(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】クロスカット装置、製袋機、および、クロスカット方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/16 20170101AFI20240709BHJP
B31B 70/10 20170101ALI20240709BHJP
【FI】
B31B70/16
B31B70/10
(21)【出願番号】P 2023550680
(86)(22)【出願日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2023010123
(87)【国際公開番号】W WO2023218754
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2022077431
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 幹夫
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-023666(JP,A)
【文献】特開2007-331030(JP,A)
【文献】特開2003-094536(JP,A)
【文献】特開2000-128189(JP,A)
【文献】特開平03-197124(JP,A)
【文献】特開2021-010955(JP,A)
【文献】特開2009-095984(JP,A)
【文献】特開2018-199215(JP,A)
【文献】特開2011-056837(JP,A)
【文献】米国特許第02640539(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを間欠搬送の一時停止の間に2回剪断するための製袋用のクロスカット装置であって、
上刃および下刃を含むカッターペア、
前記ウェブを当該ウェブの長手方向に間欠搬送するための搬送装置、
前記ウェブの剪断のために前記上刃を前記下刃に対して上下に往復移動させるための上下動装置、および、
前記カッターペアを、1回目の剪断のための第1位置と、前記第1位置より上流の2回目の剪断のための第2位置との間で水平に移動させるための水平動装置、を備え、
前記水平動装置は、2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が最下高さに到達してから剪断高さを超えるまでに、前記カッターペアを、前記第2位置から前記第1位置へ移動させ始めるように構成されており、
前記搬送装置は、前記カッターペアの前記第2位置から前記第1位置への移動開始後に、前記ウェブを搬送し始めるように構成されている、
クロスカット装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、
2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が前記剪断高さを超える前に、前記ウェブを搬送し始めて、前記上刃が前記剪断高さを超えた後に、前記ウェブを、前記上刃と前記下刃との間の空間を通過させるように構成されている、
請求項1に記載のクロスカット装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、
2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が前記剪断高さを超えた後で最上高さに到達する前に、前記ウェブを搬送し始めるように構成されている、
請求項1に記載のクロスカット装置。
【請求項4】
少なくとも1枚のウェブから袋を順次製造する製袋機であって、請求項1に記載のクロスカット装置を備える、製袋機。
【請求項5】
前記クロスカット装置より上流に設けられ、前記ウェブを、間欠搬送の度に打ち抜くための打抜装置を備え、
前記打抜装置は、
コーナーカット部用の孔または切欠きを前記ウェブに形成するための第1打抜刃と、
ノッチ用の孔を、前記コーナーカット部用の孔または切欠きから前記ウェブの幅方向に離れたところで前記ウェブに形成するための第2打抜刃と、を備え、
前記クロスカット装置は、前記カッターペアを用いて、前記ウェブを、前記コーナーカット部用の孔または切欠きおよび前記ノッチ用の孔を横切って、当該ウェブの幅方向に剪断し
、ノッチおよ
びコーナーカット部を有する前記袋を成形するように構成されている、
