(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】X線CT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
A61B6/03 530A
A61B6/03 521Z
A61B6/03 531
(21)【出願番号】P 2020130579
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 克己
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512056(JP,A)
【文献】特開2019-146959(JP,A)
【文献】特開2017-077322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028127(US,A1)
【文献】特表2013-511317(JP,A)
【文献】特開平09-220223(JP,A)
【文献】特開昭61-143042(JP,A)
【文献】実開昭63-100012(JP,U)
【文献】国際公開第2019/067909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管及びX線検出器を有する撮像部と、
前記撮像部を移動可能及び傾斜可能に支持する支持部と、
操作者により操作される操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて、前記撮像部の移動又は傾斜を支援する支援機構と、
を有する架台装置を備え、
前記操作部は、前記撮像部
のうち前記傾斜の中心軸上に設けられ、前記撮像部
の移動又は傾斜を選択する選択スイッチを有する、
X線CT装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記操作者によって把持されるハンド
ルである、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記撮像部のうち、前記傾斜の中心軸上に設けられる、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記支援機構は、
前記操作部が直線方向へ操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を移動させるための駆動力を発生させ、
前記操作部が回転方向へ操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を傾斜させるための駆動力を発生させる、
請求項3に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記支援機構の起動を制御する起動スイッチを有する、
請求項3又は4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記撮像部の移動又は傾斜を選択する選択スイッチを有する、
請求項3又は4に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記支持部を貫通し、かつ、前記撮像部の移動方向に沿って形成された溝を有し、
前記操作部は、前記溝の内側を通過して前記支持部の外装から突出するように、前記撮像部に設けられる、
請求項1~6のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記撮像部の移動又は傾斜を選択する選択スイッチを有し、
前記支援機構は、
前記選択スイッチにより前記撮像部の移動が選択された状態で前記操作部が操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を移動させるための駆動力を発生させ、
前記選択スイッチにより前記撮像部の傾斜が選択された状態で前記操作部が操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を傾斜させるための駆動力を発生させる、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記撮像部の移動は、少なくとも上下動を含む、
請求項1~
8のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項10】
X線管及びX線検出器を有する撮像部と、
前記撮像部を移動可能及び傾斜可能に支持する支持部と、
操作者により操作される操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて、前記撮像部の移動又は傾斜を支援する支援機構と、
を有する架台装置を備え、
前記支持部は、前記支持部を貫通し、かつ、前記撮像部の移動方向に沿って形成された溝を有し、
前記操作部は、前記溝の内側を通過して前記支持部の外装から突出するように、前記撮像部に設けられる、
X線CT装置。
【請求項11】
X線管及びX線検出器を有する撮像部と、
前記撮像部を移動可能及び傾斜可能に支持する支持部と、
操作者により操作される操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて、前記撮像部の移動又は傾斜を支援する支援機構と、
を有する架台装置を備え、
前記操作部は、前記撮像部のうち前記撮像部による撮像断面を通る平面上に設けられ、前記撮像部の移動又は傾斜を選択する選択スイッチを有し、
前記支援機構は、
前記選択スイッチにより前記撮像部の移動が選択された状態で前記操作部が操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を移動させるための駆動力を発生させ、
前記選択スイッチにより前記撮像部の傾斜が選択された状態で前記操作部が操作された場合には、操作された方向に前記撮像部を傾斜させるための駆動力を発生させる、
X線CT装置。
【請求項12】
X線管及びX線検出器を有する撮像部と、
前記撮像部を移動可能及び傾斜可能に支持する支持部と、
操作者により操作される操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて、前記撮像部の移動又は傾斜を支援する支援機構と、
を有する架台装置を備え、
前記操作部は、
