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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】狭線幅レーザー
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/14 20060101AFI20240709BHJP
   H01S 5/12 20210101ALI20240709BHJP
   H01S 5/125 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01S5/14
H01S5/12
H01S5/125
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022570280
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2021131821
(87)【国際公開番号】W WO2022105883
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202011316288.5
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞英
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0062483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0326858(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0165826(US,A1)
【文献】国際公開第2013/114577(WO,A1)
【文献】特開2012-114163(JP,A)
【文献】特開2017-175009(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119284(WO,A1)
【文献】米国特許第4720160(US,A)
【文献】特開2017-015891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブリング共振器、FP共振器および第1のゲイン領域を含み、前記パッシブリング共振器と前記FP共振器と連携してM-Z複合外部空洞構造を形成し、前記M-Z複合外部空洞構造は少なくとも波長選択およびレーザー線幅の狭小化に使用され、前記第1のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー全体にゲインを提供するために使用される、ことを特徴とする狭線幅レーザー。
【請求項2】
前記パッシブリング共振器と前記FP共振器と並列に結合して前記M-Z複合外部空洞構造を形成し、および/または、前記パッシブリング共振器と前記FP共振器とのいずれか1つの導波路の屈折率が調整可能であり、波長チューニング機能を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の狭線幅レーザー。
【請求項3】
第2のゲイン領域をさらに含み、前記第2のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー光の増幅、出力パワーの増加、光フィードバックおよびレーザー線幅のさらなる狭小化ならびにノイズ抑制に使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の狭線幅レーザー。
【請求項4】
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、前記第1のゲイン領域に対応して格子構造が設けられ、前記第1のゲイン領域とともに分布フィードバック(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ(DBR)レーザーを構成し、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、または、前記レーザーの構造はヘテロ集積構造、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含み、第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含む、ことを特徴とする請求項に記載の狭線幅レーザー。
【請求項5】
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、そのモノリシック集積は量子井戸混在、バットジョイント成長、選択領域エピタキシー、垂直結合のいずれか1つの技術によって実現される、ことを特徴とする請求項4に記載の狭線幅レーザー。
【請求項6】
追加のPN接合領域またはMOS接合領域をさらに含み、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域は前記M-Z複合外部空洞構造内に埋め込まれ、その中で、前記追加のPN接合領域はゲイン領域であり、少なくとも前記M-Z複合外部空洞構造の損失補償に使用されることで、外部空洞光路を延長し、光ネガティブフィードバックを強化し、およびレーザー線幅を狭小化し、または、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域はレーザー光に対して透明であり、および前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域に電気注入または逆バイアスをかけるとき、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域の屈折率を迅速に変更でき、レーザー波長を高速かつ低損失でチューニングすることを実現する、ことを特徴とする請求項に記載の狭線幅レーザー。
【請求項7】
