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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20240709BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C02F1/461 A
A47K3/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020126960
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024403
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】島崎 勝輔
【審査官】加藤 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-25122(JP,A)
【文献】特開2003-39069(JP,A)
【文献】実開昭55-43532(JP,U)
【文献】特開平11-179372(JP,A)
【文献】特開2007-136433(JP,A)
【文献】特開2010-172876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/461
A47K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、
前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、
同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、
相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、
通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、
電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率としたことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、
同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、
前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、
前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、
同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材とが、前記電解補助剤の細粒を担持した前記通水促進材であるシート状の不織布としてロール状の混合状態で収容されていることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項3】
流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、
同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、
前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、
前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、
同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、
相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、
通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、
電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率としたことを特徴とする電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を電気分解に供することで、機能性を備える水を生成する装置(以下、電解水生成装置ともいう。)が知られている。
【0003】
装置内を流れる水の流路の中途には電解部が備えられており、陰極及び陽極の電極間に水を介在させて通電すると、例えば、陰極側では水素が発生し、また液性がアルカリ性に傾くため、電気分解前に比して水素を多く含むアルカリ性の水、所謂水素水やアルカリイオン水と称される水が生成する。
【0004】
また、陽極側に着目すると、水の電気分解に伴って電極からは酸素が生成し、また液性は酸性を呈するため、電気分解前の状態に比して酸素を多く含む酸性の水、所謂酸素水や酸性水と称される水が生成する。
【0005】
このように、電解水生成装置により生成された電解水は、各極別に、又は両者混合状態にて流路の下流末端から吐出され、我々の生活の様々な側面で利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-064693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電解水生成装置に供給する水(原水)に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンの量が少ない軟水地域では、水の導電率が低く、所定の電流を流すために高い電圧が必要となるため、効率的な電気分解が行えないおそれがある。
【0008】
また、逆浸透膜(RO膜)などを経て高度に浄化された水もまた導電率が極めて低くなる場合があり、このような水を対象とする場合も同様に電気分解を効率的に行うことができないおそれがある。
【0009】
そこで従来より、軟水や高度に浄化(脱イオン化)された水(以下、単に軟水と称する。)に対する電解を容易にすべく、電解補助剤が利用されている。電解補助剤は、水の電気分解が行われる電解部よりも上流位置に配置して電解対象の水にその成分を予め溶出させることにより、水の導電性を高めて効率的な電解を実現するためのものであり、グリセロリン酸カルシウムが一般に広く採用されている。
【0010】
ところが、グリセロリン酸カルシウムは、常温(例えば、20℃±15℃)の範囲内の所定温度の水に対する溶解度が2g/dLであり、比較的水に溶けやすい物質である。
【0011】