前記撮像部のうち第1面に設けられる第1面スイッチと、
前記撮像部のうち前記第1面とは異なる第2面に設けられる第2面スイッチとを含み、
前記支援機構は、
前記第1面スイッチが操作された場合には、第1方向に前記撮像部を移動させるための駆動力を発生させ、
前記第2面スイッチが操作された場合には、前記第1方向とは異なる第2方向に前記撮像部を移動させるための駆動力を発生させる、
X線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置には、寝台に横臥した被検体に対して撮像を行う臥位型のX線CT装置と、立位、座位など、体重負荷下における被検体に対して撮像を行う立位型のX線CT装置とがある。
【0003】
X線CT装置には、撮像位置を調整するために、X線管及びX線検出器を含む撮像機器の移動やチルト(傾斜)を行う機構が備えられている。例えば、臥位型のX線CT装置には、撮像機器の前後動(寝台の長手方向の移動)とチルトを行う機構が備えられている。また、立位型のX線CT装置には、撮像機器の上下動(鉛直方向の移動)とチルトを行う機構が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、撮像機器の移動や傾斜を容易に行うことが可能なX線CT装置を提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線CT装置は、架台装置を備える。架台装置は、X線管及びX線検出器を有する撮像部と、前記撮像部を移動可能及び傾斜可能に支持する支持部と、操作者により操作される操作部と、前記操作部に対する操作に応じて、前記撮像部の移動又は傾斜を支援する支援機構とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るハンドルを用いた操作について説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る架台本体のチルトの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の変形例1に係るハンドルの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の変形例2に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例2に係るハンドルを用いた操作について説明するための図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の変形例1に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態の変形例1に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、その他の実施形態に係る架台装置の構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係るX線CT装置を説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、実施形態にて説明する内容に限定されるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、コンソール装置40とを有する。架台装置10は、架台本体11と、支持部12と、制御装置17とを有する。なお、
図1にて示すX線CT装置1の構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。
【0010】
なお、本実施形態では、床面に対し垂直である軸方向をZ軸方向と定義する。また、Z軸方向に直交する平面において、互いに直交する任意の2軸方向をX軸方向及びY軸方向と定義する。本実施形態では、架台本体11及び支持部12の配列方向をY軸方向と定義し、Y軸方向及びZ軸方向に直交する方向をX軸方向と定義する。なお、
図1におけるX軸、Y軸、及びZ軸の定義はあくまで一例であり、互いに直交する任意の3軸方向をX軸、Y軸、及びZ軸として定義することも可能である。
【0011】
架台本体11は、被検体の撮像部位を収容するための開口13を有する。また、架台本体11は、X線管14と、X線検出器15と、X線高電圧装置16と、制御装置17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。なお、架台本体11は、撮像機器又は撮像部とも呼ばれる。
【0012】
X線管14は、X線高電圧装置16からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することで、X線を発生する真空管である。例えば、X線管14には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。なお、X線管14の近傍には、X線管14から照射されたX線量を調節するためのウェッジ(ウェッジフィルタ又はボウタイフィルタとも呼ばれる)や、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むためのコリメータ(X線絞りとも呼ばれる)が設けられる。
【0013】
X線検出器15は、X線管14から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器15は、例えば、X線管14の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器15は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0014】
また、X線検出器15は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレークアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器15は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0015】
