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特許7517770プロスタグランジンE2(PGE2)受容体調節薬としての新規なN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】プロスタグランジンE2(PGE2)受容体調節薬としての新規なN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 235/52 20060101AFI20240709BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/609 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20240709BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
   C07C 255/57 20060101ALI20240709BHJP
   C07D 213/56 20060101ALI20240709BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20240709BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20240709BHJP
   C07D 307/56 20060101ALI20240709BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C07C235/52
A61K31/16
A61K31/17
A61K31/195
A61K31/277
A61K31/282
A61K31/4188
A61K31/4745
A61K31/475
A61K31/519
A61K31/609
A61K31/664
A61K31/7048
A61K33/24
A61K39/395 H
A61K45/06
A61P13/12
A61P15/00
A61P25/28
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P35/00
C07C255/57
C07D213/56
C07D231/12 B
C07D239/26
C07D307/56
C07D333/24 CSP
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021546283
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020053069
(87)【国際公開番号】W WO2020161275
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】19382088.3
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520009563
【氏名又は名称】メディビオファルマ、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】MEDIBIOFARMA, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】フリオ、カストロ、パロミノ、ラリア
(72)【発明者】
【氏名】フアン、カマチョ、ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】ロドルフォ、ロドリゲス、イグレシアス
(72)【発明者】
【氏名】イレーネ、ベリージャ、マルティネス
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-504210(JP,A)
【文献】国際公開第2011/094231(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Aは、フェニルならびにN、SおよびOから選択される1,2または3個のヘテロ原子を含有する5員または6員ヘテロアリールから選択される基を表し、
およびRは独立に、水素原子、ハロゲン原子およびC1-3アルキルから選択される基を表すか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3-4シクロアルキル基を形成し、
、R、Rおよび各Rは独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、直鎖または分岐鎖C1-3ハロアルキル基、直鎖または分岐鎖C1-3アルキル、C3-4シクロアルキル、直鎖または分岐鎖C1-3アルコキシおよびピリジル基から選択される基を表し、かつ
mは、1~5の整数である]
およびその薬学上許容される塩。
【請求項2】
、R、R、RおよびRが水素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aがフェニル基を表す、請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
各Rが独立に
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)シアノ基、
d)カルバモイル基、
e)直鎖または分岐鎖C1-3ハロアルキル基
から選択される基を表す、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Aがフェニル基を表し、各Rが独立にフルオロ、トリフルオロメチルおよびシアノ基から選択される基を表し、かつ、mが1~4の整数である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Aが5員または6員ヘテロアリール環を表す、請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Aがピリジニルまたはチオフェニル基から選択される基を表し、各Rが独立にトリフルオロメチルおよびシアノ基から選択される基を表し、かつ、mが1~4の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、RおよびRが水素原子を表し、Aがフェニル基を表し、各Rが独立にフルオロおよびトリフルオロメチル基から選択される基を表し、かつ、mが1~5の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
mが1~2の整数である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Aがフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニルから選択される基を表し、R、R、R、R、Rが水素原子であり、各Rが独立に水素原子、フッ素、塩素、シアノ基、トリフルオロメチルおよびピリジニル基から選択される基を表し、かつ、mが1~2の整数である、請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-フルオロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸)
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-3-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-クロロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((3’,4’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-4’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(チオフェン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((3’,5’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル))安息香酸
4-((3’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-5’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-カルバモイル-5’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(ピリジン-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((5-(5-カルバモイルフラン-2-イル)-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸
3-フルオロ-4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
(R)-4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)エチル)安息香酸
4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-クロロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
のうち1つである請求項1に記載の化合物およびその薬学上許容される塩。
【請求項12】
プロスタグランジンE2(PGE2)のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善され得る、癌、疼痛、神経変性疾患、変形性関節症、関節リウマチ、子宮内膜症および腎疾患からなる群から選択される疾患または病的状態の治療または予防のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む、薬物。
【請求項13】
癌の治療または予防のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む、薬物。
【請求項14】
前記癌が、免疫療法で治療可能である、請求項13に記載の薬物。
【請求項15】
プロスタグランジンE2(PGE2)のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善され得る、癌、疼痛、神経変性疾患、変形性関節症、関節リウマチ、子宮内膜症および腎疾患からなる群から選択される疾患または病的状態の治療または予防のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項16】
癌の治療または予防のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記癌が、免疫療法で治療可能である、請求項16に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、薬学上許容される希釈剤または担体ならびに所望により治療上有効な量のさらなる化学療法薬、抗炎症薬、ステロイド、免疫治療薬、または治療用抗体を含む、医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩および化学療法薬、抗炎症薬、ステロイド、免疫抑制薬、免疫治療薬、治療用抗体およびEP4および/またはEP2調節薬からなる群から選択される少なくとも1種類の治療薬を含む、組合せ製剤。
【請求項20】
前記治療薬が、イピリムマブおよびトレメリムマブから選択される抗CTLA4抗体、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、ピディリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、REGN2810およびAMP-224から選択される抗PD1抗体、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびMDX-1105から選択される抗PDL1抗体;カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メトトレキサート、プロカルバジン、テモゾロミド、ビンクリスチンからなる群から選択される、請求項19に記載の組合せ製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、プロスタグランジンE2(PGE2)のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節薬としての新規な、場合により置換されていてもよい、N-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体に関する。
【0002】
本発明の他の目的は、これらの化合物を製造するための方法、有効量のこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびに癌疾患、疼痛および炎症病態、例えば、急性および慢性疼痛、変形性関節症、関節リウマチ疾患、子宮内膜症および腎疾患等のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節薬により改善し得る病的状態または疾患の治療において使用するための前記化合物を提供することである。
【背景技術】
【0003】
技術の現状
プロスタグランジンE2(PGE2)は、疼痛、発熱、ならびに血管緊張、腎機能、粘膜の健全性、炎症、血管新生および腫瘍成長の調節等のいくつかの生物学的プロセスに関与する。PGE2は、多くの場合、4つの、いわゆるE型プロスタノイド受容体(EP1~EP4)のその活性化に帰すことができる複雑な発散性の影響を引き起こす。PGE2の生理活性は、Eプロスタノイド受容体1~4(EP1、EP2、EP3およびEP4)として特定される4つのGタンパク質共役型原形質膜受容体により媒介され、これらの受容体はそれぞれ異なる下流シグナル伝達経路を活性化することができる(SUGIMOTO, Yukihiko; NARUMIYA, Shuh. Prostaglandin E receptors. Journal of Biological Chemistry, 2007, vol. 282, no 16, p. 11613-11617)。
【0004】
PGE2は、炎症状態において検出される主要なエイコサノイドであり、加えて、痛覚過敏、子宮収縮、消化管蠕動、覚醒、胃酸分泌の抑制、血圧、血小板機能、骨代謝、血管新生、癌転移等の様々な生理状態および/または病的状態にも関与する。エイコサノイド:(From Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf and Velo eds, Plenum Press, New York, 1996, chapter 14, p.137-154); (Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling, 14: 83-87 (1996)), (Prostaglandins and Other Lipid Mediators, 69: 557-573 (2002))。
【0005】
他方、PGE2は種々のタイプの癌で癌組織において発現が高いことが報告され、PGE2が癌および病的状態の発生に関連することも明らかである。PGE2は細胞増殖の活性化および細胞死(アポトーシス)の阻害に関連し、癌の進行および転移のプロセスに重要な役割を果たすことが知られている。
【0006】
各EP受容体サブタイプは特にヒト身体に分布している;EP1:子宮筋、肺静脈、結腸、皮膚、肥満細胞;EP2:白血球、平滑筋、中枢神経系(CNS)、生殖系、骨;EP3:CNS、心血管系、生殖系、腎臓、膀胱;EP4:白血球、平滑筋、心血管系および骨(SUGIMOTO, Yukihiko; NARUMIYA, Shuh. Journal of Biological Chemistry, 2007, vol. 282, no 16, p. 11613-11617)、および(Woodward, D.F. et al. (2011) International Union of Basic and Clinical Pharmacology. LXXXIII: Pharmacol. Rev. 63, 471‐538 5)。
【0007】
EP2受容体
EP2受容体ノックアウトマウスを用いた研究は、悪性腫瘍におけるEP2受容体の役割を示し、EP2受容体欠損マウスは発癌促進物質曝露の後に肺、皮膚および乳房腫瘍を発生することが有意に少ない。EP2受容体の遺伝的除去はまた、遺伝的に腸ポリープを発生しやすい腺腫様多発結腸ポリープ(APC)1309マウスにおいて腸ポリ-プの大きさおよび数の両方も低下させた。さらに、EP2受容体は、結腸癌、前立腺癌および乳癌を含むいくつかの癌の腫瘍細胞により発現されることも示された(GUSTAFSSON, Annika, et al. International journal of cancer, 2007, vol. 121, no 2, p. 232-240) and (Chang SH, et al. (2004). Proc Natl Acad Sci U S A 101: 591‐596)。
