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特許7517872水質管理システム、情報処理装置、プログラムおよび水質管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】水質管理システム、情報処理装置、プログラムおよび水質管理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240709BHJP
【FI】
C02F1/00 T
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020106433
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001346
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 絵里
(72)【発明者】
【氏名】塩出 貞光
(72)【発明者】
【氏名】山口 太秀
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-159947(JP,A)
【文献】特開2019-078661(JP,A)
【文献】特表2019-531890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 1/78
E03B 1/00-11/16
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を備える水質管理システムであって、
前記情報処理装置は、
端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像の信頼性を評価する画像評価手段と、
を備え、
前記撮影画像は、前記端末装置を有するユーザの操作によって撮影されたものであり、
前記状態判定手段は、前記画像評価手段により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する、水質管理システム。
【請求項2】
請求項に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像から測定される前記水道水の水質と、前記水道水を供給する水供給施設から前記撮影された水道水の採水位置までの所定の地点における水道水の水質との比較により、前記撮影画像の信頼性を評価する、水質管理システム。
【請求項3】
請求項に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像から測定される前記水道水の水質と、前記水供給施設の出口における水道水の水質との比較により、前記撮影画像の信頼性を評価する、水質管理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像から測定される前記水道水の水質と、前記水道水が採水された地域における水道水の水質との比較により、前記撮影画像の信頼性を評価する、水質管理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像の信頼性を、前記撮影画像と同一の採水位置の水道水を撮影した他の撮影画像を用いて評価する、水質管理システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像の信頼性を、前記撮影画像を撮影した端末装置とは異なる端末装置により撮影された撮影画像を用いて評価する、水質管理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の水質管理システムにおいて、
前記画像評価手段は、前記撮影画像の信頼性を、前記撮影画像を撮影した端末装置により撮影された他の撮影画像を用いて評価する、水質管理システム。
【請求項8】
端末装置を有するユーザの操作により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像の信頼性を評価する画像評価手段と、
を備え、
前記状態判定手段は、前記画像評価手段により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する、情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置を、
端末装置を有するユーザの操作により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、
前記取得手段により取得された撮影画像の信頼性を評価する画像評価手段と、
として機能させ、
前記状態判定手段は、前記画像評価手段により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する、プログラム。
【請求項10】
通信可能に接続された複数の情報処理装置によって構成され、端末装置を有するユーザの操作により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、前記取得手段により取得された撮影画像の信頼性を評価する画像評価手段と、前記状態判定手段の判定結果に基づき、供給施設から供給される水道水の水質管理を制御する水質管理手段と、を備え、前記状態判定手段は、前記画像評価手段により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する、水質管理システムを構成するために、前記複数の情報処理装置のうちの1つの情報処理装置を、
