(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】IL-1R1およびNLPR3標的化二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20240709BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240709BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240709BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240709BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240709BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240709BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240709BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240709BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
C07K16/46
C07K16/18 ZNA
C07K16/28
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P27/02
A61P9/10
A61P3/10
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/16
A61P1/04
A61P29/00 101
A61P43/00
A61P17/00
A61P35/00
A61K38/02
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/7088
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2021514423
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2019074745
(87)【国際公開番号】W WO2020053447
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505211710
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ アルスター
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マクギリガン,ヴィクトリア
【審査官】山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502064(JP,A)
【文献】特表2013-537539(JP,A)
【文献】国際公開第2017/079352(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/150371(WO,A2)
【文献】特表2012-508005(JP,A)
【文献】国際公開第2017/156520(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2003/0170841(US,A1)
【文献】Jurg Tschopp,NLRP3 inflammasome activation: the convergence of multiple signalling pathways on ROS production?,Nat Rev Immunol,2010年,10,210-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C07K
C12Q
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/CAPLUS/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる
二重特異性抗体である、NLRP3インフラマソーム調節物質
であって、
前記二重特異性抗体が、IL-1R1に結合できる第1の抗体の6箇所のCDRと、NLRP3に結合できる第2の抗体の6箇所のCDRを含む、またはIL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる抗体フラグメントであり、
前記第1の抗体の重鎖CDRが、CDR1:GYPFTTAG(配列番号60);CDR2:MNTQSEVP(配列番号61);およびCDR3:AKSVYFNWRYFDV(配列番号62)を含み、前記第1の抗体の軽鎖CDRが、CDR1:QSISDY(配列番号63);CDR2:YAS;およびCDR3:QHGHSFPLT(配列番号64)を含み、かつ
前記第2の抗体の重鎖CDRが、CDR1:GFTFSDYY(配列番号65);CDR2:ISDGGTYT(配列番号66);およびCDR3:ARGWVSTMVKLLSSFPY(配列番号67)を含み、前記第2の抗体の軽鎖CDRが、CDR1:TGAVTTSNY(配列番号68);CDR2:GTN;およびCDR3:ALWYSNYWV(配列番号69)を含む、
NLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項2】
前記調節物質がまた、NLRP3のPYDドメインに結合することもできる、請求項1に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項3】
前記調節物質が
、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、融合タンパク質、またはアプタマー分子、これらの組み合わせ、およびこれらそれぞれのフラグメントを含む群から選択される、請求項1または2に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項4】
前記調節物質が
、組換えヒト化二重
特異性抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項5】
前記第1および/または第2の抗体が、モノクローナル抗体である、請求項
1に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項6】
前記抗体フラグメントが、Fab、Fv、Fab’、(Fab’)2、scFv、ビスscFv、ミニボディ、Fab2、およびFab3の1個または複数から選択される、請求項1~
5のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項7】
前記調節物質が、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる組換えヒト化抗体または抗体フラグメントから選択される、請求項1~
6のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項8】
前記二重
特異性抗体の軽鎖が、下記アミノ酸配列を有する、請求項
1~
7のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質:
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC
**(配列番号57)。
【請求項9】
前記二重
特異性抗体の重鎖が、下記アミノ酸配列を有する、請求項
1~
8のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質:
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGKGSAGGSGGDSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPK**(配列番号59)。
【請求項10】
前記調節物質が、NLRP3インフラマソームが、病因において重要な役割を果たすことが知られている炎症関連障害の治療または予防での使用のためのものである、請求項1~
9のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質。
【請求項11】
インフラマソーム経路の活性化を選択的に阻害および/または低減することにより炎症関連障害
を治療および/または予防
する方法
における使用のための組成物であって、
前記方法が、
NLRP3インフラマソームの活性化および/またはシグナル伝達を抑制する、請求項1~
9のいずれか1項に記載の治療有効量のNLRP3インフラマソーム調節物質を用意するステップ、および
治療有効量の前記
NLRP3インフラマソーム調節物質を
含む組成物をこのような治療を必要としている対象に投与するステップ、を含む
、組成物。
【請求項12】
インフラマソーム経路の活性化を選択的に阻害および/または低減することにより炎症関連障害
を治療
するための薬物の調製における請求項1~
9のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質の使用。
【請求項13】
対象の炎症関連障害の少なくとも1つの症状を低減または防止または治療するための方法
における使用のための組成物であって、請求項1~
9のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質
を含み、前記方法が、前記組成物の使用によりインフラマソーム経路の活性化を選択的に阻害および/または低減させることを含む、
組成物。
【請求項14】
前記炎症関連障害が、限定されないが、アテローム性動脈硬化症;加齢黄斑変性、ドライアイ症候群、緑内障、シェーグレン症候群などの炎症性の眼疾患;糖尿病;炎症性眼疾患;うつ;アルツハイマー病;パーキンソン病;炎症性腸疾患;関節リウマチ;加齢;皮膚科学的状態;および癌を含む、請求項
10に記載の使用のためのNLRP3インフラマソーム調節物質、請求項
11に記載の炎症関連障害
を治療および/または予防
する方法
における使用のための組成物、請求項
12に記載の薬物の調製における請求項1~
9のいずれか1項に記載のNLRP3インフラマソーム調節物質の使用、請求項
13に記載の炎症関連障害の少なくとも1つの症状を低減または防止または治療するための方法
における使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NLRP3インフラマソーム経路の調節物質、特に抗体およびそのフラグメントならびにアプタマー分子(タンパク質または他の細胞内標的に特異的に結合可能な二次および三次構造体を形成できる小型RNA/DNA分子)に関し、これらのそれぞれは、NLRP3インフラマソームのメンバーに結合特異性を有する。特に、本発明は、NLRP3インフラマソームシグナル伝達および活性化により媒介される炎症性疾患の治療または予防のための、このような抗体およびアプタマー、およびそれらのフラグメントの使用にまでさらに及ぶ。
【背景技術】
【0002】
病原体関連分子パターン(PAMP)および損傷関連分子パターン(DAMP)を含む刺激物質を含む多岐にわたる炎症を認識する一群のタンパク質複合体である。種々のインフラマソーム複合体が知られており、特に、NLRP3は、LPS、細菌毒素、ダスト、ATPなどのストレスシグナル、結晶化および粒子状物質、コレステロール結晶、酸化LDL、アミロイドベータ、プリオンタンパク質線維および原線維αシヌクレイン、剪断応力、圧力などのNLRP3を活性化する様々なシグナルのために、最も研究されているインフラマソームである。
【0003】
NLRP3(ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NACHT))、ロイシンリッチリピート(LRR)ドメイン、およびピリンドメイン含有タンパク質3インフラマソームは、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、炎症性眼疾患、ドライアイ症候群、緑内障、加齢黄斑変性などの他の眼疾患、うつ、アルツハイマー病、パーキンソン病、炎症性腸疾患、関節リウマチなどの関節炎状態、加齢、皮膚科学的状態および癌を含む多くの感染性疾患および極めて多くの変性炎症性型疾患に結びつけられている。
【0004】
NLRP3タンパク質の主要な役割は、危険信号または異物を検知し、次に炎症促進性サイトカインIL-1βの分泌を活性化するカスパーゼ1にそのシグナルを中継することであり、その後、IL-1βは身体を保護するために炎症を開始する。IL-1βは、炎症過程における中心的役割のために、全てのサイトカイン中で最も研究されている。IL-1βを活性化することは身体にとって有用であるが、多くの疾患で、この炎症が制御されなくなり、疾患の病因となることがある。今日まで、ほとんどの治療戦略は、炎症を抑制するためにIL-1βに対抗する治療薬の開発に注力されてきたが、我々がここで提案するように、このサイトカインの上流制御装置、すなわち、NLRP3インフラマソームを標的化することには多くの利点が存在する。
【0005】
活性化の機序はまだ十分には理解されていないが、インフラマソームを介したIL-1βのプロセッシングは、2つの経路を伴うことが示された。第一に、NFκB経路は、トール様受容体(TLR)および/またはCD36受容体を介してDAMPまたはPAMPにより活性化される。これは、プロ型のIL-1βおよびNLRP3の転写および発現をもたらす。
【0006】
また、ATPなどのDAMPによるプリン受容体刺激が細胞内のカルシウムの増大および細胞膨潤を引き起こし、これが、細胞からのカリウム流出、リソソーム不安定化、膜易透化、ミトコンドリア損傷および続いて生じる活性酸素種の生成をもたらし、NLRP3活性化に繋がる、第2のシグナルも必要であると考えられる。他の研究は、酸化型LDLコレステロールは実際に、其れ自体、NLRP3活性化に必要な2つのシグナルとして機能できることが示された。全ての研究で、カリウム流出が、NLRP3活性化の唯一の共通因子であるように思われる。
【0007】
NLRP3タンパク質はその後、ピリンドメインの同型相互作用を介してASC(アポトーシス関連スペック様タンパク質)と相互作用する。ASCはその後、プロカスパーゼ1と相互作用し、カスパーゼ1の切断および活性化を生じ、これが次に、プロIL-1βをその活性型に切断する。IL-1βはその後、切断されて、生物学的に活性な分泌型を産生する。
【0008】
今日のインフラマソーム関連障害のための最良の治療は、インフラマソーム活動の主要産物であるIL-1βを標的にしている。過去20年間で、多くの抗IL-1β治療薬が開発されてきた。しかし、抗IL-1β治療薬にはいくつかの欠点がある。全ての抗サイトカイン薬に関し、日和見主義的生物ならびに日常的細菌感染症に対する宿主防御が主要な懸念になってきた。理由は、これらの感染症の無痛性で危険な性質のためである。抗IL-1β治療薬は、悪心、好中球増加症および有害アレルギー反応などの他の副作用がある。
IL-1β治療薬に勝る抗NLRP3療法のいくつかの利点は、以下の通りである:
【0009】
NLRP3は、NOD様受容体であるので、疾患の根本原因の認識、すなわち、異物/危険物質の認識は、応答の抑制に比べて、有利であり得る。これは、IL-1βが、疾患特異的刺激物質、例えば、酸化型LDL、βアミロイドまたはαシヌクレインまたは特定の病原体により活性化されるNLRP3経路を介して分泌されないことを意味するであろう。しかし、IL-1β活性化に関与する他の経路がないために、IL-1βは、それでも、極限状態(大規模または日和見感染症など)で必要とされる他の非疾患関連刺激物質に応答して他の経路を介して活性化され得る。
【0010】
インフラマソームは、特殊な形の細胞死、ピロネクローシス(カスパーゼ1とは独立)およびパイロトーシスに関連付けられており、これらは、悪化した炎症の場合に起こり得る。従って、抗NLRP3療法はまた、このような死経路を減らし、これは、アテローム性動脈硬化症などの特定の疾患の病因に関与することが立証された。パイロトーシスは、酸化型LDL反応する、この疾患のプラーク破綻のリスク因子である。
【0011】
いくつかの以前に特徴付けられた小分子阻害剤は、NLRP3インフラマソーム機能にも影響を与えることが最近示された。スルホニルウレア薬物であるグリブリドは、このような阻害剤の一例である。MCC950(以下に示す)は、具体的なNLRP3インフラマソームの小分子阻害剤の別の例である。
【化1】
【0012】
しかし、現在利用可能な阻害剤にはいくつかの問題がある。実際に、これらの現在利用可能なインフラマソーム機能の阻害剤の多くは、臨床的に成功しておらず、非特異的であり、重要な点は、極めて短い半減期であることである。
【0013】
ヒト化抗体型治療薬の開発は、NLRP3インフラマソーム用の小分子阻害剤より多くの利点があることが明らかになるであろう。
小分子阻害剤に勝るヒト化抗体のいくつかの利点は次の通りである:
・ヒト免疫系による非認識。
・循環中で非ヒト抗体よりも長い半減期。
・小分子阻害剤より高い特異性。
・これまで小分子薬物を逃れてきた難易度の高い標的との相互作用。この最良の例は、わずかな荷電ポケットを有する大きく、多くの場合平らな表面を特徴とするタンパク質-タンパク質相互作用である。
・最も多く臨床試験に入るmAbであるキメラおよびヒト化mAbは、特に腫瘍学の分野で、小分子薬(5%)を含む新規化学物質(NCE)より高い認証成功率(それぞれ、18%および24%)を有する。
・生物製剤の商業化の可能性は極めて有望である。処方薬および非処方箋薬の総販売高中の生物製剤のシェアは、2004年の12%から2011年の19%に拡大した。さらに興味深いのは、生物学的製剤は、2004年の医薬品売上高のトップ100中の17%を占め、2011年には、34%を占めた。世界の生物製剤市場は、2025年までに、ほぼ40億ドルに達すると推定されている。
・生物製剤は、小分子薬物より良好な全体的経済的利益をもたらすと思われる。