【0008】
前立腺癌において、アンドロゲン遮断療法(ADT)は主要な治療であるが、疾患はしばしば再発し、ほとんど全ての患者が去勢抵抗性となることが知られている。機構的には、胸腺細胞において、アンドロゲン遮断の後に上昇したPGE2-EP2シグナル伝達がCD4の発現を阻害したことが確認された。治療上は、PGE2シグナル伝達をセレコキシブで不活化すると、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の発生が劇的に抑制された。これらの結果は、前立腺癌の治療のためにADTとPGE2阻害を組み合わせるという治療方針を示す(WANG, C., et al. Cell research, 2018)。
【0009】
PGE2-EP2シグナル伝達は、腫瘍微小環境を形成する慢性炎症の交点として働き、従って、結腸直腸癌の化学予防法の標的の強力な候補である(AOKI, Tomohiro; NARUMIYA, Shuh. Inflammation and regeneration, 2017, vol. 37, no 1, p. 4.)。
【0010】
加えて、最近の研究では、PGE2によるEP2受容体の活性化は、EMTの重要な誘導因子であるSnailの発現レベルを上方調節することにより肝細胞癌の細胞浸潤および遊走能を著しく増強したことが示された(CHENG, Shan-Yu, et al. Oncology reports, 2014, vol. 31, no 5, p. 2099-2106)および(ZANG, Shengbing, et al. Human pathology, 2017, vol. 63, p. 120-127)。EP2受容体はまた、一部にはTGF-βに対する細胞の応答を変化させるその能力を介した乳癌の転移に関連付けられている(Tian M, Schiemann WP (2010). FASEB J 24: 1105‐1116)。
【0011】
神経変性疾患に関するEP2拮抗作用
癲癇、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の慢性炎症性神経変性疾患は、集団のかなりの割合の死亡率および罹患率に寄与する。ADおよびPDは高齢者の認知症症状に特に関連する。しかしながら、これらの疾患の全てで、活性亢進された炎症経路の一般的な特徴が共通している。興味深いことに、PGE2は、これらの疾患の進行中に産生される主要なプロスタグランジンであり、EP2受容体を介して(および程度はより低いがEP4受容体によって)炎症誘発機能を媒介することが示されている。強力かつ選択的なEP2拮抗薬TG4-15585の投与は、癲癇重積のピロカルピンモデルにおいて実質的に海馬のニューロン損傷を遮断することを示した研究がある(門では>60%、CA3領域では80%、およびCA1領域では>90%)(JIANG, Jianxiong, et al. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2012, vol. 109, no 8, p. 3149-3154)。
【0012】
別の強力なEP2拮抗薬TG6-10-186は、癲癇重積後のマウスにおいて、神経変性、炎症性サイトカインおよびケモカインの上方調節ならびに神経膠の活性化を抑制し、癲癇発生を遮断するためのEP2拮抗薬の潜在的治療利益を示唆する(JIANG, Jianxiong, et al. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2013, vol. 110, no 9, p. 3591-3596)。
【0013】
AD、PDおよびALSのEP2ノックアウトマウスモデルで見られた有益な効果(上記参照)に基づけば、EP2受容体拮抗薬は、癲癇、アルツハイマー病、パーキンソン病、および筋萎縮性側索硬化症を含む慢性炎症性神経変性疾患のための補助的治療薬としての有用性を示し得る(LIANG, Xibin, et al. Annals of Neurology: Official Journal of the American Neurological Association and the Child Neurology Society, 2008, vol. 64, no 3, p. 304-314)、(Liang X, et al. J. Neurosci. 2005; 25:10180‐10187); (Jin J, et al. Journal of Neuroinflammation. 2007)。
【0014】
EP4受容体
EP4受容体は、EP2受容体とは異なり、免疫系、骨関節系、心血管系、消化管系、および呼吸器系、ならびに癌細胞を含む様々な組織および細胞で発現される。最近の知見では、EP4シグナル伝達の調節が結腸癌(MUTOH, Michihiro, et al. Cancer research, 2002, vol. 62, no 1, p. 28-32)、大動脈瘤(YOKOYAMA, Utako, et al. PloS one, 2012, vol. 7, no 5, p. e36724)、関節リウマチ(CHEN, Q., et al. British journal of pharmacology, 2010, vol. 160, no 2, p. 292-310)、骨粗鬆症および自己免疫疾患(YAO, Chengcan, et al. Nature medicine, 2009, vol. 15, no 6, p. 633)の治療戦略に含まれ得ることが示唆された。
【0015】
よって、EP4シグナル伝達の調節は、潜在的治療標的としてさらに大きな注目を受けてきた。
【0016】
最近の報告では、ある種の癌で発現されるEP4受容体は腫瘍細胞の増殖および転移を促進することが示唆されている(YOKOYAMA, et al. Pharmacological reviews, 2013, vol. 65, no 3, p. 1010-1052)。
【0017】
乳癌において、ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞等の宿主抗腫瘍免疫細胞の不活化、腫瘍関連マクロファージの免疫抑制機能の増強、血管内皮増殖因子(VEGF)-Aを含む複数の血管新生因子の上方調節による腫瘍細胞遊走、浸潤性および腫瘍関連血管新生の促進、リンパ血管新生の増大(VEGF-C/Dの上方調節による)、および癌細胞における幹様細胞(SLC)表現型の刺激を含む複数の細胞イベントによる腫瘍の進行および転移は主として腫瘍または宿主細胞上のプロスタグランジン(PG)E受容体EP4の活性化により媒介されたこと、また、選択的EP4拮抗薬はin vitroにおいて細胞でならびに同系COX-2発現乳癌担持マウスまたはCOX-2過剰発現ヒト乳癌異種移植片を有する免疫不全マウスにおいてin vivoで試験されたこれらのイベントの全てを軽減できたことを示した研究がある(MAJUMDER, Mousumi, et al. International journal of molecular sciences, 2018, vol. 19, no 4, p. 1019)。
【0018】
EP4発現レベルはまた、前立腺癌細胞の浸潤性とも相関があり、EP4特異的拮抗薬ONO-AE3-208は細胞の浸潤、遊走、および骨転移を抑制した(XU, Song, et al. Cell biochemistry and biophysics, 2014, vol. 70, no 1, p. 521-527)。
【0019】
EP4の阻害が、CD24を下方調節することにより腎細胞癌(RCC)の血管内侵入および転移を減弱すること、ならびにP-セレクチンが腫瘍の血管内侵入に関与することを示し、進行したRCCの治療のための治療標的としてのこれらの分子の可能性を暗示している他の研究もある(ZHANG, Yushan, et al. Cancer letters, 2017, vol. 391, p. 50-58)。
【0020】
EP4拮抗薬L-161,982は、口腔扁平上皮癌Tca8113細胞において、アポトーシス、細胞周期の停止を誘導し、プロスタグランジンE2誘導性の増殖を阻害する(LI, Xiaohui, et al. The Journal of Oral Pathology & Medicine, 2017, vol. 46, no 10, p. 991-997)。
【0021】
PGE2シグナル伝達のより選択的な阻害であるEP4拮抗作用は、腫瘍中の癌幹細胞(CSC)の数を減らし、腫瘍の化学感受性を増すことを示した他の研究もある。EP4拮抗作用は、細胞外小胞/エクソソームの放出を惹起することによりCSCを化学療法感受性の非幹細胞に変換し、従来の化学療法に対する腫瘍応答を増強する(LIN, Meng‐Chieh, et al. International journal of cancer, 2018)。
【0022】
加えて、選択的EP4受容体拮抗薬は、インターロイキン-23(IL-23)の産生の阻害とTヘルパー1(Th1)およびTヘルパー17(Th17)の抑制を介して、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、および多発性硬化症(MS)16~18等の自己免疫疾患の魅力的な治療アプローチを提供することも期待される。
【0023】
肝臓癌におけるEP4受容体の役割が最近、非特許文献で報告された。PKA/CREBの活性化を介したPGE2/EP4受容体シグナル伝達は、in vitroでHCC細胞において、c-Myc発現を上方調節し、細胞増殖の促進をもたらした(XIA, Shukai, et al. Oncology reports, 2014, vol. 32, no 4, p. 1521-1530)。
【0024】
PGE2により活性化されたEP4受容体シグナル伝達は、疼痛(特に、炎症性疼痛、神経因性疼痛および内臓痛)、炎症、神経保護、皮膚炎、骨疾患、免疫系機能不全、睡眠促進、腎臓調節、胃粘液または腸粘液の分泌および十二指腸の重炭酸塩分泌等の様々な病態に関連している可能性がある。PGE2がプロテオグリカン合成を阻害し、変形性関節症の軟骨細胞において、EP4受容体を介して基質分解を刺激することを示唆する研究がある。シクロオキシゲナーゼ2よりもむしろEP4の標的化が、変形性関節症の疾患修飾の今後の戦略と言える(ATTUR, Mukundan, et al. The Journal of Immunology, 2008, vol. 181, no 7, p. 5082-5088)。プロスタノイドEP4受容体の薬理学的遮断が、変形性関節症および/または関節リウマチの徴候および症候軽減における新たな治療戦略に当たり得ることを示唆する他の研究がある(MURASE, Akio, et al. European journal of pharmacology, 2008, vol. 580, no 1-2, p. 116-121)。
【0025】
他方、いくつかの研究が、腎疾患の発生におけるEP4受容体の関与を示している。
【0026】
この意味で、最近の研究で、慢性腎疾患(CKD)モデルとしての腎摘出ラットの5/6で、PGE2 EP4受容体選択的拮抗薬ASP7657の腎保護特性が示された。この研究は、レニン放出を調節し、腎臓の血行力学を改善することによって慢性腎不全の進行を抑制することを示唆している(ELBERG, Dorit, et al. Prostaglandins & other lipid mediators, 2012, vol. 98, no 1-2, p. 11-16)。
【0027】
EP4拮抗作用は、おそらく主として尿細管細胞におけるCxcl-5産生を低下させ、それにより、腎臓の好中球浸潤を低下させることによって腎毒性血清腎炎NTS表現型を改善することを開示している他の研究がある(ARINGER, Ida, et al. American Journal of Physiology-Renal Physiology, 2018)。
【0028】
糖尿病性および非糖尿病性慢性腎疾患(CKD)の齧歯類モデルにおいて、EP4阻害は、広域のCOX阻害または「標準治療」レニンアンギオテンシン系遮断とは異なった機序を介して腎臓損傷を減弱した(THIEME, Karina, et al. Scientific Reports, 2017, vol. 7, no 1, p. 3442)。
【0029】
最後に、EP4は、リポ多糖類(LPS)誘導性の腎臓近位尿細管細胞損傷において、パリカルシトール前処置後にAktおよびNF-κBシグナル伝達を介して抗炎症効果および抗アポトーシス効果に中枢的役割を果たすことを述べている他の研究がある(HONG, Yu Ah, et al. Kidney research and clinical practice, 2017, vol. 36, no 2, p. 145)。
【0030】
プロスタグランジンE2(PGE2)は常染色体優性多発性嚢胞腎疾患(ADPKD)の遺伝的非オーソログモデルにおける嚢胞形成に寄与することが知られている。PGE2は、ADPKDに特徴的な増殖および分泌表現型に寄与するポリシスチン-1(PC-1)が欠損した腎上皮細胞において異常なシグナル伝達経路を活性化する。EP4受容体への拮抗はポリシスチン-1が欠損した腎上皮細胞(PC-1欠損細胞)の成長利益を逆転させ、これは増殖におけるEP4受容体の中心的役割を意味する(LIU, Yu, et al. American Journal of Physiology-Renal Physiology, 2012, vol. 303, no 10, p. F1425-F1434)。
【0031】
プロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒトADPKD細胞においてcAMP形成および嚢胞形成を刺激する。単離されたヒトADPKD腎上皮細胞において実施された研究は、PGE2の効果がEP2受容体により媒介されると思われることを示し、ADPKDにおける嚢胞形成の治療においてEP2受容体拮抗薬の治療能を示唆している。EP2受容体またはEP4受容体の活性を阻害するプロスタノイド-E受容体選択的拮抗薬は、嚢胞形成およびADPKD進行を制限するための薬理学的戦略として使用され得る(ELBERG, Dorit, et al. Prostaglandins & other lipid mediators, 2012, vol. 98, no 1-2, p. 11-16)。
【0032】
EP2受容体およびEP4受容体の調節もまた、いくつかの疾患に関与している。
【0033】
PGE2/EP2およびPGE2/EP4シグナル伝達経路の活性化は、肺癌患者の浸潤性CD8+T細胞においてPD-1のレベルに正の調節を行い、肺癌微小環境において免疫寛容をもたらす(WANG, Jinhong, et al. Oncology letters, 2018, vol. 15, no 1, p. 552-558)。
【0034】
EP2/EP4の活性化は、尿路上皮癌発症および成長の誘導、ならびにおそらくホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)の発現の下方調節を介して化学耐性と相関がある。BC株において、EP2/EP4拮抗薬およびセレコキシブは、細胞の生存力および遊走を有効に阻害するとともに、PTEN発現を増強した(KASHIWAGI, Eiji, et al. British journal of cancer, 2018, vol. 118, no 2, p. 213)。
【0035】
転移性乳癌細胞におけるS1P3受容体の上方調節はPGE2およびEP2/EP4の活性化の誘導によって遊走および浸潤を増大させることが知られている(FILIPENKO, Iuliia, et al. Biochimica et biophysica acta (BBA)-molecular and cell biology of lipids, 2016, vol. 1861, no 11, p. 1840-1851)。
【0036】
また、ヒト前立腺癌はEP4およびEP2の過剰発現に関連し、EP3発現を低下させたことも知られている(HUANG, Hosea FS, et al. Significance of divergent expression of prostaglandin EP4 and EP3 receptors in human prostate cancer. Molecular Cancer Research, 2013, p. molcanres. 0464.2012)。同様に、プロスタグランジンE2がEプロスタノイド2(EP2)介在経路およびEP4介在経路を介して前立腺癌において腫瘍血管新生を調節することを示した他の研究もある(JAIN, Shalini, et al. Cancer Research, 2008, vol. 68, no 19, p. 7750-7759)。
【0037】
PGE2がEP2およびEP4を包含するシグナル経路を介してSN12C細胞浸潤を増大させ、腎臓癌細胞浸潤を促進すると述べている他の研究がある(LI, Zhenyu, et al. PGE2 promotes renal carcinoma cell invasion through activated RalA. Oncogene, 2013, vol. 32, no 11, p. 1408)および(LI, Zhenyu, et al. Oncogene, 2013, vol. 32, no 11, p. 1408)。
