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特許7517809有機薄膜と有機薄膜トランジスタ及び電子素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】有機薄膜と有機薄膜トランジスタ及び電子素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 10/46 20230101AFI20240709BHJP
   C07D 495/22 20060101ALI20240709BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20240709BHJP
   H10K 71/10 20230101ALI20240709BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20240709BHJP
【FI】
H10K10/46
C07D495/22
H10K71/00
H10K71/10
H10K77/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019208957
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2020092261
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0153902
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛本 恭崇
(72)【発明者】
【氏名】朴 正 一
(72)【発明者】
【氏名】姜 鉉 範
(72)【発明者】
【氏名】李 恩 慶
(72)【発明者】
【氏名】李 敦 旭
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192116(JP,A)
【文献】国際公開第2012/118174(WO,A1)
【文献】特開2009-081309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 10/00-99/00
C07D 495/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1Aで表される第1の化合物と、
前記第1の化合物とは異なり、下記化学式2Aで表される第2の化合物と、を有することを特徴とする有機薄膜。
【化1A】
【化2A】
前記化学式1A及び2A中、
11、X12、X21、及びX22は、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、及びNRから選択され、
Ar及びArは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はこれらから選択される2つ以上が融合した融合環を含み、
11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なり、
21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なり、
11~R14、R21~R24、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1であり、
11 、R 12 、R 21 及びR 22 は、以下のi)~iv)から選択される一の条件を満たし、
i)R11及びR21は、それぞれ水素であり、R12とR22とは互いに異なり、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
ii)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり、
iii)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり、又は
iv)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なる。
【請求項2】
前記有機薄膜は、前記第1の化合物と前記第2の化合物との混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
【請求項3】
Ar及びArは、それぞれ独立して、1個~6個の環を含み、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
【請求項4】
Ar及びArは、それぞれ独立して、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環の中から選択される1つであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
[グループ1]
【化G1】
前記グループ1中、
及びYは、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は結合地点である。
【請求項5】
ArとArとは、同一であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
【請求項6】
11とX21とは、同一であり、
12とX22とは、同一であることを特徴とする請求項5に記載の有機薄膜。
【請求項7】
前記第1の化合物と前記第2の化合物とは、10:90~90:10の重量比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
【請求項8】
第3の化合物を更に含み、
前記第3の化合物は、前記第1の化合物及び前記第2の化合物とはそれぞれ異なる置換又は非置換の縮合多環ヘテロ芳香族化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機薄膜を含むことを特徴とする電子素子。
【請求項10】
ゲート電極と、
前記ゲート電極に重複する有機半導体層と、
前記有機半導体層に電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、を備え、
前記有機半導体層は、
下記化学式1Aで表される第1の化合物と、
前記第1の化合物とは異なり、下記化学式2Aで表される第2の化合物と、を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【化1A】
【化2A】
前記化学式1A及び2A中、
11、X12、X21、及びX22は、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、及びNRから選択され、
Ar及びArは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はこれらから選択される2つ以上が融合した融合環を含み、
11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なり、
21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なり、
11~R14、R21~R24、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1であり、
11 、R 12 、R 21 及びR 22 は、以下のi)~iv)から選択される一の条件を満たし、
i)R11及びR21は、それぞれ水素であり、R12とR22とは互いに異なり、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
ii)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり、
iii)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり、又は
iv)R11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なる。
【請求項11】
前記有機半導体層は、前記第1の化合物と前記第2の化合物との混合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
Ar及びArは、それぞれ独立して、1個~6個の環を含み、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項13】
Ar及びArは、それぞれ独立して、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環の中から選択される1つであることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
[グループ1]
【化G1】
前記グループ1中、
及びYは、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は結合地点である。
【請求項14】
ArとArとは、同一であることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
11とX21とは、同一であり、
12とX22とは、同一であることを特徴とする請求項14に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記有機半導体層は、前記第1の化合物と前記第2の化合物とを10:90~90:10の重量比で含むことを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項17】
前記有機半導体層は、第3の化合物を更に含み、
前記第3の化合物は、前記第1の化合物及び前記第2の化合物とはそれぞれ異なる置換又は非置換の縮合多環ヘテロ芳香族化合物であることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項18】
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタを含むことを特徴とする電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜と有機薄膜トランジスタ及び電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置又は有機発光表示装置のような平板表示装置は、スイッチング素子として三端子素子である薄膜トランジスタを含む。このような薄膜トランジスタのうち、ケイ素(Si)のような無機半導体の代わりに、低分子又は高分子のような有機半導体(organic semiconductor)を含む有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor:OTFT)に対する研究が活発に行われている。
