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▶ トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】不明瞭な路上障害物の回避
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240709BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240709BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20240709BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20240709BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/16 A
B60W30/095
B60W30/09
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020012928
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2020144853
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】16/261,704
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】デレク エス.キャベニー
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228286(JP,A)
【文献】特開2015-032260(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/16
B60W 30/095
B60W 30/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ベースの障害物予測のための障害物予測システムであって、
1以上のプロセッサと、
前記1以上のプロセッサに通信可能に接続されるメモリとを備え、
前記メモリは、
前記1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、ホスト車両において、車両環境中の少なくとも1つのセンサからの観測値又は1以上の測定対象車両からの通信を含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信させ、前記1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対する信頼性レベルを構築させる命令を含む評価モジュールであって、前記信頼性レベルは、検知された回避行動から予測された不明瞭な障害物の1以上の以前の予測の成功率に基づいて決定される、評価モジュールと、
前記1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、前記予測データと前記信頼性レベルとを用いた前記不明瞭な障害物の予測に応じて、前記車両環境中に前記予測をマッピングさせる命令を含む統合モジュールと、
前記1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、前記不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて前記ホスト車両を誘導させる命令を含む調整モジュールと、を記憶する、
障害物予測システム。
【請求項2】
前記統合モジュールは、前記1以上の測定対象車両からの1以上の以前の回避行動に関する成功データを、前記1以上の測定対象車両に対する前記信頼性レベルの一部として組み入れる命令を更に備える、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項3】
前記予測データは、前記不明瞭な障害物の障害物回避可能性を更に含み、前記調整モジュールは障害物回避可能性の決定を考慮して車線調整又は経路調整を前記案内情報に組み入れる命令を更に備える、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項4】
前記評価モジュールは、複数の測定対象車両から不明瞭な障害物に関する前記予測データを受信し、前記信頼性レベルと前記予測データに基づいて前記不明瞭な障害物の前記予測を作成するために、前記複数の測定対象車両間の前記信頼性レベル前記予測データに適用する命令を更に備え、前記信頼性レベルは前記複数の測定対象車両のそれぞれに対して構築される、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項5】
前記統合モジュールは、前記不明瞭な障害物が前記車両環境内に存在すると予測される概算時間を決定する命令を更に備える、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項6】
前記統合モジュールは、前記車両環境の前記不明瞭な障害物を取り囲む一式の環境境界を決定する命令を更に備える、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項7】
前記案内情報は、前記ホスト車両が現在走行する車線内前記不明瞭な障害物を回避するための車線レベルの案内を含む、請求項1に記載の障害物予測システム。
【請求項8】
車両ベースの障害物予測のための非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、
ホスト車両において、車両環境中の少なくとも1つのセンサからの観測値と1以上の測定対象車両からの通信とを含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信させ、
前記1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対する信頼性レベルを構築させ、
前記予測データ及び前記信頼性レベルを用いた前記不明瞭な障害物の予測に応じて、前記車両環境中に前記予測をマッピングさせ、且つ
前記不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて前記ホスト車両を誘導させる命令を記憶し、
前記信頼性レベルは、検知された回避行動から予測された不明瞭な障害物の1以上の以前の予測の成功率に基づいて決定される、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
複数の測定対象車両から不明瞭な障害物に関する前記予測データを受信し、前記不明瞭な障害物の前記予測を作成するために、前記信頼性レベルと前記予測データに基づいて前記複数の測定対象車両間の前記信頼性レベル前記予測データに適用する命令を更に備え、前記信頼性レベルは前記複数の測定対象車両のそれぞれに対して構築される、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記不明瞭な障害物が前記車両環境内に存在すると予測される概算時間を決定する命令を更に備える、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
障害物回避可能性の決定を考慮して車線調整又は経路調整を前記案内情報に組み入れる命令を更に備える、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記車両環境の前記不明瞭な障害物を取り囲む一式の環境境界を決定する命令を更に備える、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
車両ベースの障害物予測方法であって、
ホスト車両において、車両環境中の少なくとも1つのセンサからの観測値と1以上の測定対象車両からの通信とを含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信することと、
前記1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対する信頼性レベルを構築することと、
前記予測データと前記信頼性レベルとを用いた前記不明瞭な障害物の予測に応じて、前記車両環境中に前記不明瞭な障害物をマッピングすることと、
前記不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて前記ホスト車両を誘導することと、を含み、
前記信頼性レベルは、検知された回避行動から予測された不明瞭な障害物の1以上の以前の予測の成功率に基づいて決定される、車両ベースの障害物予測方法。
【請求項14】
前記1以上の測定対象車両からの1以上の以前の回避行動に関する成功データを、前記1以上の測定対象車両に対する前記信頼性レベルの一部として組み入れることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
不明瞭な障害物に関する前記予測データを提供する複数の測定対象車両と、前記信頼性レベルと前記予測データに基づいて前記不明瞭な障害物の前記予測を作成するために前記複数の測定対象車両間の前記信頼性レベル前記予測データに適用することとを更に含み、前記信頼性レベルは前記複数の測定対象車両のそれぞれに対して構築される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記不明瞭な障害物が前記車両環境に存在すると予測される概算時間を決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載される実施形態は、概して、車両のナビゲーションに関する。より詳細には、実施形態は、概して、運転中に路上の危険物やその他関連する困難を回避するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転は、現代社会において日常生活の一部となっている。そのため、路上に発生する変化を認識することで、運転者及び自律走行車両は利益を得ることができる。車両の操作者にとって車道は頻繁に変化し得るものである。数日又は数時間の間に、道路又はその一部分が通過可能な状態から工事区域へ進入する状態に変化し得る。くぼみなどの路上障害物は、数日間又は数時間の間に現れ得る。このような障害物によって、通過可能であった道路の運転が困難になり得る。車道の変化に関する利用可能な標識及び表示は、適切でないことがある。一部の路上障害物は、その障害物が一時的なものであるために標識などの利用可能な表示で対処されないことがある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書は、不明瞭な(obscured)路上障害物を検知するためのシステム及び方法を開示する。1以上の実施形態で、車両ベースの障害物予測のための障害物予測システムが開示される。障害物予測システムは、1以上のプロセッサと、1以上のプロセッサに通信可能に接続されたメモリとを含む。メモリは更に、1以上のプロセッサによって実行されると、1以上のプロセッサに、ホスト車両において、車両環境(vehicular environment)中の少なくとも1つのセンサからの観測値と1以上の測定対象車両(measured vehicle)からの通信とを含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信させ、少なくとも1つの1以上の測定対象車両に対する信頼性レベルを構築させる命令を含む評価モジュールを記憶し得る。メモリは更に、1以上のプロセッサによって実行されると、1以上のプロセッサに、予測データと信頼性レベルとを用いた不明瞭な障害物の予測に応じて、車両環境中に予測をマッピングさせる命令を含む統合モジュールを記憶し得る。メモリは更に、1以上のプロセッサによって実行されると、1以上のプロセッサに、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いてホスト車両を誘導させる命令を含む調整モジュールを記憶し得る。
【0004】
更なる実施形態では、車両ベースの障害物予測のための非一時的なコンピュータ可読媒体が開示される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、1以上のプロセッサによって実行されると、1以上のプロセッサに、ホスト車両において、車両環境中の少なくとも1つのセンサからの観測値と1以上の測定対象車両からの通信とを含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信させる命令を記憶し得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は更に、少なくとも1つの1以上の測定対象車両に対する信頼性レベルを構築する命令を記憶し得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は更に、予測データと信頼性レベルとを用いた不明瞭な障害物の予測に応じて、車両環境中に予測をマッピングする命令を記憶し得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は更に、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いてホスト車両を誘導する命令を記憶し得る。
【0005】
更なる実施形態では、車両ベースの障害物予測方法が開示される。方法は、ホスト車両において、車両環境中の少なくとも1つのセンサからの観測値と1以上の測定対象車両からの通信とを含む不明瞭な障害物に関する予測データを受信することを含み得る。方法は、更に、少なくとも1つの1以上の測定対象車両に対する信頼性レベルを構築することを含み得る。方法は、更に、予測データと信頼性レベルとを用いた不明瞭な障害物の予測に応じて、車両環境中に不明瞭な障害物をマッピングすることを含み得る。方法は、更に、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いてホスト車両を誘導することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の上記特徴がより詳細に理解され得るよう、概要を簡単に述べた本開示について実施形態を用いてより具体的に説明してもよい。実施形態の一部は添付図面に示される。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態のみを示し、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。本開示は、その他の同等の効果を有する実施形態も含むことがある。