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、その中で、前記第1のゲイン領域に対応して格子構造がさらに設けられ、前記第1のゲイン領域とともに分布フィードバック(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ(DBR)レーザーを構成し、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、前記追加のPN接合領域は半導体光増幅器またはレーザー光に対して透明な導波路を含み、前記追加のMOS接合領域はレーザー光に対して透明な導波路である、
たは、前記レーザーの構造はヘテロ集積構造、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含み、その中で前記第1のゲイン領域は半導体光増幅器またはDFBレーザーまたはDBRレーザーを含み、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、前記追加のPN接合領域は半導体光増幅器またはレーザー光に対して透明な導波路を含み、前記追加のMOS接合領域はレーザー光に対して透明な導波路である、ことを特徴とする請求項6に記載の狭線幅レーザー。
【請求項8】
前記レーザーは、半導体ゲインチップおよび前記FP共振器と前記パッシブリング共振器と並列に結合して形成されたM-Z複合外部空洞構造で構成される、ことを特徴とする請求項4に記載の狭線幅レーザー。
【請求項9】
前記M-Z複合外部空洞構造は低損失導波路構造であり、前記低損失導波路構造は、ゲイン材料に対して透明な同一体系の材料で構成された導波路、またはゲイン領域と異なる材料体系で構成された導波路、または同一体系の材料と異なる材料体系の両者を混合して構成された導波路であり、好ましくはInP、GaAs基のIn(Ga)As(P)導波路、InGa(Al)As(P)導波路、SOI基のSi導波路、SiN導波路、ニオブ酸リチウム導波路、SiNO導波路、SiO導波路、In(Ga)As(P)/SiまたはSi/SiO/InGaAsP混合導波路である、ことを特徴とする請求項8に記載の狭線幅レーザー。
【請求項10】
いずれか1つのゲイン領域は任意波長のレーザー光のゲイン領域であり、および/または、いずれか1つのゲイン領域は半導体ゲイン領域、光ファイバーゲイン領域または固体またはガスゲイン領域を含み、および/または、前記M-Z複合外部空洞構造で採用されるパッシブ導波路材料はゲイン領域に対して低損失の任意材料であり、前記ゲイン領域に対して低損失の任意材料は透明な半導体材料、誘電体材料、または半導体材料と誘電体材料の複合材料を含み、および/または、前記レーザーの光取り出し端に反射防止機構が設けられ、非光取り出し端に高反射機構が設けられる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の狭線幅レーザー。
【請求項11】
いずれか1つのゲイン領域は任意波長のレーザー光のゲイン領域であり、および/または、いずれか1つのゲイン領域は半導体ゲイン領域、光ファイバーゲイン領域または固体またはガスゲイン領域を含み、および/または、前記M-Z複合外部空洞構造で採用されるパッシブ導波路材料はゲイン領域に対して低損失の任意材料であり、前記ゲイン領域に対して低損失の任意材料は透明な半導体材料、誘電体材料、または半導体材料と誘電体材料の複合材料を含み、および/または、前記レーザーの光取り出し端に反射防止機構が設けられ、非光取り出し端に高反射機構が設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の狭線幅レーザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年11月20日に中国特許庁に出願された出願番号202011316288.5、発明名称「狭線幅レーザー」の中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本出願は、レーザーに関し、特にチューニング可能な狭線幅レーザーに関する。
【背景技術】
【0003】
狭線幅レーザーは、情報通信(センシング)用の高品質光源としての優れたコヒーレンスにより、大きな応用価値がある。狭線幅レーザーは、高精度スペクトル測定や量子(原子)周波数標準などの最先端の科学研究だけでなく、コヒーレント光通信や分散型光ファイバーセンシングのコアコンポーネントにも使用でき、大容量レーザー通信、光ファイバー、高感度コヒーレント検出の分野で幅広く利用できる。光源としての広域スペクトルチューニング可能な狭線幅レーザーは、上記のアプリケーション分野でのコアコンピタンスをさらに高めることができる。
【0004】
その広く魅力的なアプリケーションの見通しを考慮して、多くの研究者や投資機関が狭線幅レーザーの研究に投資してきた。例えば、(1)半導体ゲイン領域+バルク波長選択および線幅狭小化構造(CN86202829U、CN200320130968.3、CN200810082028.9、CN200910235585.4、CN201210258846.6、CN201310395264.7、CN201310535501.5、CN201310728387.8、CN201410482266.4、US408739、CN201410602303.0、US549347);(2)半導体ゲイン領域+光ファイバー構造(CN200510079902、CN200910050715.7、CN201410386617.1、CN201220642467.2、US368,654);(3)半導体レーザーで励起された全光ファイバーレーザー構造(CN201120374776.1,CN201210535987.8,CN201410271316.4、CN201320784023.7、CN201420684717.8);(4)導波路外部キャビティ半導体レーザー構造(US120068325、US276763、US09/741/790、US13/249,753など)がある。
【0005】
上記の他のハイブリッド狭線幅レーザーと比較して、純粋な半導体レーザーは、そのコンパクトな構造、小型、軽量、低エネルギー消費、高信頼性、および長寿命のために、さまざまなアプリケーション分野で支持されている。しかしながら、従来のDFBおよびDBRレーザーのキャビティ長は限られているため、複雑な格子構造を使用して波長を選択しているにもかかわらず、非常に狭い線幅の調整を行うことは困難であり、上記の分野での用途が直接制限される。
【0006】