【0003】
有機薄膜トランジスタは、有機物質の特性上、繊維(fiber)又は薄膜(film)などの形態で作ることができ、可撓性表示装置(flexible display device)の核心素子として注目されている。また、有機薄膜トランジスタは、インクジェット印刷のような溶液工程(solution process)で製作することができ、蒸着工程だけでは限界のある大面積の平板表示装置にも容易に適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-253080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、有機薄膜、有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタ、及び前記有機薄膜又は前記有機薄膜トランジスタを含む電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機薄膜は、下記化学式1A及び1Bのうちのいずれか1つで表される第1の化合物と、前記第1の化合物とは異なり、下記化学式2A及び2Bのうちのいずれか1つで表される第2の化合物と、を有する。
【化1A-1B】
【化2A-2B】
上記化学式1A、1B、2A、及び2B中、
11、X12、X21、及びX22は、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、及びNRから選択され、
Ar及びArは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はこれらから選択される2つ以上が融合した融合環を含み、
11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なり、
21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なり、
11~R14、R21~R24、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1である。
【0007】
前記有機薄膜は、前記第1の化合物と前記第2の化合物との混合物を含み得る。
Ar及びArは、それぞれ独立して、1個~6個の環を含み、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換又は非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含み得る。
Ar及びArは、それぞれ独立して、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちから選択される1つであり得る。
[グループ1]
【化G1】
上記グループ1中、
及びYは、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、結合地点である。
ArとArとは、同一であり得る。
11とX21とは、同一であり、X12とX22とは、同一であり得る。
11及びR21は、それぞれ水素であり、R12とR22とは、互いに異なり、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり得る。
11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり得る。
11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり得る。
11及びR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R12及びR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なり得る。
12とR22とは互いに異なり、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、及び置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基から選択され得る。
22は、R12よりも長い鎖を有するアルキル基を含み得る。
11とR21とは互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基から選択され得る。
前記第1の化合物と前記第2の化合物とは、約10:90~90:10の重量比で含まれ得る。
前記有機薄膜は、第3の化合物を更に含み、前記第3の化合物は、前記第1の化合物及び前記第2の化合物とはそれぞれ異なる置換又は非置換の縮合多環ヘテロ芳香族化合物であり得る。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子素子は、前記有機薄膜を含む。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機薄膜トランジスタは、ゲート電極と、前記ゲート電極に重複する有機半導体層と、前記有機半導体層に電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、を備え、前記有機半導体層は、前記化学式1A及び1Bのうちのいずれか1つで表される第1の化合物と、前記第1の化合物とは異なり、前記化学式2A及び2Bのうちのいずれか1つで表される第2の化合物と、を含む。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による電子素子は、前記有機薄膜トランジスタを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機薄膜のクラックを減らしたり防止したりして電気的特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)~(C)は一実施形態による有機薄膜トランジスタを示す断面図である。
図2】製造例1による有機薄膜の光学写真である。
図3】比較製造例1による有機薄膜の光学写真である。
図4】比較製造例2による有機薄膜の光学写真である。
図5】製造例2による有機薄膜の光学写真である。
図6】比較製造例3による有機薄膜の光学写真である。
図7】比較製造例4による有機薄膜の光学写真である。
図8】製造例3による有機薄膜の光学写真である。
図9】比較製造例5による有機薄膜の光学写真である。
図10】比較製造例6による有機薄膜の光学写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、実際に適用される構造は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0014】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0015】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという場合、これは他の部分の“直上”にある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるという場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0016】
本明細書で別途の定義がない限り、‘薄膜’とは、1Å~1,000μmの厚さを有する膜又は層である。
【0017】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸又はその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数7~30のアルキルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリール基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0018】
また、本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロ’とは、N、O、S、Se、Te、Si、及びPから選択されるヘテロ原子を1~4個含有したものを意味する。
【0019】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキル基’とは、直鎖又は分岐鎖、飽和、一価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基など)を意味する。
【0020】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルケニル基’とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖、飽和、一価の炭化水素基(例えば、エテニル基)を意味する。
【0021】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキニル基’は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖、飽和、一価の炭化水素基(例えば、エチニル基)を意味する。
【0022】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルコキシ基’は、酸素を介して結合されるアルキル基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、及びsec-ブチルオキシ基を意味する。
【0023】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリール基’は、アレン(arene)の1個以上の環に存在する水素原子の除去により形成される1価の官能基を意味し、例えば、フェニル、ビフェニル、又はナフチルが挙げられる。アレンは、芳香族環を有する炭化水素基であり、単環及び複数環炭化水素基を含み、複数環炭化水素基の付加的な環は、芳香族環又は非芳香族環である。
