(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】真空コントロールユニット
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240709BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F04B49/06 341J
F04B37/16 D
(21)【出願番号】P 2023070573
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155002
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521311115
【氏名又は名称】ブイテク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホ-ヨン
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-536010(JP,A)
【文献】特開2000-079589(JP,A)
【文献】特開2005-177967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 37/16
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空移送システムにおいて複数の真空ポンプ(11)の各内部圧力条件によって対象物移送の動作信号を出力する装置において、
各真空ポンプ(11)に個別に対応するモジュール(13)が多数密着して組み立てられるモジュールスタック(14)と、前記モジュールスタック(14)の一側に備えられて各モジュール(13)と信号接続する制御部(15)と、を含んで構成され、
各モジュールスタック(14)は、対応する真空ポンプ(11)の内部圧力を感知する一側センサ部(17)と、その真空ポンプ(11)の圧縮空気の流入口を開閉する電磁弁(19)に接続される他側端子部(18)と、を含み、
高速の圧縮空気(A1)が流入口及び排出口を通る際、吸着パッド(12)の内部空気が前記真空ポンプ(11)の内部に誘引されて前記圧縮空気(A1)と共に排出され、前記真空ポンプ(11)及び前記吸着パッド(12)の内部空間に真空および負圧が発生し、同時にこの発生した負圧によって対象物(W1)が前記吸着パッド(12)に把持され、
前記制御部(15)は、各モジュールセンサ部(17)の感知圧力が設定値に達すれば前記端子部(18)を介して電磁弁(19)の「閉鎖」信号を出力することで、前記真空ポンプ(11)に対する
前記圧縮空気(A1)の供給を遮断し、
前記圧縮空気(A1)の供給が遮断された後、センサ部(17)の感知圧力が設定値より一定範囲以下に落ちれば、
前記制御部(15)は、そのセンサ部(17)に対応する端子部(18)を介して前記電磁弁(19)の「開放」信号を出力することで前記真空ポンプ(11)に対する前記圧縮空気(A1)の供給が再開されるようにし、
前記圧縮空気(A1)の方向転換を印加する電磁弁(26)に連結される破棄端子(27)を更に含んで構成されるが、
この際、前記制御部(15)は、対象物の移送が完了したら前記破棄端子(27)を介して電磁弁(26)の「開放」信号を出力することで、圧縮空気(A2)が各真空ポンプ(11)に連結される吸着パッド(12)に直接供給されるように
し、
前記制御部(15)は、回路部を内蔵する筐体(20)の上面に形成される操作部(21)と表示部(22)とを含み、
前記操作部(21)は、各モジュール(13)のセンサ部(17)のうち一つ以上を選択するセンサ-選択スイッチ(23)と、端子部(18)のうち一つ以上を選択する真空-選択スイッチ(24)と、選択された各センサ部(17)に到達圧力を設定する圧力-設定スイッチ(25)と、を含み、
前記表示部(22)は、各スイッチ(23、24、25)のユーザの操作による選択及び設定の結果を確認するようにするディスプレイパネルであり、
前記操作部(21)は、制御部(15)のメモリに保存されている複数の動作モードのうちから選択して稼働するモード-選択スイッチ(28)を更に含み、
前記動作モードは、センサ部(17)のうちから選択されたセンサ(S1、S2、S3)に対して同じ圧力値が設定されるが、選択されたセンサがいずれもその設定された圧力値を感知すれば前記対象物(W1)を移送するための動作信号が出力される方式を含むことを特徴とする真空コントロールユニット。
【請求項2】