【0007】
図1図1は、本明細書に記載の実施形態に係る障害物予測システムの一部として用いることが可能な車両のブロック図である。
図2図2は、本明細書に記載の実施形態に係る障害物予測システムの一部として用いることが可能なサーバのブロック図である。
図3図3は、本明細書に記載の実施形態に係る、一時的で不明瞭な障害物の検知のための障害物予測システムを示す。
図4図4は、1以上の実施形態に係る障害物予測システムの概略図である。
図5図5は、本明細書に記載の実施形態に係る、障害物予測システムを搭載した車両の操作者を示す。
図6図6は、1以上の実施形態に係る、一時的で不明瞭な障害物の検知方法のブロック図である。
【0008】
理解を容易にするため、図面に共通する同一要素の指定には可能な限り同一の参照番号を用いた。加えて、1以上の実施形態の要素は、本明細書に記載されるその他の実施形態でも用いられるように有利に構成されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載のシステム及び方法は、1以上の車両センサの検出範囲外にある障害物の存在と位置を決定するため、1以上の車両からの車両環境に関する観測値を用いる。現代の自動化車両は、車線を見つけて維持することには長けるが、トラックトレーラーのタイヤのスクラップ、自動車部品、及びその他小さい破片など道路に影響を及ぼし得る障害物を直接検知することには困難をきたし得る。くぼみ及び比較的小さな障害物は、交通によって妨げられたり、これらの障害物が小さすぎたり、角度が悪かったりして無線を反射してレーダーに素早く検知されないことがある。その結果、車両は、警告のないまま障害物又はくぼみと衝突することがある。障害物の検知は、ヒューマンフェイルセーフ機構がない自動運転レベル3(「よそ見運転」)の実施形態で特に重要になる。
【0010】
本明細書に記載のシステム及び方法は、車両環境内の1以上の信頼することができる測定対象車両からの車両の動きやパターンに関する観測値を利用して情報を提供することができる。測定対象車両は、ホスト車両により測定される1以上の行動を示す車両である。ホスト車両は、測定対象車両の行動を検知する車両であり、本明細書に記載のシステム及び方法を搭載する、又は、本明細書に記載のシステム及び方法から利する。HOV要件、選択経路からの車両の標準逸脱、新しい障害物の形成などによって車線が制限される場合に、車道の一時的な時間的様相を決めるため、観測値から集められた情報はモデル化され得る。また、本システム及び方法は、車両の信頼性及び検出された障害物の両方に関するデータメトリクスも提供する。データメトリクスは、通知された障害物に関連した操作者又は車両の信頼度情報と、車線が通過不可能な原因が積雪、事故、又はその他の危険物であるという情報と、状況を即時に車両環境地図に反映するための更新情報との収集を含み得る。
【0011】
本明細書に記載のシステム及び方法は、車両環境内における1以上の測定対象車両の動き及び相互作用に関する、車両ベースシステムからの観測値を組み入れ得る。車両ベースシステムは、ホスト車両にローカルで記憶されているか、クラウドストレージ装置に遠隔で記憶されているか、又はその組み合わせで記憶されており、測定対象車両の動きに関するデータを収集することができる。車線変更、減速、レーンオフセットなどを含み得る動きは、測定対象車両の回避行動(evasive behavior)として決定され得る。複数車両の空間的・時間的に関連性のある同様の動き、突然の動き、又は、標準的な動きから回避行動を区別するその他の示唆など、回避と関連付けられる動きには象徴的な特徴があると考えられている。本システム及び方法は、次に、可能性のある不明瞭な障害物に関する大きさや位置などの要素を決定するために、測定対象車両の回避行動に係る動きを車両環境に適用し得る。このように、本システム及び方法は、回避行動を車両環境内の不明瞭な障害物の予測データとして用いることができる。
【0012】
本明細書に記載される実施形態では、本システム及び方法は、1以上の測定対象車両の信頼性と車両環境内における行動とに関する情報を収集する。本システムは、幾つかのパラメータにおける操作者又は車両の確実性に基づいて信頼性を測定する。本システム及び方法は、操作者の行動が不明瞭な障害物の陽性検知につながる頻度に基づいて、信頼性を測定し得る。不明瞭な障害物とは、1以上の間接的ソースからの情報に基づいた車両環境における障害物の予測である。本システム及び方法は、更に、特定の車両の行為が不明瞭な障害物の陽性検知につながる頻度など、信頼性を全般的に測定又は決定し得る。本システム及び方法は、ブレーキ操作、ステアリング操作、又はナビゲーションなど特定のパラメータに基づいて信頼性を決定し得る。更に、本システムは、信頼性を特定の環境条件又は運転環境と関連させ得る。
【0013】
1以上の測定対象車両の信頼性を観測された行動と関連づけることで、車両環境における測定対象車両の回避行動の確実性を決定し得る。本システム及び方法は、短期間(例えば、特定の運転の相互作用の間)に基づいて、又は、相互作用若しくは行動の履歴(例えば、長期間にわたる車両又は操作者の履歴)に基づいて信頼性レベルを決定し得る。本明細書に記載されたシステム及び方法は、1以上の測定対象車両の行動が1以上の観点で信用することができるということに関する、ホスト車両による確信度を決定するために、信頼性レベルを用いることができる。本システムは、不明瞭な障害物の予測される大きさを増減させるために信頼性レベルを適用し得る。つまり、本システム及び方法は、回避行動と、道路のドライバビリティに影響を与える1以上の不明瞭な障害物との関連性を調整し、変化させることができる。
【0014】
不明瞭な障害物のこれらの予測は、不明瞭な障害物の適切な配置を含む車両車線のマッピングなどを通して、ホスト車両又は二次車両のナビゲーションデータを更新するために適用され得る。本明細書に記載される二次車両は、ホスト車両及び1以上の測定対象車両以外の、本明細書中に記載のシステム及び方法から利することができる車両である。一部の実施形態では、更新された情報は、本システム又は方法の一部として様々な方法で二次車両に対して提示され得る。一部の実施例では、情報は、二次車両にプッシュ又はアップロードされて提示され得る。二次車両は、二次車両の位置又はホスト車両の位置などについてマッピングサービスに定期的に問い合わせることができる。このように、本開示されたシステム及び方法は、障害物に関する認知を向上させ、ホスト車両及び二次車両の両方に対する道路の各車線の使用性に関する報告を改善することができる。本出願の実施形態は、図面と下記説明との関連でより明確に理解し得る。
【0015】
図1を参照すると、自律装置の例、具体的には車両100が示される。車両100は、障害物予測システム160又はその構成要素及びモジュールを含み得る。本明細書に記載される「車両」は、何らかの形式の自動輸送車である。1以上の実施形態において、車両100は自動車であってもよい。一部の実施形態では、車両100は、例えば、自律して、半自律で、又は乗車している操作者によって手動運転で走行し得るその他の形式の自動輸送車であってもよい。車両100は障害物予測システム160を含む、又は、障害物予測システム160をサポート若しくは障害物予測システム160と相互作用する機能を含むことができ、よって本明細書中に記載される機能から利益を得る。本明細書中では自動車に関する配置が記載されるが、実施形態は自動車に限られるものではなく、乗車可能な何らかの形式の車両又は装置であることが理解されるであろう。本明細書を通して用いられる車両の事例は、本明細書に記載のシステム又は方法を搭載することが可能ないずれかの装置に等しく適用可能である。
【0016】
車両100は、様々な要素を含む。各種実施形態で、車両100が図1に示された要素全てを有することは必ずしも必要ではないことが理解されるであろう。車両100は、図1に示された各種要素のいずれかの組み合わせを有し得る。更に、車両100は、図1に示される要素の追加要素を有し得る。一部の配置では、車両100は、図1に示される1以上の要素を含まずに実施されることがある。図1では、車両100内に各種要素が配置されるように示されるが、1以上のこれら要素が車両100の外部に配置され得ることが理解されるであろう。更に、図示された要素は物理的に遠い距離に分散されていてもよい。
【0017】
図2は、コンピュータ装置200の一例である。コンピュータ装置200は、データを受けとってソフトウェアの制御で数学的又は論理的演算を実施するよう設計されたいずれかのプログラム可能な電子装置を含み得る。コンピュータ装置200は、障害物予測システム160を含む、又は、障害物予測システム160をサポート若しくは障害物予測システム160と相互作用する機能を含むことができ、よって本明細書に記載の機能から利益を得る。本明細書に記載の実施形態では、車両100はコンピュータ装置200と通信可能である。車両100又はその他の装置がコンピュータ装置200と通信するということは、直接の有線通信、1以上の中継コンピュータ装置を介した通信、クラウドを介した通信、又はその組み合わせを含む、コンピュータ装置200と車両100との間の直接又は間接的ないずれかの形式の通信を意味する。コンピュータ装置200と車両100とは、各種有線又は無線ネットワークを用いて通信することができる。一部の実施形態では、コンピュータ装置200は、車両100の遠隔にあるサーバである。更なる実施形態では、コンピュータ装置200は、組み込みシステムのように車両100と一体化され得る。コンピュータ装置200は、本明細書に記載の方法やその他の機能を実行するよう実装された障害物予測システム160を含み得る。
【0018】
車両100及びコンピュータ装置200に含まれ得る要素の一部が、それぞれ図1及び図2に示される。これらの要素は、後に続く図面及び本明細書で説明される。しかしながら、図1及び図2の要素の多くは、説明を簡潔にするために図3~6の解説の後に記載される。加えて、図解の簡潔性と明確性を期すため、対応する又は同様の要素を示す参照番号は、適宜、異なる図面間で繰り返し用いられる。加えて、本明細書に記載の実施形態の充分な理解を提供するために、説明中に特定の詳細が述べられる部分が多数ある。しかしながら、本明細書に記載の実施形態はこれら要素の各種組み合わせを用いて実施され得ることが当業者には理解されるであろう。
【0019】
障害物予測システム160の解説は、一実施形態に係る障害物予測システム160が示される図3から開始する。障害物予測システム160は、図2に図示されるコンピュータ装置200のプロセッサ204を含んで示される。また、プロセッサ204は障害物予測システム160の一部であり得る。障害物予測システム160はプロセッサ204とは異なるプロセッサ(例えば、車両100のプロセッサ110)を含み得る。障害物予測システム160はデータバス及び/又は他の通信経路を介してプロセッサ204にアクセスし得る。一実施形態では、障害物予測システム160は、評価モジュール320、統合モジュール330及び調整モジュール340を記憶するメモリ210を含む。メモリ210は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、又はモジュール320、330及び340を記憶するその他の適切なメモリである。モジュール320、330及び340は、例えば、プロセッサ204によって実行されると、プロセッサ204に本明細書で開示された各種機能を実行させるコンピュータ可読命令である。
【0020】
障害物予測システム160は、データベース310を更に含み得る。データベース310は、メモリ210の一部として、メモリ210からは独立した構成要素として、コンピュータ装置200内の(メモリ210とは異なる)別のメモリの一部として、などの各種構成で提供され得る。データベース310は、予測データ360と、障害物情報370と、信頼性情報380とを含み得る。予測データ360は、1以上のソースによって車両環境から、例えば、1以上のホスト車両及び/又はホスト車両から検知されたデータ及び情報を含み得る。予測データ360は、サーバ172又はコンピュータ装置200からネットワーク170を介して送信されるなどした複数の車両からのデータ、及び、センサシステム120など1以上のセンサから収集されたデータを含み得る。障害物情報370は、障害物の種類、障害物の場所、障害物の推定概算時間などの、不明瞭な障害物に関する又は不明瞭な障害物(例えば、本不明瞭な障害物)の予測に関する情報を含み得る。信頼性情報380は、車両の信頼度(trustworthiness)を示す情報及びデータを含み得る。信頼度は、車両又は操作者の総合的信頼性、各パラメータに基づいた信頼性などを含む、確実性(reliability)のいずれかの利用可能なパラメータに基づいて測定することができる。障害物予測システム160は車両100の一部として示されるが、障害物予測システム160又はその一部は別の車両、コンピュータ装置200、サーバ172上などに記憶され得る。これにより、障害物予測システム160の1以上の機能、又は、障害物予測システム160に含まれるモジュールは、本明細書に記載の実施形態の一部として遠隔から実行され、車両100に転送され得る。
【0021】
評価モジュール320は、概して、プロセッサ204を制御し、ホスト車両において、車両環境内の1以上の測定対象車両からの不明瞭な障害物に関する予測データを受信させるよう機能する命令を含み得る。不明瞭な障害物は、計画外又は予想外に発生し、地図に現れず、ホスト車両によって直接観察されない障害物を含む。不明瞭な障害物は、一時的な障害物又は概算時間が短いと思われる障害物を含み得る。不明瞭な障害物は、ホスト車両の視点から不明瞭な障害物であり得る。予測データは、ホスト車両が受信した測定対象車両に関するセンサデータ、1以上の測定対象車両からの回避行動のセンサデータ、及び/又は、1以上の測定対象車両からの回避行動の直接の報告など、二次ソースから受信した不明瞭な障害物に関する情報を含み得る。
