(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】母乳来由の新規なラクトバチルスロイテリLM1071菌株、及び上記菌株又はその培養物を含む月経前症候群緩和用組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240709BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20240709BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240709BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20240709BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A61K35/747
A61P15/00
A61P7/10
A61P25/04
A61P29/00
A61P1/14
A61P1/04
A61P1/10
A61P1/12
A61P25/24
A61P25/20
A61P43/00 112
A23L33/135
(21)【出願番号】P 2022548806
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 KR2022001091
(87)【国際公開番号】W WO2022173143
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0018249
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCCM KCCM12650P
(73)【特許権者】
【識別番号】520077997
【氏名又は名称】ラクトメイソン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ラク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウ ジョン
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0136454(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2136522(KR,B1)
【文献】国際公開第2020/262755(WO,A1)
【文献】特表2020-516684(JP,A)
【文献】J Anim Sci Technol,2020年,62(6),p.864-874
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
Google/Google Scholar
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中のNO(nitric oxide)生成量を低減するためのNO生成量低減剤であって、
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を有効成分として含むNO生成量低減剤。
【請求項2】
血中のプロスタグランジンE2の分泌量を低減するための分泌量低減剤であって、
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を有効成分として含む分泌量低減剤。
【請求項3】
血中のプロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の割合を増加させるための増加剤であって、
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を有効成分として含む増加剤。
【請求項4】
血中のロイコトリエン生成を低減するためのロイコトリエン生成低減剤であって、
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を有効成分として含むロイコトリエン生成低減剤。
【請求項5】
血中のエポキシエイコサトリエン酸(EET)生成を増加させるためのEET生成増加剤であって、
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を有効成分として含むEET生成増加剤。
【請求項6】
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、前記菌株の培養物、破砕
物のうち1つ以上を有効成分として含む、生理痛緩和用食品組成物。
【請求項7】
ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、前記菌株の培養物、破砕
物のうち1つ以上を有効成分として含む、月経前症候群予防又は治療用薬学組成物。
【請求項8】
前記月経前症候群は、浮腫、乳房痛、消化障害、頭痛、腰痛、下腹痛、腹部膨満、便秘、下痢、鬱病及び不眠症からなる群より選択された1つ以上である、請求項7に記載の月経前症候群予防又は治療用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、母乳来由のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、それを含む月経前症候群緩和用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
月経前症候群(premenstrual syndrome、PMS)は、月経前に繰り返し発生する情緒的、行動的、身体的な症状を特徴とする一連の症状群であり、生理痛などの様々な身体的症状と気分の変動、憂鬱感、不安、攻撃性などの心理的変化などが伴われる。このような症状は排卵後に徐々に悪化していき、月経開始1週間前に最も酷くなり、月経が始まれば数日以内になくなる。
【0003】
代表的な身体的症状の特徴のうち生理痛は、妊娠可能な女性が閉経期に至るまで誰もが毎月周期的に経験する一般的な婦人科系症状であり、女性の生理週期において珍しくない症状である。
【0004】
韓国の女性を対象にした研究結果によると、77~94%が生理痛を訴えている。彼女らのうち47%は毎月生理痛を経験しており、53.2%は程度の酷い生理痛を経験していると回答し、生産職の女性の場合、生理痛により活動に制約を受けているという回答が46%であった。外国の場合も生理痛の有病率が60~93%と高く、42%は程度の酷い生理痛を経験していると回答した。女子生徒のうち10~50%は、生理痛のため学校生活を含む日常の活動に制約を受けていると回答しており、職場の場合、生理痛による被害を推算した結果、毎年6億時間の勤労損失と20億ドルの生産性損失があると言う。
