(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】マイクロプラスチック・クリーニング、回収、および自律型濾過
(51)【国際特許分類】
B63B 35/32 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B63B35/32 Z
B63B35/32 C
(21)【出願番号】P 2022532771
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2020060845
(87)【国際公開番号】W WO2021116797
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】マクドナー、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ジモン、マウゴジャータ、ヤドビガ
(72)【発明者】
【氏名】オ コンチュア、ブリアンダン
(72)【発明者】
【氏名】マンソン-ソーコ、ロバート
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0109691(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0185618(US,A1)
【文献】特開2012-007524(JP,A)
【文献】中国実用新案第209162779(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109655321(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0266200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収するための装置であって、前記装置は、
前記マイクロプラスチックを含む水が通るクリーニング・チャンバと、
マイクロバブルを生成するように構成されたトランスデューサであって、生成されるマイクロバブルのサイズは前記クリーニング・チャンバを通って流れるマイクロプラスチックをマイクロバブルにクリーニングさせるようなサイズである、トランスデューサと、
前記クリーニング・チャンバの上方に配置され、前記マイクロプラスチックを回収するように動作可能なマイクロプラスチック回収デバイスを備える、フィルタ・チャンバと
を備える、装置。
【請求項2】
前記トランスデューサは、超音波トランスデューサである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クリーニング・チャンバは、水および海洋生物が濾過されずに出て行けるように構成され、且つ前記フィルタ・チャンバは、クリーニング済みの浮揚性マイクロプラスチックを回収するように構成されており、前記フィルタ・チャンバは水が出て行けるものである一方、前記クリーニング済みの浮揚性マイクロプラスチックを保持するためのフィルタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記水環境の表面で浮遊するように構成されたドックに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、自航式サブマーシブル・ドックに配置されており、前記自航式サブマーシブル・ドックが前記水環境で移動すると、水が前記水環境から前記クリーニング・チャンバを通って流れるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収する方法であって、
前記マイクロプラスチックを含む水を前記水環境からクリーニング・チャンバを通して流すことと、
トランスデューサを用いて、前記クリーニング・チャンバ中にマイクロバブルを生成することと、
前記マイクロバブルによってクリーニングされたマイクロプラスチックを、マイクロプラスチック回収デバイスを用いて前記クリーニング・チャンバの上部から回収することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記トランスデューサは、超音波トランスデューサである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クリーニング・チャンバは、水および海洋生物が濾過されずに出て行けるように構成され、且
つフィルタ・チャンバは、クリーニング済みの浮揚性マイクロプラスチックを回収するように構成されており、前記フィルタ・チャンバは水が出て行けるものである一方、前記クリーニング済みの浮揚性マイクロプラスチックを保持するためのフィルタを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記クリーニング・チャンバ、前記トランスデューサ、および前記マイクロプラスチック回収デバイスは、装置の一部であり、前記装置は、前記水環境の表面で浮遊するように構成されたドックに取り付けられている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記クリーニング・チャンバ、前記トランスデューサ、および前記マイクロプラスチック回収デバイスは、装置の一部であり、前記装置は、自航式サブマーシブル・ドックに配置されており、前記自航式サブマーシブル・ドックが前記水環境で移動すると、水が前記水環境から前記クリーニング・チャンバを通って流れるように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
(a)外部データおよびシミュレーション結果を中央コントローラで受信することと、
(b)地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度に関するデータを複数のリモート・デバイスから受信することと、
(c)地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度を少なくとも1つの前記リモート・デバイス上で収集することと、
(d)マイクロプラスチックの確からしい位置および濃度のローカル・モデルを前記地域環境条件および前記実際のマイクロプラスチック濃度を用いて再トレーニングすることと、