請求項4に記載の製袋機。
【請求項6】
上刃および下刃を含むカッターペアを用いてウェブを剪断して袋を成形するためのクロスカット方法であって、
(a)前記ウェブの搬送を一時停止させておくこと、
(b)前記(a)のステップの間に、前記上刃を前記下刃に対して上下に往復移動させて前記ウェブを第1位置にて当該ウェブの幅方向に剪断すること、
(c)前記(a)のステップの間に、前記(b)のステップに次いで、前記カッターペアを、前記第1位置から、当該第1位置より上流の第2位置に移動させること、
(d)前記(c)のステップに次いで、前記上刃を再び前記下刃に対して上下に往復移動させて、前記ウェブを前記第2位置にて前記ウェブの幅方向に剪断すること、
(e)前記(d)のステップにおいて、前記上刃が最下高さに到達してから剪断高さを超えるまでに、前記カッターペアを前記第2位置から前記第1位置に移動させ始めること、および、
(f)前記(e)のステップの後に、前記ウェブを当該ウェブの長手方向に搬送し始めること、
を備える、
クロスカット方法。
【請求項7】
前記(f)のステップは、前記上刃が前記(d)のステップにおいて前記剪断高さを超える前に、前記ウェブを搬送し始めて、前記上刃が前記剪断高さを超えた後に前記ウェブを前記上刃と前記下刃との間の空間を通過させる、
請求項6に記載のクロスカット方法。
【請求項8】
前記(f)のステップは、前記上刃が前記(d)ステップにおいて前記剪断高さを超えた後で最上高さに到達する前に、前記ウェブを搬送し始める、
請求項6に記載のクロスカット方法。
【請求項9】
前記ウェブは、シーラント層を含む、
請求項6に記載のクロスカット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ウェブを剪断するクロスカット装置、および、当該クロスカット装置を備える製袋機に関する。また、本願は、製袋に用いられるウェブを剪断するクロスカット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製袋機は、例えば、ウェブを当該ウェブの長手方向に間欠搬送する間欠搬送装置と、間欠搬送の停止の間に、ウェブを加工する加工装置と、間欠搬送の停止の間に、加工されたウェブを当該ウェブの幅方向にカットして袋を成形するクロスカット装置と、を備える。
【0003】
加工装置は、例えば、ウェブを当該ウェブの幅方向及び/又は長手方向にヒートシールするヒートシール装置、及び/又は、ウェブを打ち抜いて、成形された袋がコーナーカット部を有するようにする打抜装置である。
【0004】
尖った角を有する袋の場合、ユーザが角によって怪我するかもしれない。一方、コーナーカット部は、例えば、丸みを帯びた形状を有しており、怪我を防止し得る。また、コーナーカット部は、袋の外観をよくし得る。
【0005】
クロスカット装置は、加工装置よりも下流に設けられている。クロスカット装置は、典型的には、上刃および下刃を備えるカッターペアを用いてウェブを剪断する。
【0006】
クロスカットは、1回のみの剪断を伴うものと、2回の剪断を伴うものとがある。前者の場合、カット位置がずれていると、突起(例えば、特許文献1の
図13Bの符号170aで例示されているような)がコーナーカット部に生じる。これは、袋の見栄えを悪くし得るし、怪我の原因にもなり得る。
【0007】
後者の場合、突起の発生を防止できる(例えば、特許文献2の
図11参照)。具体的に、後者は、ウェブをカッターペアで剪断し(1回目)、カッターペアを上流に移動させ、ウェブを再びカッターペアで剪断し(2回目)、そして、カッターペアを再び下流に移動させて元の位置に戻す。
【0008】
2回の剪断を伴うクロスカットは突起の発生を防止できる。一方で、カスが2回目の剪断の際に必然的に生じる。このようなカスを適切にウェブから引き離しておかないと、カスが成形された袋に付くことになり得るが、これは、異物混入の問題につながり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2019/123875
【文献】WO2019/163496
【発明の概要】
【0010】
本願は、2回の剪断を伴うクロスカットにより生じるカスを確実にウェブから離すことを目的とする。
【0011】
本願によれば、ウェブを間欠搬送の一時停止の間に2回剪断するための製袋用のクロスカット装置が提供される。