【0022】
ホスト車両は車両環境内に存在する車両であり、1以上の不明瞭な障害物及び/又は1以上の測定対象車両からの1以上の回避行動を検知及び認識するなど、環境からデータを収集又は提供することがある。評価モジュール320は、1以上の車両センサからなどのセンサ入力を用いて予測データを検知し、認識することができる。評価モジュール320は、ホスト車両を介して、又は、ホスト車両と連携して、ホスト車両からのセンサ入力を用いるなどによって不明瞭な障害物を即時予測することができる。評価モジュール320は、更に、車両環境を対象として以前にマッピングされた検知結果など、不明瞭な障害物の以前の検知結果を精査、修正するために予測データを用いることもできる。更に、評価モジュール320は、障害物を予測するために用いることが可能な1以上の測定対象車両からのデータ(例えば、未処理データ)を受信することができる。
【0023】
更に、評価モジュール320は、車両環境内の回避行動に関する情報を検知又は受信するための命令を含み得る。回避行動は、環境内の1以上の測定対象車両に関してホスト車両によって検知された、路上の位置及び一定期間におけるその変化を示す位置及び操作の集まりを含む。回避行動は、1以上の不明瞭な障害物に起因して車両環境内でとられた選択を示すものとして用いられ得るため、予測データに含まれ得る。評価モジュール320は、測定対象車両が走行する車線、回避操作、車両の制御方式(例えば、自律又は手動)、環境境界、位置と操作両方の概算時間、及び、車両環境内の測定対象車両の動きに関連するその他の事項を決定するために回避行動を適用することができる。
【0024】
評価モジュール320は、1以上の測定対象車両の回避行動の検知又は推定が可能なホスト車両の利用可能なシステムを用いて回避行動を検知することができる。一実施例では、評価モジュール320は、1以上の測定対象車両の自律走行モジュール150から測定対象車両の回避行動に関する情報を受信し得る。一部の実施形態では、評価モジュール320は既知の車両操作に基づいて回避行動を受信することができる(例えば、既知のアクチュエータの位置に基づいて、回転などの操作を測定対象車両が自ら報告する)。別の実施例では、評価モジュール320は、測定対象車両の車両システム140から動きの示唆を受信し得る(例えば、測定対象車両が、ブレーキが作動されたという信号をホスト車両に送信する)。別の実施例では、評価モジュール320は、センサシステム120からのセンサデータによって動きが発生したことを推定又は決定することができる。センサシステム120は、特定の障害物について評価モジュール320からのリクエスト、又は、他のシステム又はモジュールからのリクエストがあった場合に、自動的にデータを評価モジュール320に提供し得る。本明細書に記載の検知範囲又は推定方式は、特定の実施例を用いて更に詳述しなくとも当業者によって理解されるであろう。
【0025】
評価モジュール320は、どの回避行動が不明瞭な障害物に関連するかを決定するための命令を更に含み得る。一部の実施形態では、評価モジュール320は、どの回避行動が不明瞭な障害物に関連するかを決定するため、行動間の時間的関連を用いることができる。更なる実施形態では、評価モジュール320は、回避行動が不明瞭な障害物に関連することを評価モジュール320に伝える、測定対象車両からのデータ送信又はその他の示唆を受信し得る。更に他の実施形態では、評価モジュール320は、ホスト車両が検知したものとして、或いは、ホスト車両の周辺の測定対象車両の行動から決定されたものとして、不明瞭な障害物に関する入力を測定対象車両から受信することができる。評価モジュール320が測定対象車両から受信する不明瞭な障害物に関する情報は、上述したように検知又は決定のソースを含み得る。不明瞭な障害物の検知、回避行動、又は関連する検知結果などの予測データは、データベース310の一部として示されたような予測データ360の一部として記憶され得る。
【0026】
更に別の実施形態では、評価モジュール320は、ホスト車両が検知した測定対象車両の回避行動から、不明瞭な障害物のインジケータを認識することができる。一部の実施形態では、インジケータは車線の中央から逸れた1以上の測定対象車両を含み、これは回避行動がなくとも障害物が存在する可能性があることを示す。評価モジュール320は、更に、外見ベースの方法(例えば、濃度勾配の一致又はエッジの一致)、特徴ベースの方法(例えば、解釈木又はポーズ一貫性)など、物体認識技術の逆統合を用いて不明瞭な障害物を予測することができる。この実施形態では、評価モジュール320は、1以上の物体認識技術を用いて定義された物体に基づいて障害物回避のための行動を構築することができる。評価モジュール320は、次に、行動とそのような操作を引き起こした可能性のある物体とを結びつけ得る。
【0027】
評価モジュール320は、1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対する信頼性レベルを構築するための命令を更に含み得る。本明細書に記載の信頼性レベルは、ホスト車両から受信した情報の確実性を示す傾向にある1以上のデータポイント又は指標を意味する。評価モジュール320は、測定対象車両又は1人以上の操作者に関する履歴又は行動データを含む信頼性レベルを構築し得る。評価モジュール320によって決定された信頼性レベルは、更に運転環境にも関連付けられ得る。一部の実施形態では、評価モジュール320は、測定対象車両又は測定対象車両の操作者が、幹線道路の運転又は市街地の運転などの一定の環境においてある程度信頼できることを決定し得る。更なる実施形態では、評価モジュール320は、測定対象車両又は測定対象車両の操作者が、夜間運転、又は、雨や雪の中での運転などの一定の運転状況においてある程度信頼できることを決定し得る。一部の実施形態では、信頼性レベルは、測定対象車両の操作者の運転技術又は運転能力を含み得る。また別の実施形態では、信頼性レベルは、測定対象車両の1以上のセンサの確実性と関連し得る。1以上の実施形態では、評価モジュール320は総合的な測定値、又は、道路の運転若しくは操縦に関する特定要素の測定値として信頼性レベルを決定することができる。総合的な測定値を信頼性レベルとする例は、運転者の総合的質、車両の総合的質、統計的に有意な操作者分類に基づいた一般的な決定(例えば、10代の運転者対成人運転者)などを含み得る。道路の運転又は操縦に関する特定要素の測定値を信頼性レベルとする例は、車両の特定部分(ブレーキ操作、ハンドル操作等)又は特定環境(例えば、荒天での運転、夜間運転、日中運転など)での運転能力を含み得る。更なる実施形態では、信頼性レベルは、検知された回避行動から予測された不明瞭な障害物に関する1以上の以前に作成された予測の成功率などの成功データを含み得る。
【0028】
1以上の実施形態では、信頼性レベルは1以上の信頼性パラメータに更に分割することができる。信頼性パラメータは、障害物の要素、車両の要素、運転者の要素、又は、信頼のレベルを区別するために用いられ得るその他の要素に基づいた個別の信頼性レベルであってもよい。このような信頼性パラメータは、車両及び/又は操作者が信頼できる領域と、車両及び/又は操作者が信頼できない領域とを区別するために用いられることができる。障害物の要素に基づく信頼性パラメータの一実施例では、信頼性パラメータは、障害物の種類、障害物の回避、障害物の決定などを含み得る。車両の要素に基づく信頼性パラメータの一実施例では、信頼性パラメータは、車両操縦、障害物の検知、センサの精度、自律システムの品質などを含み得る。運転者の要素に基づく信頼性パラメータの一実施例では、信頼性パラメータは、運転技術、攻撃性、経験、運転能力に影響のある疾患又は障害などを含み得る。一部の実施形態では、評価モジュール320は、特定の信頼性パラメータに関する信頼性レベルを、その他の回避行動パラメータ及び/又は信頼性パラメータとは分離される回避行動パラメータに適用することができる。一実施例では、評価モジュール320は、ハンドル操作、ブレーキ操作、アクセル操作の3つの回避行動パラメータに係る回避行動を検知し得る。評価モジュールは、不明瞭な障害物を予測するため、各回避行動パラメータに対して特定の信頼性レベルを適用し得る。
【0029】
信頼性レベルは、意識的な確実性情報及び無意識的な確実性情報の両方を含む利用可能な確実性情報に依拠し得る。本明細書で用いられる意識的な確実性情報は、操作者によって意識的にとられ、運転技量全体に影響する行為又は行動を意味する。一部の実施例では、意識的な確実性情報は、スピード違反、急ブレーキ、急な車線変更、攻撃的行動又は癖、その他の操作者によって制御される行動など、車両の制御可能な行動を含み得る。本明細書で用いられる無意識的な確実性情報は、不明瞭な障害物に対して所望の行為を実行する車両又は操作者に備わる能力を意味する。更なる実施例では、信頼性レベルの一部を構成し得る無意識的な確実性情報は、応答時間、運転能力に影響し得る既知の疾患(例えば、視覚、心臓の異常など)、年齢、運転経験、その他測定対象車両に備わる性能又は操作者による測定対象車両の制御能力を含み得る。
【0030】
統合モジュール330は、概して、プロセッサ204を制御し、予測データ及び信頼性レベルを用いて不明瞭な障害物を決定させるよう機能する命令を含み得る。予測データは、概して、ホスト車両が受信した測定対象車両からの不明瞭な障害物に関する情報又はデータに関する。つまり、測定対象車両又は測定対象車両の操作者の信頼性レベルは、予測データの確実性、又は回避行動などその構成要素に関する情報を提供することができる。つまり、障害物予測システム160は、信頼性レベルの情報に基づいて不明瞭な障害物を決定するために信頼性レベルを使用し得る。別の実施形態では、統合モジュール330は、信頼性レベルを特定の回避行動に適用することができる。更に別の実施形態では、統合モジュール330は、信頼性レベルを1以上の測定対象車両又は関連する操作者から受信した全ての予測データに適用することができる。信頼性レベルは、予測データ若しくはその要素のそれぞれの特徴、又は、全予測データに対して適用し得る。信頼性レベル及び予測データの構成要素のその他の可能な組み合わせは、本明細書で更に具体的に述べなくとも想定される。
【0031】
統合モジュール330は、次に、予測データ360に記憶された測定対象車両の回避行動の確実性を決定する。1以上の実施例では、信頼性レベルは標準又は正常を基準にした予測データの確実性を示し得る。これにより、統合モジュール330は、ある行動が1つの測定対象車両からであると決定することができる。更なる実施例では、信頼性レベルは、車線変更操作又はブレーキ操作などの特定の要素に関して予測データの確実性を示し得る。つまり、統合モジュール330は、予測データのデータ確実性を関連付けるための命令を更に含み得る。データ確実性は、データベース310に記憶された信頼性情報380の一部として記憶され得る。
【0032】
一部の実施形態では、統合モジュール330はホスト車両の一部となり得る。ホスト車両又はその構成要素は、図1を参照して説明された車両100に実質的に類似し得る。つまり、ある実施形態では、統合モジュール330は1以上の測定対象車両から予測データを受信でき、受信された予測データは不明瞭な障害物を決定するために組み入れられ得る。更なる実施形態では、統合モジュール330は、ホスト車両によって収集された1以上の測定対象車両からの予測データを受信し得る。この実施形態では、統合モジュール330は、ホスト車両によって収集された1以上の測定対象車両からの不明瞭な障害物と、測定対象車両及び/又は測定対象車両の操作者の信頼性レベルとを比較し得る。つまり、障害物予測システム160が測定対象車両の行為から不明瞭な障害物を予測することができると認めるか否か、また、どの程度認めるかを決定するために、統合モジュール330によって信頼性レベルが用いられる。
【0033】
統合モジュール330が、測定対象車両の信頼性レベルが不明瞭な障害物又は予測データのいずれかを認めるのに充分高くないと判断した場合、統合モジュール330は、予測データ又はその構成要素に関連した1以上の追跡行為を含むことができる。追跡行為は、不明瞭な障害物及び/又は予測データの却下、1以上の測定対象車両のうちの1以上からの情報の更なる要求、予測データの1以上の要素の部分的却下、確証リクエスト、又は、情報若しくはデータの1以上の要素に信頼性を与えるかもしれないその他の行為を含み得る。本明細書中で更に明示しなくとも、不明瞭な障害物及び/又は予測データが却下された場合には、可能性のある行為の各種置換が行われ得ることが当業者には理解されるであろう。
【0034】
障害物予測システム160又はそのモジュールは、ネットワーク170を介して別のホスト車両又はサーバ172などのコンピュータ装置といった情報ソースに接続することを含み得る。ネットワーク170は、車両対車両(V2V)接続、アドホックネットワーク、車両対インフラストラクチャ(V2I)接続、無線接続、中継接続などいずれの形式の接続でもよい。そして、予測データは処理され、時間的関連に基づいて、周辺車両からの他の予測データと比較される。時間的関連、場所的関連、及び行為的関連は、車両内又は車両間の2つの行動の間の関連性を示し、これらの行動が同じ障害物に関連することを示す。時間的関連の例は、同時に2つの車両が、何かを避けるために中央車線から1台は左車線に、もう1台は右車線に外れることを含み得る(つまり、他の情報はないが、時間的要素が2つの行動を結び付けるものである)。時間的関連は、初期車両動作と第2の車両動作との間の時間的要素を含み得る。時間的関連は、場所的関連、行為的関連、又はその組み合わせなど、他の種類の関連に組み入れられ得る。場所的関連の例は、2以上の車両が、何かを避けるために異なる時間に同じ場所を回避することを含み得る(つまり、他の情報はないが、場所的要素が時間的要素と共にある行動を結び付ける)。時間の関係は、場所及び/又は行為と同様に、どの回避行動が不明瞭な障害物と関連するかを決定するのに用いられ得る。