・研究はまた、生物製剤の損耗率は、小分子よりも小さいことを示している。小分子薬物の7.1%の成功率に過ぎないのに比較して、前臨床試験に入る生物製剤の24.4%が最終的に市販される。
・生物製剤は、開発の全ての段階で小分子より良好な性能を示し、フェーズ2で驚くべき116%の成功率であった。
【0014】
NLRP3(NALP3およびクリオピリンとしても知られている)は、細胞質タンパク質であり、従って、このタンパク質を標的にするために、いずれの治療薬も、細胞に入る必要がある。ヒト化抗体は、サイズが極めて大きく、サイトゾルへ入るのは困難であることがわかるであろう。小型抗体フラグメントの開発はまた、このような課題を克服する可能性を提示し、この場合、抗体フラグメントはFabフラグメントであってよく、これは、抗体の抗原結合フラグメント、またはペプチドリンカーにより結合された抗体の重鎖および軽鎖の可変領域の融合タンパク質である、単鎖可変フラグメントである。以下でさらに考察されるように、本発明者らは、追加の戦略を考案し、治療抗体またはアプタマーおよびそれらのフラグメントが細胞中に入ることができるのを確実にした。
【0015】
種々の薬剤を用いてNLRP3インフラマソームまたは関連分子の標的化を記載する分野でいくつかの報告がある。例えば、WO2013/007763A1は、アクネの予防/治療方法で使用するための細胞内局在化およびNLRP3を含むインフラマソーム群のメンバーへの細胞質ゾル結合可能な阻害剤を開示している。
【0016】
米国特許出願公開第20080008652A1号は、特に、クリオピリン(NPRL3)シグナル伝達の調節を介して、免疫応答およびアジュバント活性を調節する方法および組成物を開示している。クリオピリン調節タンパク質、またはクリオピリンシグナル経路成分を標的とするヒト化抗体が言及され、クリオピリン抗体を作製する方法が開示される。
【0017】
WO2002026780A2は、PAADドメイン含有ポリペプチドに結合する抗体、ならびに抗PAAD抗体を投与することによる炎症を含む種々の病態を治療する方法を開示している。単鎖抗体、キメラ、二官能性、ヒト化抗体、ならびにその抗原結合フラグメントも言及される。
【0018】
WO2011109459A2は、ASCまたはNLRP1などの哺乳動物インフラマソームの成分に特異的に結合する少なくとも1種の抗体を含む組成物を提供することにより、皮膚/毛髪の炎症性疾患を治療する方法を開示している。ASCおよびNPRL1に対する市販の抗体が言及されている。
【0019】
EP2350315B1は、NLRP3、ASCおよび/またはカスパーゼ1の発現レベルの測定を含む、アテローム性動脈硬化症の早期診断のための方法およびキットを開示している。発現レベルは、ヒト抗体、ヒト化抗体、組換え抗体およびFab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、FvおよびscFvを含む抗体フラグメントなどの抗体を含む方法により測定され得る。
【0020】
WO2013119673A1は、NLRP1(NALP-1)、ASC、およびカスパーゼ1などの少なくとも1種のインフラマソームタンパク質のレベルを測定することを含む、CNS傷害を有すると疑われる患者を評価する方法を開示している。NPRL-1、ASCおよびカスパーゼ1に対する市販の抗体が言及されている。
【0021】
WO2007077042A1は、NALP3インフラマソーム阻害剤の投与を含む、痛風または偽痛風の治療方法を開示している。NALP3インフラマソーム阻害剤は、NALP3インフラマソームの下流で作用するとして記載され、IL-1の活性を阻害する抗体中から選択される。
【0022】
WO2013138795A1は、Surf+透過性ポリペプチドおよび細胞内標的に結合する抗体または抗体模倣部分(AAM部分)を含む融合タンパク質を開示し、融合タンパク質は細胞中に侵入し、細胞内標的に結合し、標的と細胞内の別のタンパク質との間の結合を阻害する。
【0023】
本発明は、NLRP3インフラマソームの新規で有効な調節物質を提供する。このような調節物質には、IL-1R1およびNLRP3の両方を標的とする二重抗体(bi-antibody)またはアプタマー、それらのフラグメントを含む。二重抗体は、最初に、急速な内部移行を誘発するIL-1R1に結合することにより細胞に入り、一旦内部移行すると、二重抗体は次に細胞内タンパク質NLRP3を標的として、NLRP3インフラマソームの構築を阻害し、次に、細胞からのIL-1β分泌を妨害して、炎症の開始/増幅を低減させる。
【発明の概要】
【0024】
従って、本発明の第1の態様では、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できるNLRP3インフラマソーム調節物質が提供される。
【0025】
任意選択で、調節物質はまた、NLRP3のPYDドメインに結合することもできる。
【0026】
任意選択で、調節物質は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、融合タンパク質、またはアプタマー分子、これらの組み合わせ、およびこれらそれぞれのフラグメントを含む群から選択される。
【0027】
調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる二重抗体であってもよい。任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる組換えヒト化二重抗体である。
【0028】
任意選択で、調節物質は、IL-1R1に結合できる第1の抗体の1個または複数の結合領域およびNLRP3に結合できる第2の抗体の1個または複数の結合領域を含む二重抗体である。任意選択で、調節物質は、IL-1R1に結合できる第1の抗体の1個または複数の相補性決定領域(CDR)およびNLRP3に結合できる第2の抗体の1個または複数のCDRを含む二重抗体である。任意選択で、第1および/または第2の抗体はモノクローナル抗体である。
【0029】
任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる抗体フラグメントから選択される。任意選択で、抗体フラグメントは、Fab、Fv、Fab’、(Fab’)2、scFv、ビスscFv、ミニボディ、Fab2、およびFab3の1個または複数から選択される。
【0030】
任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方に結合できる組換えヒト化抗体または抗体フラグメントから選択される。
【0031】
任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方から選択される1種または複数の抗原に対して産生された抗体または抗体フラグメントである。任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3の両方の全部または一部から選択される1種または複数の抗原に対して産生される。任意選択で、調節物質は、NLRP3、任意選択で、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの担体タンパク質に結合したNLRP3(以下、NLRP3免疫原)、およびIL-1R1、任意選択で、組換えIL-1R1から選択される1種または複数の抗原に対して産生される。
【0032】
任意選択で、IL-1R1の細胞外ドメイン(以下、IL-1R1免疫原)は、下記配列を含む:
MKVLLRLICFIALLISSLEADKCKEREEKIILVSSANEIDVRPCPLNPNEHKGTITWYKDDSKTPVSTEQASRIHQHKEKLWFVPAKVEDSGHYYCVVRNSSYCLRIKISAKFVENEPNLCYNAQAIFKQKLPVAGDGGLVCPYMEFFKNENNELPKLQWYKDCKPLLLDNIHFSGVKDRLIVMNVAEKHRGNYTCHASYTYLGKQYPITRVIEFITLEENKPTRPVIVSPANETMEVDLGSQIQLICNVTGQLSDIAYWKWNGSVIDEDDPVLGEDYYSVENPANKRRSTLITVLNISEIESRFYKHPFTCFAKNTHGIDAAYIQLIYPVTNFQKLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSHLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKPKGLVRAPQVYTLPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK*(配列番号1)。
(*または**は、本明細書全体を通して停止コドンを意味する)。
【0033】
任意選択で、NLRP3の免疫原は、下記配列を含む:
EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)。
【0034】
任意選択で、NLRP3免疫原は、任意選択で、配列EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)のN末端に結合した、配列EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)に結合した担体タンパク質を含む。
【0035】
ペプチドに結合した担体タンパク質は、ペプチドがより強力な免疫応答を生成するのを支援することが当該技術分野において既知である。任意選択で、担体タンパク質はKLHである。
【0036】
任意選択で、担体タンパク質は、リンカーを介して配列EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)に結合され、任意選択で、リンカーはヒドラジド-Ahxである。
【0037】
任意選択で、NLRP3の免疫原は、KLH-ヒドラジド-Ahx-EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)である。
【0038】
当該技術分野において理解されているように、ヒドラジドは、4個の置換基を有し、それらの少なくとも1個がアシル基である、窒素-窒素共有結合を特徴とする有機化合物の部類である。Ahxは、6炭素直鎖アミノヘキサン酸リンカーを意味する。
【0039】
任意選択で、調節物質は産生可能であり、任意選択で、NLRP3免疫原およびIL-1R1免疫原から選択される1種または複数の免疫原に対し産生され、IL-1R1免疫原は配列:
MKVLLRLICFIALLISSLEADKCKEREEKIILVSSANEIDVRPCPLNPNEHKGTITWYKDDSKTPVSTEQASRIHQHKEKLWFVPAKVEDSGHYYCVVRNSSYCLRIKISAKFVENEPNLCYNAQAIFKQKLPVAGDGGLVCPYMEFFKNENNELPKLQWYKDCKPLLLDNIHFSGVKDRLIVMNVAEKHRGNYTCHASYTYLGKQYPITRVIEFITLEENKPTRPVIVSPANETMEVDLGSQIQLICNVTGQLSDIAYWKWNGSVIDEDDPVLGEDYYSVENPANKRRSTLITVLNISEIESRFYKHPFTCFAKNTHGIDAAYIQLIYPVTNFQKLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSHLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKPKGLVRAPQVYTLPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK*(配列番号1)。
(*は、停止コドンを意味する)
を含み、NLRP3の免疫原は、配列:
KLH-ヒドラジド-Ahx-EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)を含む。
【0040】
任意選択で、調節物質は、産生可能であり、任意選択で、IL-1R1免疫原に対し産生され、配列:
MKVLLRLICFIALLISSLEADKCKEREEKIILVSSANEIDVRPCPLNPNEHKGTITWYKDDSKTPVSTEQASRIHQHKEKLWFVPAKVEDSGHYYCVVRNSSYCLRIKISAKFVENEPNLCYNAQAIFKQKLPVAGDGGLVCPYMEFFKNENNELPKLQWYKDCKPLLLDNIHFSGVKDRLIVMNVAEKHRGNYTCHASYTYLGKQYPITRVIEFITLEENKPTRPVIVSPANETMEVDLGSQIQLICNVTGQLSDIAYWKWNGSVIDEDDPVLGEDYYSVENPANKRRSTLITVLNISEIESRFYKHPFTCFAKNTHGIDAAYIQLIYPVTNFQKLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSHLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKPKGLVRAPQVYTLPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK*(配列番号1)、
(*は、停止コドンを意味する)
を含む第1の抗体の1個または複数の結合領域、および配列:
KLH-ヒドラジド-Ahx-EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)を含むNLRP3免疫原に対して産生された第2の抗体の1個または複数の結合領域を含む二重抗体である。
【0041】
任意選択で、調節物質は、産生可能であり、任意選択で、IL-1R1免疫原に対し産生され、配列:
MKVLLRLICFIALLISSLEADKCKEREEKIILVSSANEIDVRPCPLNPNEHKGTITWYKDDSKTPVSTEQASRIHQHKEKLWFVPAKVEDSGHYYCVVRNSSYCLRIKISAKFVENEPNLCYNAQAIFKQKLPVAGDGGLVCPYMEFFKNENNELPKLQWYKDCKPLLLDNIHFSGVKDRLIVMNVAEKHRGNYTCHASYTYLGKQYPITRVIEFITLEENKPTRPVIVSPANETMEVDLGSQIQLICNVTGQLSDIAYWKWNGSVIDEDDPVLGEDYYSVENPANKRRSTLITVLNISEIESRFYKHPFTCFAKNTHGIDAAYIQLIYPVTNFQKLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSHLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKPKGLVRAPQVYTLPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK*(配列番号1)、
(*は、停止コドンを意味する)
を含む第1の抗体の1個または複数の相補性決定領域(CDR)および配列:
KLH-ヒドラジド-Ahx-EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)を含むNLRP3免疫原に対して産生された第2の抗体の1個または複数のCDRを含む二重抗体である。
【0042】
任意選択で、第1および/または第2の抗体はモノクローナル抗体である。
【0043】
任意選択で、第1の抗体(IL-1R1に対する)の重鎖のコンセンサス配列は、
【化2】
である。
【0044】
任意選択で、第1の抗体の重鎖CDRは、
【化3】
を含む。
【0045】
任意選択で、第1の抗体(IL-1R1に対する)の軽鎖のコンセンサス配列は、
【化4】
である。
【0046】
任意選択で、第1の抗体の軽鎖CDRは、
【化5】
を含む。
【0047】
任意選択で、第2の抗体(NLRP3に対する)の重鎖のコンセンサス配列は、
【化6】
である。
【0048】
任意選択で、第2の抗体の重鎖CDRは、
【化7】
を含む。
【0049】
任意選択で、第2の抗体(NLRP3に対する)の軽鎖のコンセンサス配列は、
【化8】
である。
【0050】
任意選択で、第2の抗体の軽鎖CDRは、
【化9】
を含む。
【0051】
任意選択で、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3に同時に結合できる。任意選択で、または追加して、調節物質は、IL-1R1およびNLRP3に逐次的に結合できる。
【0052】
任意選択で、本発明の二重特異性抗体の軽鎖は、下記アミノ酸配列を有する:
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC**(配列番号57)。
【0053】
任意選択で、本発明の二重特異性抗体の重鎖は、下記アミノ酸配列を有する:MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGKGSAGGSGGDSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPK**(配列番号59)。
【0054】
IL-1R1およびNLRP3の両方に「同時に結合」は、前記IL-1R1および/またはNLRP3が複合体として形成される場合であっても、またはそれらが複合体として形成されない場合であっても、調節物質がIL-1R1および/またはNLRP3のそれぞれに結合できることを意味する。
【0055】
第2の態様では、本発明は、NLRP3インフラマソームが病因において重要な役割を果たすことが知られている炎症関連障害の治療または予防での使用のための、本明細書で定義の調節物質を提供する。
【0056】
調節物質としての二重特異性抗体の利点は、単一抗体より低い、従って、より少ない毒性の濃度で使用でき、それにより、細胞傷害性の可能性を低減できるということである。二重特異的であることにより、より安定で、より純度の高い抗体を可能にする。
【0057】
生物学的であることにより、より長い半減期を有し、従って、小分子阻害剤に勝る大きな利点を与える。
【0058】
第3の態様では、本発明は、炎症関連障害の治療および/または予防方法を提供し、該方法は、次のステップを含む:
NLRP3インフラマソームの活性化および/またはシグナル伝達を抑制する、本発明の第1の態様の治療有効量の調節物質を用意するステップ、および