前記モジュールスタック(14)を形成する各モジュール(13)及び制御部(15)は設置ベース(16)上で密着配置されることを特徴とする請求項1に記載の真空コントロールユニット。
【請求項3】
前記動作モードは、センサ部(17)のうちから選択されたセンサ(S1、S2、S3)に対して同じ圧力値が設定されるが、選択されたセンサのうち一つまたは一部がその選択された圧力値を感知できなくても、選択された各センサから得られた圧力の平均値が各センサに対して設定された圧力の平均値に達すれば対象物(W1)を移送するための動作信号が出力される方式を含むことを特徴とする請求項
1に記載の真空コントロールユニット。
【請求項4】
前記動作モードは、設定された圧力値を感知できなかったセンサにおいて、そのセンサの感知値が設定値に比べ継続して一定レベルを超えなければ、前記真空ポンプ(11)が対象物(W1)の把持に全く関与することができないと認識して前記電磁弁(19)を遮断することを特徴とする請求項
3に記載の真空コントロールユニット。
【請求項5】
前記動作モードは、センサ部(17)のうちから選択されたセンサ(S1、S2、S3)に対して一部異なる圧力値が設定されるが、選択された各センサがいずれも個別に設定された圧力値を感知すれば対象物(W1)を移送するための動作信号が出力される方式を含むことを特徴とする請求項
1に記載の真空コントロールユニット。
【請求項6】
前記動作モードは、モジュール(13)を複数のグループに区分し、各グループに含まれたセンサ(S1-S3、S4-S8)が前記所定の感知条件を満足すればグループ別に各対象物(W1、W2)を移送するための動作信号が出力される方式を含むことを特徴とする請求項
1に記載の真空コントロールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空移送システムにおいて真空ポンプと共に使用される真空コントロールユニットに関し、特に複数の真空ポンプに対応できるように統合設計された真空コントロールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
真空移送システムとは、圧縮空気によって作用する真空ポンプを利用して吸着パッドの内部空間を排気することでその内部に負圧を発生させ、この際に発生した負圧を利用して対象物を吸着把持した後、予定の場所に移送するシステムのことをいう。
【0003】
排気の側面からみると、圧縮空気が真空ポンプを高速で通る間に前記パッド内の空気が真空ポンプの内部に誘引されて圧縮空気と共に外部に排出されるが、これで真空ポンプ及びパッドの内部に真空及び負圧が形成される。
【0004】
このシステムにおいて、前記真空ポンプは、対象物または作業特性によって一つまたは複数で備えられるが、本発明は後者の場合を前提にする。
【0005】
いわゆる「真空コントロールユニット」は、前記真空ポンプに取り付けられて該当真空ポンプの内部圧力の大きさを感知し、その圧力が一定レベルに達したら吸着後工程、つまり、対象物を移送するための「動作」信号を出力する装置である。構造的には所定の制御部とセンサを内蔵する筐体と、前記ケースの上面に備えられる情報表示部と圧力設定部と、前記筐体の一側に形成されて真空ポンプと連通するポートと、を含んで構成される。前記コントロールユニットはそのポートを媒介に真空ポンプと取り付けられるが、これでセンサが真空ポンプの内部圧力、つまり、真空圧(-kPa)を感知するようになる。
【0006】
一方、対象物の種類や特性によってその吸着及び移送に必要な適正の圧力レベルが異なるため、システムを稼働する前に前記圧力設定部を操作して該当コントロールユニットの信号出力条件を設定する。そして、システムの稼働の際にセンサによって感知された圧力がその設定レベルに達したら動作信号を出力するが、これでロボティックアームが作動して対象物を決められた位置に移送するようになる。
【0007】
実際にこのような構造の真空コントロールユニットが物品を移送するための作業現場で多く使用されている。しかし、複数の真空ポンプが備えられるシステムではその真空ポンプの数だけ真空コントロールユニットが必要になるため、各ユニットの設置、管理、運用などが難しいだけでなく、全体のユニットに対する一括で効率的な制御が不可能な問題がある。そこで提案されたのが特許文献2に開示された「真空マルチ-センシングユニット」である。
【0008】
この特許に開示されたマルチ-センシングユニットは、筐体の一側に並んで形成され、各真空ポンプに個別に対応する多数のセンサを含むが、具体的な作業に選択された複数のセンサから一定レベルの圧力が感知されれば、対象物を移送するための動作信号を出力するように構成されている。これと同じではないが類似した構成で動作する装置が特許文献3及び特許文献4に開示されている。
