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特許7517761位相遅延装置及びその製造方法、並びに表示デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】位相遅延装置及びその製造方法、並びに表示デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240709BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240709BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240709BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240709BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K50/86
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/00 313
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023548316
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2021137386
(87)【国際公開番号】W WO2022166404
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】202110168992.9
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523301134
【氏名又は名称】チェンドゥ レイボック マテリアル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ウェンチン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112230478(CN,A)
【文献】国際公開第2018/207851(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/174015(WO,A1)
【文献】特開2008-139806(JP,A)
【文献】特開2006-071749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0103701(US,A1)
【文献】特開2001-033754(JP,A)
【文献】特開2014-016642(JP,A)
【文献】特開2007-333945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
H10K 50/86
H10K 59/10
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光層、配向層および液晶層を備える位相遅延装置であって、
前記直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換し、
前記配向層は、前記直線偏光層の前記光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて前記液晶層の第1構成層の液晶を配向させ、
前記液晶層は、前記配向層の前記直線偏光層から離れた側に位置し、かつ前記配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および前記所定の配向角と前記所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を含み、
前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、前記第2構成層の螺旋構造を利用して前記直線偏光を円偏光に変換させ、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、
前記第2構成層の螺旋角と前記液晶層の目標遅延量は、前記第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定され、
前記所定の波長帯域に含まれる各可視光帯域の光の波長と、対応する第1遅延量との比が所定比の範囲内であり、前記第1遅延量が前記目標遅延量のうち前記可視光帯域に対応する遅延量である、位相遅延装置。
【請求項2】
前記ネガ型液晶は、ネガ型の反応性ポリマー液晶である、請求項1に記載の位相遅延装置。
【請求項3】
前記位相遅延装置は、さらに、前記液晶層の第3構成層に隣接して設けられる屈折層を備え、
前記屈折層は、遅延量が前記液晶層の目標遅延量に基づいて決定され、前記円偏光の視野角適性を調整するために用いられる、請求項1に記載の位相遅延装置。
【請求項4】
前記屈折層の屈折率がNZ>NX=NYを満たし、そのうちNXは、前記屈折層の遅相軸方向の屈折率であり、NYは、前記屈折層の進相軸方向の屈折率であり、NZは、前記屈折層の厚さ方向の屈折率である、請求項3に記載の位相遅延装置。
【請求項5】
前記液晶層の厚さは、前記所定の波長帯域における前記液晶層の複屈折率及び前記目標遅延量によって決定される、請求項1に記載の位相遅延装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の位相遅延装置を備える表示デバイス。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1項に記載の位相遅延装置に適用される位相遅延装置の製造方法であって、
配向層において、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるステップと、
所定のパラメータ決定方法に基づき、前記所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角、および前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定することにより、前記液晶層の作用下で直線偏光を前記所定の波長帯域での光変換要件を満たす円偏光に変換するステップと、を含み、
前記所定の波長帯域に含まれる各可視光帯域の光の波長と、対応する第1遅延量との比が所定比の範囲内であり、前記第1遅延量が前記目標遅延量のうち前記可視光帯域に対応する遅延量である、製造方法。
【請求項8】
前記所定のパラメータ決定方法に基づき、前記所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角、および前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定するステップは、
所定の螺旋角の決定方法に基づき、前記所定の配向角に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角を決定するステップと、
前記所定の配向角、前記螺旋角及び前記所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、特に位相遅延装置及びその製造方法、並びに表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)技術の急速な発展に伴い、携帯電話、タブレットなどの多くの電子機器がOLED表示パネルを採用しつつある。OLED表示パネルの内部において、OLED表示パネルの内部に設けられた金属が自然光を反射することできたすコントラスト低下の課題を解決するため、OLED表示は、位相遅延装置(例えば、円偏光板)を利用して上述のような反射を抑えている。
【0003】