電解水生成装置は、100g程度の電解補助剤を収容できるよう構成するのが一般的であるが、一日あたりの使用水量を20Lと仮定した場合、電解補助剤として配されたグリセロリン酸カルシウムは1~2日で全て溶けてなくなってしまう。
【0012】
それゆえ、軟水地域にて電解を効率的に行うためには、高頻度で電解補助剤の補充を行わなければならず煩雑であるという問題があった。
【0013】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る電解水生成装置では、(1)流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率とした。
【0015】
また、上記従来の課題を解決するために、本発明に係る電解水生成装置では、(2)流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材とが、前記電解補助剤の細粒を担持した前記通水促進材であるシート状の不織布としてロール状の混合状態で収容されていることとした。
【0016】
また、上記従来の課題を解決するために、本発明に係る電解水生成装置では、(3)流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電解水生成装置によれば、流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率としたため、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明に係る電解水生成装置によれば、流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材とが、前記電解補助剤の細粒を担持した前記通水促進材であるシート状の不織布としてロール状の混合状態で収容されていることとしたため、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る電解水生成装置によれば、流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、同電解水生成装置は、前記電解部に供給する電力を蓄える蓄電体とシャワー本体からなるシャワーヘッドであり、前記流路は使用者が把持するステム部と同ステム部の先端に配され一面側に散水板を配したヘッド部とを備える前記シャワー本体の接続部から前記散水板にかけて形成しており、水は前記ステム部の内部を通って前記ヘッド部の水室へ至り、前記散水板から散水されるよう構成し、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、常温の水に対する溶解度が0.001~0.014g/dLであり水中で電離可能で5mm以下の粒径とした所定の大きさを有する電解補助剤と、該電解補助剤とは異なる大きさを有する通水促進材と、が混合状態で収容されており、相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径に対して20%以上大きく、通水促進材の添加重量は、電解補助剤の重量に対して60~140%であり、電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より大きい場合、5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の平均粒径が通水促進剤の平均粒径より小さい場合、5:4以下で通水促進材が少ない比率としたため、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る電解水生成装置の構成を示した説明図である。
図2】改質部の内部構成を示した説明図である。
図3】改質資材の粒の大きさと流水の挙動を示した説明図である。
図4】第3の実施形態に係る電解水生成装置の構成を示した説明図である。
図5】第4の実施形態に係る電解水生成装置の使用状態を示す説明図である。
図6】第4の実施形態に係る電解水生成装置の構成を示す説明図である。
図7】第4の実施形態に係る電解水生成装置の構成を示す説明図である。
図8】原水の導電率に対する電解水のpHの変化を示したグラフである。
図9】電解補助剤の溶解度に対する電解水のpHの変化を示すグラフである。
図10】電解補助剤100gで処理できる水量を示したグラフである。
図11】改質部の作成過程を示した説明図である。
図12】流水量を変化させた際のpHへの影響を示すグラフである。
図13】流水量を変化させた際のpHへの影響を示すグラフである。
図14】100gの電解補助剤の処理水量を示す説明図である。
図15】シャワーヘッド型電解水生成装置における結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置に関するものである。
【0025】
前述したように、軟水地域の水や高度に浄化された水は、マグネシウムイオンやカルシウムイオンなど水中に溶存しているイオンの量が少ないため電気分解が困難な場合があり、導電率を改善しこれを容易にすべく電解補助剤が用いられている。
【0026】
しかし、広く用いられているグリセロリン酸カルシウムは、溶解度が比較的高い物質であることから高頻度で電解補助剤の補充を行わなければならず煩雑であるという問題があった。
【0027】
また、電解水生成装置は不使用時であっても、配管中に水が残っている場合があり、状況によってはこのような滞留水にグリセロリン酸カルシウムが溶け込み続け、次回使用初期には、グリセロリン酸カルシウムが高濃度に溶解した水が吐出されてしまうことがある。このことは、必ずしも重大な問題とは言えないかもしれないが、高い健康志向を持った電解水生成装置のユーザに対して添加物を多く含む水が吐出されるという状況は好ましいとは言い難く、また、電解補助剤の無駄な消費でもある。
【0028】
そこで本願では、これら諸事情に鑑みて、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供する。
【0029】
ここで軟水とは、電気分解に供した際に導電性の低さから供給された水のpHを9~10の範囲内にできない程に、また態様によっては溶存水素濃度を50ppb以上にできない程に低硬度の水を意味している。すなわち、一般に水の硬度は{カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1}で近似され、例えばWHOでは硬度120以下を軟水と定義しているが、これらの定義にかかわらず、所定量の流水に対し、溶存するイオン濃度の低さから所定の電圧にて十分な電流を流すことができずアルカリ性の電解水を生成できない状態の水、例えば導電率が20μS/cm程度以下の水を意味している。