【0024】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールアルキル基’は、アルキル基で少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換されたことを意味する。
【0025】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキルアリール基’は、アリール基で少なくとも1つの水素原子がアルキル基で置換されたことを意味する。
【0026】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールオキシ基’は、酸素を介して結合されるアリール基を意味し、アリール基の説明は上述の通りである。
【0027】
本明細書で別途の定義がない限り、‘シクロアルキル基’は、全ての構成が炭素である1つ以上の飽和環を有する1価の官能基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基)を意味する。
【0028】
本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロアルキル基’は、上記で定義されたアルキル基のメチレン(-(CH)-)が、-O-、-S-、-S(=O)-、-Se-、-Te-、又は-NR-(ここで、Rは、互いに独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基である)で置換されたことを意味する。
【0029】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アリールヘテロアルキル基’は、上記で定義されたヘテロアルキル基の少なくとも1つの水素原子がアリール基で置換されたことを意味する。
【0030】
本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロアリールアルキル基’は、上記で定義された通りにアルキル基の少なくとも1つの水素原子がヘテロアリール基で置換されたことを意味する。
【0031】
本明細書で別途の定義がない限り、‘アルキルヘテロアリール基’は、ヘテロアリール基で少なくとも1つの水素原子がアルキル基で置換されたことを意味する。
【0032】
本明細書で別途の定義がない限り、‘芳香族環’とは、環状の官能基の全ての元素がp-オビタルを有し、これらp-オビタルが共役(conjugation)を形成する官能基を意味する。例えば、芳香族環は、炭素数6~20のアリール基である。
【0033】
以下、一実施形態による有機薄膜を説明する。
【0034】
一実施形態による有機薄膜は、互いに異なる複数の縮合多環ヘテロ芳香族化合物を含み、下記化学式1A及び1Bのうちのいずれか1つで表される第1の化合物と、第1の化合物とは異なり、下記化学式2A及び2Bのうちのいずれか1つで表される第2の化合物と、を有する。
【0035】
【化1A-1B】
【化2A-2B】
【0036】
上記化学式1A、1B、2A、及び2B中、
11、X12、X21、及びX22は、それぞれ独立して、O、S、Se、Te、及びNRから選択され、
Ar及びArは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン、少なくとも1つの置換又は非置換のフラン、少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン、少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェン、又はこれらから選択される2つ以上が融合した融合環を含み、
11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なり、
21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なり、
11~R14、R21~R24、及びRは、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせであり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0又は1である。
【0037】
一例として、第1の化合物及び第2の化合物は有機薄膜内に混合される。例えば、第1の化合物及び第2の化合物は、共蒸着で形成されるか、又は第1の化合物と第2の化合物とを含む混合溶液を用いた溶液工程で形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
有機薄膜は、互いに異なる構造を有する第1の化合物と第2の化合物とを含むことにより、単一物質からなる薄膜と比較して膜の緻密性を低くすることができ、そのため、分子の自由度を増加させて薄膜の柔軟性(film flexibility)を効果的に改善することができる。これにより、有機薄膜の表面でクラックの発生を効果的に減らしたり防止したりしてクラックによる電気的特性の損失を防止することができる。
【0039】
第1の化合物と第2の化合物とは、互いに同一又は異なる縮合多環ヘテロ芳香族環をコアに含み得る。
【0040】
一例として、第1の化合物及び第2の化合物は、同一の縮合多環ヘテロ芳香族環をコアに含む。
【0041】
一例として、第1の化合物と第2の化合物とは、互いに異なる縮合多環ヘテロ芳香族環をコアに含む。
【0042】
一例として、上記化学式1A~2B中、n1及び/又はn2は0であり、これにより、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、4個の環が融合した縮合多環芳香族環をコア構造に含む縮合多環芳香族化合物である。
【0043】
一例として、上記化学式1A~2B中、n1及び/又はn2は1であり、これにより、化合物は5個以上の環が融合した縮合多環芳香族環をコア構造に含む縮合多環芳香族化合物である。例えば、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、5個~12個の環が融合した縮合多環芳香族環をコア構造に含む縮合多環芳香族化合物であり、上記範囲内で、例えば5個~10個の環が融合した縮合多環芳香族環をコア構造に含む縮合多環芳香族化合物である。
【0044】
一例として、上記化学式1A~2B中、Ar及びArは、それぞれ独立して、1個~8個の環、上記範囲内で、例えば1個~6個の環を有し、例えば、それぞれ独立して、置換又は非置換のベンゼン;置換又は非置換のフラン;置換又は非置換のチオフェン;置換又は非置換のセレノフェン;置換又は非置換のテルロフェン;置換又は非置換のナフタレン;置換又は非置換のアントラセン;置換又は非置換のテトラセン;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン及び少なくとも1つの置換又は非置換のフランの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン及び少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン及び少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のベンゼン及び少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの融合環;少なくとも二つの置換又は非置換のフランの融合環;少なくとも二つの置換又は非置換のチオフェンの融合環;少なくとも二つの置換又は非置換のセレノフェンの融合環;少なくとも二つの置換又は非置換のテルロフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフラン及び少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフラン及び少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のフラン及び少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン及び少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のチオフェン及び少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの融合環;少なくとも1つの置換又は非置換のセレノフェン及び少なくとも1つの置換又は非置換のテルロフェンの融合環であるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
一例として、上記化学式1A~2B中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のセレノフェン、及び置換及び非置換のテルロフェンのうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
一例として、Ar及びArは、それぞれ独立して、下記グループ1に列記された置換又は非置換の環のうちの1つであるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
[グループ1]
【化G1】
【0048】
上記グループ1中、
及びYは、それぞれ独立して、O、S、Se、及びTeから選択され、
*は、結合地点である。
【0049】
一例として、グループ1の各環において、YとYとは互いに同一である。
【0050】
例えば、Y及びYは、それぞれOである。
【0051】
例えば、Y及びYは、それぞれSである。
【0052】
例えば、Y及びYは、それぞれSeである。
【0053】
例えば、Y及びYは、それぞれTeである。
【0054】
一例として、グループ1の環において、YとYとは互いに異なる。
【0055】
例えば、Y及びYは、いずれか一方がSであり、他方がOである。
【0056】
例えば、Y及びYは、いずれか一方がO、又はSであり、他方がSe、又はTeである。
【0057】
例えば、Y及びYは、いずれか一方がSeであり、他方がTeである。
【0058】
一例として、上記化学式1A~2B中、Ar及びArは同一である。
【0059】
一例として、上記化学式1A~2B中、Ar及びArは同一であり、X11とX21とは同一であり、X12とX22とは同一である。即ち、第1の化合物及び第2の化合物は、同じ構造の縮合多環ヘテロ芳香族環をコアに含む。
【0060】
第1の化合物は、縮合多環ヘテロ芳香族環に結合された1つ以上の置換基を有し、置換基のうちの少なくとも1つは非対称に位置し得る。ここで‘非対称に位置’とは、縮合多環ヘテロ芳香族環を中心に互いに対応する位置に同じ置換基を有さないことを意味する。