円偏光板は、直線偏光板と2つの重ね合せ波長板によって構成されるのが一般であり、2つの重ね合わせ波長板としては、それぞれ1つの1/2波長板と1つの1/4波長板を使用することができ、円偏光板が広波長帯域での性能を必要とするため、1/4波長板の遅相軸と直線偏光板の偏光軸がなす角度は、1/2波長板の遅相軸と直線偏光板の偏光軸がなす角度と異なる。
【0004】
したがって、円偏光板を製造する際、1/2波長板及び1/4波長板をそれぞれ異なる配向角に基づいて1回配向させることが必要となり(すなわち、少なくとも2回配向作業が必要となる)、配向プロセスが極複雑であるため、配向作業を繰り返して行うということは、位相遅延装置の製造効率や歩留まりの低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、位相遅延装置を製造する際に製造効率や装置の歩留まりが低下する従来の技術課題を解決することができる、位相遅延装置及びその製造方法、並びに表示デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の通り構成される。
【0007】
本発明の第1側面において、直線偏光層、配向層および液晶層を備える位相遅延装置を提供し、前記直線偏光層は、光源の片側に位置して受光した光を直線偏光に変換し、前記配向層は、前記直線偏光層の前記光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて前記液晶層の第1構成層の液晶を配向させ、前記液晶層は、前記配向層の前記直線偏光層から離れた側に位置し、
前記液晶層は、前記配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および前記所定の配向角と前記所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を含み、前記第2構成層の螺旋構造を利用して前記直線偏光を円偏光に変換させ、
前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、かつその複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、前記第2構成層の螺旋角と前記液晶層の目標遅延量は、前記第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。
【0008】
好ましくは、前記所定の波長帯域は、複数の異なる可視光帯域を含み、前記目標遅延量は、前記所定の波長帯域のそれぞれに対応する第1遅延量を含む。
【0009】
好ましくは、前記所定の波長帯域に含まれる各可視光帯域の光の波長と、対応する前記第1遅延量に対するとの比は、所定比の範囲内である。
【0010】
好ましくは、前記ネガ型液晶は、ネガ型の反応性ポリマー液晶である。
【0011】
好ましくは、前記位相遅延装置は、屈折層を更に備え、
前記屈折層は、前記液晶層の第3構成層に隣接し、かつ遅延量が前記液晶層の目標遅延量に基づいて決定され、前記円偏光の視野角適性を調整するために用いられる。
【0012】
好ましくは、前記屈折層の屈折率は、NZ>NX=NYを満たし、そのうちNXは、前記屈折層の遅相軸方向の屈折率であり、NYは前記屈折層の進相軸方向の屈折率であり、NZは、前記屈折層の厚さ方向の屈折率である。
【0013】
好ましくは、前記液晶層の厚さは、前記所定の波長帯域における前記液晶層の複屈折率及び前記目標遅延量によって決定される。
【0014】
本発明の第2側面において、上記第1側面に係る位相遅延装置を備える表示デバイスを提供する。
【0015】
本発明の第3側面において、上記第2側面に係る表示デバイスに適用される位相遅延装置の製造方法を提供し、前記方法は、
配向層において、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるステップと、
所定のパラメータ決定方法に基づき、前記所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角、および前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定することにより、前記液晶層の作用下で直線偏光を前記所定の波長帯域での光変換要件を満たす円偏光に変換するステップと、を含む。
【0016】
好ましくは、前記所定のパラメータ決定方法に基づき、前記所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角、および前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定する前記ステップは、
所定の螺旋角の決定方法に基づき、前記所定の配向角に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角を決定するステップと、
前記所定の配向角、前記螺旋角及び前記所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定するステップと、を含む。
【0017】
本発明の第4側面において、プロセッサ、メモリ、および前記メモリに記憶され且つ前記プロセッサにおいて実行可能なコンピュータプログラムを含む電子デバイスを提供し、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されることにより、上記位相遅延装置の製造方法のステップを実現する。
【0018】
本発明の第5側面において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体にコンピュータプログラムが記録され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることにより、上記位相遅延装置の製造方法のステップを実現する。
【0019】
上述の通り、本発明は、直線偏光層、配向層および液晶層を備える位相遅延装置を提供し、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換し、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させる。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本発明によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量を利用することにより、所定の波長帯域における位相遅延装置の性能を向上させ、かつ広波長帯域における位相遅延装置の性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させることができ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明または従来技術における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。言うまでもないが、以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例を図示するものであり、当業者であれば創造性の労働無しでこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0021】
図1】本発明に係る位相遅延装置の構造模式図1である。
図2】本発明に係る位相遅延装置の構造模式図2である。
図3】本発明に係る位相遅延装置の構造模式図3である。
図4】本発明に係る位相遅延装置の構造模式図4である。
図5a】本発明に係る表示デバイスの構造模式図1である。
図5b】本発明に係る表示デバイスの構造模式図2である。
図6】本発明に係る位相遅延装置のフローチャート模式図1である。
図7】本発明に係る位相遅延装置のフローチャート模式図2である。