【0035】
予測データは多様なソースに由来し得るため(例えば、ホスト車両、1以上の測定対象車両など)、複数の障害物行動の決定に予測データが考慮されるように多様な処理方式が用いられ得る。一部の実施形態では、個別の障害物決定モジュール(例えば、異なる車両に搭載された統合モジュール330)によって予測データから加工されたデータは、車両100に送信され、複数の障害物行動の決定に使用される。更なる実施形態では、予測データ360及び障害物情報370として記憶された、評価モジュール320からの予測データは、リモートコンピュータ装置(例えば、サーバ172)に送信され、リモートコンピュータ装置において予測データは複数の障害物行動を決定するために用いられる。1以上の回避行動を含む予測データは、次に、ネットワーク170を介して車両100に送信され得る。本明細書中で更に明確な実施例が述べられなくとも、本明細書に記載のシステムの機能を実行するために、ローカル又は遠隔の場所に記憶される障害物予測システム160及びモジュールの更なる組み合わせが想定される。
【0036】
予測データが信頼性レベルと比較されると、次に、統合モジュール330が不明瞭な障害物を構築し得る。不明瞭な障害物は、センサデータ(例えば、道路で検知された障害物)、行為からの外挿(例えば、車両がくぼみを避けるように操縦された)などに基づいて決定され得る。一部の実施形態では、2以上の不明瞭な障害物があることがあり(例えば、右側車線を遮断する工事又は積雪の可能性がある)、又は、不明瞭な障害物が総称的なものであることがある(例えば、中央車線内の障害物)。更なる実施形態では、不明瞭な障害物は、公に利用可能なソース、センサデータなど、新しい情報を用いて時間と共に精査され得る。不明瞭な障害物は、障害物情報370の一部としてデータベース310に記憶され得る。更に、この情報は、ホスト車両からサーバ(例えば、サーバ172)などに送信され得る。
【0037】
更なる実施形態では、統合モジュール330は、不明瞭な障害物に関する一式の環境境界を決定することができる。環境境界は、不明瞭な障害物によって影響を受ける車両環境内の領域の境界である。くぼみを一例とすると、くぼみは、くぼみそのものの端部では回避できない。このように、くぼみの周辺領域一帯がくぼみによって影響をうける。この領域には、走行速度、車道状況、車両の性能など環境を安全に通行することに関連した要因に基づいて環境境界が設定される。統合モジュール330は、本明細書に記載された不明瞭な障害物の予測を用いて、即時にこれらの環境境界を構築する能力を更に含み得る。
【0038】
統合モジュール330は、予測を車両環境内にマッピングする命令を更に含み得る。ここで、統合モジュール330は不明瞭な障害物を障害物位置に配置することができる。障害物位置は、車両環境内の大まかな位置又は正確な位置であり得る。障害物位置は、障害物の車線レベルの位置、障害物に影響される境界、車線境界を定義するパラメータなどの詳細を含み得る。統合モジュール330は、不明瞭な障害物の情報量及び時間変化、1以上のデータポイントの信頼性レベルなどに基づいて、不明瞭な障害物を不明瞭な障害物の位置にマッピングすることができる。この関連付けは、ホスト車両、他の自律走行車両、他の手動運転車両(通信システム130又は拡張現実システム180を介してなど)、その他の機構に提供され得る。そして、統合モジュール330は、不明瞭な障害物の予測を用いて、いずれかの既知の概算時間又は期待される変化などについて各種地図を更新し得る。一実施例では、不明瞭な障害物は車線への進入を不可能にする積雪である。統合モジュール330は、その日に気温が華氏50度(摂氏10度)超に上昇する予報であることを決定し得る。このように、統合モジュール330は午後の一定時間後には不明瞭な障害物が車両環境に影響を及ぼさないであろうことを決定し、その情報で地図を更新することができる。
【0039】
更に、不明瞭な障害物は、統合モジュール330によって、他の予測される又は既知の障害物と相関され得る。ある障害物位置の不明瞭な障害物は、車両環境に影響を及ぼすその他の障害物と関連するかもしれない。統合モジュール330は、障害物の種類、時間、位置などのパラメータを用いて、どの障害物が車両環境と関連するかを決定することができる。一実施例では、統合モジュール330は、不明瞭な障害物が中央車線内の工事設備の一つであると決定する。統合モジュール330は、各種機構(例えば、公に利用可能な情報)を通して、不明瞭な障害物から特定の距離にある工事車両に係る事故を検知することができ、これによって、工事車両と不明瞭な障害物は関連のある障害物であると決定する。更に、本明細書に開示される実施形態を用いて、不明瞭な障害物と車両環境との相関関係を形成し得る。
【0040】
調整モジュール340は、概して、プロセッサ204を制御して、不明瞭な障害物と信頼性レベルとを用いて、車両環境内のホスト車両に対して案内情報を作成させるよう機能する命令を含み得る。案内情報は運転者又は自律走行車両が不明瞭な障害物からの影響を回避するために実行し得る1以上の工程である。案内情報は、障害物の種類、障害物が車両環境の交通に及ぼし得る影響予測、不明瞭な障害物がなくなる可能性、障害物の位置、代替経路の利用可能性などに関連し得る。案内情報は、特定の経路、回避するべき又は走行するべき車線、交通パターンに関する推定、通常車線パターン外の交通の動きなどを含み得る。更に、案内情報は、特定の障害物、一定の頻度で発生する車線レベルの障害物など、経時的に収集された関連する時間データも含み得る。
【0041】
また、調整モジュール340は、回避行動と信頼性レベルとを案内情報に組み入れることで案内情報を作成し得る。システムと操作者は異なる能力や効率で操作することが理解される。そのため、1以上の操作者及び/又は1以上の自律走行車両の回避行動に組み入れられた回避技術は、車両の選択又は車線レベルの操縦に組み入れられ得る。つまり、信頼性レベルによって裏付けられる回避行動は、案内情報の一部として及び/又は修正に用いられるために提供され得る。
【0042】
調整モジュール340は、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて、ホスト車両を誘導する命令を更に含み得る。調整モジュール340は、操作者の入力、車両形式(例えば、自律又は手動)その他の制御要因に基づいて車両を直接又は間接的に誘導し得る。一実施形態では、案内情報が車両システム140に対する命令として提示され、車両システム140内の1以上の動きを制御する際などに、調整モジュール340は車両を直接制御し得る。別の実施形態では、案内情報が自律走行モジュール150に対する命令として提示される際などに、調整モジュール340は車両を間接的に制御し得る。この場合、自律走行モジュール150が調整モジュール340からの入力を変化させたり、拒否できるという意味で、制御は間接的である。別の実施形態では、案内情報が命令/経路とすることがして操作者に提示される際、又は、乗客によって選択又は提供され得る入力として提示される際などに、案内情報は操作者又は乗客に対して選択肢として提示され得る。
【0043】
図4は、1以上の実施形態に係る障害物予測システム160の概略図400を示す。評価モジュール320を用いる障害物予測システム160は、ホスト車両を介して車両環境内の1以上の測定対象車両に関する予測データを収集する。評価モジュール320は、1以上の測定対象車両に関する信頼性レベルを構築するため、確実性情報405を更に収集する。評価モジュール320は、1以上の回避行動及び/又はその他の情報が不明瞭な障害物に関係するかを決定するのに、信頼性レベルを考慮して予測データを比較し得る。統合モジュール330は、不明瞭な障害物を予測するために、信頼性レベルを1以上の測定対象車両からの検知された回避行動に適用することができる。調整モジュール340は、以前に構築された予測を用いて、車両環境内での不明瞭な障害物の位置の範囲(つまり、障害物位置)を決定することができる。また、調整モジュール340は、適宜、ホスト車両が障害物を回避するための案内情報を作成し得る。つまり、障害物予測システム160を使用することで、ホスト車両は1以上の測定対象車両からの検知された回避行動を用いて、測定対象車両の確実性を考慮して車両環境内の不明瞭な障害物を予測することができる。
【0044】
図4に示されるように、概略図400では、初めに、評価モジュール320が各種ソースから(例えば、ホスト車両410及びセンサシステム120を介して)確実性情報405とセンサデータ420とを含むデータ及び情報を収集する。予測データは、センサデータ420を含み得る。センサデータ420は、1以上の測定対象車両430から検知された1以上の回避行動425を含み得る。センサデータ420は、ホスト車両410によってセンサシステム120からなど1以上の測定対象車両430から収集され得る。確実性情報405は、測定対象車両430と障害物予測システム160との間の相互通信の履歴を含む各種ソースに由来し得る。評価モジュール320は、回避行動425に対する信頼性レベル415を決定するために、確実性情報405を適用し得る。
【0045】
センサデータ420及び回避行動425に関するその他の情報を含み得る予測データ360は、ホスト車両410によって収集され得る。1以上の実施形態で、ホスト車両410は、センサシステム120など、センサシステムの1以上のセンサを用いて同じくセンサデータ420を収集する評価モジュール320を含み得る。ホスト車両410は、図1を参照して説明された車両100に実質的に類似し得る。予測データ360は、図3を参照して説明されるデータベース310などのデータベースに記憶され得る。回避行動425は、1以上の測定対象車両430から送信された、及び/又は、1以上の測定対象車両430について検知された動きを含み得る。センサデータ420及び/又は回避行動425は、予測データ360の一部として記憶され得る。
【0046】
予測データ360は、更に、ネットワーク170を介して、サーバ172などの遠隔の場所に記憶される又は記憶のために複製され得る。確実性情報405は、1以上の測定対象車両430のうちの1以上に対する信頼性レベル415を作成するために適用され得る。信頼性レベル415は、1以上の測定対象車両430から受信したデータ又は情報の確実性の尺度となり得る。信頼性レベル415は、信頼性情報380に組み入れられることがある。予測データ360及び信頼性情報380は、評価モジュール320によって統合モジュール330に更に転送され得る。統合モジュール330は、1以上の不明瞭な障害物を決定するために、予測データ360と信頼性情報380とにアクセス又は予測データ360と信頼性情報380とを受信することができる。予測データ360は、道路の通行不可能な距離又は車線、車両の走行に影響を及ぼす障害物、車両環境内の測定対象車両430の行動を変化させるその他の障害物など、車両環境内の不明瞭な障害物を示し得る。信頼性情報380は、図3を参照して上述したように、不明瞭な障害物435の予測のために、統合モジュール330によって予測データ360と比較されてもよい。つまり、信頼性情報380は、どの予測データ360が信頼することができるか、そして、不明瞭な障害物435の予測においてどの程度信頼することができるのかを決定するために適用することができる。不明瞭な障害物435の予測は、障害物情報370の一部として記憶され及び/又は調整モジュール340に転送され得る。
【0047】
調整モジュール340は、信頼性レベル415と不明瞭な障害物435の予測とを用いて、不明瞭な障害物435を障害物位置440にマッピングすることができる。1以上の実施形態で、調整モジュール340は、不明瞭な障害物435の障害物位置440に関して1以上の境界を設定するために、信頼性レベル415及び予測データ360を適用することができる。不明瞭な障害物435の予測は、車両事故又はトラックから道路に落とされたはしごなど、障害物が存在するのに必要な大きさの推定又は障害物の大きさの見込みを提供し得る。回避行動425は、信頼性レベル415を考慮して、ホスト車両410からの可能な案内行動に関する情報と、不明瞭な障害物に関する情報の正確性とを提供し得る。この情報を用いて、調整モジュール340は、不明瞭な障害物435に対して障害物位置440の推定を作成することができる。
【0048】
障害物位置440が定まると、調整モジュール340は、車両100に対する案内情報445を策定することができる。上述したように、案内情報445は回避行動425と信頼性レベル415とに基づいて修正され得る。上述した案内情報445は、不明瞭な障害物435を回避又は安全に通過することが見込まれる、ホスト車両が追随するべき特定の経路、ホスト車両の可能な操作、不明瞭な障害物435の大まかな回避可能性(例えば、障害物回避可能性)などであり得る。1以上の実施形態で、コースが維持された又は車線位置が維持された場合などに、不明瞭な障害物は回避不可能と決定され得る。不明瞭な障害物が回避不可能と決定された場合、案内情報445は、損害又は損傷を防ぐために、ホスト車両への別経路の照会、又は、ホスト車両を完全に停止させることを含み得る。こうして、案内情報445は、ホスト車両又は操作者に提供され得る。手動運転車両に対して案内情報445が提示される際には、拡張現実(AR)システム180又は通信システム130を介してなどで提供され得る。別の実施形態では、自律走行車両に対して案内情報445が提示される際には、案内情報445は、車両システム140及び/又は自律走行モジュール150への命令として提供され得る。
【0049】
本明細書に記載の障害物予測システム160は、自律走行車両及び非自律走行車両の両方に対して多くの利点を提供することができる。障害物予測システム160は、1以上の測定対象車両に関する回避行動の検知、検知した回避行動の信頼性レベルに照らした加重、及び、車両環境内での回避行動と信頼性レベルとに基づいた不明瞭な障害物の予測を含む。障害物予測システム160は、障害物自体の可視化や感知には依存しない。つまり、障害物予測システム160は、近接性、検知効率などに課されるような同じ制約を受けない。更に、障害物予測システム160は、測定対象車両の行為の検知に基づいて車線レベルの障害物を検知でき、車両環境における変化のより素早い決定を可能にする。
