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特許7517741自動補助キャリブレーション装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】自動補助キャリブレーション装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/50 20160101AFI20240709BHJP
【FI】
A61B90/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022581513
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2020128752
(87)【国際公開番号】W WO2022048018
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202010924485.9
(32)【優先日】2020-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522198922
【氏名又は名称】杭州鍵嘉医療科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Jianjia Medical Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上官 佳榮
(72)【発明者】
【氏名】喬 天
(72)【発明者】
【氏名】杜 思傲
(72)【発明者】
【氏名】甘 博涵
(72)【発明者】
【氏名】榮 健
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/200256(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109304731(CN,A)
【文献】特開昭62-140783(JP,A)
【文献】米国特許第05177563(US,A)
【文献】中国実用新案第207630072(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリブレーション鋼球(1)を備える自動補助キャリブレーション装置に適用される自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法であって、
前記キャリブレーション鋼球(1)の外側表面には、補助装置(3)が被せられ、前記補助装置(3)は、スリーブリング(31)を備え、前記スリーブリング(31)の背面には、連結柱(33)が設置され、前記スリーブリング(31)の後端縁には、面取り(32)が設けられ、前記連結柱(33)の外側表面には、キャリブレーション管(2)が被せられ、前記キャリブレーション鋼球(1)は、位置決め鋼球(11)を備え、前記スリーブリング(31)の前面には、スリーブ溝(34)が設けられ、前記スリーブ溝(34)が鋼球(11)の外側表面に被せられ、前記位置決め鋼球(11)の外側表面には、コネクティングロッド(12)が設置され、前記キャリブレーション管(2)の外端には、機械アーム(4)が設置されており、
前記自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法は、
キャリブレーション管(2)を機械アーム(4)の末端のフランジ外側表面に取り付け、フランジ座標系の中心0fの座標系数値を{Xf,Yf,Zf}とし、同じく、機械アーム(4)のベース座標系の中心0rの座標系数値を{Xr,Yr,Zr}とし、同じく、キャリブレーション管(2)の末端の座標系の中心0tの座標系数値を{Xt,Yt,Zt}とするステップAと、
機械アーム(4)の座標系において半径がrであるキャリブレーション鋼球(1)を固定し、即ち、キャリブレーション鋼球(1)と機械アーム(4)を厳密的な相対位置で固定しているように保持する必要があり、補助装置(3)をキャリブレーション管(2)の内側表面に取り付け、補助装置(3)をキャリブレーション鋼球(1)の外側表面に被せ、同時に、キャリブレーション管(2)を機械アーム(4)の末端のフランジの外側表面に取り付けるステップBと、
キャリブレーション管(2)の軸線Oを頂垂線とし、キャリブレーション鋼球(1)の球心を頂点とし、頂角が120°である円錐面を生成し、当該円錐面とキャリブレーション鋼球(1)の球面の交線は、キャリブレーション管(2)の運動経路であるステップCと、
機械アーム(4)を各方向の回転及び並進減衰が減少して自由に動けるようになるインピーダンスモードに設定し、キャリブレーション管(2)の軸線Oに沿って鋼球の方向へ一定の力を加えると、キャリブレーション管(2)が補助装置(3)を介して鋼球(1)の表面に押さえつけて、この時、キャリブレーション管(2)の軸線OをLとし、円錐面の母線をLとし、
空間でのL位置姿勢データ は、以下の通りであり、
【数1】

空間でのL位置姿勢データ は、以下の通りであり、
【数2】

2本の直線は、球心で交差するため、同じ位置にあると見なされるが、方向が異なるため、機械アーム(4)により実行される運動量 は、