図8】本発明の電子デバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、位相遅延装置及びその製造方法、並びに表示デバイスを提供する。
【0023】
本発明の技術手段をよりよく理解するために、以下、本発明における図面を参照して、本発明に係る技術手段を明確且つ完全に説明するが、当業者であれば、下記実施例が本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことに理解でき、創造性のある努力無しで本発明に基づいて得られた全ての他の実施例も本発明の保護範囲内に含まれることに理解できるであろう。
【0024】
実施例1
図1は、本発明に係る位相遅延装置の構造模式図であり、該位相遅延装置は、直線偏光層200、配向層300および液晶層400を備える。
【0025】
直線偏光層200は、光源100の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられる。光源100は、自然光を発することのできる任意の光源であってもよく、直線偏光層200は、光源から発せられた自然光を直線偏光に変換できる任意の装置であってもよく、例えば、直線偏光板、ワイヤグリッド偏光子などが挙げられる。
【0026】
配向層300は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層400の第1構成層401の液晶を配向させるために用いられる。
【0027】
ここで、図2に示すように、所定の配向角としては、液晶層400の第1構成層401の液晶配置方向と直線偏光層200の偏光軸がなす角度であってもよく、所定の配向角としては、所定の角度範囲内の任意の配向角であってもよく、例えば所定の角度範囲が0°~45°であり、所定の配向角が0°である。つまり、配向層300は、0°を基準として液晶層400の第1構成層401の液晶を配向させ、液晶層400の第1構成層401の光軸と直線偏光層200の偏光軸がなす角度を0°とすることができる。
【0028】
配向層300の配向を行う際、光配向方式を採用することができるが、それ以外でも摩擦配向などの配向方式を採用することができ、実際の応用状況に応じて配向方式を変更することができる。本発明では、配向層300の配向プロセスに対して具体的な限定がない。
【0029】
配向層300において、液晶層400の第1構成層401の液晶が所定の配向角に基づいて配向されるため、液晶層400の第1構成層401の液晶は、塗布後に所定の配向角に対応する方向に配向される。配向層の製造が終わると、液晶層400を塗布し、そしてUV光硬化を利用して液晶層400の第1構成層401を硬化させることができる。
【0030】
液晶層400は、配向層300の直線偏光層200から離れた側に位置し、第1構成層401、第2構成層402および第3構成層403を備えることができる。つまり、図1に示すように、第1構成層401を液晶層400の上側層とし、第2構成層402を液晶層400の内側層とし、第3構成層403を液晶層400の下側層とすることができる。
【0031】
第1構成層401は、配向層300に隣接し、第2構成層402は、所定の螺旋角を有する螺旋構造であり、第3構成層403の液晶配向角は、所定の配向角と螺旋角によって決定され、液晶層400は、第2構成層402の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。そのうち、第2構成層402の所定の螺旋角は、第1構成層401の所定の配向角と同じ正負の符号を有してもよく、なお、第2構成層402の螺旋構造は、ネマティック液晶にキラル剤を添加することで実現され、それ以外でも様々な実現形態があるが、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0032】
例えば、第1構成層401の所定の配向角を0°~45°のうち何れかの角度にすることができ、この場合、第2構成層402の所定の螺旋角は、対応する0°~70°のうち何れかの角度である。つまり、第1構成層401の所定の配向角が30°である場合、それに応じる形で第2構成層402の所定の螺旋角が23°となり、対応する第3構成層403の液晶配向角が53°となる。
【0033】
第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域での光の波長に基づいて決定することができ、例えば、第1構成層401の所定の配向角が決定されると、所定の配向角に基づき対応する第2構成層402の所定の螺旋角を決定することができ、所定の螺旋角が決定されると、第1構成層401の所定の配向角、第2構成層402の所定の螺旋角、および所定の波長帯域の光の波長に基づき液晶層400の目標遅延量を決定することができる。つまり、液晶層400の目標遅延量は、第1構成層401の所定の配向角、第2構成層402の所定の螺旋角、および所定の波長帯域での光の波長に基づいて決定される。
【0034】
例えば、第1構成層401の所定の配向角を25°~35°のうち何れかの角度とし、第2構成層402の所定の螺旋角を20°~25°のうち何れかの角度とし、所定の波長帯域を550nmの波長帯域とし、目標遅延量を135nm~150nm又は140nm~145nmのうち何れかの遅延量とすることができ、具体的には、第1構成層401の所定の配向角を30°とし、第2構成層402の所定の螺旋角を23°とし、第3構成層403の液晶配向角を53°とし、目標遅延量を140nmとすることができる。
【0035】
または、第1構成層401の所定の配向角を5°~15°のうち何れかの角度とし、第2構成層402の所定の螺旋角を45°~55°のうち何れかの角度とし、所定の波長帯域を550nmの波長帯域とし、目標遅延量を150nm~180nm又は165nm~170nmのうち何れかの遅延量とすることができ、具体的には、第1構成層401の所定の配向角を10°とし、第2構成層402の所定の螺旋角を52°とし、第3構成層403の液晶配向角を62°とし、目標遅延量を165nmとすることができる。
【0036】
または、第1構成層401の所定の配向角を0°~5°のうち何れかの角度とし、第2構成層402の所定の螺旋角を60°~65°のうち何れかの角度とし、所定の波長帯域を550nmの波長帯域とし、目標遅延量を180nm~200nm又は190nm~198nmのうち何れかの遅延量とすることができ、具体的には、第1構成層401の所定の配向角を0°とし、第2構成層402の所定の螺旋角を63°とし、第3構成層403の液晶配向角を63°とし、目標遅延量を190nmとすることができる。
【0037】
液晶層400は、ネガ型液晶を含む液晶層であってもよく、液晶層400の複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、もしくは液晶層400の複屈折率の差(すなわち、ネガ型液晶の進相軸と遅相軸の複屈折率の差)が可視光の波長増加につれて低減しないようにすることができる。
【0038】
光源から発せられた自然光は、直線偏光層200により直線偏光に変換され、さらに、液晶層400の作用下で直線偏光を円偏光に変換することができる。すなわち、ポアンカレ球において、直線偏光の光状態がポアンカレ球の赤道位置からポアンカレ球の極点位置に直接変換され、言わば直線偏光を円偏光に直接変換することができる。なお、液晶層400の目標遅延量が液晶層の第1構成層401の所定の配向角、第2構成層402の螺旋角および所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定されるため、所定の波長帯域において、液晶層400の目標遅延量と光の波長との比が所定の目標一定値(例えば、1/4)に達し、つまり、液晶層400の作用下で位相遅延装置の広波長帯域の効果を確保することができ、配向作業を1回遂行することで広波長帯域の効果を実現し、位相遅延装置の製造効率及び歩留まりを向上させることができる。