前記取得手段、前記状態判定手段、画像評価手段および前記水質管理手段の少なくとも1つとして機能させる、プログラム。
【請求項11】
端末装置を有するユーザの操作により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得するステップと、
前記取得された撮影画像の信頼性を評価するステップと、
評価された撮影画像のうち、一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、前記水道水の状態を判定するステップと、
前記判定の結果に基づき、供給施設から供給される水道水の水質管理を制御するステップと、を含む水質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質管理システム、情報処理装置、プログラムおよび水質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浄水場から水道管路を介して需要家に供給される水道水の水質を管理するシステムが記載されている。特許文献1に記載のシステムでは、配水本管網から枝分かれし需要家側に向かう配水小管網の管内に、水質を計測する水質モニタが設置され、配水小管網の起点に、水道水の水質を管理する配水設備が設置される。特許文献1に記載のシステムでは、水質モニタの計測結果に基づき、配水小管網を流れる水道水の水質が配水設備により管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-84537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、水質モニタなどの設備の設置および維持管理に多くの手間およびコストがかかってしまう。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、より安価および簡易に水道水の水質を管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る水質管理システムは、情報処理装置を備える水質管理システムであって、前記情報処理装置は、端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、情報処理装置を、端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、として機能させる。
【0009】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、通信可能に接続された複数の情報処理装置によって構成され、端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定する状態判定手段と、前記状態判定手段の判定結果に基づき、前記水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御する水質管理手段と、を備える水質管理システムを構成するために、前記複数の情報処理装置のうちの1つの情報処理装置を、前記取得手段、前記状態判定手段および前記水質管理手段の少なくとも1つとして機能させる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る水質管理方法は、端末装置により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得するステップと、前記取得された撮影画像から、前記水道水の状態を判定するステップと、前記判定の結果に基づき、前記水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、より安価および簡易に水道水の水質を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る水質管理システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す水質管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図3図1に示す画像評価手段による撮影画像の信頼性の評価の一例を示すフローチャートである。
図4】水道水の滞留時間について説明するための図である。
図5図1に示す画像評価手段による撮影画像の信頼性の評価の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して例示説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る水質管理システム1の構成例を示す図である。本実施形態に係る水質管理システム1は、浄水場などの水供給施設から水需要家に供給される水道水の状態を管理するシステムである。
【0015】
図1に示す水質管理システム1は、端末装置10と、情報処理装置20と、水質管理手段としての水質管理装置30とを備える。
【0016】