【0050】
図5は、1以上の実施形態に係る障害物予測システム160を用いた車両環境500におけるホスト車両540を示す。障害物予測システム160は、1以上の不明瞭な障害物の位置と障害物への可能な対応を含んだ瞭な障害物の存在を決定するために、1以上の測定対象車両に関する信頼性レベルをセンサデータ及び回避行動などの予測データに適用する。図5に示されるように、車両環境500は、第1の車線510と、第2の車線512と、第3の車線514とを有する道路508を含む。1以上の路面標識516で示される第1の車線510、第2の車線512、及び第3の車線514は、道路508上で車両の走行位置及び走行分離を制御するための交通パターンの一部である。
【0051】
車両環境500は、1以上の新規測定対象車両502、及び1以上の既知の測定対象車両504a及び504bなど様々な測定対象車両を更に含み得る。新規測定対象車両502は、車両環境500内で偶発的に発生し、回避行動506a、506b及び506cとして図中に示される1以上の回避行動を行う車両である。新規測定対象車両502は、既知の信頼性情報を持たない。障害物予測システム160は新規測定対象車両502及び1以上の既知の測定対象車両504a及び504bを用いることが示されるが、障害物予測システム160によって検知、測定された新規測定対象車両及び既知の測定対象車両の数は、いかなる数の車両でもよい。更に、車両環境500は、不明瞭な障害物520との関連で本明細書に記載され、道路508の第3の車線514内のくぼみとして描写される1以上の交通障害物を含み得る。前述したように、障害物予測システム160及び/又はその構成要素はホスト車両540、サーバ172、コンピュータ装置200、又はその組み合わせに記憶され得る。
【0052】
障害物予測システム160は、回避行動506a、506b及び506cの発生で開始し得る。障害物予測システム160の評価モジュール320は、車両環境500に関する情報を収集する。これには、回避行動506a、506b及び506cの検知が含まれる。回避行動506a、506b及び506cは、ホスト車両540のセンサシステム530などのセンサシステムを用いて検知し得る。センサシステム530は、図1の車両100を参照して記載されたセンサシステム120と実質的に同様であり得る。車両環境内の各車両間で用いられるセンサシステム530は、センサシステム120の1以上の要素を含み得る。センサシステム530は、センサシステム間で同じ要素又は何らかの統一要素を有する必要はない。回避行動506a、506b及び506cは、ホスト車両540のセンサシステム530を用いることなどで更に検知されるか、又は、測定対象車両504aが測定対象車両504aの回避行動506bに関する情報を自ら報告するなど、1以上の内部システムを用いて報告され得る。
【0053】
図5に示されるように、回避行動506a、506b及び506cに関する予測データは、ホスト車両540のセンサシステム530を用いて1以上の測定対象車両504a及び504bから収集されることができる。この実施例では、ホスト車両540の評価モジュール320は、新規測定対象車両502が第2の車線512を走行し続けることを含む回避行動506aを検知する。評価モジュール320は、既知の測定対象車両504aが第2の車線512から第3の車線514に切り替えることと、第3の車線514と第2の車線512との間に遷移点525aがあることとを含む回避行動506bを更に検知する。評価モジュール320は、既知の測定対象車両504bが第1の車線510から第2の車線512に遷移することを含む回避行動506cを更に検知する。回避行動506a、506b及び506cの検知は、データベース310などのデータベースに記憶されるか、或いはその他の方法で統合モジュール330に対して利用可能にされ得る。
【0054】
統合モジュール330は、次に、1以上の回避行動が特定の障害物に関連するかを決定し得る。上述した回避行動506a、506b及び506cは、環境内の測定対象車両によって実行された行為又は操作である。回避行動は障害物に対処している可能性がある。このように、1以上の回避行動506a、506b及び506cが遮断された障害物の予測に適用され得る。図5に示されるように、既知の測定対象車両504aは、第3の車線514内の障害物に対処しているようである。統合モジュール330は、既知の測定対象車両504bの動きが突然であること、既知の測定対象車両504aの自律走行モジュール150からの自己報告、及び、ホスト車両540による回避動作の検知に基づいて、回避行動506bが不明瞭な障害物520に関連することを決定することができる。この実施形態で、既知の測定対象車両504aは、第3の車線514内の不明瞭な障害物520の回避を示唆する様に動き得る。この決定は、回避行動506b、506c及び506dの時間的関連及び場所的関連に基づいて更になされ得る。
【0055】
障害物予測システム160は、信頼性レベルに基づいて、回避行動を更に関連付けることができる。1以上の実施形態で、信頼性レベルは車両と操作者との間で区別され得る。この実施例では、既知の測定対象車両504aは、信用することができるセンサデータ及び車両操作に基づいて高い信頼性レベルを有すると考えられる。更に、既知の測定対象車両504aは、運転技術が未熟であるにも関わらず攻撃的な運転であることに基づいて、信頼性レベルの低い操作者が乗車していると決定され得る。新規測定対象車両502は、無視されるか、車両環境内で観測された動作のみに基づいて加重されるか、中立に扱われ得る(信頼も不信もない)。このように、障害物予測システム160は、明確な回避行動506a及び506cに対してはほとんど無視をするか、最小の加重を行い、既知の測定対象車両504aの回避行動506bによって提供されたデータには高い加重を行うことができる。このように、障害物予測システム160は、第1の車線510及び第2の車線512内の不明瞭な障害物の可能性を無視し、不明瞭な障害物520が第3の車線514内に存在することを決定することができる。
【0056】
回避行動506bに含まれる既知の測定対象車両504aの動作と、ホスト車両540から受信されたセンサ情報とが、不明瞭な障害物の存在及び予測を決定するために用いられ得る。既知の測定対象車両504aの動作とホスト車両540からのデータとに基づいて、障害物予測システム160は、道路508の第3の車線514内の障害物520などの不明瞭な障害物が存在することを決定することができる。図5に示されるように、既知の測定対象車両504a及び新規測定対象車両502は、回避行動506b、506c及び506dにおいて領域を回避していることから示されるように、第3の車線514内に空間を形成している。統合モジュール330は、この領域を観測しなくとも、本明細書に記載されるように統合モジュール330が受信した回避行動506bによって障害物が存在することを決定することができる。障害物位置525にある不明瞭な障害物520は、回避行動の種類と関連し得る。例えば、ある領域の回避は、道路のその範囲が安全に走行し得ず、道路危険物を含む可能性があることを示唆する。不明瞭な障害物520は、物体が周辺に落とされたという情報を緊急無線スキャナが受信するなどして受信した更なる情報に基づいて精査され得る。この情報は、予測された障害物の種類を精査するなどのために不明瞭な障害物520に相関付けられ得るが、不明瞭な障害物は不明瞭な障害物520を正確に描写する必要はない。
【0057】
次に、統合モジュール330は、不明瞭な障害物を車両環境にマッピングするための命令を提供し得る。障害物位置525は不明瞭な障害物520の車両レベルの位置を含む。回避行動506b及びホスト車両540からのセンサデータは、障害物位置525の大まかな場所を示す。一部の実施形態では、統合モジュール330は、既知の測定対象車両504a及び504bに関する場所など、不明瞭な障害物520の障害物位置525の車線レベルの場所を決定し得る。障害物の性質を考慮に入れると、不明瞭な障害物520の障害物位置525は路面標識516に従わない、或いは、制限されないことがある。そこで、既知の測定対象車両504aの回避行動506bの発生タイミング及び位置決めによって、障害物位置525の示唆が提供され得る。
【0058】
調整モジュール340は、次に、ホスト車両540に対する案内情報を策定し得る。ホスト車両540は、障害物予測システム160から情報を受信する車両である。障害物予測システム160の調整モジュール340は、案内情報を決定するために、不明瞭な障害物と、障害物位置と、既知の測定対象車両504a及び504bに対する信頼性レベルとを適用し得る。案内情報は、ホスト車両540に対して、障害物を回避する又は安全に通過するには車両又は操作者がどのよう対処すべきかを知らせる。この実施例では、既知の測定対象車両504aには、信頼性レベルの低い操作者が乗車していることが決定されている。既知の測定対象車両504bには、高い技術と経験に基づいた信頼性レベルの高い操作者が乗車し得る。更に、既知の測定対象車両504bの操作者はブレーキ操作に問題があることが知られ得るため、ブレーキ操作時間に関して低い信頼性レベルパラメータが作成される。これを考慮して、調整モジュール340は、減速に関する操作者の信頼性レベルに基づいて遅延時間が修正された、既知の測定対象車両504bからの車両操縦の1以上の要素を含む案内情報を作成し得る。
【0059】
調整モジュール340は、次に、案内情報をホスト車両540に提供し得る。図5に示されるように、ホスト車両540は調整モジュール340から案内情報を受信する。調整モジュール340は自律走行モジュール150を通してなどで直接案内情報を提供するか、又は、ホスト車両540の操作者に命令を提供することなどによって間接的に案内情報を提供し得る。一実施形態では、案内情報は、通信システム130を介して操作者に伝達される情報であり、ホスト車両540が第3の車線514から第2の車線512に移動すべきであることを示唆している。別の実施形態では、案内情報は自律走行モジュール150への命令であり、ホスト車両540を制御して、第3の車線514から第2の車線512に移動させる。案内情報は、障害物がどこで開始し終了することが見込まれるか及び/又は操作者がどこで回避操作を開始するべきかの示唆を含み得る。これによって、操作者又は自律走行モジュール150が、適切に進路を変更することを可能にする。
【0060】
障害物予測システム160は、車両環境内の車両に多くの利点を提供することができる。障害物予測システム160は、障害物を回避又は安全に通過するための情報を提供するために障害物の特定の検知を要しない。つまり、障害物予測システム160を用いることで、ホスト車両540は漠然とした障害物を検知でき、回避することができる。
【0061】
図6は、本明細書の1以上の実施形態に係る、一定環境内で不明瞭な障害物を検知するための方法600のブロック図である。方法600は、車両100の障害物予測システム160などの、本明細書に記載のシステム又は装置によって実行され得る。方法600は、ホスト車両からの測定対象車両の回避行動に関するセンサデータなど、間接的ソースからの予測データの集まりを含み得る。予測データは測定対象車両の信頼性レベルに基づいて考慮され、続いて、障害物の種類及び位置が決定され、ホスト車両に対する案内情報が形成される。つまり、方法600は、不明瞭な障害物に対処し、ホスト車両を安全に誘導することができる。図6に示されるように、方法600は、602において、ホスト車両が、車両環境内の1以上の測定対象車両から不明瞭な障害物に関する予測データを受信することを含む。そして、604で、1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対して信頼性レベルが構築され得る。606で、予測データと信頼性レベルとを用いて不明瞭な障害物を予測するのに応じて、予測は車両環境にマッピングされ得る。そして、608で、ホスト車両は、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて誘導され得る。
【0062】
方法600は、602で、ホスト車両が車両環境内の1以上の測定対象車両から不明瞭な障害物に関する予測データを受信することで開始され得る。不明瞭な障害物は、ホスト車両の視点から不明瞭となり得る。予測データは、ホスト車両から受信したセンサデータ、測定対象車両からの回避行動のセンサデータ、及び/又は、測定対象車両からの回避行動の直接報告など、不明瞭な障害物に関する情報を含み得る。検知及び認識は、1以上の車両センサからなどのセンサ入力を用いて実行され得る。不明瞭な障害物は、ホスト車両からのセンサ入力を用いるなどによって、測定対象車両の行動からホスト車両によって即時に認識され得る。更に別の実施形態では、不明瞭な障害物の示唆は、測定対象車両の行動から認識され得る。更に、方法600では、障害物の検知又は認識に用いられ得る1以上の測定対象車両からのデータ(例えば、未処理データ)を受信することができる。
【0063】
更に、方法600は、車両環境内の回避行動に関する情報を検知すること又は受信することを含み得る。回避行動は、1以上の不明瞭な障害物に起因して車両環境内でなされた選択を示すために用いられ得る。方法600は、車両が走行する車線と、回避操作と、車両の制御の形式(例えば、自律又は手動)と、場所と操作両方の概算時間と、関連するセンサデータとを示すために回避行動を適用することを含み得る。方法600は、回避行動の検知又は推測を可能にするための利用可能なシステムを用いて回避行動を収集することを含み得る。一部の実施形態では、回避行動は、既知の車両操作(例えば、既知のアクチュエータの位置に基づく回転などの操作を測定対象車両が自ら報告)又はセンサを介した車両観測値に基づいて送信され得る。
【0064】
方法600は、次に、どの回避行動が不明瞭な障害物に関連するかを決定することを含み得る。一部の実施形態では、方法600は、どの回避行動が不明瞭な障害物に関連するかを決定するため、行動間の時間的関連を用い得る。更なる実施形態では、方法600は、測定対象車両からデータ送信又は他の示唆を受信することを含み得る。測定対象車両から受信した不明瞭な障害物に関する情報は、上述した検知又は決定のソースを含み得る。