2001年に、一部の研究者は、狭い線幅を実現するために弱く結合されたリング外部キャビティ半導体レーザーを提案し、しかし、リングの損失が大きいため、シングルリング外部キャビティレーザーは実現されていない(Appl.Phys.Lett.,79(22)3561,(2001)、IEEE J.Quantum.Electron.,39(7),859,(2003))。それ以来、多くの研究機関がこのアイデアを採用して、導波路外部キャビティを備えた狭線幅の半導体レーザーを実現する(OSA/OFC/NFOEC2010/OThQ5,Proc.of SPIE Vol.7943,79431G,(2011),Appl.Phys.Express, 5, 082701,(2012),J.Lightwave Tech.3(6)1241,(2015),Jap.J.Appl.Phys.53,04EG04,(2014)、IEEE J.Sel.Top.Quantum Electron、21(6)、1501909、(2015)、Optics Lett.,40(7)1504, (2015))、IEEE.P.J.,Vol.8,(6),1505111,(2016)、IEEE CLEO JTh5C.9,(2017)、Optics Lett.、Vol.42,(21),4541,(2017)、Appl.Phys.Exp.11,112703(2018)、Optics Exp.,Vol.26, (7),7920, (2018)、IEEE J.Lightw.Tech,Vol.36,(16),3269(2018)。上記のレーザーはチップレベルの狭線幅性能を実現するが、ここでのすべての構造は、線幅狭小化ユニットおよび波長調整ユニットとして誘電体フォトニック集積回路を使用し、ゲイン領域としてIII-V SOAを使用し、2つを混合および統合して狭い線幅の調整可能な半導体レーザーを構成するだけでなく、これらの誘電体導波路フォトニック集積回路は非常に複雑であり、レーザーの波長選択、圧縮、および調整ユニットはすべて誘電体フォトニック集積回路に基づいて実現され、広いスペクトルのチューニング、狭い線幅、高いサイドモード抑制比の出力を実現するために、通常、電熱効果により複数の共振器の屈折率を調整して最適な効果を得る必要があり、電熱管理が複雑になり、チューニング速度が遅くなる。
【0007】
本出願者は、以前にモノリシック統合狭線幅レーザー(PCT/CN2017/110792)を提案したが、出力パワーが低く、サイドモード抑制比が低いなどの欠陥があり、対応する情報システムへの適用を直接妨げている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願の目的は、従来技術の欠点を克服するための狭線幅レーザーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本出願は以下の技術的解決策を提供する。
【0010】
本出願のいくつかの実施例は、パッシブリング共振器、FP共振器および第1のゲイン領域を含み、前記パッシブリング共振器とFP共振器と連携してM-Z(マッハ・ツェンダー干渉構造)複合外部空洞構造を形成し、前記M-Z複合外部空洞構造は少なくとも波長選択およびレーザー線幅の狭小化に使用され、前記第1のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー全体にゲインを提供するために使用される、狭線幅レーザーを提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記パッシブリング共振器とFP共振器と並列に結合して前記M-Z複合外部空洞構造を形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記パッシブリング共振器とFP共振器のいずれか1つの導波路の屈折率が調整可能であり、波長チューニング機能を実現する。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記狭線幅レーザーは、第2のゲイン領域をさらに含み、前記第2のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー光の増幅、出力パワーの増加、光フィードバックおよびレーザー線幅のさらなる狭小化ならびにノイズ抑制に使用される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記狭線幅レーザーは追加のPN接合領域またはMOS接合領域をさらに含み、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域が前記M-Z複合外部空洞構造内に埋め込まれる。
【0015】
さらに、前記追加のPN接合領域はゲイン領域であり(このとき第3のゲイン領域として定義)、少なくとも前記M-Z複合外部空洞構造の損失補償に使用され、外部空洞光路の延長およびレーザー線幅の狭小化に使用される。
【0016】
または、さらに、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域はレーザー光に対して透明であり、および、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域に電気注入または逆バイアスをかけるとき、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域の屈折率を迅速に変更でき、レーザー波長を迅速かつ低損失でチューニング可能である。その中で、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域に電気注入または逆バイアスをかけることにより、その屈折率を迅速に変更することができるため、M-Z干渉計の干渉条件を変更して、レーザーの広いスペクトルかつ迅速なチューニング機能を実現することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記レーザーはモノリシック集積構造である。