【0061】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なる。
【0062】
例えば、R11とR12とは互いに異なる。
【0063】
例えば、R13とR14とは互いに異なる。
【0064】
例えば、R11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは同一である。
【0065】
例えば、R13とR14とは互いに異なり、R11とR12とは互いに同一である。
【0066】
例えば、R11とR12とは互いに異なり、R13とR14とは互いに異なる。
【0067】
第2の化合物は、縮合多環芳香族環に結合された1つ以上の置換基を有し、置換基のうちの少なくとも1つは非対称に位置し得る。
【0068】
一例として、上記化学式2A又は2B中、R21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なる。
【0069】
例えば、R21とR22とは互いに異なる。
【0070】
例えば、R23とR24とは互いに異なる。
【0071】
例えば、R21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは同一である。
【0072】
例えば、R23とR24とは互いに異なり、R21とR22とは同一である。
【0073】
例えば、R21とR22とは互いに異なり、R23とR24とは互いに異なる。
【0074】
このように非対称に位置する置換基を有する縮合多環芳香族化合物は、所定の温度区間で液晶性を示して熱処理時に分子の整列度を高めることができ、これにより、有機薄膜の電荷移動度を改善することができる。ここで液晶性は、例えばスメクチック液晶性であってもよく、例えばスメクチック液晶性及びネマチック液晶性であってもよい。このような液晶性は比較的低い温度区間で現れるため、工程温度を低くすることができる。例えば、第1の化合物及び第2の化合物は、それぞれ400度以下で液晶性を示し、例えば150度~350度、例えば180度~300度、例えば200度~280度で液晶性を示す。また、所定温度での追加のアニーリングにより分子の整列度を更に高めることができ、これにより、第1の化合物と第2の化合物とを含む有機薄膜の電荷移動度を更に改善することができる。
【0075】
一例として、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、縮合多環芳香族環の一側のみに置換基を有する。
【0076】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R11は水素であり、R12は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0077】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R13は水素であり、R14は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0078】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R21は水素であり、R22は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0079】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R23は水素であり、R24は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0080】
一例として、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、縮合多環芳香族環の一方に線状置換基を有し、他方に非線状置換基を有する。
【0081】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R11は、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12は、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0082】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R13は、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R14は、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0083】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R21は、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R22は、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0084】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R23は、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R24は、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせである。
【0085】
一例として、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、縮合多環芳香族環の一方に非環状置換基を有し、他方に環状置換基を有する。
【0086】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R11は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R12は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0087】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R13は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R14は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0088】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R21は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R22は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0089】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R23は、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、R24は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0090】
一例として、第1の化合物及び/又は第2の化合物は、縮合多環芳香族環の一方に環状置換基を有し、他方にヘテロ環状置換基を有する。
【0091】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R11は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R12は、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0092】
例えば、上記化学式1A又は1B中、R13は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R14は、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0093】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R21は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R22は、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0094】
例えば、上記化学式2A又は2B中、R23は、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R24は、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせである。
【0095】
第1の化合物の少なくとも1つの置換基と第2の化合物の少なくとも1つの置換基とは、互いに異なってもよい。
【0096】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11と上記化学式2A又は2B中のR21とは、互いに異なる。
【0097】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR12と上記化学式2A又は2B中のR22とは、互いに異なる。
【0098】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11と上記化学式2A又は2B中のR21とは互いに同一であり、上記化学式1A又は1B中のR12と上記化学式2A又は2B中のR22とは互いに異なる。
【0099】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR12と上記化学式2A又は2B中のR22とは互いに同一であり、上記化学式1A又は1B中のR11と上記化学式2A又は2B中のR12とは互いに異なる。
【0100】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11と上記化学式2A又は2B中のR21とは互いに異なり、上記化学式1A又は1B中のR12と上記化学式2A又は2B中のR22とは互いに異なる。
