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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両用カップホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021029105
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022130119
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】平松 宗也
(72)【発明者】
【氏名】李 宇烈
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-68854(JP,A)
【文献】特開2007-73692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び側壁を有する有底筒状のホルダ本体と、
前記ホルダ本体を加熱するヒータとを備える車両用カップホルダであって、
前記底壁と前記側壁とは厚さが異なり、
前記ヒータは、前記底壁及び前記側壁のうち厚さが厚い方に配置されている、
車両用カップホルダ。
【請求項2】
前記底壁は、前記側壁よりも厚さが厚く、
前記ヒータは、前記底壁に配置されている請求項1に記載の車両用カップホルダ。
【請求項3】
前記側壁は、前記底壁よりも厚さが厚く、
前記ヒータは、前記側壁に配置されている請求項1に記載の車両用カップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、一般的に、飲料容器を保持するカップホルダが設けられている。特許文献1は、加熱手段が埋め込まれた自動車設置用カップホルダを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2006-518227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料容器を保持するホルダ本体に部分的に加熱手段を設けることが検討されている。この場合、加熱手段の位置によっては、ホルダ本体が不均一に加熱されることがある。例えば、ホルダ本体のうち、加熱手段に近い領域は高温となり、加熱手段から遠い領域は低温となり得る。特に、ホルダ本体が伝熱し難い構造や材質で構成されている場合、加熱手段の温度を上げると、加熱手段に近い領域が高温になり過ぎることがある。
【0005】
本発明の目的の一つは、底壁及び側壁を有する有底筒状のホルダ本体において、底壁と側壁との温度差を小さくできる車両用カップホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る車両用カップホルダは、
底壁及び側壁を有する有底筒状のホルダ本体と、
前記ホルダ本体を加熱するヒータとを備える車両用カップホルダであって、
前記底壁と前記側壁とは厚さが異なり、
前記ヒータは、前記底壁及び前記側壁のうち厚さが厚い方に配置されている。
【0007】
上記車両用カップホルダの一形態として、
前記底壁は、前記側壁よりも厚さが厚く、
前記ヒータは、前記底壁に配置されていることが挙げられる。
【0008】
上記車両用カップホルダの一形態として、
前記側壁は、前記底壁よりも厚さが厚く、
前記ヒータは、前記側壁に配置されていることが挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用カップホルダは、底壁及び側壁を有する有底筒状のホルダ本体において、底壁と側壁との温度差を小さくできる。熱抵抗は、伝熱距離に比例し、伝熱断面積に反比例する。伝熱距離は、ヒータを起点とする伝熱方向に沿った長さである。伝熱断面積は、伝熱方向と直交する平面で切断した断面の面積である。底壁及び側壁のうち厚さが厚い壁にヒータが配置されていることで、底壁及び側壁の厚さが同じである場合に比較して、ヒータが配置されている壁の温度上昇を抑制し易く、ヒータが配置されている壁からヒータが配置されていない壁へ伝熱し易い。その結果、ヒータが配置されている壁とヒータが配置されていない壁との温度差を小さくできる。