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記レーザーの構造は、ヘテロ集積構造、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第1のゲイン領域に対応して格子構造がさらに設けられ、前記第1のゲイン領域とともに分布フィードバック(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ(DBR)レーザーを構成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記第1のゲイン領域は、半導体光増幅器、DFBレーザーまたはDBRレーザーを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記追加のPN接合領域は半導体光増幅器を含むか、またはレーザー光に対して透明な導波路を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記追加のMOS接合領域は、レーザー光に対して透明な導波路を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記レーザーの光取り出し端に反射防止機構(例如反射防止膜)が設けられ、非光取り出し端に高反射機構(例如高反射膜)が設けられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記レーザーの構造は、ヘテロ集積、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記レーザーは、半導体ゲインチップおよびFP共振器とパッシブリング共振器を並列に結合して形成されたM-Z複合外部空洞構造で構成される。
【0027】
さらに、前記M-Z複合外部空洞構造は低損失導波路構造であり、前記低損失導波路構造は、ゲイン材料に対して透明な同一体系の材料で構成された導波路、またはゲイン領域と異なる材料体系で構成された導波路、または同一体系の材料と異なる材料体系の両者を混合して構成された導波路であり、好ましくはInP、GaAs基のIn(Ga)As(P)導波路、InGa(Al)As(P)導波路、SOI基のSi導波路、SiN導波路、ニオブ酸リチウム導波路、SiNO導波路、SiO導波路、In(Ga)As(P)/SiまたはSi/SiO/InGaAsP混合導波路であるが、これらに限定されない。
【0028】
さらに、前記M-Z複合外部空洞構造は、ゲイン領域に対して透明な材料で構成される。
【0029】
さらに、その中でいずれか1つのゲイン領域は任意波長のレーザー光のゲイン領域である。
【0030】
さらに、その中でのいずれか1つのゲイン領域は半導体ゲイン領域、光ファイバーゲイン領域または固体またはガスゲイン領域を含む。
【0031】
さらに、その中で採用されるパッシブ導波路材料は、ゲイン領域に対して低損失の任意材料であり、前記ゲイン領域に対して低損失の任意材料は、透明な半導体材料、誘電体材料、または半導体材料と誘電体材料の複合材料を含む。
【0032】
本出願のいくつかの実施例は、前記狭線幅レーザーの製造方法を提供し、この方法は、
前記レーザーを形成するためのメイン半導体構造を提供することと、
前記メイン半導体構造にアクティブゲイン領域とパッシブ導波路領域を定義することと、
前記メイン半導体構造にパッシブリング共振器とFP共振器を並列に結合して構成されたM-Z複合外部空洞構造およびアクティブゲイン領域を加工し、アクティブ導波路およびパッシブ導波路を形成し、前記アクティブゲイン領域は第1のゲイン領域を含むことと、
前記アクティブ導波路をパッシベーション処理することと、
前記メイン半導体構造に適合したP面電極とN面電極を作製することと、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記アクティブゲイン領域は第1のゲイン領域、第2のゲイン領域および/または第3のゲイン領域である。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、基板にアクティブゲイン領域と複合外部空洞領域を定義し、選択的エピタキシーまたは量子井戸混在技術またはバットジョイント成長技術によってアクティブゲイン領域材料構造と透明複合外部空洞材料構造をさらに取得し、次にフォトリソグラフィによってアクティブ導波路と複合外部空洞導波路を定義することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、前記アクティブ導波路に誘電体膜を堆積して、前記アクティブ導波路のパッシベーション処理を実現することをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、第1のゲイン領域に近い側の導波路に格子を形成して、DFBレーザーまたはDBRレーザーを形成することをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、第3のゲイン領域をさらに改善して、第1のゲイン領域にレーザー光を発射する透明なPN接合領域またはMOS接合領域を形成することをさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、前記レーザーの光取り出し端、非光取り出し端にそれぞれ反射防止膜、高反射膜を設けることをさらに含む。
【発明の効果】
【0039】
従来技術と比較すると、本出願の実施例によって提出される狭線幅レーザーは、構造が簡単であり、広いスペクトルでチューニング可能であり、サイドモード抑制比が高く、線幅が狭く、出力パワーが高く、チューニング方法が簡単であり、チューニング速度が速く、チューニングの消費電力が低い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本出願の実施例または従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用される図面を簡単に説明するが、以下説明される図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者は、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【0041】