【0005】
よって、生理痛に係わる因子の変化や機転についての研究結果は、月経前症候群関連食品素材、健康機能食品素材、医薬品などへの開発に関する十分な根拠資料として活用され得る。
【0006】
プロラクチンの変化により月経前症候群緩和のための組成物を開発した例として、麦芽抽出物から分離した化合物を有効成分に含む月経前症候群症状改善用組成物(大韓民国登録特許第10-2187335号)などがある。しかし、月経前症候群緩和と係わって優れた効果を示す組成物に対する深度ある開発及び様々な研究が依然として必要な実情である。
【0007】
そこで、本発明者らは、月経前症候群を緩和することのできる優れた組成物を開発するために鋭意努力した結果、NO、プロスタグランジンE2、ロイコトリエンを低減し、血中のプロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の生成割合及びエポキシエイコサトリエン酸(EET)を増加させる新規な菌株を開発して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、新規な母乳来由ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、上記菌株を含む月経前症候群緩和用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の第1の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を提供する。
【0011】
本願の第2の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、当該菌株の培養物、破砕物、抽出物のうち1つ以上を有効成分として含む、生理痛緩和用食品組成物を提供する。
【0012】
本願の第3の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、当該菌株の培養物、破砕物、抽出物のうち1つ以上を有効成分として含む、月経前症候群予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願の一具現例に係るラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)は、血中のNO、プロスタグランジンE2、ロイコトリエンを低減し、プロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の生成割合及びエポキシエイコサトリエン酸(EET)を増加させることにより、月経前症候群を緩和することができるので、上記菌株は、食品組成物、健康機能食品組成物、薬学組成物などに応用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】大食細胞において、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるNO(nitric oxide)分泌量の変化を示す図である。
【
図2】大食細胞において、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるPGE2分泌量の変化を示す図である。
【
図3】大食細胞において、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるPGE1分泌量の変化を示す図である。
【
図4】大食細胞において、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるPGE1/PGE2の割合の変化を示す図である。
【
図5】ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるLTB4分泌量の変化を示す図である。
【
図6】ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株によるEET分泌量の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付した図面を参照しながら、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本願を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0016】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。本願の明細書全体において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために正確あるいは絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。本願の明細書全体において使用される程度の用語「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0018】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、上記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0019】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0020】
以下では、添付した図面を参照しながら本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。しかし、本願がこのような具現例及び実施例と図面に限定されるものではない。
【0021】
本願の第1の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)を提供する。
【0022】
本願の一具現例において、上記菌株は、血中のNO生成量を低減しても良い。
【0023】
本願の明細書全体において使用される用語「NO(nitric oxide)」は、「酸化窒素」あるいは「一酸化窒素」と呼ばれ、窒素が酸化された形態の化合物のことを言う。細胞内においてアミノ酸であるアルギニンから形成され、一種のシグナル伝逹物質として免疫作用、血管拡張及びシグナル伝達などの様々な生理活性に関与する。また、TNF-α及びIL-6のような炎症性サイトカインの分泌を促進して炎症及び痛症を誘発するものと知られている(Huなど、2020)。