【0065】
予測データの収集は、図3を参照して説明された障害物予測システム160などのシステムの一部として実施され得る。障害物予測システム160は、評価モジュール320を含み得る。評価モジュール320は、概して、プロセッサ204を制御して、車両環境及び1以上の測定対象車両から1以上の回避行動などの予測データを収集させるよう機能する命令を含み得る。回避行動は、図3及び図4を参照して説明された回避行動に実質的に類似し得る。回避行動は、予測データ360の一部として記憶され得る。予測データ360は、図3を参照して説明されたデータベース310などのデータベースに記憶され得る。
【0066】
604において、1以上の測定対象車両の少なくとも1台に対して車両信頼性レベルが構築され得る。信頼性レベルは、測定対象車両又は1以上の操作者に関連した履歴又は行動データを含み得る。信頼性レベルは、更に、測定対象車両が運転される車両環境などの運転環境に関連し得る。一実施形態では、信頼性レベルは、測定対象車両の操作者の運転技術又は運転能力を含み得る。一部の実施形態では、信頼性レベルは、測定対象車両の1以上のセンサの確実性に関連し得る。1以上の実施形態では、信頼性レベルは、道路の運転又は操縦の総合的測定又は特定の要素の測定でもよい。信頼性レベルは、意識的確実性情報及び無意識的確実性情報の両方を含む利用可能な確実性情報に依存して適用され得る。一部の実施例では、意識的確実性情報は、スピード違反、急ブレーキ、急な車線変更、攻撃的行動又は癖、その他の運転者によって制御される行動など、車両の制御可能な行動を含み得る。更なる実施例では、信頼性レベルの一部を構成し得る無意識的確実性情報は、応答時間、運転能力に影響し得る既知の疾患(例えば、視覚、心臓の異常など)、年齢、運転経験、その他測定対象車両に備わる機能又は操作者による測定対象車両の制御能力を含み得る。
【0067】
信頼性レベルの決定は、図3を参照して説明された障害物予測システム160などのシステムの一部として実行することができる。障害物予測システム160は、評価モジュール320を含み得る。評価モジュール320は、概して、1以上の測定対象車両の少なくとも1つに対して信頼性レベルを構築するための命令を含み得る。信頼性レベルは、図3及び図4を参照して説明された信頼性レベルに実質的に類似し得る。信頼性レベルは、信頼性情報380の一部として記憶され得る。信頼性情報380は、図3を参照して説明されたデータベース310などのデータベースに記憶され得る。
【0068】
方法600は、606において、予測データ及び/又は信頼性レベルを用いて不明瞭な障害物を予測することを更に含み得る。不明瞭な障害物の予測は、1以上の間接的ソースからの情報に基づき得る。1以上の実施形態における不明瞭な障害物の予測は、1以上の測定対象車両の検知された回避行動に基づく、ホスト車両が受信した不明瞭な障害物に関する関連情報又はデータを含む。つまり、測定対象車両又は測定対象車両の操作者に対する信頼性レベルは、予測データの確実性に関する情報を提供し得る。これにより、予測データの確実性に関する情報に基づいて、信頼性レベルを用いて不明瞭な障害物が予測され得る。一部の実施形態では、信頼性レベルは、ホスト車両又は関連する操作者から受信した回避行動若しくはセンサデータなどの予測データ又はその構成要素に適用され得る。方法600は、予測データの確実性を決定することを更に含む。1以上の実施例では、信頼性レベルは、標準又は正常と比較した予測データの確実性を示し得る。更なる実施例では、信頼性レベルは、車線操作又はブレーキ操作などの特定の要素に関する予測データの確実性を示し得る。
【0069】
方法600が、測定対象車両に対する信頼性レベルが不明瞭な障害物の予測又は予測データ全体を受け入れるのに充分高くないと決定した場合、方法600は、不明瞭な障害物及び/又は予測データに関連した1以上の追跡行為の実行を含み得る。追跡行為は、予測データ又はその構成要素の却下、1以上の測定対象車両への更なる情報の要請、予測データの1以上の要素の部分的却下、確証の要請、又は、予測データの1以上の要素に信頼性を与え得るその他の行為を含み得る。方法600は、予測データと信頼性レベルとを照らし合わせ、不明瞭な障害物の予測に加重予測データを適用し得る。不明瞭な障害物は、センサデータ(例えば、道路で検知された障害物)、行為からの外挿(例えば、くぼみを避けるような車両の操縦)などに基づいて予測され得る。一部の実施形態では、2以上の不明瞭な障害物があることがあり(例えば、右側車線を遮断する工事又は積雪があることがある)又は、不明瞭な障害物が大まかなものであることがある(例えば、中央車線の障害物)。更なる実施形態では、不明瞭な障害物は公に利用可能なソース、センサデータなど、新しい情報を用いて時間の経過と共に精査され得る。
【0070】
不明瞭な障害物の予測は、図3を参照して説明された障害物予測システム160などシステムの一部として実行され得る。障害物予測システム160は、統合モジュール330を含み得る。統合モジュール330は、概して、プロセッサ204を制御し、予測データ及び/又は信頼性レベルを用いて不明瞭な障害物を予測させるよう機能する命令を含む。不明瞭な障害物は、図3及び図4を参照して説明された不明瞭な障害物に実質的に類似し得る。予測データは、障害物予測システム160に対して、予測データに対応する1以上の障害物の種類に関して報告し得る。不明瞭な障害物は、障害物情報370の一部として記憶され得る。障害物情報370は、図3を参照して説明されたデータベース310などのデータベースに記憶され得る。
【0071】
606において、予測データ及び信頼性レベルを用いて不明瞭な障害物を予測するのに応じて、予測は車両環境にマッピングされ得る。ここで、方法600は、不明瞭な障害物の障害物位置への位置決めを含み得る。障害物位置は、大まかな又は正確な車両環境内の位置であり得る。障害物位置は、障害物の車線レベルの位置、障害物に影響される境界、車線境界を定義するパラメータなどの詳細を含み得る。そして、不明瞭な障害物は、障害物に関する情報量と経時的変化、測定対象車両に関連付けられた1以上のデータポイントに関する信頼性レベルなどに基づいて、障害物位置に位置決めされ得る。この関連付けは、続いてホスト車両によって適用され、他の車両に提供され得る。不明瞭な障害物の予測は、いずれかの既知の概算時間を含む地図の更新にも用いられ得る。
【0072】
更に、不明瞭な障害物の予測は、予測される又は既知のその他の障害物と相関付けられ得る。障害物位置にある不明瞭な障害物は、車両環境に影響を及ぼすその他の障害物と関連することがある。方法600は、車両環境でどの障害物同士が関連するかを決定するために、障害物の種類、タイミング、位置などのパラメータを用いることを含み得る。
【0073】
不明瞭な障害物のマッピングは、図3を参照して記載された障害物予測システム160などのシステムの一部として実行され得る。障害物予測システム160は、統合モジュール330を含み得る。統合モジュール330は、概して、プロセッサ204を制御して、車両環境内に不明瞭な障害物をマッピングさせるよう機能する命令を含み得る。不明瞭な障害物は、図3及び図4を参照して説明された不明瞭な障害物に実質的に類似し得る。不明瞭な障害物及び障害物位置は、障害物情報370の一部として記憶され得る。障害物情報370は、図3を参照して説明されたデータベース310などのデータベースに記憶され得る。
【0074】
次に、ホスト車両は、不明瞭な障害物を回避するための案内情報を用いて誘導され得る。案内情報は、不明瞭な障害物によって影響を受けるのを回避するために操作者又は自律走行車両が実施し得る1以上の工程である。案内情報は、障害物の種類、障害物が車両環境中の交通に及ぼすと予測される影響、不明瞭な障害物がなくなる可能性、障害物の位置、代替経路の利用可能性などに関連し得る。案内情報は、特定の経路、回避するべき又は走行するべき車線、交通パターンの予測、通常の車線パターン以外の交通の動きなどを含み得る。更に、案内情報は、特定の障害物、既知の頻度で発生する車線レベルの障害物などに関する、経時的に収集された関連する時間データを含み得る。
【0075】
方法600は、回避行動及び信頼性レベルを案内情報に組み込むことで案内情報を作成することを含み得る。システム及び操作者は、異なる性能及び効率で稼働することが理解される。つまり、1以上の操作者及び/又は1以上の自律走行車両の回避行動に含まれる回避技術は、車両の選択又は車線レベルの操縦に含まれ得る。つまり、信頼性レベルで裏付けされた回避行動は、案内情報の一部として提供され得る及び/又は案内情報を修正するために用いられ得る。
【0076】
案内情報の策定は、図3を参照して説明された障害物予測システム160などのシステムの一部として実行され得る。障害物予測システム160は、調整モジュール340を含み得る。調整モジュール340は、概して、プロセッサ204を制御して、不明瞭な障害物及び信頼性レベルを用いて、車両環境中のホスト車両に対する案内情報を作成させるよう機能する命令を含み得る。案内情報は、図3及び図4を参照して説明された案内情報と実質的に類似し得る。案内情報は、図3に示されるように、車両又は操作者に送信され得る。
【0077】
続いて、方法600は、案内情報を用いてホスト車両を誘導することも更に含み得る。方法600は、操作者の入力、車両形式(例えば、自律又は手動)又はその他の制御要素などに基づいて直接又は間接的にホスト車両を誘導することを含み得る。一実施形態では、車両システムに案内情報を命令として提示し、車両システムの1以上の動作を制御する場合など、方法600は直接車両を制御することを含み得る。別の実施形態では、自律走行システムに案内情報を命令として提示する場合など、方法600はホスト車両を間接的に制御することを含み得る。この制御は、自律走行モジュールが方法600からの入力を変化又は拒否することができるということにおいて間接的となり得る。別の実施形態では、案内情報は、案内情報が操作者に命令/経路として提示される場合、又は、乗客によって選択又は提供され得る入力として提示される場合など、働きかけるホスト車両の操作者又は乗客に選択肢として提示され得る。
【0078】
案内情報を用いた誘導は、図3を参照して説明された障害物予測システム160などのシステムの一部として実行され得る。障害物予測システム160は、調整モジュール340を含み得る。調整モジュール340は、案内情報を用いてホスト車両を誘導する命令を更に含み得る。調整モジュール340は、操作者の入力、車両形式又はその他の制御要素に基づいて直接又は間接的に車両を誘導し得る。案内情報は、図3及び図4を参照して説明された案内情報に実質的に類似し得る。案内情報は、図3に記載されるように、車両又は操作者に送信され得る。
【0079】
本明細書に開示されるシステム及び方法が運用されることがある例示的車両環境として、図1の完全な詳細を説明する。一部の事例では、車両100は、自律走行モード、1以上の半自律走行モード及び/又は手動運転モードを選択的に切り替えるよう構成される。このような切り替えは、手動運転モードに移行する場合はハンドオーバとも呼ばれ、現在知られている又は今後開発される適切な方法で実施され得る。「手動運転モード」は車両の誘導及び/又は操縦の全て又は大部分が利用者(例えば、人の運転者/操作者)から受けとる入力に従って実行される。
【0080】
1以上の実施形態では、車両100は自律走行車両であり得る。本明細書中で、「自律走行車両」は、自律走行モードで走行する車両を意味する。「自律走行モード」は、人の運転者/操作者から最小限の入力又は入力なしで車両100を制御するため、1以上のコンピュータ装置を用いて走行経路に沿って車両100を誘導及び/又は操作することを意味する。一実施形態では、車両100は1以上の半自律走行モードで構成される。半自律走行モードでは、1以上のコンピュータ装置が走行経路に沿った車両の誘導及び/又は操縦の一部を実施し、車両の操作者(例えば、運転者)は、走行経路に沿った車両100の誘導及び/又は操縦の一部を実行するために車両に入力を提供する。つまり、1以上の実施形態で、車両100は、特定の定義された自律レベルに従って自律走行する。例えば、車両100は、米国自動車技術者協会(SAE)の自動車両識別0~5に従って走行し得る。
【0081】
車両100は、1以上のプロセッサ110を含み得る。1以上の配置では、プロセッサ110は車両100のメインプロセッサであり得る。例えば、プロセッサ110は、電子制御ユニット(ECU)であり得る。車両100は、1以上のデータ形式を記憶するための1以上のデータストア115を含み得る。データストア115は、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含み得る。適切なデータストア115の例は、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ又はその他の適切な記憶媒体やその組み合わせを含む。データストア115はプロセッサ110の構成要素であり得る、又は、データストア115はプロセッサ110によって使用されるためにプロセッサ110に操作可能に接続することができる。本明細書で用いられる「操作可能に接続」という語句は、直接の物理的接触のない接続を含む直接又は間接的接続を含み得る。
【0082】
1以上の配置では、1以上のデータストア115は地図データ116を含み得る。地図データ116は、1以上の地理的領域の地図を含み得る。一部の事例では、地図データ116は、1以上の地理領域の道路の情報又はデータ、交通制御装置、路面標識、構造、特徴、及び/又は、ランドマークを含み得る。1以上の配置では、地図データ116は1以上の地形図117を含み得る。地形図117は、地面、地形、道路、地表及び/又は1以上の地理領域のその他の特徴に関する情報を含み得る。1以上の配置では、地図データ116は、1以上の静的障害物地図118を含み得る。静的障害物地図118は、1以上の地理的領域内に位置する1以上の静的障害物に関する情報を含み得る。
【0083】
