(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】モバイル除細動器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
A61N1/39
(21)【出願番号】P 2023504506
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2021056610
(87)【国際公開番号】W WO2022018671
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-02-15
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523023948
【氏名又は名称】デフィブリオ エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ヨン カレ
(72)【発明者】
【氏名】ノア,ビャルテ シェル
(72)【発明者】
【氏名】バーグビー,アーネ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503920(JP,A)
【文献】特表2020-503916(JP,A)
【文献】特表2017-525410(JP,A)
【文献】特開2016-041239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0088016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に用いるためのモバイル除細動器
(AED)システムであって
、
アプリケーションを実行可能なデバイスに
使用可能に接続されるように構成
されるとともに、
1つ以上の電極を含み、対象者の呼吸データを測定するように構成される、モバイルAEDユニット
を備え、
前記デバイスは、前記アプリケーションを
前記デバイス上で実行する1つ以上のプロセッサを介して、
前記モバイルAEDユニット
の前記デバイス
への接続を検出し
、
前記1つ以上の電極が前記対象者に
接続されていることを判定し、
前記電極によって記録された前記対象者のEKG測定値を受信し、
前記対象者の呼吸による胸部の動きに関連する測定した呼吸データを前記モバイルAEDユニットから受信し、
前記呼吸データを分析して前記対象者の呼吸パターンを判定し、
受信した前記EKG測定値及び判定した前記呼吸パターンに基づいて、前記対象者が電気ショックを必要としていることを決定し、
受信した前記EKG測定値及び判定した前記呼吸パターンに基づいて、持続時間、時間間隔、及びエネルギーレベルを含むショックパターン
因子を決定し、
前記決定に基づいて、モバイルAEDユニットを介して、決定した前記ショックパターン因子を用いて前記電気
ショックを前記対象者に施す
ように構成される、モバイル除細動器
システム。
【請求項2】
前記デバイスは、
EKG測定値を記録し続けることと、
CPRプロトコルを開始すること
のうち少なくとも一方を行うようにさらに構成される、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項3】
前記デバイス
がさらに、AEDの性能
データおよびヘルスデータを、ネットワークを介してサーバに送信するように構成される、請求項
1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項4】
前記サーバ
が、複数
のデバイス及び複数のモバイルAED
ユニットから
AEDの性能
データおよびヘルスデータを受信し
、受信した前記AEDの性能
データおよびヘルスデータに基づいて、
EKG測定値を分析するための機械学習モデル及び電極配置を決定するための機械学習モデルの再トレーニング又はアップデートのうちの少なくとも一方を行うように構成される、請求項
3に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項5】
前記対象者が電気ショックを必要としていることを決定することは、前記デバイスが、
1つ以上の電極が前記対象者に接続されていることを検出したことに応じて、
前記デバイスを介して前記対象者に応答のための時間を示した通知を、前記アプリケーションを介して所定頻度で表示することと、
前記対象者が前記時間内に少なくとも1つの通知に応答していないと判断することと、
前記対象者が応答していないと判断したことに応じて、前記対象者に電気ショックを施すことを決定することと
を含む、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項6】
前記対象者が電気ショックを必要としていることを決定することは、前記デバイスが、前記EKG測定値を分析することと、危険なリズムを検出することとを含む、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項7】
前記危険なリズムを検出することが、急速な心室頻脈若しくは心室細動の少なくとも一方を検出することを含む、請求項6に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項8】
前記デバイスがさらに、
前記1つ以上の電極間を流れる電流を測定し、
測定した電流に基づいて、前記1つ以上の電極間の距離を変更することが推奨されることを表示するように構成される、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項9】
受信した前記EKG測定値及び判定した前記呼吸パターンに基づいて、前記対象者が電気ショックを必要としていることを決定することは、前記デバイスが、
複数のノードを有するニューラルネットワークを使用して、前記EKG測定値及び前記判定した呼吸パターンの少なくとも一方を、持続時間、時間間隔、及びエネルギーレベルを含むショックパターン因子にマッピングすることを含む、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークが、前記呼吸データ、脈拍データ、及び血圧データに基づいて、前記対象者が自己心拍再開(ROCS)する可能性を予測するように構成される、請求項9に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項11】
前記EKG測定値を受信することは、前記デバイスが、脈拍数、EKG波形構成、ST上昇のうちの少なくとも1つを判定することを含む、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【請求項12】
前記電気ショックを前記対象者に施すことは、前記デバイスが、前記デバイスの電源を利用して前記1つ以上の電極内の回路に給電することを含む、請求項1に記載のモバイル除細動器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2020年7月24日に出願された米国特許出願第16/938,275号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
突然の心停止(例えば、心不全)は、心臓機能、呼吸および意識の急な損失を伴うことがある。多くの場合に、心臓における電気的障害から、結果として心臓のポンプ作用を妨害する状態が生じる可能性があり、これにより、身体内の血流が停止する可能性がある。米国単独で、毎年30万人超が病院外で心停止により死亡している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの態様によれば、対象者に対し用いるためのモバイル除細動器システムは、アプリケーションを実行することが可能なデバイスと、デバイスに接続されるように構成されたモバイル除細動器(AED)ユニットであって、モバイルAEDユニットは、複数のパッドを含む、モバイルAEDユニットとを備えることができる。デバイスは、アプリケーションを介して、モバイルAEDユニットがデバイスに接続されるときを検出し、対象者に関するヘルスデータを分析し、ヘルスデータは、アプリケーション上に記憶され、複数のパッドが対象者に取り付けられたかを判定し、ヘルスデータに基づいて、対象者に施す電気ショックパターンを決定し、電気ショックパターンを対象者に施すように構成することができる。いくつかの実施形態では、決定された電気ショックパターンは、複数の電気ショックを含むことができる。各電気ショックは、持続時間およびエネルギーレベルを含むことができる。電気ショックパターンは、決定された電気ショック間の時間を更に含むことができる。
【0004】
いくつかの実施形態では、ヘルスデータは、脈拍周波数、脈拍変動、心拍リズム、EKG群の構成、ST上昇、欠乏、心虚血、心室頻拍または心室細動に関連付けられたデータのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、アプリケーションを介して、パッド間を流れる電流を測定し、測定された電流に基づいて、パッド間の距離を変更することの勧告をデバイス上に表示するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ヘルスデータに基づいて、対象者に施す電気ショックパターンを決定することは、過去の除細動器性能データおよびヘルスデータでトレーニングされた機械学習モデルを用いてヘルスデータを分析することを含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、デバイスは、AEDの性能に関する性能およびヘルスデータを、ネットワークを介してサーバに送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、サーバは、複数のユーザデバイスおよび複数のモバイルAEDから、性能およびヘルスデータを受信し、受信された性能およびヘルスデータに基づいて、機械学習モデルの再トレーニングまたはアップデートのうちの少なくとも一方を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、性能およびヘルスデータは、脈拍周波数、脈拍変動、心拍リズム、EKG群の構成、ST上昇、欠乏、心虚血、心室頻拍、心室細動、ユーザインターフェースおよびユーザ体験最適化に関連付けられたデータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0006】