【0010】
本発明の車両用カップホルダの一形態として、側壁よりも底壁の厚さが厚く、底壁にヒータが配置されていることが挙げられる。この形態では、底壁の厚さが厚いため、底壁の厚さ方向に沿った伝熱距離が大きくなり、底壁の温度上昇を抑制し易い。一方、底壁の厚さが厚いため、底壁の厚さ方向に直交する平面で切断した断面の伝熱断面積が大きくなり、底壁から側壁へ伝熱し易い。
【0011】
本発明の車両用カップホルダの一形態として、底壁よりも側壁の厚さが厚く、側壁にヒータが配置されていることが挙げられる。この形態では、側壁の厚さが厚いため、側壁の厚さ方向に沿った伝熱距離が大きくなり、側壁の温度上昇を抑制し易い。一方、側壁の厚さが厚いため、側壁の厚さ方向に直交する平面で切断した断面の伝熱断面積が大きくなり、側壁から底壁へ伝熱し易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1の車両用カップホルダを説明するための概略構成図である。
図2図2は、実施形態2の車両用カップホルダを説明するための概略構成図である。
図3図3は、実施形態3の車両用カップホルダを説明するための概略構成図である。
図4図4は、実施形態4の車両用カップホルダを説明するための概略構成図である。
図5図5は、実施形態の車両用カップホルダが車両に支持された状態を説明する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の車両用カップホルダの実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、車両用カップホルダを単にカップホルダと呼ぶ。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
<全体構成>
実施形態のカップホルダ1は、図1から図4に示すように、ホルダ本体2とヒータ7とを備える。ホルダ本体2は、底壁3及び側壁4を有する有底筒状の部材である。ヒータ7は、ホルダ本体2を加熱する。実施形態のカップホルダ1の特徴の一つは、底壁3と側壁4とは厚さが異なり、底壁3及び側壁4のうち厚さが厚い方にヒータ7が配置されている点にある。
【0015】
図1に示す実施形態1のカップホルダ1は、側壁4よりも底壁3の厚さが厚く、底壁3にヒータ7が配置されている。
図2に示す実施形態2のカップホルダ1は、側壁4よりも底壁3の厚さが厚く、底壁3に凹部30が設けられており、この凹部30にヒータ7が配置されている。
図3に示す実施形態3のカップホルダ1は、底壁3よりも側壁4の厚さが厚く、側壁4にヒータ7が配置されている。
図4示す実施形態4のカップホルダ1は、底壁3よりも側壁4の厚さが厚く、側壁4に凹部40が設けられており、この凹部40にヒータ7が配置されている。
以下、実施形態1から実施形態4のカップホルダ1の共通構成と、実施形態ごとの構成の特徴点及び作用効果を詳細に説明する。
【0016】
<共通構成>
〔ホルダ本体〕
ホルダ本体2は、飲料容器を収納可能な有底筒状の部材である。ホルダ本体2は、底壁3と側壁4とを備える。側壁4は、底壁3の内面31に交差する方向に延びるように配置されている。本例の側壁4は、底壁3の内面31にほぼ直交する方向に延びている。ホルダ本体2の形状は特に限定されない。ホルダ本体2の形状は、例えば、円筒状や楕円筒状、角筒状等が挙げられる。
【0017】
底壁3と側壁4とは、同じ材質からなる。ホルダ本体2の材質は、金属又は樹脂である。本例のホルダ本体2の材質は、金属である。ホルダ本体2は、底壁3と側壁4とが一体に成形された一体物であることが挙げられる。ホルダ本体2は、独立した部材である底壁3と側壁4とが組み合わされて構成されていてもよい。
【0018】
底壁3は、内面31と外面32とを備える。内面31は、飲料容器の収納空間を構成する面である。外面32は、内面31に向かい合う面である。底壁3にヒータ7が配置されている場合、外面32にヒータ7が配置されている。内面31と外面32とは、平行であることが好ましい。
【0019】