1以上のデータストア115は、センサデータ119を含み得る。本明細書の文脈で、「センサデータ」は、車両100が装備するセンサに関する性能その他の情報を含む何等かの情報を意味する。後述するように、車両100は、センサシステム120を含み得る。センサデータ119は、センサシステム120の1以上のセンサに関連し得る。一例として、1以上の配置では、センサデータ119は、センサシステム120の1以上のLIDARセンサ124に関する情報を含み得る。
【0084】
上述したように、車両100は、センサシステム120を含み得る。センサシステム120は、1以上のセンサを含み得る。「センサ」は、何かを検知及び/又は感知することができる何らかの装置、構成要素及び/又はシステムを意味する。1以上のセンサは、即時に検知及び/又は感知するよう構成され得る。センサシステム120が複数のセンサを含む配置では、センサは、互いに独立して機能し得る。或いは、2以上のセンサを組み合わせて稼働することができる。このような場合、2以上のセンサは、センサネットワークを形成することができる。センサシステム120及び/又は1以上のセンサは、プロセッサ110、データストア115、及び/又は、車両100の別の要素(図1に示されるいずれかの要素を含む)に運用可能に接続し得る。センサシステム120は、車両100の外部環境(例えば、周辺車両)の少なくとも一部のデータを取得することができる。
【0085】
センサシステム120は、いずれかの適切な種類のセンサを含み得る。異なる種類のセンサの様々な例が本明細書中に記載される。しかしながら、実施形態は、記載された特定のセンサに限られないことが理解されるであろう。センサシステム120は、1以上の車両センサ121を含み得る。車両センサ121は、車両100自体に関する情報を検知、決定、及び/又は感知し得る。1以上の配置では、車両センサ121は、例えば、慣性アクセルなど、車両100の場所及び向きの変化を検知及び/又は感知するよう構成され得る。1以上の配置では、車両センサ121は、1以上の加速度計、1以上のジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、推測航法システム、全地球航法衛星システム(GNSS)、全地球測位システム(GPS)、ナビゲーションシステム147及び/又はその他の適切なセンサを含み得る。車両センサ121は、車両100の1以上の特徴を検知及び/又は感知するよう構成され得る。1以上の配置では、車両センサ121は、車両100の現在の速度を決定する速度計を含み得る。
【0086】
或いは、又はそれに加えて、センサシステム120は、運転環境データを取得及び/又は感知するよう構成された1以上の環境センサ122を含み得る。「運転環境データ」は、自律走行車両が位置する外部環境又はその1以上の部分に関する何らかのデータ又は情報を含む。例えば、1以上の環境センサ122は、車両100の外部環境の少なくとも一部にある障害物及び/又はそのような障害物の情報/データを、検知、定量、及び/又は感知するよう構成され得る。1以上の環境センサ122は、例えば、レーンマーカー、標識、信号機、交通標識、車線、横断歩道、車両100に最も近い縁石、道路外の物体など、車両100の外部環境内のその他の物を検知、計測、定量及び/又は感知するよう構成され得る。
【0087】
センサシステム120のセンサの様々な例が本明細書に記載される。例示されるセンサは、1以上の環境センサ122及び/又は1以上の車両センサ121の一部であってもよい。更に、センサシステム120は、車両100の運転者/操作者に関連した局面を追跡又は監視するよう機能する操作者センサを含み得る。しかしながら、実施形態は記載された特定のセンサに限られないことが理解されるであろう。一例として、1以上の配置では、センサシステム120は1以上のレーダセンサ123、1以上のLIDARセンサ124、1以上のソナーセンサ125及び/又は1以上のカメラ126を含み得る。
【0088】
車両100は、通信システム130を更に含み得る。通信システム130は、車両100と1以上の通信ソースとの間の通信を促進するよう構成された1以上の構成要素を含み得る。本明細書中で用いられる通信ソースは、外部ネットワーク、コンピュータ装置、車両100の操作者又は同乗者など、車両100が通信可能な人又は装置を意味する。車両100は、通信システム130の一部として入力システム131を含み得る。「入力システム」は、情報/データが機械に入力されるのを可能にするいずれかの装置、構成要素、システム、要素、若しくは配置、又はその集まりを含む。1以上の実施例では、入力システム131は、車両乗員(例えば、運転者又は乗客)からの入力を受信し得る。車両100は出力システム132を含み得る。「出力システム」は、情報/データが1以上の通信ソース(例えば、人、車両乗客など)に提示されるのを可能にするいずれかの装置、構成要素、若しくは配置、又はその集まりを含む。通信システム130は、表示装置133及び1以上の音声装置134(例えば、スピーカ又はマイクロフォン)などの、入力システム131又は出力システム132の一部である又は入力システム131又は出力システム132と通信可能な特定要素を更に含み得る。
【0089】
車両100は1以上の車両システム140を含み得る。1以上の車両システム140の様々な例が図1に示される。しかしながら、車両100はより多くの車両システム、より少ない車両システム、又は、異なる車両システムを含み得る。当然のことながら、特定の車両システムは別途定義されるが、車両システムのそれぞれ若しくはいずれか又は車両システムの一部は車両100内のハードウェア及び/又はソフトウェアを介して組み合わされたり、分離されたりすることがある。車両100は、推進システム141、ブレーキシステム142、ステアリングシステム143、スロットルシステム144、トランスミッションシステム145、シグナリングシステム146、及び/又はナビゲーションシステム147を含み得る。これらのシステムは、それぞれ1以上の既知の又は今後開発される装置、構成要素、及び/又はその組み合わせを含み得る。
【0090】
プロセッサ110及び/又は自律走行モジュール150は、様々な車両システム140及び/又はその各構成要素と通信するため、運用可能に接続され得る。例えば、図1に戻ると、プロセッサ110及び/又は自律走行モジュール150は、車両100の動き、速度、操縦、進路、方向などを制御するために各種車両システム140からの情報を送信及び/又は受信するよう通信することができる。プロセッサ110、障害物予測システム270及び/又は自律走行モジュール150は、これら車両システム140の一部又は全てを制御することがあり、部分的に又は全体的に自律していることがある。
【0091】
車両100は、少なくとも一部が本明細書に記載される1以上のモジュールを含み得る。モジュールは、プロセッサ110によって実行されると、本明細書に記載される1以上の各種プロセスを実行するコンピュータ可読プログラムコードとして実行され得る。プロセッサ110は、タスク実行の目的ために1以上の命令スレッドを受信し、実行することが可能なCPUなどの装置を含み得る。1以上のモジュールはプロセッサ110の構成要素であり得る、又は、1以上のモジュールはプロセッサ110が運用可能に接続されたその他のプロセッシングシステムで実行される及び/又は分散され得る。モジュールは1以上のプロセッサ110によって実行可能な命令(例えば、プログラムロジック)を含み得る。或いは、又は、それに加えて、1以上のデータストア115がそのような命令を含み得る。
【0092】
1以上の配置では、本明細書に記載された1以上のモジュールが、例えば、ニューラルネットワーク、ファジーロジック、その他のマシンラーニングアルゴリズムなど、人工又は計算知能要素を含み得る。更に、1以上の配置では、1以上のモジュールが本明細書に記載された複数のモジュールに分散され得る。1以上の配置では、本明細書に記載された2以上のモジュールは組み合わされて1つのモジュールになり得る。
【0093】
車両100は、1以上の自律走行モジュール150を含み得る。自律走行モジュール150は、センサシステム120、並びに/又は、車両100及び/若しくは車両100の外部環境に関連する情報を取得可能なその他のいずれかの種類のシステムからデータを受信するよう構成され得る。1以上の配置では、自律走行モジュール150は、1以上の運転シーンモデルを生成するためにこのようなデータを用い得る。自律走行モジュール150は、車両100の場所と速度とを決定し得る。自律走行モジュール150は、障害物の位置、又は交通標識、木、低木、周辺車両、歩行者などその他の環境特徴を決定し得る。
【0094】
車両100は、ARシステム180を更に含み得る。当然のことながら、ARシステム180は多くの異なる形式をとり得るが、概して、車両を取り巻く実世界の環境内における物体の観測を付加又は補助するよう機能する。つまり、例えば、ARシステム180は、車両100のフロントガラスなどを通して実世界と一体化されたグラフィック表示を提供するために、1以上のARディスプレイを用いてグラフィックを重ね得る。つまり、ARシステム180は、フロントガラス、サイドウィンドウ、レアウィンドウ、ミラー及び車両100のその他の局面と一体化したディスプレイを含み得る。更なる局面では、ARシステム180はゴーグルや眼鏡などのヘッドマウントディスプレイを含み得る。いずれの場合も、ARシステム180は、実世界の物体に付加したグラフィック要素、実世界の物体を修正したグラフィック要素、及び/又はその2つの組み合わせを表現するよう機能する。一実施形態では、ARシステム180の少なくとも1つのARディスプレイが車両100周辺の少なくとも一部のカメラ(例えば、外部に向けられたカメラ)からの即時画像を、ARシステム180及び/又は障害物予測システム160からの人工物(例えば、変換されたグラフィック要素)と融合させる。一つの例として、モニター(つまり、ARディスプレイ)が車両100のダッシュボードに一体化されるかその真上に配置され、ARシステム180によって変換されたグラフィック要素とカメラからの実世界の画像とを融合したビューを表示するよう制御される。このように、ARシステム180は、強化/装飾された可視センサ経験を提供するため、操作者/乗客のビューを付加又は修正し得る。
【0095】
図2を参照すると、障害物予測システム160を有するコンピュータ装置200の例が示される。コンピュータ装置200は、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、組み込みコンピュータ、又は、マイクロプロセッサ、DSP(デジタル信号プロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、若しくはASIC(特定用途向け集積回路)などの演算器を有するスタンドアロンデバイスなど、これらに限られないいずれかの適切な種類のコンピュータ装置であり得る。図2に示されるように、コンピュータ装置200は、表示装置220と接続されたサーバである。本明細書ではサーバに関する配置が記載されるが、実施形態はサーバに限定されないことが理解されるであろう。一部の実施形態では、コンピュータ装置200は、例えば、1以上の車両からのデータ送信を受信でき、1以上の車両にデータ送信ができ、本明細書に記載の障害物予測システムの機能から利することができるいずれの形式のコンピュータ装置でもよい。
【0096】
コンピュータ装置200は、入力202を有し得る。入力202は、電子データなどの情報を送信又は受信するよう構成され得る。1以上の実施例では、入力202は、環境情報を取得し、車両情報を取得し、及び/又は、その他のコンピュータ装置と通信するよう構成され得る。入力202は、コンピュータ装置200への入力装置として用いられる、有線又は無線の1以上の接続を含み得る。入力装置は、媒介装置の使用を含むいずれかの方法でコンピュータに入力を提供可能ないずれかの装置を含み得る。入力202は、いずれかの適切な通信インタフェースであり得るが、装置の種類に依存する可能性がある。入力202のインタフェースの例は、USB(ユニバーサルシリアルバス)、Lightning、フレーム取り込み装置、Ethernet(登録商標)又はFirewireを含み得るがこれらに限られない。
【0097】
コンピュータ装置200は、本明細書に記載のデータ処理及び分析で用いられる汎用プロセッサなどの1以上のプロセッサ204を更に含み得る。プロセッサ204は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、コンピュータ装置の一部としてタスクを実行するために1以上の命令を受信し、実行することができる装置であり得る。一実施形態では、プロセッサ204は、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)などのマイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサ(GPU)、物理演算ユニット(PPU)、DSP、画像プロセッサ、コプロセッサなどを含み得る。本明細書中の1以上の箇所でプロセッサ204として参照されるが、本明細書中に記載の1以上の実施形態で、プロセッサ204の組み合わせを含む1以上のプロセッサ204が使用可能なことが理解されるであろう。一部の実施形態では、入力202は、センサ206(例えば、車両100のセンサシステム120、インフラストラクチャを介して利用可能なセンサなど)、マイクロフォン、その他のアクティブ又はパッシブな入力装置又はシステムなどと接続し得る。更なる実施形態では、コンピュータ装置200は、接続208を含み得る。接続208は有線又は無線であってもよく、ネットワークプロトコルなどを介して(例えば、Ethernet(登録商標)又は類似のプロトコル)コンピュータ装置200が他のコンピュータ装置とローカル又は遠隔で通信するのを可能にし得る。接続208は、車両100を参照して記載されたセンサシステム120及びデータストア115など、他のコンピュータ装置と関連付けられたリモート装置とも更に接続され得る。
【0098】