【0039】
本実施例は、直線偏光層、配向層および液晶層を備える位相遅延装置を提供し、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備える。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、かつその複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角および液晶層の目標遅延量を利用することにより、位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、広波長帯域における位相遅延装置の性能を良好にすることができ、同時に液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0040】
実施例2
本実施例では、さらに、別の態様の位相遅延装置を提供する。本実施例の位相遅延装置は、実施例1に記載の位相遅延装置の全部機能ユニットに加え、以下のように更なる改良が行われて構成される。
【0041】
所定の波長帯域は、複数の異なる可視光帯域を含み、例えば、所定の波長帯域は、380nm~780nmのうち任意の複数の波長帯域を含み、目標遅延量は、各所定の波長帯域に対応する第1遅延量を含み、所定の波長帯域に含まれる各可視光帯域の光の波長と対応する第1遅延量との比は、所定比の範囲内にある。
【0042】
例えば、所定の波長帯域は、緑色光の波長帯域、青色光の波長帯域及び赤色光の波長帯域を含み、目標遅延量は、緑色光の波長帯域に対応する第1遅延量1、青色光の波長帯域に対応する第1遅延量2、および赤色光の波長帯域に対応する第1遅延量3を含み、第1遅延量1と緑色光の波長帯域での光の波長との比1’、第1遅延量2と青色光の波長帯域での光の波長との比2’、および第1遅延量3と赤色光の波長帯域での光の波長との比3’は、何れも所定比の範囲内にある。または、比1’、比2’及び比3’が同じく、かつ所定比の範囲内にある。
【0043】
なお、所定の波長帯域の光の波長と対応する第1遅延量との比としては、所定の目標一定値であってもよく、例えば1/4などが挙げられる。
【0044】
ネガ型液晶は、ネガ型の反応性ポリマー液晶(RM:Reactive Mesogen)であってもよく、RMに光配向分子を配合することで配向プロセスを簡略化し、生産効率を向上させることができる。例えば、RMと配向分子の混合物を基材(可撓性超薄基材)に塗布し、偏光された紫外光で硬化させることにより液晶層の配向及び製造を遂行することができる。
【0045】
図3に示すように、位相遅延装置は屈折層500を更に含んでもよく、屈折層500は液晶層400の第3構成層403に隣接し、屈折層500の遅延量を液晶層400の目標遅延量に基づいて決定することができ、屈折層500は、円偏光の視野角適性を調整するために用いられる。例えば、屈折層500の遅延量と液晶層400の目標遅延量は、絶対値が同じく、正負の符号が逆であってもよい。
【0046】
屈折層500の屈折率がNZ>NX=NYを満たし、そのうちNXは、屈折層500の遅相軸方向の屈折率であり、NYは、屈折層500の進相軸方向の屈折率であり、NZは、屈折層500の厚さ方向の屈折率である。屈折層500としては、例えばPosi-C層が挙げられ、ポリカーボネートボード(Polycarbonate Board)材料を用いて作られた延伸フィルムや液晶フィルムであってもよい。
【0047】
液晶層400の厚さとしては、所定の波長帯域における液晶層の複屈折率及び目標遅延量に基づいて決定することができる。液晶層400の厚さとしては、例えば、液晶層400の目標遅延量と、液晶層400に含まれるネガ型液晶の複屈折率差(すなわち、ネガ型液晶の進相軸と遅相軸の複屈折率差)との比であってもよく、かつネガ型液晶の進相軸と遅相軸の複屈折率の差に応じて適宜調整することができる。
【0048】
なお、位相遅延装置の組立てプロセスが異なる場合があるため、液晶層400の第3構成層403を下側の角度に基づいて配向させ、その一方で液晶層400の第1構成層401を上側の角度に基づいて配向させることができる。つまり、位相遅延装置において、配向層300は、図1に示すように直線偏光層200と液晶層400の間に位置してもよく、図4に示すように液晶層400の第3構成層403と屈折層500の間に位置してもよい。配向層300が液晶層の第3構成層403と屈折層500の間に位置した場合、第2構成層402の螺旋角を利用して第1構成層401の液晶を所定の配向角に配置させるために、所定の配向角及び螺旋角の液晶配向角に基づいて液晶の第3構成層403を配向させることができる。
【0049】
例えば、第1構成層401の所定の配向角を20°とし、第2構成層402の所定の螺旋角を23°とし、第3構成層403の液晶配向角を43°とすることができる。位相遅延装置が図1に示すような構造である(すなわち、配向層300が直線偏光層200と液晶層400の間に位置する)場合、配向層300は、20°の角度に従って液晶層400の第1構成層401を配向させ、位相遅延装置が図4に示すような構造である(すなわち、配向層300が液晶層400の第3構成層403と屈折層500の間に位置する)場合、配向層300は、43°の角度に従って液晶層400の第3構成層403を配向させることができる。第2構成層402の所定の螺旋角が23°である場合、液晶層400の第1構成層401の液晶配向角が20°となる。
【0050】
液晶層400は、取り外し可能な基板に形成されてもよく、所定の基材に直接形成されてから製品に組立てられてもよく、直線偏光層200と共にカバープレートに配置することも可能である。所定の基材としては、例えばトリヒドロキシ酸サイクル(TAC:Tricarboxylic)、ポリメチルメタクリレート(PMMA:Polymethylmethacrylate)、COPなどが挙げられる。
【0051】
液晶層400の目標遅延量が液晶層400の第1構成層401の所定の配向角、第2構成層402の螺旋角および所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定されるため、所定の波長帯域において、液晶層400の目標遅延量と光の波長の比が所定の目標一定値(例えば1/4)に達することができる。つまり、液晶層400の作用下で位相遅延装置の広波長帯域の効果を確保し、配向作業を1回遂行することで広波長帯域の効果を実現し、位相遅延装置の製造効率や歩留まりを向上させることができる。なお、液晶層400の厚さ方向における位相差が小さいため、上記液晶層400を含む位相遅延装置の側方視野角が2層波長板を含む位相遅延装置の場合に比べてさほど劣化せず、本実施例の位相遅延装置は、側方視野角のコントラストからして格別な優勢を示す。
【0052】
同時に、光源100から発せられた自然光は、直線偏光層200によって直線偏光に変換され、そして液晶層400の作用下で直線偏光を円偏光に変換させ、最後に屈折層500を利用して円偏光の視野角適性を調整することができ、広視野角化の効果を更に実現することができる。
【0053】
本実施例では、直線偏光層、配向層および液晶層を備える位相遅延装置を提供し、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備える。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量を利用することにより、所定の波長帯域における位相遅延装置の性能を向上させ、広波長帯域における位相遅延装置の性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数が減り、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0054】