本開示の別の態様によれば、モバイル除細動器(AED)ユニットを用いた自己救命を行うための方法が、ユーザデバイス上のアプリケーションを介して、ユーザデバイスへのモバイルAEDユニットの接続を検出することと、アプリケーションを介して、複数のパッドが対象者に取り付けられたことを検出することと、アプリケーションを介して、パッドによって得られた対象者のEKG測定値を記録することと、記録されたEKG測定値、および対象者に関連付けられた予めプログラムされたリスク因子に基づいて、モバイルAEDを用いて行うべきアクションを決定することと、アプリケーションおよびユーザデバイスを介して、対象者に対するアクションを行うこととを含むことができる。いくつかの実施形態では、アクションは、電気ショックパターンを対象者に施すことと、EKG測定値の記録を継続することと、CPRプロトコルを開始することとのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、アクションは、電気ショックパターンを対象者に施すことを含むことができ、方法は、対象者に関するヘルスデータおよび予めプログラムされたリスク因子に基づいて、対象者に施す電気ショックパターンを決定することを含むことができる。電気ショックパターンは、複数の電気ショックを含むことができる。各電気ショックは、持続時間およびエネルギーレベルを含むことができる。電気ショックパターンは、決定された電気ショック間の時間を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、予めプログラムされたリスク因子は、ユーザデバイス上のユーザインターフェースを介してアプリケーションへのユーザ入力として受信されたものである。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、デバイスを介して、AED性能に関連付けられた性能およびヘルスデータを、ネットワークを通じてサーバに送信することを含むことができる。いくつかの実施形態では、パッドは、少なくとも1つの加速度計を含むことができ、アクションを決定することは、少なくとも1つの加速度計から加速度計データを受信することと、加速度計データを分析して、対象者の呼吸パターンを決定することと、決定された呼吸パターンに基づいて、CPRプロトコルを開始することとを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、サーバは、複数のユーザデバイスおよび複数のモバイルAEDから、性能およびヘルスデータを受信し、受信された性能およびヘルスデータに基づいて、EKG測定値を分析するための機械学習モデルおよびパッド配置を決定するための機械学習モデルの再トレーニングまたはアップデートのうちの少なくとも一方を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、アクションが、電気ショックパターンを対象者に施すことであると決定することは、パッドが対象者に取り付けられたことを検出するのに応じて、デバイスにより、アプリケーションを介して、対象者に通知を所定の頻度で表示することと、対象者が期間内に少なくとも1つのメッセージに応答していないと判断することと、対象者が応答していないと判断するのに応じて、アクションが電気ショックパターンを対象者に施すことであると決定することとを含むことができる。各メッセージは、返答のための期間を示すことができる。
【0010】
本開示の別の態様によれば、モバイル除細動器(AED)ユニットを用いてCPRを行うための方法は、ユーザデバイス上のアプリケーションを介して、ユーザデバイスへのモバイルAEDユニットの接続を検出することと、アプリケーションを介して、複数のパッドが対象者に取り付けられたことを検出することであって、パッドは、少なくとも1つの加速度計を含む、検出することと、アプリケーションを介して、パッドによって得られた対象者のEKG測定値を記録することと、少なくとも1つの加速度計から加速度計データを受信することと、加速度計データを分析して、対象者の呼吸パターンを決定することと、決定された呼吸パターンに基づいて、CPRプロトコルを開始することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、CPRプロトコルを開始することは対象者にCPRを提供するためのユーザへの指示を、デバイス上に表示することを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、受信された加速度計データは、第1の加速度計データとすることができ、方法は、CPRが対象者に対し行われている間、少なくとも1つの加速度計から第2の加速度計データを受信することと、第2の加速度計データを分析して、圧迫の頻度および力を決定することと、ユーザデバイス上に、圧迫の頻度および力のうちの少なくとも一方を変更する勧告を表示することとを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、ヘルスデータおよびEKG測定値に基づいて、対象者に施す電気ショックパターンを決定することと、CPRプロトコルと協働して、電気ショックパターンを対象者に施すこととを含むことができる。
【0012】
添付の図面では、それぞれの図全体にわたって、同様の参照符号は同一のまたは機能的に同様の要素を示し、以下の詳細な説明と共に、明細書に組み込まれその一部をなしており、特許請求される発明を含む概念の実施形態を更に例示し、これらの実施形態の様々な原理および利点を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的なモバイル自動体外式除細動器(AED)システムの図である。
【0014】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDの例示的な回路概略図である。
【0015】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDデバイスのシステムのブロック図である。
【0016】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いるための例示的なプロセスの図である。
【0017】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いてCPRを支援するための例示的なプロセスの図である。
【0018】
【
図6】本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いた自己救命のための例示的なプロセスの図である。
【0019】
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による複数のモバイルAEDに対しアップデートを提供するための例示的なプロセスの図である。
【0020】
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、
図1および/または
図3のシステム内で用いることができる例示的なコンピューティングデバイスの図である。
【0021】
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、
図3のシステム内で用いることができる例示的なサーバデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者であれば、図面における要素は簡潔性および明確性のために示され、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図面における要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の実施形態の理解を改善するのを支援するように、他の要素に対し誇張されている場合がある。
【0023】
セキュリティシステムの構造的構成要素は、図面において適切な場合は慣用的記号によって表されており、本明細書中の説明の恩恵を受ける当業者には容易に明らかとなる詳細で本開示をわかりにくくしないように、本開示の実施形態の理解に関係のある特定の詳細のみを示してある。
【0024】
公衆除細動器または自動体外式除細動器(AED)の利用可能性は、心停止を起こしている人物の生存に大きな影響を有し得る。公的に利用可能なAEDからの電気ショックを受ける心停止患者は、はるかに高い生存率を有する。心肺蘇生法(CPR)を行わない場合、死亡率は毎分10%上昇する可能性がある。しかしながら、AEDは、依然として実行可能な方式で広く一般にアクセス可能でない。AEDのアクセス可能性の普及に関する他の課題は、「一般」の多くの人物が、心停止患者を蘇生させおよび/または処置するのに必要なトレーニングを行っておらず、CPRを開始するための知識の閾値が過度に高く、現行のAED解決策は、高価で嵩張る可能性があり、馴染みのないユーザ体験となり得ることである。
【0025】
したがって、本開示の実施形態は、デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ウォッチ、自動車エンタテイメントシステム)上のアプリケーションを介して制御することができるモバイルAEDに関する。いくつかの実施形態では、本開示のモバイルAEDは、ユーザが(例えば、ポケットまたは財布の中に)携帯することができ、USB-C接続等のコードコネクタにプラグインすることによってモバイルデバイスに接続することができる。いくつかの実施形態では、AEDの動作ロジックのうちのいくらかは、モバイルデバイスにオフロードすることができ、ユーザがAEDを制御することを可能にするユーザインターフェースを、アプリケーションを介して提供することができる。これにより、そのようなデバイスの使用のコストおよび閾値を下げることができる。本明細書に記載のモバイルAEDは、AEDが接続されているデバイスの既存のバッテリ、オペレーティングシステム(例えば、iOS、Android等)、スピーカ、音声アシスタント、ビデオ、GPS、WiFiおよび/またはモバイルネットワーク接続を利用することができる。いくつかの実施形態では、モバイルAEDは、充電および/または電力のために、電力バンクまたは他の外部電源への接続を促進するための追加のポートも含むことができる。
