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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】塗装用ローラとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/02 20060101AFI20240709BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B05C17/02
A46B5/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023207416
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519450721
【氏名又は名称】株式会社大関
(74)【代理人】
【識別番号】100199668
【弁理士】
【氏名又は名称】林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 基也
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-023743(JP,A)
【文献】実開平06-021776(JP,U)
【文献】米国特許第04759289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
B41F31/00-31/38
B41L35/00-35/34
B41J13/00-13/32
A46B 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を含有させる刷毛部を外周に付設した筒状の本体管と、前記本体管の一方の開口端部に嵌挿され塗装用ハンドル先端軸部を挿入する挿入口を有するキャップと、前記本体管の内部に配設され前記塗装用ハンドル先端軸部に挿着固定される熱可逆性樹脂製の固定ベアリングとを有し、前記本体管は前記本体管と一体形成され前記塗装用ハンドル先端軸部を回動自在に軸着する内径軸受け部と、前記固定ベアリングを配設可能な所要空間を有する拡径部と、前記開口端部と違うもう一方の開口端部側に形成され前記本体管の閉塞部を形成するための拡径終端部とを備え、前記固定ベアリングは、前記拡径部の内径より小さい外径の管状体で、その内周壁に中心部に向けた方向に突設され、かつ、前記固定ベアリングの長さ方向全域に亘り配設された少なくとも2つ以上の内爪を有し、前記内爪の其々の先端部同士で形成される間隙の内径は、塗装用ハンドル先端軸部の外径より少し小さい形状に形成されていることを特徴とする塗装用ローラ。
【請求項2】
前記本体管は、前記内径軸受け部が前記拡径部と前記拡径終端部以外の領域全体に亘り形成された熱可逆性樹脂製で、前記拡径終端部が内壁側よりヒーターで加熱され熱溶着により接着閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装用ローラ。
【請求項3】
熱可逆性樹脂で形成されているパイプ材を塗装ローラ製造に適した所要長さに切断する第一切断工程と、前記第一切断されたパイプ材の外周面に帯状の刷毛材を螺旋状に巻きつけながら接着する刷毛接着工程と、前記刷毛材が接着されたパイプ材を本体管として使用する所定の長さに切断する第二切断工程と、前記第二切断工程で切断されたパイプ材の一方の開口端部より固定ベアリングを配設すると同時にキャップを嵌挿可能となる所要空間を形成するため内径を拡径する第一拡径工程と、前記第一拡径工程で拡径した開口端部と違うもう一方の開口端部より拡径終端部を形成するために内径を拡径してローラ部材を完成する第二拡径工程と、前記第二拡径工程で形成されたローラ部材の拡径終端部を内壁側からヒーターで加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱した拡径終端部を押圧して変形させローラ部材の一端側を塞ぎ本体管を完成させる閉塞工程と、前記第一拡径工程で形成された拡径部に固定ベアリングを挿入し開口端部にキャップを嵌挿する組付け工程とを備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の塗装用ローラの製造方法。
【請求項4】