端末装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラなどの撮影機能を備える装置である。端末装置10は、撮影手段としての撮影部11を備える。撮影部11は、所定の範囲を撮影した撮影画像を生成するカメラである。端末装置10は、水道水の水質に関連する撮影画像を撮影(取得)する。水道水の水質に関連する撮影画像とは、水道水の水質の測定に利用可能な画像である。水道水の水質に関連する撮影画像は、例えば、水供給施設から供給された水道水(住居あるいは施設などに設置された蛇口、水栓および給水口などから採水された水道水)を撮影した画像である。また、水道水の水質に関連する撮影画像は、水道水の水質に応じて反応する所定の試薬(例えば、DPD試薬、STB試薬、過マンガン酸カリウム、フェノールレッドなど)を添加した水道水を撮影した画像である。また、水道水の水質に関連する撮影画像は、水道水を塗布した所定の試験紙(例えば、試薬を塗布または吸収させて乾燥させた試薬)、または、水道水に浸漬した所定の試験紙を撮影した画像である。また、水道水の水質に関連する撮影画像は、所定の試薬を添加した水道水を塗布した所定の試験紙、または、所定の試薬を添加した水道水に浸漬した所定の試験紙を撮影した画像である。撮影対象の水道水は、水質変動が生じるほどの期間汲み置きされた水道水ではなく、採水された後、水質変動が生じない程度の時間しか経っていない水である。また、撮影対象の水道水は、水供給施設から配管網を通って供給された水である。撮影対象の水道水は、水供給施設から十分に離れた位置(水供給施設を出た水道水が採水されるまでに、水質管理の制御を行う必要が生じるほどの水質変動が生じ得る位置)における、蛇口、水栓または給水口などから採水された水である。なお、水道水の水質の十分な制御を行うためには、1か所ではなく、点在する複数の箇所で採水された水道水の撮影を行うことが好ましい。
【0017】
端末装置10が通信機能を備える場合、端末装置10は、蛇口などから採水された水道水、所定の試薬を添加した水道水または水道水を接触させた所定の試験紙を撮影した撮影画像を情報処理装置20に送信してよい。端末装置10により撮影された撮影画像は、通信機能を備える他の装置により、情報処理装置20に送信されてもよい。なお、以下では、記載の簡略化のため、蛇口などから採水された水道水、所定の試薬を添加した水道水、水道水または所定の試薬を添加した水道水を塗布した所定の試験紙、または水道水または所定の試薬を添加した水道水に浸漬した所定の試験紙を撮影することを纏めて、「水道水を撮影する」と称することがある。
【0018】
端末装置10は、GPS(Global Positioning System)信号などに基づき端末装置10の位置情報を取得する位置情報取得機能を備えてもよい。端末装置10が位置情報取得機能を備える場合、端末装置10は、撮影画像とともに、撮影の際の端末装置10の位置情報を、情報処理装置20に送信してよい。端末装置10の位置情報は、端末装置10を操作するユーザにより入力されてもよい。また、端末装置10は、撮影画像とともに、水道水が採水された時刻あるいは撮影の行われた時刻を示す時刻情報を、情報処理装置20に送信してよい。水道水が採水された時刻は、例えば、端末装置10を操作するユーザが入力することができる。
【0019】
情報処理装置20は、端末装置10により撮影された撮影画像を取得し、取得した撮影画像から水道水の状態を判定し、判定結果を水質管理装置30に出力する装置である。情報処理装置20は、例えば、ネットワークを介して、端末装置10あるいは通信機能を備える他の装置と通信可能な、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどの装置である。情報処理装置20は、図1に示すように、取得手段としての通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0020】
通信部21は、有線または無線を介して外部装置と通信する1つ以上の通信インタフェースである。本実施形態においては、通信部21は、端末装置10あるいは通信機能を備える他の装置と通信する通信インタフェースを含む。通信部21は、端末装置10あるいは他の装置から送信されてきた、水道水を撮影した撮影画像を取得し、制御部23に出力する。
【0021】
記憶部22は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば、半導体メモリ、磁気メモリまたは光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部22は、例えば、一次記憶装置または二次記憶装置として機能する。記憶部22は、例えば、情報処理装置20に内蔵されるが、任意のインタフェースを介して情報処理装置20に外部から接続される構成も可能である。
【0022】
制御部23は、1つ以上のプロセッサである。制御部23は、例えば、マイクロコントローラであるがこれに限られず、例えば、汎用のプロセッサまたは特定の処理に特化した専用プロセッサなど、任意のプロセッサとすることができる。制御部23は、情報処理装置20全体の動作を制御する。
【0023】
次に、情報処理装置20のソフトウェア構成について、図1を参照して説明する。情報処理装置20の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部22に記憶される。当該1つ以上のプログラムは、制御部23により読み込まれると、制御部23を、画像評価手段231および状態判定手段232として機能させる。
【0024】
画像評価手段231は、取得された撮影画像の信頼性を評価する評価手段である。画像評価手段231による撮影画像の信頼性の評価の具体例については後述する。
【0025】