【0009】
前記マルチ-センシングユニットが上述した各コントロールユニットを一つに統合したということから構造的に有利なことは事実であるが、ここには以下の問題がある。
【0010】
第一に、圧縮空気の効率的な供給に関する具体的な制御方案が提示されていないという技術的限界がある。
【0011】
例えば、前記真空ポンプアレイのうち作業に選択されたものはもちろん、選択されていないものに対しても圧縮空気が供給されるのか、作業に選択された真空ポンプが設定された圧力に到達した際、またはその後も圧縮空気が持続的に供給されるのか、対象物を移送する際に真空漏洩が発生すればどのように真空度を補償するのかなどは、省エネルギー及び作業安定性のために重要な要素である。それにもかかわらず、前記マルチ-センシングユニットはそれに関する対策を全く提示していない。
【0012】
第二に、元々設置されたセンサの数が固定されていることで、作業による可変適用性が不可能な使用上の限界がある。
【0013】
例えば、その設置されたセンサの数に比べ、より多数の真空ポンプが必要な作業には適用することができず、より少数の真空ポンプが必要な作用では不必要な部分が多く生じてしまう。つまり、そのユニットを製造する当時にセンサの数及び位置が固定されており、よって対象物及び作業の種類や特性によるセンサの可変的適用が最初から不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】韓国登録特許第10-1860643号公報
【文献】韓国登録特許第10-2096365号公報
【文献】特開平05-073106号公報
【文献】米国特許第5601415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決しようと提案されたものである。本発明の目的は、真空移送システムで使用されるコントロールユニットであって、
圧縮空気の供給に関するエネルギーの効率的な制御方案及びそれによる改善された作業安定性を確保できる方案を提示すると共に、構造的に必要なだけセンサの数を加減及び調整して使用するようにした
真空コントロールユニットを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の真空コントロールユニットは、
真空移送システムにおいて複数の真空ポンプの各内部圧力条件によって対象物移送の動作信号を出力する装置において、
各真空ポンプに個別に対応するモジュールが多数密着して組み立てられるモジュールスタックと、前記スタックの一側に備えられて各モジュールと信号接続する制御部と、を含んで構成されるが、ここで、
各モジュールは、
対応する真空ポンプの内部圧力を感知する一側センサ部と、その真空ポンプの圧縮空気の流入口を開閉する電磁弁に接続される他側端子部と、を含み、
前記制御部は、
各モジュールセンサ部の感知圧力が設定値に達すれば端子部によって電磁弁の「閉鎖」信号を出力することで、該当真空ポンプに対する圧縮空気の供給を遮断すること
を特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記制御部は、
回路部を内蔵する筐体の上面に形成される操作部と、表示部と、を含むが、
前記操作部は、
各モジュールのセンサ部のうち一つ以上を選択するセンサ-選択スイッチと、端子部のうち一つ以上を選択する真空-選択スイッチと、選択された各センサ部に到達圧力を設定する圧力-設定スイッチと、を含み、
各表示部は、
各スイッチのユーザ操作による選択及び設定の結果を肉眼で確認するようにするディスプレイパネルである。
【0018】
例えば、圧縮空気の供給が遮断された後、センサ部の感知圧力が設定値より一定範囲以下に落ちれば、
前記制御部は、
そのセンサ部に対応する端子部を介して前記電磁弁の「開放」信号を出力することで該当真空ポンプに対する圧縮空気の供給が再開されるようにすること
を特徴とする。
【0019】
好ましくは、真空コントロールユニットは、
圧縮空気の方向転換を印加する電磁弁に連結される破棄端子を更に含んで構成されるが、
この際、前記制御部は、
対象物の移送が完了したら前記破棄端子を介して電磁弁の「開放」信号を出力することで、圧縮空気が各真空ポンプに連結される吸着パッドに直接供給されるようにする。
【0020】
詳しくは、前記操作部は、
制御部のメモリに保存されている複数の動作モードのうちから選択して稼働するモード-選択スイッチを更に含むこと