図1】本出願の第1の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図2】本出願の第2の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図3】本出願の第3の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図4】本出願の第4の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図5】本出願の第5の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図6】本出願の第6の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図7】本出願の第7の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図8a】本出願の第8の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図8b】本出願の第8の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図8c】本出願の第8の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図8d】本出願の第8の実施例における狭線幅レーザーの構造概略図である。
図9a】本出願の一実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーの材料の構造概略図である。
図9b】本出願の一実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーの材料の構造概略図である。
図10a】本出願の実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーの製造フローの概略図である。
図10b】本出願の具体的な実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーの製造フローの概略図である。
図10c】本出願の実施例におけるプロセスによって定義されたアクティブパッシブ構造の概略図である。
図10d】本出願の他の実施例におけるプロセスによって定義されたアクティブパッシブ構造の概略図である。
図11】本出願の実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーのスペクトログラムである。
図12】本出願の実施例におけるモノリシック集積の狭線幅レーザーの周波数ノイズのスペクトルチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本出願の実施例の図面を参照して、本出願の実施例における技術的解決策を詳細に説明するが、説明される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願の実施例に基づいて、当業者は創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本出願の保護範囲に含まれる。
【0043】
図1に示すように、本出願の第1の実施例では、狭線幅レーザーは第1のゲイン領域SOA1、パッシブリング共振器およびFP共振器を含み、
この第1のゲイン領域はレーザー全体にゲインを提供することに使用され、このパッシブリング共振器とFP共振器はM-Z複合外部空洞構造を形成する。さらに、このM-Z複合外部空洞構造はレーザーの線幅を狭小化し、波長をチューニングし、かつ周波数選択ユニットとして使用できる。
【0044】
DFBまたはDBRレーザーに対して、この狭線幅レーザーは外部空洞半導体レーザーに属し、他の外部空洞構造と比較すると、その原理は、パッシブリング共振器とFP共振器が異なる自由スペクトル範囲の共振ピーク位置を提供することにより、両者のバーニア効果を使用して、波長選択を実現でき、さらにその中のいずれか1つの共振器導波路の屈折率を変更することで、波長チューニング機能を実現し、両者を並列に結合して形成されたM-Z干渉計構造により波長選択をさらに実現し、これらの効果を組み合わせて、波長選択反射ミラーを形成して、そのサイドモード抑制比を高め、安定したレーザー出力を取得し、リング共振器は光路を遠心し、線幅を効果的に狭小化することができ、さらに、この複合導波路外部空洞は光ネガティブフィードバック効果を使用して線幅を狭小化することもできる。
【0045】
本出願では、前記バーニア効果とは、2つの光学長の異なる共振器を直列または並列して、複合空洞全体の共振スペクトルが共振ピーク強度変調を実現し、その中のいずれか1つの共振器の屈折率を変更することで、広いスペクトルでチューニングする方法を実現することを意味する。
【0046】
さらに、図2に示すように、デバイス性能をさらに高めるために、本出願の第2の実施例では、M-Z複合外部空洞構造の外側に第2のゲイン領域SOA2をさらに集積でき、一方、出力パワーを高め、線幅を狭小化し、ノイズを低減し、他方、レーザーゲイン領域フィードバック強度を調整して、強いフィードバック下でのレーザーの狭線幅の安定した出力を実現することができる。
【0047】
さらに、図3に示すように、本出願の第3の実施例では、パッシブリング共振器内に追加のPN接合領域を埋め込み、この追加のPN接合領域もゲイン領域であり、第3のゲイン領域SOA3として定義し、外部空洞損失を補償し、外部空洞の光路を延長し、光ネガティブフィードバックを強化して、レーザー線幅をより効果的に狭小化する。より具体的には、パッシブリング共振器腔内に第3のゲイン領域が埋め込まれ、リング内損失を補償する一方、電気注入により屈折率を変化させて、レーザー波長位相をマッチングし、高いサイドモード抑制比および狭線幅を得、かつ屈折率変化によるバーニア効果により、レーザー波長を大範囲で迅速に調整可能になる。
【0048】
さらに、図4に示すように、本出願の第4の実施例では、M-Z複合外部空洞構造内に第3のゲイン領域SOA3を埋め込み、外部空洞損失を補償し、外部空洞光路を延長し、光ネガティブフィードバックを強化し、レーザー線幅を狭小化する一方、この第3のゲイン領域はこのM-Z複合外部空洞構造のコヒーレントアームにあるため、第3のゲイン領域の電気注入または逆バイアスを変更させることで、その屈折率を変更でき、バーニア効果とM-Zの干渉作用に基づいて、レーザー波長を迅速かつ低損失でチューニングすることができる。