【0030】
また長期間とは、特に具体的な期間が定められるものではないが、導電率を改善できる期間が同量のグリセロリン酸カルシウムよりも長い期間、例えば1ヶ月や3ヶ月、半年や1年といった期間である。
【0031】
電解水生成装置は、供給された水を電気分解に供して吐出する装置である。このような装置であれば特に限定されないが、敢えて具体例を示すならば、例えば、飲用に供するアルカリイオン水や電解水素水、主に清掃や洗浄、殺菌等に使用される酸性水を生成する整水器が挙げられる。
【0032】
また、他の例としては、電気分解に供された水をシャワー水として吐出する電解水シャワーヘッドが挙げられる。なお、本明細書では、これらアルカリイオン水や電解水素水、酸性水のように、供給された水に電圧を印加し、その一部を電気分解した水を総称して電解水ともいう。
【0033】
また流路は、供給された原水が電解水として吐水されるまでに通過する電解水生成装置内に形成した通水路を意味しており、筒状の配管部材は勿論のこと、中途に設けられた部材、例えば電解を行う電解部として設けられた電解槽なども、その内部の水が流れる部分は、ここにいう流路に含まれる。
【0034】
そして、本実施形態に係る電解水生成装置の特徴として、常温の水に対する溶解度が、通常飲用に供される温度から浴用に供される温度、例えば5~45℃程度の温度にて0.001~0.2g/dLであり水中で電離可能な物質を電解補助剤として前記電解部よりも上流に配したことが挙げられる。
【0035】
このような電解補助剤として使用可能な物質は種々存在するが、中でも人体に対して悪影響の少ない物質である必要があり、本邦又は海外において食品添加物として認められた物質であるのが望ましい。
【0036】
一例を挙げるならば、25℃にて0.0015g/dL程度の溶解度を示す炭酸カルシウム(CaCO3)や、18℃にて0.085g/dL程度の溶解度を示すクエン酸カルシウム(C12H10Ca3O14・4H2O)、常温に属する所定の温度、例えば20±5℃程度の温度にて0.0025g/dL程度の溶解度を示すリン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)、26.7℃にて0.000164g/dL程度の溶解度を示し医薬品添加物や、食品添加物として使用されるステアリン酸カルシウム、18℃にて0.0043g/dL程度の溶解度を示す亜硫酸カルシウム(CaSO3)、20℃にて0.039g/dL程度の溶解度を示す炭酸マグネシウム(MgCO3)、常温に属する所定の温度、例えば20±5℃程度の温度にて0.0086g/dL程度の溶解度を示す酸化マグネシウム(MgO)などが好適である。
【0037】
また、より一般化して表現するならば、電解水生成装置の流路中途に設けた電解補助剤の収容部に50~500g収容し、1~9L/minの流量で1日あたり10~50Lの水を流した場合に、溶解度の値の約1/8~1/14に相当する濃度で流水中に溶け込んで改質水を生成できる、溶解度が0.001~0.2g/dLである物質とも言える。なお、収容部における電解補助剤と水との接触効率は、この場合問題ではなく、上記条件を満たすことのできる構成であれば特に限定されない。
【0038】
また、別の表現をするならば、1~9L/minで流れる水に溶解し電離して、0.5~5Aの電流の通電を許容して水のpHを9~10の範囲内としたり溶存水素濃度を50ppb以上にすることができ、しかも、これを1日あたり10~50Lの水を流し約1ヶ月~1年間に亘り維持させるために必要な量が、電解水生成装置の流路中途に設けた電解補助剤の収容部に収容可能な50~500g程度である物質とも言える。
【0039】
そして、このような構成とすることにより、電解部の流路上流位置にて電解対象の水に対し予め電解補助剤を溶存させて導電率を改善し、円滑な電気分解を行わせることで安定した電解水の生成を実現できる。
【0040】
また特に、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることができる。
【0041】
また本実施形態において電解補助剤は、粒径が5mm以下の顆粒状、例えば0.1mm≦粒径≦5.0mm程度とした粒状物の集合体としても良い。このような構成とすることにより、グリセロリン酸カルシウムに比して相当に低い溶解度の物質を採用しながらも、pH9~10の電解水や溶存水素濃度が50ppb以上の電解水を吐出可能な程度の電気分解を安定して行わせることができる。
【0042】
なお本願において電解補助剤の粒径は、本発明を実施する上でさほど厳密なものではなく、5mmを超える粒径の粒が多少(例えば、100粒中10粒未満(10%未満)程度)含まれていても問題ない。
【0043】
また本願における粒径は、その測定方法については厳密に限定されるものではないが、投影面積円相当径、例えば無作為に選択した粒を平面に撒き、顕微鏡などを用いて上方より観察した際に粒が占める平面的な面積と同面積の円の径が0.1~5.0mmの粒径の電解補助剤を好適に使用することができる。なお、本明細書において特に断りのない限り、電解補助剤や通水促進材、浄水材等の粒の径や大きさに関する説明は、いずれも投影面積円相当径と解することができる。
【0044】
また本実施形態に係る電解水生成装置では、前記電解部よりも上流位置に同電解部に供給すべき水を改質する改質部を備え、同改質部には、前記電解補助剤と、該電解補助剤とは粒径が異なる通水促進材と、が混合状態で収容されていることとしても良い。
【0045】
付言すると、流路の上流から下流にかけて改質部と電解部とが配されており、改質部にて改質された水が電解部に供給されるよう構成した際に、改質部には、水の導電率を改善する電解補助剤とともに、改質部内で水が電解補助剤に満遍なく接触するよう流れを整える通水促進材を混在させても良い。このとき、相対的に粒径の小さな前記電解補助剤と、相対的に粒の大きな通水促進材とが混在していても良く、またその逆に、相対的に粒径の小さな通水促進材と、相対的に粒の大きな電解補助剤とが混在していても良い。但し、出願人が本願を権利化するにあたり、上記いずれかの態様に限定することを妨げない。
【0046】
すなわち、電解補助剤の粒径(大きさ)と通水促進材の粒径(大きさ)の関係は、いずれが大きくても小さくても良いのであるが、その平均の粒径が互いに異なっており、また更なる態様として、相対的に大きい方の平均粒径は、相対的に小さい方の平均粒径(例えば1mm)に対して20%以上大きい(120%以上。上記例なら1.2mm以上)であるのが望ましい。
【0047】