【0101】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11及び上記化学式2A又は2B中のR21は、それぞれ水素であり、上記化学式1A又は1B中のR12と上記化学式2A又は2B中のR22とは、互いに異なり、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、又はこれらの組み合わせである。
【0102】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11及び上記化学式2A又は2B中のR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30の直鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30の直鎖アルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、上記化学式1A又は1B中のR12及び上記化学式2A又は2B中のR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30の分岐鎖アルキニル基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なる。
【0103】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11及び上記化学式2A又は2B中のR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換又は非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、又はこれらの組み合わせであり、上記化学式1A又は1B中のR12及び上記化学式2A又は2B中のR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なる。
【0104】
一例として、上記化学式1A又は1B中のR11及び上記化学式2A又は2B中のR21は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、又はこれらの組み合わせであり、上記化学式1A又は1B中のR12及び上記化学式2A又は2B中のR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロシクロアルケニル基、置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基、置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基、又はこれらの組み合わせであり、R11とR21とは互いに異なり、R12とR22とは互いに異なる。
【0105】
一例として、第1の化合物の少なくとも1つの置換基及び第2の化合物の少なくとも1つの置換基は、それぞれ、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、及び置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基から選択され、このとき、第1の化合物の置換基に含まれるアルキル基と第2の化合物の置換基に含まれるアルキル基との鎖長さが異なる。
【0106】
例えば、上記化学式1A又は1B中のR12及び上記化学式2A又は2B中のR22は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、及び置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基から選択され、このとき、R22は、R12よりも長い鎖を有するアルキル基を含む。例えば、R12及びR22に含まれるアルキル基は、それぞれ、炭素数3~20のアルキル基、炭素数6~20のアルキル基、又は炭素数8~20のアルキル基であり、ここで、R22は、R12よりも長い鎖を有するアルキル基を含む。このとき、上記化学式1A又は1B中のR11と上記化学式2A又は2B中のR21とは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基から選択される。
【0107】
一例として、上記化学式1A又は1B中、R13及びR14は、それぞれ水素であり、第1の化合物は、下記化学式1A-1又は1B-1で表される。
【0108】
【化(1A-1)-(1B-1)】
【0109】
上記化学式1A-1又は1B-1中、
11、X12、Ar、及びn1は、上述した通りであり、
11とR12とは互いに異なり、上述した通りである。
【0110】
一例として、上記化学式2A又は2B中、R23及びR24は、それぞれ水素であり、第2の化合物は、下記化学式2A-1又は2B-1で表される。
【0111】
【化(2A-1)-(2B-1)】
【0112】
上記化学式2A-1又は2B-1中、
21、X22、Ar、及びn2は、上述した通りであり、
21とR22とは互いに異なり、上述した通りである。
【0113】
一例として、第1の化合物は、下記グループ2に列記された化合物のうちの1つであるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
[グループ2]
【化G2】
【0115】
上記グループ2中、X11、X12、Y、及びYの定義は、上述した通りであり、
11とR12とは互いに異なり、上述した通りである。
【0116】
一例として、第2の化合物は、下記グループ3に列記された化合物のうちの1つであるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
[グループ3]
【化G3】
【0118】
上記グループ3中、X21、X22、Y、及びYの定義は、上述した通りであり、
21とR22とは互いに異なり、上述した通りである。
【0119】
11とR21とは互いに異なってもよく、R12とR22は互いに異なってもよい。
【0120】
一例として、上記グループ2及び3中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数6~30のアリール基、及び置換又は非置換の炭素数3~30のヘテロアリール基から選択される1つであり、R12及びR22は、独立して、置換又は非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換の炭素数7~30のアルキルアリール基、及び置換又は非置換の炭素数4~30のアルキルヘテロアリール基から選択される1つであり、R22は、R12よりも長い鎖を有するアルキル基を含む。
【0121】
第1の化合物と第2の化合物とは、有機薄膜内に多様な比率で含まれ得る、例えば、第1の化合物と第2の化合物とは、10:90~90:10の重量比で含まれ、このような範囲内で、例えば20:80~80:20、30:70~70:30、40:60~60:40、又は50:50の重量比で含まれる。
【0122】
有機薄膜は、厚さ方向に沿って、第1の化合物と第2の化合物との組成比が異なり、例えば、第1の化合物と第2の化合物との組成比は段階的に変わり、連続的又は非連続的に変わる。
【0123】
有機薄膜は、第1の化合物と第2の化合物とを共蒸着して形成することができる。例えば、第1の化合物の入った第1の蒸着用ルツボと第2の化合物の入った第2の蒸着用ルツボとを真空蒸着装置に用意し、基板の温度を所定温度まで上昇させた後、第1の蒸着用ルツボ及び第2の蒸着用ルツボを加熱して第1の化合物及び第2の化合物が所定の蒸着速度に達した時点でメインシャッターを開けて共蒸着を開始する。ここで基板温度は、例えば50℃~250℃であり、第1の化合物及び第2の化合物の蒸着速度は、それぞれ独立して、約0.01Å/s~1.0Å/sである。
【0124】
第1の化合物及び第2の化合物の蒸着速度を所望の値に設定することで、共蒸着中に第1の化合物と第2の化合物との比率を調節することができる。また、共蒸着中に第1の化合物及び/又は第2の化合物の蒸着速度を変更することで、有機薄膜の厚さ方向に沿って第1の化合物と第2の化合物との組成比を変化させることもできる。ここで有機薄膜の厚さ方向に沿って、第1の化合物と第2の化合物との組成比は、段階的に変わり、連続的又は非連続的に変わる。共蒸着は、要求される膜の厚さに達した時点で、メインシャッターを閉じることによって完了し、追加的にホットプレート又はオーブンで後続熱処理を行うこともできる。
【0125】
有機薄膜は、第1の化合物と第2の化合物とを含む溶液から溶液工程で形成することができる。第1の化合物及び第2の化合物は、それぞれの溶媒に溶かした第1溶液及び第2溶液を用意した後、第1溶液と第2溶液とを混合して混合溶液を用意することもでき、第1の化合物及び第2の化合物を同時に溶解する溶媒に溶かして混合溶液を用意することもできる。溶液工程としては、例えば、スピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷、又はディップコーティングなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
有機薄膜は、第1の化合物及び第2の化合物とは異なる第3の化合物を更に含み得る。第3の化合物は、例えば、置換又は非置換の縮合多環ヘテロ芳香族化合物である。
【0127】
有機薄膜は、有機半導体薄膜であり、多様な電子素子に適用され得る。例えば、化合物は、有機薄膜トランジスタに適用され、太陽電池、有機発光表示装置、及び有機センサーのような電子素子で電荷輸送層及び/又は活性層に適用される。
【0128】
以下、上述した化合物を含む有機薄膜トランジスタの一例について図面を参照して説明する。
【0129】
図面において、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体に亘って、類似の部分については同一の参照符号を付与する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという場合、これは他の部分の“直上”にある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるという場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0130】
図1(A)~(C)は、一実施形態による有機薄膜トランジスタを示す断面図である。
【0131】