【数3】

であるステップDと、
機械アーム(4)の運動軌跡においては、一定の角度毎に一回のフランジの位置姿勢データを収集し、それぞれの4つの位置姿勢データを1つのグループとし、4点法でTCPデータを取得し、2つのグループのTCPの誤差が許容値未満である場合、計算を停止させ、それ以外の場合、上述した自動運動ステップA~Dを繰り返すステップEとを備えることを特徴とする自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項2】
補助装置(3)が用いられている場合、キャリブレーション管(2)のTCPの物理的な位置は、キャリブレーション管(2)の軸線Oと重なる位置にあることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記補助装置(3)がキャリブレーション管(2)の先端に取り付けられた後、補助装置(3)の球面の球心をTCPとすることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項4】
前記補助装置(3)の内壁断面は、円形であることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項5】
前記補助装置(3)は、キャリブレーション鋼球(1)の球面と同じサイズの凹球面を使用してキャリブレーション鋼球(1)と協働することにより、前記補助装置(3)によりキャリブレーション鋼球(1)の球面を被せるキャリブレーション管(2)とキャリブレーション鋼球(1)を一体として見なし、ツールと名付け、前記補助装置(3)がスリーブの先端に取り付けられた後、補助装置(3)の球面の球心をTCPとし、前記キャリブレーション管(2)は、ストレート筒類のキャリブレーション管(2)であり、キャリブレーション管(2)の天井面(A )と内壁が交差する部分は、標準円であり、前記標準円の円心を通り、前記標準円が位置する平面の法線方向へ延在する直線が、必ずキャリブレーション鋼球(1)の球心を通過し、前記球心と前記円心との間の距離が変わらないことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項6】
TCPの物理的な位置は、キャリブレーション管(2)の軸線Oと重なり、キャリブレーション管(2)の天井面Aから一定のオフセットがあり、オフセット方向は、ツールから離れる方向であることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項7】
TCPの物理的な位置は、キャリブレーション管(2)の天井面Aとのオフセット距離が
【数4】

であり、キャリブレーション管(2)から離れる側に位置し、rは、スリーブの内壁の半径であることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項8】
TCPとキャリブレーション管(2)の天井面Aのオフセット距離は、補助キャリブレーションツールのサイズLにより決められ、Lは、キャリブレーション管(2)に補助装置(3)が取り付けられた後、キャリブレーション管(2)の天井面Aから補助装置の凹球面の球心までの距離であることを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記機械アーム(4)は、前記キャリブレーション管(2)の軸方向に力を加え、当該方向をZ軸方向とし、同時に、前記機械アーム(4)を前記インピーダンスモードに設定し、次に、予め設定された軌道に従って球面で相対運動を開始し、この時、補助ツールにより前記キャリブレーション鋼球(1)の球面を被せるキャリブレーション管(2)と鋼球を一体と見なし、即ち、新しいツールと見なし、鋼球の表面のまわりに対する前記キャリブレーション管(2)の相対回転も新しいツールの定点運動として見なすことができ、相対運動は、X、Y軸方向のまわりに対する回転であり、並進量をゼロに設定し、この時、前記キャリブレーション管(2)に沿った力があり、前記機械アーム(4)の減衰が小さく、補助ツールの助けで、前記キャリブレーション管(2)が脱落しないため、前記キャリブレーション管(2)は、位置姿勢データを必要としない情況で球面のまわりに対する自動運動を開始し、位置姿勢データをリアルタイムで収集し、4点法を用いてTCPデータを解くことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【請求項10】
複数のTCPデータの間の差分値が許容誤差より小さい場合、運動が停止し、計算結果を出力することを特徴とする請求項に記載の自動補助キャリブレーション装置のキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器技術分野に関し、特に、自動補助キャリブレーション装置及びその方法に関する。
【0002】
<関連出願の相互引用>