を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の真空コントロールユニットは、基本的に複数の真空ポンプに対応するモジュールスタックと統合制御部とを含む装置である。特に、前記制御部が各真空ポンプに対する圧縮空気の供給を効率的に制御することでエネルギーを最大に節約すると共に作業安定性を改善するが、構造的にはモジュールの数を加減することで作業に提供された真空ポンプの数によってスタックの規模を調整して使用することができる。
【0022】
好ましい例において、本発明の真空コントロールユニットはモード-選択スイッチを含むが、それによって場合による最適な駆動パターンを選択して使用することができる。また、制御部側に別途の真空破棄手段を備えることで、移送作業の完了後、吸着パッドを対象物から迅速に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による真空コントロールユニットの正面斜視図である。
【
図4】本発明による真空コントロールユニットを含むシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の「真空コントロールユニット」の特徴と作用効果は、以下で添付した図面を参照して説明する好ましい実施例の記載を介して更に明確になるはずである。添付した図面において、符号「10」は本発明による真空コントロールユニットを示す。
【0025】
図1乃至
図4を参照すると、本発明による真空コントロールユニット10は、基本的に真空移送システムにおいて、複数の真空ポンプ11の各内部入力を感知し、その条件によって対象物W1移送の動作信号を出力する装置である。真空移送システムとは、知られているように、圧縮空気によって作用する真空ポンプを利用して吸着パッドの内部空間を排気することでその内部に負圧を発生させ、この際に発生した負圧を利用して対象物を吸着把持した後、予定の場所に移送するシステムのこ とをいう。
【0026】
図4において、符号12は各真空ポンプ11に個別に連結される吸着パッドである。
【0027】
全体的に見ると、前記真空コントロールユニット10は、各真空ポンプ11に個別に対応するモジュール13が多数密着して組み立てられるモジュールスタック14と、前記スタック14の一側に備えられて各モジュール13と信号接続する制御部15と、を含んでなる。この際、前記スタック14を形成する各モジュール13及び制御部15は、所定の設置ベース16上で密着して組み立て及び配置される。
【0028】
詳しくは、各モジュール13は対応する真空ポンプ11の内部圧力(-kPa)を感知する一側センサ部17と、その真空ポンプ11の圧縮空気の流入口を開閉する電磁弁19に接続される他側端子部18と、を含んで構成される。製作の便宜上、前記センサ部17と端子部18はモジュール13の互いに反対側に配置される。前記真空パック11は、よく知られているように、一側流入口と他側排出口とを含んで構成されるが、高速の圧縮空気A1が流入口及び排出口を通る際(
図4の矢印aを参照)、吸着パッド12の内部空気が真空ポンプ11の内部に誘引されて圧縮空気と共に排出される。
【0029】
前記電磁弁19は各真空ポンプ11の流入口の前端に設置されて該当流入口を閉鎖または開放するように動作するが、制御部15は一定条件下で電磁弁19の動作信号を出力する。ここで、前記電磁弁19は電気的信号によって動作する通常のソレノイドバルブである。
【0030】
ここで、前記制御部15は、モジュールセンサ部17の感知圧力が設定値に達することを条件に、前記端子部18を介して電磁弁19の「閉鎖」信号を出力する。当然に、この際に該当真空ポンプ11に対する圧縮空気の供給が遮断されるが、よってエネルギーが不必要に消耗されない。もちろん、この場合もセンサ部17の該当真空ポンプ11に対する圧力感知は妨害されない。
【0031】
本実施例において、前記制御部15は、回路部を内蔵する筐体20の上面に形成されるユーザ操作部1と、そのユーザの操作による状態表示部22と、を含んで構成される。
【0032】
詳しくは、前記操作部21は、
各モジュール13のセンサ部17のうち一つ以上を選択するセンサ-選択スイッチ23と、端子部18のうち一つ以上を選択する真空-選択スイッチ24と、選択された各センサ部17に対する到達圧力を設定する圧力-設定スイッチ25と、を含み、
前記表示部22は、
各センサ部17の感知圧力値を表示する一方、各スイッチ23-25と有機的に連結されて、そのスイッチの操作によるユーザの選択及び設定結果を肉眼で確認するようにするディスプレイパネルである。
【0033】