【0049】
さらに、図5に示すように、本出願の第5の実施例では、FP共振器の両側にそれぞれ第1のゲイン領域SOA1、第2のゲイン領域SOA2を集積し、パッシブリング共振器内に第3のゲイン領域SOA3を埋め込むことで、レーザーは前記第1~第3の実施例の利点を有する。
【0050】
さらに、図6に示すように、本出願の第6の実施例では、FP共振器の両側にそれぞれ第1のゲイン領域SOA1、第2のゲイン領域SOA2を集積し、M-Z複合外部空洞構造内に第3のゲイン領域SOA3を埋め込むことで、レーザーは前記第1~第3の実施例の利点を有する。
【0051】
さらに、図7に示すように、本出願の第7の実施例では、FP共振器の両側にそれぞれ第1のゲイン領域SOA1、第2のゲイン領域SOA2を集積し、M-Z複合外部空洞構造内に別の追加のPN接合領域SOA3’またはMOS接合領域を埋め込み、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’は前記第3のゲイン領域SOA3を修飾処理または改質して形成されてもよく、第3のゲイン領域の一部を除去して誘電体膜および半導体を堆積することで構成されてもよく、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’はレーザー全体のレーザー波長に対して透明であり、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’に電気注入または逆バイアスをかけることで、レーザーは迅速かつ低損失で広いスペクトルで狭線幅レーザー光出力をチューニングし、そのチューニング品質を改善する。
【0052】
そして、前記第5、第6の実施例および第7の実施例のデバイスの場合、電流管理下で、狭線幅および広いスペクトルのチューニングが可能な高い出力のレーザーを得ることができる。
【0053】
さらに、図8aおよび図8bに示すように、本出願の第8の実施例では、FP共振器の両側にそれぞれDFBまたはDBRレーザー、第2のゲイン領域SOA2を集積し、M-Z複合外部空洞構造内に別の追加のSOA3(図8a)またはSOA3’(図8b)を埋め込み、このSOA3’はPN接合領域またはMOS接合領域であり、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’は前記第3のゲイン領域SOA3を修飾処理または改質して形成されてもよく、第3のゲイン領域の一部を除去して誘電体膜および半導体を堆積して形成されてもよく、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’はレーザー全体のレーザー波長に対して透明であり、この追加のPN接合領域またはMOS接合領域SOA3’に電気注入または逆バイアスをかけることで、レーザーは、迅速かつ低損失で狭線幅かつ周波数変調のレーザー光を出力することができる。
【0054】
さらに、図8cおよび図8dに示すように、本出願の第8の実施例では、FP共振器同一側にそれぞれDFBまたはDBRレーザーおよび第2のゲイン領域SOA2を集積し、M-Z複合外部空洞構造内に別の追加のSOA3(図8c)またはSOA3’(図8d)を埋め込み、高い出力で狭線幅かつ周波数変調のレーザー光を出力することができる。
【0055】
前記第1の実施例~第8の実施例のデバイスは、いずれも半導体光電子デバイス基板およびそのアクティブパッシブモノリシック集積または混合集積技術によって実現され得る。例えば、いくつかの実施形態では、図10aに示すように、モノリシック集積技術により前記いずれか1つの狭線幅レーザーを製造する方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0056】
A.図9aまたは図9bに示されるように、GaAs、InP、GaNなどの基板に半導体レーザーの材料構造(例えばエピタキシー構造)を成長する。
【0057】
B.上記Aステップで得られた材料構造の表面にモノリシック集積技術によりレーザーに必要なアクティブ領域とパッシブ領域を定義し、その中で、前記のモノリシック集積技術は量子井戸混在技術、バットジョイント成長技術、選択領域エピタキシー技術および垂直結合技術などを含むが、これらに限定されない。
【0058】
C.さらにレーザーパターンに従って図1図6のようにレーザーのアクティブ導波路とパッシブ導波路マスクパターンを定義する。
【0059】
D.上記マスクに基づいて、さらにウェットエッチングまたはドライエッチングにより半導体導波路パターンを定義し、半導体アクティブ導波路とパッシブ導波路を形成し、図10cおよび10dに示すように、各ゲイン導波路を定義し、リング共振器とFP共振器を並列に結合してM-Z複合外部空洞導波路構造を形成する。
【0060】
E.すべての導波路が定義された後、前記エッチングマスクを完全に除去し、SiN、SiOなどの誘電体膜を堆積し、アクティブ導波路SOA1、SOA2、SOA3をパッシベーションする。
【0061】
F.以上のステップで形成されたデバイス構造ベースに、さらにゲイン領域部分または導波路の入力出力部分に格子を形成して、DFBまたはDBRレーザーを形成する。
【0062】
G~H.通常の半導体光電子デバイス製造プロセスに従って、すべてのゲイン領域に対して順次誘電体膜窓開設、誘電体膜エッチング、電極窓開設、P面電極形成、薄膜化、研磨、N面電極形成、合金、劈開などの工程を経って、対応のアクティブ領域部分プロセスを完成する。
【0063】
例えば、いくつかのより具体的な実施形態では、図10bに示すように、モノリシック集積技術により前記いずれか1つの狭線幅レーザーを製造する方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0064】
S1.図9bに示されるように、GaAs、InP、GaNなどの基板上にレーザーのメイン半導体構造(例えばエピタキシー構造)を成長する。具体的には、基板上にパッシブ導波路層、隔離層、アクティブ導波路層、クラッド層および接触層などの材料構造を成長する。
【0065】
S2.ステップS1で得られた材料構造表面にフォトリソグラフィして半導体レーザー基本構造パターンを形成し、図1図6に示される。
【0066】