前記クロスカット装置は、
上刃および下刃を含むカッターペア、
前記ウェブを当該ウェブの長手方向に間欠搬送するための搬送装置、
前記ウェブの剪断のために前記上刃を前記下刃に対して上下に往復移動させるための上下動装置、および、
前記カッターペアを、1回目の剪断のための第1位置と、前記第1位置より上流の2回目の剪断のための第2位置との間で水平に移動させるための水平動装置、を備える。
前記水平動装置は、2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が最下高さに到達してから剪断高さを超えるまでに、前記カッターペアを、前記第2位置から前記第1位置へ移動させ始めるように構成されている。
前記搬送装置は、前記カッターペアの前記第2位置から前記第1位置への移動開始後に、前記ウェブを搬送し始めるように構成されている。
【0012】
前記搬送装置は、
2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が前記剪断高さを超える前に、前記ウェブを搬送し始めて、前記上刃が前記剪断高さを超えた後に、前記ウェブを、前記上刃と前記下刃との間の空間を通過させるように構成されてよい。
【0013】
前記搬送装置は、
2回目の剪断のための前記上刃の往復移動において、前記上刃が前記剪断高さを超えた後で最上高さに到達する前に、前記ウェブを搬送し始めるように構成されてよい。
【0014】
また、本願によれば、少なくとも1枚のウェブから袋を順次製造する製袋機であって、上記のクロスカット装置を備える製袋機が提供される。
【0015】
前記製袋機は、前記クロスカット装置より上流に設けられ、前記ウェブを、間欠搬送の度に打ち抜くための打抜装置を備えてよい。
前記打抜装置は、
コーナーカット部用の孔または切欠きを前記ウェブに形成するための第1打抜刃と、
ノッチ用の孔を、前記コーナーカット部用の孔または切欠きから前記ウェブの幅方向に離れたところで前記ウェブに形成するための第2打抜刃と、を備えてよい。
前記クロスカット装置は、前記カッターペアを用いて、前記ウェブを、前記コーナーカット部用の孔または切欠きおよび前記ノッチ用の孔を横切って、当該ウェブの幅方向に剪断し、ノッチおよびコーナーカット部を有する前記袋を成形するように構成されてよい。
【0016】
また、本願によれば、上刃および下刃を含むカッターペアを用いてウェブを剪断して袋を成形するためのクロスカット方法が提供される。
当該方法は、
(a)前記ウェブの搬送を一時停止させておくこと、
(b)前記(a)のステップの間に、前記上刃を前記下刃に対して上下に往復移動させて前記ウェブを第1位置にて当該ウェブの幅方向に剪断すること、
(c)前記(a)のステップの間に、前記(b)のステップに次いで、前記カッターペアを、前記第1位置から、当該第1位置より上流の第2位置に移動させること、
(d)前記(c)のステップに次いで、前記上刃を再び前記下刃に対して上下に往復移動させて、前記ウェブを前記第2位置にて前記ウェブの幅方向に剪断すること、
(e)前記(d)のステップにおいて、前記上刃が最下高さに到達してから剪断高さを超えるまでに、前記カッターペアを前記第2位置から前記第1位置に移動させ始めること、および、
(f)前記(e)のステップの後に、前記ウェブを当該ウェブの長手方向に搬送し始めること、
を備える。
【0017】
前記(f)のステップは、前記上刃が前記(d)のステップにおいて前記剪断高さを超える前に、前記ウェブを搬送し始めて、前記上刃が前記剪断高さを超えた後に前記ウェブを前記上刃と前記下刃との間の空間を通過させてよい。
【0018】
前記(f)のステップは、前記上刃が前記(d)ステップにおいて前記剪断高さを超えた後で最上高さに到達する前に、前記ウェブを搬送し始めてよい。
【0019】
前記ウェブは、シーラント層を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、例示の製袋機の下流部分を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、加工されたウェブおよび袋を示す概略平面図である。
【
図3】
図3Aは、コーナーカット部用の打抜刃の刃先を示し、
図3Bは、ノッチ用の打抜刃の刃先を示す。
【
図4】
図4Aは、一回の剪断を伴うクロスカット(比較例)を例示し、
図4Bは、2回の剪断を伴うクロスカットを例示する。
【