当然に、前記操作部21は、ユーザが移送対象物W1の種類や特性を考慮して適宜に操作する。
【0034】
真空移送システムの動作の際、別途の装置から供給された高速の圧縮空気A1が開放された電磁弁19を通って真空ポンプ11を介して外部に排出される。このような過程で吸着パッド12の内部が排気されながら真空ポンプ11及び吸着パッド12の内部空間に真空及び負圧が発生し、同時にこの発生した負圧によって対象物W1がこの吸着パッド12に把持される。
【0035】
前記センサ部17に感知された各真空ポンプ11の内部圧力が操作部21によって設定された条件を満足すれば、前記制御部15は対象物W1を移送するための動作信号を出力するようになる。例えば、真空ポンプ11に対する圧縮空気の供給が遮断された後、真空漏洩が発生したら移送の安定性を大きく損なう恐れがある。但し、微弱な程度の漏洩はその安定性に影響を及ぼさないとみなす。
【0036】
そこで本実施例では、個別の真空ポンプ11に対する圧縮空気A1の供給が遮断された後、センサ部17の感知圧力が操作部21による設定値から一定範囲以下に落ちれば、前記制御部15はそのセンサ部17に対応する端子部18を介して前記電磁弁19の「開放」信号を出力することで該当真空ポンプ11に対する圧縮空気A1の供給が再開されるようにし、真空ポンプ11に対する失われた真空度を補正及び補償する。
【0037】
このような形態の補償方式は、エネルギー、つまり圧縮空気の使用量を大きく減らす一方、対象物W1移送の安定性を最大に保障する効果がある。そのために、前記操作部21の圧力-設定スイッチ25で到達圧力範囲の上限値及び下限値を設定するようにするが、例えば、前記センサ部17が上限値を感知すれば電磁弁19の「閉鎖」信号を、下限値を感知すれば電磁弁19の「開放」信号を出力するように設計する。
【0038】
対象物W1の安全な移送が完了されたら、前記吸着パッド12は対象物W1から分離されて次の作業のために用意されるが、この過程を迅速に行うために、前記吸着パッド12の分離は強制に行われる必要がある。
【0039】
そこで、本実施例において、前記真空コントロールユニット10は、制御部15の一側に形成されて圧縮空気の方向転換を印加する電磁弁26に連結される破棄端子27を含む。それによって、対象物W1の移送が完了したら前記破棄端子27を介して電磁弁26の「開放」信号を出力することで圧縮空気A2が各吸着パッド12内に直接供給され(
図4の矢印bを参照)、それで前記吸着パッド12内の真空が破棄されると共に吸着パッド12が対象物W1から迅速に分離される。上述したように、前記電磁弁26も通常のソレノイドバルブである。
【0040】
符号29は前記真空コントロールユニット10に電力及び信号を伝送するために備えられるピン-タイプのケーブルコネクタであって、前記筐体20一側に単一で備えられるが、前記コネクタ29には同じく単一ケーブルが接続される。
【0041】
一方、前記操作部21は制御部15のメモリに保存されている複数の動作モードのうちから選択して稼働するモード-選択スイッチ28を更に含む。そこで、各場合によって対象物W1の種類や特性を考慮して適合したモードを選択してシステムを稼働することで、本発明の前記真空コントロールユニット10を更に便利で安定的に使用することができるようになる。
【0042】
以下は本実施例に適用されは動作モードの例示であるが、各モードは対象物W1を移送するための個別の動作条件を有する。図示したように前記モジュール13が8つ備えられることで、各モジュール13のセンサ部17は「センサ」S1…S8で表示され、センサ部17に対応する端子部18は各電磁弁19に接続するものであるため「弁」V1…V8のような方式で表示される。一方、特定の対象物W1を把持及び移送するためのセンサ及び弁の選択、各真空ポンプ11に対する目標圧力の設定は、前記操作部21の各スイッチ23、24、25操作することで決定される。
【0043】
[第1モード]
このモードは前記センサ部17のうちから選択されたセンサS1、S2、S3に対して同じ圧力値が設定されるが、選択されたセンサがいずれもその設定された圧力値を感知すれば対象物W1を移送するための動作信号が出力されるように設計されている。便宜上、このモードでは、選択されたセンサのうち一つに対して圧力値が設定されれば他のセンサに対しても同じ値が自動的に設定され、前記表示部22には選択された各センサから得られた圧力が平均値として表示される。
【0044】
図面において、「-80kPa」は各センサの設置された圧力値を、「-65kPa」はシステムの動作中に感知された現在の圧力平均値を示す。
【0045】
