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  • 特許-織機のフレーム構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】織機のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   D03D 49/02 20060101AFI20240709BHJP
   D03D 49/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
D03D49/02
D03D49/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020075779
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021172901
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】名木 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大吾
(72)【発明者】
【氏名】田村 公一
(72)【発明者】
【氏名】山 和也
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-289651(JP,A)
【文献】国際公開第96/024714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D29/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸ビームを支持するビームサポートが各々に固定される一対のサイドフレームを複数の梁材で連結して構成されたフレーム、及び織機の設置面と各前記サイドフレームとの間に配設される一対の高さ位置設定部材を1以上含み、各前記高さ位置設定部材が前記設置面及び対応する前記サイドフレームに固定される織機のフレーム構造において、
前記織機の送出し側における一対の高さ位置設定部材は対応する前記サイドフレームに対し、その側面を当該サイドフレームの内側面又は外側面に当接させると共に、締結方向を織幅方向と平行な方向とするかたちで固定ボルトにより固定された支持構造体として設けられており、
前記ビームサポートは、前記支持構造体に含まれると共に前記高さ位置設定部材と一体的に形成されている、又は、前記支持構造体である前記高さ位置設定部材とは別体に形成されると共に前記支持構造体の上側で且つ織機の幅方向における前記支持構造体と同じ位置で前記支持構造体に対し取り付けられている
ことを特徴とする織機のフレーム構造。
【請求項2】
前記支持構造体が、対応する前記サイドフレームの前記内側面に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の織機のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経糸ビームを支持するビームサポートが各々に固定される一対のサイドフレームを複数の梁材で連結して構成されたフレーム、及び織機の設置面と各サイドフレームとの間に配設される一対の高さ位置設定部材を1以上含み、各高さ位置設定部材が設置面及び対応するサイドフレームに固定される織機のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な織機は、筐体形状の一対のサイドフレームを複数の梁材で連結して構成されたフレームを主体として構成されている。また、そのフレームにおける各サイドフレームには、経糸ビームを支持するためのビームサポートが取り付けられている。また、織機は、回転駆動されるロッキング軸及びそのロッキング軸に支持される筬を含む筬打ち装置を備えており、そのロッキング軸は、前記のフレームにおける一対のサイドフレームによって支持されている。
【0003】
そのような織機においては、製織中の前記筬打ち装置による筬打ち動作に伴い、ロッキング軸を支持する各サイドフレームに激しい振動(所謂、筬打ち振動)が発生することが知られている。そこで、フレームにおける各サイドフレームは、例えば特許文献1に開示されている織機のように、アンカーボルトを用い、織機の設置面に対して強固に固定されるように成っている。
【0004】