なお、X線管14及びX線検出器15は、回転フレームに設けられる。回転フレームは、X線管14とX線検出器15とを対向支持する円環状のフレームであり、回転中心軸C0を中心としてX線管14とX線検出器15とを回転させる。なお、回転フレームは、X線管14とX線検出器15に加えて、X線高電圧装置16やDAS18を更に備えて支持する。なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレームに設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置の非回転部分(例えば固定フレーム。
図1での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレームから架台装置の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0016】
X線高電圧装置16は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管14に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管14が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置16は、回転フレームに設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは回転フレームを回転可能に支持するフレームである。
【0017】
DAS18は、X線検出器15の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。また、DAS18は、データ収集部の一例である。
【0018】
支持部12は、架台本体11を移動可能及び傾斜可能に支持する構造体(支柱)であり、架台本体11を支持するための柱形状のフレームにより構成される。なお、支持部12は、架台支持部とも呼ばれる。また、
図1では、X線CT装置1が1本の支持部12を備える場合を示したが、X線CT装置1は、2本以上の支持部12を備えていても良い。
【0019】
制御装置17は、CPU等を有する処理回路と、架台本体11の移動及び傾斜を行うためのモータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置17は、架台装置10及びコンソール装置40に取り付けられた入力装置(後述する入力インターフェース43等)からの入力信号を受けて、架台装置10の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置17は、入力信号を受けて回転フレームを回転させる制御や、架台本体11の移動(上下動)やチルトの制御を行う。なお、架台本体11の移動やチルトの制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される情報(移動距離、チルト角度など)に応じて実行される。また、架台本体11の移動やチルトの制御は、後述するハンドル111の操作に応じて実行される。
【0020】
また、制御装置17は、支援機構171を有する。支援機構171は、後述するハンドル111に対する操作に応じて、架台本体11の移動又は傾斜を支援するパワーアシスト機構(フリーアシスト機構、電動アシスト機構とも呼ばれる)である。例えば、支援機構171は、後述するハンドル111に対する操作に応じて、架台本体11を移動又は傾斜させるための駆動力を発生させる。なお、支援機構171が駆動力を発生させる機構については、公知のパワーアシスト機構に関する技術を任意に適用可能であるので、説明を省略する。また、ハンドル111に対する操作については、
図2以降にて詳述する。
【0021】
なお、制御装置17は、架台装置10に設けられても良いし、コンソール装置40に設けられても良い。架台装置10に設けられる場合、制御装置17は、架台本体11に設けられても良いし、支持部12に設けられても良いし、架台本体11及び支持部12とは異なる個別の筐体に設けられても良い。
【0022】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0023】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。また、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0024】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0025】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン。ジョイスティック等により実現される。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0026】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び画像処理機能444を実行する。また、処理回路44は、処理部の一例である。
【0027】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能441は、架台装置10の動作を制御することで、架台装置10におけるデータの収集処理を制御する。また、システム制御機能441は、操作者により指定された撮像条件でデータの収集処理が実行されるように、架台装置10の動作を制御する。
【0028】
前処理機能442は、データ収集回路14から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0029】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
【0030】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行っても構わない。
【0031】
以上、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明した。かかる構成のもと、X線CT装置1は、撮像機器の移動や傾斜を容易に行うことが可能である。以下、
図2、
図3、
図4を参照しつつ、撮像機器(架台本体11)の移動や傾斜を容易に行うための構成について説明する。
【0032】