図1(A)を参照すると、本実施形態による有機薄膜トランジスタは、基板110と、基板110の上に形成されたゲート電極124と、ゲート電極124の上に形成されたゲート絶縁膜140と、ゲート絶縁膜140の上に形成された有機半導体層154と、有機半導体層154の上に形成されたソース電極173及びドレイン電極175と、を含む。
【0132】
透明なガラス、シリコン、又はプラスチックなどで作られた基板110の上にゲート電極124が形成される。ゲート電極124は、ゲート信号を伝達するゲート線(図示せず)に連結される。ゲート電極124は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせで作られる。
【0133】
ゲート電極124の上には、ゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140は、有機物質及び/又は無機物質で作られ、有機物質の例としては、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)系化合物、ポリイミド(polyimide)系化合物、ポリアクリール(polyacryl)系化合物、ポリスチレン(polystyrene)系化合物、ベンゾシクロブタン(benzocyclobutane、BCB)などの溶解性高分子化合物が挙げられ、無機物質の例としては、窒化ケイ素(SiN)、及び酸化ケイ素(SiO)が挙げられる。
【0134】
ゲート絶縁膜140の上には、有機半導体層154が形成される。有機半導体層154は、上述した有機薄膜である。
【0135】
有機半導体層154の上には、ソース電極173及びドレイン電極175が形成される。ソース電極173及びドレイン電極175は、有機半導体層154の上に対向して形成される。ソース電極173は、データ信号を伝達するデータ線(図示せず)に連結される。ソース電極173及びドレイン電極175は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、これらの合金、又はこれらの組み合わせで作られる。
【0136】
図1(B)を参照すると、本実施形態による有機薄膜トランジスタは、基板110と、基板110の上に形成された有機半導体層154と、有機半導体層154に電気的に連結されるソース電極173及びドレイン電極175と、有機半導体層154の上に形成されたゲート絶縁膜140と、ゲート絶縁膜140の上に形成されたゲート電極124と、を含む。
【0137】
図1(C)を参照すると、本実施形態による有機薄膜トランジスタは、第1ゲート電極125が集積された基板110と、基板110の上に形成された第1ゲート絶縁膜141と、第1ゲート絶縁膜141の上に形成された有機半導体層154と、有機半導体層154に電気的に連結されるソース電極173及びドレイン電極175と、有機半導体層154、ソース電極173、及びドレイン電極175の上に形成された第2ゲート絶縁膜140と、第2ゲート絶縁膜140の上に形成された第2ゲート電極124と、を含む。
【0138】
ここでは、有機薄膜トランジスタの図1(A)~(C)に図示する実施例による薄膜トランジスタを例として説明したが、これらに限定されず、全ての構造の有機薄膜トランジスタにも同様に適用可能である。
【0139】
有機薄膜トランジスタは、多様な電子素子におけるスイッチング素子及び/又は駆動素子に適用され得る。電子素子は、例えば、液晶表示装置、有機発光表示装置、電気泳動表示装置、有機光電素子、及び有機センサーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0140】
〔実施例〕
【0141】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の権利範囲を限定するものではない。
【0142】
≪合成例≫
【0143】
<合成例1>
【0144】
[反応式1]
【化C1】
【0145】
<中間体I-1の合成>
【0146】
4-ブロモ-2-(4-オクチルフェニル)チオフェン(4-bromo-2-(4-octylphenyl)thiophene)(7.04g、20.0mmol)をドライテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、-78℃に冷却する。LDA(2M solution)(12.02ml、24mmol)をゆっくり滴下した後、チエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボアルデヒド(thieno[3,2-b]thiophene-2-carbaldehyde)(3.07g、20.0mmol)を添加する。次いで、温度を徐々に上げ、常温で12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド(ammonium chloride)飽和溶液100mLを加えた後、酢酸エチル(ethyl acetate)で抽出した後、水で数回洗浄する。次に、硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)で乾燥及びろ過した後、酢酸エチル溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-1を得た。収率は89%である。
【0147】
<中間体I-2の合成>
【0148】
中間体I-1(9.26g、17.8mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに溶かした後、ZnI(9.10g、28.5mmol)及びNaCNBH(7.84g、124.8mmol)を徐々に加えた。上記混合物を常温で24時間攪拌した後、そこにアンモニウムクロリド(ammonium chloride)飽和溶液200mLを加えて反応を終了する。次いで、ジクロロメタン(dichloromethane)で抽出した後、水で数回洗浄する。次に、MgSOで乾燥及び減圧濃縮して、黄色オイルを得た。この物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-2を得た。収率は89%である。
【0149】
<中間体I-3の合成>
【0150】
中間体I-2(8.63g、17.1mmol)を300mLドライテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、-78℃に冷却する。そこにLDA(2M solution)(10.3ml、20.6mmol)をゆっくり滴下した後、3-bromothiophene-2-carbaldehyde(3.6g、18.9mmol)を添加する。次いで、温度を徐々に上げ、常温で12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド(ammonium chloride)飽和溶液100mLを加えた後、ジクロロメタン(dichloromethane)で抽出し、水で数回洗浄する。次に、硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)で乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-3を得た。収率は49%である。
【0151】
<中間体I-4の合成>
【0152】
中間体I-3(5.2g、7.4mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに溶かした後、ZnI(3.8g、11.9mmol)及びNaCNBH(3.3g、52.1mmol)を徐々に加えた。上記混合物を常温で24時間攪拌した後、アンモニウムクロリド飽和溶液及び水でそれぞれ洗浄した後、MgSOで乾燥及び減圧濃縮して、黄色オイルを得た。該物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-4を得た。収率は98%である。
【0153】
<中間体I-5の合成>
【0154】
中間体I-4(0.3g、0.44mmol)をN-メチルピロリドン(N-Methylpyrrolidone)6mlに溶かした後、シアン化第一銅(CuCN)(0.16g、1.8mmol)を入れて、マイクロウエーブ反応機に50W、180℃で2時間放置する。反応終了後、1N HCl溶液に注ぎ、30分間攪拌する。次いで、固体をろ過し、ジクロロメタン(dichloromethane)で抽出した後、水で洗浄する。次に、硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)で乾燥した後、セルライト(celite)及びシリカ(silica)を使用して短経路カラム(short path column)を行い、中間体I-5を得た。収率は81%である。
【0155】
<中間体I-6の合成>
【0156】
中間体I-5(1.6g、4.2mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)200mLに溶かした後、0℃に温度を下げる。次いで、そこにジイソブチルアルミニウムハイドライド(Diisobutylaluminium hydride:DIBALH、1.0M solution in cyclohexane)(10.1ml、10.1mmol)を入れて、4時間攪拌する。次に、反応溶液をメタノールと水との混合溶液(Methanol:water=2:1)に注ぎ、反応を終了した後、ジクロロメタン(dichloromethane)で抽出し、水及びブライン(brine)で洗浄する。次に、有機層をMgSOで乾燥及び減圧濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、中間体I-6を得た。収率は91%である。
【0157】
<化合物1の合成>
【0158】
中間体I-6(1.1g、1.9mmol)を100mLベンゼン(benzene)に溶かし、アンバーリスト15(Amberlyst 15、1.1g)を加えた後、上記混合物を攪拌還流させながらディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap)を用いて水を除去する。24時間程度経過後、生成された淡い黄色液体の温度を常温に下げて、白い沈殿を形成させる。沈殿した浮遊物をフィルターでろ過して回収した後、ヘキサンとクロロホルムとの混合溶液で再結晶精製して、白い固体の化合物1を得た。収率は72%である。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)540.248(M+)
【0159】