また、公知の織機としては、例えば特許文献2に開示されているように、前記のようなフレームを含むフレーム構造が、床面(織機の設置面)とフレームとの間に介装されるかさ上げ部材(高さ位置設定部材)を含むように構成されたものがある。これは、そのような高さ位置設定部材を用いることで、サイドフレーム自体の構成は各織機において同じとしつつも、直径の異なる複数種類の経糸ビームに対応することが可能となるようにするためのものである。そしてこのような高さ位置設定部材を用いるフレーム構造では、その高さ位置設定部材は、アンカーボルトにより前記設置面に固定されると共に、固定ボルトによりサイドフレームの下面に対し固定される。
【0005】
しかし、特許文献2に開示された織機のフレーム構造では、サイドフレームの振動に起因して製織される織布の品質が低下するといった問題が生じる場合がある。詳しくは、以下の通りである。
【0006】
前記したように、特許文献2に開示された織機のフレーム構造では、前記設置面に固定される高さ位置設定部材に対しそれに対応するサイドフレームが載せられた状態で、そのサイドフレームが高さ位置設定部材に対し固定されている。したがって、前記のように固定ボルトを用いた高さ位置設定部材に対するサイドフレームの固定は、軸線方向を上下方向に向けた固定ボルトによる締結で行われることとなる。そして、そのようなフレーム構造では、水平方向における高さ位置設定部材に対するサイドフレームの位置の固定は、サイドフレームの重量及び前記の固定ボルトによる締結力に応じた高さ位置設定部材(上面)とサイドフレーム(下面)との間の摩擦力のみで維持された状態となっている。
【0007】
そのため、そのようなフレーム構造は、耐震性の面において、水平方向の振動に対し若干弱いものとなっている。なお、前記した筬打ち振動は、フレーム(サイドフレーム)に対し、前後方向(経糸方向)や幅方向(織幅方向)を含む水平方向にも振動するように生じる。そのため、前記のようなフレーム構造では、その筬打ち振動の発生に伴い、サイドフレームが経糸方向や織幅方向に激しく振動する場合がある。特に、近年において織機の運転が高速化される傾向にあり、そのような織機の高速化に伴ない、そのサイドフレームの振動はより激しいものとなる。
【0008】
そして、そのようにサイドフレームが激しく振動すると、筬打ち装置を含むサイドフレームに支持された各装置が振動し、製織に悪影響を及ぼして製織される織布の品質が低下する、といった問題が生じる場合がある。因みに、特許文献1に開示されている織機のように、フレームを前記設置面に対し直接的に固定する場合の方が、耐震性の面において優れたものとなる。しかし、その場合、直径の異なる複数種類の経糸ビームに対応させるかたちで、構成を異ならせた複数種類のサイドフレームを製造する必要が生じるため、織機の製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開平05ー027081号公報
【文献】特開平10-110355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のような従来の織機のフレーム構造に鑑み、本発明は、前記のような高さ位置設定部材を含むフレーム構造を有する織機において、前記した筬打ち振動に対する耐震性を向上させることのできる織機のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、経糸ビームを支持するビームサポートが各々に固定される一対のサイドフレームを複数の梁材で連結して構成されたフレーム、及び織機の設置面と各サイドフレームとの間に配設される一対の高さ位置設定部材を1以上含み、各高さ位置設定部材が織機の設置面及び対応するサイドフレームに固定される織機のフレーム構造を前提とする。
【0012】
その上で、本発明は、前記の目的を達成すべく、その前提とする織機のフレーム構造において、その織機の送出し側における一対の高さ位置設定部材は対応するサイドフレームに対し、その側面を当該サイドフレームの内側面又は外側面に当接させると共に、締結方向を織幅方向と平行な方向とするかたちで固定ボルトにより固定された支持構造体として設けられており、ビームサポートは、支持構造体に含まれると共に高さ位置設定部材と一体的に形成されている、又は、支持構造体である高さ位置設定部材とは別体に形成されると共に支持構造体の上側で且つ織機の幅方向における支持構造体と同じ位置で支持構造体に対し取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、そのフレーム構造は、支持構造体が、前記内側面に固定されるように構成されたものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記のような一対の高さ位置設定部材を備えた織機のフレーム構造において、その織機の送出し側における一対の高さ位置設定部材は対応するサイドフレームに対し、その側面を当該サイドフレームの内側面又は外側面に当接させると共に、締結方向を織幅方向と平行な方向とするかたちで固定ボルトにより固定された支持構造体として設けられており、ビームサポートは、支持構造体に含まれると共に高さ位置設定部材と一体的に形成されている、又は、支持構造体である高さ位置設定部材とは別体に形成されると共に支持構造体の上側で且つ織機の幅方向における支持構造体と同じ位置で支持構造体に対し取り付けられている
【0015】
そして、そのフレーム構造では、サイドフレームがその側面において高さ位置設定部材に受けられた状態となることから、筬打ち振動によってサイドフレームに生じる織幅方向の振動が、前記設置面に対し直接的に固定された高さ位置設定部材によって受けられることとなる。また、上下方向に関しては、各高さ位置設定部材と対応するサイドフレームとの間に生じる摩擦力はほぼ固定ボルトによる締結のみに応じたものとなるが、その固定部分においてサイドフレームの重量が受けられることから、上下方向における耐震性も、従来のフレーム構造と同程度となっている。
【0016】
したがって、そのフレーム構造体は、全体として、従来のフレーム構造と比べて耐震性が向上されたものとなる。それにより、そのフレーム構造体を採用した織機によれば、サイドフレーム自体の構成を各織機で同じとしながらも、製織において筬打ち振動に起因した織布の品質低下を防止することができる。
【0017】
また、本発明による織機のフレーム構造において、前記支持構造体がサイドフレームの送出し側に配設される高さ位置設定部材であるようにフレーム構造を構成することにより、そのフレーム構造体は、筬打ち振動に対する耐震性の向上に加え、経糸ビームに発生する振動に対する耐震性が向上されたものとなる。より詳しくは、以下の通りである。
【0018】
織機においては、製織の1サイクル中に開口運動や筬打ち動作によって経糸の張力変動が発生するため、その張力変動が加振力となり、経糸ビームにその回転方向及び経糸の引出方向(上下方向)の振動(所謂、ビーム振動)が発生する場合があることが知られている。そのため、サイドフレームには、前記のようなロッキング軸を介した筬打ち振動によるものに加え、ビームサポートを介したビーム振動によるものも加振力として作用する状態となっており、そのビーム振動による加振力は、サイドフレームの送り出し側に作用する。因みに、織機においては、経糸ビームがその両端のバレル部に嵌挿された軸受をビームサポートに支持される構造のものが一般的であり、そのような織機においては、前記したビーム振動による加振力がその軸受からビームサポートを介してサイドフレームに作用する状態となる。
【0019】
それに対し、前述のような本発明による前記支持構造体が送出し側の高さ位置設定部材であるようにフレーム構造を構成することにより、そのフレーム構造では、サイドフレームがビーム振動による加振力を受ける部分である送り出し側の部分の側面において高さ位置設定部材に受けられた状態となる。したがって、その構成によれば、そのフレーム構造体は、ビーム振動に対しても耐震性が向上されたものとなる。
【0020】
また、前記のように支持構造体がサイドフレームの送出し側に配設される高さ位置設定部材であるように構成されたフレーム構造において、経糸ビームを支持するビームサポートが、支持構造体に含まれると共に高さ位置設定部材と一体的に形成される、又は、支持構造体である高さ位置設定部材とは別体に形成されると共に支持構造体の上側で且つ織機の幅方向における支持構造体と同じ位置で支持構造体に対し取り付けられるように構成されたものとすることにより、そのフレーム構造体は、前記したビーム振動に対する耐震性が更に向上されたものとなる。
【0021】
詳しくは、前記のように支持構造体がサイドフレームの送出し側に配設される高さ位置設定部材であるように構成されたフレーム構造において、そのビームサポートが、支持構造体に含まれると共に高さ位置設定部材と一体的に形成される、又は、支持構造体である高さ位置設定部材とは別体に形成されると共に支持構造体の上側で且つ織機の幅方向における支持構造体と同じ位置で支持構造体に対し取り付けられるように構成されたものとすることにより、ビームサポートが支持構造体により支持された構成となる。それにより、そのフレーム構造は、ビーム振動による加振力がサイドフレームに対し直接的に作用しない構成となる。したがって、その構成によれば、そのフレーム構造体は、前記したビーム振動に対する耐震性が更に向上されたものとなる。