S3.異なるモノリシック集積技術によってアクティブゲイン領域とパッシブ導波路領域を定義し、その中で前記モノリシック集積技術は垂直結合技術(具体的にデュアル導波路垂直結合技術)、量子井戸混在技術、バットジョイント技術および選択領域エピタキシー技術などを含むが、これらに限定されず、例えばマスクの下で誘電体膜エッチングおよび半導体エッチングによってレーザー全体導波路を定義する。
【0067】
S4.図10c、10dに示されるように、誘電体膜(例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素などの材料)をエッチングマスクとして、フォトリソグラフィを行い、誘電体膜エッチング、半導体エッチングなどの半導体加工プロセスを順次行って、前記レーザーのアクティブパッシブ導波路構造を定義し、半導体ゲイン領域を形成し、リング共振器とFP共振器を並列に結合してM-Z複合外部空洞導波路構造を形成し、アクティブゲイン領域部分SOA1、SOA2、SOA3およびパッシブ導波路部分を形成する。
【0068】
S5.以上のステップによって形成されたデバイス構造ベースに、マスクに基づいて、パッシブリング空洞およびFP共振器をエッチングし、さらにゲイン領域SOA1部分または導波路の入力出力部分に格子を形成して、DFBまたはDBRレーザーを形成する。
【0069】
S6.すべての導波路が定義された後、前記エッチングマスクを完全に除去し、次にSiN、SiOなどの誘電体膜を堆積し、アクティブ導波路SOA1、SOA2、SOA3をパッシベーションする。
【0070】
S7~S8.通常の半導体光電子デバイス製造プロセスに従って、すべてのゲイン領域に対して誘電体膜窓開設、誘電体膜エッチング、電極窓開設、P面電極形成、薄膜化、研磨、N面電極形成、合金、劈開などの工程を順次行って、対応のアクティブ領域部分プロセスを完成する。
【0071】
さらなる改善として、前記製造方法において、前記第3のゲイン領域SOA3の修飾処理の工程を追加して、変換してデバイスのレーザー光に対して透明になるが、実際にPN接合またはMOS接合を電気注入または逆バイアスすることで、図7または図8bまたは図8dに示すデバイス構造を得る。
【0072】
さらに、初期測定に基づいて、製造されて形成されたチップの光取り出し端に反射防止膜をコーティングして残留反射を回避し、かつ非光取り出し端の一側に高反射膜をコーティングして光フィードバックを強化して、線幅狭小化およびノイズ抑制をさらに実現する。
【0073】
他のチップレベル狭線幅半導体レーザーと比較すると、本出願の実施例によって提供される狭線幅レーザー導波路構造は簡単であり、チューニング管理が簡単であり、広いスペクトルで迅速かつ低損失でチューニングし、高いサイドモード抑制比および狭線幅を実現することが期待されている。
【0074】
他のプロセス工程(例えばSOI基板に形成されたM-Z複合外部空洞と半導体基板に形成された半導体アクティブ領域とのバット結合混合集積)と比べると、本発明の実施例で形成されたモノリシック集積構造は、レーザーの線幅を狭小化し、少なくとも以下の利点を有する:(1)外部空洞とゲイン領域の結合損失を大幅に減少し、効果的に閾値を低減し、線幅を狭小化する。(2)材料が同じであり、熱的および機械的性能が一致しているため、デバイスが安定して信頼性が高く、過酷環境耐性が強い。(3)統一に設計および製造され、デバイスの一致性がよく、コストが低い。(4)電気的チューニングを達成でき、チューニング速度が速く、チューニング直線性が高く、チューニングの電力消費が低い。
【0075】
図11は、図3のような構造を有するレーザーのスペクトログラムであり、このレーザーは高いサイドモード抑制比でチューニングする機能を有する。図12はこのレーザーの周波数ノイズスペクトルチャートであり、この周波数ノイズスペクトルチャートの7M-10M周波数でのノイズから分かるように、このレーザーのローレンツ線幅がkHzオーダーに達していることが確認され得る。
【0076】
別のいくつかの実施形態では、前記第1、第2の実施例のレーザーの場合、バット集積、光学マイクロアセンブリ集積などの様々な技術的解決策によって実現されるが、デバイスの基本的な構造は「半導体ゲインチップ」+「FP共振器とリング共振器を並列に結合して構成されたM-Z複合外部空洞構造」であり、その中で、デバイスのゲインチップは波長を必要な任意のゲインユニットであり得、様々な基板および波長範囲の半導体ゲインチップ、光ファイバーゲインユニット、固体(ガス)ゲインユニットなどを含むが、これらに限定されなく、このM-Z複合外部空洞はIn(AlGa)As(P)SOI Si導波路、SiN導波路、SiNO導波路および他の任意のゲインユニットに対して透明な低損失の導波路構造を有するため、狭線幅および広いスペクトルでチューニング可能になり、その中でゲイン領域SOA1部分は半導体光増幅器、DFBレーザーまたはDBRレーザーを選択し、SOA2とSOA3は一般にゲイン領域を半導体光増幅器として使用する。ある場合、SOA3は前記SOA3’、つまりPN接合またはMOS接合に置き換えることもできる。
【0077】
なお、本明細書では、第1および第2などの用語はあるエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティまたは操作間に任意の実際関係または順序があることを要求または暗示するものではない。さらに、「含む」、「有する」などの用語または他の任意変化が非排他的な包含を含み、一連の要素を含む過程、方法、物品またはデバイスはそれらの要素を含むだけでなく、明示に記載されている他の要素、またはこれらの過程、方法、物品またはデバイスの固有要素も含む。さらなる制限がない場合、「1つを含む」という句によって限定された要素は、前記要素を含む過程、方法、物品またはデバイスに他の同一要素の存在を排除するものではない。
【0078】
以上、本出願の具体的な実施形態に過ぎず、当業者にとって、本出願の原理を逸脱することなく、いくつかの改善及び修正を加え、かつこれらの改善および修正は本出願の保護範囲に含まれるべきである。
【0079】
(付記)
(付記1)