【0024】
よって、本願のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株は、NO生成量を低減し、これにより、生理痛緩和の効果を奏し得ることが分かる。
【0025】
本願の一具現例において、上記菌株は、血中のプロスタグランジンE2を低減しても良い。
【0026】
本願の明細書全体において使用される用語「プロスタグランジン(prostaglandin)」は、月経中に分泌されるホルモンの一種であり、子宮を収縮させて子宮内膜が剥がれ落ちる際の経血を体外に円滑に押し出す働きをするものを言う。
【0027】
プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase、COX)システムを利用してアラキドン酸がプロスタグランジンに変換されたものであり、アラキドン酸がプロスタグランジンG2に変換され、その後、プロスタグランジンH2に変換されながら様々な生理活性を持つプロスタグランジンを作ることができる。また、プロスタグランジンは、炎症及び痛症の原因となる物質として報告されている(Jayeshなど、2020)。
【0028】
本願の明細書全体において使用される用語「PGE2(プロスタグランジンE2)」は、「ジノプロストン」とも呼ばれ、オキシトシン特性を有する自然発生プロスタグランジンのことを言う。
【0029】
PGE2は、PGE2受容体に結合されたG proteinにより損傷した組職又は細胞において炎症媒介による痛症を誘発し(Treutleinなど、2018)、中枢神経系及び末梢神経系を刺激する(Grφschなど、2017)。
【0030】
よって、本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、血中のプロスタグランジンE2を低減し、これにより、生理痛緩和の効果を奏し得ることが分かる。
【0031】
本願の一具現例において、上記菌株は、血中のプロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の割合を増加させても良く、具体的に、上記菌株は、プロスタグランジンE2に対するプロスタグランジンE1の生成割合を増加させても良い。
【0032】
本願の明細書全体において使用される用語「PGE1(プロスタグランジンE1)」は、「アルプロスタジル」とも呼ばれ、体内で血管を拡張する役割をする自然発生プロスタグランジンのことを言い、平滑筋の弛緩及び炎症性サイトカインの分泌減少によって痛症緩和の効果があることが知られている(Gezginci-Oktayogluなど、2016)。
【0033】
PGE1/PGE2(PGE2に対するPGE1)の生成割合は、女性の月経前症候群に関する食品医薬品安全処のガイドライン内での主要な指標であり、割合が増加すれば月経前症候群の治療に関する機能を含有していると判断される。
【0034】
よって、本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、血中のプロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の生成割合を増加させ、これにより、生理痛緩和及び月経前症候群に効果を奏し得ることが分かる。
【0035】
本願の一具現例において、上記菌株は、血中のロイコトリエンを低減しても良い。
【0036】
本願の明細書全体において使用される用語「ロイコトリエン(leukotriene、LT)」は、5-リポキシゲナーゼ(5-lipoxygenase)によりアラキドン酸が代謝されて生成したエイコサノイド(eicosanoid)ファミリの炎症性媒介物質のことを言い、炎症反応及び血管損傷などを誘発する物質として知られている(Tunctanなど、2019)。そこで、アラキドン酸の代謝への作用抑制を通じた炎症及び痛症緩和のための研究が持続的に報告されている(Chengなど、2019;Jayeshなど、2020)。
【0037】
よって、本願のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株は、血中のロイコトリエンを低減し、これにより、生理痛緩和の効果を奏し得ることが分かる。
【0038】
本願の一具現例において、上記菌株は、血中のエポキシエイコサトリエン酸(EET)を増加させても良い。
【0039】
本願の明細書全体において使用される用語「エポキシエイコサトリエン酸(epoxyeicosatrienoic acid、EET)」は、シグナル伝逹分子であって、アラキドン酸のように炭素20個の不飽和脂肪酸から2つの経路を介して形成される物質のことを言う。エポキシエイコサトリエン酸は、NK-kBの活性を抑制してIL-6のような炎症性サイトカインの増加を防止し、Peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)の活性を促進して炎症を媒介するものと知られている(Tunctanなど、2019)。
【0040】
よって、本願のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株は、血中のエポキシエイコサトリエン酸を増加させ、これにより、生理痛緩和の効果を奏し得ることが分かる。
【0041】
本願の一具現例において、上記菌株は、生理痛を緩和するものであっても良く、具体的に、上記菌株は、生理痛緩和用食品組成物、健康機能食品組成物、薬学組成物など、様々な組成物に含まれても良い。
【0042】
本願の第2の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、上記菌株の培養物、破砕物、抽出物のうち1つ以上を有効成分として含む、生理痛緩和用食品組成物を提供する。第1の側面と重複する内容は、第2の側面の食品組成物にも共に適用される。
【0043】
本願の明細書全体において使用される用語「緩和」は、上記組成物の投与により生理痛が軽減したり、関連症状が好転する全ての行為を意味する。
【0044】
本願の一具現例において、上記組成物は、生理痛を緩和するものであっても良く、具体的に、血中のNO、プロスタグランジンE2、ロイコトリエンを低減し、血中のプロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の生成割合及びエポキシエイコサトリエン酸(EET)を増加させることによって生理痛を緩和しても良い。
