~4/30の期間に代掻きを行った場合の草丈の推移W4と、代掻きを行わなかった場合の草丈の推移W5とを予測したとする。この場合、計画作成部13は、最も良い草丈の推移として推移W4を選択し、当該推移W4に対応する4/20~4/30までの期間に代掻きを行うことを設定する。
図3Cに示すように、生育予測部12は、4/25~5/5の期間に基肥(肥料散布)を行った場合の草丈の推移W6と、基肥(肥料散布)を行わなかった場合の草丈の推移W7とを予測したとする。この場合、計画作成部13は、最も良い草丈の推移として推移W6を選択し、当該推移W6に対応する4/25~5/5の期間に基肥(肥料散布)を行うことを設定する。
【0030】
図3Dに示すように、生育予測部12は、5/1~5/9の期間に田植えを行った場合の草丈の推移W8と、5/10~5/19までの期間に耕耘を行った場合の草丈の推移W9と、5/20以降に耕耘を行った場合の草丈の推移W10とを予測したとする。この場合、計画作成部13は、最も良い草丈の推移として推移W8を選択し、当該推移W8に対応する5/1~5/9期間に田植えを行うことを設定する。
【0031】
図3Eに示すように、生育予測部12は、6/15~6/30の期間に農薬散布を行った場合の草丈の推移W11、7/1~7/9までの期間に耕耘を行った場合の草丈の推移W12、7/10以降に耕耘を行った場合の草丈の推移W13を予測したとする。この場合、計画作成部13は、最も良い草丈の推移として推移W11を選択し、当該推移W11に対応する6/15~6/30の期間に農薬散布を行うことを設定する。
【0032】
上述した例では、計画作成部13は、草丈が最も伸びている推移を最も良い草丈の推移として選択しているが、これに限定されない。例えば、草丈が最も伸びていない推移、又は草丈が所定長伸びている推移などのような、他の草丈の推移状態を最も良い草丈の推移として計画作成部13が選択するようにしてもよい。
図3Fに示すように、生育予測部12は、9/1~9/15までの期間に収穫を行った場合のシラタ米の量の推移W14と、9/16~10/10までの期間に収穫を行った場合のシラタ米の量の推移W15と、10/11以降に収穫を行った場合のシラタ米の量の推移W16とを予測したとする。この場合、計画作成部13は、シラタ米の量が最も少ない推移W15を最も良いパターンとして選択し、当該推移W15に対応する9/16~10/10の期間に収穫を行うことを設定する。
【0033】
図4は、計画作成部13が作成した農作業の計画の一例を示している。計画作成部13は、生育予測部12が予測した作物の生育状況等に基づいて、農作業を行うのに最適な時期を選択して、図4に示すような農作業を実行する農作業計画を作成する。計画作成部13により作成された農作業計画を示す計画情報は、管理装置10に備わるデータ記憶部11又はその他の記憶部に記憶される。また、農作業者又は管理者が外部端末20で所定の操作を行うことで、外部端末20は、上記計画情報を管理装置10から取得して、当該計画情報に基づいて上記農作業計画を表示部21に表示させる。
【0034】
<シェアリング>
<農業機械等の登録>
農業支援システム100は、農作業で使用するトラクタ31、田植機32、及びコンバイン33(図2参照)等のような農業機械のシェアリングを支援する。管理装置10は、貸出可能な農業機械に関する情報を受け付けることで、貸出可能な複数の農業機械を登録し、所定の地域の農作業者同士で農作業を行う際に必要とする農業機械のシェアリングを支援する。
【0035】
例えば、管理装置10は、登録部14と機械記憶部15とを備えている。登録部14は、管理装置10に設けられた電気電子回路又はプログラム等から構成されている。登録部14は、農作業で使用する農業機械等に関する情報を管理装置10に登録する。機械記憶部15は不揮発性のメモリから構成され、複数の農業機械を記憶する。
スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、又はパーソナルコンピュータ等の外部端末20が管理装置10に接続し、当該端末装置20で所定の操作が行われると、登録部14は、図5に示すように、農業機械と所有者の登録を行う画面(登録画面)M1を外部端末20に表示する。登録画面M1では、農業機械を所有する所有者情報(例えば、氏名、住所、メールアドレス、電話番号等)と、農業機械に関する農業機械情報(例えば、農業機械の種別(トラクタ、コンバイン、田植機、散布機、草刈機など)、農業機械の製造メーカ、型番、及び外観写真など)とが入力可能である。
【0036】
農作業者が端末装置20で所定の操作を行って、登録画面M1の所定の入力欄に所有者
情報及び農業機械情報を入力してから、当該入力内容を決定(登録画面M1中の「OK」キーを選択)する。すると、登録部14は、登録画面M1で入力された所有者情報と機械情報とを関連付けて、機械記憶部15に記憶(登録)させる。この情報登録手順が繰り返し実行されることにより、図6に示すような、複数の農業機械情報と各農業機械情報に関連付けられた所有者情報とを含んだ登録情報が、機械記憶部15にデータベースとして格納される。