【0038】
PGE2受容体(EP2およびEP4)作動薬は黒色腫の細胞遊走を促進するが、PGE2受容体拮抗薬は高悪性型の皮膚癌である黒色腫細胞の遊走能を抑制した(VAID, Mudit, et al. American journal of cancer research, 2015, vol. 5, no 11, p. 3325)。
【0039】
加えて、EP2およびEP4の阻害は、PGE2がLoVo結腸癌細胞においてEP2受容体およびEP4受容体を介してCOX-2のタンパク質発現を誘導することを示すという証拠も得られている(HSU, Hsi-Hsien, et al. International journal of molecular sciences, 2017, vol. 18, no 6, p. 1132)。
【0040】
EP2/EP4の阻害は子宮内膜症病変の成長および生存を低下させ;子宮内膜症病変の血管新生および神経支配を低下させ;後根神経節ニューロンの炎症誘導状態を抑制して骨盤痛を軽減し;子宮内膜および子宮内膜症病変の炎症誘発性、エストロゲン優位、およびプロゲステロン耐性の分子環境を軽減し;かつ複数の機序を介して子宮内膜の機能的感受性を回復させることを示し(AROSH, Joe A., et al. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2015, vol. 112, no 31, p. 9716-9721) (Banu, S. K.; Lee, J.; Speights, V. O., Jr.; Starzinski-Powitz, A.; Arosh, J. A. Molecular Endocrinology 2009, 23, 1291-1305)、新たな選択的EP4拮抗薬が子宮内膜症の治療のために同定されたことを示す他の研究がある(BAURLE, Stefan, et al. Identification of a Benzimidazolecarboxylic Acid Derivative (BAY 1316957) as a Potent and Selective Human Prostaglandin E2 Receptor Subtype 4 (hEP4-R) Antagonist for the Treatment of Endometriosis. Journal of Medicinal Chemistry, 2019)。
【0041】
免疫応答におけるEP2およびEP4
異なる実体の腫瘍において、4つの受容体は全て関連するが、EP2受容体およびEP4受容体の発現は、組織常在細胞ではなく免疫細胞においてはるかに優位である。
【0042】
また、PGE2誘導性EP2受容体シグナル伝達は、抗腫瘍免疫応答の抑制にも重要な役割を果たす。実際に、免疫細胞に対するPGE2の免疫調節効果のほとんどはEP2受容体およびEP4受容体を介したシグナル伝達の結果として生じる(KALINSKI, Pawel. The Journal of Immunology, 2012, vol. 188, no 1, p. 21-28)。これはおそらくは、これらの両受容体を介したシグナル伝達が同じGαs刺激タンパク質により伝達され、活性化の際にcAMPの細胞内濃度に増加をもたらすという事実のためである。このcAMPの増加は、Tヘルパー(TH)1細胞の阻害およびIL-2およびIFNγにおける関連の低下の一因であることが示され、このことは、CD4+TH細胞が癌の制御に必要とされる適応免疫系の重要なエフェクターアームに相当することを考えれば重要である(O'CALLAGHAN, G.; HOUSTON, A. British journal of pharmacology, 2015, vol. 172, no 22, p. 52)。
【0043】
PGE2はまた、EP2受容体およびEP4受容体により媒介される様式で、NK細胞および細胞傷害性T細胞(CTL)の活性を阻害し(HOLT, Dawn, et al. Journal of immunotherapy, 2012, vol. 35, no 2, p. 179)、この2つの細胞種はまた、抗腫瘍免疫応答の一部を形成し得る。免疫細胞の活性を直接抑制することに加え、EP2受容体およびEP4受容体を介したシグナル伝達はTreg細胞の発達を促進する。Treg細胞は、樹状細胞(DC)を含む多くの免疫細胞の活性を抑制する免疫系の強力な阻害剤である(NARENDRA, Bodduluru Lakshmi, et al. Inflammation Research, 2013, vol. 62, no 9, p. 823-834)。DCは、腫瘍特異的免疫応答の誘導に中枢的役割果たし、腫瘍中のDCの存在は予後の改善と相関がある。EP2受容体(およびEP4)受容体を介したシグナル伝達は、Treg細胞の誘導を介してDCの活性を遮断しただけでなく、単球からのそれらの生成も遮断し、代わりに、単球からの免疫抑制MDSCの発達をもたらした(DE KEIJZER, Sandra, et al. International journal of molecular sciences, 2013, vol. 14, no 4, p. 6542-6555)。
【0044】
PGE2/EP2およびPGE2/EP4シグナル伝達経路の活性化は、肺癌患者の浸潤性CD8+T細胞においてPD-1のレベルに正の調節を行う(WANG, Jinhong, et al. Oncology letters, 2018, vol. 15, no 1, p. 552-558)。
【0045】
甲状腺癌細胞により産生されるPGE2が、NK細胞上のEP2受容体およびEP4受容体を介してNK活性化受容体の発現を阻害することにより、NK細胞の細胞溶解性活性を抑制したことを示した他の研究がある(PARK, Arum, et al. Frontiers in immunology, 2018, vol. 9)。
【0046】
他方、EP4拮抗薬としてのE7046による特異的EP4遮断はPGE2により誘導される骨髄性媒介免疫抑制を逆転させたこと、およびE7046と、Tregを優先的に死滅させるIL-2-ジフテリア毒素融合タンパク質としてのE7777の組合せは、TME内の骨髄性免疫抑制とTreg由来免疫抑制の両方を相乗作用的に軽減してロバストな抗腫瘍免疫応答を促進し、骨髄細胞およびTreg細胞の存在量の多い腫瘍を有する癌患者に有利であり得る併用療法を提供することが示された(ALBU, Diana I., et al. Oncoimmunology, 2017, vol. 6, no 8, p. e1338239)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
ゆえに、本発明が解決すべき問題は、プロスタグランジンE2(PGE2)のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節薬としての化合物を提供することである。
【0048】
本発明の著者らは、PGE2のEP4受容体および/またはEP2受容体の強力な調節薬としての、有利に置換された新規なN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体を発見した。従って、これらの化合物は、癌、疼痛、例えば、急性および慢性疼痛、炎症、例えば、変形性関節症、関節リウマチ、神経変性疾患、子宮内膜症および腎疾患等の、EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により媒介される疾患または病態を治療するために有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0049】
発明の概要
第1の態様(態様1)において、本発明は、式(I)の新規なN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体:
【化1】
[式中、
Aは、フェニルならびにN、SおよびOから選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する5員または6員ヘテロアリールから選択される基を表し、
およびRは独立に、水素原子、ハロゲン原子およびC1-3アルキルから選択される基を表すか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3-4シクロアルキル基を形成し、
、R、Rおよび各Rは独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、直鎖または分岐鎖C1-3ハロアルキル基、直鎖または分岐鎖C1-3アルキル、C3-4シクロアルキル、直鎖または分岐鎖C1-3アルコキシおよびピリジル基から選択される基を表し、かつ
mは、1~5の整数である]
およびその薬学上許容される塩に関する。
【0050】
本発明の他の態様は次の通りである:
態様2)態様1の化合物の製造のための方法。
【0051】
態様3)治療上有効な量の態様1の化合物を含む医薬組成物。
【0052】
態様4)治療上有効な量の化学療法薬、抗炎症薬、ステロイド、免疫治療薬および治療用抗体等の他の薬剤をさらに含む、態様3に記載の医薬組成物。
【0053】
態様5)プロスタグランジンE2(PGE2)のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善され得る疾患の治療において使用するための、態様1に記載の化合物。
【0054】
EP4受容体および/またはEP2受容体調節により改善され得る疾患は、癌、疼痛、炎症、神経変性疾患および腎疾患からなる群から選択され得る。癌は、好ましくは、結腸癌、胃癌、前立腺癌、肺癌、肝細胞癌、腎臓癌および乳癌から選択される。
【0055】
態様6)EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善され得る疾患の治療のための薬剤の製造における、態様1に記載の化合物または態様3もしくは4に記載の医薬組成物の使用。
【0056】
態様7)EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善され得る疾患の治療または予防のための方法であって、前記治療を必要とする対象への態様1に記載の化合物または態様3もしくは4に記載の医薬組成物の投与による、方法。
【0057】
態様8)式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩とプロスタグランジンE2の受容体EP4および/またはEP2の調節に関連する疾患、障害または病態の治療のために本願の化合物と併用可能な化学療法薬、抗炎症薬、ステロイド、免疫抑制薬、治療用抗体からなる群から選択される1以上の治療薬とを含む、組合せ製剤。これらの1以上の付加的医薬は患者に同時にまたは逐次に投与され得る。
【0058】
化学療法薬の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、テモゾロミド、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メトトレキサート、プロカルバジン、ビンクリスチンを含むCNS癌の治療のための化学療法薬、ならびにサリドマイド、レブリミド、およびDNA傷害薬、例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン等の他の化学療法薬が挙げられる。
【0059】
抗炎症性化合物の例としては、アスピリン、サリチル酸コリン、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストル、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカン(piroxicam)、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダック、トルメチンナトリウム、バルデコキシブ等が挙げられる。
【0060】
ステロイドの例としては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン等のコルチコステロイドが挙げられる。
【0061】
免疫抑制薬の例としては、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、インフリキシマブ、メトトレキサート、タクロリムス等が挙げられる。
【0062】
併用療法において使用するための治療用抗体の例としては、限定されるものではないが、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(例えば、抗VEGF)、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(抗CD20)およびc-METに対する抗体が挙げられる。
【0063】
さらに別の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と結腸癌、胃癌、前立腺癌、肺癌、および乳癌から選択される癌の治療において有用な1以上の免疫治療薬とを含む、組合せ製剤に関する。
【0064】
好ましい実施形態において、組合せ製剤は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、イピリムマブおよびトレメリムマブから選択される抗CTLA4抗体、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、ピディリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、REGN2810およびAMP-224等の抗PD1抗体、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびMDX-1105等の抗PDL1抗体、ならびに糖脂質GD2を標的とする、ジヌツキシマブとしてのモノクローナル抗体からなる群から選択される1以上の免疫治療薬とを含む。この組合せ製剤の成分は、同じ処方物または別の処方物である。
【0065】
よって、本発明の誘導体および薬学上許容される塩ならびにこのような化合物および/またはその塩を含む医薬組成物は、ヒト身体の病的状態または疾患の治療方法であって、前記治療を必要とする対象に有効量の本発明のN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体またはその薬学上許容される塩を投与することを含む方法において使用され得る。
【0066】
従前に述べられているように、本発明のN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体は、プロスタグランジンE2のEP4受容体および/またはEP2受容体の調節薬での処置により改善を受け得ることが知られる疾患の治療または予防において有用である。このような疾患は、胃癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、肝細胞癌、腎臓癌および乳癌等の癌、疼痛、炎症、神経変性疾患ならびに腎疾患からなる群から選択される。
【0067】
本明細書において使用する場合、ハロゲン原子という用語は、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素または臭素原子、より好ましくは、フッ素または塩素原子を含む。ハロという用語は、接頭辞として使用する場合、同じ意味を有する。
【0068】
本発明において使用する場合、Cハロアルキルという用語は、1個以上のハロゲン原子、好ましくは、1、2または3個のハロゲン原子により置換されたCアルキルを表して使用される。好ましくは、ハロゲン原子は、フッ素または塩素原子、より好ましくは、フッ素原子からなる群から選択される。好ましい実施形態において、ハロアルキル基は、3個のフッ素原子(トリフルオロメチル基)により置換されたCアルキルである。
【0069】
本発明において使用する場合、Cアルキルという用語は、1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基(C2n+1)を表して使用される。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルラジカルが挙げられる。
【0070】
本発明において使用する場合、C-Cシクロアルキルという用語は、n~m個の炭素原子、例えば、3~6個または3~4個の炭素原子を有する炭化水素単環式基を包含する。このようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0071】
本発明において使用する場合、Cアルコキシという用語は、酸素原子に連結された直鎖または分岐鎖Cアルキル基を含有する基(C2n+1-O-)を表して使用される。好ましいアルコキシラジカルは、メトキシである。
【0072】
本発明において使用する場合、Cシクロアルコキシという用語は、酸素原子に連結されたCシクロアルキル基を含有するラジカルを表して使用される。