熱可逆性樹脂で形成されている本体管の閉塞する前の状態であるローラ部材の拡径終端部を内壁側から加熱する加熱装置であって、複数のローラ部材を載置可能な基台部と、前記基台部に垂設されローラ部材を適正位置に載置するガイドシャフト部と、前記ガイドシャフト部の前記基台側に連設され拡径終端部を内壁側から加熱するヒーター部とからなり、前記ガイドシャフト部がローラ部材の内径軸受け部の内径より少し小さい外径の円柱形状で形成され、前記ヒーター部は拡径終端部の内径より少し小さい外径で、拡径終端部の高さよりも少し低い所要寸法で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法に使用する加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラのブラシ部に塗料を含ませ、それを被塗装面に当接させ回動自在に回動させることで、塗料を塗布する作業に使用する塗装用ローラと、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塗装用ローラは、ブラシ部で覆われた筒体と、塗装用ハンドルから延びるシャフトを挿入するための挿入口を有する挿入部と、筒体の長手方向の他方付近に配置されシャフトの一部を受ける軸受け部と、シャフトの一部を保持する保持部(固定ベアリング)とで構成されている塗装用ローラが公開されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-137675号公報
【文献】特開2000-023743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された塗装用ローラでは、軸受け部を筒体に圧入する作業が必要であり、特に塗装用ローラの直径サイズが小さくなるにつれ、作業の正確性が求められ、その作業が煩雑となる問題があった。
【0005】
また、特許文献1に開示された塗装用ローラでは、軸受け部を筒体に圧入した後に筒体を溶解して第一部材を形成する実施形態も開示されているが、筒体を溶解して第一部材を形成する過程で、軸受け部が配設された位置に影響を及ぼす可能性もあった。
【0006】
そして、上述した軸受け部の位置がずれて塗装用ローラの中心線がずれてしまうと、図7(B)に示すように、塗装用ハンドルの挿入不良や塗装用ローラの回転不良が発生し、塗装作業に不具合が生じる問題があった。
【0007】
さらに、特許文献2に開示されたような従来の塗装用ローラでは、外周にスリットを形成すると共に、その内径を塗装用ハンドルの直線部(塗装用ハンドル先端軸部)の外径よりも少し小さくして、径方向の弾性を有する合成樹脂製の固定筒(固定ベアリング)が採用されていることが一般的であった。
【0008】
しかし、特許文献2に開示された従来の固定ベアリングは、塗装用ハンドル先端軸部を挿入すると径方向に拡径し変形することで、外周面が楕円形化し、外周面の一部分が筒体内部と接触して回転抵抗となり、塗装用ローラの回転スピードが一定とならない回転不良となる問題もあった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その具体的目的は、塗装用ローラの組み立て作業が容易で、塗装用ハンドルの挿入不良や塗装用ローラの回転不良が起きにくい塗装用ローラとその製造方法、及びその製造に使用する加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。詳述するならば、本発明の塗装用ローラは、塗料を含有させる刷毛部を外周に付設した筒状の本体管と、前記本体管の一方の開口端部に嵌挿され塗装用ハンドル先端軸部を挿入する挿入口を有するキャップと、前記本体管の内部に配設され前記塗装用ハンドル先端軸部に挿着固定される熱可逆性樹脂製の固定ベアリングとを有し、前記本体管は前記本体管と一体形成され前記塗装用ハンドル先端軸部を回動自在に軸着する内径軸受け部と、前記固定ベアリングを配設可能な所要空間を有する拡径部と、前記開口端部と違うもう一方の開口端部側に形成され前記本体管の閉塞部を形成するための拡径終端部とを備え、前記拡径終端部によって、前記拡径終端部側の開口端部が閉塞されている構成が含まれる。
【0011】
本発明の塗装用ローラは、本体管に内径軸受け部が一体形成されているので、部品構成が少なく組付け工数が削減できると共に、組付け不良による塗装用ローラの回転不良を防止できる効果がある。
【0012】
本発明には、前記本体管が熱可逆性樹脂製で、前記内径軸受け部は前記拡径部と前記拡径終端部以外の領域全体に亘り形成され、さらに、前記拡径終端部が内壁側より加熱され熱溶着により接着閉塞されている構成が含まれる。
【0013】
本発明の塗装用ローラは、熱可逆性樹脂で形成された本体管を内壁側から加熱して熱溶着にて閉塞することで、蓋などの部品を必要としないため部品点数を削減できる効果がある。
【0014】
また、本発明には、前記固定ベアリングが、前記拡径部の内径より小さい外径の管状体で、その内周壁に中心部に向けた方向に突設され、かつ、前記固定ベアリングの長さ方向全域に亘り配設された少なくとも2つ以上の内爪を有し、前記内爪の其々の先端部同士で形成される間隙の内径は、塗装用ハンドル先端軸部の外径より少し小さい形状に形成され、前記内爪の先端部が前記塗装用ハンドル先端軸部と当接し、前記塗装用ハンドル先端軸部を抜差し自在に保持する所要形状の熱可逆性樹脂で形成されている構成が含まれる。