図5の登録画面M1において、農業を行う所定地域(市、町、村、組合等)を1つの共同体(コミュニティ)として、当該共同体に所属した農家のみが農業機械情報と所有者情報を登録できるようにしてもよいし、又は共同体に関わらず任意の農家が農業機械情報と所有者情報を登録できるようにしてもよい。
【0037】
<農業機械の要求>
外部端末20(図1)は、表示部21と機械要求部22を備えている。表示部21は、様々な情報が表示可能であって、液晶パネル又は有機EL等から構成されている。図4に示すように、表示部21には、計画作成部13が作成した農作業の計画(農作業計画)を表示することができる。農作業者は、当該農作業計画を参照しながら、圃場H1で使用する農業機械と、当該農業機械を使用する日時などを決める。そして、農作業者は、農作業に必要な農業機械の台数が不足している場合、又は、農作業に必要な農業機械を所有していない場合、外部端末20を操作して、農業機械の借入要求(借入希望)を管理装置10に対して行う。
機械要求部22は、外部端末20に設けられた電気電子回路又はプログラム等から構成されている。機械要求部22は、管理装置10の機械記憶部15に記憶されている複数の農業機械の中から、農作業を行う際に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間(借入希望日)の要求を行う。
【0038】
例えば、農業機械を借りたい農作業者などが、外部端末20で所定の操作を行うことで、機械要求部22は、図7に示す入力画面M2を表示部21に表示させる。入力画面M2は、農作業者などが農作業で使用したい農業機械である使用機械を借り入れるための借入情報を入力する画面である。借入情報には、個人情報Q1と希望情報Q2とが含まれている。個人情報Q1には、農作業者などの氏名、住所、メールアドレス、及び電話番号が含まれている。希望情報Q2には、使用機械の種別、台数、及び借入時間が含まれている。これらの情報を入力する入力欄が、入力画面M2にそれぞれ設けられている。そのうち、借入時間の入力欄には、農業機械を借り入れたい時刻、時間帯、日付、及び期間のいずれかが入力可能である。なお、借方情報は、上記の情報に限定されない。
【0039】
農作業者が外部端末20で所定の操作を行って、入力画面M2に個人情報Q1と希望情報Q2とを入力してから、当該入力内容を決定(入力画面M2中の「OK」キーを選択)する。すると、機械要求部22が、入力画面M2で入力された個人情報Q1と希望情報Q2とを管理装置10に送信する。
上記のような外部端末20による使用機械の借入要求は、使用機械を借り入れたい時間よりも所定時間以上前(例えば1週間前)のときでなければ、行えないようにすることが好ましい。また、管理装置10の計画作成部13が作成した農作業計画で示された農作業毎に、使用機械の借入要求を行うことができる締切日を設けて、外部端末20による借入要求を制限してもよい。
【0040】
<調整部>
管理装置10は、調整部18を備えている。調整部18は、管理装置10に設けられた電気電子回路又はプログラム等から構成されている。外部端末20の機械要求部22から送信された使用機械の借入要求を管理装置10が受信すると、調整部18は、当該借入要求を機械記憶部15に記憶させ、且つ当該借入要求に基づいて農業機械のシェアリング状況を整理する。また、調整部18は、整理した農業機械のシェアリング状況を示すシェアリング情報を、管理装置10に備わるデータ記憶部11又はその他の記憶部に記憶させる。
【0041】
その後、農作業者などが外部端末20で所定の操作を行うことで、外部端末20は、調
整部18により整理された農業機械のシェアリング状況を示すシェアリング情報を管理装置10から取得(受信)する。そして、外部端末20は、当該シェアリング情報に基づいて、図8に示すような農業機械のシェアリング状況を示す確認画面M3を表示部21に表示させる。
【0042】
確認画面M3には、管理装置10の機械記憶部15に記憶(登録)された農業機械、即ち、共同体(ミュニティ)が所有する農業機械の種別と台数が表示されている。また、当該農業機械のうち、所定期間に借入要求があった使用機械の借入希望状況(日付毎及び希望者毎の借入希望台数を示す一覧表)も、確認画面M3には表示されている。詳しくは、図8に示す例では、管理装置10の計画作成部13により作成された農作業計画のうち、耕耘作業を行う時期(4/10~4/19)に使用するトラクタの借入希望台数を日付毎及び農作業者A~G毎に一覧表示している。
【0043】