また、同じく電解補助剤の粒径(大きさ)と通水促進材の粒径(大きさ)の関係に関し、通水促進材の平均粒径を、電解補助剤の平均粒径±20%の範囲外の粒径とすることもできる。
【0048】
このように、電解補助剤(通水促進材)の粒径を通水促進材(電解補助剤)の粒径に比して相対的に小さく又は大きくすることで、改質部内において水の流れが集中し偏りが生じてしまうことを防止し、電解補助剤の十分な溶出を確保することができる。そして通水促進材の添加重量としては、電解補助剤の重量に対して60~140%程度であることが好適である。また、このような粒径の比率および添加重量の比率とした場合、電解補助剤と通水促進材との粒数の比率は、凡そ5:6以上で通水促進材が多い比率とし、電解補助剤の粒径が通水促進剤の粒径より小さい場合、凡そ5:4以下で通水促進材が少ない比率とすると、水の流れを良好とすることができる。
【0049】
また通水促進材の材質は特に限定されるものではなく、例えば、活性炭、不織布材、不溶性のセラミック粒子(シリカ、アルミナなど)、多孔質材料(ゼオライトなど)とすることができる。また、中でも通水促進材は、浄水能を有する素材にて構成しても良い。
【0050】
例えば飲用に供する電解水を生成する装置の場合、電解部に供する水を予め浄化すべく、電解部に通ずる流路の上流に浄水部を設ける場合がある。本実施形態に係る電解水生成装置においても電解部の上流、場合によっては改質部よりも上流に浄水部が設けられても良いのであるが、通水促進材を浄水能を有する素材にて形成すれば、別途浄水部を設けることなく、電解部に浄水を供給することができる。なお、浄水能を有する素材にて通水促進材を形成した場合であっても、浄水部は設けられても良い。
【0051】
通水促進材に適用可能な浄水能を有する素材は、水中の有機物の如き夾雑成分を吸着するような素材、例えば、活性炭やセラミックボールなどの多孔質素材を採用することができる。
【0052】
また、吸着によらずとも、例えば水道水の消毒を目的とした残留塩素成分を還元するなどしてヒトの嗅覚の閾値を下回る程度にできるような素材、より広義には衛生的や官能的な側面から夾雑成分を許容可能な状態に化学的に変化させることのできるような素材を採用しても良い。
【0053】
また通水促進材は、電解補助剤と同じ素材にて形成しても良い。このような構成とすることで、電解補助剤の構成成分を溶出できる機能を通水促進材にも付与することができる。
【0054】
また前述の如く、通水促進材と電解補助剤との共通素材が浄水能を有するものであれば、更に浄化作用も期待することができる。このような素材の一例としては、例えば、亜硫酸カルシウムが挙げられる。
【0055】
以下、本実施形態に係る電解水生成装置の構成について、図面を参照しながら更に説明する。
【0056】
〔 I.第1実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る電解水生成装置A1の全体的な内部構成を模式的に示した説明図である。図1に示すように、電解水生成装置A1はその内部構成として、供給された水を受け入れ、電気分解に供した後、最終的に吐水したり排水されるまでの一連の流路10を備えている。
【0057】
流路10は、入水口17から改質部11へ至る原水供給管17aと、改質部11から電解槽12へ至る改質水供給管22と、利用に供される電解水を電解槽12から導いて吐出させる電解水取出流路40と、利用されない電解水を電解槽12から導いて排出する排水流路41とで構成している。付言すれば、流路10の中途には、改質部11や電解槽12が介設されている。
【0058】
また、電解水生成装置A1には、同電解水生成装置A1の各部を全体的に統括して制御する制御部13が略箱型の筐体14内に収納配設されている。
【0059】
改質部11は、ケーシング18を備えており、同ケーシング18には、原水を導入する原水口18aと、ケーシング18内で改質した改質水を吐出する流出口18bとが形成されている。
【0060】
原水口18aは、電解水生成装置A1の筐体14に形成された入水口17と原水供給管17aを介して接続しており、水道設備等より供給された原水を改質部11内に導入可能としている。
【0061】
図2は、改質部11の内部構成及び水の流れを示す説明図である。図2に示すように、改質部11は、水密状に形成された中空略箱型のケーシング18の内部に通水空間部15aと改質資材収容部15bとが集水管部15cを中心とする略同軸筒状(横断面視において略同心円状)に形成されている。
【0062】
集水管部15cは、ケーシング18の中心部に備えられた管状の部位であり、管壁は通水可能な素材にて形成されている。この集水管部15cは、流出口18bに接続されており、改質部11内にて改質された水を改質部11外へ導出する。
【0063】
また集水管部15cの外方にはメッシュ状の通水ケース16を配設しており、集水管部15cと通水ケース16の間は改質資材収容部15bとして改質資材19を収容している。
【0064】
改質資材19は、電解補助剤19a(図中大きめの黒丸で示す。)と、通水促進材19b(小さめの白丸で示す。)とで構成している。なお、改質資材19の外観は模式的に示したものであって、球体に限定されるものではない。
【0065】
電解補助剤19aは、改質部11に流入した水に電解質を溶出させて導電率を改善させる役割を有するものであり、粒径を約5mmに形成している。
【0066】
通水促進材19bは、改質部11内(特に、改質資材収容部15b内)における水の流れを整えるためのものである。本実施形態では粒径約5mmの電解補助剤100gに対し、粒径を約2mmに形成した通水促進材を60gを混在させた。改質資材の粒100個あたり、この通水促進材19bが87~93個程度となるよう改質資材19を調製している。なお、相対的に大きな電解補助剤19aの粒径(約5mm)は、相対的に小さい通水促進材19bの粒径(約2mm)に対し250%大きく、また、通水促進材19bの平均粒径(約2mm)は、電解補助剤19aの平均粒径(約5mm)の±20%、すなわち、4~6mmの範囲外の粒径としている。また電解補助剤100gに対し混在させた通水促進材は60gであり、電解補助剤の重量に対する通水促進材の添加重量として60~140%の範囲内としている。
【0067】
また本実施形態においてこの改質資材19、すなわち、電解補助剤19aと通水促進材19bはいずれも亜硫酸カルシウム(CaSO3)にて形成しており、残留塩素成分を還元してヒトの嗅覚の閾値未満にさせることで浄化機能が発揮されるよう構成し、別途浄水部を設けることなく電解部に供給する水の浄化を改質部11にて行うこととしている。なお本実施形態では、改質資材収容部15bに改質資材として電解補助剤19aと通水促進材19bを混在させることとしたが、例えば活性炭など浄水資材を更に混在させるようにしても良い。