【0026】
本開示のモバイルAEDは、任意の以前の試行よりも、小型で広く利用可能であり得る。マイクロフォン、スピーカ、データストレージおよび電源を有するデバイスにアクセスを有する任意の人物が用いられ得る。モバイルAEDと併せて用いられるパッド/電極は、加速度計を含むことができ、除細動器ユニットは、電気ショック回路を含むことができる。これにより、容易に携帯することができ、より多用途のモバイルAEDを作製することができる。モバイルAEDおよびアプリケーション/デバイスシステムは、対象者が除細動を必要とする心拍リズムを有するか否かを分析することができ、(例えば、スピーカ/アラームを用いて局所的に、または電話網を介して救急隊員へ)自動的に助けを呼ぶことができ、デバイスのスクリーン上に何を行うかを示し、スピーカを介して指示を与えることによってCPRおよび蘇生において現地の支援者を誘導することができ、近傍の他のモバイルAEDを見つけることができ、有効な電気ショックのために十分強力な電圧を生成することができ、反復的なショックを生成することができ、プロセス中の全てのデータを編纂し、データを用いて、新たなAED挙動を継続的に学習し、デバイスを改善することができるアルゴリズムを動作させるように構成することができる。
【0027】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的なモバイルAED100である。モバイルAED100は、デバイス101への接続103を介して取り外し可能に接続された除細動器ユニット102を含むことができる。除細動器ユニット102は、心停止患者を処置するために、患者に施す特定のパルスまたはショックを生成するように構成された回路部を含むことができる(
図2を参照)。モバイルAED100のこの図において、デバイス101はスマートフォンであるが、これは限定ではないことに留意されたい。デバイス101は、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、ウォッチ、または自動車エンタテイメントシステム等のアプリケーションを実行することが可能なオペレーティングシステムを有する他のデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、接続103は、USB-C接続または他の類似の接続を含むことができる。接続103は、デバイス101および除細動器ユニット102を接続するとき、除細動器ユニット102がデバイス101上のユーザインターフェースおよびアプリケーションを介して制御されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、除細動器ユニット102は、任意選択で、電力バンク104への追加の接続ポート(例えば、ポータブル充電器、コンセント等)を含むことができ、これは、USB-Cポートであってもよいが、接続103のためのポートとは異なる場合がある。
【0028】
除細動器ユニット102は、配線105への接続のための追加のポートを含むことができ、配線105は、除細動器102内の回路によって決定および/または生成されるショックをパッド106a~bに転送することができる媒体として機能することができる。パッド106a~bは、当該技術分野において既知の任意の標準的な除細動器パッドとすることができ、患者の身体に貼り付き、除細動器ユニット102から患者の身体の中に電流を供給するための電極として動作するように構成することができる。いくつかの実施形態では、パッド106a~bは加速度計も含むことができる。いくつかの実施形態では、除細動器ユニット102がデバイス101に接続されるかまたはデバイス101にプラグインされているとき、ユーザがビデオアシスタント専門家107に接続することができる。いくつかの実施形態では、専門家チームは、オンコールで働くことができ、デバイスのユーザと通信することができる。例えば、或る人が突然心停止を起こした場合、近くの人物が、除細動器ユニット102をデバイス101に接続し、アプリケーションにナビゲートし(または、アプリケーションは接続に応じて自動的に開くことができる)、この人物が患者にショックおよび/またはCPRを施すことを支援することができる専門家とのビデオセッションに迅速に入るためのオプションを選択することができる。いくつかの実施形態では、人物は、デバイス101上のアプリケーションを介して、緊急サービスに接続する(例えば、911に発呼する)こともできる。いくつかの実施形態では、デバイス101上のアプリケーションは、救急隊員またはモバイルAED専門家によって遠隔制御されるように構成することができる。これにより、除細動器ユニット102はデバイス101上のアプリケーションによって制御されるため、救急隊員が、除細動器ユニット102に接続された対象者への電気ショックを実質的に制御および実施することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、除細動器ユニット102は、220V電源もしくはソケットから、または車両内の12Vソケットから電力を受けるように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、デバイス101上のアプリケーションは、対象者を監視するスマートウォッチまたは他の類似のデバイス等の、ユーザデバイス101に接続された外部デバイスからデータを受信するように構成することもできる。例えば、人物のスマートウォッチは、その人物の心拍を持続的に監視し、この情報をユーザデバイス101に送信することができる。アプリケーション304は、対象者の心拍を監視および分析し、潜在的に、危険なリズム(例えば、急速な心室頻拍、心室細動、またはニューラルネットワークが検出するようにトレーニングされた他のリズムインジケータ)を識別および/または検出するように構成することができる。危険なリズムの検出に応じて、アプリケーションは、デバイス101を介して対象者に通知し、対象者のモバイルAEDおよびパッドを接続し、潜在的に自己救命プロトコルを開始するように対象者に指示するように構成することができる。
【0030】
図2は、本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDの例示的な回路概略
図200である。回路200は、
図1の除細動器ユニット102内に含めることができる。いくつかの実施形態では、回路200は、充電器201、スイッチ202および203、インダクタ204、レジスタ205、通過抵抗206およびコンデンサ207を含むことができる。いくつかの実施形態では、通過抵抗206は、パッド106aおよび106bが接続されている間、それらのパッド間に存在する人物の身体内の抵抗を表すことができる。スイッチ202および203が左方位置にあるとき(
図2に示す)、充電器201がコンデンサ207を充電することができる。いくつかの実施形態では、充電器201は、接続されたデバイス(例えば、
図1のデバイス101)のバッテリ、外部電力バンク(例えば、
図1の電力バンク104)、または双方の組み合わせを表すことができる。スイッチ202および203は、デバイス101内のロジックを介して、およびユーザがデバイス101上でナビゲートすることができるアプリケーションを介して制御することができる。例えば、アプリケーションは、ショック(例えば、電流/エネルギーのパルス)が患者に施されるべき時間を決定することができ、ショックを施すために、スイッチ202および203は、右方位置(
図2には示されていない)に動き、これによって電流がコンデンサ207から患者、インダクタ204およびレジスタ205を通って流れることを可能にすることができる。電流は、患者の心臓を通って流れるとき、救急医療隊員または他の緊急対応チームが対象者を安定させることができるまで、対象者を蘇生させる役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、回路200は、最大200Jのパルスを最大1時間にわたって反復的に与えるように構成することができる。
【0031】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDデバイスのシステム300のブロック図である。いくつかの実施形態では、システム300は、ネットワーク308を介してサーバデバイス310に通信可能に結合された複数のユーザデバイス302a~n(包括的に、ユーザデバイス302)を含むことができる。システム300は、例示の目的で2つのユーザデバイス302a~nを含むが、任意の数のユーザデバイスを本開示のシステムに含めることができることに留意されたい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ネットワーク308は、1つまたは複数のワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)またはこれらのネットワークの任意の組み合わせを含むことができる。ネットワーク308は、インターネット、イントラネット、イーサネット、ツイストペア、同軸ケーブル、光ファイバ、セルラ、衛星、IEEE801.11、地上波および/または他のタイプの有線ネットワークもしくは無線ネットワーク等のうちの1つまたは複数のタイプのネットワークの組み合わせを含むことができる。ネットワーク308は、標準的な通信技術および/またはプロトコルも用いることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ユーザデバイス302は、