【0015】
本発明の固定ベアリングは、上述のような構成で従来の固定ベアリングのように外周面にスリットが形成されていないことから、塗装用ハンドル先端軸部を挿入しても外周部が変形することが無く、塗装用ローラの回転スピードの変化が起きることが無く塗装作業の不良が起きづらい効果がある。
【0016】
さらに、本発明には、熱可逆性樹脂で形成されているパイプ材を塗装ローラ製造に適した所要長さに切断する第一切断工程と、前記第一切断されたパイプ材の外周面に熱可逆性樹脂を溶解した溶剤を塗布した上に、帯状の刷毛材を螺旋状に巻きつけながら接着する刷毛接着工程と、前記刷毛材が接着されたパイプ材を本体管として使用する所定の長さに切断する第二切断工程と、前記第二切断工程で切断されたパイプ材の一方の開口端部より固定ベアリングを配設すると同時にキャップを嵌挿可能となる所要空間を形成するため内径を拡径する第一拡径工程と、前記第一拡径工程で拡径した側の開口端部と違うもう一方の開口端部より、拡径終端部を形成するために内径を拡径しローラ部材を完成する第二拡径工程と、前記第二拡径工程で形成された拡径終端部を内壁側からヒーターで加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱した拡径終端部を押圧して変形させローラ部材の一端側を塞ぎ本体管を完成する閉塞工程と、前記第一拡径工程で形成された拡径部に固定ベアリングを挿入し開口端部にキャップを嵌挿する組付け工程とを備えて構成したことを特徴とする塗装用ローラの製造方法の発明が含まれる。
【0017】
本発明の塗装用ローラの製造方法は、閉塞工程のためにパイプ材の内径を拡径した後に拡径終端部の内壁側からヒーターで加熱して閉塞することで、外周面に巻きつけた刷毛部分を変形変質させることが無く塗装作業への影響が少ないと同時に、塗装用ローラの直径サイズが小さい製品になっても組付け作業の効率が殆ど変化しない効果がある。
【0018】
本発明には、熱可逆性樹脂で形成されている本体管の閉塞する前の状態であるローラ部材の拡径終端部を内側から加熱する加熱装置であって、複数のローラ部材を載置可能な基台部と、前記基台部に垂設されローラ部材を適正位置に載置するガイドシャフト部と、前記ガイドシャフト部の前記基台側に連設され拡径終端部を内壁側から加熱するヒーター部とからなり、前記ガイドシャフト部がローラ部材の内径軸受け部の内径より少し小さい外径の円柱形状で形成され、前記ヒーター部は拡径終端部の内径より少し小さい外径で、拡径終端部の高さよりも少し低い所要寸法の円柱形状で形成されている構成が含まれる。
【0019】
本発明の加熱装置は、ローラ部材をセットするだけで、拡径終端部を内壁側からヒーターで所要温度に加熱溶解することができるので、加熱時に外周側の刷毛部分を変形変質させることが無く、さらに、加熱後はローラ部材を取り外して作業台などに押圧するだけで良く、金型など使用しなくても閉塞作業が完了するので工数削減にも効果がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の塗装用ローラは、塗装用ローラの組み立て作業が容易で、さらに塗装用ハンドルの挿入不良や塗装用ローラの回転不良が起きにくく塗装作業の仕上がりがきれいにできる効果が得られる。
【0021】
本発明の塗装用ローラの製造方法は、ローラ部材の内壁側からヒーターで加熱して閉塞することで、外周面に巻きつけた刷毛部分を変形変質させることが無く塗装用ローラの品質を均一に保てると同時に、塗装用ローラの直径サイズが小さい製品になっても作業効率が殆ど変化しない効果がある。
【0022】
本発明の加熱装置は、セットするだけで拡径終端部を内壁側から所要温度に加熱溶解できるので、作業工数削減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る塗装用ローラに塗装用ハンドルを挿入した状態を示す部分断面図である。
図2】本発明に係るローラ部材を示す断面図である。
図3】固定ベアリングの(A)従来品(B)本発明品との対比を示す概略図である。
図4】本発明に係るキャップを示す(A)正面図(B)側面図である。
図5】本発明に係る刷毛接着工程を示す概略説明図である。
図6】本発明に係る加熱装置を示す一部断面図である。
図7】従来の軸受け部の(A)正しい位置の例(B)位置がずれた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。ただし、図面は模式的に図示しており、実際の寸法や比率等とは必ずしも一致しない。また、図面相互間において、お互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることがある。