治療有効量の前記化合物をこのような治療を必要としている対象に投与するステップ、を含む方法。
【0059】
第4の態様では、本発明は、炎症関連障害の治療のための薬物の調製における、本発明の第1の態様の調節物質の使用を提供する。
【0060】
第5の態様では、本発明は、対象の炎症関連障害の少なくとも1つの症状を低減または防止または治療するための方法を提供し、該方法は、本発明の第1の態様の調節物質の使用によりインフラマソーム経路の活性化を選択的に阻害および/または低減することを含む。
【0061】
任意選択で、調節物質は、対象の炎症関連障害の少なくとも1つの症状の治療または予防に使用するためのものであり、該方法は、本発明の第1の態様の調節物質の使用によりインフラマソーム経路の活性化を選択的に阻害および/または低減することを含む。
【0062】
任意選択で、InflaMabは、限定されないが、アテローム性動脈硬化症などの全身状態の疾患修飾作用を有し得、それにより、炎症を防止/抑制し、従って、プラーク蓄積および/またはプラーク破裂を防止し、その結果、心筋梗塞のリスクを減らす。
【0063】
任意選択で、InflaMabは、限定されないが、緑内障などの眼疾患の疾患修飾作用を有し得、それにより、炎症を防止し/抑制し、眼圧を下げ、および/または網膜神経節細胞および軸索の損失を防止し、視神経を保護し、視力を保護し、および/または失明を防ぐ。
【0064】
任意選択で、InflaMabは、限定されないが、アルツハイマー病などの神経学的状態の疾患修飾作用を有し得、それにより、炎症を防止/抑制し、アミロイドプラーク沈着を低減/抑制し、および/または認知障害を防止する。
【0065】
本発明の第1の態様の調節物質は、炎症に関連する多疾病罹患または併存症の個体で有用であり得る。
【0066】
任意選択で、本発明の前述のいずれかの、InflaMabとして表記される調節物質は、軽鎖の2つの対および重鎖の2つの対から構成され、N末端に融合されたscFvドメインを有し、ジスルフィド結合を介して一緒に複合体化された、210キロダルトン(kDa)の二重特異的マウス抗体である。
【0067】
本明細書で使用される場合、「炎症関連障害」は、限定されないが、アテローム性動脈硬化症;加齢黄斑変性、ドライアイ症候群、緑内障、シェーグレン症候群、糖尿病、炎症性眼疾患などの炎症性眼状態、うつ、アルツハイマー病、パーキンソン病、炎症性腸疾患、関節リウマチ、加齢、皮膚科学的状態および癌が挙げられる。
【0068】
任意選択で、対象はヒトなどの哺乳動物である。
【0069】
用語の「抗体」は、必要とされる特異性を有する結合ドメインを有する任意の結合メンバーまたは物質と解釈されるべきである。本発明の抗体は、モノクローナル抗体、またはそのフラグメント、機能的等価物またはホモログであり得る。この用語は、天然または全合成または部分合成であるかどうかに関わらず、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含む。従って、別のポリペプチドに融合された免疫グロブリン結合ドメイン、または等価物を含むキメラ分子が包含される。
【0070】
全抗体のフラグメントは、抗原結合の機能を実行できる。このような結合フラグメントの例は、VL、VH、CLおよびCH1抗体ドメインを含むFabフラグメント;単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;F(ab’)2フラグメント:2個の結合Fab’フラグメントを含む二価のフラグメント;単鎖Fv分子(scFv)、この場合、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインが合体して抗原結合部位を形成可能とするペプチドリンカーにより結合される;または遺伝子融合により構築される多価性のまたは多重特異性フラグメントであり得る二重または三重特異性抗体である。
【0071】
本発明で使用するための抗体またはポリペプチドのフラグメントは通常、少なくとも5~7個の連続アミノ酸、多くの場合、少なくとも約7~9個の連続アミノ酸、典型的には、少なくとも約9~13個の連続アミノ酸、より好ましくは、少なくとも約20~30個の連続アミノ酸および最も好ましくは、少なくとも約30~40またはそれ超の連続アミノ酸の一続きのアミノ酸残基を意味する。
【0072】
用語の「抗体」は、「ヒト化」されている抗体を含む。ヒト化抗体を作製する方法は、当技術分野において既知である。
【0073】
アプタマーは、特異的標的分子に結合するペプチド分子である。アプタマーは、小分子と生物製剤との間の範囲にある。それらは、サイズ、合成のし易さおよび変更の観点で、抗体治療薬に対して、大きな利点を示す。
【0074】
本明細書に記載の調節物質は、ELISAなどのアッセイで使用して、ヒト血液または組織試料からNLRP3を検出可能である。従って、さらなる態様では、本発明は、本発明の第1の態様の1種または複数の調節物質を含むキットを提供する。任意選択で、キットは、前記キットの使用のための説明書をさらに含む。任意選択で、キットは、ヒト細胞中の、血液または組織試料中のNLRP3を検出するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】IL-1R1 FCの、4~20%変性、還元および非還元SDS-PAGE分析を示す。分子量マーカーは、キロダルトンで示される。
【
図2】UUC IL―1Rに対する1回目の採取血のスクリーニングを示すグラフである。
【
図3】UUC IL-1Rに対する2回目の採取血のスクリーニングを示すグラフである。
【
図4】融合スクリーニング後の結果を示すグラフである。
【
図5】1回目のプロトクローン24ウェルスクリーニングのグラフである。
【
図7】24ウェルプレートスクリーニング結果のグラフである。
【
図8】F237 5D1-1A8からの最終選択ハイブリドーマのグラフである。
【
図9】F237 5D1-1A8最終24ウェルスクリーニングからの最終選択ハイブリドーマのグラフである。
【
図10】THP1細胞中へのIL-1R1内部移行の免疫蛍光法画像である。LPSおよびATPで処理してIL-1R1の発現を誘導したTHP1マクロファージから取得した蛍光顕微鏡画像である。
【
図11】THP1細胞中へのIL-1R1内部移行のフローサイトメトリーの図である。
【
図12】Ig可変ドメインプライマーのいくつかの組み合わせを用いたPCRの結果を示す。
【
図13】CDRループの図式表現である。(参考文献:Lefranc,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)PMID:12477501)。
【
図14】CDRループの図式表現である(Lefranc,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)PMID:12477501)。
【
図15】NLRP3の構造を示す図である。Bergsbaken,T.;Fink,S.L.;Cookson,B.T.(2009).”Pyroptosis:Host cell death and inflammation”.Nature Reviews Microbiology.7(2):99-109.doi:10.1038/nrmicro2070.PMC 2910423.PMID 19148178.およびDagenais,M.;Skeldon,A.;Saleh,M.(2011).”The inflammasome:In memory of Dr.Jurg Tschopp”.Cell Death and Differentiation.19(1):5-12.doi:10.1038/cdd.2011.159.PMC 3252823.PMID22075986.http://jonlieffmd.com/blog/cellular-intelligence-blog/inflammasomes-are-large-complex-signaling-platforms.
【
図16】CLUSTAL0(1.2.4)を用いたヒトおよびマウスNALP(NLRP)タンパク質のC末端ドメインのコンセンサス配列の配列アラインメントの図である。
【
図17】Protean 3Dバージョン14.0.1を用いて二次構造的の特徴を示すNLRP3 PDB:3QF2に整列させたペプチドFUS_746_001(黄色)のNovafold予測構造の図である。
【
図18】高レベルのNLRP3 mAbを発現した免疫化マウスのグラフである。
【
図19】UUC NLRP3に対する1回目の採取血のスクリーニングを示すグラフである。
【
図20】UUC NLRP3に対する2回目の採取血のスクリーニングを示すグラフである。
【
図21】融合スクリーニング後の結果を示すグラフである。
【
図22】1回目のプロトクローン24ウェルスクリーニングのグラフである。
【
図23】LD1スクリーニング結果のグラフである。
【
図24】24ウェルプレートスクリーニング結果のグラフである。
【
図25】F226からの最終選択ハイブリドーマのグラフである。
【
図26】ドットブロット分析の結果を示す図である。
【
図27】ウェスタンブロット分析の結果を示す図である。
【
図28】Ig可変ドメインプライマーのいくつかの組み合わせを用いたPCRの結果を示す。
【
図29】CDRループの図式表現である(Lefranc,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)PMID:12477501)。
【
図30】CDRループの図式表現である(Lefranc,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)PMID:12477501)。
【
図31】InflaMabの二重特異性設計およびプラスミドマップを示す図である。
【
図32】InflaMabの4~20%SDS-PAGE分析の結果を示す図である。分子量マーカーは、キロダルトンで示される。
【
図33】InflaMabはIL-1β放出を防止する。(注記、「Ulster Ab」は、「InflaMab」および「二重特異的Ab」と同義である)。
【
図34】InflaMabはTHP1細胞注のカスパーゼ1の活性化を防止する。
【
図35】Inflamabの内部移行を示す図である。
【
図36】InflaMabは、骨髄由来マクロファージ(BMDM)からのIL-1β分泌を抑制することを示す。
【
図37】IL-1βは、LPS攻撃によりインビボで抑制されるが、TNFαは抑制されないことを示す。
【
図38】InflaMabは、アテローム性動脈硬化症apoE-/-モデルで、プラークサイズをインビボで低減させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
特定の使用または治療方法では、本発明の調節物質、例えば、二重特異性抗体は、下記を含むステップに従って作用する:
1.抗体の細胞中への内部移行および侵入を可能とするために、二重特異性抗体をIL-1R1に対し標的化するステップ。
2.NLRP3インフラマソーム構築およびそれに続く細胞からのIL-1β放出を阻害し、その結果、炎症を減らすために抗体をNLRP3に対し標的化するステップ。
3.IL-1R1の内部移行を誘発し、その結果、IL-1β結合のために利用可能なIL-1R1を少なくし、炎症の可能性および増幅をさらに抑制させるために、抗体をIL-1R1に対し標的化するステップ。
【0077】
本発明の第1の態様のこのような調節物質は、驚くべきことに、NLRP3タンパク質部分だけではなく、全体としてインフラマソームに対する追加の抑制効果をもたらし、従って、インフラマソーム関連疾患のより効果的な阻害剤を提供することになる。
【0078】
実施例
・IL-1R1 FC融合体の一過性発現(実施例1)
・IL-1R1に対するモノクローナル抗体の生成(実施例2)
・IL-1R1モノクローナル抗体配列決定結果報告(実施例3)
・NLRP3ペプチド合成(実施例4)
・NLRP3に対するモノクローナル抗体の生成(実施例5)
・NLRP3モノクローナル抗体配列決定結果報告(実施例6)
・InflaMabデザイン(実施例7)
・InflaMab一過性発現(実施例8)
・アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患のためのInflaMab(実施例9)
【0079】
実施例1:IL-1R1 Fc融合体の一過性発現
IL-1R1 Fcを一過性に発現させ、HEK293細胞中で精製した。精製タンパク質のサイズおよび純度をSDS PAGEにより評価し、エンドトキシンレベルを検査した。最終的に、タンパク質の活性をELISAを用いて評価した。
【0080】
インターロイキン-1受容体(IL-1R1)Fc融合タンパク質をコードする哺乳動物発現ベクターをHEK293細胞中に遺伝子導入した。その後、標準的クロマトグラフィー技術を用いて、発現したFc融合タンパク質を細胞培養上清から精製した。精製生成物の濃度および純度を決定した。
【0081】
HEK293細胞の一過性遺伝子導入およびタンパク質の精製
IL-1R1 Fcのアミノ酸配列をコードするDNA(実施例1A参照)を合成し、哺乳動物一過性発現プラスミドpD2610-v1(DNA2.0)に挿入した。IL-1R1 Fcを、HEK293細胞ベース一過性発現を用いて発現させ、得られた抗体含有細胞培養上清を遠心分離および濾過により清澄化した。Protein A親和性クロマトグラフィーを介して、細胞培養上清から2ロットのIL-1R1 Fcを精製した(AKTAクロマトグラフィー装置を使用)。精製されたタンパク質は、リン酸緩衝食塩水中に透析/緩衝液交換された。組換えタンパク質の純度は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルにより判定され、>95%であると決定された(
図1)。タンパク質濃度は、吸光度を測定することにより決定された(1.0mg/ml=1.37のA280)。精製生成物の詳細は、表1にまとめられている。
図1は、IL-1R1 FCの、4~20%変性、還元および非還元SDS-PAGE分析を示す。分子量マーカーは、キロダルトンで示される。レーンは次の通りである:
【表1】
【表2】
略語は次記の通り;ND、測定せず。
【0082】
実施例1A:IL-1R1 Fcアミノ酸配列
MKVLLRLICFIALLISSLEADKCKEREEKIILVSSANEIDVRPCPLNPNEHKGTITWYKDDSKTPVSTEQASRIHQHKEKLWFVPAKVEDSGHYYCVVRNSSYCLRIKISAKFVENEPNLCYNAQAIFKQKLPVAGDGGLVCPYMEFFKNENNELPKLQWYKDCKPLLLDNIHFSGVKDRLIVMNVAEKHRGNYTCHASYTYLGKQYPITRVIEFITLEENKPTRPVIVSPANETMEVDLGSQIQLICNVTGQLSDIAYWKWNGSVIDEDDPVLGEDYYSVENPANKRRSTLITVLNISEIESRFYKHPFTCFAKNTHGIDAAYIQLIYPVTNFQKLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSHLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKPKGLVRAPQVYTLPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK*(配列番号1)
【0083】
実施例2:IL-1R1に対するモノクローナル抗体の生成
このプロジェクトの目的は、IL-1R1に対するモノクローナル抗体を生成することである。5匹のマウス集団に免疫し、陽性免疫応答に関しスクリーニングされた。融合に好適する候補の選定後、脾細胞をパートナー細胞と融合して、ハイブリドーマ集団を産生した。この集団は、一連の限界希釈およびスクリーニングアッセイを受けて、完全なモノクローナル細胞株を産生した。
【0084】
細胞株命名法
産物名「F237 5D1-1A8-2A5」は、10種の選択したモノクローナルハイブリドーマ細胞株の1つを指す。名称は、各段階での産生経路を記述する要素からなる。融合後スクリーニングおよび各限界希釈から選択された各ハイブリドーマは、ハイブリドーマが選択されたプレート番号およびプレート上のウェル位置に相当する番号が付与される(すなわち、5D1-1A8-2A5)。この命名法は、それぞれ個別のハイブリドーマの由来を追跡し、スクリーニング過程の明確な区別を可能とする。
【0085】
【表3】
1これは融合およびスクリーニング後に全ての培養物に対し使用された培地である。
【表4】
【表5】
【0086】
装置
・CO2細胞培養静置インキュベーター(SANYO)
・プレートリーダーSunrise(Tecan)
・Centurion Scientific K40R遠心分離機
・Grant-Bio Multishaker PSU 20
【0087】
方法
抗原調製
免疫原(IL-1R1)が精製されると、これらの溶液を無菌EF-PBS中で200μg/mlに希釈し、600μlを免疫用に、および150μlを追加免疫およびELISAスクリーニング用に分取した。これらの分割量を標識し、-20℃で貯蔵した。
【0088】
免疫
5匹のBalbCマウス集団に、200μlの1:1のフロイント完全アジュバント(シグマ)および本明細書で調製した600μlのIL-1R1の乳剤を皮下に免疫した。1回目の免疫の2週間後に、この集団に、元の注射と同体積および濃度のフロイント不完全アジュバント(シグマ)のみを代わりに用いた2回目の注射により免疫した。2回目の免疫の1週間後に、マウスに耳パンチ(NP、RP、LP、LRP、2LP)により目印を付けて、予備的結果を得るために試験採取血を本明細書に記載のようにスクリーニングした。2回目の免疫の3週間後に、集団に2回目の注射と同じ方法で3回目の免疫を行った。3回目の免疫の1週間後に、試験採取血をスクリーニングし、その後、RPの耳標を有するマウスを融合のために選択した。
【0089】
試験採取血のELISA