本発明は、2020年9月5日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010924485.9であり、名称が「自動補助キャリブレーション装置及びその方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用により本発明に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
機械アームのTCP(Tool center point、ツール中心点)キャリブレーションは、機械アームの応用における重要な部分であり、機械アームのエンドツールとも呼ばれ、機械アームのフランジに接続され、フランジに接続されることおよびフランジの位置姿勢パラメータが知られた場合、フランジに対するTCPの位置姿勢パラメータを求めるために、4点法原理を採用してTCPを計算することができる。エンドツールが中空の管状ツールである場合、補助ツールを使用して手動の点収集操作を完成することができるが、医療用機械アームには、高い精度が求められ、手動の点収集は、加える人間の力が不均一であるため、その精度に影響が与えられやすい。また、手動の点収集の効率が比較的低いので、術前の準備時間を延ばしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した背景技術における問題のうちの少なくとも1つを解決するために、本発明の目的は、自動補助キャリブレーション装置及びその方法を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による技術案は、キャリブレーション鋼球を備える自動補助キャリブレーション装置を提供する。前記キャリブレーション鋼球の外側表面には、補助装置が被せられ、前記補助装置は、スリーブリングを備え、前記スリーブリングの背面には、連結柱が設置され、前記スリーブリングの後端縁には、面取りが設置され、前記連結柱の外側表面には、キャリブレーション管が被せられ、前記キャリブレーション鋼球は、位置決め鋼球を備え、前記スリーブリングの前面には、スリーブ溝が設置され、前記スリーブ溝が鋼球の外側表面に被せられ、前記位置決め鋼球の外側表面には、コネクティングロッドが設置され、前記キャリブレーション管の外端には、機械アームが設置されている。
【0006】
自動補助キャリブレーション方法は、ステップA、ステップB、ステップC、ステップD及びステップEを備える。
【0007】
ステップAにおいては、キャリブレーション管を機械アームの末端のフランジ外側表面に取り付け、フランジ座標系の中心0fの座標系数値を{Xf,Yf,Zf}とし、同じく、機械アームのベース座標系の中心0rの座標系数値を{Xr,Yr,Zr}とし、同じく、キャリブレーション管の末端の座標系の中心0tの座標系数値を{Xt,Yt,Zt}とする。
【0008】
ステップBにおいては、機械アームの座標系において半径がrであるキャリブレーション鋼球を固定し、即ち、キャリブレーション鋼球と機械アームを厳密に相対的に固定しているように保持する必要があり、同時に、キャリブレーション管を機械アームの末端のフランジの外側表面に取り付ける。
【0009】
ステップCにおいては、補助装置をキャリブレーション管の内側表面に取り付け、補助装置をキャリブレーション鋼球の外側表面に被せ、この時、キャリブレーション管の軸線Oを頂垂線とし、キャリブレーション鋼球の球心を頂点とし、頂角が120°である円錐面を生成し、当該円錐面とキャリブレーション鋼球の球面の交線は、キャリブレーション管の運動経路である。
【0010】
ステップDにおいては、機械アームをインピーダンスモードに設定し、キャリブレーション管の軸線Oに沿って鋼球の方向へ一定の力を加えると、キャリブレーション管が鋼球の表面に被せられ、この時、キャリブレーション管の軸線OをLとし、円錐面の母線をLとし、
空間でのLの位置姿勢データは、以下の通りであり、
【数1】
空間でのLの位置姿勢データは、以下の通りであり、
【数2】
2本の直線は、球心で交差するため、同じ位置にあると見なされるが、方向が異なるため、機械アームにより実行される運動量は、
【数3】
である。
【0011】
ステップEにおいては、機械アームの運動軌跡においては、一定の角度毎に一回のフランジの位置姿勢データを収集し、それぞれの4つの位置姿勢データを1つのグループとし、4点法でTCPデータを取得し、2つのグループのTCPの誤差が許容値未満である場合、計算を停止させ、それ以外の場合、上述した自動運動ステップA~Dを繰り返す。
【0012】
1つ又は複数の実施形態においては、補助装置が用いられていない場合、キャリブレーション管のTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管の軸線Oと重なる位置にある。
【0013】
1つ又は複数の実施形態においては、補助装置が用いられている場合、キャリブレーション管のTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管の軸線Oと重なる位置にある。
【0014】
1つ又は複数の実施形態においては、前記補助装置がキャリブレーション管の先端に取り付けられた後、補助装置の球面の球心をツール中心点とする。
【0015】
1つ又は複数の実施形態においては、前記補助装置の内壁断面は、円形である。
【0016】