【0068】
流出口18bには、図1に示すように、改質水供給管22の基端が接続されている。改質水供給管22は、改質部11にて改質された改質水を電解槽12へ供給する配管であり、その先端は陰極室供給管20と陽極室供給管21とに分岐部22aにて二叉状に分岐している。
【0069】
陰極室供給管20は、その先端側が枝管20a及び枝管20bの2つの枝管に更に分岐している。枝管20a及び枝管20bは、電解槽12の陰極室にそれぞれ接続され、陰極室に改質水を供給する。また、陽極室供給管21についてもその先端側は枝管21a及び枝管21bに分岐し、それぞれ電解槽12の陽極室に接続して、陽極室に改質水を供給可能としている。
【0070】
電解槽12は、中央に位置する第1の電極板31と、この第1の電極板31を挟み込むように位置する第2の電極板32と第3の電極板33とを備えている。そして、第1の電極板31と第2の電極板32との間、及び第1の電極板31と第3の電極板33との間にそれぞれ隔膜34を配設して、これら電極板31,32,33、隔膜34により、取水用電極室として機能する第1の電解室35、副生水用電極室として機能する第2の電解室36、副生水用電極室として機能する第3の電解室37、取水用電極室として機能する第4の電解室38とを区画形成している。
【0071】
第2の電極板32と第3の電極板33は、筐体14内に配設した制御部13に設けた電源回路(図示せず)からの電力の供給を受け、取水電極板として陰極又は陽極の同一極の電極板となる一方、第1の電極板31は、副生水電極板として第2の電極板32と第3の電極板33の極性とは逆の極性となる。ここでは、第2の電極板32と第3の電極板33とを陰極とし、第1の電極板31を陽極としており、第1の電解室35と第4の電解室38とが陰極室に対応し、第2の電解室36と第3の電解室37とが陽極室に対応することになる。なお、電解水生成装置A1が制御部13の制御等により酸性水の生成モードを備える場合には、逆に、第2の電極板32と第3の電極板33が陽極となり、第1の電極板31は陰極となって、第1の電解室35と第4の電解室38とが陽極室に対応し、第2の電解室36と第3の電解室37とが陰極室に対応することになる。
【0072】
第1の電解室35や第4の電解室38にて電解され生成した電解水(アルカリイオン水や電解水素水とも称される。)は、電解水取出流路40の枝管40a,40bから合流部40cに至り、電解水取出流路40を介して取水される。
【0073】
また、第2の電解室36や第3の電解室37にて電解され生成した所謂酸性水や酸素水と称される電解水は、枝管41a,41bから合流部41cに至り、排水流路41及び排出口42を介して排水される。なお、前述したように、各電極板31,32,33の極性が逆になれば、当然ながら、電解水取出流路40とした流路からは酸性水が取水され、排水流路41からはアルカリ性の水が排水されることになる。
【0074】
そして、このような構成を備える電解水生成装置A1によれば、上水道45より供給された軟水である原水は、入水口17を介し原水供給管17aを通じて原水口18aより改質部11の内部へ至り、通水空間部15aを満たしつつ通水ケース16を介して改質資材収容部15bに浸入する。
【0075】
改質資材収容部15bに浸入した原水は、改質資材19を構成する電解補助剤19aと接触して電解質を溶存させることで導電性が向上するよう改質される。このとき、改質資材19を構成する電解補助剤19aや、電解補助剤19aと通水促進材19bとよりなる混合物が、図3(a)の改質部11’に示すようにほぼ全ての粒径が5mm以下の同じ程度の大きさの粒ばかりであると、黒矢印で示すように原水は流れやすい場所を優先的に流れてしまい、流れにくい場所での流量が極端に低下して偏りが生じてしまう。
【0076】
また、図3(b)の改質部11’’に示すように粒径がより大きければ、流れの偏りの問題は生じにくくなるものの、改質資材19の原水との接触面積が少なくなってしまうため、原水への電解質の溶解に難がある。
【0077】
この点、本実施形態に係る電解水生成装置では、互いに大きさの異なる電解補助剤と通水促進材の一例として、相対的に粒径の大きな電解補助剤19aと、相対的に粒径の小さな通水促進材19bとを混合状態で改質部11の改質資材収容部15bに収容しているため、原水の偏った流れを防止しつつ、電解補助剤19aの安定した溶出を図ることができる。
【0078】
また、電解補助剤19aと通水促進材19bを同じ素材にて形成しているため、1種類の素材にて電解補助剤19aと通水促進材19bとの両方を製造でき、製造コストを安価にすることができる。
【0079】
また、本実施形態において電解補助剤19aと通水促進材19bはいずれも、浄水能を有する亜硫酸カルシウムにて形成している。従って、別途浄水部を設けることなく、改質部11にて原水の浄化を行わせることができる。
【0080】
改質資材19との接触により改質された改質水は、集水管部15cから流出口18bを介して改質水供給管22を通じ、電解槽12に供給される。軟水であったがために導電率が低く電気分解に不向きであった原水は、改質部11を経て改質水となっているため、所定電圧にて十分な量の電流を流すことができ、例えば第1の電解室35や第4の電解室38にて生成され電解水取出流路40より取水される電解水は、pHが9~10のアルカリイオン水とすることができる。
【0081】
〔 II.第2実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る電解水生成装置A2について説明する。本第2の実施形態についての図示は割愛するが、電解水生成装置A2は、先述の電解水生成装置A1とほぼ同様の構成を備えているものの、改質部11の内部に収容された改質資材19が、粒径を約0.1mmとした炭酸カルシウム(CaCO3)である電解補助剤19aと、粒径を約0.3mmとした活性炭である通水促進材19bとで構成している点で異なっている。
【0082】
そして、このような構成を備えた電解水生成装置A2によっても、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることができる。また、通水促進材は活性炭であり吸着による浄水能を有するため、別途浄水部を設けることなく、電解部に供給する水の浄化を改質部にて行うことができる。
【0083】
〔 III.第3実施形態〕