尾部採取血を5匹のBalbCマウス集団から取得し、8000rpm、室温で10分間の遠心分離を行った。各マウスから血清を収集し、スクリーニングと同じ日にプレートに加え、-20℃で貯蔵した。このスクリーニングを融合に好適なマウスを選択するために2回実施した。
【0090】
スクリーニングの前日に、1μg/mlのIL-1R1含有50mMのナトリウムカーボネートコーティング緩衝液(pH9.5)の100μl/ウェルを加えることによりMaxi Sorpプレートをコートした。APO-A1を同じコーティングバッファー中で1μg/mlに希釈することにより、別のコーティング溶液を調製した。2つのウェルに陽性および陰性の結果を示す各試料を添加することが可能なように、これらの溶液をプレートの交互の列に加えた。このプレートを4℃の静止状態で一晩インキュベートした。
【0091】
翌朝、コーティングバッファーを除去し、200μl/ウェルのブロッキング溶液(4.0%w/vのセミスキムミルク粉末、1xPBS)を加え、150rpm、室温下で2時間撹拌した。プレートをPBS-T(0.1%v/vのツイーン20)で3回洗浄した。PBSを各ウェルに100μl/ウェルで加え、1μlの各試験採取血血清を各陽性および陰性ウェルに加えた。プレートを150rpm(Grant Shaker)で2時間、室温でインキュベートした。その後、これらの試料を取り出し、PBS-Tで4回洗浄した。1:5000希釈GAM-HRP(シグマ、UK)の100μl/ウェルを加え、プレートを150rpmで撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。二次抗体を除去し、プレートをPBS-Tで4回、PBS中で1回洗浄した。100μl/ウェルのTMB基質溶液を加え、37℃で10分間インキュベートした。ウェル当り50μlの1M HClを加え、直ちにプレートをTecan Sunriseプレートリーダーを用いて450nmで読み取った。
【0092】
第2の試験採取血ELISAスクリーニング後に、RPの耳標を有するマウスを最大の陽性免疫応答を発現することにより、融合用として選択した。
【0093】
追加免疫注射
3回目で、最終免疫の1週間後に、追加免疫注射を、100μlの200μg/mlの分取IL-1R1を、アジュバントなしでBalbCマウスRPに投与した。
【0094】
融合F237
融合の1週間前に、SP2細胞を液体窒素から取り出し、1%Pen/Strep、1%L-グルタミンを補充した10%FCS DMEM中で、3x12mlのT75フラスコが融合を行う日に75%~90%の集密的になるまで継代培養した。融合の日に、フラスコをタッピングすることによりSP2細胞を取り出し、1000rpm、37℃で5分間遠心分離した。細胞を20mlのSFM DMEMに再懸濁し、再度遠心分離し、10mlのSFM DMEMに再懸濁した。SP2細胞をSFM中のステリリンチューブ中に37℃、6%CO2下で必要になるまで貯蔵した。
【0095】
安楽死後、最強の免疫応答を示したマウスから脾臓を無菌で取り出した。脾細胞を脾臓の両端を穿孔することにより細いゲージの注射針で抽出し、10~15mlのSFM DMEMでフラッシングした。脾細胞をステリリンチューブに移し、37℃、1300rpmで5分の遠心分離により20mlの無血清DMEMで2回洗浄し、穏やかに上清を除去した。脾細胞をステリリンチューブ中の10mlの無血清DMEMに再懸濁した。
【0096】
37℃で貯蔵したSP2細胞を用いて、SP2細胞を脾細胞に添加した。このSP2/脾細胞培養物を37℃、1300rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄後、1mlのPEGをSP2/脾細胞培養物に滴加し、その間、3分間にわたり連続的に撹拌した。1mlのSFM DMEMを融合混合物に加え、4分間撹拌した。10mlのSFM DMEMを新しい培養物に添加し、37℃の水浴中で5分間インキュベートした。その後、この細胞を37℃、1000rpmで5分間遠心分離した。ペレットを200mLのHATR培地中に再懸濁し、200μl/ウェルで10x 96ウェル培養プレートに播種し、これを、スクリーニングの前に、6%CO2下、37℃で11日間インキュベートした。
【0097】
融合後スクリーニングおよびLD後スクリーニング
融合の11日後、プロトクローンをELISAでスクリーニングした。20x Maxi Sorp96ウェルプレートを、1μg/mlのAPO-A1を用いて特異性の陰性対照として本明細書に記載のようにコートした。コーティング溶液を除去し、本明細書に記載のようにプレートをブロックした。160μlの上清を10個の融合プレート、限界希釈プレート、または24ウェルプレートの各ウェルから取り出し、50μlの1xPBS含有の新しい96ウェル培養プレートに移すことにより、試料を調製した。ブロッキングの2時間後に、ブロッキング溶液を取り除き、プレートをPBS-Tで3回洗浄した。各希釈プレートからの試料を100μl/ウェルの濃度で、コーティング抗原の特異性を明らかにするために、各希釈プレートからELISAプレートの2列毎に1列に添加することにより、ELISAプレートに加えた。ELISA毎に2つのウェルを陰性対照としての100μlの1xPBSと共にインキュベートした。これらの試料を150rpmで2時間、室温でインキュベートした。
【0098】
限界希釈
24ウェルプレート中でハイブリドーマ集団が増殖され、十分に成長すると、二次スクリーニングを実施し、限界希釈のラウンドで最も特異的で、最も高産生性集団を選択した。
【0099】
両方の限界希釈を1~3プロトクローンに対し、それぞれ、2~4x 96ウェルプレートに、200μl培養液/ウェル中の1細胞/ウェルで播種することにより実施した。24ウェルプレート中の各培養物を計数することにより、プレートを調製し、中間希釈として、10xに希釈し、その後、40ml中の200細胞に希釈した。培養物を200μl/ウェルで播種し、ウェルが80%~90%集密的になるまで、37℃、6%CO2で7~10日間、インキュベートさせた。両方の限界希釈の各ウェルを本明細書に記載のようにELISAによりスクリーニングした。
【0100】
最終クローン選択
第2の限界希釈後に、10種のクローンを24ウェルプレート中での増殖のために選択した。各クローンを、各ウェルが80%~90%集密的になるまで、37℃、6%CO2で6日間増殖させた。クローンが24ウェルプレート中で十分に確立されると、各クローンの1ml/ウェルを、凍結保存のために、5mlの新しい10%HATR DMEMを含むT25フラスコに移した。
【0101】
モノクローナル細胞株の凍結保存
クローンがT25フラスコ中で十分に確立されると(80%~90%集密度)、各5mlの培養物を1000rpm、37℃で5分間遠心分離し、1mlの新しい10%DMEM HATR培地中に再懸濁した。各1mlの培養物を1:1比率のFCS/DMSOの300μlを含むクライオバイアルに移した。このバイアルを密閉し、Mr.Frosty中に入れ、短期間の貯蔵のために、-70℃の冷凍庫に移した。
【0102】
配列決定のための細胞調製
クローンF237 5D1-1A8-2A5から産生した抗IL-1R1を配列決定のために選択した。T25フラスコ中で培養物が集密的になると、上清を廃棄した。2mlの新しい培地中への細胞の掻き取りにより細胞を取り出し、7,600rpm、室温で5分間遠心分離した。その後、上清を廃棄し、ペレットを液体窒素中で急速冷凍し、mRNA抽出の準備ができるまで-70℃中に置いた。
【0103】
免疫および試験採取血のスクリーニング
マウスのコロニーをIL-1R1免疫原(社内でCHO細胞中で産生)で免疫し、定期的な試験採取血を11週の期間にわたり取得した。ELISAを使って、試験採取血をIL-1R1 mAb発現レベルに関しスクリーニングし、pHrodo蛍光アッセイを用いて内部移行能力に関しスクリーニングした(Thermo Fisher Scientific,UK https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/P35369 and https://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/m4280?lang=en&region=GB)。
【0104】
結果試験
採取血1
2回目免疫の1週間後に、尾部採取血をそれぞれ5匹のマウスから取得し、産生されたポリクローナル抗体の融合に好適な動物および相対的特異度の決定のために、IL-1RおよびAPO-A1に対しスクリーニングした(
図2参照)。
【0105】
試験採取血2
尾部採取血からの血清のスクリーニング後に、RP耳標を有するマウスが、最良の免疫応答を示したために、その脾細胞の融合パートナーSP2培養物との融合のために選択された(
図3参照)。
【0106】
融合後スクリーニング
各プレートのウェルが70%~80%の集密度に達すると、ELISAにより、IL-1R1およびAPO-A1に対しプレートをスクリーニングした。最高の応答を生成するハイブリドーマ集団を24ウェルプレート中の増殖により選択した(
図4参照)。
【0107】
1回目の24ウェルプレートスクリーニング
クローンが、融合後スクリーニングから選択され、増殖とそれに続く、限界希釈の第1のラウンドに対し好適なプロトクローンを決定する二次スクリーニングのために24ウェルプレート中に整列された(
図5参照)。
【0108】
限界希釈法1スクリーニング
1回目の限界希釈プレートが集密的になると、ELISAにより、IL-1R1およびAPO-A1に対し限界希釈がスクリーニングされた。11種のハイブリドーマ集団が、最も高く、最も特異的応答を示した、F237 2H12、F237 5D1、およびF237 7E6から選択された。
【0109】
2回目の24ウェルプレートスクリーニング
クローンが24ウェルプレート中で集密的になると、各クローンは、IL-1R1およびAPO-A1に対してELISAによりスクリーニングされた。F237-5D1-1A8が、4x96ウェルプレートに全体にわたり2回目のラウンドの限界希釈に対し選択された(
図7参照)。
【0110】
限界希釈2スクリーニング
各プレートのウェルが70%~80%の集密度に達すると、ELISAにより、IL-1R1およびAPO-A1に対しプレートをスクリーニングした。最高の応答および最大の特異性を生成するハイブリドーマ集団を24ウェルプレート中の増殖および凍結保存のために選択した(
図8参照)。
【0111】
THP1細胞中へのIL-1R1の内部移行を免疫蛍光法により画像化した。
LPSおよびATPで処理してIL-1R1の発現を誘導したTHP1マクロファージから取得した蛍光顕微鏡画像である(
図10参照)。IL-1R1に対する試験抗体を含むいくつかの異なるマウス由来のマウス血清と共に細胞をインキュベートし、これをpHrodo(商標)色素(細胞内で蛍光を発する唯一の色素)に結合した。強力なIL-1R1免疫反応性がTHP1細胞の核および細胞質中で観察された。x×40倍率でのIL-1R1およびDAPI染色。対照細胞のみで処理された二次抗体では、染色は観察されなかった。画像は、2つの異なる実験で使用された4つの異なるウェル由来である。融合ハイブリドーマおよびクローニング段階に進めるために、最良のマウスが選択された。
【0112】
THP1マクロファージ(
図11参照)は、LPSおよびATPで処理され、IL-1R1の発現を誘導した。IL-1R1に対する試験モノクローナル抗体を含むいくつかのマウス由来のマウス血清と共に細胞をインキュベートし、これをpHrodo(商標)色素(細胞内で蛍光を発する唯一の色素)に結合し、フローサイトメトリーで分析した。対照二次抗体のみで処理した細胞(ii)に比べて、IL-1R1抗体処理細胞(i)中でより多くの蛍光が観察された。このデータおよび
図3からのデータを用いて、融合ハイブリドーマおよびクローニング段階に進めるために、最良のマウスが選択された。
【0113】
結論
このプロジェクトの目的は、IL-1R1に対する一連の抗体を産生することであった。マウスが免疫され、スクリーニングされると、RPが融合用として選択された。10個のモノクローナルハイブリドーマ細胞株が2回のラウンドの限界希釈から産生された。各集団は、IL-1R1に対する最高の生成および最高の特異性により選択された。これらの最終的細胞株は、凍結されており、この細胞株により発現された抗体は、配列決定される。
【0114】
実施例3:IL-1R1モノクローナル抗体配列決定
mRNAは、ハイブリドーマ細胞ペレットから抽出された。総RNAは、従来のRNA抽出プロトコルを用いてペレットから抽出された。細胞ペレットをRNA STAT-60試薬を用いてホモジナイズした。クロロホルムの添加時に、ホモジネートは水相と有機相に分離し、総RNAが水相に単離された。イソプロパノールを用いてRNAを沈殿させ、続けて、エタノール洗浄および水中への可溶化を行った。
【0115】
RT-PCR
オリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写によりRNAからcDNAを生成した。PCR反応は、可変ドメインプライマーを用いて設定し、次のバンド(
図12参照)を与えるモノクローナル抗体DNAのVHおよびVL領域の両方を増幅した
【0116】
VHおよびVL産物をInvitrogen配列決定ベクターpCR2.1に挿入し、TOP10細胞中に形質転換し、陽性形質転換体に対しPCRによりスクリーニングした。選択コロニーを採取し、ABI3130xl Genetic Analyzerで、DNA配列決定法により分析した。結果は下記に示す。
【0117】
配列決定結果
重鎖
V
Hアミノ酸配列アラインメント
【化10】
VH1.1(配列番号2)
VH1.4(配列番号3)
VH1.3(配列番号4)
VH2.1(配列番号5)
VH2.5(配列番号6)
VH2.3(配列番号7)
VH1.2(配列番号8)
VH2.4(配列番号9)
コンセンサス(配列番号7)
【0118】
【化11】
V
Hコンセンサスアミノ酸配列:
【化12】
可変ドメインは、太字で強調されている。
IMGTナンバリングシステムにより決定される相補性決定領域(CDR)には、下線を引いている(Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212(1999))(
図13参照)。
【0119】
図13のアミノ酸描影法の凡例:
青色網掛円は、抗体の大部分の疎水性である位置でのフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。
黄色網掛円は、プロリン残基である。
四角は、CDRの開始および終了位置でキーとなる残基である。
フレームワーク中の赤色のアミノ酸は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0120】
軽鎖
V
Lアミノ酸配列アラインメント:
【化13】
VK1.1(配列番号10)
VK1.5(配列番号11)
VK1.3(配列番号12)
VK1.4(配列番号13)
VK2.1(配列番号14)
VL2.6(配列番号15)
コンセンサス(配列番号12)
【0121】
【化14】
V
Lコンセンサスアミノ酸配列:
【化15】
可変ドメインは、太字で強調されている。
IMGTナンバリングシステムにより決定される相補性決定領域(CDR)には、下線を引いている(Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212(1999))(
図14参照)。
【0122】
図14のアミノ酸描影法の凡例:
青色網掛円は、抗体の大部分の疎水性である位置でのフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。
黄色網掛円は、プロリン残基である。
四角は、CDRの開始および終了位置でキーとなる残基である。
フレームワーク中の赤色のアミノ酸は、構造的に保存されたアミノ酸である。
VH配列決定結果:
VH1.1 DNA配列:
ATGGAATGGAGCTGTGTCATGCTCTTTCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCCTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTTTATCCACTGGCC(配列番号16)
VH1.1アミノ酸配列:
MEWSCVMLFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLA(配列番号2)
VH1.3 DNA配列:
ATGGGATGGAGCTGGGTCATGCTCTTTCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGACTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTTTATCCCTTGGCC(配列番号17)
VH1.3アミノ酸配列:
MGWSWVMLFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLA(配列番号4)
VH1.4 DNA配列:
ATGGAATGCAGCTGTGTAATGCTCTTTCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCCGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCA(配列番号18)
VH1.4アミノ酸配列:
MECSCVMLFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISRKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPSVFPLA(配列番号3)
VH2.1 DNA配列:
ATGGGTTGGGTGTGGAACTTGCTATTCCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGCTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTCTATCCACTGGTC(配列番号19)
VH2.1アミノ酸配列:
MGWVWNLLFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLV(配列番号5)