図5】
図5Aは、例示のクロスカット装置の概略平面図であって、
図5Bは、上下動装置および水平動装置の概略平面図である。
【
図6】
図6Aは、スライドガイドの概略図であって、
図6Bは、上下動装置のクランク機構の概略図である。
【
図10】
図10は、例示のクロスカット装置のブロック図である。
【
図11】
図11は、クロスカット装置による例示のクロスカット工程を示す。
【
図12】
図12は、クロスカット装置の例示のタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本願の実施形態が説明される。以下は、本願の単なる例示に過ぎない。
【0022】
図1は、例示の製袋機の下流部分を示す。ウェブ1は、製袋機の上流区間において、図示されない原反から繰り出されている。ウェブ1は、製袋機の下流区間において、その長手方向に間欠搬送されている。したがって、ウェブ1は、搬送と一時停止とを繰り返す。その搬送方向は、符号X1によって示されている。実施形態では、2枚のウェブ1が互いに重ね合わされた状態で間欠搬送される。若しくは、2つ折りされた状態の1枚のウェブ1が間欠搬送されてもよい。
【0023】
ウェブ1は、実施形態では、一方面が基材で構成され、他方面がシーラントで構成されたラミネートフィルムである。これに代えて、ウェブ1は、紙の基材と、当該基材に少なくとも部分的に塗布された樹脂とからなってよい。若しくは、ウェブ1がモノマテリアルで構成されてもよい。
【0024】
製袋機は、ウェブ1を間欠搬送の度にその幅方向Y(
図2)に剪断して、袋10を成形するためのクロスカット装置3と、クロスカット装置3の上流に設けられて、ウェブ1を間欠搬送の度に加工する加工装置2とを備える。加工装置2は、ヒートシール装置20、打抜装置21、および、スリッター22を備える。
【0025】
ヒートシール装置20は、間欠送りの度に、ウェブ1をヒートシールする。例えば、ヒートシール装置20は、ウェブ1をその長手方向Xにヒートシールして縦シール部11(
図2)を形成する縦ヒータ200と、ウェブ1をその幅方向Yにヒートシールして横シール部12(
図2)を形成する横ヒータ201とを備える。これらのヒータ200,201は、例えばヒートシールバーを含む。
【0026】
打抜装置21は、間欠送りの度に、ウェブ1を打ち抜く。例えば、打抜装置21は、ウェブ1を打ち抜いて、
図2のようなコーナーカット部16用の孔13及び/又は切欠き14をウェブ1に形成するための打抜刃210と、ウェブ1を打ち抜いて、
図2のようなノッチ17用の孔15をウェブ1に形成するための打抜刃211とを備える。これらの打抜刃210,211に対しては、受け刃212,213がそれぞれ設けられている。なお、
図2の通り、ノッチ17用の孔15は、コーナーカット部16用の孔13および切欠き14から、ウェブ1の幅方向Yに離れたところでウェブ1に形成される。打ち抜きによって生じる不図示のカスは、吸引などの手段で排除される。
【0027】
打抜刃210の刃先は、
図3Aの通り、実質的に、4つの弧状のコーナーカット部16が繋がったループ形状を有する。打抜刃211の刃先は、
図3Bの通り、実質的に、2つのノッチ17が繋がった形状であって、略菱形形状を有する。
【0028】
スリッター22は、例えば、ウェブ1の幅方向Yの中央に配置される。ウェブ1の送りに伴って、ウェブ1は、スリッター22によってその長手方向Xにスリットされる。
【0029】
クロスカット装置3は、間欠搬送の度に、ウェブ1を幅方向Yに剪断してウェブ1から袋10を成形する。実施形態は、いわゆる2列製袋である。すなわち、
図2の通り、クロスカットの1サイクルの度に、2つの袋10が成形される。
【0030】
クロスカット装置3は、後述の通り、間欠搬送の停止の間に、ウェブ1を2回剪断する。
図2の通り、1回目の剪断でウェブ1から切除された部分が、袋10となる。袋10の胴部が、ウェブ1によって形成される。2回目の剪断でウェブ1から切除された部分は、カス18である。
【0031】
クロスカット装置3は、例えば、ウェブ1を、孔13,15、切欠き14を横切ってその幅方向Yに剪断する。この場合、袋10は、コーナーカット部16およびノッチ17を有する。弧状のコーナーカット部16は、矩形の袋10の4つ角に位置し、怪我防止に役立つ。ノッチ17は、袋10の両側縁に位置し、袋10の開封を容易にする。コーナーカット加工およびノッチ加工を伴う実施形態では、カス18には、ミニカス180が含まれる。