【0022】
また、本発明の織機のフレーム構造において、前記支持構造体が対応するサイドフレームの内側面に固定されるようにフレーム構造を構成することで、より効果的に筬打ち振動に対する耐震性の向上を図ることができる。詳しくは、一般的な織機においては、前述のように筬打ち振動を発生させる筬打ち装置におけるロッキング軸のサイドフレームにおける支持位置は、そのサイドフレームにおける内側面の側となっている。そこで、本発明による前記支持構造体がそのサイドフレームの内側面に固定されるようにフレーム構造を構成する、すなわち、サイドフレームにおける前記支持構造体が固定される位置(固定位置)をサイドフレームの内側面とすることにより、支持構造体による支持位置が筬打ち振動による加振力を受ける側となるので、より効果的に筬打ち振動に対する耐震性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明が適用される織機のフレーム構造の上面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のH-H断面図である。
【0024】
以下では、図1図3に基づき、本発明が適用された織機のフレーム構造の一実施形態(本実施例)について説明する。
【0025】
織機において、フレーム1は、一対のサイドフレーム2、2を主体とし、その両サイドフレーム2、2が複数の梁材3で連結された構成となっている。なお、各サイドフレーム2は、内部に空間を有する筐体形状に形成されており、両サイドフレーム2、2は、その幅方向(厚さ方向)において対向した状態で、梁材3によって連結されている。
【0026】
また、織機においては、その前後方向(平面視における梁材3の長手方向と直交する方向)における一方において、両サイドフレーム2、2に支持されるかたちで、経糸Tを送り出すための経糸ビーム6が備えられている。また、その織機の前記前後方向における他方側には、製織された織布を巻き取るための巻取ビーム8が、両サイドフレーム2に支持されるかたちで備えられている。
【0027】
さらに、織機は、筬5を揺動駆動する筬打ち機構を備えている。その筬打ち機構においては、筬5は、複数のスレーソード等を介してロッキング軸4に支持されている。そして、その筬打ち機構におけるロッキング軸4は、梁材3と平行を成す向きで、その両端部において一対のサイドフレーム2、2によって支持されている。
【0028】
以上のようなフレーム1を含む織機のフレーム構造において、本発明は、そのフレーム構造が、送出し側(経糸ビーム6が設けられる側)及び巻取り側(巻取ビーム8が設けられる側)の少なくとも一方に織機の設置面とサイドフレームとの間に配設される一対の高さ位置設定部材を含むように構成されることを前提としている。そして、本実施例は、そのフレーム構造が、送出し側及び巻取り側の両方に、高さ位置設定部材を備えるように構成されている例である。
【0029】
その上で、本発明のフレーム構造では、送出し側及び巻取り側の少なくとも一方の高さ位置設定部材が、対応するサイドフレーム2の側面に固定するかたちで設けられる支持構造体とされるものであり、本実施例は、送出し側の高さ位置設定部材が、その支持構造体とされる例である。そのような本実施例の織機のフレーム構造について、詳しくは、以下の通りである。
【0030】
先ず、巻取り側の高さ位置設定部材について、その高さ位置設定部材11は、サイドフレーム2、2のそれぞれに対応させるかたちで、一対に設けられている。その各高さ位置設定部材11は、概観的に直方体形状を成す部材であり、長方形状を成す上下面の短辺方向の寸法(幅寸法)をサイドフレームの前記幅方向における寸法と略一致させた大きさに形成されている。なお、その各高さ位置設定部材11は、前記短辺方向における両側の側面が開放されると共に、内部における前記短辺方向の略中央に壁が形成された形状となっている。その上で、その各高さ位置設定部材11は、対応するサイドフレーム2の下面と設置面10との間に介装されるかたちで設けられている。
【0031】