図1のデバイス101に類似とするか、またはこれと同じとすることができる。例えば、ユーザデバイス302は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ウォッチ、自動車エンタテイメントシステム、または、ソフトウェアアプリケーションを実行し、オペレーティングシステムを利用することができる類似のタイプのデバイスの組み合わせを含むことができる。ユーザデバイス302は、ユーザ入力を受信し、ネットワーク308を介してデータを送信および/もしくは受信するか、またはサーバデバイス310と通信することが可能な1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス302は、デスクトップまたはラップトップコンピュータ等の従来のコンピュータシステムを含むことができる。代替的に、ユーザデバイス302は、携帯情報端末(PDA)または他の適切なデバイス等のコンピュータ機能を有するデバイスを含むことができる。加えて、各ユーザデバイス302は、接続されたモバイルAED306と併せて用いるための特別にインストールされたアプリケーション304を含むことができる。アプリケーション304は、プロセッサ(例えば、ユーザデバイス302内のプロセッサ)によって実行されると、AEDとしてショックを施すこと、およびモバイルAED306と協働してEKGを読み出すことに関連する様々なプロセスを実行することができる非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶することができるソフトウェア命令を含むことができる。AED処理に関する更なる詳細は、
図4~
図7に関して説明されることに留意されたい。
【0034】
サーバデバイス310は、ウェブサーバ、メインフレームコンピュータ、汎用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、または他のタイプのコンピューティングデバイスのうちの1つまたは複数の任意の組み合わせを含むことができる。サーバデバイス310は、リモートに位置し、通信ネットワークを通じて、またはローカルエリアネットワーク(LAN)等の専用ネットワークを通じて通信する分散サーバを表すことができる。サーバデバイス310は、本開示の1つまたは複数の態様を実行するための1つまたは複数のバックエンドサーバも含むことができる。いくつかの実施形態では、サーバデバイス108は、
図7に関連して後述するサーバデバイス700と同じまたは類似とすることができる。
【0035】
図3に示すように、サーバデバイス310は、AED改善モジュール312、アップデートモジュール314およびAED追跡モジュール316を含むことができる。加えて、サーバデバイス310は、データベース318に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、経時的にAEDおよび/またはCPRの性能を継続的に改善させるのに用いることができる機械学習を介してトレーニングされた1つまたは複数のモデル/アルゴリズムを含むことができる。いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、ユーザデバイス302から性能データを継続的に受信し、新たに受信された性能データを反映するようにモデルを再トレーニングまたはアップデートするように構成することができる。いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、緊急ヘルスレコード(Emergency Health Records)および他の外部データベースへのアクセスを有して追加のトレーニングデータを取得することもできる。いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、初期パルスの長さおよびレベル、パッド配置、身体部分検出、追加のパルスを提供する頻度、各パルスにおけるエネルギー量、および心電図(EKG)読み値に関連する様々な他の判定を決定するモデル等のAED性能に関連する様々な機械学習モデルを分析、再トレーニングおよび/またはアップデートするように構成することができる。これについては、
図4~
図7を参照して更に詳細に説明する。
【0036】
いくつかの実施形態では、アップデートモジュール314は、AED改善モジュール312からのアップデート/再トレーニングされたモデルをパッケージ化するかまたは組み込み、ソフトウェアアップデートにし、このアップデートをユーザデバイス302に配信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、アップデートは、アプリケーションストアからのダウンロードを介してユーザデバイス302によって受信することができる。加えて、AED追跡モジュール316は、各モバイルAED306のロケーションを追跡するように構成することができる。いくつかの実施形態では、AED追跡モジュール316は、ユーザデバイス302から得られたGPS座標を利用することができる。いくつかの実施形態では、AED追跡モジュール316は、ユーザが、ユーザデバイス302上のアプリケーション304を介して、近傍のモバイルAED306を探索することを可能にすることができる。
【0037】
モジュール312~316および304a~n等の様々なシステム構成要素は、プロセス、ステップまたは他の機能をそれらと協働して実施および実行するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを用いて実装することができる。
【0038】
図4は、本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いるための例示的なプロセス400である。いくつかの実施形態では、プロセス400は、ユーザデバイス(例えば、ユーザデバイス302および/またはユーザデバイス101)によって実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセス400の実行は、ユーザがユーザデバイスとインタラクトすることによって支援することができる。例えば、人物が突然心停止を起こしたことに応じて、近くにいる人または友人または他の個人が、本開示のモバイルAEDおよびユーザデバイス上のアプリケーション(例えば、アプリケーション304)を利用してプロセス400を実行することができる。ブロック401において、ユーザデバイス302は(例えば、アプリケーション304を介して)AED接続を検出することができる。例えば、ユーザは、モバイルAED(例えば、除細動器ユニット102)を位置特定し、接続ケーブルをプラグインすること等により除細動器ユニット102をユーザデバイスに接続することができる。ユーザデバイスは、例えば、アプリケーション304を介して、除細動器ユニット102が接続されたことを検出することができる。ブロック402において、ユーザデバイス302はアプリケーション304を開くことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、除細動器の接続の検出に応じて自動的に開くことができ、いくつかの実施形態では、アプリケーションはユーザによって手動で開くことができる。
【0039】
ブロック403において、アプリケーション304は、対象者(例えば、最近心停止になった人物)に関連付けられたデータを分析することができる。例えば、アプリケーション304は、対象者が自己記述情報を入力するためにアクセスすることを予め可能にしておくことによって、対象者に関連付けられた人口統計およびヘルス情報を記憶することができる。アプリケーション304は、身長、体重、年齢、血圧、以前のEKG評定、病歴等の様々なタイプの情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、機械学習アルゴリズムを利用して、対象者情報を分析し、AED処置を施すための残りのステップに関連する様々な決定を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、分析は、ユーザデバイス302の外部で実行することができ、例えば、対象者データは、サーバ(例えば、サーバ310)によって送信および処理することができ、処理の結果は、処置に影響を及ぼすようにユーザデバイス302に送信することができる。
【0040】
ブロック404において、アプリケーション304は、パッド配置を検出することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、パッド106a~bからの電気測定(例えば電流)に基づいて、人体が2つのパッド間に接続されているか否かを検出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、パッド配置を検出することは、パッド(例えば、パッド106a~b)が対象者の身体(例えば、対象者の右の鎖骨の下、および対象者の左の腋窩の下)に配置されると、アプリケーション304が対象者を通ってパッド間を流れる電流量を検出することができることを含むことができる。検出された電流の強度に基づいて、アプリケーション304は、パッドが互いに離れすぎているかまたは近づきすぎているかを判断することができる。例えば、アプリケーション304は、閾値電流範囲を利用し、検出された電流を閾値と比較することができる。検出された電流が閾値を超えているかまたは閾値未満である場合、アプリケーション304は、パッドを互いに近づけるかまたは遠ざけるように動かすことを勧告する警告をデバイス上でユーザに表示することができる。
【0041】
