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特許7517689電子機器をホストするための多層構造体及び関連する製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子機器をホストするための多層構造体及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/10 20060101AFI20240709BHJP
   H01L 25/11 20060101ALI20240709BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240709BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240709BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01L25/14 Z
H05K5/00 B
H01L25/00 B
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020511493
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 FI2018050599
(87)【国際公開番号】W WO2019038479
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】15/687,095
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519361106
【氏名又は名称】タクトテック オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン、アンティ
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン、ミッコ
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094776(US,A1)
【文献】特開2006-179572(JP,A)
【文献】特開2004-235330(JP,A)
【文献】特開2013-097147(JP,A)
【文献】特開2011-082240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側の面(102A)及び対向する第2側の面(102B)を有する第1基板フィルム(102)であって、電気的に実質的に絶縁性の材料を含む第1基板フィルムと、
前記第1基板フィルムの前記第1側の面上に、少なくとも部分的に前記第1側の面を覆うように成形されたプラスチック層(112)と、
前記第1基板フィルムの前記第2側の面に設けられる回路(104、106、204、205)であって、前記第1基板フィルムの前記第1側の面に少なくとも1つのビアによって機能的に接続されている回路と、
を含み、
前記ビアは、導電性材料及び透過性材料である成形可能な材料が印刷によって充填される、一体型の多層構造体(100、200、300、400、500、600、700)。
【請求項2】
前記プラスチック層の前記第1基板フィルムとは反対側の面上に第2基板フィルム(103)を含み、前記第2基板フィルム上にグラフィクス及び/又は回路を収容し、
前記第2基板フィルムが、ポリマー、有機材料、生体材料、革、木、織物、布地、及び/又は金属を含む、
請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第2基板フィルムが、
第1側の面及び対向する第2側の面を有し、前記第2側の面が、前記成形されたプラスチック層に面し、いくつかの機構を有し、少なくとも前記第2側の面上に設けられる回路を含む、
請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
選択された色、図、アイコン、グラフィックパターン、記号、テキスト、数字、英数字、及び/又はその他の可視指示機構(108A、508A)を示す、埋め込まれた色又はグラフィクス層(108、508)を含む、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
トレース、電極、及び/又は接触パッドを画定するいくつかの導体が、前記第1基板フィルムの前記第2側の面に印刷され、前記第2側の面上に設けられる少なくとも1つの部品に接続されており、前記導体の少なくとも一部が、可視光を含む選択された波長に対し光学的に実質的に透明である、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記回路が、光源、又はLEDを含み、
更に、前記第1基板フィルムの前記第2側の面に設けられる導光体であって、前記光源によって放射され、前記導光体に内部結合された光を、前記導光体の内部を伝播し、選択された表面を通って前記第1基板フィルム及び前記プラスチック層に向かって出射するように方向付ける導光体を含み、
前記第1基板フィルム及び前記プラスチック層が、光透過性材料を含み、前記光透過性材料が、可視光を含み前記光源によって放射される波長を考慮して、実質的に透明又は少なくとも半透明材料である、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記第1基板フィルムの前記第1側の面に設けられ、少なくとも部分的に前記プラスチック層に埋め込まれた更なる回路(104、704)を含み、
前記更なる回路は、電子部品、電気光学部品、又は電気機械部品を含む、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項8】
トレース、電極、及び/又は接触パッドを組み込むいくつかの導体が、前記第1基板フィルムの前記第1側の面に印刷され、前記第1側の面上に設けられる少なくとも1つの部品に接続されており、前記導体の少なくとも一部が、可視光を含む選択された波長に対し光学的に実質的に透明である、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項9】
少なくとも前記第1基板フィルムが、少なくとも局所的に、形成された、実質的に3次元の、非平面形状を示す、
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つのビアは、前記第1基板フィルムを通って延在し、前記第1基板フィルムの両側の回路を接続する導電性ビアを含む、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項11】
熱可塑性又は熱硬化性プラスチック材料の層が、前記第1基板フィルムの前記第2側の面に形成され、前記少なくとも1つの部品の少なくとも一部を覆う保護層を含み、
前記保護層の材料が、前記プラスチック層の材料とは異なる、
請求項5に記載の構造体。
【請求項12】
前記回路が、
電子部品、電気光学部品、電気機械部品、放射線放射部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、放射線検出部品、光検出部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、セルを含む光起電力デバイス、センサ、大気センサ、ガスセンサ、温度センサ、湿度センサ、微小機械部品、スイッチ、接触スイッチ、近接スイッチ、接触センサ、近接センサ、容量スイッチ、容量センサ、投影容量スイッチ又はセンサ、単極電極容量スイッチ又はセンサ、多極容量スイッチ又はセンサ、自己容量センサ、相互容量センサ、誘導センサ、センサ電極、UI(ユーザインターフェース)要素、ユーザ入力要素、振動要素、通信要素、データ処理要素、及びデータ記憶要素からなる群から選択され
る、少なくとも1つの機構を備える、
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項13】
成形された前記プラスチック層が、
エラストマー樹脂、熱硬化性材料、熱可塑性材料、PC、PMMA、ABS、PET、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫物)、及びMS樹脂からなる群から選択される、少なくとも1つの材料を含む、
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項14】
前記第1基板フィルムが、
ポリマー、熱可塑性材料、電気絶縁性材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート(PC)、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ポリイミド、メチルメタクリレートとスチレンとのコポリマー(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、炭素繊維、有機材料、生体材料、革、木材、織物、布地、及び金属からなる群から選択される、少なくとも1つの材料を含む、
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項15】
前記回路を冷却することにより温度を制御するように構成された、前記第1基板フィルムの前記第2側の面上のヒートシンクを含む冷却要素又は熱電要素を含む、
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項16】
前記第1基板フィルム(102)の前記第2側の面(102B)に、導光体(220)を画定し、前記プラスチック層を成形する間及び/又はその後に、光源(204)を含む前記回路の少なくとも一部を保護するように構成されたスペーサを含み、
前記スペーサが、前記回路の前記少なくとも一部を収容するための孔を含み、前記孔に残る空間が更なる保護材料によって充填される、
請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造体を含む、ホストデバイス(110)。
【請求項18】
電子端末デバイス、個人用電子デバイス、ポータブル端末デバイス、携帯情報端末デバイス又はコントローラ、車両、車、トラック、飛行機、ヘリコプター、車載構造体、車載パネル、車載電子デバイス、車両ダッシュボード、車両エクステリア要素、車両点灯デバイス、測定デバイス、コンピュータデバイス、インテリジェント衣服、ウェアラブル電子機器の一部、マルチメディアデバイス又はプレイヤー、工業用機械、コントローラデバイス、及び個人用通信デバイスからなる群から選択される、少なくとも1つの要素を含む、請求項17に記載のホストデバイス。
【請求項19】
電子機器を収容するための第1基板フィルムを得ること(804)であって、前記第1基板フィルムは、第1側の面及び対向する第2側の面を有し、前記第1基板フィルムは、電気的に実質的に絶縁性の材料を含み、前記第1基板フィルムは、成形可能及び/又は熱可塑性であり、前記第1基板フィルムは、導電性材料及び透過性材料である成形可能な材料が印刷によって充填された少なくとも1つのビアを含むこと、
実装することによって及び/又はプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、前記第1基板フィルムの少なくとも前記第2側の面に回路を設けること(808)であって、前記回路は前記第1基板フィルムの前記第1側の面に前記少なくとも1つのビアによって機能的に接続されること、
及び、
射出成形によって又は反応成形によって、前記第1基板フィルムの前記第1側の面に、少なくとも部分的に前記第1側の面を覆うようにプラスチック層を成形すること(812)、