状態判定手段232は、取得された撮影画像から、水道水の状態を判定する判定手段である。状態判定手段232は、例えば、水道水の状態が、水質の調整が必要な状態であるか否かを判定する。例えば、状態判定手段232は、撮影画像から測定された水道水の水質と、水道水質基準あるいは管理目標などで定められた所定の基準値とを比較し、測定された水質が基準値から外れていれば、水道水の水質の調整が必要な状態であると判定する。状態判定手段232は、画像評価手段231により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から、水道水の状態を判定してよい。状態判定手段232は、判定結果を水質管理装置30に出力する。
【0026】
水質管理装置30は、状態判定手段232の判定結果に基づき、水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御する装置である。水質管理装置30は、例えば、状態判定手段232の判定結果に基づき、水道水における残留塩素濃度を制御する。
【0027】
このように本実施形態においては、端末装置10により、水道水の水質に関連する撮影画像を取得し、端末装置10の撮影画像から水道水の状態を判定し、その判定結果に基づき、水道水の水質管理を制御する。そのため、水道管路への水質モニタといった設備の設置およびその維持管理が不要であるので、より安価および簡易に水道水の水質を管理することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、状態判定手段232は、画像評価手段231により一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から水道水の状態を判定する例を用いて説明したが、これに限られるものではない。状態判定手段232は、取得された撮影画像をそのまま用いて、水道水の状態を判定してもよい。したがって、画像評価手段231は必須の構成ではない。
【0029】
ただし、ユーザによる水道水の撮影の際に、例えば、撮影が適切に行われないといった人為的なエラーが生じる可能性がある。そこで、本実施形態のように、一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から水道水の状態を判定することで、判定精度の向上を図ることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る水質管理システム1の動作について説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る水質管理システム1の動作を示すシーケンス図であり、本実施形態に係る水質管理方法を説明するための図である。なお、図2においては、端末装置10が通信機能を備えるものとする。
【0032】
端末装置10は、ユーザの操作に従い、水道水を撮影する(ステップS11)。撮影される水道水は、例えば、需要家の住居あるいは施設などに設置された蛇口から採水された水道水である。上述したように、所定の試薬が添加された水道水が撮影されてもよい。また、水道水を塗布した、または、水道水に浸漬した所定の試験紙が撮影されてもよい。また、所定の試薬を添加した水道水を塗布した、または、所定の試薬を添加した水道水に浸漬した所定の試験紙が撮影されてもよい。端末装置10が位置情報取得機能を備える場合、端末装置10は、水道水を撮影した際の端末装置10の位置情報を取得してよい。この場合、水道水の採水位置の近傍で撮影が行われることが望ましい。水道水の採水位置の近傍で撮影が行われることで、端末装置10の位置情報から、撮影された水道水の採水位置(水道水が採水された蛇口など)を特定することができる。水道水の採水位置が特定されることで、水供給施設から水道水の採水位置までの水道管路の経路を特定することができる。
【0033】
端末装置10は、水道水の水質に関連する撮影画像を情報処理装置20に送信する(ステップS12)。上述したように、端末装置10は、撮影画像とともに、撮影の際の端末装置10の位置情報を情報処理装置20に送信してよい。また、端末装置10は、撮影画像とともに、水道水が採水された時刻あるいは撮影の行われた時刻を示す時刻情報を、情報処理装置20に送信してよい。
【0034】
情報処理装置20は、通信部21により、端末装置10から送信されてきた撮影画像を受信(取得)する(ステップS13)。
【0035】
情報処理装置20は、画像評価手段231により、取得した撮影画像の信頼性を評価する(ステップS14)。情報処理装置20は、状態判定手段232により、一定以上の信頼性を有すると評価された撮影画像から水道水の状態を判定する(ステップS15)。撮影画像を用いた水道水の状態の判定は、公知の技術を用いて行うことができる。例えば、水道水に所定の試薬を添加し、その発色状態を観察することで、水道水に含まれる残留塩素濃度を測定することができ、測定された残留塩素濃度に基づいて、水道水の状態を判定することができる。
【0036】
情報処理装置20は、水道水の状態の判定結果を水質管理装置30に送信する(ステップS16)。水質管理装置30は、情報処理装置20による水道水の状態の判定結果に基づき、水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御する(ステップS17)。
【0037】