外部端末20で所定の操作を行って、確認画面M3中の使用機械の借入希望台数を示す数字のいずれかを選択すると、当該数字に対応する借方情報(図の個人情報Q1と希望情報Q2)が表示部21に表示される。このとき、図に示すよう入力画面M2のうち、借方情報の欄だけを示す画面を表示部21に表示させてもよい。これにより、選択した数字に対応する使用機械の借入希望者の個人情報Q1と、借入時間を含む借入の希望情報Q2とが表示部21により視認可能となる。
【0044】
調整部18は、借入要求された使用機械が借入時間に貸し出すことができない場合、使用機械、借入時間、及び農作業計画のうちの少なくともいずれか1つを調整する。
図8に示す例では、共同体によるトラクタの所有台数が10台であるのに対して、耕耘作業を行う時期のうち、4/12と4/14と4/16において、トラクタの借入希望台数の合計が所有台数を上回っている。このような場合、調整部18は、借入時間(借入希望日)である4/12と4/14と4/16において、使用機械の借入希望台数が、貸出可能な所有台数より多いため、当該借入時間に一部の使用機械を貸し出すことができないと判断する。
【0045】
上記のように調整部18は、借入時間である4/12と4/14と4/16において、一部の使用機械を貸し出すことができないと判断した場合、農作業計画で示された耕耘作業期間(4/10~4/19)内で、一部の使用機械の借入時間を変更する。詳しくは、まず調整部18は、耕耘作業期間の各日における使用機械の借入希望台数の合計に着目する。そして、調整部18は、借入希望台数の合計が所有台数より多い日を借入時間としている一部の使用機械の借入希望台数を、借入希望台数の合計が所有台数より少ない日に振り替えることで、当該一部の使用機械の借入時間を変更する。
【0046】
具体的には、例えば調整部18は、図8に示すように農作業者Aが4/16に借入希望しているトラクタ3台を、図9に示すように4/15に振り替えることで、当該トラクタ3台の借入時間を変更する。また、調整部18は、図8に示すように農作業者Bが4/12に借入希望しているトラクタ1台を、図9に示すように4/13に振り替えることで、当該トラクタ1台の借入時間を変更する。さらに、調整部18は、図8に示すように農作業者Eが4/14に借入希望しているトラクタ2台を、図9に示すように4/15に振り替えることで、当該トラクタ2台の借入時間を変更する。
【0047】
調整部18は、上記のように使用機械の借入時間を変更すると、当該変更を反映したシェアリング状況を示すシェアリング情報を、管理装置10のデータ記憶部11又はその他の記憶部に記憶させる。この後、農作業者などが外部端末20で所定の操作を行うことで、外部端末20が管理装置10からシェアリング情報を取得して、当該シェアリング情報に基づいて、図9に示すような農業機械の借入時間変更後のシェアリング状況を示す確認画面M3を表示部21に表示させる。
【0048】
また、調整部18は、上述したように使用機械の借入時間を変更すると、当該変更内容を当該使用機械の借入希望者(農作業者など)に通知する。詳しくは、例えば調整部18は、借入希望者が所有する外部端末20、借入時間を変更した使用機械の借入希望者が借入要求時に操作した外部端末20(借入要求の送信元の外部端末20)、又は借入希望者のメールアドレス(図5参照)に、使用機械の借入時間の変更内容を示す借入変更情報を
通知(送信)する。
【0049】
具体的には、図8及び図9に示した例では、調整部18は、農作業者Aが所有する外部端末20などに、4/16の3台の使用機械の借入希望日を、4/15に変更したことを示す借入変更情報を通知する。また、調整部18は、農作業者Bが所有する外部端末20等に、4/12の1台の使用機械の借入希望日を、4/13に変更したことを示す借入変更情報を通知する。さらに、調整部18は、農作業者Eが所有する外部端末20等に、4/14の2台の使用機械の借入希望日を、4/15に変更したことを示す借入変更情報を通知する。上記借入変更情報に、借入時間を変更した理由を示す情報を含めてもよい。
【0050】
外部端末20などは、管理装置10からの借入変更情報を受信すると、当該借入変更情報の内容を表示部21に表示させる。これにより、使用機械の借入時間の変更内容が、借入希望者に通知される。
また、上記の借入変更情報とともに、農業機械の借入時間変更後のシェアリング状況を示すシェアリング情報を管理装置10から、借入希望者が所有する外部端末20などに送信してもよい。そして、当該シェアリング情報を受信した外部端末20等は、当該シェアリング情報に基づいて、図9に示すような農業機械の借入時間変更後のシェアリング状況を示す確認画面M3を表示部21に表示させてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、調整部18は、使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、使用機械の借入時間(借入希望日)を変更したが、これに代えて、調整部18が、計画作成部13により作成された農作業計画(図)で示された農作業の作業期間内において、農作業を実施する作業時間(作業日又は作業時刻)或いは農作業を実施しない休業時間(休業日又は糾合時刻)を変更してもよい。