を含む、多層構造体を製造する方法(800)。
【請求項20】
低圧射出成形によって、前記第1基板フィルムの前記第2側の面に、第2プラスチック層を成形することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1又は複数の部品及び/又はトレースを含む前記回路の少なくとも一部をフィルム上に設けた後に、
選択された本質的に3次元の形状を示すように、少なくとも局所的に又はより広範囲に第1基板を形成することを含む、
請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
選択された色、図、アイコン、グラフィックパターン、記号、テキスト、数字、英数字、及び/又はその他の可視指示機構(108A、508A)を画定する、少なくとも1つの色又はグラフィクス層(108、508)を、ラミネーション及び/又は印刷によって、多層構造体に埋め込むことを含む、
請求項19から請求項21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記プラスチック層の前記第1基板フィルムとは反対側の面上に第2フィルムを設けることを含み、前記第2フィルム上にグラフィクス及び/又は電子機器を収容する、
請求項19から請求項22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのビアは、前記第1基板フィルムの両側の回路を電気的に結合するための、前記第1基板フィルムにおける導電性ビアである、
請求項19から請求項23までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願につながるプロジェクトは、合意書第725076号の下、欧州連合のホライズン2020研究及びイノベーションプログラムから資金提供を受けたものである。
【0002】
一般に、本発明は、電子機器、関連するデバイス、構造体、及び製造方法に関する。詳細には、しかし排他的にではないが、本発明は、基板フィルム上に配置される多くの電子部品、及びフィルム上に設けられる成形層を組み込んだ、一体型の多層構造体の提供に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電子機器及び電子製品という文脈においては、様々な異なる積層アセンブリ及び積層構造体が存在している。
【0004】
電子機器及び関連する製品を一体化することの背後にある動機は、関連する使用文脈と同じくらい多様であり得る。比較的多くの場合、結果として得られる解決策が最終的に多層的性質を示す場合、小型化、軽量化、材料節減、経費節減、性能向上、又は単に効率的に部品を詰め込むことが求められる。次に、関連する使用シナリオは、製品パッケージ又は食品ケーシング、デバイスハウジングの視覚的なデザイン、ウェアラブル電子機器、パーソナル電子デバイス、ディスプレイ、検出器又はセンサ、車両インテリア、アンテナ、ラベル、車両電子機器等に関し得る。
【0005】
電子部品、IC(集積回路)、及び導体等の電子機器は、一般に、複数の異なる技術によって基板要素上に設けることができる。例えば、様々な表面実装型デバイス(SMD)などの既製の電子機器を、多層構造体の内側又は外側のインターフェイス層を最終的に形成する基板表面に実装してもよい。追加的に、「プリンテッド・エレクトロニクス」という用語に該当する技術を、関連する基板に直接及び本質的に付加的に適用して、実際に電子機器を作製してもよい。「プリンテッド(印刷された)」という用語は、この文脈においては、実質的に付加的な印刷プロセスにより、印刷物から電子機器/電気素子を作製することができる様々な印刷技術を意味する。印刷技術は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、及びインクジェット印刷を含むがこれらに限定されない。使用される基板は可撓性であり、印刷材料が有機材料であってもよいが、常にそうであるとは限らない。
【0006】
電子機器が少なくとも部分的に成形層に埋め込まれた多層構造体を構築するように、基板には電子機器が設けられていてもよく、プラスチックによってオーバーモールドされてもよい。したがって、電子機器は、環境から見えないようにされてもよく、湿気、物理的衝撃、又は塵埃などの環境条件から保護されてもよい。一方で、成形層は、審美性、転写媒体、寸法設計等の観点から、様々な追加の用途を更に有していてもよい。
【0007】
しかしながら、多層構造体に様々な電子機器が搭載される場合であっても、それがなお、完全に分離して、すなわち自律的に機能するとは限らない。代わりに、そこに様々な外部電源、データ及び/又は制御接続を設けなければならない場合があり、無線接続が同様に適用できる場合でも、通常は電気コネクタ及び関連する配線の提供を必要とする。あるシナリオでは、目標部品が多層構造体の中で奥深い位置にある場合、必要とされる物理的接続及び接続自体のレイアウトを構築することが、かなり複雑であることがわかる場合がある。
【0008】
更に、多層構造体内に電子機器を埋め込むことから生じる高レベルの集積化、及び、例えば関連する材料層の断熱性能は、関連する温度管理を考慮すると、封入された部品が、例えばそれらの対流などの冷却性の低下により容易に過熱する恐れがあるために、懸念を引き起こす可能性がある。
【0009】
なお、あるシナリオでは、多層構造体に関連して利用される電子機器の性質は、例えば発光部品に関しては、上述の発光部品の文脈において例えば光漏れを考慮すると、それらは機能を容易に妨げるか、又は、構造体全体及び/又はその他の埋め込まれた要素の外観を劣化させるようなものであり得る。それに対応して、多層構造体の中に特定の電子機器を含めると、隣接する又は近傍のその他の部品又は材料によって引き起こされる障害により、電子機器が最適な様式又は更に十分な様式で機能するのを妨げる可能性がある。
【0010】
また更に、いくつかの電子部品は、例えば電気機械デバイスに関して、電気を使用して機械的運動を生じさせる又はその逆の可動部を組み込んでいる。したがって、多層構造体内に、例えば固体材料層の中にこのような要素を埋め込むことにより、部品の動作が妨げられる可能性があるのは明らかであり、又は、例えば構造体内に必要な内部キャビティを用意するために面倒な手段を実行して、内部の可動部(1又は複数)の十分な動きを可能にしなければならない。
【0011】
更に、いくつかの用途では、センサなどの部品は、関連する特性を測定する等の環境との相互作用を必要とする、その意図された機能を適切に実行するためには、例えば閉じた構造体内に配置されることは、単にあり得ないことである。
【0012】
結局、いくつかの部品は、非常に複雑なレイアウト、又は一般に広い空間若しくは表面積を必要とする場合があり、多くの使用シナリオ及び文脈においては、材料層の間に挟まれた埋め込み部品としてそれらを含むことは、特に実現可能ではない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、一体型の多層構造体及びそこに埋め込まれる電子機器という文脈において、既存の解決策と関連付けられる上記欠点のうち1又は複数を少なくとも軽減することにある。
【0014】
上記目的は、本発明による多層構造体及び関連する製造方法の様々な実施形態によって達成される。更に、多層構造体及び関連する製造方法に用いるための基板が提示される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、一体型の多層構造体は、
第1側の面及び対向する第2側の面を有する第1基板フィルムであって、電気的に実質的に絶縁性の材料を含み、好ましくは成形可能及び/又は熱可塑性である第1基板フィルムと、
第1基板フィルムの前記第1側の面上に、少なくとも部分的に前記第1側の面を覆うように成形された、熱可塑性又は熱硬化性プラスチック層などのプラスチック層と、
好ましくは少なくとも1つの電子部品、電気機械部品、及び/又は電気光学部品を含み、第1基板フィルムの第2側の面に設けられる回路であって、基板フィルムの第1側の面に機能的に接続される回路と、
を含む。
【0016】
様々な実施形態では、第2(基板)フィルムが、成形プラスチックの反対側の面に設けられてもよい。典型的ではあるが唯一ではない多層構造体の可能な使用シナリオの観点からすると、第1フィルムの第1側の面は、構造体の前面に面するものと見なすことができ、その結果、第1フィルムの第1側の面は、また、構造体やそのホストデバイスのユーザ及び/又は使用環境に面するように構成されている。その上で、所望の第2フィルムは、構造体に含まれる場合に、ユーザ/環境/ホストデバイスの観点から見て、それらにより近い構造体の前面フィルムであると考えることができる。一方で、それに対応して第1フィルムは裏面フィルムであると考えることができる。しかしながら、当業者は、いくつかのその他の実施形態において、「前面」又は「裏面」などの方向性の問題が、同様の役割を果たさない可能性があるという事実(例えば、構造体がホストデバイス/ホスト構造体に完全に埋め込まれている場合)、又は、構造体が、上記のシナリオとは異なる方法で、単に整列される可能性があるという事実を、思い起こすべきであろう。第1フィルム及び第2フィルムは、それらの寸法、材料、形状、ビア、及び/又は、部品若しくは一般にホストされる回路などのその他の機構を考慮して、互いに類似していてもよく、又は互いに異なっていてもよい。
【0017】
同様に、第2フィルムは、例えば、それらの第1側の面及び/又は第2側の面上に設けられるグラフィクス及び/又は電子機器、所望により実装及び/又は印刷される電子部品、及び/又はトレース、導体、接触パッド、マスキング、冷却/熱制御、又は絶縁要素を含む、様々な機構のための基板として(第1フィルムとして)機能してもよい。したがって、第2フィルムは、最初の、すなわち第1の基板フィルムと反対の方向より成形層に面する。第2のフィルムは、第1のフィルムと共に金型内に配置し、すなわちインサートして、プラスチック材料をそれらの間に射出することが可能であってもよい。代わりに、第2のフィルムは、例えば、接着剤、高温、及び/又は圧力に基づく接着を使用して、実現可能な積層技術によって成形層上に積層されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2フィルムは、それらの間に導電性材料を設けることにより、第1フィルムに電気的に接続されている。追加的に又は代替的に、フィルム又はその上にある機構は、関連する電磁場又は電磁束によって、互いに電気的に又は電磁的に無線で接続されていてもよく、例えばユーザの手、指、若しくは(その他の)スタイラスなどの外部要素に対し電気的に又は電磁的に無線で接続されていてもよい。
【0018】
様々な実施形態では、第1基板フィルム及び所望により第2基板フィルムは、木材、革若しくは布地(例えば、木綿、羊毛、絹又は亜麻をベースとした)などの有機材料若しくは生体材料等のいくつかの材料、又は、これらの材料互いの任意の組合せ、及び/又は、これらの材料とプラスチックやポリマー又は金属との任意の組合せを、含んでいてもよいか又はそれらから構成されてもよい。フィルムは、一般に、熱可塑材料又は熱成形材料などのその他の成形可能な材料から構成されていてもよく、又は、少なくともそれを含んでいてもよい。更に、フィルム材料は、少なくとも局所的に電気的に実質的に絶縁性、例えば誘電体でありえる。いくつかのその他の実施形態では、材料は、少なくとも局所的に導電性でもよい。いくつかの実施形態では、第2フィルムは、構造体のより深くで、例えば外部電界の特性を制御(指向、減衰(遮蔽)、強化等)するように、導電性材料(例えば金属)及び/又は絶縁性材料(例えば大部分のプラスチック)で構成されていてもよい。