【0025】
図1及び図2に示されるように、本発明に係る塗装用ローラ1は、塗装用ハンドル60を装着して、塗料を塗装用ローラ1の刷毛部20に含ませ、それを被塗装面に当接させ回動自在に回動させることで、塗料を塗布する作業に使用する手工具である。
【0026】
塗装用ローラ1は、塗料を含有させる刷毛部20を外周に付設した筒状の本体管30と、本体管30の一方の開口端部31に嵌挿され塗装用ハンドル先端軸部61を挿入する挿入口41を有するキャップ40と、本体管30の内部に配設され塗装用ハンドル先端軸部61に抜差し自在に挿着され、作業中に塗装用ローラ1が塗装用ハンドル60から外れず回動自在となるように保持する固定ベアリング50とで形成されている。
【0027】
本体管30は、本体管30と一体形成され塗装用ハンドル先端軸部61を回動自在に軸着する内径軸受け部32と、固定ベアリング50を配設可能となる所要空間33を有する拡径部34と、開口端部31と違うもう一方の開口端部35側に形成され、本体管30の閉塞部36を形成するための拡径終端部37とで形成されている。
【0028】
図3(A)は従来の固定ベアリング70の正面図と側面図である。従来の固定ベアリング70は、拡径部34の内径D5より小さい外径D2の円筒形状で、長さ方向L1に沿った向きの全域に亘ってスリット部71が形成されている。また、内径D1は、塗装用ハンドル先端軸部61の外径より少し小さく形成されているので、塗装用ハンドル先端軸部61を挿入するとスリット部71が広がり、径方向に拡径し変形して外周面72が楕円形化するように形成されている。
【0029】
図3(B)は本実施形態の固定ベアリング50の正面図と側面図である。本実施形態の固定ベアリング50は、拡径部34の内径D5より小さい外径D4の円筒形状で、その内周壁52に中心部に向けた方向に突設され、かつ、長さ方向L2の全域に亘り配設された3つの内爪51を有し、また、其々の内爪51の先端部同士の間隙で形成される仮想円の内径D3は、塗装用ハンドル先端軸部61の外径より少し小さく形成されている。
【0030】
図4に示すように、本実施形態のキャップ40は、塗装用ハンドル先端軸部61を挿入可能な挿入口41と、拡径部34の内径D5よりやや大きい外径D6の略円筒形状に形成されたリング部42と、リング部42の外径D6よりさらに大きい外径D7の略円筒形状に形成されたフランジ部43とで形成されている。
【0031】
本実施形態では、本体管30、固定ベアリング50、キャップ40の素材は、ポリエチレンを使用したが、例えば、ポリプロピレンやポリ塩化ビニルなどの熱可逆性樹脂を使用しても良い。また、刷毛部20は、ポリエステル、ポリプロピレンなどを素材としたマイクロファイバーやスポンジ、または、天然繊維からなる素材を使用しても良い。さらに、塗装用ハンドル先端軸部61は、金属製の丸棒で形成すれば良い。
【0032】
本実施形態では、上述の通りの形状、素材を使用していることで、金属製の塗装用ハンドル先端軸部61を挿入口41より差し込むと、熱可逆性樹脂製の固定ベアリング50の内爪51が径方向に押し広げられ、塗装用ハンドル先端軸部61と固定ベアリング50は固定されるが、本体管30と塗装用ハンドル先端軸部61とは回動自在の状態となる。塗装用ローラ1を取り外す際は、所要の力で引き抜けば、塗装用ハンドル先端軸部61と固定ベアリング50の固定が解除され、取り外すことが可能となる。
【0033】
以下に、本実施形態の塗装用ローラ1の製造方法について説明する。
先ず、内径軸受け部32に適した内径で形成された熱可逆性樹脂製のパイプ材300を、塗装ローラ製造装置(図示せず)に適した所要長さに切断する(第一切断工程)。
【0034】
図5に示すように、第一切断工程で切断されたパイプ材300を回転させながら、パイプ材300の外周面に、熱可逆性樹脂製のペレット材を加熱溶解した溶剤400を上方から塗布し、塗布が終った位置に帯状の刷毛材500を螺旋状に巻きつけながら接着する(刷毛接着工程)。
【0035】
次に、刷毛材500が接着されたパイプ材300を、本体管30として使用する所要長さに切断する(第二切断工程)。
さらに、第二切断工程で切断されたパイプ材300の一方の開口端部31より、固定ベアリング50を配設すると同時に、キャップ40を嵌挿可能となる長さの所要空間33を形成するため、内径をD5寸法に拡径し拡径部34を切削加工で形成する(第一拡径工程)。
【0036】
第一拡径工程で拡径した側の開口端部31と違うもう一方の開口端部35より、拡径終端部37を形成するために内径を切削加工で拡径して、一端側を塞ぐ前の状態のローラ部材11を形成する(第二拡径工程)。図6に示す加熱装置600に第二拡径工程で形成されたローラ部材11の拡径終端部37を下側に向け載置して、内壁側からヒーター部で加熱する(加熱工程)。