【0045】
本願の一具現例において、上記組成物は、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株、その生菌体、その死菌体、その培養物、その破砕物及び/又はその抽出物を含んでいても良い。
【0046】
本願の明細書全体において使用される用語「死菌体」は、生菌の反対概念であり、醗酵により得られた生菌と代謝産物を熱処理などによって菌を成長できなくした形態を意味する。死菌体は、細胞質(cytoplasm)、細胞壁(cell wall)、バクテリオシン(bacteriocin)などの抗菌活性物質、多糖類(polysaccharide)、有機酸などを含んでいても良い。上記死菌体を利用した製品は、生菌製品と比べて安全性が高く、特に耐熱性に優れており、外部環境に対する安全性が高く、既存の生菌製品よりも保管が容易で、流通期間を延ばすことができるという長所がある。また、抗生剤の使用に対する規制が強化されているため、代替品としての活用性と、まだ死菌体製品の生産に本格的に参入した会社が数えるほどしかないため、市場性と成長可能性が非常に高い。
【0047】
本願の明細書全体において使用される用語「培養物」は、本願の菌株を公知になった液体培地又は固体培地で培養させることにより得られたモノを意味し、「培養液」と混用して使用されても良い。
【0048】
本願の明細書全体において使用される用語「食品」は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能食品及び健康食品などがあり、通常の意味での食品を全て含む。
【0049】
本願の明細書全体において使用される用語「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律第6727号による人体に有用な機能性を持つ原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」というのは、人体の構造及び機能に対し栄養素を調節することや生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。
【0050】
本願の食品は、当業界において通常使用される方法により製造可能であり、上記製造の際は、当業界において通常添加する原料及び成分を添加して製造しても良い。また、上記食品の剤形も、食品として認められる剤形であれば制限なしに製造されても良い。本発明の食品用組成物は、様々な形態の剤形に製造されても良く、一般薬品とは異なり食品を原料としているので、薬品の長期服用時に生じ得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れているので、本発明の食品は、場内環境改善の効果を増進させるための補助剤として攝取可能である。
【0051】
上記健康食品(health food)は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。場合によって、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用され得る。具体的に、上記健康機能食品は、本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株を飲料、茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加したり、カプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品であり、これを摂取する場合に健康上特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品とは異なり食品を原料としているので、薬品の長期服用時に生じ得る副作用がないという長所がある。
【0052】
本願の食品組成物は、日常的に摂取することが可能なため、鬱病の改善について高い効果が期待できるので、非常に有用に使用されることができる。
【0053】
上記食品組成物は、生理学的に許容可能な担体をさらに含んでいても良いが、担体の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野において通常使用されている担体であれば何でも使用することができる。
【0054】
また、上記食品組成物は、食品組成物に通常使用され、匂い、味、視覚などを向上させることのできる追加成分を含んでいても良い。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含んでいても良い。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クリュム(Cr)などのミネラルを含んでいても良い。また、リジン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含んでいても良い。
【0055】
また、上記食品組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(さらし粉と高度さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜窒酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、シクラメート、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(ミョウバン、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡止め剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含んでいても良い。上記添加物は、食品の種類によって選別され、適切な量で使用しても良い。
【0056】
本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、そのまま添加するか、他の食品又は食品成分と共に使用しても良く、通常の方法により適切に使用しても良い。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康又は治療的処置)に応じて適合に決定しても良い。一般的に、食品又は飲料の製造時に、本発明の食品組成物は、食品又は飲料に対して50重量部以下、具体的に、20重量部以下の量で添加しても良い。しかし、健康及び衛生を目的に長期間取る場合は上記範囲以下の含量を含んでいても良く、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は上記範囲以上の量で使用しても良い。