なお、第1の実施形態では、X線CT装置1が立位型である場合を説明する。立位型のX線CT装置1は、立位、座位など、体重負荷下における被検体に対して撮像を行う装置であり、非チルト時における回転中心軸C0が床面に対して垂直(鉛直方向)に設置される。しかし、本実施形態は、立位型のX線CT装置1に限定されるものではない。例えば、本実施形態は、寝台に横臥した被検体に対して撮像を行う臥位型のX線CT装置に対しても適用可能である。X線CT装置1が臥位型である場合の例については後述する。
【0033】
また、架台本体11の移動とは、立位型のX線CT装置1における「架台本体11の上下動」と、臥位型のX線CT装置1における「架台本体11の前後動」とを含む。また、架台本体11の傾斜とは、架台本体11のチルトに対応する。
【0034】
図2は、第1の実施形態に係る架台装置10の構造の一例を示す図である。
図2には、架台装置10の外観の斜視図を例示する。
図2において、チルトの中心軸C1は、架台本体11及び支持部12の配列方向(つまり、Y軸方向)に対応する。なお、
図2では、チルトの中心軸C1が、架台本体11のX軸方向及びZ軸方向における中心を通る場合を例示するが、これに限定されるものではない。
【0035】
図2に示すように、架台装置10は、操作者により操作されるハンドル111を備える。ハンドル111は、操作者が把持可能な棒状部材が水平に配置された構造である。例えば、操作者は、ハンドル111を把持し、任意の方向へ加圧する(力を加える)ことで、架台本体11の上下動やチルトを行う。なお、ハンドル111は、把持部とも呼ばれる。
【0036】
ハンドル111は、架台本体11に設けられる。例えば、ハンドル111は、架台本体11のうち、チルトの中心軸C1上に設けられる。具体的には、ハンドル111は、架台本体11の外装(外周面)のうちチルトの中心軸C1上であって、支持部12から最も離れた位置に設けられる。
【0037】
なお、
図2に示した構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、
図2では、ハンドル111が水平に配置された棒状部材である場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハンドル111は、必ずしも水平に配置されなくても良いし、操作者が把持可能であれば棒状部材でなくても良い。一例を挙げると、ハンドル111は、架台本体11の外周面に形成された凹みであっても良い。ただし、架台本体11の上下動やチルトを行うためには、水平に配置された棒状部材が好適である。
【0038】
また、例えば、架台本体11や支持部12の形状は、図示した形状に限定されるものではない。架台本体11や支持部12の形状は、その機能を損なわない範囲で任意に変更可能である。
【0039】
図3は、第1の実施形態に係るハンドル111を用いた操作について説明するための図である。
図3には、ハンドル111を正面(Y軸の負方向)から見た図を例示する。
図3において、矢印A1はZ軸の正方向(実空間の上方向)に対応する。矢印A2は、Z軸の負方向(実空間の下方向)に対応する。矢印A3は、Y軸の右回り方向(右ネジ方向)に対応する。矢印A4は、Y軸の左回り方向(左ネジ方向)に対応する。
【0040】
図3に示す例では、操作者は、ハンドル111を操作することで、架台本体11の上下動やチルトを行う。支援機構171は、ハンドル111に対する加圧に応じて、架台本体11の移動又は傾斜を支援する。なお、「加圧」とは、強い力をかけることに限らず、パワーアシスト機構を起動させるのに十分な強さの力が加えられれば良い。
【0041】
例えば、支援機構171は、ハンドル111が直線方向へ操作された場合には、操作された方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。具体例を挙げると、操作者は、架台本体11を上方向へ移動させたい場合には、ハンドル111に対して矢印A1の方向に加圧する。支援機構171(パワーアシスト機構)は、ハンドル111に対する矢印A1の方向への加圧を検知すると、矢印A1の方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、上方向へ移動する。これにより、支援機構171は、架台本体11の上方向への移動を支援する。
【0042】
また、操作者は、架台本体11を下方向へ移動させたい場合には、ハンドル111に対して矢印A2の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル111に対する矢印A2の方向への加圧を検知すると、矢印A2の方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、下方向へ移動する。これにより、支援機構171は、架台本体11の下方向への移動を支援する。
【0043】
また、支援機構171は、ハンドル111が回転方向へ操作された場合には、操作された方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。具体例を挙げると、操作者は、架台本体11を右回り方向へチルトさせたい場合には、ハンドル111に対して矢印A3の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル111に対する矢印A3の方向への加圧を検知すると、矢印A3の方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、
図4に示すように、中心軸C1を中心として右回り方向へチルトする。これにより、支援機構171は、架台本体11の右回り方向へのチルトを支援する。なお、
図4は、第1の実施形態に係る架台本体11のチルトの一例を示す図である。
【0044】
また、操作者は、架台本体11を左回り方向へチルトさせたい場合には、ハンドル111に対して矢印A4の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル111に対する矢印A4の方向への加圧を検知すると、矢印A4の方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、中心軸C1を中心として左回り方向へチルトする。これにより、支援機構171は、架台本体11の左回り方向へのチルトを支援する。
【0045】
なお、
図3に示した構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、