このように本実施形態に係る水質管理方法は、端末装置10により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得するステップ(ステップS13)と、取得された撮影画像から、水道水の状態を判定するステップ(ステップS15)と、判定の結果に基づき、水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御するステップ(ステップS17)と、を含む。
【0038】
次に、画像評価手段231による撮影画像の信頼性の評価について説明する。
【0039】
画像評価手段231は、例えば、評価対象の撮影画像から測定される水道水の水質と、水供給施設から、水道水の採水位置までの所定の地点における水道水の水質との比較により、撮影画像の信頼性を評価する。画像評価手段231は、例えば、撮影画像から測定される水道水の水質と、水供給施設の出口における水道水の水質との比較により、撮影画像の信頼性を評価する。また、画像評価手段231は、例えば、撮影画像から測定される水道水の水質と、水道水が採水された地域における水道水の水質との比較により、撮影画像の信頼性を評価する。なお、画像評価手段231による水道水の水質の評価の方法は、所定の地点における水道水の水質と比較する方法に限られるものではなく、任意の評価方法を用いることができる。
【0040】
また、画像評価手段231による撮影画像の信頼性評価は、水道水の水質の評価に限られるものではなく、他の評価方法を用いることができる。例えば、特定の採水地点に対応する撮影画像が複数送信された場合に、これらの撮影画像が全体の評価に過度に影響を与えないように、画像評価手段231は、一定数の撮影画像のみを信頼性が高いと評価し、残りの撮影画像の信頼性を低いと評価してもよい。また、撮影対象が不適切と考えられる場合(例えば、撮影画像の誤選択・誤送信された場合、あるいは、水質を測定できないような画像が送信された場合)には、画像評価手段231は、撮影画像の信頼性が低いと評価してもよい。さらに、画像評価手段231は、これまでに同じ端末装置10から送信された撮影画像の評価結果を考慮して、撮影画像の信頼性を評価してもよい。
【0041】
図3は、画像評価手段231による撮影画像の信頼性の評価の一例を示すフローチャートである。図3においては、評価対象の撮影画像から測定される水道水の水質と、水供給施設の出口における水道水の水質との比較により、評価対象の撮影画像の信頼性を評価する例を示す。
【0042】
画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から水道水の水質を測定する。以下では、画像評価手段231は、水道水の残留塩素濃度を測定するものとする。
【0043】
画像評価手段231は、評価対象の撮影映像から測定した残留塩素濃度の測定値xが残留塩素濃度C以下(x≦C)であるか否かを判定する(ステップS21)。残留塩素濃度Cは、水道水の撮影時刻から滞留時間tだけ遡った時点での、水供給施設の出口における水道水の残留塩素濃度である。滞留時間tは、水供給施設から流出した水道水が、水道水の採水位置(蛇口)に至るまでに要する時間である。なお、水供給施設の出口における水道水の残留塩素濃度が、一定期間内で大きな変動がない場合、もしくは、メンテナンスなどにより測定できていない時間帯がある場合、または、水道水の使用量が突発的に変化した場合などでは、水道水の撮影時刻から遡る時間は、滞留時間tから増減してもよく、滞留時間tが含まれる任意の期間を設定してもよい。この場合には、当該期間における残留塩素濃度の最大値・最小値・平均値などに基づいて、信頼性を評価するための残留塩素濃度Cを設定してもよい。
【0044】
例えば、図4に示すように、水供給施設2から水需要家3に、管路P、管路P、管路Pおよび管路Pを介して、水道水が供給されるとする。この場合、滞留時間tは、管路Pにおける水道水の滞留時間t(管路Pを水道水が流れるのに要する時間)と、管路Pにおける水道水の滞留時間tと、管路Pにおける水道水の滞留時間tと、管路Pにおける水道水の滞留時間tとの和(t=t+t+t+t)である。
【0045】
管路Pにおける水道水の滞留時間tは、管路Pの菅半径をr(m)、管長をy(m)、管路Pの処理流量をQ(m/h)とすると、以下の式(1)に基づき算出することができる。
滞留時間t=(πr ・y)/Q ・・・式(1)
【0046】
画像評価手段231は、水供給施設から評価対象の撮影画像で撮影されている水道水の採水位置に至る管路を特定する。画像評価手段231は、例えば、評価対象の撮影画像とともに送信された位置情報に基づき採水位置を特定する。また、画像評価手段231は、例えば、端末装置10と、その端末装置10が撮影する水道水の採水位置との対応関係を記憶しており、その対応関係に基づき、撮影された水道水の採水位置を特定してもよい。
【0047】
画像評価手段231は、水供給施設から撮影された水道水の採水位置に至る管路の管半径r、管長yおよび処理流量Qを取得する。管半径r、管長yおよび処理流量Qのデータは、例えば、予め記憶部22などに記憶される。画像評価手段231は、水供給施設から採水位置に至る管路の管半径r、管長yおよび処理流量Qに基づき、上述した式(1)を用いて滞留時間tを算出する。
【0048】
画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から測定した測定値xが、評価対象の撮影画像の撮影時刻から滞留時間tだけ前の時点での、水供給施設の出口における残留塩素濃度C以下であるか否かを判定する。通常、水供給施設から需要家まで水道水が供給される間に、水道水の残留塩素濃度は低下する。したがって、評価対象の撮影画像から測定した測定値xが残留塩素濃度Cよりも大きい場合、評価対象の撮影画像は適切に撮影されていないと考えられる。