VH1.2 DNA配列:
ATGGATTGGGTGTGGACCTTGCCATTCCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号20)
VH1.2アミノ酸配列:
MDWVWTLPFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPSVYPLA(配列番号8)
VH2.3 DNA配列:
ATGGGTTGGGTGTGGAACTTGCCATTCCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTACCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGCACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTCTATCCATTGGCC(配列番号21)
VH2.3アミノ酸配列:
MGWVWNLPFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLA(配列番号7)
VH2.4 DNA配列:
ATGGATTGGCTGTGGAACTTGCCATTCCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCAACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTCTATCCACTGGCC(配列番号22)
VH2.4アミノ酸配列:
MDWLWNLPFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLA(配列番号9)
VH2.5 DNA配列:
ATGGGTTGGGTGTGGACCTTGCCATTCCTCATGGCAGCAGCTCAAAGTATCCAAGCACAGATCCAGTTGGTGCAGTCTGGACCTGAGCTGAGGAAGCCTGGAGAGACAGTCAGGATCTCCTGCAAGGCTTCTGGGTATCCCTTCACAACTGCTGGATTGCAGTGGGTACAGAAGATGTCAGGAAAGGGTTTGAAATGGATTGGCTGGATGAACACCCAGTCTGAAGTGCCAAAATATGCAGAAGAGTTCAAGGGACGGATTGCCTTCTCTTTGGAAACCGCTGCCAGTACTGCATATTTACAGATAAACAACCTCAAAACTGAGGACACGGCGACGTATTTCTGTGCGAAATCGGTCTATTTTAACTGGAGATATTTCGATGTCTGGGGTGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGACACCCCCACCCGTCTATCCCCTGGTC(配列番号23)
VH2.5アミノ酸配列:
MGWVWTLPFLMAAAQSIQAQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTPPPVYPLV(配列番号6)
【0123】
VL配列決定結果:
VK1.1 DNA配列:
ATGAGGGCCCCTGCTCAGTTTCTTGGGCTTTTGCTTCTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAAGA(配列番号24)
VK1.1アミノ酸配列:
MRAPAQFLGLLLLWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPK(配列番号10)
VK1.3 DNA配列:
ATGAGGTCCCCTGCTCAGTTCCTTGGGCTTTTGCTTTTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAA(配列番号25)
VK1.3アミノ酸配列:
MRSPAQFLGLLLFWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPK(配列番号12)
VK1.4 DNA配列:
ATGAGGTCCCCAGCTCAGTTTCTGGGGCTTTTGCTTTTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAGAGA(配列番号26)
VK1.4アミノ酸配列:
MRSPAQFLGLLLFWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPR(配列番号13)
VK1.5 DNA配列:
ATGAGGGCCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTTTTGCTTTTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAATATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTATCCCAAAGA(配列番号27)
VK1.5アミノ酸配列:
MRAPAQLLGLLLFWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLNINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPK(配列番号11)
VK2.1 DNA配列:
ATGGTATCCTCAGCTCAGTTCCTTGGACTTTTGCTTTTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAAA(配列番号28)
VK2.1アミノ酸配列:
MVSSAQFLGLLLFWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPK(配列番号14)
VK2.6 DNA配列:
ATGGTGTCCACAGCTCAGTTCCTTGGACTTTTGCTTTTCTGGACTTCAGCCTCCAGATGTGACATTGTGATGACTCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGACTCCAGGAGATAGAGTCTCTCTTTCCTGCAGGGCCAGCCAGAGTATTAGCGACTACTTATCCTGGTATCAACAAAGATCTCATGAGTCTCCAAGGCTTATCATCAAATATGCTTCCCAATCCATCTCTGGGATCCCCTCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGTCAGACTTCACTCTCAGTATCAACAGTGTGGAACCTGAAGATGTTGGAGTGTATTACTGTCAACATGGTCACAGCTTTCCGCTCACGTTCGGTTCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTTAACATCTGGAGGTGCCTCAGTCGTGTGCTTCTTGAACAACTTCTACCCCAGAGA(配列番号29)
VK2.6アミノ酸配列:
MVSTAQFLGLLLFWTSASRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPR(配列番号15)
【0124】
実施例4-NLRP3抗原合成
NLRP3インフラマソームの形成を抑制できる抗体応答を生成するNLRP3に対するペプチド(抗原)の設計
NLRP3インフラマソームは、哺乳動物細胞中で炎症性の刺激に反応して形成される不均一タンパク質複合体であり、その形成を調節し、弱める能力は、一連の炎症性疾患に対する重要な治療潜在力を有し得る。NALP3タンパク質配列由来の、NLRP3インフラマソーム複合体中の他のタンパク質成分へのNALP3の結合を遮断できる抗体を生成するはずのペプチドが設計される。
【0125】
NLRP3活性化は、NLRPタンパク質のASCとの自己集合により起こり、これは、CARD、PYDおよびカスパーゼ1ドメインのヘテロ複合体である。NLRP3およびASCは、それらそれぞれのPYDドメインを通して相互作用し、PYDドメインは、大きな比率の高度に保存された荷電アミノ酸残基を含み、これが相互作用して、静電相互作用を形成し、複合体を安定化する(
図15参照)。
【0126】
図16は、CLUSTAL0(1.2.4)を用いたヒトおよびマウスNALP(NLRP)タンパク質のC末端ドメインのコンセンサス配列の配列アラインメントを示す図である。赤は、部位特異的変異誘発によるNLRP/ASC相互作用に不可欠であると認められる残基を示す(Vajjhala et al,2012)。
【0127】
ペプチド選択は、広範に研究され、ASCとの相互作用に関与している1~61の配列領域に注力された(Vajjhala et al,2012)。この領域はまた、結晶学により十分にモデル化され、多くのPDB構造がこのドメインに対して利用可能である。PNLRP3のPYRドメインからなるPDBモデル3QF2を、最も有用なPDB構造的基準として選択した。初期ペプチド候補配列は、可能なエピトープとしての利便性および視認性、およびまた、マウスとヒト配列との間の類似性の程度を基準に選択されたが、他のNLRP変種との差異は保持された。これら初期の3種のペプチドは、NovaFoldを用いて、3D構造にモデル化された。
【0128】
NovaFold分析
NovaFoldは、I-TASSERアルゴリズム:テンプレートベーススレッディング(PDBから)および第一原理法の組み合わせを使用して、タンパク質またはペプチドの折り畳みを予測する3Dタンパク質モデル化ソフトウェアである。この状況では、親タンパク質内でインサイツ配列により示されることが既知のペプチド内の二次構造的特徴の存在を予測するために使用される。これは、親タンパク質内の折り畳みおよび近接度をベースにした関係を最も良く反映し、抗体中の免疫原性タンパク質の潜在能力を最大化するのを支援し、完全長タンパク質中の対応するエピトープに対する完全活性化抗体をもたらす、ペプチド配列の選択の最適化を支援できる。
【0129】
ペプチドのモデル化および整列
NovaFoldを用いて4種の別個の配列をモデル化し、得られた最高得点のモデルを評価した後、PDB:3QF2に示されるように、親NLRP3構造に整列させた。
【表6】
【0130】
モデル化および比較は、ペプチドFUS_746_001がペプチド免疫原として使用するのに好ましい候補であることを示す。親タンパク質のモデルと最大の整列を示すことに加えて、それは、二次構造の予測での高い類似性も示し、利用可能なエピトープ標的である。NovaFold予測構造を用いたペプチドFUS_746_001整列を
図17に示す。
【0131】
結論
ソフトウェアのモデル化は、常に、確定的ではなく、推奨として受け取られるべきであり、親分子内で見つかるべき強い二次構造的特徴が既知でない場合は特に、この基準で解釈されるべきである。しかし、これを念頭に置いても、このモデル化は、ペプチドFUS_746_001、配列EDYPPQKGCIPLPRGQTEKADHVD(配列番号30)は、親タンパク質への整列および予測された抗原性を基準にして、このプロジェクトの免疫原として選択するための最良の候補であろう。ペプチドはまた、マウスとヒト配列との間のほんのわずかの差異点を示し、これは、望ましい特徴でもある、これらの種間で交差反応性を許容し、他方で、他のNLRP型に対する交差反応性を最小化する、マウスの抗体応答の生成を支援する。注記:KLHへの架橋のためには、N末端Cys残基を付加することが推奨される。
参考文献
【0132】
Zhang,Y.,2008.I-TASSER server for protein 3D structure prediction.BMC Bioinformatics,23 Jan.9(40).
Vajjhala,P.R.,Mirams,R.E.,and Hill,J.M.(2012).Multiple binding sites on the pyrin domain of ASC protein allow self-association and interaction with NLRP3 protein.J.Biol.Chem.287,41732-41743.
【0133】
NLRP3抗原合成
bioSynthesis Inc,Texasにより、追加のC末端システイン残基を介して、マレイミドカップリングを用いてKLHに結合し、NLRP3ペプチドを合成した。
NLRP3免疫原を免役したマウスからの1回目の採取血のELISAスクリーニング結果(
図18参照)。
【0134】
実施例5-NLRP3に対するモノクローナル抗体の生成
5匹のマウス集団に免疫し、陽性免疫応答に関しスクリーニングされた。融合に好適する候補の選定後、脾細胞をパートナー細胞と融合して、ハイブリドーマ集団を産生した。この集団は、一連の限界希釈およびスクリーニングアッセイを受けて、完全なモノクローナル細胞株を産生した。
【0135】
細胞株命名法
産物名「F226 7A7-1E1-2D5」は、10種の選択したモノクローナルハイブリドーマ細胞株の1つを指す。名称は、各段階での産生経路を記述する要素からなる。融合後スクリーニングおよび各限界希釈から選択された各ハイブリドーマは、ハイブリドーマが選択されたプレート番号およびプレート上のウェル位置に相当する番号が付与された(すなわち、7A7-1E1-2D5)。この命名法は、それぞれ個別のハイブリドーマの由来を追跡し、スクリーニング過程の明確な区別を可能とする。
【0136】
【表7】
1これは融合およびスクリーニング後に全ての培養物に対し使用された培地である。
【0137】
【0138】
装置
・CO2細胞培養静置インキュベーター(SANYO)
・プレートリーダーSunrise(Tecan)
・Centurion Scientific K40R遠心分離機
・Grant-Bio Multishaker PSU 20
【0139】
方法
抗原調製
免疫原、NLRP3ペプチド-KLH複合体(bioSynthesis Inc,Texas)が受け入れられると、これらの溶液を無菌EF-PBS中で400μg/mlに希釈し、600μlを免疫用に、および150μlを追加免疫およびELISAスクリーニング用に分取した。これらの分割量を標識し、-20℃で貯蔵した。
【0140】
免疫
5匹のBalbCマウス集団に、200μlの1:1のフロイント完全アジュバント(シグマ)および本明細書で調製した600μlの分取量のNLRP3ペプチド-KLH複合体の乳剤を皮下に免疫した。1回目の免疫の2週間後に、この集団に、元の注射と同体積および濃度のフロイント不完全アジュバント(シグマ)のみを代わりに用いた2回目の注射により免疫した。2回目の免疫の1週間後に、マウスに耳パンチ(NP、RP、LP、LRP、2LP)により目印を付けて、予備的結果を得るために試験採取血を本明細書に記載のようにスクリーニングした。2回目の免疫の3週間後に、集団に2回目の注射と同じ方法で3回目の免疫を行った。3回目の免疫の1週間後に、試験採取血をスクリーニングし、その後、RPを融合のために選択した。
【0141】
試験採取血のELISA
尾部採取血を5匹のBalbCマウス集団から取得し、8000rpm、室温で10分間の遠心分離を行った。各マウスから血清を収集し、スクリーニングと同じ日にプレートに加え、-20℃で貯蔵した。このスクリーニングを融合に好適なマウスを選択するために2回実施した。
【0142】
スクリーニングの前日に、1μg/mlの遊離NLRP3ペプチド含有50mMのナトリウムカーボネートコーティング緩衝液(pH9.5)の100μl/ウェルを加えることによりMaxi Sorpプレートをコートした。APO-A1を同じコーティングバッファー中で1μg/mlに希釈することにより、別のコーティング溶液を調製した。2つのウェルに陽性および陰性の結果を示す各試料を添加することが可能なように、これらの溶液をプレートの交互の列に加えた。このプレートを4℃の静止状態で一晩インキュベートした。
【0143】
翌朝、コーティングバッファーを除去し、200μl/ウェルのブロッキング溶液(4.0%w/vのセミスキムミルク粉末、1xPBS)を加え、150rpm、室温下で2時間撹拌した。プレートをPBS-T(0.1%v/vのツイーン20)で3回洗浄した。PBSを各ウェルに100μl/ウェルで加え、1μlの各試験採取血血清を各陽性および陰性ウェルに加えた。プレートを150rpm(Grant Shaker)で2時間、室温でインキュベートした。その後、これらの試料を取り出し、PBS-Tで4回洗浄した。1:5000希釈GAM-HRP(シグマ、UK)の100μl/ウェルを加え、プレートを150rpmで撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。二次抗体を除去し、プレートをPBS-Tで4回、PBS中で1回洗浄した。100μl/ウェルのTMB基質溶液を加え、37℃で10分間インキュベートした。ウェル当り50μlの1M HClを加え、直ちにプレートをTecan Sunriseプレートリーダーを用いて450nmで読み取った。
【0144】
第2の試験採取血ELISAスクリーニング後に、RPを最大の陽性免疫応答を発現することにより、融合用として選択した。
【0145】
追加免疫注射
3回目で、最終免疫の1週間後に、追加免疫注射を、100μlの200μg/mlの分取IL-1Rを、アジュバントなしでBalbCマウスRPに投与した。
【0146】
融合F226
融合の1週間前に、SP2細胞を液体窒素から取り出し、1%Pen/Strep、1%L-グルタミンを補充した10%FCS DMEM中で、3x12mlのT75フラスコが融合を行う日に75%~90%の集密的になるまで継代培養した。
融合の日に、フラスコをタッピングすることによりSP2細胞を取り出し、1000rpm、37℃で5分間遠心分離した。細胞を20mlのSFM DMEMに再懸濁し、再度遠心分離し、10mlのSFM DMEMに再懸濁した。SP2細胞をSFM中のステリリンチューブ中に37℃、6%CO2下で必要になるまで貯蔵した。
【0147】