ブロック405において、アプリケーション304は、対象者に施すショックパターンを決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ショックパターンを決定することは、アプリケーション304が機械学習モデルを利用して、対象者に関連付けられたデータ(例えば、身長、体重、パッド配置、EKG測定値等)を分析し、対象者を蘇生するためのショックパターンを出力することを含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、ショックパターンを決定する前に、接続されたパッドを介してデータを取得および分析し(例えば、EKGマシンとして動作し)、取得データを用いてショックパターンを決定することができる。例えば、機械学習モデルは、脈拍数(周波数および変動の双方)、全てのタイプの心拍リズム、EKG群の構成、ST上昇(例えば、EKGトレースおよびベースライン内の垂直方向距離)、欠乏、ならびに心虚血、心室頻拍および心室細動のサイン等のデータに基づいてショックパターンを決定するようにトレーニングすることができる。アプリケーション304は、心室性期外収縮に関連して生じる或る特定の呼吸パターンがトリガイベントとなり得ることを検出するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、上述したタイプのヘルスデータを、ショックパターンにおける様々な因子(例えば、持続時間、タイミングおよびエネルギーレベル)にマッピングするようにトレーニングされた複数のノードを有するニューラルネットワークを含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、パッド106a~bから受信された電気測定値に基づいて対象者の体脂肪率を推定するように構成することができ、この体脂肪率を、電気ショックパターンの決定において用いることができる。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、対象者が、持続性かん流心臓活動の再開を含むことができる「自己心拍再開(ROCS)」を得ることになるか否かを予測するように構成することもできる。これは、呼吸、動き、脈拍および血圧を分析することによって予測することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ショックパターンは、複数のエネルギーパルスの持続時間およびレベル(例えば、ジュール単位のエネルギーレベル)を含むことができる。いくつかの実施形態では、心停止が起きている対象者に対する初期パルスは蘇生に関して重要であり得る。ブロック406において、アプリケーション304は、除細動器ユニット102に、決定されたショックパターンを対象者に施させることができる。ショックパターンを施すことは、ユーザデバイス302の電源を利用して、除細動器ユニット102内の回路部(例えば、回路200)に給電することを含むことができる。モバイルデバイス内の電力回路部を利用することの可能な利点は、より安価なデバイスを提供することができることであり、これにより、最終的には、より多くの人々によりアクセスしやすくなり、使用の普及率を高めることができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、電気ショックパターンが施される前に、近傍の人々に警告を与えるように構成することができる。例えば、電気ショックが施されている間、アプリケーション304が、デバイス101のスピーカおよびユーザインターフェースを利用して、人物から離れることの警告を鳴らし、表示することができる。これにより、電流が他の人々にショックを加え、害を与えることを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、電気ショックパターンが完了した後、アプリケーション304は、警報解除を示す別のメッセージを表示し、鳴らすことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブロック406においてショックパターンを決定する前に、モバイルAEDは、或る期間にわたってEKGとして動作するように構成することができる。アプリケーションは、データおよびEKG測定値を受信し、これらの測定値に基づいてショックパターンに関連する様々な決定を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、施された任意のショックパターンの完了時、プロセスに関連付けられた全てのデータ/情報を、ユーザデバイス302からサーバ310に、特にAED改善モジュール312に送信することができる。AED改善モジュール312は、受信された情報を利用して、人口統計およびヘルスデータと、EKG測定値との双方に基づいてショックパターンおよびパッド配置を決定することに関する任意の機械学習モデルをアップデートおよび/または再トレーニングすることができる。いくつかの実施形態では、多数のモバイルAEDが利用され、これによって大型の豊富なデータセットを提供し、このデータセットについてAED性能に関するアルゴリズムおよびモデルを継続的にアップデートすることができる。本開示の動作の性質に起因して(AEDを施すために標準的なオペレーティングシステムにおけるアプリケーションインターフェースを利用する)、これにより、AED性能を継続的にアップデートおよび改善することを可能にすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ビデオアシスタントおよび/または音声アシスタントに従ってプロセス400を実行することができる。例えば、アプリケーション304は、デバイスにおける任意の音声アシスタント機能(例えば、Alexa、Google Assistant、Siri、車両内の音声システム等)を利用するように構成することができる。例えば、人物がappを開いたが、AEDを患者にどのように施すかわからない場合、人物は、音声アシスタントを介してアプリケーション304と通信し、助けを求めることができる。いくつかの実施形態では、アプリケーションはビデオを介して専門家に接続し、モバイルデバイス302上のカメラを起動することができる。いくつかの実施形態では、ビデオ接続のインフローを扱うことができる専門家チームが結集することができる。各専門家は、モバイルAED306の操作方法に関する知識を備えることができ、これにより、緊急時に迅速で効果的な支援および信頼できる情報を提供することができる。これは、利用可能性の問題がないため、医師またはそれに類する人物への接続が可能であることよりも有益であり得る。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、ユーザが法執行機関および/または救急隊員に迅速に接続することも可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304を通じて法執行機関または救急隊員に通知することに応じて、対象者に関連付けられたGPSおよび医療データを、アプリケーション304を介して法執行機関に迅速に転送することができる。これにより、予め救急隊員に価値のある情報を提供することができ、これにより、救急隊員が現場に到着したときに潜在的に貴重な時間を節減することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、ショックパターンを施すのに一致してCPRの実行を支援することもできる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、パッド106a~bに対する力を分析することによって、個人が対象者の胸腔に与えている圧迫の強度を検出するように構成することができる。アプリケーション304は、ユーザに対し、「より強く圧迫する」または「より弱く圧迫する」等の指示を与えることができる。CPRに関する更なる詳細が
図5に関連して説明される。
【0046】
図5は、本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いてCPRを支援するための例示的なプロセス500である。いくつかの実施形態では、プロセス500は、デバイス101上のアプリケーション304によって行うことができる。加えて、いくつかの実施形態では、プロセス500は、プロセス400と併せて(例えば、同時にまたは連続して)実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセス500の実行は、ユーザがユーザデバイスとインタラクトすることによって支援することができる。例えば、人物が突然心停止を起こしたことに応じて、近くにいる人または友人または他の個人が、本開示のモバイルAEDおよびユーザデバイス上のアプリケーション(例えば、アプリケーション304)を利用してプロセス500を実行することができる。ブロック501において、ユーザデバイス302は(例えば、アプリケーション304を介して)AED接続を検出することができる。例えば、ユーザは、モバイルAED(例えば、除細動器ユニット102)を位置特定し、接続ケーブルをプラグインすること等により除細動器ユニット102をユーザデバイスに接続することができる。ユーザデバイスは、例えば、アプリケーション304を介して、除細動器ユニット102が接続されたことを検出することができる。ブロック502において、ユーザデバイス302はアプリケーション304を開くことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、除細動器の接続の検出に応じて自動的に開くことができ、いくつかの実施形態では、アプリケーションはユーザによって手動で開くことができる。
【0047】
ブロック503において、アプリケーション304は、パッド配置を検出することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、パッド106a~bからの電気測定(例えば電流)に基づいて、人体が2つのパッド間に接続されているか否かを検出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、パッド配置を検出することは、パッド(例えば、パッド106a~b)が対象者の身体(例えば、対象者の右の鎖骨の下、および対象者の左の腋窩の下)に配置されると、アプリケーション304が対象者を通ってパッド間を流れる電流量を検出することができることを含むことができる。検出された電流の強度に基づいて、アプリケーション304は、パッドが互いに離れすぎているかまたは近づきすぎているかを判断することができる。例えば、アプリケーション304は、閾値電流範囲を利用し、検出された電流を閾値と比較することができる。検出された電流が閾値を超えているかまたは閾値未満である場合、アプリケーション304は、パッドを互いに近づけるかまたは遠ざけるように動かすことを勧告する警告をデバイス上でユーザに表示することができる。