【0073】
本発明において使用する場合、5員~6員ヘテロアリールという用語は、フラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾールおよびチオフェン、好ましくは、フラン、ピリジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾールおよびチオフェン等の環の一部として炭素、水素およびN、OおよびSから選択される1個以上、好ましくは、1、2または3個のヘテロ原子を含有する複素芳香環を表して使用される。前記基は、各場合において定義されたものに従い、1以上の置換基により場合により置換されてもよい。好ましいラジカルは、場合により置換されていてもよいピリジニル、ピリミジニルである。ヘテロアリールラジカルが2以上の置換基を有する場合、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
本発明において使用する場合、本発明の一般構造に存在する原子、ラジカル、鎖または環のいくつかは「場合により置換されていてもよい」。これはこれらの原子、ラジカル、鎖または環は非置換であってもよいし、または1個以上、例えば、1、2、3もしくは4個の置換基により任意の位置で置換されていてもよく、それにより、非置換原子、ラジカル、鎖または環に結合した水素原子は化学的に許容される原子、ラジカル、鎖または環により置換されていることを意味する。2以上の置換基が存在する場合、各置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0075】
本発明において使用する場合、薬学上許容される塩という用語は、薬学上許容される塩基を伴う塩を表して使用される。薬学上許容される塩基としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、水酸化アルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、および有機塩基、例えば、アルキルアミン、アリールアルキルアミンおよび複素環式アミンが挙げられる。
【0076】
「調節薬」という用語は、受容体の特定の生物活性を遮断するまたはそうでなければそれに干渉する分子を指す。
【0077】
「Ki」という用語は、本明細書において使用する場合、対照の特定の結合の50%阻害を生じる濃度を指す。Ki値は、IC50、アッセイにおける放射性リガンドの濃度、および受容体のための放射性リガンドの親和性から評価することができる。IC50値は、適当な用量反応曲線から評価することができ、より正確には、IC50値は非直線回帰分析を用いて決定され得る。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、式(I)の化合物において、RおよびRは独立に水素原子およびC1-3アルキルから選択され、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3-4シクロアルキル基を形成し;Rは、水素原子およびハロゲン原子から選択され;かつ、RおよびRは水素原子を表す。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、式(I)の化合物において、R、R、R、RおよびRは水素原子を表す。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、式(I)の化合物において、Aは、フェニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、チオフェニルおよびフラニルからなる群から選択され、好ましくは、フェニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリミジニルおよびチオフェニルからなる群から選択され;より好ましくは、フェニル、ピリミジニル、ピリミジニルおよびチオフェニルからなる群から選択され;さらにより好ましくは、フェニル、ピリミジニルおよびチオフェニルからなる群から選択される。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、Aは、フェニル基を表す。
【0082】
好ましい実施形態において、各Rは独立に、
a)水素原子、
b)ハロゲン原子
c)シアノ基、
d)カルバモイル(-CONH)基、および
d)直鎖または分岐鎖C1-3ハロアルキル基
から選択される基を表す。
【0083】
特定の実施形態において、各Rは独立に、
a)水素原子、
b)フッ素原子、
c)塩素原子、
c)シアノ基、
d)カルバモイル(-CONH)基、および
d)トリフルオロメチル基
から選択される基を表す。
【0084】
より好ましい実施形態において、Aは、フェニル基を表し、各Rは独立に、フルオロ、トリフルオロメチルおよびシアノ基から選択される基を表し、かつ、mは1~4の整数である。
【0085】
本発明の別の実施形態によれば、Aは、環の一部として1または2個のN原子を有する5員または6員ヘテロアリール環を表す。好ましい実施形態において、Aは、ピリジルまたはチオフェン基から選択される基を表し、各Rは独立に、フルオロ、トリフルオロメチルおよびシアノ基から選択される基を表し、かつ、mは1~4の整数である。
【0086】
本発明の別の実施形態によれば、R、R、R、RおよびRは水素原子を表し、Aはフェニル基を表し、かつ、各Rは独立に、フルオロまたはトリフルオロメチル基から選択される基を表し、かつ、mは1~5の整数である。
【0087】
別の実施形態によれば、mは1~4の整数であり、好ましくは、mは1~2の整数である。
【0088】
別の実施形態によれば、Aは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニルから選択される基を表し、R、R、R、R、Rは水素原子であり、各Rは、水素原子、フッ素、塩素、シアノ基、トリフルオロメチルおよびピリジル基から選択される基を独立に表し、かつ、mは1~2の整数である。
【0089】
本発明の特定の個々の化合物としては、
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-フルオロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸)
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-3-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-クロロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((3’,4’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-4’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(チオフェン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((3’,5’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル))安息香酸
4-((3’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-5’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-カルバモイル-5’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(ピリジン-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((5-(5-カルバモイルフラン-2-イル)-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸
3-フルオロ-4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
(R)-4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)エチル)安息香酸
4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸
4-((3’-フルオロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
4-((3’-クロロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
が挙げられる。
【0090】
本発明の化合物は、下記の手順を使用することにより製造することができる。これらの手順の記載を助けるために、具体例を用いたが、それらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【化2】
【0091】
試薬および条件:(a)MeOH、HSO、70℃;b)NaH、DMF、120℃、一晩;c)NaOH、MeOH/HO、室温、3時間;d)HATU、DIPEA、DCM、室温、一晩;e)[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、CsCO、ジオキサン/HO、100℃、一晩、f)NaOH、MeOH/HO、室温、一晩。
【0092】
式(I)の化合物は、スキーム1に記載の合成経路によって製造することができる。
【0093】
式(II)の5-ブロモ-2-フルオロ安息香酸の誘導体で出発し、メタノールと反応させてエステル(III)を形成し、次にこれを式(IV)のフェノール誘導体と反応させて式(V)の化合物を得る。
【0094】
式(V)の化合物の塩基性水性条件下での加水分解により、式(VI)の中間体を得、これをHATU等のカップリング剤の存在下で式(VII)のアミンと反応させて式(VIII)の化合物を得る。式(VIII)の臭化アリールは、パラジウム触媒条件下でボロン酸またはボロン酸エステルと反応させ、その後、塩基性水性条件下で加水分解を行うことにより、式(I)の化合物に変換することができる。
【化3】
【0095】
試薬および条件:g)[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、CsCO、ジオキサン/HO、100℃、一晩、h)NaH、DMF、120℃、一晩;i)NaOH、MeOH/HO、室温、一晩;)HATU、DIPEA、DCM、室温、一晩;k)NaOH、MeOH/HO、室温、一晩。
【0096】
式(I)の化合物への別の経路をスキーム2に示す。式(III)の臭化アリールは、パラジウム触媒の存在下、ボロン酸、ボロン酸エステル、亜鉛試薬、またはトリブチルスタンナン試薬と反応させて式(X)の中間体を得る。スキーム1に記載のものと同様の反応を用い、式(X)の化合物をフェノール(IV)と反応させて、塩基性水性条件下での加水分解の後に式(XI)の中間体を形成し、これをHATU等のカップリング剤の存在下で式(VII)のアミンと反応させて、塩基性水性条件下での加水分解の後に対応する式(I)の化合物を得る。
【0097】
本発明の化合物の合成を、中間体の製造を含む以下の例により説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定しない。
【0098】
略語
本願において、以下の略語が使用され、対応する定義とともに示す:
RT: 室温
HATU: N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド
DIPEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF: ジメチルホルムアミド
DCM: ジクロロメタン
THF: テトラヒドロフラン
DMSO: ジメチルスルホキシド
【0099】
薬理活性
結果
本発明の化合物を、ヒトEP1、EP2、EP3およびEP4受容体における結合に関してアッセイし、IC50の決定のために数濃度で試験した。
【0100】
ヒトEP1受容体における競合結合:
プロスタグランジンEP1受容体競合結合実験は、ポリプロピレン96ウェルマイクロプレートプレートにて結合バッファー(Mes 10mM、EDTA 1mM、MgCl2 1mM、pH=6.0)を用いて行った。各ウェルで、本発明者らの研究室で調製した10μgのHEK-EP1細胞株由来膜(ロット:A003/19-10-2011、タンパク質濃度=1756μg/ml)、3nM[3H]-プロスタグランジンE2(169.8Ci/mmol、0.1mCi/ml、Perkin Elmer NET428250UC)ならびに供試化合物および標品をインキュベートした。非特異的結合をPGE2 10μM(Cayman 14010)の存在下で決定した。反応混合物(Vt:250μl/ウェル)を25℃で60分間インキュベートし、濾過し、250μlの洗浄バッファー(Mes 10mM、EDTA 1mM、MgCl2 1mM、pH=6.0)で4回洗浄した後に200μLをGF/C96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)に移し、その後、マイクロプレートβシンチレーションカウンター(Microbeta Trilux、PerkinElmer、マドリッド、スペイン)で測定した(Abramovitz et al., Biochim Biophys Acta 2000; 1483:285-293)。
【0101】
ヒトEP2受容体における競合結合:
プロスタグランジンEP2受容体競合結合実験は、ポリプロピレン96ウェルマイクロプレートプレートにて結合バッファー(Hepes 50mM、CaCl2 1mM、MgCl2 5mM、pH=7.4)を用いて行った。各ウェルで、10μgのEP2細胞株由来膜(Millipore HTS185M、タンパク質濃度=2000μg/ml)、7.5nM[3H]-プロスタグランジンE2(169.8Ci/mmol、0.1mCi/ml、Perkin Elmer NET428250UC)ならびに供試化合物および標品をインキュベートした。非特異的結合をPGE2 200μM(Cayman 14010)の存在下で決定した。反応混合物(Vt:250μl/ウェル)を25℃で90分間インキュベートし、濾過し、250μlの洗浄バッファー(Hepes 50mM、NaCl 500mM、pH=7.4)で4回洗浄した後に200μLをGF/C96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)に移し、その後、マイクロプレートβシンチレーションカウンター(Microbeta Trilux、PerkinElmer、マドリッド、スペイン)で測定した(Wilson et al., Br J Pharmacol 2006; 148:326-339)。
【0102】
ヒトEP3受容体における競合結合:
プロスタグランジンEP3受容体競合結合実験は、結合バッファー(Tris-HCl 50mM、MgCl2 10mM、EDTA 1mM、pH=7.4)で前処理したマルチスクリーンGF/C96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)にて行った。各ウェルで、5μgのEP3細胞株由来膜(Millipore;HTS092M、タンパク質濃度=2000μg/ml)、1.5nM[3H]-プロスタグランジンE2(169.8Ci/mmol、0.1mCi/ml、Perkin Elmer NET428250UC)ならびに供試化合物および標品をインキュベートした。非特異的結合をPGE2 200μM(Cayman 14010)の存在下で決定した。反応混合物(Vt:250μl/ウェル)を25℃で90分間インキュベートし、濾過し、250μlの洗浄バッファー(Tris-HCl 50mM、pH=7.4)で4回洗浄した後に200μLをGF/C96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)に移し、その後、マイクロプレートβシンチレーションカウンター(Microbeta Trilux、PerkinElmer、マドリッド、スペイン)で測定した (Audoly et al., Mol Pharmacol 1997; 51:61-68)。
【0103】
ヒトEP4受容体における競合結合:
プロスタグランジンEP4受容体競合結合実験は、結合バッファー(Mes 25mM、EDTA 1mM、MgCl2 10mM、pH=6.0)で前処理したマルチスクリーンGF/B96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)で行った。各ウェルで、本発明者らの研究室で調製した35μgのHEK-EP4細胞株由来膜(ロット:A003/27-04-2011、タンパク質濃度=2803μg/ml)、1nM[3H]-プロスタグランジンE2(169.8Ci/mmol、0.1mCi/ml、Perkin Elmer NET428250UC)ならびに供試化合物および標品をインキュベートした。非特異的結合をPGE2 10μM(Cayman 14010)の存在下で測定した。反応混合物(Vt:250μl/ウェル)を25℃で120分間インキュベートし、濾過し、250μlの洗浄バッファー(Mes 25mM、BSA 0.01%、pH=6.0)で6回洗浄した後に200μLをGF/B96ウェルプレート(Millipore、マドリッド、スペイン)に移し、その後、マイクロプレートβシンチレーションカウンター(Microbeta Trilux、PerkinElmer、マドリッド、スペイン)で測定した(Abramovitz et al., Biochim Biophys Acta 2000; 1483:285-293)。