なお、その巻取り側の各高さ位置設定部材11には、設置面10に当接する下側の壁(下壁)及びサイドフレーム2の下面に当接する上側の壁(上壁)のそれぞれを貫通する貫通孔であって、固定のためのボルトが挿通される貫通孔が複数形成されている。そして、各高さ位置設定部材11は、設置面10から突出するように設けられたアンカーボルトが下壁の貫通孔に挿通されると共に、そのアンカーボルトにナットが螺合されることで、設置面10に対し固定されている。また、各高さ位置設定部材11は、対応するサイドフレーム2の下面に形成された貫通孔に挿通された固定ボルトが上壁の貫通孔に挿通され、その固定ボルトにナットが螺合されることで、そのサイドフレーム2に対し固定されている。
【0032】
一方で、送出し側の高さ位置設定部材については、前述のように、その高さ位置設定部材が、本発明で言う支持構造体になっている。なお、一般的な織機は、前述のように経糸ビームを支持するための一対のビームサポートを備えており、各ビームサポートがサイドフレームに取り付けられている。そして、本実施例では、そのビームサポートが、支持構造体と一体的に形成されている。すなわち、本実施例の支持構造体は、ビームサポートを含んでおり、高さ位置設定部材として機能する部分(高さ位置設定部)と、ビームサポートとして機能する部分(ビームサポート部)とから成っている。以下にそのような支持構造体について、詳細に説明する。
【0033】
ビームサポート部7は、それ自体は従来のビームサポートと同様の形態であって、経糸ビームにおける両端のバレル部(図示略)に嵌挿された軸受6aを受け入れる円弧状の支承面が形成された支承部7a、及び支承部7aへ向けて経糸ビームを案内するために上面が前記支承面に連続すると共に支承部7aから延びる案内部7bを有している。なお、その支承部7aと案内部7bとは一体的に形成されている。
【0034】
また、ビームサポート部7は、支承部7aに受け入れられた経糸ビーム6を保持するためのクランプレバー7cを有している。そのクランプレバー7cは、支承部7aに対し回動可能に取り付けられており、経糸ビーム6を保持するクランプ位置と経糸ビーム6を開放する開放位置との間で回動し得るように設けられてる。さらに、そのクランプレバー7cは、そのクランプ位置にある状態で、支承部7aに受け入れられた経糸ビーム6における軸受6aの外周面に当接する円弧面7dを有している。
【0035】
また、ビームサポート部7は、クランプレバー7cが前記クランプ位置にある状態で、案内部7bに対しクランプレバー7cを固定する(回動不能の状態とする)固定手段7fを有している。 そして、そのビームサポート部7は、支承部7aにおける支承面に経糸ビーム6(軸受6a)が受け入れられた状態でクランプレバー7cが固定手段7fによって案内部7bに対し固定されることで、経糸ビーム6を保持した状態とするものとなっている。
【0036】
高さ位置設定部14は、板状に形成されていて支持構造体12のベースとなるベース部14bと、ベース部14bの上面側において形成された取付部14aとで構成されている。そして、そのベース部14bは、板厚方向に見て略長方形状を成すと共に、その端面(上下面)の短辺方向の寸法がサイドフレームの前記幅方向における寸法と略一致する大きさとなっている。
【0037】
また、取付部14aは、外観的に略直方体形状を成すと共に、上下面が長方形状を成すように形成されてる。但し、その取付部14aは、筐体状であると共に、前記短辺方向における一方の側面(側壁)が開放されたような形状を成している。そして、その取付部14aは、その上下面の短辺方向(長辺方向)をベース部14bの上面の短辺方向(長辺方向)に一致させる向きで、ベース部14bと一体的に形成されている。したがって、その取付部14aの下面を含む下側の壁(下壁)は、ベース部14bの一部となっている。因みに、図示の例では、その取付部14aの内部の前記長辺方向における略中央に、下面(ベース部14b)と上面とを繋ぐようなかたちでリブが形成されている。
【0038】
また、その取付部14aは、その下面の前記短辺方向の寸法がベース部14bにおける上面の短辺方向の寸法と略一致すると共に、その上面の前記短辺方向の寸法がビームサポート部7における支承部7aの幅寸法と略一致するものとなっている。また、取付部14aにおける下面の前記長辺方向における寸法は、ベース部14bにおける上面の長辺方向の寸法よりもやや小さいものとなっている。したがって、高さ位置設定部14は、その平面視において、取付部14aに対し前記長辺方向においてベース部14bが突出するように形成されたものとなっている。さらに、取付部14aは、その高さ方向における寸法(高さ寸法)が、巻取り側の高さ位置設定部材11の高さ寸法よりも大きいものとなっている。