【0052】
例えば図8に示すようなシェアリング状況において、調整部18は、使用機械の借入時間である4/12と4/14と4/16を、農作業を実施しない休業時間(休業日)とし、これら以外の日を、農作業を実施する作業時間(作業日)と変更するように、農作業計画を調整し、当該変更内容を管理装置10に備わるデータ記憶部11又はその他の記憶部に記憶させる。そして、調整部18は、そのような農作業計画の変更内容を、外部端末20などを介して農作業者などに通知する。このような通知を行うことで、農作業者に農作業の実施時間と使用機械の借入時間の変更を促すことができる。
【0053】
また、調整部18が、使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、借入要求のあった使用機械を、機種が異なる貸出可能な別の農業機械に変更してもよい。例えば、調整部18は、整理したシェアリング状況において、借入要求のあった使用機械が大型のトラクタであって、当該大型のトラクタを借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、当該借入時間に貸出可能な中型のトラクタに使用機械を変更するように、使用機械を調整する。そして、調整部18は、当該使用機械の変更内容を管理装置10に備わるデータ記憶部11又はその他の記憶部に記憶させ、且つ当該使用機械の変更内容を、外部端末20などを介して農作業者などに通知する。このような通知を行うことで、借入時間に農業機械で農作業が行えなくなるのを阻止することができる。
【0054】
また、図8などに示した農業機械のシェアリング状況を示す確認画面3において、農作業者A~G又は管理者が外部端末20で所定の操作を行うことにより、使用機械又は借入時間を変更可能にしてもよい。この場合、外部端末20で行われた使用機械又は借入時間の変更の内容を示す借入変更情報を、管理装置10が外部端末20から取得すると、調整部18が、当該借入変更情報に基づいて、農業機械のシェアリング状況を示すシェアリング情報を更新し、当該更新後のシェアリング情報を管理装置10に備わるデータ記憶部11やその他の記憶部に記憶させる。
【0055】
<まとめ>
以上説明した本実施形態の農業支援システム100は、以下の構成と効果を奏する。
本実施形態の農業支援システム100は、作物を作付け可能な圃場における農業に関するデータを記憶するデータ記憶部11と、データ記憶部11に記憶されたデータに基づいて、作物の生育を予測する生育予測部12と、生育予測部12によって予測された作物の生育に基づいて、作物の栽培するときの農作業の計画を作成する計画作成部13と、農作
業で使用する複数の農業機械を記憶する機械記憶部15と、機械記憶部15に記憶されている複数の農業機械の中から、農作業に使用する農業機械である使用機械及び当該使用機械の借入時間の要求を行う機械要求部22と、機械要求部22によって要求された使用機械が借入時間に貸し出すことができない場合、使用機械の借入時間を調整する調整部18と、を備えている。
【0056】
上記構成によれば、生育予測部12によって作物の生育を予測することができ、予測した作物の生育に応じた農作業の計画を、計画作成部13によって構築することができる。また、作成した農作業の計画に応じて、農作業者などが農業機械(使用機械)を借り入れて農作業を行うことができる。また、貸出可能な農業機械に対して、借入希望の農業機械(使用機械)が多くて、希望した借入時間に農業機械(使用機械)を借りることができない場合には、借入時間を調整することによって、調整後の借入時間に農業機械(使用機械)を用いて滞りなくスムーズに農作業を行うことができる。つまり、作物の生育に最適な農作業が農業機械の台数に可及的に制約されることなく、スムーズに行うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、データ記憶部11は、データとして、少なくとも圃場の気象情報、圃場に肥料を散布したときの施肥情報、圃場の土壌情報、作物の収穫情報、作物の生育情報のいずれかを記憶し、生育予測部12は、気象情報、施肥情報、土壌情報、収穫情報、生育情報のいずれかによって作物の生育を予測する。これによれば、作物の生育を簡単に予測することができる。また、気象情報に基づいて年ごとに変化する季節予報及び実際の気象変動に応じて、作物の生育を予測することができる。そして、作物の生育予測に基づいて、農作業の計画を適切に作成したり、農業機械の借入要求を効率良くに行ったりすることができる。殊に、固定的な作物の生育カレンダーや固定的で且つ平均的な気象シナリオによる作物の生育予測に基づく場合より、農作業の計画の的確性と農業機械の借入の効率性とを向上させることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、計画作成部13は、生育予測部12が予測した作物の生育に対応させて、作物の栽培時の農作業の計画を作成する。これによれば、簡単に、生育に最適な農作業を作成することができる。