1つ又は複数の実施形態においては、前記補助装置は、凹球面を使用して同じサイズのキャリブレーション鋼球と協働することにより、ツールがツール表面上にない点をツール中心として決定するのを助けるように配置されている。
【0017】
1つ又は複数の実施形態においては、キャリブレーション管の天井面Aと内壁が交差する部分は、標準円であり、標準円が球面を被せることは、円心を通り、円が位置する平面の法線方向へ延在する直線が、必ずキャリブレーション鋼球の球心を通過し、球心と円心の距離が変わらないことを保証できる。
【0018】
1つ又は複数の実施形態においては、前記キャリブレーション管は、ストレート筒類のキャリブレーション管である。
【0019】
1つ又は複数の実施形態においては、補助装置によりキャリブレーション鋼球の球面を被せるキャリブレーション管とキャリブレーション鋼球を一体として見なし、ツールと名付け、前記補助装置がスリーブの先端に取り付けられた後、補助装置の球面の球心をツール中心点とする。
【0020】
1つ又は複数の実施形態においては、ツールTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管の軸線Oと重なり、キャリブレーション管の天井面Aから一定のオフセットがあり、オフセット方向は、ツールから離れる方向である。
【0021】
1つ又は複数の実施形態においては、ツールTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管の天井面Aとのオフセット距離が
【数4】
であり、キャリブレーション管から離れる側に位置し、rは、スリーブの内壁の半径である。
【0022】
1つ又は複数の実施形態においては、ツールTCP点とキャリブレーション管の天井面Aとのオフセット距離は、補助キャリブレーションツールのサイズLにより決められ、Lは、キャリブレーション管に補助装置が取り付けられた後の、キャリブレーション管の天井面Aから補助装置の凹球面の球心までの距離である。
【0023】
1つ又は複数の実施形態においては、使用時、機械アームは、前記キャリブレーション管の軸方向に適切な大きさの力を加え、当該方向をZ軸方向とし、同時に、機械アームをインピーダンスモードに設定し、この時、各方向の回転及び並進減衰が減少し、より自由に動けるようになる。次に、予め設定された軌道に従って球面で相対運動を開始し、この時、補助ツールによりキャリブレーション鋼球の球面を被せるキャリブレーション管と鋼球を一体と見なし、即ち、新しいツールと見なし、鋼球の表面のまわりに対するキャリブレーション管の相対回転も新しいツールの定点運動として見なすことができる。相対運動は、X、Y軸方向のまわりに対する回転であり、並進量をゼロに設定し、この時、キャリブレーション管に沿った力があり、機械アームの減衰が比較的小さく、補助ツールの助けで、キャリブレーション管が簡単に脱落しないため、キャリブレーション管は、位置姿勢データを必要とせずに球面のまわりに対する自動運動を開始し、位置姿勢データをリアルタイムで収集し、4点法を用いてTCPデータを解く。
【0024】
1つ又は複数の実施形態においては、複数のTCPデータの間の差分値が許容誤差より小さい場合、運動が停止し、計算結果を出力する。
【0025】
従来技術に比べ、本発明の有益な効果は、次の通りである。即ち、本発明は、管状ツールのTCPキャリブレーションに高速で、操作しやすく、正確な方法を提供する。補助装置を用いることは、ツールが移動する際にキャリブレーション鋼球から外れるリスクを減らし、その移動を制限することができるので、自動キャリブレーションプロセスを実現することができる。ツールを用いてキャリブレーション鋼球を押さえ込むやり方は、従来のTCPキャリブレーションのある点を正確に使って先端に触れる必要があることに比べて、操作及び実施がより容易である。全自動キャリブレーション方法を使用することで、手動操作による誤差を避け、全自動計算及び自動化された測定により、輸送及び点収集の効率を高め、術前の準備時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明によるスリーブ管のキャリブレーション法の断面模式図である。
図2図2は、本発明によるスリーブ管のキャリブレーション法のキャリブレーションステップの模式図である。
図3図3は、本発明によるキャリブレーション鋼球及び補助装置の組み立ての模式図である。
図4図4は、本発明によるキャリブレーション鋼球及び補助装置の切断構造の模式図である。
図5図5は、本発明による補助装置の構造模式図である。
図6図6は、本発明による補助装置の切断構造の模式図である。
図7図7は、本発明による補助装置のキャリブレーション法の断面模式図である。
図8図8は、本発明によるキャリブレーション構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例を元に、当業者は、如何なる創造的な労働をせずに得られた全ての実施例は、何れも本発明の保護請求の範囲に属する。
【0028】