次に、第3の実施形態に係る電解水生成装置A3について説明する。図4は、第3の実施形態に係る電解水生成装置A3の構成を簡略化して示したブロック図である。電解水生成装置A3は、先述の電解水生成装置A1や電解水生成装置A2とほぼ同様の構成を備えているが、改質部11の改質資材19の構成や、浄水部25を備える点において異なっている。
【0084】
具体的には、電解水生成装置A3において改質資材19は、粒径を約0.5mmとしたクエン酸カルシウム(Ca3(C6H5O7)2)である電解補助剤19aと、粒径を約2mmとした同じくクエン酸カルシウムである通水促進材19bとで構成しており、改質部11に顕著な浄水能は備えていない。
【0085】
但し、本電解水生成装置A3では、改質部11の上流側に浄水部25が備えられており、内部には活性炭が収容されている。
【0086】
そして、このような構成を備えた電解水生成装置A3によっても、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることができる。
【0087】
〔 IV.第4実施形態〕
次に、第4の実施形態に係る電解水生成装置について説明する。図5は、浴室50の壁51に配設されたシャワー設備52の構成を示す説明図である。
【0088】
シャワー設備52は、所謂壁掛け型のシャワー設備であり、湯水を供給するホース53と、同ホース53の先端に取り付けられた第4の実施形態に係る電解水生成装置としてのシャワーヘッドA4とを備えており、使用者Uが図示しない水栓を操作することで、シャワーヘッドA4より電解された湯水を吐水可能としている。
【0089】
シャワーヘッドA4は、ホース53を介して供給される湯水を吐出するシャワー本体55と、電力を蓄える蓄電体56とを備え、これらは外観上略一体的に構成されている。
【0090】
また図6に示すように、蓄電体56はシャワー本体55に対して着脱自在に構成しており、蓄電体56への充電時や、電解することなく通常の湯水を吐出させる場合には、シャワー本体55から蓄電体56を取り外しできるようにしている。
【0091】
また、シャワー本体55は、使用者が把持するステム部57と、ステム部57の先端に配されたヘッド部58とを備え、同ヘッド部58の一面側に散水板59を配して吐水可能とすると共に、散水板59と対向するヘッド部58の他面側、すなわち、図6において紙面奥側に、蓄電体56を装着するための装着部60形成している。
【0092】
また、シャワー本体55の内部には、ホース53との接続部53aからヘッド部58の散水板59に至るまで、供給された水(原水)を通じるための流路が形成されている。
【0093】
すなわち、図7にて破線で示すように、シャワー本体55には入水口57から散水板59にかけて流路を形成しており、接続部53aより導入された水は、ステム部57の内部を通ってヘッド部58の水室61へ至り、散水板59から散水される。
【0094】
また、ステム部57内の流路には電解部62が備えられており、同電解部62の流路上流側には改質部63が配されている。
【0095】
電解部62は、後述の改質部63を経て改質された水を電気分解するための部位であり、図示しない制御部を介して、蓄電体56の電力を電解部62の内部に配設された複数対の電解用電極板へ供給する。
【0096】
改質部63は、前述の電解水生成装置A1~A3の改質部11同様の構成を備え、電解部62へ供給する水中に電解質を溶存させて電解効率を向上させる役割を果たすためのものであり、内部に収容される改質資材19は、粒径を約2mmとした亜硫酸カルシウム(CaSO3)である電解補助剤19aと、粒径を約0.3mmとした活性炭である通水促進材19bとで構成しており、改質部11にて水の浄化も行えるようにしている。
【0097】
そして、このような構成を備えた本実施形態に係る電解水生成装置としてのシャワーヘッドA4によっても、供給される水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることができる。
【0098】
〔 V.各種試験〕
次に、各種試験について説明する。
【0099】
(1.導電率とpHの検証)
電解水生成装置では、高度に脱イオンされた水や極度の軟水が原水として供給されると、電解補助剤が存在しない場合、原水の導電率が低いため十分な電気分解ができず、所定のpHを得ることは困難である。またこの現象は、流水量(単位時間に流れる水量)が多い場合に特に顕著である。
【0100】
そこでここでは一例として、家庭用整水器として一般的な流水量である2L/minの条件下において、対向面積が300cm2で対向電極間距離が2~8mm程度の電解用電極間に5~50V程度の電圧を印加した際に、原水(3μS/cm)の導電率に応じて吐水された水のpHがどのような挙動を示すか、特にpH9以上とするためにはどの程度の導電率が必要であるかについて検証を行った。
【0101】
その結果、図8に示すように吐出される電解水のpHは、導電率が50μS/cm以上あればpH9以上、凡そpH9.4~9.6程度で安定するものの、50μS/cmを下回るとpHの著しい低下が認められ、凡そ20μS/cm程度を境に電解水のpHがpH9を下回ることとなった。付言すれば、上記条件の似たような仕様を備える凡そ一般的な家庭用の電解水生成装置の場合、導電率が20μS/cm未満ではpHの値を9まであげることは困難であることが示された。
【0102】
(2.溶解度とpHの検証)
次に、溶解度の異なる幾つかの電解補助剤を用い、生成される電解水のpHについて確認を行うことで、電解補助剤として使用する物質が備えるべき原水(3μS/cm)への溶解度について検討を行った。
【0103】
(2-1.下限値)
電解補助剤は、電気分解が安定に行える程度に溶解する必要はあるので、その溶解度はある程度以上であることが必要である。そこでここでは、電解補助剤として使用する物質が備えるべき溶解度の下限値について検討した。
【0104】
具体的には、先述の(1.導電率とpHの検証)と同様の条件下において、硫酸バリウム(溶解度0.00024g/dL)、炭酸カルシウム(溶解度0.0015g/dL)、亜硫酸カルシウム(溶解度0.0043g/dL)、酸化マグネシウム(溶解度0.0086g/dL)、クエン酸カルシウム(溶解度0.085g/dL)、グリセロリン酸カルシウム(溶解度2g/dL)を電解補助剤として用い、どの程度の溶解度の物質であれば、電解水のpHを9以上とすることができるのかについて検討を行った。その結果を図9に示す。
【0105】
図9からも分かるように、溶解度が0.00024g/dLである硫酸バリウムを電解補助剤として用いた場合にはpHの値が8以下と極端に低くなったが、それ以外の物質は、電解水のpHが9以上であった。
【0106】