側壁4は、内周面41と外周面42とを備える。内周面41は、飲料容器の収納空間を構成する面である。外周面42は、内周面41に向かい合う面である。側壁4にヒータ7が配置されている場合、外周面42にヒータ7が配置されている。内周面41と外周面42とは、平行であることが好ましい。
【0020】
底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4とが異なる。底壁3及び側壁4のうちヒータ7が配置された箇所の壁の厚さは、ヒータ7との接触面と壁の内側面との間の最短距離である。底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4との関係については、後述する実施形態ごとに説明する。
【0021】
ホルダ本体2は、車室内における乗員の座席付近に配置されている。ホルダ本体2は、例えば、インストルメントパネルや、フロントシート間に設けられたコンソール等に配置されている。
【0022】
〔ヒータ〕
ヒータ7は、ホルダ本体2を加熱する熱源である。ヒータ7の形状は、特に限定されない。底壁3にヒータ7が配置されている場合(図1及び図2)、ヒータ7の形状は、板状であることが挙げられる。側壁4にヒータ7が配置されている場合(図3及び図4)、ヒータ7の形状は、環状であることが挙げられる。ヒータ7は、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを利用できる。PTCヒータは、発熱によって温度が上昇すると電気が流れにくくなり、設定された温度に達すると電気が流れなくなって加熱を停止する特性を有する。ヒータ7としてPTCヒータを利用すると、ホルダ本体2を一定の温度に保持し易い。
【0023】
ヒータ7の個数は適宜選択できる。一つのヒータ7の大きさにもよるが、ヒータ7の個数が多いと、ヒータ7とホルダ本体2との接触面積が大きくなる。ヒータ7とホルダ本体2との接触面積が大きいと、ヒータ7が配置されている壁からヒータ7が配置されていない壁へ早く伝熱し易い。本例のヒータ7は1個である。ヒータ7が1個であっても、本例によれば、底壁3と側壁4との温度差を小さくでき、ホルダ本体2の全体にわたって伝熱を良好に行える。ヒータ7の個数は複数、即ち2個以上であってもよい。
【0024】
ヒータ7は、図示しない固定部材や接着剤等によりホルダ本体2に固定されている。
【0025】
<実施形態1>
実施形態1のカップホルダ1は、図1に示すように、側壁4よりも底壁3の厚さが厚い。つまり、底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4とは、T3>T4の関係にある。ヒータ7は、底壁3の外面32に配置されている。側壁4よりも底壁3の厚さが厚い場合、底壁3の厚さT3は、外面32におけるヒータ7との接触面である第一外面321と内面31との間の距離である。
【0026】
底壁3の外面32は、ヒータ7との接触面である第一外面321と、ヒータ7と接触しない面である第二外面322とを備える。本例の第一外面321は、底壁3の中心領域に位置する。本例では、第一外面321と第二外面322とは面一である。言い換えると、本例の底壁3は、図2に示す凹部30等を有さない。ヒータ7は、外面32の全面にわたって配置されていてもよい。
【0027】
底壁3の厚さT3は、上述したように、第一外面321と内面31との間の距離である。第一外面321は、ヒータ7との接触面である。よって、底壁3の厚さT3は、ヒータ7における飲料容器側の面と内面31との間の距離であると言える。第一外面321は、内面31に沿った方向に一様であることが好ましい。第一外面321は、内面31に沿った方向に不均一であってもよい。この場合、底壁3の厚さT3は、最も薄い厚さを採用する。
【0028】
側壁4の厚さT4は、底壁3の厚さT3よりも薄い。側壁4の厚さT4は、内周面41と外周面42との間の距離である。側壁4の厚さT4は、側壁4の軸方向の全長にわたって、底壁3の厚さT3よりも薄い。本例では、側壁4の厚さT4は、側壁4の軸方向の全長にわたって一様である。側壁4の厚さT4は、側壁4の軸方向に沿って不均一であってもよい。例えば、側壁4の厚さT4は、底壁3側から開口側に向かって漸次的に薄くなっていてもよい。開口側は、ホルダ本体2における飲料容器が収納される側である。側壁4の軸方向に沿って厚さが不均一である場合、側壁4の厚さT4は、最も厚い厚さを採用する。