【0032】
図4Aの1回剪断の場合、ウェブ1が、正規の切断ラインLrからずれたラインL1で切断されると、袋10に突起19が生じ、この突起19によって怪我する可能性がある。
図4Bの2回剪断の場合、ウェブ1がラインL2,L3の2箇所で剪断されると、突起の発生が回避される。この理由により、クロスカット装置3は、クロスカットの1サイクルで、ウェブ1を2回剪断する。但し、2回剪断では、カス18の発生は避けられない。
【0033】
図1の通り、クロスカット装置3は、ウェブ1を方向X1に間欠搬送するための搬送装置4を備える。搬送装置4は、2つの搬送ローラ40と、アクチュエータ41(例えばモータ)とを含む。搬送ローラ40の少なくとも1つがアクチュエータ41に動作可能に連結されている。ウェブ1を挟んだ搬送ローラ40が、アクチュエータ41によって間欠回転されると、ウェブ1が間欠搬送される。
【0034】
クロスカット装置3は、搬送ローラ40の下流に設けられたカッターペア5を備える。カッターペア5は、ウェブ1の剪断のための上刃50および下刃51で構成される。
【0035】
クロスカット装置3は、
図11に示されるように上刃50を下刃51に対して上下に往復移動させるための上下動装置6(
図5B,
図6B)と、カッターペア5を、上流(方向X2)および下流(方向X1)に移動させるための水平動装置7(
図5B)とを備える。
【0036】
図5Aで概略的に示されている通り、カッターペア5、および、装置6,7は、ユニット化されており、メインフレーム30に搭載されている。
【0037】
例えば、クランク機構が、上下動装置6として採用されてよい。
図5Bの通り、スライドフレーム60が、上刃50の両側に配置されている。
図6Aの通り、スライドフレーム60は、上下に延在するガイド溝600を有している。
図6Bの通り、スライドピン61が、上刃50の両側面の上側および下側に設けられている。スライドピン61が、ガイド溝600に沿ってスライド可能にガイド溝600に受けられる。これによって、上刃50がガイド溝600に沿って上下動可能である。なお、スライドピン61は、バネといった不図示の勢付部材によって上流(方向X2)に付勢されている。
【0038】
クランクシャフト62が、メインフレーム30に回転可能に支持されている。オーバル形状のクランク63が、クランクシャフト62の端に装着されており、クランクシャフト62と共に回転可能である。連接棒64が、その第一端(下端)において、クランクピン65を介してクランク63の先端に連結されている。連接棒64は、その第二端(上端)において、下側のスライドピン61を介して上刃50に連結されている。さらに、クランクシャフト62は、モータといったアクチュエータ66に動作可能に連結されている。したがって、クランクシャフト62がアクチュエータ66によって回転すると、上刃50が上下に往復移動する。こうして、上下動装置6が、上刃50を、上死点(最上高さ)と下死点(最下高さ)との間で移動させる。
【0039】
図7Aは、一例のカッターペア5の方向X2の矢視図であり、上刃50が上死点に位置している。上刃50の直線状の刃先500は、上下方向および水平方向Yに対して傾斜している。上刃50は、その高さに関わらず、常に下刃51と重なる(オーバーラップする)重複部分501をその一側(
図7Aでは右側)に有する。すなわち、重複部分501は、上刃50が上死点にあるときでも下刃51と重なっている面部分である。上刃50は下刃51の直下流に位置しており(
図1参照)、上述の通り付勢部材によって上流方向X2に付勢されている。したがって、カッターペア5は、上刃50が常に下刃51に付勢されて当接した状態でウェブ1を剪断(クロスカット)することとなる。これは、良好な剪断を提供する。
【0040】
図7Bは、別の例示のカッターペア5を示す。また、
図7Cは、
図7Bの領域Tの拡大図であり、
図7Dは、
図7CのS-S線断面である。この例では、
図7Bの通り、上刃50が上死点にあるとき、下刃51とは重複しない。下刃51は、上刃50の最下端部分に対応する1つの角において三角形状の傾斜面510を有している。上刃50の下降時、その上流を向く刃面が傾斜面510に乗り上げ、ウェブ1を確実に剪断(クロスカット)することができる。この例では、ウェブ1が傾斜面510から離れて(すなわち、
図7Cの位置Rを右に超えないように)上刃50と下刃51との間を間欠搬送されれば、剪断不良は生じない。