前記センサは必要によってランダムに選択されてもよく、同じく前記弁もランダムに選択されてもよい。但し、選択されたセンサに対応しない弁の選択は意味がない。便宜上、このモードでは、各センサを選択すると共に対応する弁V1、V2、V3、V4が自動的に選択されるが、選択された弁は前記動作信号によって一括にまたは選択的にON/OFF制御される。
【0046】
このモードは安全が要求される移送ライン及び同じ形態の対象物W1の繰り返し移送に適合して使用される。ここで、前記選択されたセンサが正常に動作して設定された圧力を感知すれば、該当LED30は緑(G)に表示される。
【0047】
[第2モード]
このモードは前記センサ部17のうちから選択されたセンサS1、S2、S3に対して同じ圧力値が設定されるが、選択されたセンサの一つまたは一部がその設定された圧力値を感知できなくても、選択された各センサから得られた圧力の平均値が各センサに対して設定された圧力の平均値に達すれば対象物W1を移送するための動作信号が出力されるように設計されている。各センサの圧力値の設定、感知圧力の平均値の表示、各弁の選択及び制御などは前記[第1モード]の場合と同じである。
【0048】
このモードは形状が可変する対象物またはビニルパックや薄いフィルムのように真空漏洩の可能性がある対象物W1の移送に適合して使用される。ここで、前記選択されたセンサが正常に動作して設定された圧力を感知すれば、該当LED30は緑(G)に表示される。
【0049】
一方、前記で選択されたが一定時間または回数の間に前記設定された圧力値を感知することができなかったセンサは、その識別として例えば該当LED30が赤(R)の点滅で表示されるが、これはそのセンサに連結される真空ポンプ11または吸着パッド12に問題が生じたことを意味するため、その点検が必要である。もしそのセンサの感知値が設定値に比べ継続して一定レベル、例えば20%程度を超えることができなければ、該当真空ポンプ11が対象物W1の把持に全く関与することができないと認識し、圧縮空気がそれ以上供給されないように該当電磁弁19を遮断することで、エネルギーが不必要に浪費されることを防止する。
【0050】
[第3モード]
このモードは前記センサ部17のうちから選択されたセンサS1、S2、S3に対して一部異なる圧力値が設定されるが、選択されたセンサがいずれも個別に設定された圧力値を感知すれば対象物W1を移送するための動作信号が出力されるように設計されている。
【0051】
その他、各センサの感知圧力の平均値の表示、または各弁の選択及び制御などは前記[第1モード]の場合と同じである。
【0052】
このモードは表面の形態が均一ではなく、特定部位で真空漏洩の可能性がある対象物W1の移送に適合して使用される。ここで、前記選択されたセンサが正常に動作して設定された圧力に達すれば、該当LED30は緑(G)に表示される。
【0053】
[第4モード]
このモードは前記モジュール13を複数のグループに区分し、各グループに含まれたセンサS1-S3、S4-S8が所定の感知条件、例えば前記[第1モード]乃至[第3モード]のうち一つに規定された感知条件を満足すれば、グループ別に各対象物W1、W2を移送するための動作信号が出力されるように設計されている。当然に、ここでグループ別の各センサの圧力値の設定、感知圧力の平均値の表示、各弁の選択及び制御などは該当グループに対して選択された個別モードの条件による。
【0054】
このモードは一つの真空コントロールユニット20利用して2つ以上の対象物W1、W2に対する移送作業を同時に行う必要がある場合に適合して使用される。
【0055】
図示していないが、この際、各グループ別のセンサの感知圧力の平均値が比較出力される。
【0056】
真空移送システム及び前記各モードにおいて、対象物W1、W2を移送するための圧縮空気は、原則的に「A1」ラインに待機していてから電磁弁19が開放されたら真空ポンプ11側に供給されるが、移送後は前記システム前端の電磁弁26が開放されながら「A2」ラインを介して吸着パッド12側に瞬間供給され、それによって前記吸着パッド12が対象物W1、W2から迅速に分離される。
【符号の説明】
【0057】
10 真空コントロールユニット
11 真空ポンプ
12 吸着パッド
13 モジュール
14 スタック
15 制御部
16 ベース
17 センサ部
18 端子部
19 電磁弁
20 筐体
21 操作部
22 表示部
23 センサ-選択スイッチ
24 真空-選択スイッチ
25 圧力-設定スイッチ
26 電磁弁
27 破棄端子
28 モード-選択スイッチ
29 コネクタ
30 LED
A1、A2 圧縮空気
W1、W2 対象物