【0019】
一般に、様々な実施形態では、実際には、成形層の任意の側の面に、互いに類似した又は互いに異なる1又は複数の(基板)フィルム及び/又はその他の材料層があってもよい。それらは、いくつかの電子部品、トレース、接触パッド、遮蔽要素、グラフィクス(例えば、インク若しくは塗料ベースの着色された形状が形成された埋め込み微細構造体、又は、光学的な、例えば屈折性及び/又は回析性の埋め込み微細構造体)、冷却要素若しくは熱電要素、及び/又はその他の機構などの回路を搭載してもよく、又はそれらを含まなくてもよい。様々な実施形態では、例えばIML技術を利用することによって、グラフィクス又はグラフィクス層を構造体内に設けてもよい。IML技術では、グラフィクスが設けられたフィルムを、金型内でインサートとして利用し、続いてグラフィクスが成形プラスチックに面するようにオーバーモールドされ、こうしてグラフィクスがフィルム材料と成形プラスチックとの間に挟まれる。
【0020】
含まれたフィルムの1又は複数が、例えば可視スペクトルにおける所定の波長を考慮して、少なくとも部分的に、すなわち少なくともところどころ、光学的に実質的に不透明又は半透明であってよい。例えば発光部品、及び光捕捉(例えば検知)部品を各々含むことに関連して、波長は、多層構造体の電子機器によって発光又は受光される波長を含んでもよい。フィルム(1又は複数)には、最初に、グラフィクス(例えば符号、記号、表示、アイコン、図表、数字、文字、書込み、図面、幾何学的デザイン、及び/又は模様)、及び/又は一般的にその上若しくはその中の色などの機構であって、視覚的に識別可能な、装飾的/審美的、及び/又は情報価値のある機構が設けられていてもよい。グラフィクス又は一般的な光学的形状などの機構は、例えば、コーティング又は印刷によって、及び/又は、彫刻、穿孔、エンボス加工、若しくは一般に薄肉化などのサブトラクティブ法を介して、付加的に設けられてもよい。実質的に透明であると考えられるフィルム又はその他の要素の透過率は、対象の波長を考慮して、例えば約80%、85%、90%、95%、或いは95%より高くてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、選択された、好ましくは埋め込まれたグラフィクスなどの構造体の機構や、又は例えばそれらの選択された領域若しくは体積は、下層の発光素子によって照明されてもよく、及び/又は、それらは、周囲光若しくはその上に入射するその他の光などの外部光を大幅に反射してもよい。例えば、それらの視認性を高めるために照明を利用してもよい。反射は、拡散反射及び/又は鏡面反射であってよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、他方では、実質的に不透明(例えば、着色された)又は半透明の構造体(フィルム、その他の材料層又は機構)の領域又は体積は、例えば可視光及び/又はその他の波長を考慮して、選択された下層構造を、例えば外部の目視から光学的にマスキングするように構成してもよい。したがって、フィルム又はその他の層は、目標の波長等を考慮して、呈示された色、質感、透過率(不透明、半透明、透明)に関して所望の光学特性を実際に有してもよい。
【0023】
成形プラスチック層の任意の側の面上の複数のフィルム及び/又はその他の層は、ラミネーション(熱、圧力、接着剤等)を介して、及び/又は、例えばリベット、ネジ若しくはボルトなどの機械的固定手段によって、共に取り付けられてもよい。フィルムは、可撓性(可逆的に屈曲する)、又は本質的に非可撓性、又は剛性(塑性変形)であってよい。
【0024】
様々な実施形態では、第1のフィルム及び/又は第2のフィルム(1又は複数)は、構造体において平面形状を示してもよい。しかしながら、関係する形状は、代替的に、少なくとも局所的に本質的に3次元でもよく、以下でより詳細に述べられる熱成形又は冷間成形などの成形によって構築されてもよい。
【0025】
様々な実施形態では、第1のフィルム及び/又は第2のフィルムは、典型的にはフィルムの厚み方向に延在するビアなどの、1又は複数のフィルムを貫通する機構を含んでよい。
【0026】
好ましくは、ビアは、導電性材料が設けられているか、又は導電性材料により本質的に充填されている。導電性材料は、導電性などのそれらの所望の特性を考慮して、例えば、少なくとも過度の破壊を被らずに、ホストフィルムの(熱)成形を耐え抜くように成形可能であることが更に好ましい。ビア(1又は複数)は、同一の又は異なる目的のために、多層構造体の成形層及び/又はその他の材料層に設けられていてもよい。例えば、光学的又は電磁的なビアが、構造体の様々な層に設けられてもよい。
【0027】
様々な実施形態では、トレース、接触パッド、電極及び/又はその他のタイプの導体若しくは一般に導電要素、又は部品、又は一般に回路など、フィルム(1又は複数)上に設けられる選択された機構は、選択された波長、例えば可視光、又は、例えば発光部品若しくは光検出部品を含む動作周波数を考慮すると、少なくとも光学的に不透明、半透明、又は実質的に透明な(透き通った)部分であるか、又はその部分を含んでもよい。
【0028】
様々な実施形態では、例えば印刷された導体、電極、及び/又は、構造体に配置されたその他の任意の導電性要素又は形状には、切り欠きや、一般に不透明材料を含まない内側部分が設けられてもよい。これらは、例えば下層の光源及び/又は導光体からの光を通過させることができる。したがって、視覚的インジケータ(例えば、アイコン)及び/又は制御入力要素(例えば、タッチセンサ)などの異なる機構が、バックライトによって照明されてもよい。例えば、光源及び/又は関連する導光体などの光配向手段が、第1基板フィルムの第2側の面に設けられて、光をそれらの第1側の面に向かって配向してもよい。一方で、導体などの切り欠きが設けられた要素を、第1側の面に設け、それらを通し切り欠き部分を介して光を伝播させることが可能であってもよい。
【0029】
様々な実施形態では、回路は、電子部品、電気光学部品、電気機械部品、放射線放射部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、放射線検出部品、光検出部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、セルなどの光起電力デバイス、センサ、大気センサ、ガスセンサ、温度センサ、湿度センサ、微小機械部品(例えば、当業者によって理解されるように、第1基板フィルムの第2側の面に)、スイッチ、接触スイッチ、近接スイッチ、接触センサ、近接センサ、容量スイッチ、容量センサ、投影容量センサ又はスイッチ、単極電極容量スイッチ又はセンサ、多極容量スイッチ又はセンサ、自己容量センサ、相互容量センサ、誘導センサ、センサ電極、UI要素、ユーザ入力要素、振動要素(例えば、第1基板フィルムの第2側の面に)、通信要素、データ処理要素及びデータ記憶要素からなる群から選択される、少なくとも1つの部品を含む。なお、例えば、回路基板及びそれ自体の部品(1又は複数)を備えた電子サブアセンブリが、構造体の基板(1又は複数)及び/又はその他の層に設けられてもよい。
【0030】
様々な実施形態では、多層構造体は、光導波路や、特に導光体などの少なくとも1つの光透過性要素を含む。光透過性要素は、所望の方法で内部結合された光を伝達して方向付けるように、例えば寸法、材料(例えば、関連する屈折率、透過率)等に関して構成される。導光体は、例えば、内部結合された光を、選択された方向に導くことができ、内部結合された光を、その選択された射出面を介して外部結合するか、又は、内部結合された光を、内部に設けられ、導光体に隣接又は少なくとも光学的に結合される、例えば感光性センサ若しくはその他の光学的な機能要素に到達させる。
【0031】
導光体は、例えば第1基板フィルムの第2側の面に実装又は構築されてもよい。導光体は、事前に用意され、例えば(3D)形成されてもよいし、例えばフィルム上のスペーサ及び/又は障壁として金型内で更に適用されてもよく、LEDなどのその他の素子、又はその他の光源若しくはそれらに関連する回路を、例えば金型によって引き起こされる過剰圧力から保護してもよい。導光体の代わりに又は導光体に加えて、その他の好適な要素を同様のスペーサ又は障壁として使用して、プラスチック層を成形する前、成形する間、及び/又はその後に回路を保護することもできる。例えば、導光体/障壁には、LEDなどの素子を収容するための孔を設けてもよい。孔の中に素子を配置した後、孔の中に残る空間には、更なる保護材料(例えば、好適なプラスチック又は樹脂)を充填してもよい。
【0032】
同様に、様々な実施形態ではまた、第1側の面と例えば第1基板フィルムの関連する第1表面とに、例えば、電子部品、オプトエレクトロニクス部品(例えばLED)、電気機械部品、トレース、接触パッド、電極、導光体、マルチコンポーネントデバイス又は構成、センサ、スイッチなど、例えば、上述した機構の任意の1又は複数が設けられてもよい。
【0033】
様々な実施形態では、構造体は更に第2成形層を含む。第2成形層は、第2側の面に設けられ、場合により第1基板フィルムの関連する第2表面に少なくとも局所的に接している。第2成形層の材料は、反対側の第1側の面の第1成形層と同一であるか又は異なっていてもよい。
【0034】
必要に応じて、マルチショット成形などのマルチマテリアル対応の成形技術を利用して、1つのプロセスでいくつかのプラスチック層を設けることができる。また、この成形技術を、本明細書において提案される多層構造体の選択された成形層(1又は複数)の作製に適用してもよい。
【0035】
一般に、様々な実施形態では、多層構造体に含まれる任意のフィルム上に成形されるプラスチック層(1又は複数)は、ポリマー、有機材料、生体材料などの材料、有機材料又はグラファイトなどの複合材料、並びにそれらの任意の実現可能な組み合わせを含んでいてもよい。材料(1又は複数)は、熱可塑性材料であってもよいか、又は少なくとも熱可塑性材料を含んでもよい。代替的に又は追加的に、成形層(1又は複数)は熱硬化性材料から構成されていてもよく、又は少なくとも熱硬化性材料を含んでもよい。
【0036】
第1側の面、したがって基板フィルムの関連する第1表面は、実際には、関連する表面積を考慮すると、少なくとも部分的に、熱可塑性材料又は熱硬化性材料などのプラスチックによってオーバーモールドされている。使用される成形技術は、実施形態の間で異なっていてもよいが、例えば反応射出成形などの射出成形及び反応成形を含んでもよい。成形プロセスは、必要に応じて上述したマルチマテリアルタイプであってもよく、及び/又はマルチショットタイプとしてでもよい。低圧成形を適用して、下層の電子機器が、例えば過度の圧力によって破損することを防止してもよい。同様の検討事項は、下層の回路を覆って保護するために、少なくとも部分的に低圧成形などの成形の影響下にあった可能性のある、第2側の面及び関連する表面にも一般に当てはまる。所望により、いくつかの成形材料を利用して、1又は複数の成形層、例えば隣接層を構築してもよい。隣接層は、基板の第1側の面及び/又は第2側の面の左右に存在する、及び/又は、その上にある複数の重ね合わせられた層のスタックを形成する。1若しくは複数の部品及び/又はその他の回路は、基板フィルムの任意の側の面に構築される(例えば、印刷される)、実装される、又は他の方法で設けられるが、適用される成形手順によって少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、成形層(1又は複数)を構築するために使用される材料(1又は複数)は、光学的に実質的に不透明、透明、及び/又は半透明の材料を含んでもよい。透明又は半透明の材料を利用して、その他の選択された波長の、例えば可視光又は電磁放射線が、無視できるほどの損失でそれを通過することができるようにしてもよい。所望の波長で実質的な透明性をもたらす十分な透過率は、例えば、実施形態に応じて、約70%、75%、80%、85%、90%、又は95%でもよく、又は95%より高くてもよい。