(e)前記再トレーニングされたモデルを適用することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記中央コントローラは、前記ローカル・モデルに基づいてどこで動作すべきかを判定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ローカル・モデルは、普遍クリギングに基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
サーバによって実行可能なコンピュータ・プログラムであって、前記サーバに、
請求項11に記載の方法のステップ(a)乃至(e)を実行させる、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロプラスチック・クリーニングおよび回収、ならびに自律型濾過に関し、より具体的にはマイクロプラスチックをクリーニングして回収することおよびマイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングすることに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、マイクロプラスチックをクリーニングして回収し、マイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングするための装置、方法、およびコンピュータ・プログラム製品を提供する。装置は、マイクロプラスチックを含む水が通るクリーニング・チャンバを含んでよい。装置は、マイクロバブルを生成するように構成されたトランスデューサも含んでよく、マイクロバブルのサイズは、クリーニング・チャンバを通って流れるマイクロプラスチックをマイクロバブルにクリーニングさせるようなサイズである。装置は、クリーニング・チャンバの上方に位置するフィルタ・チャンバも含んでよく、フィルタ・チャンバは、マイクロプラスチックを回収するように動作可能なマイクロプラスチック回収デバイスを含む。
【0003】
マイクロプラスチックをクリーニングして回収し、マイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングするための方法は、マイクロプラスチックを含む水を水環境からクリーニング・チャンバを通して流すことを含んでよい。方法は、トランスデューサを用いて、クリーニング・チャンバ中にマイクロバブルを生成することも含んでよい。方法は、マイクロバブルによってクリーニングされたマイクロプラスチックを、マイクロプラスチック回収デバイスを用いてクリーニング・チャンバの上部から回収することも含んでよい。
【0004】
マイクロプラスチックをクリーニングして回収し、マイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングするためのコンピュータ・プログラム製品は、方法を行うように構成されてよく、方法は、外部データおよびシミュレーション結果を中央コントローラで受信することを含む。方法は、地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度に関するデータを複数のリモート・デバイスから受信することも含んでよい。方法は、マイクロバブルをクリーニング・チャンバ中で生成することも含んでよい。方法は、地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度を少なくとも1つのリモート・デバイス上で収集することも含んでよい。方法は、マイクロプラスチックの確からしい位置および濃度のローカル・モデルを地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度を用いて再トレーニングすることも含んでよい。方法は、再トレーニングされたモデルを適用することも含んでよい。
【0005】
上記概要は、本発明の各示された実施形態またはあらゆる実装を記載することは意図されない。
【0006】
本出願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれてその一部を成す。それらは、本発明の実施形態を示し、記載と併せて、本発明の原理を説明する役割を果たす。図面は、いくつかの実施形態の説明に役立つに過ぎず、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収するための装置の概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収するための方法のフロー図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収するための装置の概略図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、マイクロプラスチック・クリーニング・システムのブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、サンプル・コンピュータ・システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、様々な修正および代わりの形態に堪えるが、それらの細部が図面に例示されて、詳細に記載されることになろう。しかしながら、本発明を記載される特定の実施形態に限定することは意図されないことが理解されるべきである。逆に、本発明の範囲内にあるすべての修正、均等物、および選択肢をカバーすることが意図される。
【0009】
本発明は、マイクロプラスチック・クリーニングおよび回収、ならびに自律型濾過に関し、より具体的にはマイクロプラスチックをクリーニングして回収することおよびマイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングすることに関する。本発明は、かかる用途には必ずしも限定されないが、この文脈を用いた様々な例の考察を通して本発明の様々な態様が認識されてよい。
【0010】