図1図4に示すように、本発明による技術案の一つは、以下の通りである。本発明の自動補助キャリブレーション装置は、キャリブレーション鋼球1を備える。キャリブレーション鋼球1の外側表面(外表面)には、補助装置3が(スリーブ接続)被せられている。補助装置3は、スリーブリング31を備える。スリーブリング31の背面には、連結柱33が設置されている。スリーブリング31の後端縁には、面取り32が設けられている。連結柱33の外側表面には、キャリブレーション管2が被せられている。キャリブレーション鋼球1は、位置決め鋼球11を備える。スリーブリング31の前面には、スリーブ溝34が設けられている。スリーブ溝34が鋼球11の外側表面に被せられている。位置決め鋼球11の外側表面には、コネクティングロッド12が設置されている。キャリブレーション管2の外端には、機械アーム4が設置されている。
【0029】
本発明による自動補助キャリブレーション方法は、以下のステップを備える。
【0030】
ステップAにおいては、キャリブレーション管2を機械アーム4の末端のフランジ外側表面に取り付け、例えば、フランジ座標系の中心0fの座標系数値を{Xf,Yf,Zf}とし、同じく、機械アーム4のベース座標系の中心0rの座標系数値を{Xr,Yr,Zr}とし、同じく、キャリブレーション管2の末端の座標系の中心0tの座標系数値を{Xt,Yt,Zt}とする。
【0031】
ステップBにおいては、機械アーム4の座標系において半径がrであるキャリブレーション鋼球1を固定し、即ち、キャリブレーション鋼球1と機械アーム4を厳密に相対的に固定しているように保持させ、同時に、キャリブレーション管2を機械アーム4の末端のフランジの外側表面に取り付ける。
【0032】
ステップCにおいては、補助装置3をキャリブレーション管2の内側表面に取り付け、補助装置3をキャリブレーション鋼球1の外側表面に被せ、この時、キャリブレーション管2の軸線Oを頂垂線とし、キャリブレーション鋼球1の球心を頂点とし、頂角が120°である円錐面を生成し、当該円錐面とキャリブレーション鋼球1の球面の交線は、キャリブレーション管2の運動経路である。
【0033】
ステップDにおいては、機械アーム4をインピーダンスモードに設定し、キャリブレーション管2の軸線Oに沿って鋼球の方向へ一定の力を加えると、キャリブレーション管2が鋼球の表面に(押さえつけて)被せられ、この時、キャリブレーション管2の軸線O1をL1とし、円錐面の母線をL2とし、
空間でのL位置姿勢データは、以下の通りであり、
【数5】
空間でのL位置姿勢データは、以下の通りであり、
【数6】
2本の直線は、球心で交差するため、同じ位置にあると見なされるが、方向が異なるため、機械アーム4により実行される運動量は、
【数7】
である。
【0034】
ステップEにおいては、機械アーム4の運動軌跡においては、例えば、一定の角度毎に一回のフランジの位置姿勢データを収集し、それぞれの4つの位置姿勢データを1つのグループとし(4つの位置姿勢データを含むが、4つの位置姿勢データに限らない)、4点法でTCPデータを求めて取得し、2つのグループのTCPの誤差が許容値未満である場合、計算を停止する。それ以外の場合、上述した自動運動ステップA~Dを繰り返す。
【0035】
当該方法は、力制御と補助ツールの組み合わせにより全自動キャリブレーションを行い、機械アームの位置姿勢を手動で調整してデータを収集する必要がない。また、当該プロセスでは、機械アームの制御デバイスにより自動的に変位操作を行い、対応する力フィードバックデータを収集して4点法の計算に用いられている。自動化されたプロセスを使用して手動操作による誤差を減らし、作業量を軽減し、キャリブレーション速度を高めることができる。
【0036】
当該方法は、4点法の原理を利用してTCPをキャリブレーションするが、4つの点のデータを収集してキャリブレーションすることに限定されず、類似する構造又は方法を使用してもよい。当該方法は、複数のTCPデータを自動的に収集して計算し、誤差が許容範囲未満である場合のみ、TCP数値を出力するが、類似する構造又は方法を使用してもよい。
【0037】
また、本発明は、機械アームを正確にキャリブレーションするために、補助装置3及びキャリブレーション管2を鋼球の外側表面に被せてキャリブレーションを行うという2つの技術手段を採用してツール中心点を計算する。2つの技術手段の測定方法は、同じであるが、違いは、キャリブレーション管2を用いるか、又は補助装置3を用いるかという2つの方式だけである。当該技術手段は、部品の加工精度が保証されている限り、キャリブレーション結果の精度を保証できる。
【0038】
具体的には、補助装置3が用いられていない場合、キャリブレーション管2のTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管2の軸線Oと重なる位置にあり、キャリブレーション管2の軸線は、Oであり、図1及び図7に示すように、キャリブレーション管2の天井面は、Aである。
【0039】