【0038】
更に、多層構造体の実施形態と、多層構造体を収容するか又は少なくとも機能的に多層構造体と接続する任意選択のホスト型構造体又はデバイスの実施形態と、を含むシステムが設けられていてもよい。
【0039】
所望により、本発明による多層構造体の実施形態に機能的及び/又は物理的に(例えば機械的に)接続される、ホスト型構造体又はデバイスは、電子端末デバイス、ポータブル端末デバイス、携帯情報端末デバイス又はコントローラ、個人用電子デバイス、車両、車、トラック、飛行機、ヘリコプター、車載電子機器、車両ダッシュボード、車両エクステリア、車両インテリア要素、車両インテリアパネル、車両点灯デバイス、測定デバイス、コンピュータデバイス、インテリジェント衣服(例えばシャツ、ジャケット、若しくはズボン、又は、例えば圧縮衣服)、その他の部分のウェアラブル電子機器(例えばリストトップデバイス、帽子又は履物)、マルチメディアデバイス又はプレイヤー、工業用機械、コントローラデバイス、個人用通信デバイス(例えばスマートフォン、ファブレット又はタブレット)、又はその他の電子機器からなる群から選択される、少なくとも1つの要素を含んでもよい。
【0040】
本発明の1つの他の実施形態によれば、多層構造体の製造方法は、
電子機器を収容するための第1基板フィルムを得ることであって、前記第1基板フィルムは、所望により構造体の所定の前側の面に面する第1側の面を有し、前記第1基板フィルムの前記第1側の面は、好ましくは、ユーザ及び/又は構造体の使用環境若しくは構造体のホストデバイスの使用環境、及び対向する第2側の面に面するように構成され、前記第1基板フィルムは、電気的に実質的に絶縁性の材料を含み、前記第1基板フィルムは、好ましくは成形可能及び/又は熱可塑性であること、
所望により実装することによって及び/又はプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、第1基板フィルムの少なくとも前記第2側の面に回路を設けることであって、前記回路は第1基板フィルムの第1側の面に機能的に接続されること、
及び、
第1基板フィルムの第1側の面に、少なくとも部分的にそれを覆うようにプラスチック材料を成形すること、を含む。
【0041】
上記で言及されるように、いくつかの実施形態では、更なる(基板)フィルム及び/又はその他の材料層が構造体内に設けられ、成形手順において、例えばインサートとして使用され、既存層上にラミネートされるか、又は、例えば成形若しくは印刷することによって構造体に直接構築されてもよい。
【0042】
これにより、例えば第2フィルムが、所望により上記で述べたように成形プラスチックの他方の側の面に設けられていてもよい。第2フィルムは、第1基板と共に金型内に置いて、その間にプラスチック材料を注入することによって積層構造体が得られるようにしてもよく、又は、第2フィルムを成形プラスチック層上に直接製造しない場合は、好適なラミネーション技術を使用して後で設けてもよい。また、第2フィルムには、その任意の側の面(例えば、成形プラスチック層に面する)に電子機器、並びに例えばグラフィクス(例えば、IML技術の適用が可能な)が設けられてもよい。更に、それは、保護目的や、及び/又は所望の光透過率、外観(例えば、色)若しくは感触などの、その他の技術特性を有していてもよい。
【0043】
実現可能な成形方法としては、例えば、熱可塑性材料に関連する射出成形、及び特に熱硬化性樹脂に関連する反応射出成形などの反応成形が挙げられる。いくつかのプラスチック材料の場合には、それらはツーショット又は一般にマルチショットの成形方法を使用して成形されてもよい。複数の成形ユニットを有する成形機を利用してもよい。代替的に、複数の機械又は単一の再構成可能な機械を使用して、いくつかの材料を順次供給することができる。
【0044】
適用可能な成形技術及びパラメータを考慮すると、例えば、上述した射出成形及び反応成形は、使用する材料、所望の材料特性、成形機器等に応じて、実際に実現可能な選択肢である。電子機器などの下層の機構への応力を最小限にするために、第1基板の第2側の面並びにその上にある回路をオーバーモールドすることなどの選択された成形操作において、低圧(例えば、約10バール未満)成形を使用してもよい。例えば、強度などの所望の機械的特性の観点から、異なる成形技術を適用して、構造体に異なる材料特性を与えてもよい。
【0045】
様々な実施形態では、1又は複数の基板フィルムが、好ましくはその上の多くの部品、電極、導体、及び/又は接触パッドなどの回路を設けた後に、実質的に平坦な形状ではなく、典型的には少なくとも局所的に3次元(3D)の所望の目標形状を示すように形成され、所望により熱成形されてもよい。成形前にフィルム上にすでに存在している電子機器などの要素の材料、寸法、配置、及びその他の構成は、成形によってそこに誘発される力に対し、破壊されることなく耐えるように選択されるものとする。
【0046】
様々な実施形態では、所望により、スクリーン印刷又はインクジェッティングなどのプリンテッド・エレクトロニクス技術、実装、堆積、ラミネート、及び/又はその他の適用可能な技術(1又は複数)によって、トレース、接触パッド、更なる導電性要素、補助部品などのその他の回路、導光体、及び/又はグラフィクス若しくはグラフィクス層などの、いくつかの機構が多層構造体に設けられてもよい。例えば、部品を接続するために、トレースが基板フィルムに印刷されてもよい。当業者によって理解されるように、例えばトレース及び接触パッドを、その上に部品を作製又は実装する前に設けることは、多くの場合より実用的であり得る。
【0047】
様々な実施形態では、例えばそれらの第1側の面及び第2側の面を共に電気的に接続するために、実際には、例えば関係するフィルムの両側の電子機器を共に関連させるために、いくつかのビアをフィルム(1又は複数)に構築してもよい。
【0048】
一般に、構造体のフィルム(1又は複数)及び/又はその他の層における、ビア又は一般に貫通孔は、成形(又は一般に、孔を有する基板フィルムを直接構築すること)、化学的な穿孔(例えば、エッチングによって)、彫刻、鋸引き、エッチング、切断(例えば、レーザー又は機械式ブレードによる)によって、又は当業者によって理解されるような任意のその他の実現可能な方法を使用して設けられてもよい。ビアは、所望の断面形状、すなわち実質的に円形又は多角形、例えば矩形又は細長い(スリット)形状を有してもよい。
【0049】
ビアは、成形、実装、又は印刷などの選択された充填方法を使用して、導電性材料及び/又は光透過性材料などの選択された材料(1又は複数)を備えていてもよい。材料は、接着剤、エポキシ、金属、導電性インク等を含んでもよい。材料は、例えば曲げ歪に耐えるように成形可能であってもよい。
【0050】
様々な実施形態ではまた、フィルム(1又は複数)及び/又はその他の層には、いくつかの止まり孔又は薄肉部分が、彫刻、成形、穿孔等によって設けられてもよい。そのような孔は、例えば電子部品、導体性又は絶縁性の要素、グラフィクス、又は流体(例えば、液体及び/又は気体)を、構築又は収容するように構成されてもよい。
【0051】
なお、本方法の様々な実施形態ではまた、第1基板フィルムの第2側の面及び関連する第2表面が、少なくとも1つの材料によって少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。例えば、以前に考察した通り、低圧成形を利用して、部品又はその他の回路などの下層の要素を保護してもよい。
【0052】
多層構造体に設けられる電子機器は、本明細書の他の箇所で述べたように、制御、測定、UI、データ処理、記憶等の目的を有してもよい。
【0053】
様々な方法の項目の相互の実行順序は、特定の実施形態ごとに異なっていてもよく、ケース固有に決定されてもよい。例えば、第1基板フィルムの第2側の面は、第1側の面の前、第1側の面の後、又は実質的に同時にオーバーモールドされてもよい。例えば、成形材料は、例えばその中に存在する、又は圧力によって誘起された貫通孔を介して、フィルムの最初の側の面から対向する面まで広がるように射出されてもよい。
【0054】
当業者に理解されるように、多層構造体の様々な実施形態に関して先に提示された検討事項は、変更すべき点を変更して、関連する製造方法の実施形態に柔軟に適用されてもよく、その逆もまた同様である。更に、様々な実施形態及び関連する機構は、一般に本明細書に開示される機構の好ましい組み合わせを考え出すために、当業者によって柔軟に組み合わせられてもよい。
【0055】
なお、上記で述べた多くの態様に関する更なる実施形態では、例えば上述した回路及び/又はその他の機構をホストするための基板フィルムが設けられてもよい。基板フィルムは、熱可塑性材料又は熱硬化性材料などの、成形可能な、所望により熱成形性の熱成形性材料を含むか又は本質的にそれらから構成されてもよい。基板フィルムは、成形可能な、好ましくは導電性材料で充填された少なくとも1つのビア、又はそのような材料の要素を更に含み、フィルムの対向する第1側の面及び第2側の面(したがって、それぞれの表面)を互いに電気的に結合する。
【0056】
フィルム及びビア(1又は複数)は、上記で述べた特性を一般に有してもよい。フィルムは、熱成形手順又は冷間成形手順などの成形の後、実質的に平面でもよく、又は少なくとも局所的に実質的に3次元であってもよい。更に、フィルムは、それらの任意の側の面に、様々な部品、トレース、パッド、電極などの電子機器を搭載してもよい。その際に、ビア(1又は複数)を配置して、電気的に、したがって動作可能に同一のものを相互に接続してもよい。なお、1若しくは複数のビア又は一般に貫通孔は、例えば、更に導電性又は絶縁性であり得る光透過性材料で追加的に又は代替的に充填されていてもよい。ビア(1又は複数)の充填材料は、少なくとも1つのビア及びそれらの関連する充填材を設けた後で、場合によりフィルムに対して行われる成形及び(オーバー)モールドの両方に耐えることが好ましい。
【0057】
更に、上記の基板フィルムの実施形態を製造する方法が提供されてもよい。その製造方法では、ビアは、例えば、成形又は穿孔によって作製され、続いて、印刷又はその他の好適な充填方法を介して、導電性(例えば銀)インクなどの、選択された、好ましくは導電性の材料で充填される。いくつかの実施形態では、ビアの構築及び充填は、組み合わせて単一手順にしてもよい。
【0058】
上記の基板フィルム及び関連する製造方法は、当然、前に述べた多層構造体又は関連する製造方法の実施形態の一部をそれぞれ構築してもよい。しかしながら、フィルム及び関連する方法は、当業者に容易に理解される通り、その他の使用シナリオ及び文脈においても独立して使用されることを見出すことができる。
【0059】
本発明の有用性は、実施形態に応じて複数の論点から生じる。
【0060】
多くの使用シナリオにおいて、基板フィルムの「裏」側の面である第2側の面(対向する第1側、すなわち「前」側の面は、プラスチック材料によってオーバーモールドされ、ユーザ/構造体の使用環境に面する)に、電子部品と、関連するトレース、パッド、電極又は光学部品などの可能なその他の機構とを導入することによって、部品の温度管理についての様々な懸念を大いに軽減することができる。実際には、例えば、多くの場合かなりの熱負荷に関連付けられる高電力及び類似の用途では、過熱のリスクを低減することができる。更に、機構の精巧な熱制御のための選択肢が改善される。