≪合成例2≫
【0160】
[反応式2]
【化C2】
【0161】
4-ブロモ-2-(4-オクチルフェニル)チオフェンの代わりに4-ブロモ-2-(4-ドデシルフェニル)チオフェンを使用したことを除いて、合成例1と同様の方法で合成して、化合物2を得た。総収率は20%である。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)596.318(M+)
【0162】
≪合成例3≫
【0163】
[反応式3]
【化C3】
【0164】
<中間体I-14の合成>
【0165】
4-ブロモ-2-フェニルチオフェン(4-bromo-2-phenylthiophene)(6g、25.1mmol)をドライテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、-78℃に冷却する。LDA(2M solution)(15.1ml、30mmol)をゆっくり滴下した後、中間体I-13(12.1g、25.1mmol)を添加する。次いで、温度を徐々に上げ、常温で12時間攪拌する。そこにアンモニウムクロリド(ammonium chloride)飽和溶液100mLを加えた後、酢酸エチル(ethyl acetate)で抽出した後、水で数回洗浄する。硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)で乾燥及びろ過し、酢酸エチル溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-14を得た。収率は67%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.53(d、2H)、7.43(m、2H)、7.31(d、1H)、7.17(s、1H)、7.13(s、1H)、7.01(s、1H)、6.6(s、1H)、6.37(d、1H)、4.26(s、2H)、2.68(t、2H)、1.58(m、2H)、1.27(m、14H)、0.87(t、3H)
【0166】
<中間体I-15の合成>
【0167】
中間体I-14(10g、13.84mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)700mLに溶かした後、そこにZnI(7.07g、23.5mmol)及びNaCNBH(6.09g、96.86mmol)を徐々に加えた。次いで、上記混合物を常温で24時間攪拌した後、セライトパッド(Celite pad)を通過させて濾液をアンモニウムクロリド飽和溶液及び水でそれぞれ洗浄した後、MgSOで乾燥及び減圧濃縮して、黄色オイルを得た。得られた物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-15を得た。収率は92%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.50(d、2H)、7.35(m、2H)、7.28(m、1H)、7.13(s、1H)、7.03(s、1H)、7.0(s、1H)、6.6(s、1H)、6.37(d、1H)、4.33(s、2H)、4.26(s、2H)、2.69(t、2H)、1.55(m、2H)、1.27(m、14H)、0.87(t、3H)
【0168】
<中間体I-16の合成>
【0169】
中間体I-15(9g、12.73mmol)をN-メチルピロリドン(N-Methylpyrrolidone)135mlに溶かした後、シアン化第一銅(CuCN)(3.42g、38.2mmol)を入れて、マイクロウエーブ反応機で50W、185℃で2時間反応させる。反応終了後、そこに1N HCl溶液を注ぎ、30分間攪拌する。その後、得られた固体をろ過し、クロロホルム(CHCl)で抽出した後、水で洗浄する。次に、硫酸マグネシウム(Magnesium sulfate)で乾燥及びろ過し、クロロホルム溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、中間体I-16を得た。収率は60%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm7.49(d、2H)、7.38(m、2H)、7.34(d、1H)、7.29(s、1H)、7.11(s、1H)、7.06(s、1H)、6.79(s、1H)、4.55(s、2H)、4.48(s、2H)、2.70(t、2H)、1.59(m、2H)、1.27(m、14H)、0.86(t、3H)
【0170】
<中間体I-17の合成>
【0171】
中間体I-16(4.56g、7.61mmol)をジクロロメタン(dichloromethane)600mLに溶かした後、0℃に温度を下げる。そこにジイソブチルアルミニウムハイドライド(diisobutylaluminium hydride:DIBALH、1.0M solution in cyclohexane)(18.27ml、18.27mmol)を入れて、2時間攪拌する。次いで、5%クエン酸(citric acid)を注ぎ、反応を終了した後、クロロホルム(CHCl)で抽出し、水及びブライン(brine)で洗浄する。その後、有機層をMgSOで乾燥及び減圧濃縮した後、得られた物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、中間体I-17を得た。収率は67%である。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δppm10.1(s、1H)、9.99(s、1H)、7.59(s、1H)、7.55(d、2H)、7.37(m、2H)、7.31(m、1H)、7.06(d、2H)、7.01(s、1H)、4.76(s、2H)、4.69(s、2H)、2.71(t、2H)、1.62(m、2H)、1.28(m、14H)、0.87(t、3H)
【0172】
<化合物3の合成>
【0173】
中間体I-17(3.1g、5.12mmol)を300mLベンゼン(benzene)に溶かし、アンバーリスト15(Amberlyst 15、3.1g)を加えた後、上記混合物を攪拌還流させながらディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap)を用いて水を除去する。24時間程度経過後、淡い黄色の固体が沈殿する。温度を常温に下げて、アンバーリスト15(Amberlyst 15)を沈殿させ、浮遊物を取り出してろ過することによって所望の黄色固体の化合物3を得た。収率は50%である。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)540.174(M+)
【0174】
≪合成例4≫
【0175】
[反応式4]
【化C4】
【0176】
中間体I-13の代わりに中間体I-18を使用したことを除いて、合成例3と同様の方法で合成して、化合物4を得た。総収率は15%である。
MS(MALDI-TOF-MS、m/z)596.421(M+)
【0177】
≪有機薄膜の形成≫
【0178】
<製造例1>
【0179】
先ず、洗浄されたSiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板をOプラズマに露出させた後、ヘキサンで4mM濃度に希釈したオクタデシルトリクロロシラン溶液に浸して表面を疎水性に変化させる。次いで、合成例1で得られた化合物の入ったルツボ及び合成例2で得られた化合物の入ったルツボをそれぞれ加熱し、基板温度135℃でメインシャッターを開けて共蒸着を行って600Å厚さの有機薄膜を製造する。ここで、合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との蒸着速度比率は1:1であり、これによって有機薄膜内の合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との重量比は約1:1である。
【0180】
<比較製造例1>
【0181】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例1で得られた化合物のみを単独で蒸着したことを除いて、製造例1と同様の方法で有機薄膜を製造した。
【0182】
<比較製造例2>
【0183】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物のみを単独で蒸着したことを除いて、製造例1と同様の方法で有機薄膜を製造した。
【0184】
<製造例2>
【0185】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物を、それぞれ0.05重量%の濃度にo-ジクロロベンゼン(o-dichlorobenzene)に溶かして溶液を用意する。
【0186】
SiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板とシリコンウェハー基板の上部に配置したガラス基板との間に上記溶液を滴下し、ギャップキャスト(gap-cast)方法でシリコンウェハー基板上に有機薄膜を形成する(ギャップキャスト方法については、ADVANCED MATERIALS誌、2011年、23巻、1626-1629ページ参照)。次いで、製造した有機薄膜を窒素グローブボックス内のホットプレートで、120℃の温度で4時間アニーリングする。ここで、合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との溶液中の重量比は約1:1であり、これによって有機薄膜内の合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との重量比は約1:1である。
【0187】
<比較製造例3>
【0188】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例1で得られた化合物のみを含む溶液を使用したことを除いて、製造例2と同様の方法で有機薄膜を製造する。
【0189】
<比較製造例4>
【0190】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物のみを含む溶液を使用したことを除いて、製造例2と同様の方法で有機薄膜を製造する。
【0191】
<製造例3>
【0192】