【0029】
底壁3の厚さT3は、側壁4の厚さT4の1.5倍以上2倍以下であることが挙げられる。厚さT3が厚さT4の1.5倍以上であることで、底壁3から側壁4に早く熱を伝え易い。厚さT3が厚さT4の2倍以下であることで、底壁3の過度の厚肉化を抑制できる。
【0030】
実施形態1のカップホルダ1は、側壁4よりも底壁3の厚さが厚く、かつ底壁3の第一外面321にヒータ7が配置されていることで、第一外面321から内面31までの伝熱距離が大きくなり、底壁3の内面31側の温度上昇を抑制し易い。一方、底壁3の厚さが厚いため、底壁3の厚さ方向に直交する平面で切断した断面の伝熱断面積が大きくなり、底壁3から側壁4へ伝熱し易い。その結果、実施形態1のカップホルダ1は、底壁3と側壁4との厚さが同じである場合に比較して、底壁3と側壁4との温度差を小さくできる。実施形態1のカップホルダ1は、底壁3に凹部等の加工が施されていないため、簡易な構成である。
【0031】
<実施形態2>
実施形態2のカップホルダ1は、図2に示すように、側壁4よりも底壁3の厚さが厚い。つまり、底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4とは、T3>T4の関係にある。実施形態2のカップホルダ1は、底壁3に凹部30を備え、この凹部30にヒータ7が配置されている点が、実施形態1のカップホルダ1と異なる。以下、実施形態2では、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0032】
凹部30の形状及び大きさは、ヒータ7の形状及び大きさに応じて適宜選択できる。本例の凹部30の形状は、円形状である。凹部30の底面にヒータ7が接触する。つまり、凹部30の底面が第一外面321である。第一外面321と第二外面322とで凹部30を構成する段差が形成されている。
【0033】
底壁3の厚さT3は、上述したように、第一外面321と内面31との間の距離である。本例では、凹部30の底面が第一外面321である。第一外面321は、ヒータ7との接触面である。実施形態2のカップホルダ1における底壁3の厚さは、実施形態1のカップホルダ1における底壁3の厚さにヒータ7の厚さ分を足した厚さとなる。よって、実施形態2のカップホルダ1は、実施形態1のカップホルダ1に比較して、ヒータ7の厚さ分だけホルダ本体2の軸方向に大型化する。
【0034】
実施形態2のカップホルダ1は、実施形態1のカップホルダ1と同様に、底壁3の内面31側の温度上昇を抑制し易く、底壁3から側壁4へ伝熱し易い。実施形態2のカップホルダ1は、凹部30にヒータ7が配置されているため、底壁3からヒータ7が突出することを抑制できる。例えば、底壁3の第二外面322とヒータ7とが面一となるようにヒータ7を配置することができる。
【0035】
底壁3の厚さT3が側壁4の厚さT4よりも厚いのであれば、ヒータ7は、底壁3に埋め込まれていてもよい。この場合、ヒータ7は外側から見えない。
【0036】
<実施形態3>
実施形態3のカップホルダ1は、図3に示すように、底壁3よりも側壁4の厚さが厚い。つまり、底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4とは、T3<T4の関係にある。ヒータ7は、側壁4の外周面42に配置されている。底壁3よりも側壁4の厚さが厚い場合、側壁4の厚さT4は、外周面42におけるヒータ7との接触面である第一外周面421と内周431との間の距離である。
【0037】
側壁4の外周面42は、ヒータ7との接触面である第一外周面421と、ヒータ7と接触しない面である第二外周面422とを備える。本例の第一外周面421は、側壁4の軸方向の中心領域に位置する。本例では、第一外周面421と第二外周面422とは面一である。言い換えると、本例の側壁4は、図4に示す凹部40等を有さない。ヒータ7は、外周面42の全面にわたって配置されていてもよい。
【0038】