【0104】
阻害定数(Ki)を、Cheng Prusoff式を用いて計算した。
【数1】
式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびKD=受容体に対する放射性リガンドの親和性。スキャッチャードプロットを用いてKDを決定した。
【0105】
本発明の化合物は、受容体EP1およびEP3に対して有意な結合親和性を示さない。
【0106】
表1は、受容体EP2およびEP4に対する本発明のいくつかの化合物のKi値を示す。
Ki範囲:A<0,1μM;0,1μM≦B<1μM;1μM≦C<10μM、D≧10μM
【0107】
【表1-1】
【表1-2】
【0108】
表1に記載の結果から見て取れるように、本発明の化合物は、プロスタグランジンE2のEP4受容体および/またはEP2受容体に強力に結合する。
【0109】
本発明の化合物は、EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善を受け得ることが知られる疾患の治療または予防に有用である。このような疾患は、癌、疼痛、炎症、神経変性疾患(neurodegerative diseases)および腎疾患から選択される。
【0110】
よって、本発明の化合物およびそれらの塩は、EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善を受け得ることが知られる疾患の治療または予防のための薬剤の製造において使用される。
【0111】
よって、本発明の誘導体およびそれらの薬学上許容される塩ならびにこのような化合物および/またはそれらの塩を含む医薬組成物は、EP4受容体および/またはEP2受容体の調節により改善を受け得ることが知られるヒト身体の障害の治療または予防の方法において使用可能であり、前記方法は、そのような治療または予防を必要とする対象に有効量の本発明のN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体またはそれらの薬学上許容される塩を投与することを含む。
【0112】
化合物、薬物または薬理活性剤の「有効量」または「治療上有効な量」は、無毒であるが、その化合物、薬物または薬剤の、所望の効果を得るために十分な量を意味する。「有効な」量は、個々の年齢および健康状態、特定の1または複数の薬剤等によって対象ごとに異なる。よって、正確な「有効量」を特定することが常に可能であるわけではない。しかしながら、個々のケースにおける適当な「有効」量は、慣例の試験を用いて当業者により決定可能である。
【0113】
本発明の化合物の1つの治療的使用は、癌等の増殖性疾患または障害を治療することである。癌は、結腸癌、胃癌、前立腺癌、肺癌、肝細胞癌、腎臓癌および乳癌から選択される。
【0114】
本発明はまた、有効成分としての少なくとも式(I)のN-ベンジル-2-フェノキシベンズアミド誘導体またはそれらの薬学上許容される塩を他の治療薬および担体または希釈剤等の薬学上許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物も提供する。有効成分は、処方物の性質および適用前にさらなる希釈がなされるかどうかによって組成物の0.001~99重量%、好ましくは0.01~90重量%を占め得る。好ましくは、組成物は、経口、局所、鼻腔、直腸、経皮または注射投与に好適な形態で製造される。
【0115】
本発明の組成物を形成するための、有効化合物またはそのような化合物の塩とともに混合される薬学上許容される賦形剤はそれ自体周知であり、使用される実際の賦形剤は、とりわけ、組成物を投与する意図される方法によって決まる。
【0116】
本発明の組成物は好ましくは、注射および経口投与に適合される。この場合、経口投与用の組成物は、全て本発明の化合物を含有する錠剤、徐放性錠剤、舌下錠、カプセル剤、吸入エアロゾル、吸入溶液、ドライパウダー吸入、または液体製剤、例えば、混合剤、エリキシル剤、シロップ剤または懸濁剤の形態を採ってよく、このような製剤は当技術分野で周知の方法によって製造され得る。
【0117】
組成物の製造において使用可能な希釈剤としては、所望により着色剤または香味剤とともに、有効成分と適合する液体および固体希釈剤を含む。錠剤またはカプセル剤は、好都合には、2~500mgの有効成分または等価量のその塩を含有し得る。
【0118】
経口使用に適合した液体組成物は、溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液は、例えばスクロースと組み合わせてシロップを形成する有効化合物の可溶性塩またはその他の誘導体の水溶液であり得る。これらの懸濁液は、沈殿防止剤または香味剤とともに水と組み合わせて不溶性の本発明の有効化合物またはその薬学上許容される塩を含んでなり得る。
【0119】
非経口注射用の組成物は、凍結乾燥されていてもされていなくてもよく、発熱物質不含水性媒体またはその他の適当な非経口注射液に溶解可能な可溶性塩から調製され得る。
【0120】
有効用量は通常、1日当たり2~2000mgの有効成分の範囲である。1日用量は、1日に1回以上の処置、好ましくは1~4回の処置で投与され得る。
【0121】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。以下は例として示すものであり、本発明の範囲を何ら限定しない。
【実施例
【0122】
概要 試薬、溶媒および出発生成物は商業ソースから取得した。「濃縮」と言う用語は、ビュッヒロータリーエバポレーターを用いた真空蒸発を指す。示されている場合には、反応生成物は、示された溶媒系を用いてシリカゲル(40~63μm)での「フラッシュ」クロマトグラフィーにより精製した。分光分析データはVarian Mescury 400分光計で測定した。融点はビュッヒ535機で測定した。HPLC-MSは、Gilson 321ピストンポンプ、Gilson 864真空脱気装置、Gilson 189インジェクションモジュール、1/1000 Gilsonスプリッター、Gilson 307ポンプ、Gilson 170検出器、およびThermoquest Fennigan aQa検出器を備えたGilson機で行った。
【0123】
中間体1:4-(アジドメチル)-3-フルオロ安息香酸メチル
【化4】
DMF(1.0mL)中、4-(ブロモメチル)-3-フルオロ安息香酸メチル(100mg、1.0当量)およびアジ化ナトリウム(29mg、1.2当量)の溶液を80℃で90分間撹拌した。冷却されたところで、この反応物をブライン(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機溶液を水(25mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。所望のアジドを淡黄色の液体として得(定量的)、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.82 (dd, 1H), 7.74 (dd, 1H), 7.64 (t, 1H), 4.62 (s, 2H), 3.87 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 2.65 m/z 182.0 (MH+)
【0124】
中間体2:4-(アミノメチル)-3-フルオロ安息香酸メチル
【化5】
THF(2mL)中、4-(アジドメチル)-3-フルオロ安息香酸メチル(110mg、1.0当量)、トリフェニルホスフィン(189mg、1.2当量)および水(0.9mL)の溶液を室温で20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール、30:1)により精製し、4-(アミノメチル)-3-フルオロ安息香酸メチルを黄色の蝋状物質として得た(70mg、収率63.7%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.78 (dd, 1H), 7.67 (t, 1H), 7.61 (dd, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.80 (s, 2H), 1.96 (s, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.63 m/z 184.1 (MH+)
【0125】
中間体-3:4-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボン酸メチル
【化6】
メタノール(1mL)中、4-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボン酸(200.0mg、0.93mmol)の溶液に、触媒量のHSOを加え、この反応物を70℃で一晩撹拌した。この溶液を水と酢酸エチルとで分液し、有機層を飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、中間体1を油状物として得た(167.0mg、76.0%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.09 (dd, 1H), 7.96 (ddd, 1H), 7.68 (d, 2H), 7.46 (m, 2H), 3.89 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.337 m/z 231.0 (MH+)
【0126】
以下の中間体を、中間体3に関して記載した手順を用いて合成した:
中間体4:5-ブロモ-2-フルオロ安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.98 (dd, 1H), 7.87 (m, 1H), 7.37 (dd, 1H), 3.86 (s, 3H)
【0127】
中間体5:5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)安息香酸メチル
【化7】
N,N-ジメチルホルムアミド中、4-フルオロフェノール(481.0mg、4.29mmol)および水素化ナトリウム(171.6mg、4.29mmol)の撹拌溶液に、N,N-ジメチルホルムアミド中、5-ブロモ-2-フルオロ安息香酸メチル(1000mg、4.29mmol)の溶液を加えた。この溶液を120℃で加熱し、16時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、標題化合物をやや黄色の油状物として得た(1028.3mg、73.7%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.95 (d, 1H), 7.75 (dd, 1H), 7.22 (m, 2H), 7.04 (m, 2H), 6.95 (d, 1H), 3.75 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.602 m/z 326.9 (MH+)
【0128】
以下の中間体を中間体5に関して記載した手順ならびに対応するメチルエステルおよび4-フルオロフェノールを用いて合成した:
中間体6:4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボン酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.07 (d, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.68 (d, 2H), 7.49 (t, 2H), 7.39 (t, 1H), 7.23 (t, 2H), 7.10 (s, 1H), 7.06 (m, 2H), 3.77 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 5.948 m/z 323.0 (MH+)
【0129】
中間体7:5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)安息香酸
【化8】
メタノール(8mL)およびTHF(8mL)中、5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)安息香酸メチル(1101.3mg、3.39mmol)の溶液に、2M NaOH(8.5mL、16.94mmol)を加え、この混合物を室温で3時間撹拌した。この溶液を水(15mL)で希釈し、pH値を1M HClの添加により4.0に調整した。この混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して白色固体を得、これをペンタンで洗浄した(823.5mg、78.1%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.24 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.72 (d, 1H), 7.21 (t, 2H), 7.01 (s, 2H), 6.94 (d, 1H)
HPLC-MS: Rt 3.087 m/z 312.9 (MH+)
【0130】
以下の中間体を、中間体7に関して記載した手順および対応するメチルエステルを用いて合成した:
中間体8:4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボン酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.04 (s, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.84 (dd, 1H), 7.68 (d, 2H), 7.48 (t, 2H), 7.39 (t, 1H), 7.22 (t, 2H), 7.04 (m, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.435 m/z 309.0 (MH+)
【0131】
中間体9:4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボン酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.09 (s, 1H), 8.13 (d, 1H), 7.95 (m, 4H), 7.72 (m, 2H), 7.23 (m, 2H), 7.05 (m, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.20 m/z 377.0 (MH+)
【0132】
中間体10:4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
【化9】
無水DCM(15mL)中、5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)安息香酸(600mg、1.93mmol)の溶液に、HATU(880.0mg、2.30mmol)およびDIPEA(1.31mL、7.71mmol)を加えた。反応物をN下、室温で、15分間撹拌した後、4-(アミノメチル)安息香酸メチル塩酸塩(466.7mg、2.30mmol)を加え、この反応物を室温で一晩撹拌した。20mLのHOを加えた後、水相をDCM3×20mLで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、白色固体を得た(728.5mg、82.4%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.97 (t, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.79 (d, 1H), 7.63 (dd, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.24 (t, 2H), 7.11 (dd, 2H), 6.86 (d, 1H), 4.51 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.523 m/z 459.0 (MH+)
【0133】
以下の中間体を、中間体10に関して記載した手順および対応する化学試薬または誘導体を用いて合成した:
中間体11:(R)-4-(1-(5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)エチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.89 (d, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.69 (d, 1H), 7.62 (dd, 1H), 7.45 (d, 2H), 7.22 (t, 2H), 7.07 (m, 2H), 6.89 (d, 1H), 5.08 (p, 1H), 3.83 (s, 3H), 1.38 (d, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.21 m/z 473.9 (MH+)
【0134】
中間体12:4-(1-(5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)シクロプロピル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.13 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.76 (d, 2H), 7.65 (dd, 1H), 7.24 (m, 4H), 7.08 (m, 2H), 6.95 (d, 1H), 3.82 (s, 3H), 1.28 (m, 2H), 1.21 (m, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.18 m/z 485.9 (MH+)
【0135】
中間体13:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.96 (t, 1H), 7.93 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.76 (dd, 1H), 7.68 (d, 2H), 7.48 (t, 2H), 7.39 (m, 3H), 7.25 (t, 2H), 7.13 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.84 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.843 m/z 456.1 (MH+)
【0136】
中間体14:4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸
THF(2.0mL)およびメタノール(2.0mL)中、4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル(200mg、1.0当量)の溶液に、NaOH(2M)(1.1mL、5.0当量))を加え、この混合物を室温で20時間撹拌した。水(10mL)で希釈した後、この混合物をHCl水溶液で中和し、濾過し、水およびペンタンで洗浄し、酸を白色固体として得た(176mg、収率90.9%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ =12.88 (s, 1H), 8.98 (t, 1H), 7.82 (m, 3H), 7.63 (dd, 1H), 7.32 (m, 2H), 7.24 (m, 2H), 7.12 (m, 2H), 6.86 (d, 1H), 4.49 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.26 m/z 444.0 (MH+)
【0137】
中間体15:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
【化10】
ジオキサン、ピリジン-4-ボロン酸(37.6mg、0.31mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(7.5mg、0.009mmol)中、4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル(70.0mg、0.15mmol)の溶液に、2M CsCO(0.23mL、0.46mmol)を加えた。この混合物をNで脱気し、100℃で一晩撹拌した。次に、この反応物をセライトで濾過し、酢酸エチルで抽出した。有機画分を1M NaOH、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 1:1)を用いて精製した。溶媒を除去して生成物を白色固体として得、これをペンタン/ジエチルエーテルで洗浄した(44.7mg、65.3%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.65 (d, 2H), 8.08 (d, 1H), 7.89 (m, 3H), 7.75 (d, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.17 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.56 (d, 2H), 3.84 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 4.875 m/z 457.1 (MH+)
【0138】
以下の中間体を、対応する化学試薬または誘導体を用い、中間体15に関して記載した手順を用いて合成した:
中間体16:4-((4’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.99 (t, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.74 (m, 3H), 7.51 (t, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.25 (t, 2H), 7.12 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 6.203 m/z 490.1 (MH+)
【0139】
中間体17:4-((4’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.98 (s, 1H), 7.86 (m, 3H), 7.72 (s, 3H), 7.37 (m, 2H), 7.27 (m, 4H), 7.12 (s, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.53 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.945 m/z 474.1 (MH+)
【0140】
中間体18:4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.99 (s, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.80 (dd, 1H), 7.53 (t, 3H), 7.40 (d, 2H), 7.24 (dd, 3H), 7.13 (dd, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.963 m/z 474.1 (MH+)
【0141】
中間体19:4-((2’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.99 (s, 1H), 7.85 (d, 3H), 7.64 (d, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.40 (d, 3H), 7.30 (m, 4H), 7.17 (s, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.936 m/z 474.1 (MH+)
【0142】
中間体20:4-((4’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01 (t, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.93 (m, 4H), 7.85 (m, 3H), 7.41 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.16 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.649 m/z 481.1 (MH+)
【0143】
中間体21:4-((3’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.04 (dd, 2H), 7.85 (t, 4H), 7.68 (t, 1H), 7.41 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.15 (dd, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.84 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.668 m/z 481.1 (MH+)
【0144】
中間体22:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-フルオロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.03 (t, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.51 (d,1H), 7.97 (s, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.77 (d, 1H), 7.68 (dd, 1H), 7.42 (d, 2H), 7.29 (dd, 2H), 7.20 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.56 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.199 m/z 475.1 (MH+)
【0145】
中間体23:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-3-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t,1H), 8.92 (d, 1H), 8.58 (dd, 1H), 8.11 (m, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.84 (m, 3H), 7.50 (dd, 1H), 7.41 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.14 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.015 m/z 457.1 (MH+)
【0146】
中間体24:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-クロロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.02 (t, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.64 (dd, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.42 (d, 2H), 7.30 (t, 2H), 7.21 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.378 m/z 491.1 (MH+)
【0147】
中間体25:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.18 (m, 3H), 9.02 (t, 1H), 8.08 (d, 1H), 7.88 (m, 3H), 7.42 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.04 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 4.715 m/z 458.1 (MH+)
【0148】
中間体26:4-((3’,4’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.98 (t, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.81 (m, 4H), 7.53 (m, 2H), 7.40 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.13 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.977 m/z 492.1 (MH+)
【0149】
中間体27:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-4’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.02 (t, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.84 (m, 5H), 7.41 (d, 2H), 7.27 (dd, 2H), 7.16 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 6.223 m/z 524.1 (MH+)
【0150】
中間体28:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.01 (m, 3H), 7.85 (d, 3H), 7.71 (m, 2H), 7.40 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.15 (dd, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 6.199 m/z 524.1 (MH+)
【0151】
中間体29:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(チオフェン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.99 (t, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.74 (dd, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.52(d, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.25 (t, 2H), 7.13 (m, 3H), 6.95 (d, 1H), 4.52 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.21 m/z 462.1 (MH+)
【0152】
中間体30:4-((3’,5’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.84 (m, 3H), 7.48 (m, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.25 (m, 3H), 7.14 (m, 2H), 6.97 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.31 m/z 492.21 (MH+)
【0153】
中間体31:4-((3’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.99 (t, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.80 (dd,1H), 7.76 (m, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.43 (m, 3H), 7.25 (m, 2H), 7.14(m, 2H), 6.87 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.41 m/z 490.16 (MH+)
【0154】
中間体32:4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-5’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01 (t, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.88 (m, 4H), 7.67 (d, 1H), 7.41 (d, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.48 m/z 542.21 (MH+)
【0155】