【0049】
したがって、図3を再び参照すると、測定値xが残留塩素濃度C以下であると判定した場合(ステップS21:Yes)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有すると評価する(ステップS22)。
【0050】
また、測定値xが残留塩素濃度Cよりも大きいと判定した場合(ステップS21:No)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有さないと評価する(ステップS23)。
【0051】
ステップS22またはステップS23の処理の後、画像評価手段231は、評価結果を状態判定手段232に出力し(ステップS24)、処理を終了する。状態判定手段232は、一定以上の信頼性を有さないと評価された撮影画像については欠損扱いにして、水道水の状態を判定する。
【0052】
図5は、画像評価手段231による撮影画像の信頼性の評価の他の一例を示すフローチャートである。図5においては、評価対象の撮影画像から測定される水道水の水質と、水道水が採水された地域における水道水の水質との比較により、評価対象の撮影画像の信頼性を評価する例を示す。
【0053】
画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から測定した水道水の残留塩素濃度の測定値xが所定の閾値a以上、閾値b(a<b)以下である(a≦x≦b)か否かを判定する(ステップS31)。所定の閾値a,bは、撮影された水道水が採水された地域における水道水の残留塩素濃度Cを所定値α、βだけ増減させた値である。具体的には、閾値a=C-αであり、閾値b=C+βである。ただし、閾値a>0であり、閾値b≦Cである。所定値α、βは地域、水温、配管劣化状況、配管材料などに依存する値である。したがって、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から測定した測定値xが、撮影された水道水が採水された地域において想定される残留塩素濃度の範囲に収まっているか否かを判定する。
【0054】
地域における水道水の残留塩素濃度C(mg/L)は、水供給施設の出口における水道水の残留塩素濃度をC(mg/L)とし、水供給施設からその地域までの水道水の滞留時間をtとし、残留塩素減少速度係数をk(/h)とすると、以下の式(2)に基づき算出することができる。残留塩素減少速度係数kは、水温、配管材料あるいは水質などに依存する係数である。
C=C-kt ・・・式(2)
【0055】
このように、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から測定される水道水の水質と、地域において想定される水道水の水質(理論値)との比較により、撮影画像の信頼性を評価する。ただし、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像から測定される水道水の水質と、地域において予め測定された水道水の水質(測定値)との比較により、撮影画像の信頼性を評価してもよい。また、信頼性を評価するために測定値xと比較される値は、経験則に基づいて設定されてもよい。なお、上述したように、画像評価手段231による水道水の水質の評価の方法は、地点における水道水の水質と比較する方法に限られるものではなく、任意の評価方法を用いることができる。
【0056】
測定値xが閾値a以上、閾値b以下であると判定した場合(ステップS31:Yes)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像で撮影された水道水と同一配管を通り、他の採水位置で採水された水道水が、評価対象の撮影画像と同一の時間帯に撮影された撮影画像(以下、「同一時間帯・同一配管の撮影画像」と称する)を用いて、評価対象の撮影画像の信頼性を評価する。具体的には、画像評価手段231は、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xが閾値a以上、閾値b以下であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0057】
ここで、評価対象の撮影画像と同一時間帯に撮影された撮影画像とは、評価対象の撮影画像の撮影時刻あるいは情報処理装置20が評価対象の撮影画像を取得した時刻の前後、一定時間内(例えば、数分内あるいは数時間内)に撮影された、あるいは、情報処理装置20が取得した撮影画像を含む。また、水道水の撮影が、例えば、一定の間隔(例えば、一日に一回)で、決まったスケジュール(決まった時間)で行われる場合、評価対象の撮影画像と同一時間帯に撮影された撮影画像とは、評価対象の撮影画像と同じスケジュールで撮影された画像を含む。
【0058】
評価対象の撮影映像と同一時間帯・同一配管の撮影画像とでは撮影された水道水の採水位置が異なる。したがって、端末装置10とその端末装置10により撮影する水道水の採水位置とが対応付けられている場合、同一時間帯・同一配管の撮影画像を撮影した端末装置10は、評価対象の撮影映像を撮影した端末装置10とは異なる。したがって、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像の信頼性を、評価対象の撮影画像を撮影した端末装置10とは異なる端末装置10により撮影された撮影画像を用いて評価してよい。