【0041】
次いで、水平動装置7が説明される。
図5B,
図6Aの通り、スライド梁70が、その両端において、スライドフレーム60に支持されている。固定梁71が、その両端において、メインフレーム30に固定された支持フレーム72に支持されている。スライド梁70および固定梁71は、方向Yに延在している。
【0042】
スライドフレーム60およびスライド梁70は、一体的に、方向Xに、微小区間、移動可能である。例えば、このために、レール構造が採用されてよい。
図8A,
図8Bの通り、レール73が、メインフレーム30に取り付けられており、方向Xに延在している。ガイドローラ74が、スライドフレーム60に回転可能に支持されて、レール73を挟んでいる。
【0043】
図5の通り、スライド梁70および固定梁71が、方向Xに延在する伝達シャフト75を介して互いに連結されている。
図5の領域Tを示す
図9の通り、伝達シャフト75は、回転可能にかつ方向Xに変位不能に固定梁71に受けられている。伝達シャフト75の一部は、送りねじ750として構成されている。不図示の雌ねじが、スライド梁70の内部に形成されており、送りねじ750と係合している。
【0044】
伝達シャフト75は、アクチュエータ76に動作可能に連結されている。アクチュエータ76として、例えば、固定梁71に配置されたモータが用いられる。そして、伝達シャフト75は、その端部において、モータ76の出力シャフト760に装着されたカサ歯車77に連結されている。したがって、伝達シャフト75がアクチュエータ76によって回転されると、スライドフレーム60およびスライド梁70が方向Xに移動する。
【0045】
図示されていないが、下刃51は、直接的または間接的にスライドフレーム60に取り付けられており、スライドフレーム60およびスライド梁70と共に方向Xに移動可能である。
【0046】
したがって、伝達シャフト75がアクチュエータ76によって回転すると、カッターペア5(上刃50および下刃51)が方向Xに移動する。
【0047】
上記の装置6,7は、例示にすぎない。任意の構造が、これらの装置6,7として採用されてよい。例えば、アクチュエータとしてのモータ76と、カサ歯車77とが、直接的ではなく、ギアトレインを介して連結されてよい。カサ歯車77付きの伝達シャフト75が、固定梁71の中に内蔵されてよい。2本の伝達シャフト75が、方向Yに間隔をあけて配置されて、カッターペア5の水平移動をより確実にしてよい。この場合、2本の伝達シャフト75が、カサ歯車、ギアトレイン等含む伝達構造を介して、アクチュエータ76に動作可能に連結されて、同期して回転するように構成される。
【0048】
図10の通り、クロスカット装置3は、アクチュエータ41,66,76に電気的に接続された制御部31(プロセッサ、コントローラなど)を備えている。制御部31は、アクチュエータ41,66,76(したがって、装置4,6,7)を制御してクロスカット工程を実施する。以下、
図11,
図12で例示されるクロスカット工程が説明される。
【0049】
まず、搬送装置4は、ウェブ1の搬送を一時停止させる。
【0050】
搬送の一時停止開始から所定時間後に、クロスカット装置3は、第1位置P1にて、ウェブ1を剪断する(1回目)。したがって、上下動装置6は、第1位置P1にあるカッターペア5の上刃50を上死点(最上位置)から下死点(最下位置)まで下降させ、下死点から上昇させて上死点まで戻す。ウェブ1が、第1位置P1にて、上刃50および下刃51によってウェブ1の幅方向Yに剪断される(
図11の(1)(2)参照)。袋10が、この1回目の剪断によって成形され、不図示のコンベヤによって下流に搬送される。
【0051】
次いで、クロスカット装置3は、第2位置P2にて、ウェブ1を剪断する(2回目)。まず、水平動装置7は、カッターペア5(上刃50および下刃51)を、第1位置P1から上流に第2位置P2まで移動させる(
図11の(3))。その後に、上下動装置6は、第2位置P2において上刃50を上死点から下死点まで下降させてウェブ1を上刃50と下刃51とによって剪断し(
図11(4))、上刃50を下死点から上昇させて上死点まで戻す。
【0052】
2回目の剪断によって、カス18が必然的に発生する。カス18の幅は、第1位置P1と第2位置P2との間の距離Dに相当する。上述の通り、コーナーカット加工およびノッチ加工にゆえに、実施形態では、ミニカス180が生じる。