図9に示すグラフを踏まえると、電解補助剤に用いる物質の溶解度が0.001g/dL以上であれば生成する電解水のpHの値を9~10の範囲内に到達させることができることが示唆された。
【0107】
(2-2.上限値)
溶解度の上限については、電解補助剤の補充頻度による制約がある。電解補助剤の実用的な充填量は、重量、体積などを勘案すると約100g以下であることが好ましい。そこでここでは、先述の下限値の検討に使用した6種の物質と水酸化カルシウム(溶解度0.185g/dL)を使用し、先述の(1.導電率とpHの検証)と同様の条件下において、100gの電解補助剤が溶出するのに要する原水の量について調べることで、電解補助剤として使用する物質の溶解度の上限値について検討した。その結果を図10に示す。
【0108】
家庭用の浄水器などにおける典型的な1日の使用量を20Lとすると、1か月使用するには約600L以上の処理水量を確保する必要がある。さらに約1年間、補充しないで使用するためには、処理水量は7300L以上であればより好適である。また、溶解度が低く、処理水量に余裕がある場合は、電解補助剤の量を低減して小型化、軽量化を図ることもできる。
【0109】
一方、溶解度が高い場合、電解補助剤は早く溶出してしまい、頻繁な補充が必要となる。加えて、通水を停止した際に滞留した水に対しては、非常に高濃度に溶解する。これは電解補助剤が必要以上に消費され無駄になるだけでなく、不要な添加物が多く含まれることとなり、飲用水の品質として好ましくない。
【0110】
これらの事情を踏まえて図10を参照すると、1か月ごとの電解補助剤の補充で使用できる処理水量として約600L以上を確保するためには、電解補助剤の溶解度として0.2g/dL以下、より好ましくは0.163g/dL以下であることが必要であり、また7300L以上を確保するにはおおよそ0.02g/dL以下、更には0.014g/dL以下が好適であることが示された。
【0111】
(3.通水性と溶解性の両立に関する検討)
次に、改質部内に収容される改質資材について、通水性や電解補助剤の溶解性の観点から検討を行った。
【0112】
従来の電解補助剤は、生成される電解水のpHや溶存水素量が流水量によって大きく変化し、特に流水量の多いときにpHや溶存水素量が著しく低くなってしまうという問題がある。
【0113】
電解補助剤の過剰な溶出を防ぐためには、できるだけ溶解度の低い電解補助剤を用いることが好適である。一方、原水の導電率を所定の値に上昇させるためには電解補助剤をある程度溶解させる必要がある。必要量を最小限溶解させるためには、電解補助剤の粒子の大きさを制御する。原水との接触面積をかせぐため、粒子を微細化することが必要となる。ところが電解補助剤を微細化すると、通水した際に電解補助剤の粒子は水圧を受けて密集・凝集し固形化してしまう。すると前述の如く水は通りやすい部分に水路を作って流れてしまい、凝集した内部には流れず、電解補助剤を十分溶解できない。 これは流水量が多いほど顕著で、その結果流水量に対する溶解の変化が大きくなり、導電率、そして電解後のpHや溶存水素量も流水量によって大きく変化してしまう。
【0114】
付言すると、電解補助剤の粒子が小さい場合、総表面積がひろいため、一見、比較的溶解度が低い物質でも効率的に溶解することが期待されるものの、実際は、水圧を受けて粒子が密集・凝集し、水は通りやすい部分に水路を作って流れるため、凝集した内部には流れず、結果として電解補助剤を十分溶解することはできない。 また、粒子の充填量を上げると、圧力損失が高くなり通水性が低下してしまう。
【0115】
これに対し、電解補助剤の粒子が大きい場合は、通水性はよく圧力損失も低いが、粒子の総表面積が小さく原水との接触面積が小さいため、電解補助剤を十分に溶出させることができない。
【0116】
そこで、本実施形態では、前述の如く改質資材の構成の一態様として、適度な間隙を構成する通水促進材の充填により通水性を確保し圧力損失を低くしつつ、この通水促進材に粒径の異なる電解補助剤を混在させることとした。また、電解補助剤の粒子の径を5mm以下に制限して細かくすることにより電解補助剤の総表面積を大きくして水との接触面積を増やし、電解補助剤を十分溶解しやすくしている。
【0117】
本項では、これらの作用を検証すべく、電解補助剤添加浄化フィルター型の改質部を構築した。具体的には、粒径を約2mmとした亜硫酸カルシウム(CaSO3)である100gの電解補助剤と、粒径を約0.3mmとした活性炭である90gの通水促進材との混合物で改質資材を構成して浄水機能と通水促進機能とを兼用した構成と成し、これを電解水生成装置A1の改質部B1として試験に供した。
【0118】
また比較として、粒径を約2mmとした亜硫酸カルシウム(CaSO3)である100gの電解補助剤のみを改質資材として収容した改質部B2と、粒径を5mmとした亜硫酸カルシウム(CaSO3)である100gの電解補助剤のみを改質資材として収容した改質部B3も作成し、試験に供した。
【0119】
試験は、3μS/cmの原水を1~3L/minの流水量で流して電気分解したときのpH値を計測することで行った。その結果を図12に示す。
【0120】
図12からも分かるように、改質資材を直径5mmという比較的大きめの粒の亜硫酸カルシウムよりなる電解補助剤のみとした改質部B3は、流水量が1L/min程度であれば電解水のpHを9~10の範囲内とすることが可能であるが、凡そ1.2L/minを超える程度の流水量となると電解水のpHの値は9を下回ることとなった。これは、改質資材(電解補助剤)の粒が大きめであるため通水性の点では良好であったものの、電解補助剤と原水との接触面積が少なく溶解性に難があり、流水量が多い領域では電解補助剤の十分な溶出ができなかったためと考えられた。
【0121】
また、改質資材を細かな顆粒状の亜硫酸カルシウムよりなる電解補助剤のみとした改質部B2は、流水量が1.7L/min程度であれば電解水のpHを9~10の範囲内とすることが可能であり、改質部B3よりも高流量に対応しうることが示されたが、凡そ1.7L/minを超える程度の流水量となると電解水のpHの値は9を下回ることとなった。これは、改質資材(電解補助剤)の粒が顆粒状であるため、電解補助剤を溶出させるための原水との接触面積は十分であると思われるものの、流水量の多い領域では水圧が高いため通水性の点で難があり、結果的に電解補助剤の十分な溶出ができなかったためと考えられた。
【0122】
これら改質部B2や改質部B3に対し、改質資材を顆粒状の電解補助剤と活性炭よりなる通水促進材とで構成した改質部B1は、流水量が1L/minから3L/minにまで変化しても、吐出される電解水のpHに若干の低下傾向が見られたものの大きな低下は確認されなかった。