側壁4の厚さT4は、上述したように、第一外周面421と内周面41との間の距離である。第一外周面421は、ヒータ7との接触面である。よって、側壁4の厚さT4は、ヒータ7における飲料容器側の面と内周面41との間の距離であると言える。第一外周面421は、側壁4の軸方向に沿って一様であることが好ましい。第一外周面421は、側壁4の軸方向に沿って不均一であってもよい。この場合、側壁4の厚さT4は、最も薄い厚さを採用する。
【0039】
底壁3の厚さT3は、側壁4の厚さT4よりも薄い。底壁3の厚さT3は、内面31と外面32との間の距離である。底壁3の厚さT3は、内面31の沿面方向の全面にわたって、側壁4の厚さT4よりも薄い。本例では、底壁3の厚さT3は、内面31の沿面方向の全面にわたって一様である。底壁3の厚さT3は、内面31の沿面方向に沿って不均一であってもよい。この場合、底壁3の厚さT3は、最も厚い厚さを採用する。
【0040】
側壁4の厚さT4は、底壁3の厚さT3の1.5倍以上2倍以下であることが挙げられる。厚さT4が厚さT3の1.5倍以上であることで、側壁4から底壁3に早く熱を伝え易い。厚さT4が厚さT3の2倍以下であることで、側壁4の過度の厚肉化を抑制できる。
【0041】
実施形態3のカップホルダ1は、底壁3よりも側壁4の厚さが厚く、かつ側壁4の第一外周面421にヒータ7が配置されていることで、第一外周面421から内周面41までの伝熱距離が大きくなり、側壁4の内周面41側の温度上昇を抑制し易い。一方、側壁4の厚さが厚いため、側壁4の厚さ方向に直交する平面で切断した断面の伝熱断面積が大きくなり、側壁4から底壁3へ伝熱し易い。その結果、実施形態2のカップホルダ1は、底壁3と側壁4との厚さが同じである場合に比較して、底壁3と側壁4との温度差を小さくできる。実施形態3のカップホルダ1は、側壁4にヒータ7が配置されているため、飲料容器を側方から加熱でき、飲料容器を早く加熱し易い。実施形態3のカップホルダ1は、側壁4に凹部等の加工が施されていないため、簡易な構成である。
【0042】
<実施形態4>
実施形態4のカップホルダ1は、図4に示すように、底壁3よりも側壁4の厚さが厚い。つまり、底壁3の厚さT3と側壁4の厚さT4とは、T3<T4の関係にある。実施形態4のカップホルダ1は、側壁4に凹部40を備え、この凹部40にヒータ7が配置されている点が、実施形態3のカップホルダ1と異なる。以下、実施形態4では、実施形態3との相違点を中心に説明する。
【0043】
凹部40の形状及び大きさは、ヒータ7の形状及び大きさに応じて適宜選択できる。本例の凹部40の形状は、側壁4の全周に及ぶ環状である。本例の凹部40は、側壁4の軸方向の中心領域に設けられている。凹部40は、上記中心領域から側壁4の端面に及ぶ領域に設けられていてもよい。凹部40の底面にヒータ7が接触する。つまり、凹部40の底面が第一外周面421である。第一外周面421と第二外周面422とで凹部40を構成する段差が形成されている。
【0044】
側壁4の厚さT4は、上述したように、第一外周面421と内周面41との間の距離である。本例では、凹部40の底面が第一外周面421である。第一外周面421は、ヒータ7との接触面である。実施形態4のカップホルダ1における側壁4の厚さは、実施形態3のカップホルダ1における側壁4の厚さにヒータ7の厚さ分を足した厚さとなる。よって、実施形態4のカップホルダ1は、実施形態3のカップホルダ1に比較して、ヒータ7の厚さ分だけホルダ本体2の径方向に大型化する。
【0045】
実施形態4のカップホルダ1は、実施形態3のカップホルダ1と同様に、側壁4の内周面41側の温度上昇を抑制し易く、側壁4から底壁3へ伝熱し易い。実施形態4のカップホルダ1は、凹部40にヒータ7が配置されているため、側壁4からヒータ7が突出することを抑制できる。例えば、側壁4の第二外周面422とヒータ7とが面一となるようにヒータ7を配置することができる。
【0046】
側壁4の厚さT4が底壁3の厚さT3よりも厚いのであれば、ヒータ7は、側壁4に埋め込まれていてもよい。この場合、ヒータ7は外側から見えない。
【0047】
<実施形態5>