【0057】
本願の食品組成物の一例に、健康飲料組成物として使用しても良く、この場合、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含んでいても良い。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド;マルトース、スクロースのようなジサッカライド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド;キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであっても良い。甘味剤は、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用しても良い。上記天然炭水化物の割合は、本発明の健康飲料組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.04g、具体的に、約0.02~0.03gであっても良い。
【0058】
上記した他にも、健康飲料組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール又は炭酸化剤などを含んでいても良い。その他に、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、又は野菜飲料を製造するための果肉を含んでいても良い。このような成分は、独立に又は混合して使用しても良い。このような添加剤の割合は特に重要ではないが、本発明の健康飲料組成物100重量部当たり0.01~0.1重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0059】
本願の食品組成物は、場内環境改善の効果を示すことさえできれば本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株を様々な重量%で含んでいても良く、具体的に、本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株を食品組成物の総重量に対して0.00001~100重量%又は0.01~80重量%で含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0060】
本願の一具現例において、上記食品組成物は、健康機能食品組成物であっても良い。
【0061】
本願の第3の側面は、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株(KCCM12650P)、上記菌株の培養物、破砕物、抽出物のうち1つ以上を有効成分として含む、月経前症候群予防又は治療用薬学組成物を提供する。第1の側面及び第2の側面と重複する内容は、第3の側面の薬学組成物にも共に適用される。
【0062】
本願の一具現例において、上記組成物は、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株、その生菌体、その死菌体、その培養物、その破砕物及び/又はその抽出物を含んでいても良い。
【0063】
本願の明細書全体において使用される用語「治療」は、本願のラクトバチルスロイテリLM1071菌株を有効成分として含む薬学組成物を月経前症候群が発病した個体に投与することで、月経前症候群の症状を好転させるか、良くなるようにする全ての行為を意味する。
【0064】
本願の一具現例において、上記組成物は、月経前症候群を治療又は予防するものであっても良く、具体的に、血中のNO、プロスタグランジンE2、ロイコトリエンを低減し、プロスタグランジンE1/プロスタグランジンE2の生成割合及びエポキシエイコサトリエン酸(EET)を増加させることによって月経前症候群を治療又は予防しても良い。
【0065】
本願の明細書全体において使用される用語「月経前症候群」は、月経前に繰り返し発生する情緒的、行動的、身体的な症状を特徴とする一連の症状群のことを言い、浮腫、乳房痛、消化障害、頭痛、腰痛、下腹痛、腹部膨満、便秘、下痢、鬱病及び不眠症などがある。
【0066】
本願の一具現例において、上記薬学組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤又は滅菌注射溶液の形態に製剤化して使用しても良いが、これに限定されるものではない。
【0067】
本願の一具現例において、上記薬学組成物を製剤化する場合、一般的に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、又は界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤されても良いか、これに限定されるものではない。
【0068】
本願の一具現例において、経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、又はカプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、上記菌株の死菌体に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、又はゼラチンなどを交ぜて調剤されても良い。また、例えば、単なる賦形剤の他にも、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤を使用しても良いが、これに限定されるものではない。
【0069】
本願の一具現例において、経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが当たり、良く使用される単なる希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれても良いが、これに限定されるものではない。
【0070】
本願の一具現例において、非経口投与のための製剤としては、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤が含まれても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記非水性溶剤又は懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記坐剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されても良いが、これに限定されるものではない。