プラスチックは、現代社会のなかで広く用いられており、海洋、海、および川における主要な汚染物質となった。このタイプの汚染の例は、1.8兆個のプラスチック片を保持し、重さが79キロトンあり、1.6百万平方キロメートルの面積にわたって浮遊すると推定された太平洋ごみベルトである。プラスチック片の長い分解時間および関連する毒性効果に起因して、水界および海洋生態系に、ならびに人の健康もしくは安全性またはその両方に多大な影響がある。クリーンアップ・オペレーションが困難であり、現在の汚染クリーンアップ技術は、影響を受ける広い面積および潜在的な堆積現場からの距離ゆえに苦戦する。
【0011】
マイクロプラスチックは、所与のサイズより小さく、しばしば肉眼では見えない任意の種類のプラスチックであってよい。より具体的には、マイクロプラスチックは、米国海洋大気庁によって定義されるように、直径が5ミリメートル(mm)未満の粒子であってよい。最近の推定によれば、マイクロプラスチックは、海洋プラスチック汚染の約8%を構成し、より大きいプラスチック片に比べてそれらのサイズが小さく、浮揚性が低いために深刻な脅威をもたらす。
【0012】
マイクロプラスチックはサイズが小さいため、マイクロプラスチックが生体の体内および組織内に摂取され、取り込まれる確率を増加させかねない。研究によれば、魚類中に、そして最近になって人糞便中にマイクロプラスチックが存在することが示されている。加えて、バイオファウリング(すなわち、藻類、バクテリア、微生物などのような生物学的粒子の蓄積によるファウリング)などのメカニズムに起因してマイクロプラスチックの浮揚性が減少するため、これらのバイオファウリングが生じたプラスチックは海洋表面付近のオペレーションではもはや回収不可能であり、さらにはいずれのクリーンアップ努力も阻害することになる。さらに、マイクロプラスチックの量が過去40年にわたって2桁増加した可能性があり、マイクロプラスチック(例えば、例として5mmより大きい直径をもつ、プラスチック粒子)の増加および崩壊におそらく起因して、問題が悪化していることを示唆する。
【0013】
本発明は、マイクロプラスチックをクリーニングして回収し、マイクロプラスチック自律型濾過についてワークフローをモデリングするための装置、方法、およびコンピュータ・プログラム製品を提供する。本発明の実施形態は、水環境中のマイクロプラスチックをクリーニングして回収する方法であって、マイクロプラスチックを含む水を水環境からクリーニング・チャンバを通して流すことと、クリーニング・チャンバを通って流れるマイクロプラスチックをトランスデューサによって生成されたマイクロバブルを用いてクリーニングすることと、マイクロプラスチックをマイクロプラスチック回収デバイスを用いてクリーニング・チャンバの上部から回収することとを含む、方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態は、さらに、外部データおよびシミュレーション結果を中央制御で受信することと、地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度に関するデータを複数のリモート・デバイスから受信することであって、リモート・デバイスがクリーニング・チャンバ、トランスデューサおよびマイクロプラスチック回収デバイスを含む、受信することと、リモート・デバイスの少なくとも1つが地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度を収集することと、マイクロプラスチックの確からしい位置および濃度のローカル・モデルを再トレーニングすることと、再トレーニングされたモデルを適用することとをさらに含む、上記の方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態は、水環境中のマイクロプラスチックのクリーニングおよび回収を管理するためのコンピュータ・プログラム製品も提供してよく、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令を具現化するコンピュータ可読ストレージ媒体を含み、プログラム命令はコンピュータによって実行可能であって、コンピュータに、外部データおよびシミュレーション結果を中央制御装置で受信して、地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度に関するデータを複数のリモート・デバイスから受信することを行わせ、リモート・デバイスは、マイクロプラスチックを含む水が水環境から通るクリーニング・チャンバ、クリーニング・チャンバを通って流れるマイクロプラスチックをクリーニングするためのマイクロバブルを生成するトランスデューサ、およびマイクロプラスチックをマイクロプラスチック回収デバイスを用いてクリーニング・チャンバの上部から回収するためのマイクロプラスチック回収デバイスを含み、リモート・デバイスの少なくとも1つは、地域環境条件および実際のマイクロプラスチック濃度を収集し、マイクロプラスチックの確からしい位置および濃度のローカル・モデルを再トレーニングして、再トレーニングされたモデルを適用する。
【0016】
次に
図1を参照すると、いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチック122をクリーニングして回収するための装置100が示されている。装置100は、浮遊してもよく、または沈められてもよく、いくつかの事例では、ソーラーパワーまたは潮汐エネルギーのような、再生可能手段によって電力を供給されてよい。
【0017】
装置100は、クリーニング・チャンバ116、上部フィルタ・チャンバ108、およびマイクロプラスチック122を回収するための真空ヘッド106を備える。入口110は、藻類もしくはバクテリアまたはその両方で被覆されたマイクロプラスチック122を含む水流120がクリーニング・チャンバ116を通って流れることを可能にする。好ましい実施形態では、水流120、および藻類もしくはバクテリアまたはその両方で被覆されて含まれるマイクロプラスチック122は、装置100が水流120中を移動するにつれてクリーニング・チャンバ116を通って流れる。いくつかの実施形態では、水流120は、クリーニング・チャンバ116を通してポンピングされる。