【0037】
加熱工程で加熱した、ローラ部材11を加熱装置600から抜き取り、拡径終端部37を作業台(図示せず)などに押圧して変形させローラ部材11の一端側を塞ぎ閉塞部36を形成し本体管30を完成する(閉塞工程)。
第一拡径工程で形成された拡径部34に固定ベアリング50を挿入し、開口端部31にキャップ40を嵌挿する(組付け工程)。以上の工程で塗装用ローラ1を製造することができる。
【0038】
図6に示した本実施形態で使用する加熱装置600を以下で説明する。
本実施形態の加熱装置600は、複数のローラ部材11を載置可能な基台部601と、基台部に垂設され本体管を適正位置に案内する円柱形状のガイドシャフト部602と、ガイドシャフト部602と連設され基台部601側に配設され円柱形状で拡径終端部37を内径側から加熱するヒーター部603とで形成されている。
【0039】
ガイドシャフト部602は内径軸受け部32の内径より少し小さい外径の円柱形状で形成され、ヒーター部603は拡径終端部37の内径より少し小さい外径で、拡径終端部35の高さよりも少し低い所要寸法の円柱形状で形成すれば良い。
【0040】
ここで、ガイドシャフト部602の外径と内径軸受け部32の内径との差をT1とし、ヒーター部603の外径と拡径終端部37の内径との差をT2とした場合に、T1がT2よりも少なくなるように設定すれば良く、そのように設定すればローラ部材11を加熱装置600に抜差しする際に、ローラ部材11がヒーター部603に直接接触する事故を防止することができる。
【0041】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、上記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態では、固定ベアリングを3つの内爪を有する内容で説明したが、特に内爪の数量を限定するものではない。
【0042】
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態及び実施例に対し、形状、材質、数量、使用用途、位置若しくは配置等に対して当業者が様々な変更を加えることができるものである。従って、既に開示した形状等の限定をした記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に示したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定を一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 塗装用ローラ
11 ローラ部材
20 刷毛部
30 本体管
31,35 開口端部
32 内径軸受け部
33 所要空間
34 拡径部
35 開口端部
36 閉塞部
37 拡径終端部
40 キャップ
41 挿入口
42 リング部
43 フランジ部
50 固定ベアリング
51 内爪
52 内周壁
60 塗装用ハンドル
61 塗装用ハンドル先端軸部
70 従来の固定ベアリング
71 スリット部
72 外周面
80 従来の軸受け部
300 パイプ材
400 溶剤
500 刷毛材
600 加熱装置
601 基台部
602 ガイドシャフト部
603 ヒーター部
D1 従来の固定ベアリング内径
D2 従来の固定ベアリング外径
D3 仮想円の内径
D4 固定ベアリング外径
D5 拡径部の内径
D6 リング部の外径
D7 フランジ部の外径
L1 従来の固定ベアリング長さ
L2 固定ベアリング長さ
Y1 軸受け部が正しい位置の塗装用ローラの中心線
Y2 軸受け部がずれた位置の塗装用ハンドルの中心線
Y3 軸受け部がずれた位置の軸受け部の中心線
【要約】
【課題】塗装用ローラの組み立て作業が容易で、塗装用ハンドルの挿入不良や塗装用ローラの回転不良が起きにくい塗装用ローラとその製造方法、及びその製造に使用する加熱装置を提供する。
【解決手段】塗料を含有させる刷毛部20を外周に付設した筒状の本体管30と、本体管30の一方の開口端部に嵌挿され塗装用ハンドル先端軸部61を挿入する挿入口を有するキャップ40と、本体管30の内部に配設され塗装用ハンドル先端軸部61に挿着固定される固定ベアリング50とを有し、本体管30は本体管30と一体形成され前記塗装用ハンドル先端軸部61を回動自在に軸着する内径軸受け部32と、固定ベアリング50を配設可能な所要空間を有する拡径部と、開口端部ともう一方の開口端部側に形成され本体管30の閉塞部36を形成するための拡径終端部とで形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7