【0061】
加えて、基板フィルムの第2側の面は、また、(内)外側の表面を画定し、又は少なくとも多層構造体の表面に近い可能性があるので、基板フィルムの第2側の面に部品を配置することにより、ホストデバイス又はホスト構造体などの外部要素への接続を構築することがより簡単となり得る。また、部品とトレースなどの接続要素のための支持面とが構造体外部により近く、それらのアクセス可能性が向上する場合には、第2側の面の部品間の接続は、相互に実装することがより容易であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、基板フィルムの第1側の面に配置され、場合によりプラスチックに埋め込まれた場合に、例えば電気的ノイズ、又は近傍の部品若しくは層に対する光漏れなどの光学的障害に関連して、他の部品の機能又は一般に多層構造体の機能を妨げる可能性がある部品を、第2側の面に配置することによって、その部品の有害な影響を回避、又は少なくとも低減することができる。基板フィルムは、例えばそのような場合に、追加の遮蔽層又は障壁層として機能することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、様々な検知電子機器などの感応性部品は、基板の第1側の面のその他の部品にあまりにも近づいて配置された場合には、正しく作動しないことがあるが、第2側の面に配置される場合は、完璧に機能することができる。同様に、大気センサなどの特定の電子機器は、測定対象の空気などの周囲媒質に対し直接暴露することを必要とする場合がある。その際、それらは基板の第1側の面のプラスチックに埋め込まれるべきではなく、その代わりに測定を妨害する層に覆われることなく第2側の面に設けられなければならない。
【0064】
いくつかの実施形態では、例えば、第1側の面上のオーバーモールドされたプラスチック又はその他の密接に隣接した層の影響を制限することによって、可動部品又は可動部(1又は複数)を組み込んだ部品を、基板フィルムの第2側の面に配置して、それらが適切に機能するのを妨げることを回避してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、特に複雑なレイアウト、又は一般に広い空間若しくは表面積を必要とする部品は、基板フィルムの外側、したがって場合によっては多層構造体全体の外側、すなわち第2側の面及び関連する表面に配置することがより実際的である。
【0066】
オーバーモールドを適用する提案された製造方法は、採用することが比較的簡単であり、更に有益であると考えられることは、例えばプリンテッド・エレクトロニクス及びインモールド・エレクトロニクスに依拠する場合、完全に新規であるか又は特に複雑な製造技術を開発する必要がないということである。電子機器、ビア、及び例えば導体をその上に設けた後、基板フィルムがまだ実質的に平坦であった間に、フィルム(1又は複数)を所望の3D形状に(熱)成形することにより、基板上の電子機器の煩わしい3Dアセンブリ及びその他の3D集約的処理の必要性を、更に減じるか又は取り除くことができる。
【0067】
一般に、得られた多層構造体は、インテリジェント衣服(例えばシャツ、ジャケット若しくはズボン、又は例えば圧縮衣服)、その他の部分のウェアラブル電子機器(例えばリストトップデバイス、帽子又は履物)、車両エクステリア若しくは車両インテリア(例えば車載電子機器)などの車両、個人用通信デバイス(例えばスマートフォン、ファブレット又はタブレット)、又は本明細書において記載されるその他の電子機器などの、所望のデバイス、又は例えばホストデバイス若しくはホスト構造体のモジュールを構築するために使用されてもよい。得られた構造体の集積レベルは高く、それらの厚さなどの所望の寸法が小さくてもよい。
【0068】
使用されるフィルム(1又は複数)は、グラフィクス及びその他の視覚的及び/又は触覚的に検知可能な機構を、その上に搭載するように構成されてもよい。その際、フィルムは、電子機器をホストし保護することに加えて、審美的及び/又は情報価値のある効果を有していてもよい。フィルム(1又は複数)は、少なくともところどころで半透明又は不透明でもよい。フィルム(1又は複数)は、所望の色を示してもよい。
【0069】
得られた多層構造体は、したがって、所望によりテキスト、画像、記号、パターンなどのグラフィクスを決定する、1又は複数の色/着色層を一般に組み込んでもよい。これらの層は、例えば、特定の色(1又は複数)の専用のフィルムによって実装されてもよく、又は既存のフィルム(1又は複数)、成形層(1又は複数)、及び/又はその他の表面上のコーティング(例えば、印刷による)として設けられてもよい。
【0070】
フィルム(1又は複数)及び/又は成形層は、関連するホストデバイス又はその他の結合された構造体の、外側及び/又は内側表面の少なくとも一部を構築するように構成されてもよい。
【0071】
パターン又は着色などの視覚的機構は、これらの機構が少なくともフィルムの厚さによって分離され、したがって環境的影響から保護された状態を維持するように、例えば、成形プラスチックに面する第1フィルム及び/又は可能な第2フィルムの面上に、内部層を介して設けられてもよい。したがって、例えば塗布された表面機構に容易に損傷を与える恐れのある種々の衝撃、摩擦、化学物質等は、通常それらに到達することはない。
【0072】
フィルム(1又は複数)は、成形材料などの下層の機構を露出させるために、及び/又は、例えば電気的に若しくは光学的に導電性のビアを構築するために、孔又は切り込みなどの必要とされる特徴を備える所望の形状に、容易に製造又は加工され、所望により切断することができる。
【0073】
成形プラスチック材料(1又は複数)は、成形プロセスの観点から、電子機器を固定することを含む様々な目的のために最適化されてもよい。更に、材料は、電子機器を、例えば、湿気、熱、寒さ、ほこり、衝撃等などの環境条件から保護するように構成されてもよい。材料は、例えば光透過率及び/又は弾性の観点から、所望の特性を更に有してもよい。埋め込まれた電子機器が、光又はその他の放射線を放射又は受光する部品を含む場合、材料は、例えばそれを通して光透過を可能にするための、十分な透過率を有してもよい。成形された材料は、最初にいくつかの色を呈示していてもよく、又は、その後、例えばインク、塗料、若しくはフィルムコーティングにより着色されてもよい。
【0074】
表現「いくつかの(a number of)」は、本明細書では、1から始まる任意の正の整数を意味し得る。
【0075】
表現「複数の」は、2から始まる任意の正の整数をそれぞれ意味し得る。
【0076】
用語「第1」及び「第2」は、本明細書において1つの要素とその他の要素を区別するために用いられるものであり、他に明確に言及されない限り、特にそれらに優先順位をつけたり、又は順序をつけるものではない。
【0077】
本発明の異なる実施形態は、添付される従属請求項において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
次に、添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
図1】本発明による多層構造体、及び可能な関連する使用環境の一実施形態を示す。
図2】別の多層構造体の実施形態を示す。
図3】更なる多層構造体の実施形態を示す。
図4】更に別の多層構造体の実施形態を示す。
図5】更に別の多層構造体の実施形態を示す。
図6】更なる多層構造体の実施形態を示す。
図7】更なる多層構造体の実施形態を示す。
図8】本発明による方法の実施形態を開示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、100における多層構造体の一つの単に例示にすぎない実現化によって、本発明の様々な実施形態の多くの一般概念を側断面図によって例示するものである。項目101は、構造体100の可能な使用環境(屋外、室内、車内等)及び人間のユーザ(もし居れば)を意味し、環境内に位置する一方で、破線の外郭線によって示される項目110は、ホストデバイス又はホスト構造体110を意味する。
【0080】
完成した多層構造体100は、それ自体の最終製品、例えば電子デバイスを実際に構築してもよく、又は集積された部品若しくはモジュールとしてホストデバイスに配置されてもよい。項目100は、図示されていない、いくつかの更なる要素又は層を当然含んでもよい。
【0081】
構造体100は、その第2側の面102Bにいくつかの電子部品104を収容する、少なくとも1つの基板フィルム102を含む(したがって、第2側の面102Bは、第1側の面又は「前」側の面102Aが目的の使用環境及びユーザ101に面するものと見なし得る場合に、すべてではないが多くの実現可能な使用事例において裏面外側であると見なされる)。したがって、図示されるように、第2側の面102Aは、可能なホストデバイス又はホスト構造体110に面してもよく、場合によりそれと一体化されてもよく、若しくは少なくとも部分的に埋め込まれていてもよい。または、第2側の面102Aは、例えば環境に面しているにも拘わらず、第1側の面102Aとは実質的に反対の方向を向いていてもよい。例えば、いくつかの部品104などの回路は、所望によりスクリーン印刷、タンポ印刷、フレキソ印刷又はインクジェットなどのプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、基板102に印刷されるなど、直接製造されていてもよい。
【0082】
第2側の面102B上に設けられる部品104は、ユーザの操作(例えば接触又は近接/非接触入力)、或いは例えば照明条件、或いはその他の光学的若しくは電気的/電磁的特性などの、環境101のイベント若しくは特性を検出するように、または、各々が環境101に例えば光若しくはその他の形態の放射線を放射するように構成することができるので、部品104は、好ましくは第1側の面102Aに、多くの場合は環境101に至るまで、機能的に又は「動作可能に」接続される。更に、フィルム102の両側及び関連する表面上の部品104は、シグナリング(通信)又は電力伝達などの様々な理由のために、例えば光学的に又は電気的に互いに接続されてもよい。本明細書で言及される機能的接続(例えば電気的、光学的、及び/又は電磁的)は、直接的又は間接的であってもよく、すなわち中間部品又は中間要素を備えていなくても、又は備えていてもよい。
【0083】
回路は、例えば部品104に及び/又は部品104間に電気接続を提供するために、所望によりプリンテッド・エレクトロニクス技術によって設けられる導電性接触パッド又はトレース(導体)などのいくつかの更なる要素106を、第2側の面102Bに含んでいてもよい。要素106の少なくとも一部は、フィルム表面と関連部品(1又は複数)104との間に少なくとも局所的に配置されてもよい。例えば、本明細書における「接触パッド」は、任意の導電素子若しくは導電パッチ、又は基板フィルム上の電気結合の点若しくは領域を意味し得る。接触パッド並びにその他の導体又はトレースは、銀、アルミニウム、又は例えば炭素若しくはその他の導電性粒子を含む導電性エラストマー、又はパッドがその上に若しくはその内部に存在する表面の視覚的品質を所望により向上することができる他の同様の材料などの、導電性材料(1又は複数)を含んでもよく、又は導電性材料(1又は複数)で作られていてもよい。接触パッドの形状は、任意の好適な幾何学的形状であってよい。
【0084】
印刷されたバージョンに加えて又は印刷されたバージョンの代わりに、部品104は、いわゆる表面実装素子などの、基板102に(表面)実装された既製部品を含んでもよい。例えば、接着剤を利用して、電子機器を基板上に機械的に固定してもよい。導体トレース106等の様々な要素と部品104との間に電気的で且つ機械的な接続を構築するために、導電性接着剤及び/又は半田などの追加の導電性材料(1又は複数)が適用されてもよい。