図1に示されるクリーニング・チャンバ116の形状は、単に例であり、クリーニング・チャンバ116は、(1)水流120、および藻類もしくはバクテリアまたはその両方で被覆された(すなわち、バイオファウリングが生じた)含まれるマイクロプラスチック122を受け取ること、(2)マイクロプラスチック122をクリーニングすること(マイクロプラスチック124はクリーニングされているときのマイクロプラスチックを表している)、および(3)水流120がクリーニング・チャンバを出て行くこと、を可能にする任意の形状であってよい。マイクロプラスチック122は、藻類もしくはバクテリアまたはその両方で完全に被覆されることもあり、あるいは藻類もしくはバクテリアまたはその両方で部分的にのみ被覆されることもある。いくつかの実施形態では、マイクロプラスチック122は、藻類およびバクテリアがそれらの上で増殖するにつれて水柱中で沈むことが知られている。藻類またはバクテリア被覆がなければ、マイクロプラスチック122の大部分は、浮遊し得る。
【0018】
示されるように、トランスデューサ102は、マイクロバブル104を生成する。いくつかの実施形態では、トランスデューサ102は、超音波クリーニング・デバイスである。いくつかの実施形態では、トランスデューサ102は、マイクロプラスチック122の生物学的ファウリング(すなわち、バイオファウリング)をクリーニングすることが可能な任意のタイプのトランスデューサであってよい。マイクロバブル104は、研磨圧力勾配およびせん断力をマイクロプラスチック122の表面にわたって生成することによって、藻類もしくはバクテリアまたはその両方をマイクロプラスチック122の表面からクリーニングし得る。マイクロプラスチック124は、それらがクリーニング・チャンバ116を通過するにつれてマイクロバブル104によってクリーニングされるマイクロプラスチックを表している。クリーニング済みのマイクロプラスチック126は、バイオファウリングがないことに起因して浮揚性があり、結果として、上部フィルタ・チャンバ108中へ浮上する。マイクロプラスチック回収デバイス106は、クリーニング済みのマイクロプラスチック126を回収して、後の除去のためにそれらを保管する。いくつかの実施形態では、マイクロプラスチック回収デバイス106は、真空ヘッドである。いくつかの実施形態では、マイクロプラスチック回収デバイス106は、クリーニング済みのマイクロプラスチック126を水流120から回収することが可能な任意の装置であってよい。フィルタ114は、水流120およびクリーニング済みのマイクロプラスチック126がクリーニング・チャンバ116から上部フィルタ・チャンバ108へ通過することを許容するが、例えば、サイズが5mmより大きいものが上部フィルタ・チャンバに到達することを防ぐ。上述のように、マイクロプラスチックは、直径が5mmより小さい粒子として定義される。これは、例えば、直径が5mm超の魚類128が上部フィルタ・チャンバに到達しないことを意味する。さらに、マイクロバブル104が大部分の水生生物を害する可能性は低く、従って、クリーニング・チャンバ116に入るいずれの魚類128も害されずにそれを出ることができる。
【0019】
図1によって示されない本発明の他の実施形態では、別の点ではフィルタ114に類似したフィルタが5mmより大きいサイズのものを通してもよく、あるいはフィルタは、5mmより小さいサイズのものを通さない。フィルタ114の実施形態は、適合可能なメッシュおよび活性炭濾過システムを含んでよい。マイクロプラスチック回収デバイス106が、回収され、保管されたクリーニング済みのマイクロプラスチック126で一旦満たされると、装置100は、空にされるために岸へ戻ってよい。いくつかの事例では、装置は、岸へ戻ることなく船舶またはドローンによって空にされてよい。
【0020】
水流120は、(水流118によって示されるように)クリーニング・チャンバ116から濾過されずに出て行く。装置100の設計により、入来水流120中に存在する大部分のマイクロプラスチック122はクリーニング・チャンバ116から漂い出られる前にクリーニングされて上部フィルタ・チャンバ108中へ上昇しているはずなので、水流120は濾過されずに出て行ってよい。水流120は、フィルタ112を通って上部フィルタ・チャンバ108からも出て行き(水流119によって示される)、クリーニング済みのマイクロプラスチック126が上部フィルタ・チャンバ108から同じ方向に出て行くことを防ぐ。クリーニング・チャンバ116に入ってくる小さい海洋生物128は、水流120とともに出て行くことができる。フィルタ114は、より大きい水生動物を害さないように、随意的に、軟質材料で被覆されてもよい。
【0021】
装置100は、
図4を参照して以下に記載されるように、最大もしくは目標サイズのマイクロプラスチック122が見つかると予測される深さに従って、水柱における異なる深さで動作してよい。装置100は、淡水中または塩水中で動作してよい。
【0022】
図2を参照すると、いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチック(例えば、
図1からのマイクロプラスチック122)をクリーニングするための方法200のフロー図が描かれる。方法200は、ステップ204を含み、このステップではマイクロプラスチックを含む水(例えば、水流120(
図1))が水環境からクリーニング・チャンバ(例えば、クリーニング・チャンバ116(
図1))を通って流れる。いくつかの実施形態では、水、および藻類もしくはバクテリアまたはその両方で被覆された含まれるマイクロプラスチックは、装置(例えば、装置100(
図1))が水中を移動するにつれてクリーニング・チャンバを通って流れる。いくつかの実施形態では、水がクリーニング・チャンバを通してポンピングされる。マイクロプラスチックが藻類もしくはバクテリアまたはその両方のような生物学的ファウリングで被覆されることがある。マイクロプラスチックは、藻類もしくはバクテリアまたはその両方で完全に被覆されることもあり、あるいは藻類もしくはバクテリアまたはその両方で部分的にのみ被覆されることもある。
【0023】
ステップ206において、クリーニング・チャンバを通って流れるマイクロプラスチック(例えば、マイクロプラスチック124(
図1))は、トランスデューサ(例えば、トランスデューサ102(
図1))によって生成されたマイクロバブル(例えば、マイクロバブル104(