【0039】
その上で、支持構造体12においては、その高さ位置設定部14における取付部14aの上側にビームサポート部7が位置するかたちで、その高さ位置設定部14とビームサポート部7とが一体となっている。より詳しくは、支持構造体12は、ビームサポート部7における前記幅方向を高さ位置設定部14における前記短辺方向に一致させると共に、高さ位置設定部14における取付部14aの上方にビームサポート部7における支承部7aが連続するようなかたちで、高さ位置設定部14とビームサポート部7とが一体的に形成されたものとなっている。
【0040】
そして、その送出し側の一対の高さ位置設定部材である一対の支持構造体12、12は、それぞれ、対応するサイドフレーム2に対し、送出し側において取り付けられている。具体的には、その各支持構造体12は、前後方向に関しビームサポート部7が経糸ビーム6を支持する上での所望の位置となるような位置で、対応するサイドフレーム2の内側において、高さ位置設定部14における取付部14aの側面をサイドフレーム2に当接させるかたちで設けられる。その上で、各支持構造体12は、設置面及び対応するサイドフレーム2に対し固定される。
【0041】
なお、その各支持構造体12の固定について、高さ位置設定部14には、取付部14aの前記側面を含む側壁及びベース部14bのそれぞれを板厚方向に貫通する貫通孔であって固定のためのボルトが挿通される貫通孔が複数形成されている。そして、各支持構造体12は、前記した配置で、取付部14aの前記貫通孔に挿通された固定ボルトが対応するサイドフレーム2の内側面9(側壁)に形成された貫通孔に挿通されると共に、その固定ボルトにナットが螺合されることで、そのサイドフレーム2に対し固定されている。その上で、各支持構造体12は、設置面10から突出するように設けられたアンカーボルトがベース部14bの前記貫通孔に挿通されると共に、そのアンカーボルトにナットが螺合されることで、設置面10に対し固定されている。
【0042】
また、その支持構造体12は、前記のようにビームサポート部7としてビームサポートを一体的に含んでおり、支持構造体12におけるビームサポート部7と高さ位置設定部14との前記幅方向における位置が同じ位置となっている。したがって、前記のように各支持構造体12が固定される結果として、経糸ビーム6の軸受6aの前記幅方向における位置は、その軸受6aを支持する支持構造体12に対応するサイドフレーム2に対する内側となる。すなわち、軸受6aの前記幅方向における位置は、その軸受6aを支持する支持構造体12が対応するサイドフレーム2に対し固定される位置(以下、「固定位置」と言う。)と同じ側となる。
【0043】
以上のように、本実施例のフレーム構造においては、送出し側の高さ位置設定部材に相当する高さ位置設定部14を含む支持構造体12が、その側面を対応するサイドフレーム2の内側面9に当接させるかたちで、その対応するサイドフレーム2に対し固定されている。そして、その固定が、固定ボルトを用い、その締結方向をサイドフレームの幅方向と平行な方向とするかたちで行われている。それにより、筬打ち振動によってサイドフレーム2に生じる前記幅方向の振動が設置面10に固定された支持構造体12によって受けられるので、そのフレーム構造は、従来のフレーム構造と比べて耐震性が向上されたものとなっている。
【0044】
また、前記のように支持構造体12の対応するサイドフレーム2に対する固定位置は、そのサイドフレーム2におけるロッキング軸4の支持される側である内側面9の側とされている。すなわち、サイドフレーム2が前記幅方向に関し筬打ち振動による加振力を受ける側で、そのサイドフレーム2が支持構造体12により支持されている。さらに、本実施例では、送出し側及び巻取り側の高さ位置設定部材のうちの送出し側の高さ位置設定部材を、本発明による支持構造体としている。すなわち、そのフレーム構造では、ビーム振動による加振力が作用する送出し側に設けれられる高さ位置設定部材を、本発明による支持構造体としている。それにより、そのフレーム構造は、ビーム振動に対しても耐震性が向上されたものとなっている。
【0045】
しかも、本実施例のフレーム構造においては、経糸ビーム6を支持するビームサポートに相当するビームサポート部7が、支持構造体12において一体的に形成されている。すなわち、そのフレーム構造は、ビームサポートが、サイドフレーム2ではなく、高さ位置設定部材に支持されている構成となっている。それにより、ビーム振動による加振力がサイドフレーム2に対し直接的に作用しないので、そのフレーム構造は、ビーム振動に対する耐震性が更に向上されたものとなっている。