【0071】
本願の一具現例に係る薬学組成物は、医薬品組成物又は医薬部外品組成物であっても良い。
【0072】
本願の明細書全体において使用される用語「医薬部外品」は、ヒトや動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置又は予防する目的で使用される物品のうち、医薬品よりも作用が軽微な物品を意味するものであり、例えば、薬事法によると、医薬部外品とは、医薬品の用途で使用される物品を除くものであり、ヒト・動物の疾病の治療や予防に使用される製品、人体への作用が軽微であるか、直接作用しない製品などが含まれる。
【0073】
本願の上記医薬部外品組成物は、ボディクレンザー、消毒清潔剤、洗浄剤、キッチン用洗浄剤、掃除用洗浄剤、歯磨き粉、うがい剤、ウェットティッシュ、洗剤、石鹸、ハンドウォッシュ、ヘア洗浄剤、ヘア柔軟剤、加湿器充填剤、マスク、軟膏剤及びフィルタ充填剤からなる群より選択される剤形に製造しても良いが、これに限定されるものではない。
【0074】
本願の一具現例において、上記薬学組成物は、薬剤学的に有効な量で投与されても良いが、本願の用語「薬剤学的に有効な量」とは、医学的治療又は予防に適用可能な合理的な受恵/危険率で疾患を治療又は予防するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、疾患の重症度、薬物の活性、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物感受性、使用された本発明の組成物の投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、使用された本発明の組成物と配合又は同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野において良く知られた要素によって決定しても良い。本願の薬学組成物は、単独で投与するか、公知になった腸疾患に対して治療効果を示すと知られている成分と併用して投与しても良い。上記要素を全て考慮し、副作用なく最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要である。
【0075】
本願の一具現例において、上記薬学組成物の投与量は、使用目的、疾患の中毒度、患者の年齢、体重、性別、既往歴、又は有効成分として使用される物質の種類などを考慮して当業者が決定しても良い。例えば、本発明の薬学組成物は、成人1人当たり約0.1ng~約1,000mg/kg、好ましくは1ng~約100mg/kgで投与しても良く、本願の組成物の投与頻度は、これに限定されるものではないが、1日1回投与するか、あるいは用量を分割して数回投与しても良い。上記投与量又は投与回数は、どのような面からも本願の範囲を限定するものではない。
【0076】
本願の薬学組成物は、特にこれに限定されるものではないが、目的とするところによって腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経皮パッチ投与、経口投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などの経路を通じて投与しても良い。但し、経口投与の際は、剤形化されていない形態で投与しても良く、胃酸によって上記ラクトバチルスロイテリLM1071菌株が変性又は分解され得るため、経口用組成物は、活性薬剤をコーティングするか、胃での分解から保護されるように剤形化された形態又は経口用パッチ形態で口腔内に投与しても良い。また、上記組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与されても良い。
【0077】
以下、本願の実施例を参照しながら本発明をより詳しく説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するだけであり、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0078】
[実施例]
ラクトバチルスロイテリLM1071を含む月経前症候群緩和組成物の製造
本実施例に係るラクトバチルスロイテリLM1071菌体は、回分式培養法により製造された。
【0079】
上記乳酸菌の培養は、100Lの醗酵槽(Kobiotech)において培養液の総量60Lで実施し、撹拌速度は30rpm、温度は30℃~37℃、pHは5~6.5に維持した。培養の後、培養液を13,000rpmで30分間遠心分離して菌体を回収した。回収された菌体は、凍結保護剤と混合して超低温冷凍庫において24時間凍結し、最終的に凍結乾燥過程を通じて菌体(ラクトバチルスロイテリLM1071)が得られた。
【0080】
RAW264.7細胞培養及び細胞毒性実験
RAW264.7大食細胞は、10%のFBSが含まれたRPMI1640に培養した。また、細胞毒性実験のために、1×10
5cells/wellの濃度で96well plateにseedingした。LPSで刺激されたRAW264.7細胞に、ラクトバチルスロイテリLM1071を4つの異なる濃度(10、20、30、40 μg /mL)で処理した。細胞培養液は廃棄し、培養された細胞を利用して細胞毒性実験を行い、そのために、EZ-Cytox Cell Viability Assay Kit (Daeil Labservice、Korea)を使用した。Cell proliferation ratio(%)は、次のような数式により決定した。
【数1】
【0081】
本願の新規な菌株であるラクトバチルスロイテリLM1071(Lactobacillus reuteri LM1071、寄託機関:韓国微生物保存センター、受託番号:KCCM12650P、受託日:2019年12月31日)の生理痛緩和効果を確認するために、下記のような実験を行った。
【0082】
実施例1:乳酸菌処理によるnitric oxide(NO)の生成量変化の確認