先ず、洗浄されたSiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板をOプラズマに露出させた後、ヘキサンで4mM濃度に希釈したオクタデシルトリクロロシラン溶液に浸して表面を疎水性に変化させる。次いで、合成例3で得られた化合物の入ったルツボ及び合成例4で得られた化合物の入ったルツボをそれぞれ加熱し、基板温度170℃でメインシャッターを開けて共蒸着を行って600Å厚さの有機薄膜を製造する。ここで、合成例3で得られた化合物と合成例4で得られた化合物との蒸着速度比率は1:3であり、これによって有機薄膜内の合成例3で得られた化合物と合成例4で得られた化合物との重量比は約1:3である。その後、有機薄膜を窒素グローブボックス内のホットプレートで、210℃の温度で2時間アニーリングする。
【0193】
<比較製造例5>
【0194】
合成例3で得られた化合物及び合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例3で得られた化合物のみを単独で蒸着したことを除いて、製造例3と同様の方法で有機薄膜を製造した。
【0195】
<比較製造例6>
【0196】
合成例3で得られた化合物及び合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例4で得られた化合物のみを単独で蒸着したことを除いて、製造例3と同様の方法で有機薄膜を製造した。
【0197】
<評価I>
【0198】
製造例及び比較製造例による有機薄膜のクラックの発生程度を確認する。
【0199】
有機薄膜のクラックの発生程度は、製造例及び比較製造例による有機薄膜の表面を、光学顕微鏡(OLYMPUS社製、MX51)を用いて観察する。
【0200】
図2は、製造例1による有機薄膜の光学写真であり、図3は、比較製造例1による有機薄膜の光学写真であり、図4は、比較製造例2による有機薄膜の光学写真である。
【0201】
図2図4を参照すると、製造例1による有機薄膜では、殆どクラックは観察されないが、比較製造例1、2による有機薄膜では、多数のクラックが観察されることを確認することができた。
【0202】
図5は、製造例2による有機薄膜の光学写真であり、図6は、比較製造例3による有機薄膜の光学写真であり、図7は、比較製造例4による有機薄膜の光学写真である。
【0203】
図5図7を参照すると、製造例2による有機薄膜では、殆どクラックは観察されないが、比較製造例3、4による有機薄膜では、多数のクラックが観察されることを確認することができた。
【0204】
図8は、製造例3による有機薄膜の光学写真であり、図9は、比較製造例5による有機薄膜の光学写真であり、図10は、比較製造例6による有機薄膜の光学写真である。
【0205】
図8~10を参照すると、製造例3による有機薄膜は、比較製造例5、6による有機薄膜と比較して、著しくクラックが減少したことを確認することができた。
【0206】
≪有機薄膜トランジスタの製造≫
【0207】
<実施例1>
【0208】
先ず、洗浄されたSiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板をOプラズマに露出させた後、ヘキサンで4mM濃度に希釈したオクタデシルトリクロロシラン溶液に浸して表面を疎水性に変化させる。次いで、合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物を、基板温度135℃、真空気相蒸着で、500Å厚さに共蒸着して有機半導体層を形成する。このとき、合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との蒸着速度は、それぞれ0.10Å/sであり、これによって有機半導体層は、合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物とを1:1の重量比で含む。その後、有機半導体層の上にシャドマスクを用いて、金(Au)でソース及びドレイン電極を1000Å厚さに蒸着して、有機薄膜トランジスタを製作した。
【0209】
<比較例1>
【0210】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例1で得られた化合物のみを単独で蒸着して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0211】
<比較例2>
【0212】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物の代わりに、合成例2で得られた化合物のみを単独で蒸着して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例1と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0213】
<実施例2>
【0214】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物を、それぞれ0.05重量%の濃度にo-ジクロロベンゼンに溶かして溶液を用意する。
【0215】
先ず、洗浄されたSiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板とシリコンウェハー基板の上部に配置したガラス基板との間に上記溶液を滴下し、ギャップキャスト方法でシリコンウェハー基板上に約300Å厚さの有機半導体層を形成する(ギャップキャスト方法については、ADVANCED MATERIALS誌、2011年、23巻、1626-1629ページ参照)。次いで、有機半導体層を、窒素グローブボックス内のホットプレートで、120℃の温度で4時間アニーリングする。ここで、合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物との溶液中の重量比は約1:1であり、これによって有機半導体層は合成例1で得られた化合物と合成例2で得られた化合物とを約1:1の重量比で含む。その後、有機半導体層の上にシャドマスクを用いて、金(Au)でソース及びドレイン電極を1000Å厚さに蒸着して、有機薄膜トランジスタを製作した。
【0216】
<比較例3>
【0217】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物を含む混合溶液の代わりに、合成例1で得られた化合物のみを含む溶液を使用して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例2と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0218】
<比較例4>
【0219】
合成例1で得られた化合物及び合成例2で得られた化合物を含む混合溶液の代わりに、合成例2で得られた化合物のみを含む溶液を使用して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例2と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0220】
<実施例3>
【0221】
先ず、洗浄されたSiOが3000Åで覆われたシリコンウェハー基板をOプラズマに露出させた後、ヘキサンで4mM濃度に希釈したオクタデシルトリクロロシラン溶液に浸して表面を疎水性に変化させる。次いで、合成例3で得られた化合物及び合成例4で得られた化合物を、基板温度170℃で、真空気相蒸着により、500Å厚さに共蒸着して有機半導体層を形成する。その後、有機半導体層を、窒素グローブボックス内のホットプレートで、120℃の温度で4時間アニーリングする。このとき、合成例3で得られた化合物と合成例4で得られた化合物との蒸着速度は、それぞれ0.05Å/s及び0.15Å/s(蒸着速度比率は1:3)であり、これによって有機半導体層は合成例3で得られた化合物と合成例4で得られた化合物とを約1:3の重量比で含む。次に、窒素グローブボックス内のホットプレートで、210℃温度で2時間アニーリングする。その後、有機半導体層の上にシャドマスクを用いて、金(Au)でソース及びドレイン電極を1000Å厚さに蒸着して、有機薄膜トランジスタを製作した。
【0222】
<比較例5>
【0223】
合成例3で得られた化合物及び合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例3で得られた化合物のみを単独で蒸着して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例3と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0224】
<比較例6>
【0225】
合成例3で得られた化合物及び合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例4で得られた化合物のみを単独で蒸着して有機半導体層を形成したことを除いて、実施例3と同様の方法で、有機薄膜トランジスタを製造した。
【0226】
<評価II>
【0227】
実施例及び比較例による薄膜トランジスタの電気的特性を計算する。
【0228】
薄膜トランジスタの電荷移動度は、飽和領域(saturation region)電流式から(ISD1/2及びVを変数としたグラフを得て、その傾きから求める。
【0229】
【数1】
【0230】
上記の式で、ISDはソース-ドレイン電流であり、μ又はμFETは電荷移動度であり、Cはゲート絶縁膜の静電容量であり、Wはチャンネル幅であり、Lはチャンネルの長さであり、Vはゲート電圧であり、Vはしきい値電圧である。
【0231】
その結果は表1~3と同一である。
【0232】
【表1】
【0233】
【表2】
【0234】
【表3】
【0235】
SS(Subthreshold Swing):しきい値電圧Vの電流で10倍に電流が減少するのに必要なゲート電圧の変化量であり、値が小さいほど少ないゲート電圧でon/offが可能であるため、薄膜トランジスタの性能に優れている。
【0236】
表1~3を参照すると、実施例による有機薄膜トランジスタは、比較例による有機薄膜トランジスタと比較して電気的特性が改善されたことを確認することができた。
【0237】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0238】
110 基板
124 ゲート電極、第2ゲート電極
125 第1ゲート電極
140 ゲート絶縁膜、第2ゲート絶縁膜
141 第1ゲート絶縁膜
154 有機半導体
173 ソース電極
175 ドレイン電極

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10