【0053】
2回目の剪断のための上刃50の往復移動において、上刃50が下死点に到達した時点または後、水平動装置7は、カッターペア5を第2位置P2から下流に(方向X1に)移動させ、第1位置P1に戻し始める(
図11(4)(5))。具体的には、水平動装置7は、上刃50が下死点に到達した後、剪断高さhを超える前に、カッターペア5を第1位置P1に移動させ始める。より具体的には、水平動装置7は、
図12の通り、上刃50が下死点に留まっている間に、上刃50の第2位置P2から第1位置P1への移動を開始する。
【0054】
ここで、「剪断高さh」は、
図14Aに示されている。剪断高さhは、上刃50が
図14Aの通りウェブ1を剪断し終える高さである。別の表現をすれば、上刃50の剪断高さhは、上刃50がちょうどウェブ1が通過する搬送経路を塞いだ時点の高さである。
【0055】
そして、水平動装置7は、上刃50が上死点に達する前または時点に、カッターペア5を第1位置P1に移動し終える(戻し終える)。実施形態の水平動装置7は、具体的には、カッターペア5を、上刃50が剪断高さhを超える前に第1位置P1に戻し終えている(
図11(5)、
図12)。
【0056】
搬送装置4は、カッターペア5の第1位置P1への移動開始後に、搬送ローラ40によってウェブ1を方向X1に搬送し始める。実施形態の搬送装置4は、具体的には、カッターペア5の下流への移動開始後で上刃50の剪断高さh超え前に、ウェブ1を搬送し始める。
【0057】
ウェブ1の搬送開始時点では、
図11(5)(6)の通り、上刃50がウェブ1の搬送経路を塞いでいる。この実施形態では、上刃50が
図14Bの高さに上昇してウェブ1の搬送経路を完全に開放した時点でウェブ1の先端が上刃50の上流面の位置を下流に超えないように、ウェブ1の搬送速度およびタイミングが制御されている。これにより、ウェブ1の先端が上刃50の上流面の位置に達するまでにウェブ1が通過可能な空間が上刃50と下刃51との間に確保される。このようにして、ウェブ1の搬送開始時点で搬送経路が上刃50に塞がれていても、搬送装置4がウェブ1を上刃50との衝突の問題なく上刃50と下刃51の間の空間を通過させることができるようになっている。以下、
図14B、
図14Cの上刃50の高さを、「搬送可能下限高さ」とする。
【0058】
その後、搬送装置4が、ウェブ1を、所定のピッチ分、搬送し終えて再び一時停止させる。以降、上述のステップが、クロスカットの1サイクルとして、繰り返される。
【0059】
図13は、比較例に係るタイミングチャートを示す。
図12の実施形態は、2回目の上刃50の往復動作において、上刃50の下死点到達時点から上死点到達時点まで間に、カッターペア5を第2位置P2から下流に移動させ始める。すなわち、このカッターペア5の下流移動開始のタイミングは、上刃が上死点に到達した後にカッターペアを第2位置から移動させ始める比較例よりも早い。そして、
図12の実施形態は、上刃50の第1位置P1へ復帰も、上刃50の上死点到時点までに完了しているが、これは、比較例のそれよりも当然早い。
【0060】
図12の実施形態は、カッターペア5の第1位置P1への移動開始時点から上刃50の上死点到達時点までの間に、ウェブ1を搬送し始める。このウェブ1の搬送開始のタイミングは、上刃の上死点到達およびカッターペアの第1位置到達後に、ウェブ1を搬送し始める比較例よりも早い。
【0061】
これによって、実施形態は、クロスカットの1サイクルを比較例のそれよりも、S(
図12)、短縮させており、間欠搬送の1サイクルも短縮させている。これは、製袋の高速化につながる。
【0062】
上記に代えて、水平動装置7は、カッターペア5を、上刃50の下死点到達時点で、直ちに第2位置P2から第1位置P1に移動させ始め、第1位置P1まで一気に戻し終えてもよい。そして、その後に、搬送装置4が、ウェブ1を搬送し始めてよい。
【0063】
上記に代えて、搬送装置4は、上刃50が剪断高さhを超えてから上死点到達までに、ウェブ1を搬送し始めてよい。より具体的な一例として、上刃50が、
図14B、
図14Cの搬送可能下限高さを超えた後に、搬送装置4が、ウェブ1を搬送し始めてよい。この例示によれば、ウェブ1の搬送開始時点で既に上刃50と下刃51との間にウェブ1が通過可能な空間が確保されているので、ウェブ1の搬送のタイミングや速度の制御が簡単である。
【0064】