【0085】
これにより、上記で考察されるように、部品104は、受動部品、能動部品、IC(集積回路)、スクリーン印刷などの印刷された部品及び/又は電子サブアセンブリを含んでもよい。例えば、1又は複数の部品を、最初に、例えばFPC(フレキシブルプリント回路)や、例えばリジットな、例えばFR4タイプの(難燃性の)ボード等の回路基板などの個別の基板に設けて、その後、全体として(すなわちサブアセンブリとして)目標の基板102に取り付けてもよい。
【0086】
前述のように、構造体100、具体的には、例えば構造体100と一体化された電子機器104、106は、可能な機械的固定の代わりに又は機械的固定に加えて、ホストデバイス又はホスト構造体110などの外部要素に、無線で(例えば光学、超音波、高周波、容量又は誘導結合等によって)及び/又は有線で動作可能に接続されてもよい。後者の場合、電気的又は光学的な配線、コネクタ、ケーブル等、好適な接続要素105を利用してもよい。例えば、フィルム102の第2側の面102Bに、外部接続(1又は複数)を都合よく実装してもよい。
【0087】
様々な実施形態では、接続要素105は、所望によりフレックス又はリジット(例えばFR4)タイプのプリント回路基板などの回路基板を含んでよい。様々な実施形態では、接続要素105は、トランジスタ又は集積回路(IC)などの少なくとも1つの電子部品、例えば、演算増幅器を含んでもよい(当然、個別部品から組み立てることもできる)。
【0088】
したがって、接続要素105は、例えば、典型的にはかなり薄く且つ可撓性のあるフィルムタイプの基板上に実装又は作製するのがより難しい部品、又は実質的に不可能な部品を収容するように構成されてもよい。接続要素105は、例えば接着剤、ペースト、導電性接着剤、機械的固定手段等を用いて基板フィルム102に固定されてもよい。例えば、基板フィルム102上の実際の回路設計と接続要素105と間の電気接続は、例えば、半田、導電性接着剤若しくは導電性ペースト、配線、接触領域/接触パッド、ピン、フレックスケーブル、及び/又は、導電率を考慮した異方性材料の要素、所望によりACF(異方性導電フィルム)などの、同一又は専用の機構によって実装されてもよい。
【0089】
好ましくは少なくとも部分的に電子的又は電気的な性質を有する部品104に戻ると、部品104は、その他の選択肢の中でも、オプトエレクトロニクス部品、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、シグナルプロセッサ、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、センサ、スイッチ、接触スイッチ、近接スイッチ、プログラマブルロジックチップ、メモリ、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、容量スイッチ、電極エレメント、メモリアレイ、メモリチップ、データインターフェース、トランシーバ、無線トランシーバ、送信器、受信器、無線送信器、及び無線受信器からなる群から選択される少なくとも1つの電子素子を含んでもよい。
【0090】
なお、構造体100によってホストされる部品104は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品を含んでいてもよい。少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品は、例えば、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)又はいくつかのその他の発光部品を含んでもよい。発光部品は、側面発光(「側面発射(side shooting)」又は「側面発射(side-firing)」)、底面発光、又は上面発光であってよい。代替的に又は追加的に、部品104は、フォトダイオード、フォトレジスタ、その他の光検出器、又は例えば光電池などの、受光部品又は感光性部品を含んでもよい。OLEDなどのオプトエレクトロニクス部品は、基板フィルム102に実装される代わりに、好ましいプリンテッド・エレクトロニクス技術の方法を使用して、基板フィルム102に印刷されていてもよい。実際に、例えば、埋め込みIC、専用部品、共用IC/電子機器(多目的な電子機器)、及び/又はその他の回路によって、異なるセンシング機能及び/又はその他の機能が実装されてもよい。基板フィルム102及び基板フィルム102上の電子機器104、106が、所望の回路設計を構築するように構成されてもよい。
【0091】
成形プラスチック層112は、少なくともフィルム102の第1側の面102Aに設けられる。第1側の面102A及びフィルム102の関連する表面に設けられる、更なる部品104及びその他の機構(導光体、グラフィック機構、トレース、接触パッド等)があってよい。したがって、第1側の面102A上の部品104、その他の回路及び/又は更なる機構が、成形材料104に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、以下にも述べられるが、フィルム102の第2側の面102Bもまた、所望により1若しくは複数の部品104及び/又はその他の機構106(例えばトレース、接触パッド、電極、ヒートシンク又はその他の冷却要素/熱電要素)を、少なくとも部分的に成形材料に埋め込むように、少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。使用される成形技術及びパラメータは、両側の面102A、102B間で異なっていてもよい。部品104に圧力又は熱損傷を引き起こすことを回避するために、例えば、低圧成形(例えば、好ましくは約15バール未満の圧力、より好ましくは約10バール未満)を利用して、それらを埋め込んでもよい。所望によりまた、高圧成形をその後に適用して、積層構造体100に更なる層を導入してもよい。
【0092】
第1フィルム102と同一又は異なる材料(1又は複数)を有する任意の第2フィルム103が、同様に多層積層体内に存在してもよい。また、フィルム103は、第2側の面(図示される)及び/又は第1側の面(外側、場合により環境101に直接面し、接している面)並びにそれらの表面上に、有益であると考えられる電子機器104、グラフィクス及び/又はその他の機構を収容してもよい。
【0093】
グラフィクス又は着色フィルム若しくは着色層、コーティングなどの更なるフィルム及び/又はその他の材料層108は、例えば審美性、保護/絶縁、電気及び/又はその他の目的のために、任意のフィルム102、103のいずれかの側の面に所望により設けられてもよい。
【0094】
材料選択を考慮すると、フィルム(1又は複数)102、103は、ポリマー、熱可塑性材料、コポリエステル、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、メチルメタクリレートとスチレンとのコポリマー(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、炭素繊維、有機材料、生体材料、革、木材、織物、布地及び金属からなる群から選択される少なくとも1つの材料から実質的に構成されていてもよく、又は、選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。また、本発明に関連して、例えば基板フィルム102、103及び/又は構造体のその他の要素に、(例えば成形材料として)コポリエステル樹脂材料(例えば、Durastar(登録商標))を利用してもよい。使用される材料(1又は複数)は、少なくとも局所的に導電性であってもよく、又はより典型的には絶縁性であってもよい。更に、光学特性は、不透明度/透明度、透過率等を考慮して、実施形態に応じて変えてもよい。
【0095】
様々な実施形態では、フィルム(1又は複数)102、103は、可撓性であってよく、したがって、例えば、構造体100を製造する間に破損することなく屈曲するなど、多様に扱うことができる。更に、それらの材料は、例えば、熱成形手順又は冷間成形手順に応じて新しい形状をとり、それを保持するように選択されてもよい。
【0096】
フィルム(1又は複数)102、103は、各使用シナリオによって設定される要件に従って成形されてもよい。それら102、103は、例えば矩形、円形、又は正方形の、一般的形状を示してもよい。それら102、103は、実質的に無孔であってもよい。また、それら102、103は、他の要素への取り付け、電気と例えば関連する電力又はその他の信号の伝導、電子機器又はその他の部品の取り付け、光又はその他の放射線、流体等のための通路の提供などの様々な目的のために、所望によりその他の材料(1又は複数)によって充填される、凹部、切り込み、ビア、切れ目又は開口部を含んでもよい。
【0097】
1又は複数の層112は、フィルム102の任意の側の面に、しかし、好ましくは少なくとも第1側の面102A上に、好ましくはオーバーモールド手順により(技術的観点から、例えば射出成形を用いて)設けられる。1又は複数の層112は、その他の選択肢の中で、一般にエラストマー樹脂を組み込んでもよい。より詳細には、層(1又は複数)112は、PC、PMMA、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、コポリエステル、コポリエステル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫物)、及びMS樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、1又は複数の熱可塑性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、代替的に又は追加的に、熱硬化性材料が、反応成形などの好適な成形法と共に利用されてもよい。
【0098】
フィルム層(1又は複数)102、103並びにプラスチック層(1又は複数)112、又は可能な更なる層108(塗料、インク、接着剤、フィルム(1又は複数)等)は、外部から知覚可能とすることができる所望の色又はグラフィックパターンを示すように構成されてよい。例えば、IML(インモールドラベリング)手順を利用して、埋め込まれたグラフィクスを構造体100に配置してもよい。
【0099】
図2は、200において、本発明による多層構造体の別の実施形態を例示している。本実施形態では、関連する照明されたアイコン若しくはその他のグラフィクスと共に、即ち、一般に視覚案内手段と共に、例えば接触又は近接スイッチ(センサ)機能を実装することができる。
【0100】
フィルム102の第2側の面には、LED204などの少なくとも1つの発光部品(光源)を含むいくつかの部品104を含む回路設計が設けられており、発光部品はそれらの接触/支持面並びに接触パッド及び/又はトレース106等の更なる要素を考慮して、例えば側面発射であってよい。必要な数の検知電極205及び例えば制御電子機器を備える相互容量センサ若しくは自己容量センサ又は検知スイッチなどの検知電子機器を、実装又は製造される電子部品104に追加的に含んでもよい。
【0101】