図1))を用いてクリーニングされる。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、超音波クリーニング・デバイスである。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、マイクロプラスチックの生物学的ファウリングをクリーニングすることが可能な任意のタイプであってよい。クリーニングされた後に、マイクロプラスチック(例えば、クリーニング済みのマイクロプラスチック126(
図1))は、より浮揚性があってよく、上部フィルタ・チャンバ(例えば、上部フィルタ・チャンバ108(
図1))中へ浮上し得る。ステップ208において、クリーニング済みのマイクロプラスチックは、マイクロプラスチック回収デバイス(例えば、マイクロプラスチック回収デバイス106(
図1))を用いて上部フィルタ・チャンバから回収される。いくつかの実施形態では、マイクロプラスチック回収デバイスは、真空ヘッドである。フィルタ(例えば、フィルタ114(
図1))は、水およびクリーニング済みのマイクロプラスチックがクリーニング・チャンバから上部フィルタ・チャンバ(例えば、上部フィルタ・チャンバ108(
図1))へ通過することを許容してよい。入口水中に存在するいずれのマイクロプラスチックも、クリーニング・チャンバから直接に出ていくのではなく、上部フィルタ・チャンバを通って出る可能性がおそらく高いので、水は、クリーニング・チャンバから濾過されずに出て行ってよい。水は、クリーニング済みのマイクロプラスチックが出て行って水柱中へ戻ることを防ぐように設計され得るフィルタ(例えば、フィルタ112(
図1))を通って出て行ってもよい。クリーニング・チャンバに入ってくる小さい海洋生物(例えば、小さい海洋生物128(
図1))は、水とともに出て行くことができる。
【0024】
図3を参照すると、いくつかの実施形態による、水環境中のマイクロプラスチック(例えば、マイクロプラスチック122(
図1))をクリーニングするための装置300の図が描かれる。装置300は、装置300の他の部分がその上に位置するドック302を含む。ドック302は、浮遊していてもサブマーシブルであってもよい。随意的に、装置300に電力を供給するためにソーラーパネル304が用いられてよい。いくつかの実施形態では、装置300に電力を供給するために潮汐パワーが用いられてよい。いくつかの実施形態では、装置300もしくは装置300のドック302またはその両方が自航式である。ドック302に付けられるのは、クリーニング・チャンバ116、トランスデューサ102、およびマイクロプラスチック回収デバイス106をもつ
図1の装置100である。いくつかの実施形態では、装置100は、装置100がドック302の下方の異なる深さで動作できるようにアームによってドック302に取り付けられてよい。いくつかの実施形態では、装置100は遠隔の場所で動作し、クリーニング済みのマイクロプラスチック(クリーニング済みのマイクロプラスチック126(
図1))を回収したときに、クリーニング済みのマイクロプラスチックを排出するためにドック302へ戻ることができる。環境モニタリング・モジュール306は、地域環境条件を確認する。これらの地域環境条件は、例えば、地域潮汐の強さ、地域潮流、太陽光強度、水温、水中塩分、地域風速、バログラフによる圧力、降雨量、(例えば、海岸線からの距離および川の河口からの距離のような)地理データなどを含んでよい。これらの地域環境条件は、地域マイクロプラスチック濃度をさらに含んでよい。これが複数のマイクロプラスチック・クリーニング装置300を統率する中央コマンド・システムからのグローバル・データで補完されてよい。中央制御ユニット308は、高濃度のマイクロプラスチックが見つかるかもしれない地理的位置に関して、かつ
図1の装置がドック302の下方に置かれる深さについても、インテリジェントな決定(例えば、動的決定)を行うことが可能であってよい。例えば、中央制御ユニット308は、有益および/または必要なときに装置(単数または複数)(例えば、装置100および/または300)をどの位置に向けるべきかを判定してよく、位置を動的に調整する(例えば、装置(単数または複数)の方向を変える)ことが可能であってよい。
【0025】
環境モニタリング・デバイス306および中央制御ユニット308と関連付けられるのは、中央コマンド・システムからデータを受信し、それへデータを送信する信号受信機および送信機である。随意的に、マイクロプラスチックをクリーニングするための複数の装置300があるシステムでは、信号受信機および送信機は、例えば、あまりに多くのデバイスが1つエリアに集まることを防ぐように異なる装置300間で通信するために用いられてよい。廃棄物容器310は、クリーニング済みのマイクロプラスチックを
図1の装置100から受け取る。装置300は、随意的に、プラスチック排出のためのエリア312、さらには回転翼航空機がドック302に降りることを可能にするヘリパッドを含んでよい。回収されたクリーニング済みのマイクロプラスチックは、回収されたクリーニング済みのマイクロプラスチックを空にするために岸へ戻ることによって、回収されたクリーニング済みのマイクロプラスチックを空にするために別の船舶へ戻ることによって、回収されたクリーニング済みのマイクロプラスチックを持ち去る飛行体(例えば、ドローン)によって、除去されてよい。
【0026】
図4に戻ると、いくつかの実施形態による、装置(例えば、装置100および/または300(それぞれ、
図1および
図3))が動作するのに最もよい地理的位置を自動的に判定(およびいくつかの事例では調整)することを可能にするために実施形態1~3とともに用いるためのマイクロプラスチック・クリーニング・システム400のブロック図が描かれる。マイクロプラスチック・クリーニング・システム400は、装置(例えば、装置100および/または300(それぞれ、
図1および
図3))のワークフローをモデリングしてよい。マイクロプラスチック・クリーニング・システム400は、例えば、シッピング情報、およびマイクロプラスチック(例えば、マイクロプラスチック122(