中間体33:4-((3’-シアノ-5’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 8.00 (m, 1H), 7.88 (m, 4H), 7.42 (d, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.13 m/z 499.21 (MH+)
【0156】
中間体34:4-((3’-クロロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.16 (t, 1H), 8.05 (m, 2H), 7.87 (m, 3H), 7.42 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.84 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.26 m/z 515.1 (MH+)
【0157】
中間体35:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.83 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 7.82 (m, 4H), 7.62 (m, 2H), 7.36 (dd, 2H), 7.24 (m, 2H), 7.12 (m, 2H), 6.86 (d, 1H), 4.50 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 2.03 m/z 446.0 (MH+)
【0158】
中間体36:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.92 (t, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.84 (m, 4H), 7.64 (dd, 1H), 7.37 (d, 2H), 7.21 (m, 2H), 7.06 (m, 2H), 6.93 (d, 1H), 4.51 (d, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 2.70 m/z 460.2 (MH+)
【0159】
中間体37:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01 (t, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.77 (d, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.40 (d, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.17 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 6.43 (d, 1H), 4.54 (d, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 2.73 m/z 460.13 (MH+)
【0160】
中間体38:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(ピリジン-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.66 (dd, 2H), 8.06 (m, 2H), 7.85 (m, 7H), 7.63 (t, 1H), 7.40 (d, 2H), 7.25 (m, 2H), 7.14 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.06 m/z 533.2 (MH+)
【0161】
中間体39:4-((5-(5-シアノフラン-2-イル)-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.02 (t, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.87 (m, 3H), 7.42 (m, 3H), 7.28 (m, 4H), 7.18 (m, 2H), 6.97 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.08 m/z 471.1 (MH+)
【0162】
中間体40:3-フルオロ-4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01 (t, 1H), 8.01 (m, 2H), 7.86 (dd, 1H), 7.74 (dd, 2H), 7.67 (m, 2H), 7.44 (t, 1H), 7.25 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.55 (d, 2H), 3.85 (s, 3H)
【0163】
中間体41:(R)-4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)エチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.89 (d, 1H), 8.01 (m, 2H), 7.91 (d, 1H), 7.84 (m, 3H), 7.72 (m, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.24 (t, 2H), 7.11 (m, 2H), 7.03 (d, 1H), 5.14 (p, 1H), 3.83 (s, 3H), 1.41 (d, 3H)
HPLC-MS: Rt 3.51 m/z 538.0 (MH+)
【0164】
中間体42:4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.13 (s, 1H), 8.04 (d, 2H), 7.96 (d, 1H), 7.86 (dd, 1H), 7.75 (m, 4H), 7.27 (m, 4H), 7.13 (dd, 2H), 7.09 (d, 1H), 3.82 (s, 3H), 1.32 (t, 2H), 1.25 (t, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.48 m/z 550.0 (MH+)
【0165】
中間体43:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
乾燥ジオキサン(1.5mL)中、4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル(100.0mg、0.22mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15.1mg、0.013mmol)の溶液に、2-(トリブチルスタンニル)ピリジン(113.4mg、0.26mmol)を加えた。この混合物をNでパージし、室温で2日間撹拌した。この反応物を酢酸エチルで希釈し、2M NaOHで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 1:1)により精製し、白色固体を得た。生成物をペンタン/ジエチルエーテルで洗浄した(40.3mg、40.5%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.00 (t, 1H), 8.66 (d, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.16 (dd, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.36 (dd, 1H), 7.27 (t, 2H), 7.17 (dd, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.56 (d, 2H), 3.84 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 5.308 m/z 457.1 (MH+)
【0166】
以下の中間体を、中間体43および対応する化学試薬または誘導体に関して記載した手順を用いて合成した:
中間体44:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.24 (d, 1H), 9.04 (t, 1H), 8.86 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.29 (dd, 1H), 8.12 (dd, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.44 (d, 2H), 7.30 (m, 2H), 7.22 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.57 (d, 2H), 3.83 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 4.890 m/z 458.1 (MH+)
【0167】
実施例1:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
【化11】
メタノール(0.5mL)およびTHF(0.5mL)中、4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸メチル(35.0mg、0.077mmol)の溶液に、2M NaOH(0.19mL、0.38mmol)を加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。この溶液を水(15mL)で希釈し、pH値を1M HClの添加により4.0に調整し、沈澱を濾過し、ペンタンで洗浄した(27.8mg、82.0%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.85 (s, 1H), 9.01 (t, 1H), 8.64 (d, 2H), 8.07 (d, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.74 (d, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.17 (dd, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.55 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.362 m/z 443.1 (MH+)
【0168】
以下の中間体を、実施例1に関して記載した手順および対応する化学試薬または誘導体を用いて合成した:
実施例2:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.84 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 7.93 (d, 1H), 7.83 (d, 2H), 7.76 (dd, 1H), 7.68 (d, 2H), 7.48 (t, 2H), 7.38 (t, 3H), 7.25 (t, 2H), 7.13 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.867 m/z 442.1 (MH+)
【0169】
実施例3:4-((4’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.97 (t, 1H), 7.93 (d, 1H), 7.83 (d, 2H), 7.75 (m, 3H), 7.53 (d, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.13 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 4.221 m/z 476.0 (MH+)
【0170】
実施例4:4-((4’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.87 (s, 1H), 8.97 (t, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.83 (d, 2H), 7.73 (m, 3H), 7.36 (d, 2H), 7.29 (m, 4H), 7.12 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 4.029 m/z 460.1 (MH+)
【0171】
実施例5:4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.98 (t, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.81 (m, 3H), 7.53 (m, 3H), 7.37 (d, 2H), 7.22 (m, 3H), 7.14 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 4.033 m/z 460.1 (MH+)
【0172】
実施例6:4-((2’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.87 (s, 1H), 8.98 (s, 1H), 7.83 (s, 3H), 7.64 (d, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.34 (m, 7H), 7.18 (s, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.001 m/z 460.1 (MH+)
【0173】
実施例7:4-((4’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.91 (m, 4H), 7.84 (d, 3H), 7.38 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.16 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.864 m/z 467.1 (MH+)
【0174】
実施例8:4-((3’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.04 (dd, 2H), 7.84 (d, 4H), 7.68 (t, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.15 (dd, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.860 m/z 467.1 (MH+)
【0175】
実施例9:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-フルオロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.01 (t,1H), 8.67 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.77 (d, 1H), 7.68 (dd, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.29 (t, 2H), 7.20 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.55 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.495 m/z 461.1 (MH+)
【0176】
実施例10:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-3-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.92 (d, 1H), 8.58 (dd, 1H), 8.11 (m, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.83 (m, 3H), 7.50 (dd, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.390 m/z 443.1 (MH+)
【0177】
実施例11:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(3-クロロピリジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.01 (t, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 7.83 (dd, 3H), 7.64 (dd, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.30 (t, 2H), 7.21 (dd, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.624 m/z 477.0 (MH+)