実施例3
本実施例では、実施例1及び実施例2に係る位相遅延装置のうち少なくとも1つを備える表示デバイスを提供する。本実施例において、直線偏光層200は、光源100の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられる。
【0055】
配向層300は、直線偏光層200の光源100から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層400の第1構成層401の液晶を配向させるために用いられる。
【0056】
液晶層400は、配向層300の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層300に隣接する第1構成層401、所定の配向角を有する螺旋構造である第2構成層402、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層403を備える。液晶層400は、ネガ型液晶を含む液晶層400であり、第2構成層402の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、かつその複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、また、第2構成層402の螺旋角と液晶層400の目標遅延量が、第1構成層401の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。
【0057】
本実施例に係る表示デバイスは、順次隣接するガラスカバー、位相遅延装置、タッチパネル層、表示層(例えばOLED表示層)および保護層(例えば背面保護層)を備える。
【0058】
そのうち、ガラスカバーは、位相遅延装置の直線偏光層200に隣接して設けられてもよく、図5(a)に示すように、位相遅延装置に屈折層500を設置しない場合(実施例1の位相遅延装置)、タッチパネル層が位相遅延装置の液晶層400の第3構成層403に隣接し、もしくは図5(b)に示すように、位相遅延装置に屈折層500を設置した場合(実施例2の位相遅延装置)、タッチパネル層が位相遅延装置の屈折層500に隣接して構成される。
【0059】
本実施例では、位相遅延装置を備える表示デバイスを提供し、位相遅延装置は、直線偏光層、配向層および液晶層を備え、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量に基づき位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、広波長帯域での性能を良好にすることができ、同時に液晶層の第1構成層の配向を1回遂行するにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0060】
実施例4
以上では本発明の位相遅延装置について詳細に説明したが、かかる位相遅延装置の機能及び構成に基づき、本発明では、さらに位相遅延装置の製造方法を提供する。本実施例の製造方法は、電子デバイスを実行本体とし、該電子デバイスは、上記実施例1及び実施例2に示される位相遅延装置を製造するために用いられる。本実施例の製造方法は、図6に示すように、具体的には以下のステップを含む。
【0061】
S602では、配向層において、所定の配向角に基づき液晶層の第1構成層の液晶を配向させる。
【0062】
S604では、所定のパラメータ決定方法に基づき、所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する液晶層の第2構成層の螺旋角、および所定の波長帯域における液晶層の目標遅延量を決定することにより、液晶層の作用下で直線偏光を所定の波長帯域での光変換要件を満たす円偏光に変換する。
【0063】
本実施例では、過去の配向角、過去の所定の波長帯域の光の波長、過去の螺旋角および過去の目標遅延量に基づき所定の機械学習アルゴリズムを学習させ、学習済みのパラメータ決定アルゴリズムを取得することができる。そして、学習済みのパラメータ決定アルゴリズム、第1構成層の所定の配向角および所定の波長帯域の光の波長に基づき、対応する第2構成層の螺旋角及び目標遅延量を決定する。
【0064】
上記所定のパラメータ決定方法は、任意で実現可能なパラメータ決定方法であり、実際状況に応じて複数の異なるパラメータ決定方法も存在可能であり、実際状況に応じて適宜使用することができ、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0065】
本実施例では、位相遅延装置の製造方法を提供し、位相遅延装置は、直線偏光層、配向層および液晶層を備え、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量を利用することにより位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、かつ位相遅延装置の広波長帯域での性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0066】
実施例5
以上では本発明に係る位相遅延装置を詳細に説明したが、かかる位相遅延装置の機能及び構成に基づき、本発明では、さらに位相遅延装置の製造方法を提供する。本実施例の製造方法は、電子デバイスを実行本体とし、該電子デバイスは、上記実施例1及び実施例2に示される位相遅延装置を製造するために用いられる。本実施例の製造方法は、図7に示すように、具体的には以下のステップを含む。
【0067】
S702では、配向層において、所定の配向角に基づき液晶層の第1構成層の液晶を配向させる。
【0068】
S704では、所定の螺旋角の決定方法に基づき、所定の配向角に対応する液晶層の第2構成層の螺旋角を決定する。
【0069】
本実施例では、過去の配向角、過去の螺旋角および所定の光変換要件(例えば、位相遅延装置の所定の波長帯域での性能要件など)に基づいて所定の機械学習アルゴリズムを学習させ、対応する螺旋角決定アルゴリズムを取得することができ、そして得られた螺旋角の決定アルゴリズム、第1構成層の配向角及び所定の光変換要件に基づき、第2構成層の螺旋角を決定する。
【0070】
または、過去の配向角及び過去の螺旋角に基づいて配向角と螺旋角の所定の対応関係を決定し、そして所定の配向角と螺旋角の対応関係に基づき、所定の配向角に対応する液晶層の第2構成層の螺旋角を決定することもできる。
【0071】
そのうち、配向角と螺旋角の所定の対応関係を決定する方法は、複数存在することも可能であり、実際状況に応じて適宜使用することができ、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0072】
S706では、所定の配向角、螺旋角および所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して所定の波長帯域における液晶層の目標遅延量を決定する。
【0073】
本実施例では、位相遅延装置の光変換要件、すなわち所定の波長帯域の光の波長を取得することができ、位相遅延装置の光変換要件が緑色光の波長帯域及び青色光の波長帯域において良好な視野角性能を有する場合、緑色光の波長帯域及び青色光の波長帯域での光の波長をそれぞれ取得することができる。
【0074】
所定の波長帯域の光の波長を取得した後、所定の配向角、螺旋角および所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して所定の波長帯域における液晶層の目標遅延量を決定することができる。
【0075】