図1))を製造もしくは排出またはその両方を行う工場への近接性、ならびに海洋学的予測のような、外部データ404を受信する中央コントローラ402を含む。いくつかの実施形態では、中央コントローラ402は、例えば、潮汐および気象モデリングのような、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC:High Performance Computing)シミュレーションも受信してよい。グローバル・データおよびローカル・デバイス情報408は、中央コントローラ402から送信されて、
図1および
図3の装置のような、複数のクリーニング装置416、426、および436へデプロイされる。グローバル・データおよびローカル・デバイス情報408は、アップデートされたグローバル・モデルを生成するために用いられてよい、装置416、426、および/または436からのローカル・デバイス情報も含み、アップデートされたグローバル・モデルは、次に、クリーニング装置416、426、および436のクリーニング性能を向上させる目的でそれらのすべてに通信されてよい。
【0027】
クリーニング装置416、426、および436は、
図3を参照して先に言及された地域環境条件のようなローカル・データを収集してよいローカル・データ・モジュール(それぞれ、410、420、430)を各々が含んでよい。この収集されたデータは、デプロイメント・データ、ならびにグローバル・データおよびローカル・デバイス情報408、例えば、グローバル・マイクロプラスチック濃度マップとともに、再トレーニング・モジュール414、424、および434へ送信されてよい。再トレーニング・モジュール(414、424、および434)は、最初の予測を改良するようにローカル・モデルを再トレーニングするために様々なデータを用いてよい。再トレーニングされたローカル・モデルは、次に、再トレーニングされたモデルを適用してよい、モデル・モジュール412へ送信されてよい。(ローカル・データ・モジュール410、420、および430上で)収集する、(再トレーニング・モジュール414、424、および434上で)再トレーニングする、および(モデル・モジュール412、422、および432上で)適用するプロセスが、次に、繰り返されてよい。
【0028】
中央コントローラ402は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)モデルを利用してよい。AIモデルは、普遍クリギング(universal Kriging)に基づいてよい。クリギング、もしくはガウス過程回帰は、補間値が事前共分散により支配されたガウス過程によってモデリングされる補間の方法である。事前共分散についての適切な仮定の下で、クリギングは、中間値の良好な線形不偏予測を与え得る。クリギングは、これまで採掘のような地理空間問題に非常にうまく適用されている。クリギングは、予測および不確かさの推定を直接に提供し得る。クリギング予測を用いると、与えられた位置および深さにおいて高濃度のマイクロプラスチックが見つかることがあり、フィルタリングするのに最もよい位置および深さの決定を行うときに、その予測における不確かさとのバランスをとることができる。例えば、大きな不確かさを伴うが、高濃度が予測されるために長い距離を走行することは、より確実であるが、わずかに低いと予測される濃度がすぐ近くにあるならば、その方が準最適であるかもしれない。マイクロプラスチック濃度のモデルは、見つかった実際の濃度がフィードバックされて、モデルがクリーニング装置上でローカルに再トレーニングされるにつれて改善し得る。クリギングは、適度に効率的な最尤(ML:maximum likelihood)モデルである。
【0029】
クリーニング装置(例えば、クリーニング装置100(
図1))は、最大または目標サイズのマイクロプラスチックが見つかると予測される水柱における深さを説明するために
図1の濾過デバイスに有効な自動変更を行うようにモデルを処理してもよい。
【0030】
図5を参照すると、いくつかの実施形態による、コンピュータ・システム500においてコンピュータ・システム/サーバ502が汎用コンピューティング・デバイスの形態で示される。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム/サーバ502がリンキング・デバイス上に位置する。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム502がリンキング・デバイスへ接続される。コンピュータ・システム/サーバ502のコンポーネントは、以下には限定されないが、1つ以上のプロセッサまたは処理ユニット510、システム・メモリ560、およびシステム・メモリ560を含めて様々なシステム・コンポーネントをプロセッサ510へ結合するバス515を含んでよい。
【0031】
バス515は、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺機器用バス、アクセラレイティッド・グラフィックス・ポート、および様々なバス・アーキテクチャのいずれかを用いたプロセッサまたはローカル・バスを含めて、いくつかのタイプのバス構造のいずれか1つ以上を表す。限定ではなく、例として、かかるアーキテクチャは、インダストリ・スタンダード・アーキテクチャ(ISA:Industry Standard Architecture)バス、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA:Micro Channel Architecture)バス、拡張ISA(EISA:Enhanced ISA)バス、ビデオ・エレクトロニクス・スタンダーズ・アソシエーション(VESA:Video Electronics Standards Association)ローカル・バス、およびペリフェラル・コンポーネント・インターコネクツ(PCI:Peripheral Component Interconnects)バスを含む。
【0032】
コンピュータ・システム/サーバ502は、典型的に様々なコンピュータ・システム可読媒体を含む。かかる媒体は、コンピュータ・システム/サーバ502によってアクセス可能ないずれか利用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよびノンリムーバブル媒体の両方を含む。
【0033】