そして、実施形態は、上記構成により、カス18、とりわけミニカス180の除去に関して以下の利点を有する。
【0065】
図15A,
図15Bを参照して、実施形態のミニカス180の微視的挙動が説明される。実施形態のヒートシール装置20(
図1)は、2枚のウェブ1又は2つ折りされたウェブ1をシーラント層の溶融を利用して互いにヒートシールする。そして、クロスカット装置3が、ウェブ1を横シール部12(
図2)内の位置でクロスカットする。したがって、
図15Aの通り、ウェブ1およびミニカス180において、シーラント層101は、基材層100に挟まれている。
【0066】
上刃50が下降してウェブ1を下刃51と協働して剪断する際に、熱が発生する。この剪断熱によって、ウェブ1およびミニカス180の内部のシーラント層101がその剪断面において半溶融状態となる。ミニカス180は、その半溶融状態のシーラント層101を介して、上刃50にくっつき得る。その状態で、上刃50が下死点まで下降する。
【0067】
上刃50が上昇に転じてその先端がウェブ1の高さになるころには、上述の通り、水平動装置7が上刃50および下刃51を下流に移動させ始めている(
図15B)。これによって、ミニカス180が、ウェブ1の先端から方向X1に離されるので、ミニカス180とウェブ1とがシーラントを介して融着することはない。
【0068】
図示されていない吸引装置が、下刃51の下方に配置されている。
図15Cの上刃50が上昇に転じる際に、吸引装置が、吸引によって下向きの気流を発生させ、ミニカス180をこの気流によって吹き飛ばして、上刃50から離す。
【0069】
図16A~
図16Dは、比較例を示す。上刃50の上死点到達後に上刃50および下刃51を下流に動かす比較例では、上刃50が上昇するとき、ミニカス180が漏れ出た半溶融状態のシーラント102(
図16C)を介してウェブ1に付着し得る。結果的に、
図16Dの通り、ミニカス180が紐状のシーラント102によって袋10につながり得る。
【0070】
実施形態と比較例との比較から明らかな通り、実施形態は、ミニカス180がウェブ1、したがって袋10に付着することを防止し得る。したがって、実施形態は、その後の充填工程において、ミニカス180が異物として混入されることを防止し得る。
【0071】
なお、ミニカス180と関連付けて説明されているが、本願のクロスカット装置および方法は、ノッチ加工を伴わずそれゆえ1本の細長いカスをクロスカットの度に生じさせてミニカス180を生じさせない製袋機および製袋方法にも適用可能であることは、当業者であれば容易に理解できる。
【0072】
テフロン(登録商標)加工といった摩擦を低減するための表面処理が、上刃50の表面に適用されて、ミニカス180をより確実に上刃50から離せるようにしてよい。
【0073】
なお、ウェブ1の搬送開始のタイミングが早すぎると、ウェブ1の先端が上刃50の上流面にあったしてしまう。上刃50が搬送可能下限高さを超えた後にウェブ1を搬送し始めれば、より確実に、ミニカス180がウェブ1に付着することを防止できる。
【0074】
クロスカット装置3は、当然ながら、上記の例示の製袋に限らず、あらゆるタイプの製袋に適用できる。例えば、ウェブ1(連続状の胴材)に加えて、ガセット材(サイドガセット材、底ガセット材など)やジッパといった付属の構成要素が用いられてよい。実施形態のような2列製袋に代えて、クロスカット装置3は、1列製袋や、3列以上の多列製袋に適用されてもよい。クロスカット装置3は、特に、狭い間隔で2度切りを行う製袋において、短いカスが袋本体につながってしまうことを回避するのに有効となる。さらに、クロスカット装置3によって、ウェブ1の間欠搬送サイクルの搬送開始のタイミングを早めることができ、製袋速度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ウェブ
10 袋
13 コーナーカット部用の孔
14 コーナーカット部用の切欠き
15 ノッチ用の孔
16 コーナーカット部
17 ノッチ
18 カス
180 ミニカス
2 加工装置
20 ヒートシール装置
21 打抜装置
210 第1打抜刃
211 第2打抜刃
3 クロスカット装置
31 制御部
4 搬送装置
5 カッターペア
50 上刃
51 下刃
6 上下動装置
7 水平動装置
X 上下流方向/ウェブの長手方向/水平方向
X1 搬送方向
Y ウェブの幅方向/水平方向
P1 第1位置
P2 第2位置