【0178】
実施例12:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.17 (m, 3H), 9.01 (t, 1H), 8.08 (d, 1H), 7.88 (m, 3H), 7.42 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.04 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.147 m/z 444.1 (MH+)
【0179】
実施例13:4-((3’,4’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.89 (s, 1H), 8.97 (t, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.79 (m, 4H), 7.54 (m, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.26 (t, 2H), 7.13 (dd, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 4.084 m/z 478.1 (MH+)
【0180】
実施例14:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-4’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.83 (dd, 5H), 7.38 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.16 (m, 2H), 7.02 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.53 m/z 510.57 (MH+)
【0181】
実施例15:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = δ = 12.88 (s, 1H), 9.01 (t, 1H), 8.01 (dd, 3H), 7.84 (dd, 3H), 7.72 (q, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.60 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.47 m/z 510.51 (MH+)
【0182】
実施例16:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.16 (dd, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.89 (m, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.35 (m, 1H), 7.27 (t, 2H), 7.17 (dd, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.55 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.502 m/z 433.1 (MH+)
【0183】
実施例17:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(ピリミジン-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.24 (d, 1H), 9.03 (t, 1H), 8.86 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.28 (dd, 1H), 8.12 (dd, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.30 (m, 2H), 7.22 (dd, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.56 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 3.243 m/z 444.1 (MH+)
【0184】
実施例18:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(チオフェン-2-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.98 (t, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.82 (dd, 2H), 7.73 (dd, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.35 (, 2H), 7.24 (t, 2H), 7.12 (m, 3H), 6.96 (d, 1H), 4.52 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.18 m/z 448.1 (MH+)
【0185】
実施例19:4-((3’,5’-ジフルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.87 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.83 dd, 3H), 7.49 (m, 2H), 7.38 (d, 2H), 7.25 (m, 3H), 7.14 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.30 m/z 478.17 (MH+)
【0186】
実施例20:4-((3’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 7.97 (d, 1H), 7.80 (m, 4H), 7.68 (d, 1H), 7.51 (t, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.55 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.86 m/z 476.13 (MH+)
【0187】
実施例21:4-((3’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-5’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.89 (s, 1H), 9.01 (t, 1H), 8.08 (d, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.90 (m, 2H), 7.84 (d, 2H), 7.70 (d, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.28 (m, 2H), 7.17 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.56 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.46 m/z 528.19 (MH+)
【0188】
実施例22:4-((3’-カルバモイル-5’-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ =12.89 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.05 (d, 1H), 7.94 (m, 1H), 7.88 (m, 1H), 7.84 (m, 2H), 7.63 (s, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.96 m/z 519.07 (MH+)
【0189】
実施例23:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.96 (s, 1H), 8.90 (t, 1H), 8.09 (s, 2H), 7.85 (d, 1H), 7.81 (m, 2H), 7.69 (dd, 1H), 7.33 (m, 2H), 7.22 (m, 2H), 7.06 (m, 2H), 6.94 (d, 1H), 4.49 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.06 m/z 432.1 (MH+)
【0190】
実施例24:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 8.91 (t, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.81 (m, 3H), 7.64 (dd, 1H), 7.33 (d, 2H), 7.22 (m, 2H), 7.06 (m, 2H), 6.94 (d, 1H), 4.50 (d, 2H), 3.86 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 1.78 m/z 446.10 (MH+)
【0191】
実施例25:4-((2-(4-フルオロフェノキシ)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 7.83 (d, 2H), 7.77 (d, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.37 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.17 (m, 2H), 6.98 (d, 1H), 6.43 (t, 1H), 4.53 (d, 2H), 3.86 (s, 3H)
HPLC-MS: Rt 1.82 m/z 446.10 (MH+)
【0192】
実施例26:4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(ピリジン-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 1H), 9.02 (t, 1H), 8.92 (d, 1H), 8.38 (d, 2H), 8.25 (s, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.83 (d, 2H), 7.71 (t, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.04 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.15 m/z 519.2 (MH+)
【0193】
実施例27:4-((5-(5-カルバモイルフラン-2-イル)-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.89 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 8.17 (t, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.94 (m, 2H), 7.45 (s, 2H), 7.37 (t, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.13 (m, 3H), 6.99 (d, 1H), 4.53 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.74 m/z 475.0 (MH+)
【0194】
実施例28:3-フルオロ-4-((4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.26 (s, 1H), 9.00 (t, 1H), 8.00 (m, 3H), 7.86 (dd, 1H), 7.73 (m, 2H), 7.63 (m, 2H), 7.41 (t, 1H), 7.26 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.00 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 1.54 m/z 528.0 (MH+)
【0195】
実施例29:(R)-4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)エチル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.86 (s, 1H), 8.88 (d, 1H), 8.06 (m, 2H), 7.90 (t, 1H), 7.84 (dd, 3H), 7.72 (q, 2H), 7.45 (d, 2H), 7.25 (t, 2H), 7.12 (m, 2H), 7.03 (d, 1H), 5.13 (p, 1H), 1.40 (t, 3H)
HPLC-MS: Rt 2.45 m/z 524.0 (MH+)
【0196】
実施例30:4-(1-(4-(4-フルオロフェノキシ)-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.09 (s, 1H), 8.04 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.73 (d, 4H), 7.27 (t, 2H), 7.18 (d, 2H), 7.13 (dd, 2H), 7.08 (d, 1H), 1.27 (t, 2H), 1.22 (t, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.79 m/z 536.0 (MH+)
【0197】
実施例31:4-((3’-フルオロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
【化12】
DMF(1.2mL)中、4-((5-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)ベンズアミド)メチル)安息香酸(80mg、1.0当量)および(3-シアノ-5-フルオロフェニル)ボロン酸(59mg、2.0当量)の溶液に、2M Cs2CO3(0.27mL、3.0当量)およびPd(dppf)Cl2・DCM(9mg、0.06当量)を窒素雰囲気下で加えた。110℃で20時間撹拌した後、混合物をセライトで濾過し、酢酸エチル(20mL)ですすいだ。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)により精製し、酸IV-484-536を白色固体として得た(22mg、収率25.2%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.86 (s, 1H), 8.99 (t, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.07 (d, 2H), 8.01 (dd, 1H), 7.89 (dd, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.16 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.23 m/z 485.1 (MH+)
【0198】
実施例32:4-((3’-クロロ-5’-シアノ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド)メチル)安息香酸
【化13】
THF(1.0mL)中、4-((3’-シアノ-5’-フルオロ-4-(4-フルオロフェノキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イルカルボキサミド)メチル)安息香酸メチル(100mg、1.0当量)の溶液に、HCl(4M)(3.0mL)を加え、この混合物を80℃で46時間撹拌した。水(5mL)で希釈した後、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)により精製し、酸を白色固体として得た(18mg、収率18.6%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.87 (s, 1H), 8.98 (t, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.16 (t, 1H), 8.07 (d, 1H), 8.03 (m, 1H), 7.89 (dd, 1H), 7.84 (d, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.16 (m, 2H), 6.99 (d, 1H), 4.54 (d, 2H)
HPLC-MS: Rt 2.34 m/z 501.1 (MH+)