安楽死後、最強の免疫応答を示したマウスから脾臓を無菌で取り出した。脾細胞を脾臓の両端を穿孔することにより細いゲージの注射針で抽出し、10~15mlのSFM DMEMでフラッシングした。脾細胞をステリリンチューブに移し、37℃、1300rpmで5分の遠心分離により20mlの無血清DMEMで2回洗浄し、穏やかに上清を除去した。脾細胞をステリリンチューブ中の10mlの無血清DMEMに再懸濁した。
【0148】
37℃で貯蔵したSP2細胞を用いて、SP2細胞を脾細胞に添加した。このSP2/脾細胞培養物を37℃、1300rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄後、1mlのPEGをSP2/脾細胞培養物に滴加し、その間、3分間にわたり連続的に撹拌した。1mlのSFM DMEMを融合混合物に加え、4分間撹拌した。10mlのSFM DMEMを新しい培養物に滴加し、37℃の水浴中で5分間インキュベートした。その後、この細胞を37℃、1000rpmで5分間遠心分離した。ペレットを200mLのHATR培地中に再懸濁し、200μl/ウェルで10x 96ウェル培養プレートに播種し、これを、スクリーニングの前に、6%CO2下、37℃で11日間インキュベートした。
【0149】
融合後スクリーニングおよびLD後スクリーニング
融合の11日後、プロトクローンをELISAでスクリーニングした。20x Maxi Sorb96ウェルプレートを、1μg/mlのAPO-A1を用いて特異性の陰性対照としてセクション0で記載のようにコートした。コーティング溶液を除去し、本明細書に記載のようにプレートをブロックした。160μlの上清を10個の融合プレート、限界希釈プレート、または24ウェルプレートの各ウェルから取り出し、50μlの1xPBS含有の新しい96ウェル培養プレートに移すことにより、試料を調製した。ブロッキングの2時間後に、ブロッキング溶液を取り除き、プレートをPBS-Tで3回洗浄した。各希釈プレートからの試料を100μl/ウェルの濃度で、コーティング抗原の特異性を明らかにするために、各希釈プレートからELISAプレートの2列毎に1列に添加することにより、ELISAプレートに加えた。ELISA毎に2つのウェルを陰性対照としての100μlの1xPBSと共にインキュベートした。これらの試料を150rpmで2時間、室温でインキュベートした。
【0150】
限界希釈
24ウェルプレート中でハイブリドーマ集団が増殖され、十分に成長すると、二次スクリーニングを実施し、限界希釈のラウンドで最も特異的で、最も高産生性集団を選択した。
【0151】
両方の限界希釈を1~3プロトクローンに対し、それぞれ、2~4x 96ウェルプレートに、200μl培養液/ウェル中の1細胞/ウェルで播種することにより実施した24ウェルプレート中の各培養物を計数することにより、プレートを調製し、中間希釈として、10xに希釈し、その後、40ml中の200細胞に希釈した。培養物を200μl/ウェルで播種し、ウェルが80%~90%集密的になるまで、37℃、6%CO2で7~10日間、インキュベートさせた。両方の限界希釈の各ウェルをセクション0に記載のようにELISAによりスクリーニングした。
【0152】
最終クローン選択
第2の限界希釈後に、10種のクローンを24ウェルプレート中での増殖のために選択した。各クローンを、各ウェルが80%~90%集密的になるまで、37℃、6%CO2で6日間増殖させた。クローンが24ウェルプレート中で十分に確立されると、各クローンの1ml/ウェルを、凍結保存のために、5mlの新しい10%HATR DMEMを含むT25フラスコに移した。
【0153】
モノクローナル細胞株の凍結保存
クローンがT25フラスコ中で十分に確立されると(80%~90%集密度)、各5mlの培養物を1000rpm、37℃で5分間遠心分離し、1mlの新しい10%DMEM HATR培地中に再懸濁した。各1mlの培養物を1:1比率のFCS/DMSOの300μlを含むクライオバイアルに移した。このバイアルを密閉し、Mr.Frosty中に入れ、短期間の貯蔵のために、-70℃の冷凍庫に移した。
【0154】
配列決定のための細胞調製
クローンF226 7A7-1E1-2D5から産生した抗NLRP3を配列決定のために選択した。T25フラスコ中で培養物が集密的になると、上清を廃棄した。2mlの新しい培地中への細胞の掻き取りにより細胞を取り出し、7,600rpm、室温で5分間遠心分離した。その後、上清を廃棄し、ペレットを液体窒素中で急速冷凍し、mRNA抽出の準備ができるまで-70℃中に置いた。
【0155】
免疫および試験採取血のスクリーニング
マウスのコロニーをNLRP3ペプチド-KLH複合体(生物情報学でデザインし、bioSynthesis Inc,Texasにより合成)で免疫し、定期的な試験採取血を11週の期間にわたり取得した。その後、試験採取血を抗原に対しスクリーニングした。
【0156】
陽性マウスの特定時に、融合を実施し、次に、ハイブリドーマクローン由来の上清を検証した。その後、特異的抗体を限界希釈およびクローニングに供し、NLRP3に対する安定なハイブリドーマ細胞株を産生した。
【0157】
ELISAを用いて標的タンパク質-NLRP3-に対して抗体をスクリーニングし、少なくともバックグラウンドの3倍のシグナルを有するクローンを選択した。24個のクローンからの抗体を選択し、さらに社内試験を実施して、最良の6個のクローンを選出した。
【0158】
結果
試験採取血1
2回目免疫の1週間後に、尾部採取血をそれぞれ5匹のマウスから取得し、産生されたポリクローナル抗体の融合に好適な動物および相対的特異度の決定のために、非コンジュゲートNLRP3ペプチドおよびAPO-A1に対しスクリーニングした(
図19参照)。
【0159】
試験採取血2
尾部採取血からの血清のスクリーニング後に、2RPが、最良の免疫応答を示したために、その脾細胞の融合パートナーSP2培養物との融合のために選択された(
図20参照)。
【0160】
融合後スクリーニング
各プレートのウェルが70%~80%の集密度に達すると、ELISAにより、NLRP3ペプチドおよびAPO-A1に対しプレートをスクリーニングした。最高の応答を生成するハイブリドーマ集団を24ウェルプレート中の増殖により選択した(
図21参照)。
【0161】
1回目の24ウェルプレートスクリーニング
クローンが、融合後スクリーニングから選択され、増殖とそれに続く、限界希釈の第1のラウンドに対し好適なプロトクローンを決定する二次スクリーニングのために24ウェルプレート中に整列された。3個のクローンが選択され、限界希釈が調製された(
図22参照)。
【0162】
限界希釈法1スクリーニング
1回目の限界希釈プレートが集密的になると、ELISAにより、NLRP3ペプチドおよびAPO-A1に対し限界希釈がスクリーニングされた。31種のハイブリドーマ集団が、最も高く、最も特異的応答を示した、F226 5B7および7A7から選択された。3D4由来のクローンは好適しなかった(
図23参照)。
【0163】
2回目の24ウェルプレートスクリーニング
クローンが24ウェルプレート中で集密的になると、各クローンは、NLRP3ペプチドおよびAPO-A1に対してELISAによりスクリーニングされた。F226 5B7-1E10、5B7-1G2、7A7-1C4および7A7-1E1が、2x 96ウェルプレート全体にわたり2回目のラウンドの限界希釈に対しクローン毎に選択された(
図24参照)。
【0164】
限界希釈2スクリーニング
各プレートのウェルが70%~80%の集密度に達すると、ELISAにより、NLRP3ペプチドおよびAPO-A1に対しプレートをスクリーニングした。最高の応答および最大の特異性を生成する24種のハイブリドーマ集団を24ウェルプレート中の増殖および凍結保存のために選択した(
図25参照)。
【0165】
ドットブロット分析を
図26に示す。THP-1マクロファージ由来のタンパク質溶解物を用いてドットブロットを実施し、融合ハイブリドーマ細胞株(A25=陽性対照:市販の抗NLRP3モノクローナル抗体(R&D Systems)、A26=陰性対照:PBS)からの最良の24クローンから収集した抗NLRP3モノクローナル抗体含有上清を試験した。クローン6、11、15、16、18および20を選択し、ウェスタンブロッティングでさらに試験した。
【0166】
ウェスタンブロット分析を
図27に示す。THP-1マクロファージ由来のタンパク質溶解物を用いてウェスタンブロットを実施し、未処理(レーン1)およびLPSおよびATPで刺激した(レーン2、(タンパク質ラダーレーン3))融合ハイブリドーマ細胞株からの最良の6クローンから収集した抗NLRP3モノクローナル抗体含有上清を試験した。クローン18を、配列決定用に選択し、二重特異的モノクローナル抗体開発に使用した。
【0167】
結論
このプロジェクトの目的は、NLRP3インフラマソームの構築を妨害するのに機能的である、NLRP3に対する一連の抗体を産生することであった。マウスが免疫され、スクリーニングされると、2RPが融合用として選択された。24種のモノクローナルハイブリドーマ細胞株が2回のラウンドの限界希釈から産生された。各集団は、NLRP3に対する最高の生成および最高の特異性により選択された。クローンF226 7A7-1E1-2D5が、NLRP3構築の防止に対し最も活性であることがインビトロアッセイで示された。これらの最終的細胞株は、凍結されており、この7A7-1E1-2D5により発現された抗体は、二重特異的InflaMabの産生における次の段階のために配列決定される。
【0168】
実施例6-NLRP3モノクローナル配列決定
mRNAは、2016年2月23日に、ハイブリドーマ細胞ペレットから抽出された。総RNAは、Fusion Antibodies Ltdの自社製RNA抽出プロトコルを用いてペレットから抽出された(実施例3参照)。
【0169】
RT-PCR
オリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写によりRNAからcDNAを生成した。PCR反応は、可変ドメインプライマーを用いて設定し、次のバンド(
図28参照)を与えるモノクローナル抗体DNAのVHおよびVL領域の両方を増幅した
【0170】
VHおよびVL産物をInvitrogen配列決定ベクターpCR2.1に挿入し、TOP10細胞中に形質転換し、陽性形質転換体に対しPCRによりスクリーニングした。選択コロニーを採取し、ABI3130xl Genetic Analyzerで、DNA配列決定法により分析した。結果は下記に示す。
【0171】
配列決定結果
重鎖
V
Hアミノ酸配列アラインメント
【化16】
VH1.1(配列番号33)
VH3.7(配列番号34)
VH3.4(配列番号35)
VH3.1(配列番号36)
VH3.5(配列番号36)
VH3.8(配列番号36)
コンセンサス(配列番号36)
【0172】
【化17】
V
Hコンセンサスアミノ酸配列:
【化18】
可変ドメインは、太字で強調されている。
IMGTナンバリングシステムにより決定される相補性決定領域(CDR)には、下線を引いている(Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212(1999))(
図29参照)。
【0173】
図29のアミノ酸描影法の凡例:
青色網掛円は、抗体の大部分の疎水性である位置でのフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。
黄色網掛円は、プロリン残基である。
四角は、CDRの開始および終了位置でキーとなる残基である。
フレームワーク中の赤色のアミノ酸は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0174】
軽鎖
V
Lアミノ酸配列アラインメント:
【化19】
VL1.1(配列番号37)
VL1.6(配列番号38)
VL1.2(配列番号39)
VL1.7(配列番号40)
VL1.4(配列番号41)
VL1.5(配列番号42)
コンセンサス(配列番号43)
【0175】
【化20】
V
Lコンセンサスアミノ酸配列:
【化21】
可変ドメインは、太字で強調されている。
IMGTナンバリングシステムにより決定される相補性決定領域(CDR)には、下線を引いている(Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Research,27,209-212(1999))(
図30参照)。
【0176】
図30のアミノ酸描影法の凡例:
青色網掛円は、抗体の大部分の疎水性である位置でのフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。
黄色網掛円は、プロリン残基である。
四角は、CDRの開始および終了位置でキーとなる残基である。
フレームワーク中の赤色のアミノ酸は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0177】
VH配列決定結果:
VH1.1 DNA配列:
ATGAACTTCGGGTTGAGCTTGGTTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGCCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAG(配列番号44)
VH1.1アミノ酸配列:
MNFGLSLVFLVLVLKGAQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLK(配列番号33)
VH3.1 DNA配列:
ATGGACTTCGGGTTGAGCTGGGTTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAGTCTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTGCAAGAGGATGGGTTTCTACTATGGTTAAACTTCTTTCCTCCTTTCCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号45)
VH3.1 アミノ酸配列:
MDFGLSWVFLVLVLKGVQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLA(配列番号36)
VH3.4 DNA配列:
ATGGACTTCGGGCTGAGCAGGGTTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAGTCTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTGCAAGAGGATGGGTTTCTACTATGGTTAAACTTCTTTCCTCCTTTCCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号46)
VH3.4 アミノ酸配列:
MDFGLSRVFLVLVLKGVQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLA(配列番号35)
VH3.5 DNA配列:
ATGGACTTCGGGCTGAGCTGGGTTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAGTCTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTGCAAGAGGATGGGTTTCTACTATGGTTAAACTTCTTTCCTCCTTTCCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号47)
VH3.5 アミノ酸配列:
MDFGLSWVFLVLVLKGVQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLA(配列番号36)
VH3.7 DNA配列:
TTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAGTCTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTGCAAGAGGATGGGTTTCTACTATGGTTAAACTTCTTTCCTCCTTTCCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号48)
VH3.7 アミノ酸配列:
FLVLVLKGVQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLA(配列番号33)
VH3.8 DNA配列:
ATGGACTTCGGGCTGAGCTGGGTTTTCCTTGTCCTTGTTTTAAAAGGTGTCCAGTGTGAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGACTCCGGAAAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTGATGGTGGTACTTACACCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACAACCTTTACCTGCAAATGAACAGTCTGAAGTCTGAGGACACAGCCATGTATTACTGTGCAAGAGGATGGGTTTCTACTATGGTTAAACTTCTTTCCTCCTTTCCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACGACACCCCCATCTGTCTATCCACTGGCC(配列番号49)
VH3.8 アミノ酸配列:
MDFGLSWVFLVLVLKGVQCEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLA(配列番号36)
【0178】
VL配列決定結果:
VL1.1 DNA配列:
ATGGCCTGGATTTCTCTTATATTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAGTAGGTGGTACCAACAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTTCCCACCCTCCACTGAAGAGCTAAGCTTGGG(配列番号50)