本実施例では、フィルム102の第1側の面は、本質的に電子機器を備えないままでもよいが、部品204によって照明され、例えばそれに応じて層108(の材料)の着色、コーティング、切断、薄肉化、及び/又は成形によって構築されるグラフィクス層108であって、例えばアイコン108A又はその他の視覚的、装飾的及び/若しくは情報価値のある機構を備えたグラフィクス層108を含んでもよい。機構108Aは、使用される材料(1又は複数)を考慮して、実質的に透明若しくは半透明など、少なくとも局所的に光透過性であってよく、及び/又は、例えば光が通過できるようにするための切欠きを含んでもよい。機構108Aは、例えば、特徴的なアイコン及び/又はテキストによって、スイッチ205と関連する制御入力の内容を視覚的に示してもよい。いくつかの実施形態では、層108は、例えば透明又は不透明(マスキング)の材料を含んでいてもよく、例えばその場合、機構108Aが、少なくとも部分的に、半透明/不透明材料または透明/半透明材料によって、それぞれ実装されていてもよい。いくつかの実施形態では、層108は、機構108Aだけに材料を含む。
【0102】
図2で明確に示されるシナリオとは対照的に、当業者であれば、多層構造体のいくつかの代替的又は補足的な実施形態において、フィルム102の第2側の面102Bに設けられた少なくとも1つの光源204と、それらの光路内の所望の光配向要素又は光伝搬要素(1又は複数)とは、光源204によって放射される光が、フィルム102に向かって又はフィルム102を介してではなく、フィルム102から実質的に離れて少なくとも部分的に方向付けられるように構成され得るということを理解するであろう。
【0103】
機構104、106のいずれかにおいて、例えば光学的に透き通った(実質的に透明又は少なくとも半透明の)導体を利用して、部品204によって放射される光が、フィルムの反対側のスイッチ領域及び印刷されたグラフィクスを通して照明することを許容してもよい。スイッチ(1又は複数)104の電極(1又は複数)205は、同様に十分に透明又は半透明であってよい。代替的に又は追加的に、例えば光を通過させるための切り欠き(1又は複数)を有する自己容量スイッチなどの本質的に固体のスイッチを使用することもできる。
【0104】
導光体220又はその他の光伝搬部材若しくは光配向部材などの更なる光学デバイスが、基板フィルム102の裏側に、例えばラミネート又は熱かしめされるなどで設けられてもよい。導光体220は、例えばインモールド成形された電子的及び一般的構造体200の輪郭に続くように、独自に形成されてもよい。導光体220は、部品204によって放射される内部結合された光を、その内部に伝播させるように構成されてもよい。また、導光体220は、選択された表面を通して、ユーザ及び使用環境と関連する光路内で照明される例えばグラフィカルアイコン又はその他の機構108Aとに向かって光を取り出すように構成されてもよい。例えば、導光体220は、最初に固体シートとして形成されてもよく、次に、これに対してダイカット又は打ち抜きなどの処理を行い、LEDなどの光源を配置するための孔を許容してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、導光体220は、光源204を少なくとも部分的に取り囲むか、光源204に隣接してもよい。
【0105】
したがって、発光部品204を所望の通りフィルム102に配置して、例えば、使用環境からその可視性を低減させてもよく(例えば204は、層108によって設けられたマスキング材料の後ろに配置してもよい)、及び/又は、構造体200の中からユーザに到達する直接光及び散乱光の双方から容易に発生する、知覚可能なホットスポットを低減させてもよい。項目204Aは、導光体220によって放射される散乱光を意味する。散乱光は、成形層204A内を伝播し、最終的にユーザのいる使用環境へと出力される。接触又は近接を検知する電子機器205、アイコン108A及び照明構成204、220、204Aは、使用環境におけるユーザ入力を記録するために、接触領域又は一般には挙動領域230の位置を少なくとも大まかに示すように相互に構成されてもよい。
【0106】
本実施形態では、ホストデバイスの電子機器などの外部要素への電気接続などの接続が、構造体200の裏側、例えば右側に示されるフィルム102の第2の(裏)側を介して、所望により排他的に提供されていてもよい。接続には、例えば接続テール(例えばフレックスケーブル又はフィルム)、リジットコネクタ、及び/又は単に導体パッドが含まれてもよい。
【0107】
単一フィルムの概念は、製造のための低コストの選択肢を意味する。加えて、フィルム102の第1側の面上の、したがって場合により構造体全体又は部分の前面にある成形プラスチック112は、例えば表面の水又は湿気に対する感受性が問題になる可能性がある用途を提供する。
【0108】
図3は、300において、多層構造体の更なる実施形態を例示するものであり、これは、一般に図1の構造体にかなり類似している。しかし、第2側の面の光源204によって放射される光を通すために実質的に透き通った(透明又は少なくとも半透明の)電極305、並びに、例えば導体トレース及び/又はパッド106Aなどの、例えば上述したスイッチのための回路が、基板フィルム102の第1側の面にある。機構(1又は複数)106A、305のいずれかに、不透明な導体材料と、光を通過させることができるいくつかの切り欠き領域又は体積とを、代替的に又は追加的に設けてもよい。例えば、印刷された又は固体の光学的に実質的に不透明ないくつかの導体/電極領域は、例えば照明されたインジケータタイプのアイコンのために好ましい形状を画定するような切欠きを組み込むことができる。フィルム102の両側の電子機器に対して電気接続を確立することができる。電気接続は、例えば構造体の縁部及び関連する配線を介して、両側の面に対して別々に確立することができる。本解決法によって、フィルム102の第1側の面上のスイッチ回路及び/又はその他の電子機器は、フィルム102を電気絶縁体としても利用することで、例えば第2側の面のLED又はその他の発光電子機器から絶縁され得る。
【0109】
図4は、400において、多層構造体の更に他の実施形態を例示している。これもまた、前記した構造体とやや異なるだけである。1つの違いとしては、フィルム102の両側の電子機器間の電気接続が、いくつかの導電性ビア406、すなわち、例えば導電性インクなどの導電性材料が充填されたフィルム102の(予め切断された又は構築された)貫通孔によって構築されているということである。いくつかの実施形態では、例えば銀などの導電性金属を既存の貫通孔に印刷して、それらを導電性ビア406にすることができる。代替的に、例えばフレキシブル導体又はフレックスケーブルを、適用可能なスリット又は一般には貫通孔を介して、フィルム102に挿通することができる。
【0110】
したがって、外部要素への電気接続を含むいくつかの実施形態では、それらとフィルム102の両側を別途接続するのとは対照的に、前述の実施形態に関連して説明したように、フィルム102の第2側の面をホストデバイスなどの外部要素に直接接続することだけが必要とされ得る。フィルム102の第1側の面と外部要素との間の接続は、中間ビア(1又は複数)及び第2側の面の接続要素(1又は複数)によって構築されてもよい。
【0111】
更に、いくつかの実施形態では、いくつかの誘電体/絶縁層、又は封止層を利用して、安定的な貫通孔設計を確実にすることができ、成形性の向上をも可能にする。
【0112】
図5は、500において、多層構造体の更なる実施形態を例示している。それは概して、前記した構造体を想起させるものであるが、成形層112の前に、すなわち第1フィルム102に対して反対側に配置される追加の第2フィルム103上に、例えばグラフィクスを搭載している。これにより、設計には、その間に成形プラスチック層112が配置される、少なくとも2つのフィルム102、103が含まれる。一般に、図2の説明に関連してすでに説明した通り、成形プラスチック層112の反対側の第1フィルム102の第1側の面に面する第2フィルム103は、アイコン又はその他の視覚的機構508Aを組み込んだグラフィクス層508を収容するか又はグラフィクス層508に隣接している。本実施形態によれば、機構508Aの残りの構造のヘイズ及びシャドーイングの影響を低減したことに起因して、例えば画像性能の向上を生じさせる。グラフィクス層508及び関連する機構508Aは、フィルム103の第2側の面(図示されている)に配置されてもよく、及び/又は、使用環境(図示されていない)に直接面する第1側の面に配置されてもよい。
【0113】
2つのフィルム102、103は、互いに同一若しくは異なる材料を含むか、又は同一若しくは異なる材料から構成されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、裏面の第1フィルム102はプラスチック材料でできていてもよいが、一方で、前面の第2フィルム103は、例えば金属、織物/布地、又は木若しくは革などの有機材料/生体材料を含み得る。一般に、第2フィルム103の材料は、上述の技術的特性に加え、審美性又は触感などの触覚特性に基づいて選択することができ、非常に多くの実施形態では、ユーザによく見え、及び/又は触れることができる。
【0114】
図6は、600において、わずかに変更された多層構造体の更なる実施形態を例示している。スイッチ電極305は、第1基板フィルム102の第1側の面に配置されている。図4の説明に関連して検討されたように、いくつかの導電性ビアをここでもまた適用することができる。項目606は、フィルム102の第2側の面の機構を指し、射出(成形)、又は例えば取り付けのために、フィルム102を通って第1側の面に延在する。いくつかの実施形態では、項目606は、成形材料112自体からフィルム102へと形成される延長部又は突出部を意味し得る。したがって、項目606は、固体材料で充填された貫通孔を組み込んでもよい。
【0115】
図7は、700において、更なる「直接光」又は「直接照明」を含む多層構造体の実施形態を例示している。特に、例えば、上面発光LED704などの発光電子部品がフィルム102の第1側の面に設けられているが、電極205などの少なくともいくつかのスイッチ回路は、第2側の面に設けられている。更に、グラフィクス層508は、多層構造体700の前側部分の第2フィルム103上に設けられている。項目705は、例えば、部品704によって放射される光を考慮して、概して実質的に不透明であり得る層508内にある、アイコン又はその他の視覚的/光学的機構、例えば開口部、又は実質的に透明若しくは半透明の部分を意味し得る。ここでは、前述の実施例とは対照的に、成形層112などの中間要素を介して、光704Aが光源704から環境へと直接放射される。フィルム102の第1側の面及び第2側の面は、外部要素(1又は複数)に別々に電気的に接続されてもよく、及び/又は、同様に、フィルム102を通る導電性ビア(1又は複数)を利用して、両側の面を共に電気的に接続してもよい。
【0116】
当業者であれば、上記の単に例示にすぎない本発明の実施形態を、選択された機構に関して柔軟にかつ容易に組み合わせて、更なる実施形態を考え出してもよいという事実がすぐに理解するであろう。例えば、本明細書の他の箇所で述べたように、フィルム102の第2側の面上に設けられる、例えば成形層(1又は複数)に関連して、上記の又は組み合わせた実施形態に、更なる機構を導入してもよい。
【0117】
図8は、本発明による多層構造体の製造方法の実施形態を開示するフロー図800を示している。
【0118】
多層構造体の製造方法の最初に、開始段階802を実行することができる。開始802の間に、材料、部品、機器及び用具の選択、取得、校正などの必要なタスク、並びにその他の設定を行うことができる。設計、部品及び材料選択が協働し、選択された製造プロセスに耐えることに、特別な注意を払う必要がある。これは、製造プロセスの仕様書や例えば部品データシートに基づいて、又は、例えば多くの作製された試作品を調査し、試験することによって、事前に確認されることが当然好ましい。したがって、その中でも、成形/IML、ラミネーション、ボンディング、(熱)成形、電子機器アセンブリ、切断、穿孔及び/又は印刷機器などの使用される機器は、すでにこの段階で又はその後で、稼働状態まで立ち上げられてもよい。