【0059】
評価対象の撮影画像から測定した測定値x、および、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値xがともに、閾値a以上、閾値b以下である場合、評価対象の撮影画像と、同一時間帯・同一配管の撮影画像とで同様の傾向が観察されている。そのため、評価対象の撮影画像は適切に撮影されたと考えられる。一方、評価対象の撮影画像から測定した測定値xが閾値a以上、閾値b以下であり、かつ、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きい場合、評価対象の撮影画像と、同一時間帯・同一配管の撮影画像とで異なる傾向が観察されている。そのため、評価対象の撮影画像および同一時間帯・同一配管の撮影画像のうち、少なくとも一方は適切に撮影されていないと考えられる。
【0060】
したがって、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xが閾値a以上、閾値b以下であると判定した場合(ステップS32:Yes)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有すると評価する(ステップS33)。
【0061】
また、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きいと判定した場合(ステップS32:No)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有さないと評価する(ステップS34)。このように、画像評価手段231は、評価対象の撮影映像から測定した測定値xだけでなく、他の測定値x(ステップS32では、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値x)を用いて、評価対象の撮影画像が一定以上の信頼性を有するか否かを評価する。
【0062】
評価対象の撮影画像から測定された測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きいと判定した場合(ステップS31:No)、画像評価手段231は、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xが閾値a以上、閾値b以下であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0063】
評価対象の撮影画像から測定された測定値xおよび同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xがともに、閾値a未満あるいは閾値bより大きい場合、評価対象の撮影画像および同一時間帯・同一配管の撮影画像において同様の傾向が観察されている。そのため、評価対象の撮影画像は適切に撮影されていると考えられる。
【0064】
一方、評価対象の撮影画像から測定された測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きく、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定された測定値xが閾値a以上、閾値b以下である場合、評価対象の撮影画像と、同一時間帯・同一配管の撮影画像とで異なる傾向が観察されている。つまり、評価対象の撮影画像から測定された測定値xだけが、評価対象の撮影画像で撮影された水道水と同一配管を通り、他の採水位置で採水された水道水が、評価対象の撮影画像と同一の時間帯に撮影された撮影画像から測定された測定値xの範囲から外れている。そのため、評価対象の撮影画像は適切に撮影されていないと考えられる。
【0065】
したがって、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きいと判定した場合(ステップS35:No)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有すると評価する(ステップS33)。
【0066】
また、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値xが閾値a以上、閾値b以下であると判定した場合(ステップS35:Yes)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像で撮影された水道水と同一の採水位置で採水された水道水を撮影した、直近n回の撮影画像(以下、「同一採水位置の直近n回の撮影画像」と称する)から測定した測定値xが閾値a以上、閾値b以下であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0067】
このように、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像の信頼性を、評価対象の撮影画像と同一の採水位置の水道水を撮影した他の撮影画像を用いて評価してよい。また、端末装置10とその端末装置10により撮影する水道水の採水位置とが対応付けられている場合、同一採水位置の直近n回の撮影画像を撮影した端末装置10は、評価対象の撮影映像を撮影した端末装置10と同じである。したがって、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像の信頼性を、評価対象の撮影画像を撮影した端末装置10により撮影された他の撮影画像を用いて評価してもよい。