図3では、ハンドル111の中心が中心軸C1を通る場合を説明したが、これに限定されるものではなく、ハンドル111の中心と中心軸C1とがずれていても良い。ただし、ハンドル111の機能を損なわないためには、ハンドル111の構造の少なくとも一部が中心軸C1を通るように配置されるのが好適である。
【0046】
上述してきたように、X線CT装置1において、架台装置10は、架台本体11と、支持部12と、ハンドル111と、支援機構171とを備える。架台本体11は、X線管及びX線検出器を有する。支持部12は、架台本体11を移動可能及び傾斜可能に支持する。ハンドル111は、操作者により操作される。支援機構171は、ハンドル111に対する操作に応じて、架台本体11の移動又は傾斜を支援する。これにより、X線CT装置1は、架台本体11(撮像機器)の移動や傾斜を容易に行うことが可能である。例えば、ハンドル111を操作するだけで支援機構171(パワーアシスト機構)が作動するので、操作者は、多大な力を加えることなく、撮像機器の上下動やチルトを容易に行うことができる。
【0047】
また、第1の実施形態において、ハンドル111は、チルトの中心軸C1上に設けられる。これにより、ハンドル111の回転方向とチルトの傾斜方向(回転方向)とを対応づけることができる。この結果、ハンドル111の回転方向への操作(加圧)によって、架台本体11のチルトを制御することができる。
【0048】
更に、架台本体11の上下動は、ハンドル111の上下方向への操作(加圧)によって制御することができる。すなわち、支援機構171は、架台本体11の上下動とチルトとを、ハンドル111に対する異なる方向の操作によって識別することができる。このため、操作者は、上下動とチルトのいずれかを指定(識別)したり切り替えたりする操作を行わなくとも、一つの(共通の)ハンドル111によって架台本体11の上下動やチルトを容易に制御することができる。
【0049】
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態にて説明したハンドル111は、必ずしも上記の構成に限定されるものではない。例えば、ハンドル111は、支援機構171の誤動作を防ぐために、支援機構171の起動(ON/OFF)を制御する起動スイッチを有していても良い。
【0050】
図5は、第1の実施形態の変形例1に係るハンドル111の構成の一例を示す図である。
図5に示すように、ハンドル111は、支援機構171の起動(ON/OFF)を制御する起動スイッチ112を備える。起動スイッチ112は、例えば、押しボタンスイッチであり、その押下と解放によって支援機構171のONとOFFとを制御する。
【0051】
例えば、支援機構171は、起動スイッチ112が押下された状態でハンドル111が直線方向へ操作された場合には、操作された方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。また、支援機構171は、起動スイッチ112が押下された状態でハンドル111が回転方向へ操作された場合には、操作された方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。なお、ハンドル111の操作に応じて駆動力を発生させる処理については、
図3にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
一方、支援機構171は、起動スイッチ112が解放された状態であれば、起動しない。つまり、支援機構171は、起動スイッチ112が解放された状態でハンドル111が直線方向又は回転方向に操作されたとしても、駆動力を発生させない。これによれば、X線CT装置1は、支援機構171の誤動作を防ぐことができる。
【0053】
なお、
図5に示した構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、起動スイッチ112は、押しボタンスイッチに限らず、トグルスイッチやロッカスイッチなど、任意の形状のスイッチが適用可能である。
【0054】
また、起動スイッチ112は、必ずしもハンドル111に設置されなくても良い。例えば、起動スイッチ112は、架台本体11の外装の任意の位置に設置されても良い。ただし、操作性を良好に保つため、起動スイッチ112は、ハンドル111の近傍に設けられるのが好適である。
【0055】
(第1の実施形態の変形例2)
第1の実施形態にて説明したハンドル111は、必ずしもチルトの中心軸C1上に設けられなくても良い。例えば、ハンドル111は、架台本体11のうち、架台本体11による撮像断面を通る平面上に設けられても良い。
【0056】
図6は、第1の実施形態の変形例2に係る架台装置10の構造の一例を示す図である。
図6には、架台装置10の外観の斜視図を例示する。
図6において、チルトの中心軸C1は、架台本体11及び支持部12の配列方向(つまり、Y軸方向)に対応する。
【0057】
図6に示すように、ハンドル113は、架台本体11のうち、架台本体11による撮像断面を通る平面上に設けられる。ここで、撮像断面とは、例えば、FOV(Field Of View)中心を通るスライス断面に対応する。具体的には、ハンドル113は、架台本体11の外装(外周面)のうち撮像断面を通る平面上であって、X軸方向における端部に設けられる。
【0058】
なお、
図6に示した構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、ハンドル113は、必ずしもX軸方向における端部に設けられていなくても良い。
【0059】
図7は、第1の実施形態の変形例2に係るハンドル113を用いた操作について説明するための図である。
図7には、ハンドル117を正面(X軸の正方向)から見た図を例示する。
図7において、矢印A5はZ軸の正方向(実空間の上方向)に対応する。矢印A6は、Z軸の負方向(実空間の下方向)に対応する。
【0060】
図7に示すように、ハンドル113は、架台本体11の上下動又はチルトを選択する選択スイッチ114,115を有する。例えば、選択スイッチ114,115は、いずれも押しボタンスイッチである。選択スイッチ114は、その押下によって上下動を選択するためのスイッチであり、選択スイッチ115は、その押下によってチルトを選択するためのスイッチである。操作者は、ハンドル113及び選択スイッチ114,115を操作することで、架台本体11の上下動やチルトを行う。