大食細胞RAW264.7cellを利用したNOの生成能を測定するために、RAW264.7cellを96well plateに1×105cells/wellで分注し、24時間37℃、5%のCO2条件のインキュベータで培養した。24時間後、各濃度のラクトバチルスロイテリLM1071を添加し、24時間37℃、5%のCO2条件のインキュベータで培養した後、培養上澄液100μLにGriess reagentを添加し、10分間室温に放置した後、ELISA plate readerを使用し、540nmにおいて吸光度を測定した。NOの代謝体であるnitriteの濃度は、sodium nitriteを利用して得られた標準曲線から計算した。
【0083】
陽性対照群(LPS処理群)を100%にしてラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071(KCCM12650P)処理群と比較した結果、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株処理によるNO発生の有意な減少を確認した(p<0.05)。ラクトバチルスロイテリLM1071を各々10、20、30及び40μg/mL処理することによるNO発生量が陽性対照群に対して各々87.57、63.28、14.26及び8.22%となり、NO生成が減少したことが確認された(
図1を参照)。
【0084】
上記結果を基に、本願のラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株は、NO生成量を減少させ、生理痛緩和に効果を示すことが確認された。
【0085】
実施例2:乳酸菌処理によるプロスタグランジン(prostaglandin)分泌量の変化確認
RAW264.7大食細胞は、PGE1とPGE2の生成能とPGE1/PGE2の割合分析のために、10%のFBSが含まれたRPMI1640に培養した。また、ELISA分析のために、1×105cells/wellの濃度で96well plateにseedingした。LPSで刺激されたRAW264.7細胞に、ラクトバチルスロイテリLM1071を4つの異なる濃度(10、20、30、40μg/mL)で処理した。PGE1(プロスタグランジンE1)とPGE2(プロスタグランジンE2)の生成及び割合(PGE1/PGE2)は、培養された細胞培養液を利用してELISA kit(Enzo Life Sciences、USA)により分析した。
【0086】
実験の結果、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)LM1071菌株の実験群においては、PGE2の分泌量が各々291.16、224.23、135.13及び71.06pg/mLであり(10、20、30及び40μg/mL乳酸菌粉末処理)、PGE2の分泌量が有意に減少したことが確認された(
図2を参照)。
【0087】
また、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株の実験群は、10、20、30及び40μg/mLの処理濃度においてPGE1の分泌量を3467.35、3062.71、2668.48及び2434.98pg/mLに減少させ、40μg/mLの処理濃度で陽性対照群(LPS処理対照群)に対して28.37%減少した(
図3を参照)。
【0088】
最終的に、PGE1及びPGE2の割合を通じて相対的なPGE2の分泌変化を確認し、その結果、ラクトバチルスロイテリLM1071はPGE1/PGE2の割合を34.31まで増加させ得ることが確認された(
図4を参照)。
【0089】
従って、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、発痛物質であるPGE2を低減し、月経前症候群に係わる主要な指標であるPGE1/PGE2の生成割合の増加により、生理痛緩和及び月経前症候群に効果を示すことが確認された。
【0090】
実施例3:乳酸菌処理によるロイコトリエン(leukotriene、LTB4)及びエポキシエイコサトリエン酸(epoxyeicosatrienoic acid、EET)分泌量の変化確認
RAW264.7大食細胞は、発痛物質であるロイコトリエン(LTB4)及び炎症緩和物質であるエポキシエイコサトリエン酸(epoxyeicosatrienoic acid、EET)分析のために、10%のFBSが含まれたRPMI1640に培養した。また、ELISA分析のために、1×105cells/wellの濃度で96well plateにseedingした。LPSで刺激されたRAW264.7細胞に、ラクトバチルスロイテリLM1071を4つの異なる濃度(10、20、30、40μg/mL)で処理した。LTB4、EETが含まれた培養された細胞培養液を利用してELISA kit(Enzo Life Sciences、USA)により分析した。
【0091】
実験の結果、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株の実験群は、20、30及び40μg/mLの濃度において陽性対照群(LPS処理群)と比べてLTB4の有意な減少を示し、40μg/mLの濃度でLTB4の分泌量が91.29%減少した15.75pg/mLに測定された(
図5を参照)。
【0092】
また、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株の実験群は、陽性対照群(LPS処理群)よりも高い濃度のEET分泌量を示し、炎症反応抑制を通じた痛症緩和の可能性を確認した。ラクトバチルスロイテリLM1071は、処理濃度に応じてEETの分泌量が184.79、190.25、218.98及び268.41μg/mLに増加した(
図6を参照)。
【0093】
従って、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、ロイコトリエンの生成を抑制し、エポキシエイコサトリエン酸(EET)分泌量を増加させ、これにより、炎症及び痛症緩和に効能を示すことが確認された。
【0094】
総合的に、ラクトバチルスロイテリLM1071菌株は、NOと発痛物質であるPGE2とLTB4を抑制し、PGE1/PGE2の割合を増加させ、炎症緩和物質であるEETの生成を促進させることで、生理痛緩和に寄与できることが確認された。
【0095】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0096】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【0097】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12650P
受託日:20191231