上述した実施形態1から実施形態4のカップホルダ1は、図5に示すように、車両に設けられた筐体9に支持されている。図5に示すカップホルダ1は、図1に示すカップホルダ1と同様の構成を備える。
【0048】
本例のカップホルダ1は、側壁4の端部に設けられたフランジ部45を備える。フランジ部45は、側壁4から外方に向かって延びるように構成されている。本例のフランジ部45は、側壁4の一部が外方に向かって屈曲されて構成されている。
【0049】
筐体9は、第一部材91と第二部材92とを備える。第一部材91は、有底筒状の本体部911と、本体部911の端部に設けられたフランジ部915とを備える。本体部911は、カップホルダ1を収納可能な大きさを有する。フランジ部915は、本体部911から外方に向かって延びるように構成されている。フランジ部915には、貫通孔915hが設けられている。第二部材92は、第一部材91のフランジ部915を覆う部材である。第二部材92は、フランジ部915に向かって突出する二つの第一突起部921を備える。二つの第一突起部921は、並んで配置されている。二つの第一突起部921間の空間は、フランジ部915に設けられた貫通孔915hと連通している。第一部材91側から第二部材92側に向かって貫通孔915hに固定部材93が差し込まれている。固定部材93の先端部は、二つの第一突起部921間の空間に嵌め合わされる。この固定部材93によって、第一部材91と第二部材92とが固定されている。第一部材91及び第二部材92の材質は、樹脂である。
【0050】
第二部材92は、更に第二突起部922を備える。第二突起部922は、第一部材91の本体部911の内部空間に向かって突出している。第二突起部922は、先端部分の一部が切り欠かれており、この切り欠きによって形成された段差925を備える。段差925は、カップホルダ1が第一部材91の本体部911に収納された状態において、カップホルダ1のフランジ部45の上面に向かい合う面である。
【0051】
筐体9へのカップホルダ1の固定は、以下のように行うことができる。まず、第一部材91の本体部911にカップホルダ1を収納する。カップホルダ1には、ホルダ本体2にヒータ7が予め取り付けられている。次に、第一部材91のフランジ部915を第二部材92で覆う。このとき、フランジ部915の貫通孔915hと第二部材92の二つの第一突起部921間の空間とを位置合わせする。また、カップホルダ1のフランジ部45の上面に第二部材92の第二突起部922の段差925を向かい合わせる。最後に、第一部材91側から第二部材92側に向かって貫通孔915hに固定部材93を差し込み、固定部材93の先端部を二つの第一突起部921間の空間に嵌め合わす。カップホルダ1が第一部材91の本体部911に収納された状態において、カップホルダ1のフランジ部45が第二部材92の第二突起部922の段差925によって本体部911側に押さえられる。この押さえによって、カップホルダ1は筐体9に固定される。
【0052】
筐体9にカップホルダ1が支持されることで、車両の振動等によってカップホルダ1が外れたりすることを抑制できる。筐体9へのカップホルダ1の固定は、上述したように、第一部材91の本体部911にカップホルダ1が収納された状態において、カップホルダ1のフランジ部45が第二部材92の第二突起部922の段差925によって本体部911側に押さえられることで行われる。よって、ネジ等の締結部材を不要とできる。また、段差925による押さえによって固定するため、カップホルダ1と筐体9との幾何公差を吸収することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 カップホルダ
2 ホルダ本体、
3 底壁
30 凹部、31 内面、32 外面、321 第一外面、322 第二外面
T3 厚さ
4 側壁
40 凹部、41 内周面、42 外周面、421 第一外周面、422 第二外周面
T4 厚さ
45 フランジ部
7 ヒータ
9 筐体
91 第一部材、911 本体部、915 フランジ部、915h 貫通孔
92 第二部材、921 第一突起部、922 第二突起部、925 段差
93 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5