【0068】
同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値xが閾値a以上、閾値b以下であっても、評価対象の撮影画像から測定した測定値x、および、同一採水位置の直近n回の撮影画像から測定した測定値xがともに、閾値a未満あるいは閾値bより大きい場合、評価対象の撮影画像と、同一採水位置の直近n回の撮影画像とで同様の傾向が観察されている。そのため、評価対象の撮影画像から測定した測定値xは、撮影された水道水が採水された地域において想定される残留塩素濃度の範囲から外れているものの、評価対象の撮影画像は適切に撮影されていると考えられる。
【0069】
一方、評価対象の撮影画像から測定した測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きく、かつ、同一時間帯・同一配管の撮影画像から測定した測定値x、および、同一採水位置の直近n回の撮影画像から測定した測定値xが閾値a以上、閾値b以下である場合、評価対象の撮影画像では、同一時間帯・同一配管の撮影画像および同一採水位置の直近n回の撮影画像と異なる傾向が観察されている。そのため、評価対象の撮影画像は適切に撮影されていないと考えられる。
【0070】
したがって、同一採水位置の直近n回の撮影画像から測定された測定値xが閾値a以上、閾値b以下であると判定した場合(ステップS36:Yes)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有さないと評価する(ステップS34)。
【0071】
また、同一採水位置の直近n回の撮影画像から測定された測定値xが閾値a未満あるいは閾値bより大きいと判定した場合(ステップS36:No)、画像評価手段231は、評価対象の撮影画像は一定以上の信頼性を有すると評価する(ステップS33)。
【0072】
ステップS33またはステップS34の処理の後、画像評価手段231は、評価結果を状態判定手段232に出力し(ステップS37)、処理を終了する。
【0073】
このように本実施形態においては、水質管理システム1は、情報処理装置20を備える。情報処理装置20は、端末装置10により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像を取得する、取得手段としての通信部21と、取得された撮影画像から、水道水の状態を判定する状態判定手段232とを備える。
【0074】
端末装置10により撮影された、水道水の水質に関連する撮影画像から水道水の状態を判定することで、水質を計測する水質モニタを水道管路に設置することなく、水道水の状態を判定し、水道水の水質管理を制御することができる。そのため、設備の設置および維持管理の手間およびコストを削減し、より安価および簡易に水道水の水質を管理することができる。
【0075】
なお、上述した実施形態においては、撮影画像から水道水の水質として残留塩素濃度を測定する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。パックテストあるいは試験紙を用いて測定可能な水質については同様に、撮影画像から測定することが可能である。例えば、パックテストにより、水道水のpH、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)あるいは硝酸態窒素などを測定することができる。また、試験紙を用いて、水道水のpHあるいは硬度などを測定することができる。
【0076】
本発明を諸図面および実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段およびステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。前述したところは本発明の一実施形態にすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
【0077】
例えば、端末装置10が、水道水の撮影から水質の測定までを行い、情報処理装置20が、端末装置10の測定結果に基づいて、水供給施設から供給される水道水の水質管理を制御してもよい。
【0078】
また、上述した実施形態において、情報処理装置20によって実現される各種の手段をソフトウェア構成として説明したが、これらのうち少なくとも一部の手段は、ソフトウェア資源および/またはハードウェア資源を含む概念であってもよい。
【0079】
また、上述した実施形態に係る情報処理装置20として機能させるために、コンピュータまたは携帯電話などの装置を用いることができる。当該装置は、実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該装置のメモリに格納し、当該装置のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させることによって実現可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 水質管理システム
2 水供給施設
3 水需要家
10 端末装置
11 撮影部(撮影手段)
20 情報処理装置
21 通信部(取得手段)
22 記憶部
23 制御部
231 画像評価手段
232 状態判定手段
P1~P4 管路
図1
図2
図3
図4
図5