そのうち、所定の遅延量決定方法としては複数存在する可能性があり、例えば、過去の所定の配向角、過去の螺旋角および所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の機械学習アルゴリズムを学習させることができ、得られた遅延量の決定アルゴリズムなどは、実際状況に応じて異なることもあり、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0076】
なお、所定の波長帯域は、複数の異なる可視光帯域を含み(例えば、所定の波長帯域は、青色光の波長帯域、緑色光の波長帯域及び赤色光の波長帯域のうち任意の複数の可視光帯域を含む)、目標遅延量は、各所定の波長帯域に対応する第1遅延量を含むことができる。
【0077】
所定の波長帯域が異なる場合に光の波長も次第に異なり、位相遅延装置が各所定の波長帯域において良好な視野角性能を発揮させるためには、位相遅延装置としては、異なる所定の波長帯域において液晶層の第1遅延量と対応する光の波長との比が所定の目標一定値に達し、もしくは所定比の範囲内にあることが必要となる。
【0078】
そこで、所定の波長帯域毎での光の波長を取得し、所定の配向角、螺旋角および各所定の波長帯域での光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して各所定の波長帯域での液晶層の第1遅延量を決定することにより、位相遅延装置が所定の波長帯域において良好な視野角性能を有するようにする。
【0079】
本実施例では、位相遅延装置の製造方法を提供し、かかる位相遅延装置は、直線偏光層、配向層および液晶層を備え、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。また、前記液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角および液晶層の目標遅延量を利用することにより、位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、広波長帯域での性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行するにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0080】
実施例6
図8は、本発明の実施例4及び実施例5に係る電子デバイスを実現するためのハードウェア構造を示す模式図である。
【0081】
電子デバイス800は、無線周波数ユニット801、ネットワークモジュール802、オーディオ出力ユニット803、入力ユニット804、センサ805、表示ユニット806、ユーザ入力ユニット807、インターフェースユニット808、メモリ809、プロセッサ810、および電源811などを備えるが、本発明ではこれらについて特に制限がない。当業者であれば、図8に示される電子デバイスの構造は、電子デバイスを限定するものではなく、電子デバイスに、図示よりも多く又は少ない部材を備えてもよく、または一部の部材を組み合わせ、部材の配置態様を変えることも可能であることを理解できるであろう。本実施例に係る電子デバイスとしては、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ポケットパソコン、車載端末、ウェアラブルデバイスや歩数計などが挙げられるが、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0082】
そのうち、プロセッサ810は、配向層において所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させ、所定のパラメータ決定方法に基づき、前記所定の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角、および前記所定の波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定し、前記液晶層の作用下で直線偏光を前記所定の波長帯域での光変換要件を満たす円偏光に変換するために用いられる。
【0083】
なお、プロセッサ810は、所定の螺旋角の決定方法に基づき、前記所定の配向角に対応する前記液晶層の第2構成層の螺旋角を決定し、前記所定の配向角、前記螺旋角、および前記所定の波長帯域の光の波長に基づき、所定の遅延量決定方法を利用して前記所定の前記波長帯域における前記液晶層の目標遅延量を決定するために用いられる。
【0084】
本実施例は、位相遅延装置を製造するための電子デバイスを提供し、かかる位相遅延装置は、直線偏光層、配向層および液晶層を備え、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層、および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造により直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。また、液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量を利用することにより、位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、広波長帯域での性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0085】
ここで敢えて説明するが、本実施例に係る無線周波数ユニット801は、情報の送受信又は通話信号の送受信に用いられる。具体的には、基地局からのダウンリンクデータを受信してプロセッサ810に送信し、プロセッサ810において処理する。一方、アップリンクデータを基地局に送信する。通常、無線周波数ユニット801には、アンテナ、少なくとも1つの増幅器、トランシーバ、カプラ、低雑音増幅器、デュプレクサなどが設けられ、本発明ではこれらについて特に制限がない。なお、無線周波数ユニット801は、無線通信システムを介してネットワーク及び他のデバイスと通信することもできる。
【0086】
電子デバイスは、ユーザが電子メールを送受信し、ウェブページを閲覧し、またはストリーミングメディアへのアクセスを支援するなど、ネットワークモジュール802を介してユーザに無線ブロードバンドインターネットアクセスを提供する。
【0087】
オーディオ出力ユニット803は、無線周波数ユニット801又はネットワークモジュール802によって受信され、もしくはメモリ809に記憶されたオーディオデータをオーディオ信号に変換し、音声として出力することができる。また、オーディオ出力ユニット803は、電子デバイス800が実行する特定の機能に関連するオーディオ(例えば、呼出信号受信音、メッセージ受信音など)を出力することもできる。オーディオ出力ユニット803は、スピーカ、ブザーや受話器などを備える。
【0088】
入力ユニット804は、オーディオ信号又はビデオ信号を受信するために使用される。入力ユニット804は、ビデオキャプチャモード又は画像キャプチャモードで画像キャプチャ装置(例えばカメラ)によって取得された静止画又はビデオの画像データを処理するグラフィックスプロセッサ(GPU:Graphics Processing Unit)8041、およびマイクロフォン8042を備えることができる。処理された画像フレームは、表示ユニット806に表示することができる。グラフィックプロセッサ8041によって処理された画像フレームは、メモリ809(又は他の記録媒体)に記憶されるか、又は無線周波数ユニット801若しくはネットワークモジュール802を介して送信され得る。マイクロフォン8042は、音声を受信することができ、そのような音声をオーディオデータとして処理することができる。処理されたオーディオデータは、通話モードの場合、無線周波数ユニット801を介して移動通信基地局に送信可能なフォーマットに変換して出力することができる。
【0089】