システム・メモリ560は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)562および/またはキャッシュ・メモリ564のような、揮発性メモリの形態のコンピュータ・システム可読媒体を含むことができる。コンピュータ・システム/サーバ502は、他のリムーバブル/ノンリムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータ・システム・ストレージ媒体をさらに含んでよい。単に例として、ノンリムーバブル、不揮発性磁気媒体(示されず、典型的に「ハード・ドライブ」と呼ばれる)から読み出し、それに書き込むためにストレージ・システム565を設けることができる。示されないが、リムーバブル、不揮発性磁気ディスク(例えば、「フレキシブルディスク」)から読み出し、それに書き込むための磁気ディスク・ドライブ、およびCD-ROM、DVD-ROMまたは他の光媒体のようなリムーバブル、不揮発性光ディスクから読み出し、またはそれに書き込むための光ディスク・ドライブを設けることができる。かかる事例では、1つ以上のデータ媒体インターフェースによって各々をバス515へ接続することができる。以下にさらに描かれ、記載されるように、メモリ560は、本発明の実施形態の機能を実行するように構成された1組(例えば、少なくとも1つ)のプログラム・モジュールを有する少なくとも1つのプログラム製品を含んでよい。
【0034】
1組(少なくとも1つ)のプログラム・モジュール569を有する、プログラム/ユーティリティ568は、限定でなく例として、オペレーティング・システム、1つ以上のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データと同様に、メモリ560に格納されてよい。オペレーティング・システム、1つ以上のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データの各々またはそれらの何らかの組み合わせがネットワーキング環境の実装を含んでよい。プログラム・モジュール569は、一般に、本明細書に記載されるような本発明の実施形態の機能および/または方法論を実行する。
【0035】
コンピュータ・システム/サーバ502は、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ530などのような1つ以上の外部デバイス540、ユーザがコンピュータ・システム/サーバ502と対話することを可能にする1つ以上のデバイス、および/またはコンピュータ・システム/サーバ502が1つ以上の他のコンピューティング・デバイスと通信することを可能にする任意のデバイス(例えば、ネットワーク・カード、モデムなど)と通信してもよい。かかる通信は、入力/出力(I/O:Input/Output)インターフェース520を介して行うことができる。さらにまた、コンピュータ・システム/サーバ502は、ネットワーク・アダプタ550を介して1つ以上のネットワーク、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)、一般的なワイド・エリア・ネットワーク(WAN:wide area network)、および/または公衆ネットワーク(例えば、インターネット)と通信することができる。描かれるように、ネットワーク・アダプタ550は、バス515を介してコンピュータ・システム/サーバ502の他のコンポーネントと通信する。示されないが、コンピュータ・システム/サーバ502と併せて他のハードウェアおよび/またはソフトウェア・コンポーネントが用いられ得ることが理解されるべきである。例は、以下には限定されないが、マイクロコード、デバイス・ドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスク・ドライブ・アレイ、RAIDシステム、テープ・ドライブ、およびデータ・アーカイブ・ストレージ・システムなどを含む。
【0036】
本発明は、いずれか可能な技術的に詳細な統合レベルにおけるシステム、方法、および/またはコンピュータ・プログラム製品であってよい。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する(1つもしくは複数の)コンピュータ可読ストレージ媒体を含んでよい。
【0037】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持して格納できる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、以下には限定されないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または前述のもののいずれか適切な組み合わせであってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリ・メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリ・スティック、フレキシブル・ディスク、パンチ・カードもしくはその上に記録された命令を有する溝中の隆起構造のような機械的にコード化されたデバイス、および前述のもののいずれか適切な組み合わせを含む。コンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書では、それ自体が一時的な信号、例えば、電波または他の自由伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいは線を通って伝送される電気信号であると解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令をコンピュータ可読ストレージ媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、あるいはネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークおよび/または無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスへダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイヤウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータおよび/またはエッジ・サーバを備えてよい。各コンピューティング/処理デバイス中のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信して、それらのコンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するために転送する。