VL1.1アミノ酸配列:
MAWISLIFSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLVGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLFPPSTEELSL(配列番号37)
VL1.2 DNA配列:
ATGGCCTGGACTTCACTCTTACTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTACCAACAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTGCCCGCCCTCCTCAGAGAAGCTAAGCTTGGG(配列番号51)
VL1.2アミノ酸配列:
MAWTSLLLSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLCPPSSEKLSL(配列番号39)
VL1.4 DNA配列:
ATGGCCTGGATTCCTCTTTTATTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTACCAACAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCATAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTTCCCGCCCTCCTTAGAAAAGCTTAGCTTGGG(配列番号52)
VL1.4アミノ酸配列:
MAWIPLLFSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTIIGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLFPPSLEKLSL(配列番号41)
VL1.5 DNA配列:
ATGGCCTGGATTTCACTTTTACTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTACCAACAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTTTCCACCCTCCACAGAAGAGCTAAGCTTGGG(配列番号53)
VL1.5アミノ酸配列:
MAWISLLLSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLFPPSTEELSL(配列番号42)
VL1.6 DNA配列:
ATGGCCTGGATTTCACTTATCTTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTACCAGCAACCGAGCTCCAGGTGTTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTACCCGCCCTCTACAAAGGAGCTTAGCTTGGG(配列番号54)
VL1.6アミノ酸配列:
MAWISLIFSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTSNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLYPPSTKELSL(配列番号38)
VL1.7 DNA配列:
ATGGCCTGGACTTCTCTCTTATTCTCTCTCCTGGCTCTCAGCTCAGGGGCCATTTCCCAGGCTGTTGTGACTCAGGAATCTGCACTCACCACATCACCTGGTGAAACAGTCACACTCACTTGTCGCTCAAGTACTGGGGCTGTTACAACTAGTAACTATGCCAACTGGGTCCAAGAAAAACCAGATCATTTATTCACTGGTCTAATAGGTGGTACCAACAACCGAGCTCCAGGTGCTCCTGCCAGATTCTCAGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCTGCCCTCACCATCACAGGGGCACAGACTGAGGATGAGGCAATATATTTCTGTGCTCTATGGTACAGCAATTATTGGGTGTTCGGTGGAGGAACCAAACTGACTGTCCTAGGCCAGCCCAAGTCTTCGCCATCAGTCACCCTGTGCCCGCCCTCTACAGAAAAGCTAAGCTTGGG(配列番号55)
VL1.7アミノ酸配列:
MAWTSLLFSLLALSSGAISQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGAPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPKSSPSVTLCPPSTEKLSL(配列番号40)
【0179】
実施例7-InflaMab設計-IL-1R1およびNLRP3の両方に対する二重特異性抗体の開発
モノクローナル抗体IL-1R1およびNLRP3の可変ドメイン配列の配列を決定した。
【0180】
IgG2aマウス定常ドメイン配列を有するIL-1R1抗体を用いて抗体を構築した短いリンカーを重鎖のC末端に付加し、リンカー(GGGGS)3を有するscFvフォーマットのNLPR3可変ドメインを結合して二重特異性を作り出した。DNAおよびアミノ酸配列は以下で見つけることができる。
【0181】
構築物をATUMベクターpD2610-v5に挿入し、配列決定のより検証した。
図31は、InflaMabの二重特異性設計およびプラスミドマップを示す。
【0182】
設計した二重特異性抗体配列
軽鎖DNA配列:
ATGGTCAGCTCTGCTCAATTTCTCGGACTCCTTCTTCTGTGCTTTCAAGGAACACGCTGCGATATTGTGATGACCCAGTCCCCCGCCACCCTGTCCGTGACTCCGGGCGACCGGGTGTCCCTGTCGTGCCGGGCATCACAGAGCATCTCCGACTACCTGTCGTGGTACCAGCAGAGATCACACGAGAGCCCTCGCCTGATCATCAAATACGCCAGCCAGTCAATCTCCGGCATCCCCTCGCGGTTCTCCGGGTCCGGTTCCGGCTCCGACTTCACACTGTCCATTAACTCCGTGGAACCTGAGGACGTGGGAGTGTACTACTGTCAACACGGCCATTCGTTCCCGCTGACTTTCGGGTCGGGAACCAAGCTGGAATTGAAGAGGGCGGACGCGGCCCCTACCGTGTCAATTTTCCCACCGAGCTCCGAACAGCTCACCAGCGGCGGTGCCTCGGTCGTGTGCTTCCTCAACAACTTCTATCCAAAAGACATTAACGTCAAGTGGAAGATCGATGGATCGGAGAGACAGAACGGAGTGCTGAACAGCTGGACTGATCAGGACTCCAAGGATTCGACCTACTCCATGAGCTCCACTCTGACCCTGACCAAGGACGAATACGAGCGGCACAATTCCTACACTTGCGAAGCCACCCACAAGACCTCAACGTCCCCCATCGTGAAGTCCTTCAACCGCAACGAGTGTTGATAA(配列番号56)
軽鎖アミノ酸配列:
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC**(配列番号57)
重鎖DNA配列:
ATGGGCTGGACCCTCGTGTTCCTGTTCCTGCTGAGCGTGACGGCGGGCGTGCACTCCCAAATCCAGCTTGTGCAGTCCGGACCCGAGCTCAGGAAGCCGGGCGAAACTGTGCGCATCAGCTGCAAGGCTTCAGGGTACCCTTTCACCACCGCCGGGCTGCAATGGGTGCAGAAGATGTCCGGGAAGGGTCTGAAGTGGATCGGATGGATGAACACCCAGTCCGAAGTGCCTAAATACGCCGAAGAATTCAAGGGCCGCATTGCGTTCAGCCTGGAGACAGCCGCCTCGACCGCGTACCTTCAGATCAACAATCTCAAGACTGAGGACACTGCCACCTACTTCTGTGCCAAGAGCGTGTACTTCAACTGGAGATACTTCGACGTGTGGGGCGCCGGAACCACCGTGACCGTGTCCAGCGCCAAGACTACCGCCCCGAGCGTGTACCCTCTGGCGCCAGTGTGCGGCGACACGACTGGCAGCTCGGTGACCTTGGGCTGCCTCGTGAAGGGTTACTTCCCCGAGCCCGTGACTCTGACTTGGAACTCGGGCTCACTGTCGTCCGGAGTGCATACCTTCCCGGCTGTGCTGCAAAGCGACCTCTATACCTTGTCATCGTCCGTGACTGTGACCTCCTCCACCTGGCCGTCCCAGAGCATCACCTGTAATGTCGCCCACCCTGCTTCATCGACTAAGGTCGACAAGAAGATCGAGCCCAGAGGACCTACCATCAAGCCCTGCCCGCCCTGCAAATGCCCGGCCCCAAACTTGCTGGGAGGGCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCGAAAATCAAGGACGTGCTGATGATCTCCCTGAGCCCAATTGTCACTTGCGTGGTGGTGGATGTGTCCGAAGATGACCCAGATGTGCAGATTTCATGGTTCGTGAACAACGTCGAAGTCCATACCGCACAGACCCAGACCCACCGCGAGGATTACAACTCGACGCTGCGCGTCGTCAGCGCCCTGCCGATTCAGCACCAGGATTGGATGAGCGGAAAGGAATTCAAGTGCAAAGTCAACAACAAGGACCTTCCGGCGCCGATCGAACGGACCATCTCGAAGCCTAAGGGATCAGTGCGGGCGCCTCAGGTCTACGTGCTCCCGCCTCCGGAAGAGGAAATGACCAAGAAACAAGTCACCCTGACTTGCATGGTCACCGACTTCATGCCTGAGGACATCTATGTGGAGTGGACTAACAACGGAAAGACTGAACTGAACTACAAAAACACCGAACCAGTGCTGGACTCTGACGGCTCCTACTTCATGTACTCGAAGCTGCGGGTGGAGAAGAAAAACTGGGTGGAACGAAACTCCTACTCGTGTTCCGTGGTGCACGAGGGTCTGCACAACCACCATACCACCAAGTCCTTCTCCCGGACCCCCGGAAAGGGATCCGCCGGGGGATCCGGAGGGGACTCCGAAGTGCAACTGGTGGAGTCGGGTGGCGGACTCGTGAAGCCCGGGGGGTCATTGAAGCTTTCCTGTGCTGCCTCCGGTTTCACTTTCTCCGACTATTACATGTACTGGGTCAGACAGACCCCGGAGAAGCGGCTCGAATGGGTGGCCACCATTTCGGACGGTGGAACCTACACTTACTACCCTGACTCCGTCAAGGGCCGGTTTACTATCTCCCGCGACAACGCGAAGAACAATCTGTACCTCCAAATGAACTCCCTGAAGTCCGAGGACACCGCCATGTACTATTGCGCAAGGGGATGGGTCAGCACTATGGTCAAGCTGCTGTCATCCTTCCCTTACTGGGGACAGGGAACCCTTGTGACTGTGTCAGCCGGTGGCGGGGGGTCGGGCGGCGGCGGTTCCGGTGGAGGGGGATCCCAGGCCGTCGTGACCCAAGAGTCGGCTCTGACTACTTCACCCGGAGAAACCGTGACCCTGACATGCCGCTCCTCCACTGGCGCAGTGACCACGAGCAATTACGCCAACTGGGTGCAGGAAAAGCCCGATCACCTGTTCACTGGACTCATTGGGGGAACCAACAACCGGGCGCCGGGCGTGCCCGCTCGGTTTAGCGGCTCCCTGATTGGAGACAAGGCCGCCCTGACTATCACCGGAGCCCAGACCGAAGATGAAGCCATCTACTTTTGCGCACTCTGGTACTCTAACTACTGGGTGTTTGGCGGCGGAACCAAGCTGACTGTGCTCGGACAGCCGAAGTGATAAAA(配列番号58)
重鎖アミノ酸配列:
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGKGSAGGSGGDSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPK**(配列番号59)
【0183】
実施例8-InflaMab(IL-1R1およびNLRP3に対して二重特異性)一過性発現
目標は、InflaMabベクターDNAのExpiCHO細胞への一過性遺伝子導入を実施することであった。培養後、発現したInflaMabを培養上清から精製し、QC分析を精製タンパク質に対し実施した。
【0184】
InflaMabは、軽鎖の2つの対および重鎖の2つの対から構成され、N末端に融合されたscFvドメインを有し、ジスルフィド結合を介して一緒に複合体化された、210キロダルトン(kDa)の二重特異的マウス抗体である。InflaMabをコードする哺乳動物発現ベクターをExpiCHO細胞に遺伝子導入した。その後、発現した抗体を、Protein A親和性クロマトグラフィーを介して清澄化培養上清から精製した。精製抗体の濃度をNanoDrop Lite、ThermoFisherを用いて測定し、純度をSDS-PAGEにより評価した。
【0185】
配列
InflaMabのアミノ酸配列をコードするDNAを合成し、哺乳動物一過性発現プラスミドpD2610-v5(Atum)に挿入した。
プラスミドInflaMab:
>InflaMab軽鎖(理論MW=26.7kDa)
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQSPATLSVTPGDRVSLSCRASQSISDYLSWYQQRSHESPRLIIKYASQSISGIPSRFSGSGSGSDFTLSINSVEPEDVGVYYCQHGHSFPLTFGSGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号57)
>InflaMab重鎖(理論MW=79.3kDa)
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQIQLVQSGPELRKPGETVRISCKASGYPFTTAGLQWVQKMSGKGLKWIGWMNTQSEVPKYAEEFKGRIAFSLETAASTAYLQINNLKTEDTATYFCAKSVYFNWRYFDVWGAGTTVTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGKGSAGGSGGDSEVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVATISDGGTYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMNSLKSEDTAMYYCARGWVSTMVKLLSSFPYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSQAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNYWVFGGGTKLTVLGQPK(配列番号59)
【0186】
CHO細胞の一過性遺伝子導入
懸濁適応(Suspension adapted)ExpiCHO細胞(Thermo Fisher,UK)を通常の方法で、37℃、8%CO2下、135rpmで撹拌しながら、500mlのエルレンマイヤーベントフラスコ中で、2~3日毎に1.0~3.0x105個の細胞/mlで培養した。Purelink Hipure plasmid filter maxiprep kit(Thermo Fisher,UK)を用いて、製造業者の説明書に従って、遺伝子導入用のプラスミドDNAを単離した。Nano Drop Lite光度計を用いて、製造業者の説明書に従い、DNAを定量した。
【0187】
遺伝子導入の24時間前に、ExpiCHO細胞を4.0x106個の細胞/mlの濃度でExpiCHO発現培地中に播種し、135rpm、37℃、8%CO2下で、一晩増殖させた。遺伝子導入の日に、250mlのExpiCHO細胞をExpiCHO発現培地中で最終密度の6.0x106個の細胞/mlに希釈した。1.0μg/mlのプラスミドDNAおよび0.32%(v/v)Expifectamine CHO試薬(Thermo Fisher)を、4%(v/v)OptiPro SFM(Thermo Fisher)中に別々に希釈した。Expifectamine CHO/Optipro複合体をプラスミドDNA/Optipro複合体に滴加した。遺伝子導入混合物をExpiCHO細胞に直ちに添加した。遺伝子導入した細胞を135rpm、37℃、8%CO2下で一晩インキュベートした。
【0188】
遺伝子導入の20時間後、培養物に0.6%(v/v)ExiCHOエンハンサー(Thermo Fisher,UK)および24%ExpiCHOフィード(Thermo Fisher,UK)を補充した。細胞の生存率を厳密に監視し、室温、4000rpmで40分間の遠心分離により8日目に培養物を回収した。
【0189】
InflaMabの精製
AKTA(GE Healthcare)クロマトグラフィー装置を用いて精製を行った。使用前に、1MのNaOHを用いて全てのAKTA装置を完全に消毒した。遠心分離後に、濾過した(0.22μm)細胞培養上清を1mlのHiTrap Protein Aカラム(洗浄バッファーと平衡化されている)を備えたAKTAシステムに適用した。充填後、カラムを20カラム体積の洗浄バッファーで洗浄した。結合抗体を10カラム体積の溶出バッファーで段階溶出した。全ての溶出画分をトリスpH9.0バッファーで中和した。溶出ピークに相当する溶出画分をPBSへの一晩の透析のために選択した。抗体の純度は、SDSポリアクリルアミドミディゲルにより判定して、>95%であった。