【0061】
例えば、支援機構171は、選択スイッチ114により架台本体11の上下動が選択された状態でハンドル113が操作された場合には、操作された方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。具体例を挙げると、操作者は、架台本体11を上方向へ移動させたい場合には、選択スイッチ114を押下した状態でハンドル113に対して矢印A5の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル113に対する矢印A5の方向への加圧を検知すると、矢印A5の方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、上方向へ移動する。これにより、支援機構171は、架台本体11の上方向への移動を支援する。
【0062】
また、操作者は、架台本体11を下方向へ移動させたい場合には、選択スイッチ114を押下した状態でハンドル113に対して矢印A6の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル113に対する矢印A6の方向への加圧を検知すると、矢印A6の方向に架台本体11を移動させるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、下方向へ移動する。これにより、支援機構171は、架台本体11の下方向への移動を支援する。
【0063】
また、支援機構171は、選択スイッチ115により架台本体11のチルトが選択された状態でハンドル113が操作された場合には、操作された方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。具体例を挙げると、操作者は、架台本体11を左回り方向へチルトさせたい場合には、選択スイッチ115を押下した状態でハンドル113に対して矢印A5の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル113に対する矢印A5の方向への加圧を検知すると、矢印A5の方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、中心軸C1を中心として左回り方向へチルトする。これにより、支援機構171は、架台本体11の左回り方向へのチルトを支援する。
【0064】
また、操作者は、架台本体11を右回り方向へチルトさせたい場合には、選択スイッチ115を押下した状態でハンドル113に対して矢印A6の方向に加圧する。支援機構171は、ハンドル113に対する矢印A6の方向への加圧を検知すると、矢印A6の方向に架台本体11をチルトさせるための駆動力を発生させる。この結果、架台本体11は、中心軸C1を中心として右回り方向へチルトする。これにより、支援機構171は、架台本体11の右回り方向へのチルトを支援する。
【0065】
なお、
図7に示した構成はあくまで一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、選択スイッチ114,115は、押しボタンスイッチに限らず、トグルスイッチやロッカスイッチなど、任意の形状のスイッチが適用可能である。
【0066】
また、選択スイッチ114,115は、必ずしもハンドル113に設置されなくても良い。例えば、選択スイッチ114,115は、架台本体11の外装の任意の位置に設置されても良い。ただし、操作性を良好に保つため、選択スイッチ114,115は、ハンドル113の近傍に設けられるのが好適である。
【0067】
また、選択スイッチ114,115は、必ずしも2つのスイッチが設置されなくても良い。例えば、1つの押しボタンスイッチの押下と解放によって、上下動とチルトを切り替える構成であっても良い。
【0068】
このように、第1の実施形態の変形例2に係るハンドル113は、架台本体11のうち、架台本体11による撮像断面を通る平面上に設けられる。このため、X線CT装置1は、架台本体11の移動や傾斜を容易に行うことが可能である。例えば、操作者は、操作者が操作しているハンドル113の位置から撮像断面の位置を推察しながら調整することができるので、直感的に撮像断面の位置を調整することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、架台本体11が1本の支持部12によって支持される場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、架台本体11が2本の支持部12によって支持される場合にも、本実施形態は適用可能である。
【0070】
なお、第2の実施形態に係るX線CT装置1は、
図1に示したX線CT装置1と同様の構成を備えるが、架台装置10に代えて架台装置20を備える点が相違する。架台装置20は、
図1に示した架台装置10と同様の構成を備えるが、架台本体21が2本の支持部22A,22Bによって支持される点が相違する。言い換えると、第2の実施形態に係るX線CT装置1において、X線管14、X線検出器15、X線高電圧装置16、制御装置17、DAS18、及びコンソール装置40の各構成は、
図1に示した各構成と同様であるので説明を省略する。
【0071】
図8は、第2の実施形態に係る架台装置20の構造の一例を示す図である。
図8には、架台装置20の外観の斜視図を例示する。
図8において、チルトの中心軸C2は、架台本体21及び支持部22A,22Bの配列方向(つまり、Y軸方向)に対応する。また、架台本体21は、開口23を有する。
【0072】
図8に示すように、架台装置20は、操作者により操作されるハンドル211を備える。ハンドル211は、操作者が把持可能な棒状部材が水平に配置された構造である。例えば、操作者は、ハンドル211を把持し、任意の方向へ加圧することで、架台本体21の上下動やチルトを行う。
【0073】
ハンドル211は、架台本体21に設けられる。例えば、ハンドル211は、架台本体21のうち、架台本体21による撮像断面を通る平面上に設けられる。具体的には、ハンドル211は、架台本体21の外装(外周面)のうち撮像断面を通る平面上であって、Y軸方向における端部に設けられる。
【0074】