コンピュータ装置200は、メモリ210などのメモリを更に備え得る。メモリ210は、揮発性及び/又は不揮発性メモリを含み得る。適切なメモリ210の例は、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、若しくは、その他いずれかの適切な記憶媒体、又は、その組み合わせを含む。メモリ210はプロセッサ204の構成要素でもよく、又は、メモリ210はプロセッサ204によって使用されるために運用可能にプロセッサ204に接続され得る。メモリ210は、プロセッサ204によって実行されると、プロセッサ204に本明細書に記載の方法及び機能を実施させるコンピュータ可読命令を含む1以上のモジュールを含み得る。メモリ210は、1以上のデータベース又はその一部を含み得る。メモリ210は、比較及び/又は分析のために参照材料に関連した情報を更に含み得る。
【0099】
コンピュータ装置200は、車両100、要求を出す装置、接続された装置、ユーザによって使用可能な方法で出力を伝達又は送信する出力212も含み得る。1以上の実施形態では、出力212は、映像表示装置、スピーカー、プロジェクター、上述したいずれかの装置との適切な接続、又は、その他の出力装置若しくは接続である。1以上の実施例で、出力212は、便利に観測することができるように画面(例えば、表示装置220)に又は制御装置に出力を伝送し得る。本明細書に記載の入力202及び出力212はコンピュータ装置200の別の要素として提示されるが、1以上の実施形態では、入力202及び出力212は所望により同じ装置、接続又はシステムであり得ることが理解される。
【0100】
コンピュータ装置200は、レピュテーションベースの装置間通信に関連した、本明細書に記載の方法及びその他の機能を実施するよう実装された障害物予測システム160を更に含む。障害物予測システム160は、本明細書に記載の機能を実行する、評価モジュール320と、統合モジュール330と、調整モジュール340とを含む複数のモジュールを含む。1以上の実施形態では、障害物予測システム160はネットワーク170として示される有線又は無線接続を介して、要求を出す装置、接続された装置、参照するシステムなどに関する情報を受信するなどのために、ローカル又はリモート装置と通信し得る。1以上の実施形態で、障害物予測システム160は、車両100、サーバ172、コンピュータ装置200、又はこれらの組み合わせと通信し得る。更に、障害物予測システム160は、登録パラメータと本明細書に記載の機能とを相関付けるために、1以上の接続された装置間などコンピュータ装置200内部の通信に影響を及ぼし得る。障害物予測システム160は、1以上の要求を出す装置、1以上の接続された装置、及び/又は車両100との間の接続を承認、割り当てることで本明細書に記載の接続を構築するために、ブロックチェーンデータベースと通信し得る。
【0101】
本明細書には実施形態の詳細が開示される。しかしながら、開示された実施形態は例でしかないことを理解されたい。つまり、本明細書に詳細が記載された特定の構造的及び機能的詳細は制限事項とは解釈されず、請求の範囲の根拠として、また、本明細書に記載された局面を実質的に適切な詳細構造中で多様に用いるための当業者への教示の代表的根拠として解釈される。更に、本明細書で用いられる用語や語句は制限することを意図せず、可能な実施形態に分かりやすい説明を提供することが意図される。図1図6に各種実施形態が示されるが、実施形態は図示された構成や用途に限られない。
【0102】
図面中のフロー図及びブロック図は、各種実施形態に係る、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施形態の構成、機能、動作を示す。このため、フロー図やブロック図の各ブロックは、特定の論理機能を実施するための1以上の実行可能な命令を備えるモジュール、セグメント、又はコードの一部を表し得る。また、一部の代替実施形態では、ブロックに記される機能は図面に記載される順序以外で実行され得ることに留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、関連する機能によって、実質的に同時に実行されることもあれば、これらのブロックが逆の順序で実行されることもある。
【0103】
上述したシステム、構成要素及び/又は方法は、ハードウェア、又は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現され得る、また、1つのプロセッシングシステムで中央集中的に、又は、異なる要素が幾つかの互いに接続されたプロセッシングシステムに拡散されて分散的に実現され得る。本明細書に記載の方法を実行するよう構成されたいずれかの種類のプロセッシングシステム又はその他の装置が適切に利用される。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせには、コンピュータで使用可能なプログラムコードを有するプロセッシングシステムがある。プログラムコードは、ロードされ、実行された場合、プロセッシングシステムを制御して本明細書に記載の方法を実行させる。本システム、構成要素及び/又は方法は、機械読み取り可能で、本明細書に記載の方法を実施するために機械によって実行可能な命令のプログラムを有形に実施するコンピュータプログラム製品又はその他のデータプログラム記憶装置など、コンピュータ可読記憶装置に組み込まれ得る。これらの要素は、本明細書に記載の方法の実施形態を可能にする全ての特徴を備え、プロセッシングシステムにロードされてこれらの方法を実施することが可能なアプリケーション製品にも組み込まれ得る。
【0104】
更に、本明細書に記載の配置は、コンピュータ可読プログラムコードを記憶するなどして具現化する又は組み込む1以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形式をとり得る。1以上のコンピュータ可読媒体のいずれかを組み合わせて利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。「コンピュータ可読記憶媒体」という語句は、非一時的な記憶媒体を意味する。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置若しくはデバイス、又は、上記のいずれかの適切な組み合わせであり得るが、これに制限されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(完全に網羅されたリストではない)は、1以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピューターディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAM、ROM、EPROM又はフラッシュメモリ、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、光学式記憶装置、磁気記憶装置、又は上記の適切な組み合わせを含む。本明細書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって又は関連して用いられるプログラムを含む、又は記憶し得る何らかの有形媒体でもよい。
【0105】
コンピュータ可読記憶媒体に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RFなど又は上記のいずれかの適切な組み合わせを含むがこれらに限られない適切な媒体を用いて送信されることができる。現在の配置の局面に関する操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向のプログラミング言語、「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語など、1以上のプログラミング言語のいずれかの組み合わせに書き込まれ得る。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で全てが、ユーザのコンピュータ上で一部が、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部がユーザのコンピュータ上で一部がリモートコンピュータ上で、又は、リモートコンピュータ又はサーバ上で全てが実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータはローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含むいずれかの種類のネットワークを介して、ユーザのコンピュータに接続され得る、又は、外部のコンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを通してインターネットにつなげて)接続され得る。
【0106】
上述の説明では、各種実施形態の充分な理解を提供するためにある特定の詳細が述べられた。しかしながら、本発明は、これらの詳細なしに実施されてもよいことが当業者には理解されるであろう。他の事例では、実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるため、周知の構造は示されず、詳述されなかった。文脈によって別の解釈が要求されない限り、本明細書及び後続の請求項全体を通して、「備える(comprise)」という用語及びその変化形(comprises, comprising)は、オープンで、包括的意味合い、つまり「含まれるが限定されない」と解釈される。更に、本明細書に提供される見出しは便宜上提供されるだけで、本願発明の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0107】
本明細書を通して、「1以上の実施形態」又は「一実施形態」の言及は、実施形態に関係して記載される特定の特徴、構造、又は性質が少なくとも1以上の実施形態に含まれることを意味する。つまり、本明細書を通して「1以上の実施形態では」又は「一実施形態では」という語句が各所で現れるが、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているとは限らない。更に、特定の機能、構造、又は性質は1以上の実施形態にいずれかの適切な方法で組み合わされることがある。また、本明細書と添付図面で用いられる単数表現(a, an)及び「the」は、内容により別の解釈が明示されない限り、複数への言及も含む。なお、「又は」という語句は、内容により別の解釈が明示されない限り、概して「及び/又は」という意味で用いられる。
【0108】
本明細書中で用いられる見出し(「背景技術」や「発明の概要」など)及び副見出しは、本開示内の項目の一般的構成のみを意図し、本開示の技術又はいずれかの局面を限定することを意図しない。複数の実施形態に記載された特徴について述べることは、他の実施形態が付加的な特徴を有すること、又は、他の実施形態が記載された特徴の異なる組み合わせを含むことを除外しない。本明細書で用いられる語句「備える」及び「含む」そしてその変化形は非限定的であるように意図されるため、項目を連続して又は一覧として述べることは、本技術の装置又は方法で役立つ可能性のあるその他の同様の項目を除外しない。同様に、「得る」又は「ことがある」という語句及びその変化形は非限定的であるように意図されるため、実施形態が一定の要素又は特徴を備え得る又は備えることがあるという記載は、これら要素又は特徴を含まない本技術の他の実施形態を除外しない。
【0109】
本開示における広範な教示は様々な形態において実施することができる。そのため、本開示は特定の実施例を含むものの、本明細書とそれに続く請求の範囲を検討することにより他の変形例も当業者に明らかになるため、本開示の真の範囲は特定の実施例によって限定されるべきではない。ある局面、又は様々な局面についての本明細書中での言及は、ある実施形態又は特定のシステムに関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1以上の実施形態又は態様に含まれていることを意味する。「一つの局面において」という表現(又はその変化形)を用いた場合、必ずしも同じ局面又は実施形態について述べているわけではない。当然のことながら、本明細書中で述べられている様々な方法の工程は示されたものと同じ順番で行われなくてもよく、各態様又は実施形態が各工程を含む必要もない。
【0110】
本明細書で用いられる「a」及び「an」という語句は、1又は2以上と定義される。本明細書中で用いられる「複数の」という語句は2又は3以上と定義される。本明細書中で用いられる「別の」という語句は、少なくとも2つ目又はそれ以上と定義される。本明細書中で用いられる「含む」及び/又は「有する」という語句は、含んでいる(つまり、オープンランゲージ)と定義される。本明細書中で用いられる「少なくとも1つの~及び~」という表現は、1以上の関連一覧項目の可能な組み合わせ全てを意味し、包合する。一例として、「少なくとも1つのA、B及びC」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ又はそのいずれかの組み合わせを含む(例えば、AB、AC、BC又はABC)。
【0111】
実施形態の上記説明は、図示と説明のために提供されている。本開示を網羅するものでもなければ、制限するものでもない。特定の実施形態の各要素又は特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されず、具体的に図示又は記載されなくとも、適宜交換可能で、選択された実施形態で用いられ得る。また、特定の実施形態の各要素又は特徴は、様々に変化することがある。このような変形例は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、このような改変の全ては本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0112】
上記説明は本開示された装置、システム及び方法の実施形態に関連するが、本開示された装置、システム及び方法の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示された装置、システム及び方法に関するその他の更なる実施形態が考慮され得る。本開示された装置、システム及び方法の範囲は、後に続く請求の範囲によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6