【0039】
本発明のオペレーションを実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいはSmalltalk(R)、C++、または同様のもののようなオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような、手続き型プログラミング言語を含めて、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アローンのソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは全体的にリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行してよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含めて、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータへ接続されてもよく、あるいは(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを用いてインターネットを通して)外部コンピュータへ接続が行われてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic array)を含む、電子回路がコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによって本発明の態様を行うためにコンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0040】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、ならびにコンピュータ・プログラム製品のフローチャート説明図および/またはブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート説明図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート説明図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせをコンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。
【0041】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行する、それらの命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実装するための手段を生み出すような、マシンを作り出すために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、特定の仕方で機能するようにコンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、および/または他のデバイスに指示することができるコンピュータ可読ストレージ媒体に格納されてもよく、格納された命令をその中に有するコンピュータ可読ストレージ媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む製造品を備えるようにし得る。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実装するような、コンピュータ実装プロセスを作り出すべく一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で行われるようにするためにコンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置または他のデバイス上へロードされてもよい。
【0042】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明のいくつかの実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、およびオペレーションを示す。この点において、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、指定されたロジック機能(単数または複数)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の部分を表してよい。いくつかの代わりの実装では、ブロック中に記された機能が図中に記された順序以外で発生してもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、または関与する機能性によっては、ブロックがときには逆の順序で実行されてもよい。ブロック図および/またはフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート説明図におけるブロックの組み合わせを、指定された機能または作用を行い、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェア・ベース・システムによって実装できることにも気付くであろう。
【0043】
本発明の様々な実施形態の記載が説明のために提示されたが、これらの記載は、網羅的であることも、または開示される実施形態に限定されることも意図されない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者には明らかであろう。本明細書に用いられる用語は、実施形態の原理、実用用途、または市場に見られる技術を超える技術的改良を最もよく説明するため、あるいは本明細書に開示される実施形態を他の当業者が理解することを可能にするために選ばれた。