ハンドル211は、架台本体21の上下動又はチルトを選択する選択スイッチを有する。例えば、ハンドル211が備える選択スイッチは、
図7に示した選択スイッチ114,115と同様である。
【0075】
例えば、第2の実施形態に係る制御装置17において、支援機構171は、選択スイッチにより架台本体21の上下動が選択された状態でハンドル211が操作された場合には、操作された方向に架台本体21を移動させるための駆動力を発生させる。また、支援機構171は、選択スイッチにより架台本体21のチルトが選択された状態でハンドル211が操作された場合には、操作された方向に架台本体21をチルトさせるための駆動力を発生させる。なお、ハンドル211を用いた操作は、
図7にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
このように、架台本体21が2本の支持部22A,22Bによって支持される場合にも、X線CT装置1は、架台本体21の移動や傾斜を容易に行うことが可能である。例えば、操作者は、操作者が操作しているハンドル211の位置から撮像断面の位置を推察しながら調整することができるので、直感的に撮像断面の位置を調整することができる。
【0077】
(第2の実施形態の変形例1)
また、架台本体21が2本の支持部22A,22Bによって支持される場合にも、ハンドルをチルトの中心軸C2上に設けることが可能である。
【0078】
図9は、第2の実施形態の変形例1に係る架台装置20の構造の一例を示す図である。
図9には、架台装置20の外観の斜視図を例示する。
図9において、チルトの中心軸C2は、架台本体21及び支持部22A,22Bの配列方向(つまり、X軸方向)に対応する。
【0079】
ここで、
図9に示すように、架台本体21の中心軸C2上の両端部には、支持部22A及び支持部22Bが配置されている。このため、第2の実施形態の変形例1に係るハンドル212は、支持部22A及び支持部22Bの少なくとも一方を貫通するように設けられる。
【0080】
例えば、支持部22Aは、支持部22Aを貫通し、かつ、架台本体21の移動方向に沿って形成された溝221を有する。立位型のX線CT装置1において、架台本体21は、上下動を行うため、溝221は、上下方向(Z軸方向)に沿って形成される。
【0081】
ハンドル212は、溝221の内側を通過して支持部22Aの外装から突出するように、架台本体21に設けられる。具体的には、ハンドル212は、操作者によって直接的に把持されるY軸方向に平行な第1棒状部材に加え、X軸方向に平行な第2棒状部材を有する。第2棒状部材は、支持部22AのX軸方向における長さより長く、溝221の内部に配置される。そして、第2棒状部材は、その両端に、ハンドル212の第1棒状部材と、架台本体21とが取り付けられる。これにより、ハンドル212は、支持部22Aを貫通するように設けられる。
【0082】
なお、ハンドル212を用いた操作は、
図3にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。なお、ハンドル212は、必ずしもスイッチを備えていなくても良いが、上述した起動スイッチや選択スイッチを備えていても良い。
【0083】
このように、架台本体21が2本の支持部22A,22Bによって支持される場合にも、ハンドル212をチルトの中心軸C2上に設けることが可能である。これにより、X線CT装置1は、架台本体21の上下動やチルトを容易に行うことが可能である。
【0084】
なお、
図9では、ハンドル212が支持部22Aを貫通するように設けられる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ハンドル212は、支持部22Bを貫通するように設けられても良いし、支持部22Aと支持部22Bとをそれぞれ貫通するように2つのハンドルが設けられても良い。
【0085】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、X線CT装置1が立位型である場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT装置1が臥位型である場合にも、本実施形態は適用可能である。
【0086】
なお、臥位型のX線CT装置1は、寝台に横臥した被検体に対して撮像を行う装置である。例えば、臥位型のX線CT装置には、撮像機器の前後動(寝台の長手方向の移動)とチルトを行う機構が備えられている。
【0087】
第3の実施形態に係るX線CT装置1は、
図1に示したX線CT装置1と同様の構成を備えるが、架台装置10に代えて架台装置30を備える点が相違する。架台装置30は、
図1に示した架台装置10と同様の構成を備えるが、臥位型に構成される点が相違する。言い換えると、第2の実施形態に係るX線CT装置1において、X線管14、X線検出器15、X線高電圧装置16、制御装置17、DAS18、及びコンソール装置40の各構成は、
図1に示した各構成と同様であるので説明を省略する。
【0088】
図10は、第3の実施形態に係る架台装置30の構造の一例を示す図である。
図10には、架台装置30の外観の斜視図を例示する。
図10において、X線管14及びX線検出器15の回転中心軸C3は、Z軸方向に対応する。
【0089】
図10に示すように、架台装置30は、架台本体31と、支持部32とを有する。また、架台本体31は、操作者により操作される面スイッチ311,312を備える。例えば、面スイッチ311は、架台本体31のうち第1面に設けられる。また、面スイッチ312は、架台本体31のうち第1面とは異なる第2面に設けられる。例えば、面スイッチ311は、架台本体31の外装うち、Z軸方向における負側の面に全体的に配置されたタッチスイッチである。面スイッチ312は、架台本体31の外装うち、Z軸方向における正側の面に全体的に配置されたタッチスイッチである。例えば、操作者は、面スイッチ311,312に触れることで、架台本体31の前後動を行う。
【0090】
各面スイッチ311,312は、それぞれのスイッチの操作により移動される移動方向が予め設定されている。例えば、面スイッチ311は、その操作により矢印A7の方向へ移動されることが予め設定されている。面スイッチ312は、その操作により矢印A8の方向へ移動されることが予め設定されている。
【0091】