【0048】
ブロック504において、パッド106a~bが個人の身体に接続されているため、パッド106a~bは電極として動作することができ、アプリケーション304は、人物の心臓の挙動のEKG測定値を記録することができる。いくつかの実施形態では、EKG測定値の記録は、パッドが取り付けられている間、対象者の心臓の電気的活動を検知することを含むことができる。電気的活動を検出し、様々な分析の目的でアプリケーション304に送信することができる。アプリケーション304は、EKG測定値を監視および分析し、不規則性/異常、または心臓発作もしくは心停止が生じる可能性が高いことを示唆する場合がある任意の乱れもしくは因子を検出するように構成することができる。緊急ヘルスレコードから得られたかなりの量の患者データ、およびサーバデバイス310に接続された他のモバイルAED306からのリアルタイムデータでトレーニングされた機械学習モデルにより、分析を行うことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、接続されたパッドを介して、脈拍数(周波数および変動の双方)、全てのタイプの心拍リズム、EKG群の構成、ST上昇(例えば、EKGトレースおよびベースライン内の垂直方向距離)、欠乏、ならびに心虚血、心室頻拍および心室細動のサイン等のデータを取得および分析する(例えば、EKGマシンとして動作する)ことができる。
【0049】
ブロック505において、アプリケーション304は、患者を蘇生するのにCPRが必要とされると判断することができる。いくつかの実施形態では、CPRが必要とされると判断することは、記録されたEKG測定値により、心室頻拍および/または心室細動等の血液循環の欠如を示し得る心拍リズムを検出することを含むことができる。いくつかの実施形態では、CPRが必要とされると判断することは、非正常呼吸を検出することを含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、パッドが対象者上に配置されると、パッド106a~bから加速度計データを受信するように構成することができる。アプリケーション304は、加速度計データを用いて呼吸パターンをマッピング、分析および推定するように構成することができる。例えば、アプリケーション304は、加速度計データを用いて、胸部の動きをモデル化し、呼吸の周波数を分析することができ、動きの周波数が毎分約10~20回の呼吸と大幅に異なっている場合、これは非正常呼吸パターンとみなされる可能性があり、CPRが必要とされることを示唆する可能性がある。ブロック506において、アプリケーション304はCPRプロトコルを開始することができる。いくつかの実施形態では、CPRプロトコルは、対象者にCPRを与える際にユーザを誘導するためのビデオ、指示、またはビデオ専門家への接続を含むことができる。指示は、ユーザデバイスのスクリーン上に、および/またはデバイス上の口頭の音声アシスタントにより示すことができる。いくつかの実施形態では、(例えば
図4に示すように)電気ショックパターンを対象者に施すことと併せてプロセス500が実行されるとき、アプリケーション304は、電気ショックの直前および電気ショック中に警告を与え、次に、ユーザに、胸部圧迫を行うことが安全であることを示す。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、CPRが行われている間、パッド106a~bから加速度計データを受信するように構成することができる。アプリケーション304は、加速度計データを分析して、心臓マッサージが行われているリズムを検出するように構成することができ、周波数および力の双方でユーザにフィードバックを与えることができる。例えば、心臓マッサージが過度に高いもしくは過度に低い周波数(例えば、100Hz未満または120Hz超)で行われる場合があるか、または心臓マッサージは十分力強くない場合がある。いくつかの実施形態では、CPRプロトコルを開始することは、法執行機関および/または救急隊員に対する迅速な通知も含むことができる。
【0050】
図6は、本開示のいくつかの実施形態によるモバイルAEDを用いた自己救命のための例示的なプロセス600である。いくつかの実施形態では、プロセス600は、人物によって自身で行うことができ、「自己救命」動作と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、本開示のモバイルAEDは、人物が、潜在的救命デバイスとして、財布、バッグまたはポケットの中で容易に携帯するのに十分小型で軽量で好便とすることができる。しかしながら、本開示のモバイルAEDは、自己救命アプリケーションにおいて、心臓状態に関する違和感の開始または非常に初期段階にある人物によって用いられる可能性もある。ほとんどの場合、或る程度無能力状態にある、心不全または心停止を起こしている人物を蘇生するのに用いることができるプロセス400と対照的に、プロセス600は、個人が自身で用いることができる。例えば、人物が潜在的に到来する心停止の兆候(例えば、うずき、心臓の粗動等)を感じ始めた場合、人物は、デバイスを用いて(例えば、デバイス302を用いて)プロセス600を実行し、潜在的に自身を救命することができる。
【0051】
任意の気がかりな感覚に気づくことに応じて、ユーザは、自身のモバイルAED306をデバイス302に接続することができる。ブロック601において、ユーザデバイス302は(例えば、アプリケーション304を介して)AED接続を検出することができる。例えば、ユーザは、モバイルAED(例えば、除細動器ユニット102)を位置特定し、接続ケーブルをプラグインすること等により除細動器ユニット102をユーザデバイスに接続することができる。ユーザデバイスは、例えば、アプリケーション304を介して、除細動器ユニット102が接続されたことを検出することができる。ブロック602において、ユーザデバイス302はアプリケーション304を開くことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、除細動器の接続の検出に応じて自動的に開くことができ、いくつかの実施形態では、アプリケーションはユーザによって手動で開くことができる。
【0052】
ブロック603において、個人がパッド(例えば、パッド106a~b)を自身に(例えば、心臓を取り囲む胸筋の双方に等)貼り付けることに応じて、アプリケーション304はパッドの配置を検出することができる。例えば、アプリケーション304は、パッド106a~bからの電気測定値に基づいて、人体が2つのパッド間に接続されているか否かを検出するように構成することができる。ブロック604において、パッド106a~bが個人の身体に接続されているため、パッド106a~bは電極として動作することができ、アプリケーション304は、人物の心臓の挙動のEKG測定値を記録することができる。いくつかの実施形態では、EKG測定値の記録は、パッドが取り付けられている間、対象者の心臓の電気的活動を検知することを含むことができる。電気的活動を検出し、様々な分析の目的でアプリケーション304に送信することができる。アプリケーション304は、EKG測定値を監視および分析し、不規則性/異常、または心臓発作もしくは心停止が生じる可能性が高いことを示唆する場合がある任意の乱れもしくは因子を検出するように構成することができる。緊急ヘルスレコードから得られたかなりの量の患者データ、およびサーバデバイス310に接続された他のモバイルAED306からのリアルタイムデータでトレーニングされた機械学習モデルにより、分析を行うことができる。したがって、ブロック605において、アプリケーション304は、記録されたEKG測定値および結果として得られた分析、ならびに患者に関連して予め指定されたまたは予めプログラムされたリスク因子に基づいてアクション方針を決定することができる。例えば、患者は、アプリケーション304内で様々な情報およびリスク因子を提示することができる。例えば、アプリケーション304は、或る特定のタイミングを有する或る特定のショックパターンを施すか、または人物の心臓挙動の監視を継続することができる。いくつかの実施形態において、ショックパターンを施すことは、EKG測定値からショック可能な心拍リズム(例えば、心室頻拍および/または心室細動)を検出することによって引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、(例えば
図5に関連して説明した)非正常な呼吸パターンを検出することは、電気ショックを施すことが好ましいことを示唆し得る。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、患者の意識がないかどうかを判断するように構成することができる。例えば、パッドが対象者に接続された後、アプリケーション304は、メッセージを対象者に表示し、対象者が或る特定の方式で応答する(例えば、ボタン「はい、意識があります。」を押すか、または口頭で応答する)ことを要求することができる。対象者が所定の時間フレーム内で応答しない場合、アプリケーション304は対象者の意識がなく電気ショックが必要であると判断することができる。ブロック606において、アプリケーション304は、決定されたアクション方針を実行することができる。