【0123】
このことから、互いに粒径が異なる電解補助剤と通水促進材とを混合状態としてなる改質資材は、改質部B2や改質部B3に収容された如き改質資材に比して、流量変化によるpH変動への影響を小さくでき、電解補助剤の溶出を助け、軟水等に対して安定した電解が可能であることが示された。なお、改質部B2や改質部B3に収容された電解補助剤も、1.7L/minや1.2L/min以下程度の低流量での使用であれば、軟水等からpH9以上の電解水を生成可能であり、本願発明に含まれる一態様と言える。但し、出願人が本願を権利化するにあたり、本態様を本発明から除外することを妨げない。
【0124】
(4.電解補助剤の違いによる電解水のpHと補充頻度の検討)
次に、上述の改質部B1と同様の構成であって、電解補助剤を他の物質とした場合の電解水のpHや補充頻度について検討を行った。
【0125】
試験に供した電解補助剤は、亜硫酸カルシウム(溶解度 0.0043g/dL)、炭酸カルシウム(溶解度 0.0015g/dL)、クエン酸カルシウム(溶解度 0.085g/dL)、グリセロリン酸カルシウム(溶解度 2g/dL)、硫酸バリウム(溶解度 0.00024g/dL)である。なお、以下の説明において、電解補助剤として炭酸カルシウムを用いた改質部を改質部B4、クエン酸カルシウムを用いた改質部を改質部B5、グリセロリン酸カルシウムを用いた改質部を改質部B6、硫酸バリウムを用いた改質部を改質部B7と称する。
【0126】
(4-1.電解水のpH)
まず、電解水のpHに与える影響について試験を行った。具体的には、3μS/cmの原水を1~3L/minの流水量で流して電気分解したときのpH値を計測することで行った。その結果を図13に示す。
【0127】
図13から分かるように、硫酸バリウムを用いた改質部B7は、1~3L/minの流水量の範囲内でpH9以上の電解水を生成することはできなかったが、それ以外の物質は、いずれも上記流水量の範囲で電解水のpHの値がpH9~10の範囲内となることが確認された。
【0128】
(4-2.補充頻度)
次に、補充頻度について考察した。具体的には、3μS/cmの原水を3L/minの流水量で流した場合、何リットルの通水で消費されてしまうかについて検討した。その結果を図14に示す。
【0129】
図14から分かるように、グリセロリン酸カルシウムを用いた改質部B6は、40L程度の通水で消費され、それ以上の改質水の生成は行うことができないものと考えられた。その一方、その他の物質は、いずれも700L以上の通水に耐えることができ、クエン酸カルシウムについては少なくとも1ヶ月間、亜硫酸カルシウムや炭酸カルシウム、硫酸バリウムについては1年以上に亘って固体の状態を保ち、補充を行わなくても良いと考えられた。
【0130】
そして、前述の(5-1.電解水のpH)の結果を併せ考えると、電解補助剤としては亜硫酸カルシウム(溶解度 0.0043g/dL)、炭酸カルシウム(溶解度 0.0015g/dL)、クエン酸カルシウム(溶解度 0.085g/dL)が適しており、溶解度が概ね0.001~0.2g/dLである物質が好適であることが示された。
【0131】
(5.シャワーヘッド型電解水生成装置における検討)
各種試験や検討について、ここまで整水器型の電解水生成装置を中心に説明してきたが、ここでは、シャワーヘッド型の電解水生成装置について、先の検討と同様に、生成される電解水、すなわち、浴用に吐出される電解水素水の溶存水素濃度や、電解補助剤の充填頻度について検討する。
【0132】
試験は、先に図5図7を参照しつつ説明したシャワーヘッドA4と同様の装置を用いて行った。シャワーヘッドとして一般的な流水量である7L/minの条件下において、対向面積が80cm2で対向電極間距離が0.4~3.0mm程度の電解用電極間に4~20V程度の電圧を印加した際に、原水(3μS/cm)の導電率に応じて吐水された水中の溶存水素濃度がどのような挙動を示すか、特に50ppb以上の溶存水素濃度を保つことが可能であるかについて検証を行った。
【0133】
また試験は、シャワーヘッドに改質部C1又は改質部C2を取り付けることで行った。改質部C1は、改質資材収容部内に収容された改質資材が、粒径を約0.3mmとした電解補助剤19aとしての酸化マグネシウム(MgO)と、通水促進材19bとしての不織布片とで構成されている。なお、ここで通水促進材19bとして使用した不織布片は、粒状のものではない。具体的には、不織布はポリプロピレン製でポアサイズ44μm、厚さ1~2mm程度のシート状のものをロール状に巻いて通水促進材19bとして改質資材収容部内に収容しており、電解補助剤19aである酸化マグネシウムの細粒は、この不織布のメッシュに担持されている。また、改質部C2は、改質資材が、粒径を約0.7mmとした電解補助剤19aとしてのクエン酸カルシウムと、粒径を約3mmとした通水促進材19bとしてのゼオライトとで構成されている。その結果を図15に示す。
【0134】
図15からも分かるように、改質部C1及び改質部C2のいずれにおいても、吐出された電解水素水中の溶存水素濃度は50ppb以上であり、軟水の状態に比して電解効率の改善が図られた。
【0135】
また、電解補助剤の充填頻度についても、改質部C1の酸化マグネシウム(溶解度 0.0086g/dL)は9000Lで1年以上、改質部C2のクエン酸カルシウム(溶解度 0.085g/dL)では1400Lで1ヶ月以上に亘り交換不要であるものと考えられた。
【0136】
上述してきたように、本実施形態に係る電解水生成装置では、流路中途の電解部にて電解した水を前記流路の下流末端より吐出する電解水生成装置において、常温の水に対する溶解度が0.001~0.2g/dLであり水中で電離可能な物質を電解補助剤として前記電解部よりも上流に配することとしたため、電解対象の水が軟水の場合でも、電解水生成装置に収容する電解補助剤の量を過大な量とすることなく、より長期間に亘って電解効率の改善を図ることのできる電解水生成装置を提供することができる。
【0137】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0138】
10 流路
11 改質部
12 電解槽
19 改質資材
19a 電解補助剤
19b 通水促進材
25 浄水部
55 シャワー本体
58 ヘッド部
62 電解部
63 改質部
A1~A3 電解水生成装置
A4 シャワーヘッド
B1~B7 改質部
C1~C2 改質部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15