電子デバイス800は、光センサ、モーションセンサ、および他のセンサのような少なくとも1つのセンサ805を更に備える。具体的には、光センサは、環境光の明暗に応じて表示パネル8061の明るさを調整することができる環境光センサ、および電子デバイス800が耳に移動したときに表示パネル8061及び/又はバックライトをオフにすることができる近接センサを備える。モーションセンサの1つとして、加速度計センサは、あらゆる方向(一般に3軸)の加速度の大きさを検出することができ、静止時に重力の大きさ及び方向を検出することができ、電子デバイスの姿勢の認識(例えば、縦横の画面切り替え、関連するゲーム、磁力計の姿勢較正)、振動認識関連機能(例えば、歩数計、ノック)などに用いることができる。センサ805は、指紋センサ、圧力センサ、虹彩センサ、分子センサ、ジャイロスコープ、気圧計、湿度計、温度計および赤外線センサなどを備え、ここで重複説明を省略する。
【0090】
表示ユニット806は、ユーザにより入力された情報又はユーザに提供した情報を表示する。表示ユニット806は、液晶表示(LCD:Liquid Crystal Display)、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light-Emitting Diode)などの形態で構成される表示パネル8061を備えることができる。
【0091】
ユーザ入力ユニット807は、入力された数字又は文字情報を受信することや、電子デバイスのユーザ設定及び機能制御に関連するキー信号入力を生成するために使用されてもよい。具体的には、ユーザ入力ユニット807は、タッチパネル8071及び他の入力デバイス8072を含む。タッチスクリーンとも呼ばれるタッチパネル8071は、その上又はその近傍でのユーザのタッチ操作(例えば、指、スタイラスなどの任意の適切な物体又はアクセサリを使用したユーザのタッチパネル8071上又はその近傍での操作)を収集することができる。タッチパネル8071は、タッチ検出装置及びタッチコントローラの2つの部分を含むことができる。ここで、タッチ検出装置は、ユーザのタッチ方向を検出し、タッチ操作による信号を検出してタッチコントローラに信号を送信する。タッチコントローラは、タッチ検出装置からタッチ情報を受信し、それを接点座標に変換してプロセッサ810に送信し、プロセッサ810からのコマンドを受信して実行する。さらに、タッチパネル8071は、抵抗式、静電容量式、赤外線、表面波などの複数のタイプで実現することができる。ユーザ入力ユニット807は、タッチパネル8071に加えて、他の入力デバイス8072を含んでもよい。具体的には、他の入力デバイス8072は、物理キーボード、ファンクションキー(例えば、ボリュームコントロールキー、スイッチキーなど)、トラックボール、マウス、操作レバーを備えることができるが、これらに制限されず、ここで重複説明を省略する。
【0092】
さらに、タッチパネル8071は、表示パネル8061の上に重ねてもよく、タッチパネル8071はその上又はその近傍でのタッチ操作を検出すると、タッチイベントのタイプを決定するためにその旨をプロセッサ810に送信し、次に、プロセッサ810は、タッチイベントのタイプに応じて、対応する視覚出力を表示パネル8061に提供する。図8において、タッチパネル8071および表示パネル8061は、電子デバイスの入出力機能を実現するための2つの独立した部材として示されているが、いくつかの実施例では、タッチパネル8071と表示パネル8061とを一体化して電子デバイスの入出力機能を実現することもでき、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0093】
インターフェースユニット808は、外部装置と電子デバイス800とを接続するためのインターフェースである。例えば、外部装置は、有線又は無線ヘッドセットポート、外部電源(又は充電器)ポート、有線又は無線データポート、メモリカードポート、認識モジュールを有する装置を接続するためのポート、オーディオ入出力(I/O)ポート、ビデオI/Oポート、ヘッドホンポートなどを含んでもよい。インターフェースユニット808は、外部装置からの入力(例えば、データ情報、電力など)を受信し、受信した入力を電子デバイス800の1つ又は複数の要素に送信するために使用されてもよく、または、電子デバイス800と外部装置との間でデータを送信するために使用されてもよい。
【0094】
メモリ809は、ソフトウェアプログラム及び様々なデータを記憶するために使用されることができる。メモリ809は、主に、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能(例えば、音声再生機能、画像再生機能など)に必要なアプリケーションプログラムなどを記憶することができるプログラム記憶領域、および携帯電話の使用に応じて作成されたデータ(例えば、オーディオデータ、電話帳など)などを記憶することができるデータ記憶領域を備えることができる。さらに、メモリ809は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、さらに、少なくとも1つの磁気記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の揮発性固体記憶デバイスなどの不揮発性メモリを備えることができる。
【0095】
プロセッサ810は、電子デバイスの制御センターであり、様々なインターフェース及び回線を使用して電子デバイス全体の各部を接続し、メモリ809内に記憶されたソフトウェアプログラム及び/又はモジュールを運行又は実行し、メモリ809内に記憶されたデータを呼び出すことによって、電子デバイスの様々な機能を実行し、データを処理することによって、電子デバイス全体を監視する。プロセッサ810は、1つ又は複数の処理ユニットを含むことができる。好ましくは、プロセッサ810は、オペレーティングシステム、ユーザインターフェース、およびアプリケーションプログラムなどを主に処理するアプリケーションプロセッサと、無線通信を主に処理する変復調プロセッサとを組み込んでもよい。なお、上記変復調プロセッサは、プロセッサ810に組み込まれていなくてもよい。
【0096】
電子デバイス800は、様々な部材に電力を供給する電源811(例えばバッテリ)をさらに含んでもよく、好ましくは、電源811は、電力管理システムを介してプロセッサ810に論理的に接続され、電力管理システムを介して充電、放電、および電力消費の管理のような機能を実現することができる。
【0097】
好ましくは、本発明は、プロセッサ810、メモリ809、メモリ809に記憶され、前記プロセッサ810上で運行可能なコンピュータプログラムを備える電子デバイスも提供し、このコンピュータプログラムは、プロセッサ810によって実行されると、上記電力供給方法の実施例の様々なプロセスを実施し、同じ技術的効果を達成することができ、ここで重複説明を省略する。
【0098】
実施例7
本発明は、プロセッサによって実行されると、上記電力供給方法の実施例の様々なプロセスを実行し、同じ技術的効果を達成することができるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体をさらに提供し、ここで重複説明を省略する。そのうち、前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、磁気ディスク又はコンパクトディスクなどである。
【0099】