【0119】
804では、電子機器を収容するための少なくとも1つの基板フィルムが得られる。上記で考察されるように、いくつかの実施形態では1つの基板フィルムだけが必要とされる。一方で、いくつかの他の実施形態では、場合により異なる材料の複数の基板フィルムが多層構造体に含まれる。最終的に必要とされるすべてのフィルムに、必ずしも回路が搭載されるわけではない。基板材料として使用するために、既製の要素、例えばプラスチックフィルムのロール又はシートを入手してもよい。いくつかの実施形態では、基板フィルム自体は、所望の出発材料(1又は複数)から、成形又はその他の方法によって、インハウスで最初に作製してもよい。基板フィルムは、実質的に均一であり得るし、本質的に1つの材料層のみを含んでいてもよい。又は代替的に、基板フィルムは、関連する積層体を形成するために一緒に積層される、異なる材料の複数の層を含んでいてもよい。最初は、基板フィルムは本質的に平坦(基本的に2次元であり、長さ及び幅と比較して、かなり小さい厚みを意味する)であってよい。
【0120】
806では、電子部品を電気的に結合するための導体トレース、電極、及び/又は接触パッドなどのいくつかの導体を、すでに上記で確認した様々な実現可能な多層構造体に関連して、好ましくはプリンテッド・エレクトロニクス技術の1又は複数の技術によって、フィルム(1又は複数)上に選択的に設けることができる。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はオフセットリソグラフ印刷を利用してもよい。また、例えば、フィルム(1又は複数)上にグラフィクス、視覚インジケータ等を印刷することを含む、フィルム(多数又は複数)を加工する更なる処理は、ここで行うことができる。いくつかの実施形態では、グラフィクス層又はマスキング層は、基板上に印刷することに加えて又はその代わりに、別個のグラフィクス/不透明フィルム又はシートを、関係する基板上に積層することによって設けてもよい。
【0121】
801では、基板フィルムを通して電気接続を提供する方法が一般的に示されている。
このことは、関連する電子機器を結合するために、フィルムの第1側の面及び第2側の面を互いに電気的に接続する必要がある実施形態に関係し、及び/又は、両側の電子機器を外部要素(例えば電源、プロセッサ又は通信要素)に接続する必要があり、第1側の面が第2側の面に更に電気的に結合される場合に、それが第2側の面を介してのみ行うことができる実施形態に関係する。
【0122】
最初に、818では、例えば、穿孔又は切断によって、例えば多角形、円形、細長い(スリット状の)断面形状を有する貫通孔を、フィルムに設けることができる。いくつかのその他の実施形態では、フィルムは、その中に貫通孔を直接含むように成形又は他の方法で製造されてもよい。820では、貫通孔は、例えばプリンテッド・エレクトロニクス技術を利用して、銀インクなどの導電性材料によって充填される。代替的に、ロッド、ワイヤ、又は(フレックス)ケーブルなどの導電性要素を、孔に挿入してもよい。後続する成形の間にプラスチック材料が孔を介して不必要に浸透することを回避するために、充填材料又は充填要素が孔の寸法と正確に一致することを確実にするように注意を払うことが好ましい。822では、構築された導電性ビア(1又は複数)を後処理し、保護バリア層などのいくつかの更なる材料層を設けることができる。導電性ビアの代わりに又は導電性ビアに加えて、光学的又はその他の機能的な接続を、例えば基板フィルムを貫通する孔内に光ファイバを配置することによって、同様にして構築してもよい。
【0123】
808では、いくつかの電子部品が、実装及び/又は印刷によってフィルム(1又は複数)上に設けられる。好ましくは、使用時に少なくとも裏面に存在し、これによりユーザ/使用環境とフィルム自身との間の前面に成形層を有することになるフィルムは、少なくとも第2側の面、すなわちその裏側の面に、例えばLED又はスイッチ回路と共に設けられる。一方で、フィルムの第1側の面はまた、問題の特定の実施形態に応じて、いくつかの部品及び/若しくはその他の回路を含んでもよく、又はそれらを含まないままであってもよい。
【0124】
様々なSMDなどの既製の部品を、半田及び/又は接着剤によって基板上の接触領域に取り付けてもよい。代替的に又は追加的に、プリンテッド・エレクトロニクス技術を適用して、OLEDなどの部品の少なくとも一部を、直接フィルム(1又は複数)上に実際に製造してもよい。
【0125】
更に、この段階で又は項目806に関連して、導光体又はその他の光学素子などの様々な更なる機構を、例えば実装又は印刷による直接製造によって、フィルム(1又は複数)に設けてもよい。
【0126】
また、多層構造体をホストデバイスなどの外部デバイスに電気的に接続するために、電気コネクタ又は接触パッドなどの接続要素(1又は複数)を、例えば基板フィルムの第2(裏)側の面に用意してもよい。
【0127】
項目806及び808などの様々な方法の項目の実行は、図1~7に図示される前述の実施形態に照らして当業者に明らかであるように、実際には様々な実施形態において代替または重複してもよい。例えば、反対側の面の処理に切り替える前に、最初に、基板の片側の面にトレース、部品、及び更なる機構、更に成形層(項目812を参照のこと)を設けてもよい。反対側の面の処理は、場合により同様の作業も含む。
【0128】
項目809は、基板フィルム(1又は複数)に対する、1若しくは複数のサブシステム又は「サブアセンブリ」の可能な取り付けを意味する。サブアセンブリは、IC(1又は複数)及び/又は様々な部品などの電子機器を備えた、最初は別個の二次基板を組み込むことができる。多層構造体の電子機器の少なくとも一部は、そのようなサブアセンブリを介して基板フィルム(1又は複数)に設けられてもよい。所望により、サブアセンブリは、主基板に取り付ける前に、保護プラスチック層によって少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよく、及び/又は、その他の材料(例えばエポキシ)によって覆われてもよい。例えば、サブアセンブリと主要な(ホスト)基板とを機械的に結合するために、接着剤、圧力、及び/又は熱が使用されてもよい。半田、配線及び導電性インクは、サブアセンブリの要素間、及びホスト基板の残りの電気素子との電気接続を提供するために適用可能な選択肢の例である。
【0129】
810では、様々な部品及び/又はその他の回路などの電子機器を好ましくはすでに含む1又は複数の基板が、最初の実質的に平面な形状ではなく、所望の本質的に3次元の形状を少なくとも局所的に示すように任意選択で形成される。適用可能な成形法としては、例えば熱成形及び冷間成形が挙げられる。
【0130】
812では、少なくとも1つの材料層、例えば熱可塑性又は熱硬化性の材料層が、関連する表面と、その表面上にあるトレース、部品及び/又はグラフィクス層などの可能な機構とを少なくとも覆うように、第1基板フィルムの第1側の面上に成形される。例えば、所望によりグラフィクスを組み込んだ第2フィルムが設けられているいくつかの実施形態では、それらの間にプラスチック層(1又は複数)を形成してもよい。代替的に、第2のフィルムは、その後、多層構造体の前側部分の成形層上に積層されてもよい。適用可能な成形技術は、例えば、射出成形(熱可塑性)、及び反応射出成形(熱硬化性)を含む。
【0131】
実際には、例えば射出成形プロセスのインサートとして、基板フィルムを使用してもよい。2つの(第1及び第2)フィルムを使用する場合は、それらの両方を各々の金型半分に挿入し、プラスチック層をそれらの間に射出するようにしてもよい。
【0132】
所望により、保護又はその他の理由のために、第1基板フィルムの第2側の面も少なくとも部分的にオーバーモールドして、例えばその上にある電子機器をプラスチック材料内に埋め込んでもよい。連続する成形作業の順序は、各実施形態及び関連する使用シナリオに最も適合するように、当業者によって選択することができる。
【0133】
所望により、1又は複数のスペース要素を成形手順に関連して利用して、基板フィルム(1又は複数)上の選択された機構(電子機器、ビア/貫通孔、光学部品等)を、成形の間は、成形プラスチック及び/又は壁などの金型構造から案内、保護、及び/又は分離して、それらを成形材料からきれいに保つ、及び/又はそこに誘引される応力を低減してもよい。そのようなスペース要素は、続いて取り除かれるか、又はその後に剥がされてもよい。
【0134】
電子部品などの壊れやすい機構を保護するために、利用されるオーバーモールド技術は、比較的低い成形圧力(例えば15バール以下、より好ましくは約10バール以下)を利用することができる。それほど繊細でない部分には、より高い圧力を利用して、異なる材料特性を得てもよい。
【0135】
オーバーモールドに加えて又はオーバーモールドの代わりに、選択された電子部品及び/又はその他の機構を、例えばポッティング又は樹脂ディスペンシングによって保護してもよい。
【0136】
得られる積層構造体の結果として生じる全体的な厚さに関しては、それは、製造及びその後の使用を考慮して必要な強度を付与する、使用材料及び関連する最小材料の厚さに大きく依存する。これらの態様は、ケースバイケースで検討されるべきである。例えば、構造体の全体的な厚さは、約1ミリメートル又は数ミリメートルであり得るが、それよりかなり厚い又は薄い実施形態も完全に実現可能である。
【0137】
項目814は、可能な後処理タスクを意味する。ラミネーション又は好適なコーティング(例えば堆積)手順によって、更なる層を多層構造体に追加してもよい。層は、保護的、表示的、触覚的、及び/又は審美的な価値(グラフィクス、色、図、テキスト、数値データ、表面状態等)があってよい。また、層は、更なるプラスチックの代わりに又は更なるプラスチックに加えて、例えば織物、革又はゴム材料を含んでよい。電子機器又は接続要素(例えば電気配線、ケーブル)などの追加の要素を、構造体の背面部分の基板フィルムの外側表面など、構造体の外側表面(1又は複数)に設置してもよい。成形/切断を行ってもよい。接続要素は、外部ホストデバイス又はホスト構造体のコネクタなどの所望の外部要素に接続されてもよい。多層構造体は、目標のデバイス又は構造体(例えばハウジング)がもしあれば、それらに設置されてもよい。
【0138】
816において、方法の実行が終了する。
【0139】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって決定される。開示された実施形態が単に例示の目的で構成され、上記原理の多くを適用する他の装置が、可能な使用シナリオの各々に最適であるように容易に用意され得るという事実は、当業者であれば理解されよう。例えば、基板上に直接プラスチックを成形する代わりに又は成形することに加えて、プラスチック層を前もって用意し、次に、例えば接着剤、機械的取り付け手段(ネジ、ボルト、釘等)、圧力、及び/又は熱を適用する好適なラミネーション技術によって、基板に取り付けることができる。最終的に、あるシナリオでは、成形の代わりに、好適な堆積方法又は更なる代替方法を使用して、同様の機能のプラスチック層又はその他の層を基板上に作製することができる。更に、印刷されたトレースの代わりに、トレースを別の方法で作製/設置することができる。例えば、その他の選択肢の中でも、エッチングを利用して製造された導体フィルムを適用してもよい。
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