第3の実施形態に係る制御装置17において、支援機構171は、面スイッチ311が操作された場合には、第1方向に架台本体31を移動させるための駆動力を発生させる。具体的には、支援機構171は、面スイッチ311が操作者によって触れられている間に、矢印A7の方向に架台本体31を移動させるための駆動力を発生させる。また、支援機構171は、面スイッチ311が操作者(人体)から離間すると、駆動力の発生を停止させる。
【0092】
また、支援機構171は、面スイッチ312が操作された場合には、第1方向とは異なる第2方向に架台本体31を移動させるための駆動力を発生させる。具体的には、支援機構171は、面スイッチ312が操作者によって触れられている間に、矢印A8の方向に架台本体31を移動させるための駆動力を発生させる。また、支援機構171は、面スイッチ312が操作者(人体)から離間すると、駆動力の発生を停止させる。
【0093】
なお、
図10では、面スイッチ311,312が各面に全体的に配置される場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、面スイッチ311,312は、各面に部分的に配置されても良い。
【0094】
また、面スイッチ311,312は、必ずしもタッチスイッチでなくても良く、例えば、押しボタンスイッチやトグルスイッチ、ロッカスイッチなど、任意の形状のスイッチが適用可能である。
【0095】
また、予め設定される移動方向は、図示の例に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば、支援機構171は、面スイッチ311の操作によって矢印A8の方向に駆動力を発生させても良い。
【0096】
また、面スイッチ311,312は、必ずしも図示の例に限定されるものではない。例えば、面スイッチ311,312は、架台本体31の少なくとも一部の面に設けられれば良い。
【0097】
このように、X線CT装置1は、臥位型である場合にも、架台本体31の移動や傾斜を容易に行うことが可能である。
【0098】
なお、第3の実施形態では、面スイッチ311,312が臥位型のX線CT装置1に適用される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、立位型のX線CT装置1に適用されても良い。例えば、
図2に示した架台本体11の上面(Z軸方向における正側の面)と下面(Z軸方向における負側の面)とにそれぞれ面スイッチを備えることができる。
【0099】
(第3の実施形態の変形例1)
また、X線CT装置1は、臥位型である場合にも、ハンドルをチルトの中心軸上に設けることが可能である。
【0100】
図11は、第3の実施形態の変形例1に係る架台装置30の構造の一例を示す図である。
図11には、架台装置30の外観の斜視図を例示する。
図11において、チルトの中心軸C4は、回転中心軸C3に直交し、X軸方向に並行である。
【0101】
ここで、
図11に示すように、架台本体31の中心軸C4上の両端部には、支持部32が配置されている。このため、第3の実施形態の変形例1に係るハンドル313は、支持部32を貫通するように設けられる。
【0102】
例えば、支持部32は、支持部32を貫通し、かつ、架台本体31の移動方向に沿って形成された溝を有する。臥位型のX線CT装置1において、架台本体31は、前後動を行うため、溝は、前後方向(Z軸方向)に沿って形成される。なお、この溝は、
図11のXZ平面に平行に形成される点を除き、溝221と同様である。
【0103】
ハンドル313は、溝の内側を通過して支持部32の外装から突出するように、架台本体31に設けられる。なお、ハンドル313を用いた操作は、
図3にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。なお、ハンドル313は、必ずしもスイッチを備えていなくても良いが、上述した起動スイッチや選択スイッチを備えていても良い。
【0104】
このように、X線CT装置1は、臥位型である場合にも、ハンドル313をチルトの中心軸C4上に設けることが可能である。これにより、X線CT装置1は、架台本体31の上下動やチルトを容易に行うことが可能である。
【0105】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0106】
(支持部へのハンドルの設置)
上記の実施形態では、ハンドル111が架台本体11に設けられる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ハンドル111は、支持部12に設けられても良い。
【0107】
図12は、その他の実施形態に係る架台装置10の構造の一例を示す図である。
図12には、架台装置10の外観の斜視図を例示する。
図12において、チルトの中心軸C1は、架台本体11及び支持部12の配列方向(つまり、Y軸方向)に対応する。
【0108】
図12に示すように、ハンドル116は、支持部12のうち、架台本体11が取り付けられる面とは反対側の面に取り付けられる。ここで、ハンドル116の回転中心軸C5は、チルトの中心軸C1に平行に配置される。これにより、ハンドル116の回転方向とチルトの傾斜方向(回転方向)とを対応づけることができる。この結果、ハンドル116の回転方向への操作(加圧)によって、架台本体11のチルトを制御することができる。なお、ハンドル116の操作に応じて駆動力を発生させる処理については、
図3にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0109】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0110】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0111】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、撮像機器の移動や傾斜を容易に行うことができる。
【0112】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
1 X線CT装置
10 架台装置
11 架台本体
12 支持部
13 開口
14 X線管
15 X線検出器
16 X線高電圧装置
17 制御装置
18 DAS
111 ハンドル
171 支援機構