【0053】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による複数のモバイルAEDに対しアップデートを提供するための例示的なプロセス700である。いくつかの実施形態では、プロセス700は、AED改善モジュール312およびAEDアップデートモジュール314によって、継続的に、場合によってはリアルタイムで、本開示のモバイルAEDのAED性能に関連付けられた様々な機械学習アルゴリズムを維持およびアップデートするように実行することができる。ブロック701において、AED改善モジュールは、複数のデバイス(例えば、複数のユーザデバイス302)からAEDデータを受信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、AEDデータは、個人に対し行われたプロセス(例えば、プロセス400、500および600)中に記録された、EKG測定値、患者のヘルスおよび人口統計データ、EKG測定値および他の心臓監視関連データを含むことができる。例えば、データは、アプリケーション304によって編纂し、ネットワーク308を通じてサーバデバイス310に、最終的にAED改善モジュール312に送信することができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション304は、情報をサーバデバイス310に送信する前にこの情報を匿名化するように構成することができる。加えて、いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、ユーザインターフェースデータおよびユーザ体験最適化データを受信するように構成することもできる。これを用いて、アプリケーション性能をAED性能と共に継続的に改善することができる。AED改善モジュール312によって受信されるデータは、複数のモバイルAEDからの、ならびに実際のCPRおよびAED使用からのデータを含むことができ、これは、ヘルスおよび医療結果およびデータ(例えば、本明細書の別の箇所に記載のようなEKG測定値および他のヘルスデータ)、タイミングデータ(例えば、検出までの時間、AEDの準備完了までの時間、第1のショックまでの時間等)、ユーザインターフェースデータ、人物の数および可能な場合誰が存在するかに依拠したユーザインタラクションデータ、ならびにロケーションデータを含むことができる。
【0054】
ブロック702において、AED改善モジュール312は、モデル、アクションおよび処置をトレーニングまたは再トレーニングすることができる。例えば、AED改善モジュール312は、モバイルAED306と協働して動作するユーザデバイス302から受信されたデータを利用して、サーバ310内に維持される様々なモデルをアップデートまたは再トレーニングすることができる(モデルは各ユーザデバイス302上のアプリケーション304内でも動作することに留意されたい)。いくつかの実施形態では、AED改善モジュール312は、データの或る特定のサブセットをトレーニングデータとして、データの他のサブセットを試験データとして利用するように構成することができる。AED改善モジュール312は、データを用いて、パッド配置の決定、ショックパターン(例えば、持続時間およびパルスレベル)の決定、EKG測定値の分析、および自己救命処置中の個々のEKG測定値の監視に応じて行われるアクション/処置の決定に関してモデルをアップデートすることができる。
【0055】
ブロック703において、アップデートモジュール314は、全てのアップデートされたモデルおよびアルゴリズムをソフトウェアアップデートに編纂し、アップデートを、ユーザデバイス302に直接、またはアプリケーションストアを介したダウンロードのために提供することができる。いくつかの実施形態では、ブロック701および702は、継続的におよびリアルタイムで実行することができ、換言すれば、モバイル除細動のために用いられる様々なモデルは継続的にアップデートおよび再トレーニングすることができる。しかしながら、ブロック703は、様々な段階においてのみ、または或る特定のレベルの性能増大がAED改善モジュール312によって検出された後にのみ実行することができる。ブロック704において、ソフトウェアアップデートを、アプリケーション304上で実行するためにデバイス302に配信することができる。
【0056】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3のシステム内で用いることができる例示的なサーバデバイス800である。サーバデバイス800は、本明細書に記載の様々な機能およびプロセスを実施することができる。サーバデバイス800は、限定ではないが、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、メディアプレーヤ、電子タブレット、ゲームコンソール、電子メールデバイス等を含む、コンパイルされた命令から導出されたソフトウェアアプリケーションを実行する任意の電子デバイス上で実装することができる。いくつかの実施態様では、サーバデバイス800は、1つまたは複数のプロセッサ802、揮発性メモリ804、不揮発性メモリ806および1つまたは複数の周辺機器808を含むことができる。これらの構成要素は、1つまたは複数のコンピュータバス810によって相互接続することができる。
【0057】
プロセッサ802は、限定ではないが、グラフィックプロセッサおよびマルチコアプロセッサを含む任意の既知のプロセッサ技術を用いることができる。命令のプログラムの実行のための適切なプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のコンピュータの単独のプロセッサまたは複数のプロセッサまたはコアのうちの1つを含むことができる。バス810は、限定ではないが、ISA、EISA、PCI、PCIエクスプレス、NuBus、USB、シリアルATAまたはFireWireを含む任意の既知の内部バスまたは外部バス技術とすることができる。揮発性メモリ804は、例えばSDRAMを含むことができる。プロセッサ802は、リードオンリーメモリもしくはランダムアクセスメモリまたは双方から命令およびデータを受信することができる。コンピュータの主要な要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリを含むことができる。
【0058】
不揮発性メモリ806は、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス等の半導体記憶デバイス、内部ハードディスク、リムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むことができる。不揮発性メモリ806は、オペレーティングシステム命令812、通信命令815、アプリケーション命令816およびアプリケーションデータ817を含む様々なコンピュータ命令を記憶することができる。オペレーティングシステム命令812は、オペレーティングシステム(例えば、MacOS(登録商標)、Windows(登録商標)、Linux)を実施する命令を含むことができる。オペレーティングシステムは、マルチユーザ、マルチプロセシング、マルチタスク、マルチスレッド、リアルタイム等とすることができる。通信命令815は、ネットワーク通信命令、例えば、TCP/IP、HTTP、イーサネット、テレフォニー等の通信プロトコルを実施するためのソフトウェアを含むことができる。アプリケーション命令816は、モバイルAEDを用いてショックパターンを施す命令、法執行機関に接続する命令、モバイルAEDを用いてショックパターンを施す命令を表示する命令、および本明細書に開示のシステムおよび方法に従って自己救命動作を行う命令を含むことができる。例えば、アプリケーション命令816は、
図1と併せて上記で説明した構成要素110~112のための命令を含むことができる。
【0059】
周辺機器808は、サーバデバイス800に含めることができるか、サーバデバイス800と通信するために作動的に結合することができる。周辺機器808は、例えば、ネットワークサブシステム818、入力コントローラ820およびディスクコントローラ822を含むことができる。ネットワークサブシステム818は、例えば、WiFiアダプタのイーサネットを含むことができる。入力コントローラ820は、限定ではないが、キーボード(仮想キーボードを含む)、マウス、トラックボールおよびタッチセンサ式パッドまたはディスプレイを含む任意の既知の入力デバイス技術とすることができる。ディスクコントローラ822は、データファイルを記憶するための1つまたは複数のマスストレージデバイスを含むことができ、そのようなデバイスは、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスクおよび光ディスクを含む。
【0060】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1および/または
図3のシステム内で用いることができる例示的なコンピューティングデバイス900である。いくつかの実施形態では、デバイス900はユーザデバイス101とすることができる。例示的なユーザデバイス900は、メモリインターフェース902、1つまたは複数のデータプロセッサ、画像プロセッサ、中央処理ユニット904および/またはセキュア処理ユニット905、ならびに周辺機器サブシステム906を含むことができる。メモリインターフェース902、1つまたは複数のプロセッサ904および/またはセキュアプロセッサ905、および/または周辺機器サブシステム906は、別個の構成要素であってもよく、または1つまたは複数の集積回路に統合されてもよい。ユーザデバイス900内の様々な構成要素は、1つまたは複数の通信バスまたは信号線によって結合することができる。
【0061】
センサ、デバイスおよびサブシステムは、複数の機能を促進するために周辺機器サブシステム906に結合することができる。例えば、モーションセンサ910、光センサ912および近接センサ914を周辺機器サブシステム906に結合して、方向付け、照明および近接性機能を促進することができる。グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)(例えば、GPS受信機)、温度センサ、生体センサ、磁力計、または他の検知デバイス等の周辺機器サブシステム906に他のセンサ916を接続して、関連機能を促進することもできる。
【0062】