パッシブリング共振器、FP共振器および第1のゲイン領域を含み、前記パッシブリング共振器と前記FP共振器と連携してM-Z複合外部空洞構造を形成し、前記M-Z複合外部空洞構造は少なくとも波長選択およびレーザー線幅の狭小化に使用され、前記第1のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー全体にゲインを提供するために使用される、ことを特徴とする狭線幅レーザー。
【0080】
(付記2)
前記パッシブリング共振器と前記FP共振器と並列に結合して前記M-Z複合外部空洞構造を形成し、および/または、前記パッシブリング共振器と前記FP共振器とのいずれか1つの導波路の屈折率が調整可能であり、波長チューニング機能を実現する、ことを特徴とする付記1に記載の狭線幅レーザー。
【0081】
(付記3)
第2のゲイン領域をさらに含み、前記第2のゲイン領域は前記M-Z複合外部空洞構造の外側に配置され、少なくともレーザー光の増幅、出力パワーの増加、光フィードバックおよびレーザー線幅のさらなる狭小化ならびにノイズ抑制に使用される、ことを特徴とする付記1に記載の狭線幅レーザー。
【0082】
(付記4)
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、前記第1のゲイン領域に対応して格子構造が設けられ、前記第1のゲイン領域とともに分布フィードバック(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ(DBR)レーザーを構成し、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、または、前記レーザーの構造はヘテロ集積構造、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含み、その中で、第1のゲイン領域は半導体光増幅器またはDFBレーザーまたはDBRレーザーを含み、第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含む、ことを特徴とする付記1~3のいずれか1つに記載の狭線幅レーザー。
【0083】
(付記5)
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、そのモノリシック集積は量子井戸混在、バットジョイント成長、選択領域エピタキシー、垂直結合集積中のいずれか1つの技術によって実現される、ことを特徴とする付記4に記載の狭線幅レーザー。
【0084】
(付記6)
追加のPN接合領域またはMOS接合領域をさらに含み、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域は前記M-Z複合外部空洞構造内に埋め込まれ、その中で、前記追加のPN接合領域はゲイン領域であり、少なくとも前記M-Z複合外部空洞構造の損失補償に使用されることで、外部空洞光路を延長し、光ネガティブフィードバックを強化し、およびレーザー線幅を狭小化し、または、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域はレーザー光に対して透明であり、および前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域に電気注入または逆バイアスをかけるとき、前記追加のPN接合領域またはMOS接合領域の屈折率を迅速に変更でき、レーザー波長を高速かつ低損失でチューニングすることを実現する、ことを特徴とする付記1~3のいずれか1つに記載の狭線幅レーザー。
【0085】
(付記7)
前記レーザーはモノリシック集積構造であり、その中で、前記第1のゲイン領域に対応して格子構造がさらに設けられ、前記第1のゲイン領域とともに分布フィードバック(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ(DBR)レーザーを構成し、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、前記追加のPN接合領域は半導体光増幅器またはレーザー光に対して透明な導波路を含み、前記追加のMOS接合領域はレーザー光に対して透明な導波路であり、または、前記レーザーの構造はヘテロ集積構造、バット集積構造またはマイクロアセンブリ集積構造を含み、その中で前記第1のゲイン領域は半導体光増幅器またはDFBレーザーまたはDBRレーザーを含み、前記第2のゲイン領域は半導体光増幅器を含み、前記追加のPN接合領域は半導体光増幅器またはレーザー光に対して透明な導波路を含み、前記追加のMOS接合領域はレーザー光に対して透明な導波路である、ことを特徴とする付記6に記載の狭線幅レーザー。
【0086】
(付記8)
前記レーザーは、半導体ゲインチップおよび前記FP共振器と前記パッシブリング共振器と並列に結合して形成されたM-Z複合外部空洞構造で構成される、ことを特徴とする付記4に記載の狭線幅レーザー。
【0087】
(付記9)
前記M-Z複合外部空洞構造は低損失導波路構造であり、前記低損失導波路構造は、ゲイン材料に対して透明な同一体系の材料で構成された導波路、またはゲイン領域と異なる材料体系で構成された導波路、または同一体系の材料と異なる材料体系の両者を混合して構成された導波路であり、好ましくはInP、GaAs基のIn(Ga)As(P)導波路、InGa(Al)As(P)導波路、SOI基のSi導波路、SiN導波路、ニオブ酸リチウム導波路、SiNO導波路、SiO導波路、In(Ga)As(P)/SiまたはSi/SiO/InGaAsP混合導波路である、ことを特徴とする付記8に記載の狭線幅レーザー。
【0088】
(付記10)
いずれか1つのゲイン領域は任意波長のレーザー光のゲイン領域であり、および/または、いずれか1つのゲイン領域は半導体ゲイン領域、光ファイバーゲイン領域または固体またはガスゲイン領域を含み、および/または、その中で採用されるパッシブ導波路材料はゲイン領域に対して低損失の任意材料であり、前記ゲイン領域に対して低損失の任意材料は透明な半導体材料、誘電体材料、または半導体材料と誘電体材料の複合材料を含み、および/または、前記レーザーの光取り出し端に反射防止機構が設けられ、非光取り出し端に高反射機構が設けられる、ことを特徴とする付記1、2、3、7のいずれか1つに記載の狭線幅レーザー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
図12