また、本実施形態では、機械記憶部15は、外部端末20が接続可能な管理装置10に設けられ、機械要求部22は、外部端末20に設けられ且つ、管理装置10に対して、使用機械及び借入時間の要求を行う。これによれば、農作業者又は管理者等が所持した外部端末20を用いて、使用機械の要求及び借入時間の要求を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、調整部18は、借入時間における使用機械の台数が、機械記憶部15に記憶された農業機械の台数よりも多い場合、使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断する。例えば、所定の地域などで農作業を行う共同体を設けた場合など、共同体が所有する農業機械(機械記憶部15に記憶された農業機械)を、使用機械の台数が上回る場合には、貸出することができないなど、共同体の運営をスムーズに行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、調整部18は、使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、農作業の計画に示された農作業の作業期間内で、要求された借入時間を変更する。これによれば、生育に最適な農作業の作業期間内に、使用機械を用いて農作業を滞りなく行うことができる。
また、本実施形態では、調整部18は、外部端末20に借入時間の変更を通知する。これによれば、農作業者は、別の借入時間で農業機械を使用できることを簡単に把握することができる。
【0061】
また、本実施形態では、調整部18は、使用機械が借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、農作業の計画に示された農作業の作業期間内で、農作業の計画を調整して、借入時間を農作業を実施しない休業時間に変更し、農作業の計画に示された別の休業時間を農作業を実施する作業時間に変更する。これによれば、変更した作業時間に、農業機械(使用機械)を用いて滞りなくスムーズに農作業を行うことができる。つまり、作物の生育に最適な農作業が農業機械の台数に可及的に制約されることなく、スムーズに行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、計画作成部13は、外部端末20に農作業の計画を通知し、 調整部18は、外部端末20に農作業の計画の変更を通知する。これによれば、農作業者は、計画作成部13により作成された農作業の計画に基づいて、作物を簡単且つ最適に栽培することができる。また、農作業者は、変更された作業時間に、使用機械を用いて農作業が行えることを簡単に把握することができる。
【0063】
また、本実施形態では、調整部18は、使用機械を借入時間に貸し出すことができないと判断した場合、使用機械を機種が異なる貸出可能な別の農業機械に変更する。これによれば、変更した使用機械を用いて滞りなく農作業を行うことができる。つまり、作物の生育に最適な農作業が農業機械の台数に可及的に制約されることなく、スムーズに行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、調整部18は、使用機械の変更を通知する。これによれば、農作業者は、変更された使用機械を用いて農作業が行えることを簡単に把握することができる。
さらに、本実施形態では、機械記憶部15は、外部端末20が接続可能な管理装置10に設けられ、管理装置10は、外部端末20から貸出可能な農業機械に関する情報を受け付けて、機械記憶部15に記憶させる。これによれば、農業機械を所有している農家が簡単に貸出をすることができる農業機械を、外部端末20を用いて管理装置10の機械記憶部15に記憶させることができる。
【0065】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 :管理装置
11 :データ記憶部
12 :生育予測部
13 :計画作成部
14 :登録部
15 :機械記憶部
18 :調整部
20 :外部端末
21 :表示部
22 :機械要求部
31 :トラクタ(農業機械)
32 :田植機(農業機械)
33 :コンバイン(農業機械)
F1 :気象情報
F2 :施肥情報
F3 :土壌情報
F4 :収穫情報
F5 :生育情報
H1 :圃場
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
図9