【0190】
SDS-PAGE分析(
図32参照)
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動(SDS PAGE)を精製された抗体に対し標準的方法で実施した。分子量マーカーは、キロダルトンで示される。
図32のレーンは次の通りである:
【表10】
【0191】
InflaMabは、SDSポリアクリルアミドゲルの分析により判定して、≧95%である。還元条件下で、抗体の重鎖および軽鎖の両方は、目視可能であり、それぞれ約80および27kDaの予測された分子量で観察された。非還元条件の場合は、ただ1つのより大きいバンドおよびいくつかのより小さいバンドが観察された。追加のバンド(不純物)は、非グリコシル化されたIgGおよびIgG分解生成物の結果の可能性がある(例えば、単一の[部分的]軽鎖、2つの重鎖および1つの軽鎖、2つの重鎖、2つの重鎖と1つの軽鎖の組み合わせ)。
【0192】
精製されたInflaMabの評価
精製されたInflaMabをNanoDrop Lite 分光光度計および吸光係数330、685M
-1cm
-1(または1.0mg/ml=A280の1.7[MW=184,276Daを仮定して])を用いて、製造業者の説明書に従って定量した。0.3リットルの遺伝子導入細胞培養上清から合計17.5mgのInflaMabを精製した。
【表11】
【0193】
まとめ:InflaMab
材料:精製抗体
起源:チャイニーズハムスター(学名:モンゴルキヌゲネズミ)卵巣細胞株(ハムスターまたは動物成分添加せず)で産生
【表12】
無害、非感染性。研究用途限定。
【0194】
InflamabはIL-1β放出を防止する(
図33aおよびb参照)。
図33aおよびbに関し、THP1細胞は、96ウェルプレート中、100,000個の細胞/200μlの完全培地で培養された。PMA(100μg/mlで72時間)を用いてTHP-1細胞をマクロファージに分化させた。24時間の静置後、分化したTHP1細胞をLPS(1μg/ml)で3時間刺激し、MCC950(1μM)または0.0025ng/ml~2.5ng/mlの用量依存方式でIL-1R1/NLRP3 Abを用いて(
図33a)、またはIL-1R1/NLRP3 Ab(1nM)を用いて(
図33b)、またはIgG対照抗体を用いて、30分間処理し、続けて、ATP(5mM)で1時間処理した。上清中のIL-1β放出をELISAにより測定した。
【0195】
InflaMabはTHP1細胞中のカスパーゼ1の活性化を防止する(
図34参照)。
図34に関し、THP1細胞は、96ウェルプレート中、100,000個の細胞/200μlの完全培地で培養された。PMA(100μg/mlで72時間)を用いてTHP-1細胞をマクロファージに分化させた。24時間の静置後、分化したTHP1細胞をLPS(1μg/ml)で3時間刺激し、IL-1R1/NLRP3 Ab(1μg/ml)を用いて30分間処理し、続けて、ATP(5mM)で1時間処理した。カスパーゼ1の非細胞傷害性蛍光標識阻害剤(FAM-FLICA)およびDAPI(核染色)を用いて細胞を染色することにより、カスパーゼ1活性化を評価した。細胞をLPS単独(陰性対照)、LPS+ATP(陽性対照)、マウスIgG2a(1μg/ml、Ab対照)、またはIL-1r/NLRP3二重特異的Ab(1μg/ml、実験用)で処理した。各群の代表的共焦点画像を示す。緑色=活性カスパーゼ1および青色=Dapi/核染色。
【0196】
Inflamabの内部移行(
図35参照)。
図35に関し、THP1細胞は、96ウェルプレート中、100,000個の細胞/200μlの完全培地で培養された。THP1細胞の分化は、PMA(100μg/mlで72時間)により誘導された。24時間の静置後、分化したTHP1細胞をLPS(1μg/ml)で3時間刺激し、pHrodo red標識IL-1r/NLRP3 Ab(1μg/ml)を用いて30分間処理し、続けて、ATP(5mM)で1時間処理した。内部移行した場合のみに蛍光を発するpHrodo red標識二重特異的Abを用いて、Abの内部移行を追跡した。(A)代表的共焦点画像は、分化したTHP1細胞中のpHrodo red標識二重特異的Abの内部移行を示す。(B)代表的共焦点画像は、Abを内在化させなかったTHP1細胞(緑色のみ)と比較して、二重特異的Ab(赤色、白色矢印)を内部移行させたTHP1細胞中のカスパーゼ1活性化(緑色)の有意な減少を示す。
【0197】
実施例9-アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患のためのInflaMab
材料および方法
BMDMインビトロ培養
骨髄細胞をC57BL/6マウスの脛骨および大腿骨から単離した。骨髄由来樹状細胞(BMDC)を得るために、細胞を37℃、5%CO2下、8%ウシ胎仔血清(FCS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GE Healthcare Life Sciences,Marlborough,MA,USA)、1%glutamax(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)および20μMのβ-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中、20ng/mlのgm-CSF(Preprotech,Rocky Hill,NJ,USA)の存在下で7日間培養した。骨髄由来マクロファージ(BMDM)を得るために、細胞を、10%FCS、100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシン、0.1mMの非必須アミノ酸、1%のピルベートおよび2mMのL-グルタミン(Thermo Fisher Scientific)を補充したRoswell Park Memorial Institute培地(RPMI)中、20ng/mLのm-CSF(eBioscience)の存在下で7日間培養した。
【0198】
インフラマソーム活性化アッセイ
インビトロ刺激のために、0.1x106細胞/ウェルを96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One,Kremsmunster,Austria)に加えた。細胞は、最初に、LPS(50ng/mL)で2時間初回刺激を受け、その後、MCC950(1μM、Adipogen,San Diego,US)の存在下または非存在下でコレステロール結晶(2mg/mL)を追加の4時間にわたり添加された。上清を、製造業者のプロトコルによる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いたサイトカイン産生の分析に使用した。
【0199】
インビボLPS攻撃
雌apoE-/-マウスに、0.25%のコレステロールおよび15%のカカオバター(SDS,Sussex,UK)を含む西洋型食餌を治療の1週間前および実験期間中を通して与えた。食餌および水を自由に摂取させた。食餌供給の1週間後、マウスの腹腔内注射により、10日目および14日目にPBSまたはInflaMab(100μgまたは200μg)を投与した。食餌の2週後、および1週間治療マウスの静脈内にLPS(50μg/kg、サルモネラミネソタR595、List Biological Laboratories Inc.)を投与し、0.5、1、2および4時間後に血液を収集した。4時間後にマウスを屠殺し、IL-1βおよびTNF-αの血清レベルをELISAで測定した。
【0200】
アテローム性動脈硬化症
雌apoE-/-マウスに、0.25%のコレステロールおよび15%のカカオバター(SDS,Sussex,UK)を含む西洋型食餌を手術の2週間前および実験期間中を通して与えた。食餌供給の2週後、以前に記載(von der Thusen et al,Circulation.2001;103(8):1164-1170)のように、これらのマウス中に血管周囲カラーを留置することにより、頸動脈プラーク形成を誘導した。病変発生の4週間の間、マウスにPBS(対照)またはInflaMab(100μg)を週3回注射した。実験中を通して、毎週マウスの体重を測定し、血液試料を尾静脈経由で取得した。酵素比色分析法(Roche/Hitachi,Mannheim,Germany)を用いて血清中の総コレステロールレベルを決定した。Precipath(Roche/Hitachi)を内部標準として用いた。Accu-Check血糖計(Roche Diagnostics,Almere,The Netherlands)を用いて、マウスの空腹時血糖値を、InflaMabによる治療開始の2週後に測定した。脂質プロファイリングのために、3匹のマウスからプールした血清試料を使用し(n=3試料/群)、これを6倍に希釈し、血漿リポタンパク質の分画をAKTA-FPLCを用いて実施した。各画分では、コレステロールCHOD-PAP(Roche,Woerden,The Netherlands)試薬と共にインキュベーションすることにより、総コレステロールレベルを決定した。吸光度は、492nmで測定した。
【0201】
治療の4週後、マウスを麻酔し、インサイツ潅流した後、頸動脈を収集し、OCT化合物(TissueTek;Sakura Finetek,The Netherlands)中で凍結し、-80℃で貯蔵した。(免疫)組織学的解析解析のために、Leica CM 3050Sクライオスタット(Leica Instruments)を用いて、近位方向で10μmの横断凍結切片を調製した。
【0202】
組織学および形態計測
凍結切片を通常の方法で、ヘマトキシリン(Sigma-Aldrich,Zwijndrecht,The Netherlands)およびエオシン(Merck Diagnostica,Darmstadt,Germany)を用いて染色した。頸動脈のヘマトキシリン-エオシン染色切片を用いて形態計測分析(Leica Qwin image analysis software)を実施した。各頸動脈に対し、動脈のカラー近位の病変の初出位置から病変の完全消失位置まで、病変サイズを100μm毎に定量化した。解析した切片の数は、マウス毎に5~15切片の範囲であり、それから平均プラークサイズおよびプラーク体積を計算した。最大プラークサイズを有する切片を最大狭窄を有するプラークとしてアノテートした。頸動脈中の病変含量の定量化のために、最大病変を有する4個の連続した断面を使用した。脂質含量を決定するために、切片をOil-Red-O(Sigma-Aldrich)で染色した。ラットモノクローナルMOMA-2抗体(Serotec,Kidlington,Oxford,UK)を用いて、病変のマクロファージ含量を評価した。シリウスレッド染色(Sigma-Aldrich)を用いてコラーゲンを可視化した。ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ(Sigma-Aldrich)を用いた凍結切片の染色により、マスト細胞および好中球を可視化した。最大の病変数を含む2つの連続した断面中のマスト細胞および好中球の数をマニュアルで評価した。Leica DM-RE顕微鏡(Leica Microsystems Inc.,Wetzlar,Germany)を用いて、MOMA-2およびコラーゲン陽性面積をLeica Qwin画像解析ソフトウエアにより定量化した。全ての形態計測分析を盲検オペレーターにより実施した(T.v.d.H.)。
【0203】
フローサイトメトリー
屠殺時に、血液および脾臓を単離し、70μmのセルストレーナーを通して臓器をすり潰すにすることにより、単細胞懸濁液を得た。ACK溶解バッファー(0.15MのNH4Cl、1mMのKHCO3、0.1mMのNa2EDTA、pH7.3)を用いて血液および脾細胞懸濁液から赤血球を取り除いた。免疫細胞集団をフローサイトメトリーにより関連抗体を用いて解析した(表4)。細胞を指示マーカーに対する抗体および生死細胞判定用の固定可能細胞生存率測定用試薬780と共にインキュベートした。全ての抗体は、eBioscienceおよびBD Biosciencesから購入した。フローサイトメトリー解析は、FACSCanto II(Beckton Dickinson,Mountain View,CA)で実施し、取得したデータはFlowJoソフトウェアを使って解析した。
【表13】
【0204】
結果
この試験では、InflaMabが、マクロファージ由来のマウス骨髄からのIL-1β分泌を特異的に、用量依存的に抑制することを示した。特異性は、これらの同じ細胞で、TNFαの分泌に対して効果がないことを観察することにより、確認した(
図36参照)。InflaMabはまた、apoe-/-マウスで示されるように、インビボでのIL-1β分泌を特異的に抑制することも示した。特異性は、これらのマウスではTNFαの分泌に対して効果がないことを観察することにより、確認した(
図37参照)。
【0205】
InflaMabは、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患において疾患修飾作用を有することをさらに示した。InflaMabは、アテローム性動脈硬化症のapoe-/-マウスモデルで、プラークのインビボ発達のサイズを抑制することも明らかになった。この試験では、頸動脈プラークの断面は、プラークの開始部から末端まで、80μm毎に作成された。これらのプラークのサイズは、平方μmで測定され、各プラークからの最も大きい病変(最大狭窄)、およびこれらのプラークの平均サイズ(平均プラークサイズ)も同様にプロットした(
図38参照)。
図38aは、病変サイズの減少に向かう傾向を示し、
図38は、病変サイズの有意な減少(約35%)を示す。
【0206】
下記の表5および6は、中膜サイズ(中膜平滑筋層のサイズ)を示す列を含み、予測通り、これに対し効果は示されていない。管腔サイズは、血流のためにまだ開いている動脈の領域であり、対照IgGに比べて、InflammAb(InflaMab)群でほとんどの場合有意に大きい。プラークがInflammAb群ではより小さいので(「プラーク」の列参照)、これは道理にかなう。総血管面積は、プラーク+中膜+管腔であり、従って、総血管表面の領域であり、これは、InflammAb群と、対照IgGとの間で差異はない。このため、我々は、動脈の外向きのリモデリングは存在しないと結論付けることができ、これは、肯定的な発見である。
【表14】
【表15】
【0207】
これらのマウスの心臓は、大動脈根プラーク分析および組織学、例えば、マクロファージ含量の調査のために、切片が作成される。屠殺時に、単球サブセットのために、血液、脾臓および腹膜細胞に対しフローサイトメトリー分析が実施される。血漿コレステロールレベルを含む他の測定が実施される。マウス重量%および全身白血球レベル(血液学分析)を測定したが、InflaMabと対照群との間の差異は認められなかった。
【0208】
まとめると、これらの結果は、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患を予防/治療するために、InflaMabの使用を支持する証拠を提供する。実際に、これらのデータは、InflaMabがまた、プラーク破裂のリスクを低減し、急性冠症候群および/または心筋梗塞を防止し得ることを示唆する。
【0209】
NLRP3インフラマソームは、アテローム性動脈硬化症および従って冠動脈疾患、プラーク破裂および急性冠症候群/心筋梗塞に結びつけられてきた(下記の裏付けを与える参考文献を参照されたい)。NLRP3インフラマソームは、特殊な形の細胞死、ピロネクローシス(Bergsbaken et al.2009)(カスパーゼ1とは独立)およびパイロトーシス(Willingham et al.2007)に関連付けられており、これらは、悪化した炎症の場合に起こり得る。従って、抗NLRP3療法はまた、このような細胞死経路を減らすと思われ、この経路は、アテローム性動脈硬化症などの特定の疾患の病因に関与することが知られている。パイロトーシスは、心臓イベントに繋がる酸化型LDLに反応する、この疾患のプラーク破綻のリスク因子である(Lin et al.2013)。プラークサイズ、可能なプラーク破裂および可能な心臓イベントを低減するためのNLRP3インフラマソームの標的化は、従って、正当化される。
【0210】
InflaMabは、BMDM中のIL-1β分泌を抑制する(
図36参照)。二重特異的IL-1R1/NLRP3抗体であるInflaMabは、骨髄由来マクロファージ(BMDM)からのIL-1βを用量依存的に抑制する。BMDMは、LPS(50ng/ml)で3時間刺激され、MCC950で(もしくはMCC950無しで)またはInflamabで30分処理され、続けて、ミョウバン(50μg/ml)で1時間処理された。上清中のIL-1β放出をELISAにより測定した。
【0211】
IL-1βは、LPS攻撃によりインビボで抑制されるが、TNFαは抑制されない(
図37参照)。雌apoE-/-マウスは、西洋型食餌の1週間後、腹腔内注射により、PBSまたはInflaMab(100μgまたは200μg)を10日目および14日目に投与された。食餌の2週後、および1週間治療マウスの静脈内にLPS(50μg/kg)を投与し、(a)IL-1β、および(b)TNFαをELISAで測定した。
【0212】
アテローム性動脈硬化症調査:InflaMabは、アテローム性動脈硬化症インビボapoe-/-モデルで、プラークサイズをインビボで低減させる(
図38参照)。雌apoE-/-マウスに西洋型食餌供給の2週後、血管周囲カラーを留置することにより、頸動脈プラーク形成を誘導した。マウスに、PBSまたはInflaMab(100μgまたは200μg)を週3回、4週間にわたり腹腔内注射した。その後、冷凍切片を作製するために、頸動脈を収集した。各頸動脈に対し、動脈のカラー近位の病変の初出位置から病変の完全消失位置まで、病変サイズを80μm毎に定量化した。
【0213】
本発明は、本明細書で記載の実施形態に限定されるのもではないが、本発明の範囲を逸脱することなく、修正または変更できる。
【配列表】