本実施例によれば、位相遅延装置を製造するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供し、かかる位相遅延装置は、直線偏光層、配向層および液晶層を備え、直線偏光層は、光源の片側に位置し、受光した光を直線偏光に変換するために用いられ、配向層は、直線偏光層の光源から離れた側に位置し、所定の配向角に基づいて液晶層の第1構成層の液晶を配向させるために用いられ、液晶層は、配向層の直線偏光層から離れた側に位置し、配向層に隣接して設けられる第1構成層、所定の螺旋角を有する螺旋構造である第2構成層および所定の配向角と所定の螺旋角によって液晶配向角が決定される第3構成層を備え、第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換するために用いられる。また、液晶層は、ネガ型液晶を含む液晶層であり、その複屈折率が可視光の波長増加につれて低減せず、第2構成層の螺旋角と液晶層の目標遅延量は、第1構成層の配向角及び所定の波長帯域の光の波長に基づいて決定される。本実施例によれば、液晶層の第1構成層の所定の配向角、第2構成層の螺旋角及び液晶層の目標遅延量を利用することにより、位相遅延装置の所定の波長帯域での性能を向上させ、広波長帯域での性能を良好にすることができる。同時に、液晶層の第1構成層の配向を1回遂行することにより、液晶層の第2構成層の螺旋構造を利用して直線偏光を円偏光に変換させ、配向作業の回数を減らし、配向作業を繰り返して行うことに起因する製造効率の低下を回避し、装置の歩留まりを向上させることができる。
【0100】
言うまでもないが、本発明を方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供することができる。したがって、本発明は、完全なハードウェア実施例、完全なソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェア態様を組み合わせた実施例の形態をとることができる。さらに、本発明は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能な記録媒体(例えば、磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0101】
本発明は、本発明に係る方法、デバイス(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート及び/又はブロック図の各フロー及び/又はブロック、ならびにフローチャート及び/又はブロック図のフロー及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解されるべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサに提供されて、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令が、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するための装置を生成するように、1つのマシンを生成することができる。
【0102】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスを特定の方法で動作させるようにガイドすることができるコンピュータ読み取り可能なメモリに記憶されてもよく、これにより、コンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令は、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現する命令装置を含む製造品を生成する。
【0103】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスにロードされてもよく、これにより、コンピュータ実装処理を生成するためにコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイス上で一連の動作ステップが実行され、それによって、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイス上で実行される命令は、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するステップを提供する。
【0104】
典型的な構成では、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数のプロセッサ(CPU)、入出力インターフェース、ネットワークインターフェース、およびメモリを含む。
【0105】
メモリは、コンピュータ読み取り可能な媒体中の非永続性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ(フラッシュRAM)のような不揮発性メモリの形態を含むことができる。メモリは、コンピュータ読み取り可能な媒体の例である。
【0106】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、永久的及び非恒久的、取り外し可能及び非取り外し可能な媒体を含み、任意の方法又は技術によって情報記憶を実現することができる。情報は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムのモジュール、又は他のデータとすることができる。コンピュータの記録媒体の例には、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、読み取り専用光ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途光ディスク(DVD)又は他の光学記憶装置、磁気カートリッジ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶デバイス任意の他の非伝送媒体が含まれるが、これらに限定されず、コンピューティングデバイスによってアクセスされ得る情報を記憶するために使用され得る。本明細書で定義されるように、コンピュータ読み取り可能な媒体は、変調されたデータ信号及び搬送波のような一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体(transitory media)を含まない。
【0107】
用語「含む」、「備える」、又はその他の任意の変形は、非排他的な包含を包含することを意図しており、それにより、一連の要素を含むプロセス、方法、商品、又はデバイスは、それらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素も含むか、又はそのようなプロセス、方法、商品、又はデバイスに固有の要素も含むことができる。これ以上の制限がない場合、「1つの……を含む」という文言によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、商品又はデバイスに同一の要素が存在することを排除するものではない。
【0108】
当業者からすれば、本発明が方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供できることをよく理解できる。したがって、本発明は、完全なハードウェア実施例、完全なソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態をとることができる。さらに、本発明は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能な記録媒体(例えば、ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0109】
以上は本発明を例示したに過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本願に様々な変更や変形を加えることができ、本発明の精神及び原理から逸脱しない前提で行われた任意の修正、等価の変形や変更などが何れも本発明の特許請求の範囲内に含まれると理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8