具体的には、補助装置が用いられている場合、キャリブレーション管2のTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管2の軸線Oと重なる位置にあり、補助装置3がキャリブレーション管2の先端に取り付けられた後、補助装置3の球面の球心がツール中心点とされても良い。図7に示すように、補助装置3とキャリブレーションされるツールがフィットアップできるように取り付けられるので、補助装置3は、ツールの内壁の断面が円形であっても良いが、これに限定されない。補助装置3の革新ポイント及び保護ポイントは、凹球面を使用して同じサイズのキャリブレーション鋼球1と協働することにより、ツールがツール表面上にない点をツール中心として決定するのを助けることができる。
【0040】
具体的には、図1及び図7に示すように、キャリブレーション管2の天井面Aと内壁が交差する部分は、標準円であり、標準円が球面を被せることは、円心を通り、円が位置する平面の法線方向へ延在する直線が、必ずキャリブレーション鋼球1の球心を通過し、球心と円心の距離が変わらないことを保証でき、ストレート筒類のキャリブレーション管2については、キャリブレーション管2の軸線Oが必ず球心を通過する。当該方法では、ストレート筒のツールであっても良いが、これに限定されない。天井面と内壁の交差する部分が円である他の管状構造に対しても、キャリブレーション鋼球1を用いてキャリブレーション管2を補助するキャリブレーション方法も適用できる。
【0041】
具体的には、補助装置3によりキャリブレーション鋼球の球面を被せるキャリブレーション管2とキャリブレーション鋼球1を一体として見なし、ツールと名付け、補助装置3がスリーブの先端に取り付けられた後、補助装置3の球面の球心をツール中心点とする。
【0042】
具体的には、ツールTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管2の軸線Oと重なり、キャリブレーション管(2)の天井面Aから一定のオフセットがあり、オフセット方向がツールから離れる方向である。
【0043】
具体的には、ツールTCP点の物理的な位置は、キャリブレーション管2の天井面Aとのオフセット距離が
【数8】
であり、キャリブレーション管2から離れる側に位置し、rは、スリーブの内壁の半径である。
【0044】
具体的には、ツールTCP点とキャリブレーション管2の天井面Aの間のオフセット距離は、補助キャリブレーションツールのサイズLにより決められ、Lは、キャリブレーション管2に補助装置3が取り付けられた後の、キャリブレーション管2の天井面Aと補助装置の凹球面の球心の間の距離である。
【0045】
使用時、機械アーム4は、キャリブレーション管2の軸方向に適切な大きさの力を加え、当該方向をZ軸方向とする。同時に、機械アーム4をインピーダンスモードに設定し、この時、各方向の回転及び並進減衰が減少し、比較的自由に動けるようになる。次に、予め設定された軌道に従って球面で相対運動を開始し、この時、補助ツールによりキャリブレーション鋼球1の球面を被せるキャリブレーション管2と鋼球を一体と見なし、即ち、新しいツールと見なし、鋼球の表面のまわりに対するキャリブレーション管2の相対回転も新しいツールの定点運動として見なすことができる。相対運動は、X、Y軸方向のまわりに対する回転であり、並進量(平行移動量)をゼロに設定し、この時、キャリブレーション管2に沿った力があり、機械アーム4の減衰が比較的小さく、補助ツールの助けで、キャリブレーション管2が簡単に脱落しないため、キャリブレーション管2は、位置姿勢データを必要としない情況で球面のまわりに対する自動運動を開始し、位置姿勢データをリアルタイムで収集し、4点法を用いてTCPデータを解く。
【0046】
複数のTCPデータの間の差分値が許容誤差より小さい場合、運動が停止し、計算結果を出力する。
【0047】
本発明の実施例が示され、説明されてきたが、当業者は、本発明の原理及び精神から逸脱しないで、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物により限定される。
【0048】
<産業上の実用性>
本発明は、管状ツールのTCPキャリブレーションに高速で、操作しやすく、正確な方法を提供する。補助装置を用いることは、ツールが移動する際にキャリブレーション鋼球から外れるリスクを減らし、その移動を制限することができるので、自動キャリブレーションプロセスを実現することができる。ツールを用いてキャリブレーション鋼球を押さえ込むやり方は、従来のTCPキャリブレーションにおいてある点を正確に使って先端に触れる必要があることに比べて、操作及び実施がより容易である。全自動キャリブレーション方法を使用することで、手動操作による誤差を避け、全自動計算及び自動化された測定により、輸送及び点収集の効率を高め、術前の準備時間を減らすことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 キャリブレーション鋼球
11 位置決め鋼球
12 コネクティングロッド
2 キャリブレーション管
3 補助装置
31 スリーブリング
32 面取り
33 連結柱
34 スリーブ溝
4 機械アーム
図1
図2
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図4
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図8