【0046】
また、本実施例のフレーム構造においては、前記のように軸受6aの前記幅方向における位置は、その軸受6aを支持する支持構造体12における対応するサイドフレーム2に対する固定位置と同じ側となっている。それにより、支持構造体12による支持位置は、前記幅方向に関し、サイドフレーム2におけるビーム振動による加振力を受ける側となっているので、そのフレーム構造は、より効果的にビーム振動に対する耐震性の向上を図られたものとなっている。
【0047】
以上では、本発明の織機のフレーム構造の一実施例について説明したが、本発明による織機のフレーム構造は、前記実施例に限定されるものではなく、以下のような変形した例でも実施が可能である。
【0048】
(1)ビームサポートについて、前記実施例では、経糸ビーム6のためのビームサポートが、ビームサポート部7として支持構造体12において一体的に形成されている。すなわち、前記実施例では、支持構造体において、ビームサポート(ビームサポートとして機能する部分)と高さ位置設定部材(高さ位置設定部材として機能する部分)とが一体的に形成されている。しかし、本発明のフレーム構造においては、支持構造体は、そのようにビームサポートが一体的に形成されたものに限らず、高さ位置設定部材として機能するものであってもよい。その場合、その支持構造体は、前記実施例の例で言うと、支持構造体12における高さ位置設定部14のみで構成されたものとなる。
【0049】
また、その場合、ビームサポートは、支持構造体(高さ位置設定部材)とは別に設けられることになる。そして、その場合、そのビームサポートの取り付け(支持)については、従来の織機と同様にサイドフレーム2に直接的に取り付けられても良いが、サイドフレーム2に取り付けられた支持構造体に対し取り付けられるかたちで支持されるようにようにすることも可能である。すなわち、送出し側の高さ位置設定部材を支持構造体とする場合であって、支持構造体とビームサポートとを別体に形成する場合において、そのビームサポートは、支持構造体に取り付けられて(支持されて)設けられていても良い。そして、その場合でも、ビーム振動に対する耐震性が向上されたものとなる。
【0050】
(2)また、以上の例では、織機のフレーム構造が、送出し側及び巻取り側に高さ位置設定部材を備える例となっている。しかし、公知の織機においては、フレーム構造が送出し側にのみ高さ位置設定部材を備えるように構成されている場合もある。したがって、本発明においても、フレーム構造が送出し側にのみ高さ位置設定部材を備えるものとし、その高さ位置設定部材を支持構造体であるように構成してもよい。
【0051】
(3)前記実施例では、一対の支持構造体は、それぞれが対応するサイドフレーム2に対し、その側面をサイドフレーム2の内側面9に当接させるかたちで固定されている。言い換えれば、各支持構造体の対応するサイドフレーム2に対する固定位置は、その内側面9となっている。しかし、本発明のフレーム構造においては支持構造体の前記固定位置は、内側面9に限らず、サイドフレーム2の幅方向における外側の面(外側面)であってもよい。
【0052】
なお、前記実施例のように送出し側の高さ位置設定部材を支持構造体とする場合であって、ビームサポートがその支持構造体と一体的に形成されている(または、別体の支持構造体に支持されている)場合において、前記固定位置を前記外側面とする場合には、経糸ビーム6は、当然ながら、その場合の前記幅方向におけるビームサポートの間隔に応じた構成のものとなる。そして、その場合においては、経糸ビーム6がビームサポートに保持された状態での経糸ビーム6における軸受6aの前記幅方向における位置は、サイドフレーム2に対し、前記固定位置と同じく外側となる。
【0053】
なお、本発明は、以上で説明したいずれの実施形態にも限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 フレーム
2 サイドフレーム
3 梁材
4 ロッキング軸
5 筬
6 経糸ビーム
6a 軸受
7 ビームサポート部
7a 支承部
7b 案内部
7c クランプレバー
7d 円弧面
7f 固定手段
8 巻取ビーム
9 内側面(側壁)
10 設置面
11 高さ位置設定部材
12 支持構造体
14 高さ位置設定部
14a 取付部
14b ベース部
T 経糸
W 織布
B 織幅方向(幅方向)
E 経糸方向(前後方向)
F 送出し側
G 巻取り側
図1
図2
図3