カメラサブシステム920および光センサ922、例えば、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサを利用して、写真およびビデオクリップの記録等のカメラ機能を促進することができる。カメラサブシステム920および光センサ922を用いて、例えば、顔認識分析の実行によるユーザの認証中に用いられるユーザの画像を収集することができる。
【0063】
通信機能は、無線周波数受信機および送信機ならびに/または光(例えば、赤外)受信機および送信機を含むことができる1つまたは複数の有線および/または無線通信サブシステム924を通じて促進することができる。例えば、本明細書に記載のBluetooth(例えば、Bluetooth低エネルギー(BTLE))および/またはWiFi通信は、無線通信サブシステム924によって扱うことができる。通信サブシステム924の特定の設計および実施態様は、通信ネットワークに依拠することができ、ユーザデバイス900は、この通信ネットワークを介して動作するように意図される。例えば、ユーザデバイス900は、GSMネットワーク、GPRSネットワーク、EDGEネットワーク、WiFiネットワークまたはWiMaxネットワークおよびBluetooth(商標)ネットワークを介して動作するように設計された通信サブシステム924を含むことができる。例えば、無線通信サブシステム924は、デバイス900が他の無線デバイスに対する基地局としておよび/またはWiFiサービスを提供するように構成され得るようにホスティングプロトコルを含むことができる。
【0064】
オーディオサブシステム926は、話者認識機能、音声再生機能、デジタル記録機能および電話機能等の音声対応機能を促進するためにスピーカ928およびマイクロフォン930に結合することができる。オーディオサブシステム926は、例えば、音声コマンド、ボイスプリントおよび音声の認証の処理を促進するように構成することができる。
【0065】
I/Oサブシステム940は、タッチスクリーンコントローラ(touch-surface controller)942および/または他の入力コントローラ944を含むことができる。タッチスクリーンコントローラ942は、タッチスクリーン(touch-surface)946に結合することができる。例えば、タッチスクリーン946およびタッチスクリーンコントローラ942は、限定ではないが、容量性、抵抗性、赤外線および表面弾性波の技術を含む複数のタッチセンシティブ技術のうちのいずれか、ならびにタッチスクリーン946との1つまたは複数の接触点を特定する他の近接センサアレイまたは他の要素を使用してそれらの接触および動きまたは中止を検出することができる。
【0066】
他の入力コントローラ944は、他の入力/制御デバイス948、例えば1つまたは複数のボタン、ロッカースイッチ、サムホイール、赤外線ポート、USBポートおよび/またはスタイラス等のポインタデバイスに結合することができる。1つまたは複数のボタン(図示せず)は、スピーカ928および/またはマイクロフォン930の音量調節のためのアップ/ダウンボタンを含むことができる。
【0067】
いくつかの実施態様では、第1の持続時間にわたりボタンを押下することでタッチスクリーン946のロックを解除でき、第1の期間より長い第2の持続時間にわたりボタンを押下することでユーザデバイス900の電源をオンまたはオフにすることができる。第3の持続時間にわたりボタンを押下することにより、音声コントロールまたは音声コマンド、モジュールを起動することができ、これにより、ユーザがマイクロフォン930にコマンドを話すことで、デバイスに話したコマンドを実行させることが可能になる。ユーザは、1つまたは複数のボタンの機能性をカスタマイズすることができる。仮想ボタンもしくはソフトボタンおよび/またはキーボードを実現するためにも、例えばタッチスクリーン946が用いられ得る。
【0068】
いくつかの実施態様では、ユーザデバイス900は、MP3ファイル、AACファイルおよびMPEGファイル等の記録されたオーディオファイルおよび/またはビデオファイルを提示することができる。いくつかの実施態様では、ユーザデバイス900は、iPod(商標)等のMP3プレーヤの機能性を含むことができる。したがって、ユーザデバイス900は、iPodと互換性のある36ピンコネクタおよび/または8ピンコネクタを含むことができる。他の入出力デバイスおよび制御デバイスも用いることができる。
【0069】
メモリインターフェース902はメモリ950に結合することができる。メモリ950は、1つまたは複数の磁気ディスクストレージデバイス、1つまたは複数の光ストレージデバイスおよび/またはフラッシュメモリ(例えば、NAND、NOR)等の高速ランダムアクセスメモリおよび/または不揮発性メモリを含むことができる。メモリ950は、Darwin、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、Windows等のオペレーティングシステム952またはVxWorks等の組み込みオペレーティングシステムを格納することができる。
【0070】
オペレーティングシステム952は、基本システムサービスを処理する命令およびハードウェア依存タスクを実行する命令を含むことができる。いくつかの実施態様では、オペレーティングシステム952はカーネル(例えば、UNIXカーネル)とすることができる。いくつかの実施態様では、オペレーティングシステム952は、音声認証を実行する命令を含むことができる。
【0071】
メモリ950は、1つまたは複数の追加デバイス、1つまたは複数のコンピュータおよび/または1つまたは複数のサーバとの通信を促進するために通信命令954を更に格納することができる。メモリ950は、グラフィカルユーザインターフェース処理を促進するためのグラフィカルユーザインターフェース命令956、センサに関連するプロセスおよび機能を促進するためのセンサ処理命令958、電話に関連するプロセスおよび機能を促進するための電話命令960、電子メッセージングに関連するプロセスおよび機能を促進するための電子メッセージング命令962、ウェブ閲覧に関連するプロセスおよび機能を促進するためのウェブ閲覧命令964、メディア処理に関連する機能およびプロセスを促進するためのメディア処理命令966、GNSSおよびナビゲーションに関連するプロセスおよび命令を促進するためのGNSS/ナビゲーション命令968、ならびに/またはカメラに関連するプロセスおよび機能を促進するためのカメラ命令970を含むことができる。
【0072】
メモリ950は、
図1~
図9に関連して上記で説明したようなappのための命令等のアプリケーション(または「app」)命令およびデータ972を格納することができる。メモリ950は、デバイス900上の適所の様々な他のソフトウェアアプリケーションのための他のソフトウェア命令974も記憶することができる。
【0073】
上記の明細書において、特定の実施形態を説明してきた。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを理解する。例えば、本発明は、スクール(school)との関連で説明され、示されたが、これに限定されない。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的とみなされ、全てのそのような変更は、本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0074】
利益、利点、課題に対する解決策、および、任意の利益、利点、または解決策が起こるかまたはより顕著になることを引き起こすことができる任意の要素は、任意のまたは全ての請求項の重要な、必要な、または必須の特徴または要素として解釈されるべきではない。本発明は、本出願の係属中に行われるあらゆる補正を含む添付の特許請求の範囲および発行される特許請求の範囲の全ての均等物によってのみ規定される。
【0075】
読者が本技術開示の性質を迅速に決定できるように、本開示の要約書は提供されている。理解できるように、本開示の要約書は特許請求の範囲または意味を解釈または制限するためのものではない。また、上記の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で様々な特徴が様々な実施形態にグループ化されることがわかる。この開示方法は、主張された実施形態が各請求項に明確に記載されるものよりも多い特徴を必要とする意図を反映すると解釈されるものではない。むしろ、以下の請求項に反映されるように、本発明の主題は単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない。このため、以下の請求項は発明を実施するための形態に組み込まれており、各請求項自体は別個に特許請求される主題として独立している。
【0076】
開示される主題は、その適用において、以下の説明で述べられるまたは図面に図示される構造の詳細および構成要素の配置に限定されるものではないことが理解されるべきである。開示される主題は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実施および実行されることが可能である。また、本明細書で採用される命名法および用語は、説明目的のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解されるべきである。したがって、当業者は、本開示が基づく概念が、開示される主題のいくつかの目的を果たすための他の構造、方法およびシステムを設計する基礎として、容易に利用することができることを理解するであろう。したがって、請求項が、開示される主題の趣旨および範囲から逸脱しない限り、このような同等の構成を含むものとみなされることが重要である。
【0077】
開示される主題が、上記の例示的な実施形態において説明され、示されてきたが、本開示は単なる例として行われ、開示される主題の実施の詳細における多数の変更を、開示される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができることが理解される。