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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240709BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240709BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240709BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C13/02
B41J2/01 109
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020167505
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059735
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 兼司
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012320(JP,A)
【文献】特開2010-143200(JP,A)
【文献】特開2020-152086(JP,A)
【文献】特開2020-97440(JP,A)
【文献】特開2017-200752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、
前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、
前記一方向における一方側と他方側とを同一の経路で折り返して、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記一方向と交差する交差方向の一端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第1保持部と、当該交差方向の他端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第2保持部と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1保持部は、前記缶体を着脱する箇所が前記一端側に設けられ、前記第2保持部は、前記缶体を着脱する箇所が前記他端側に設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷部は、前記第1保持部が保持する前記缶体に対して第1色を印刷する第1色部および当該缶体に対して第2色を印刷する第2色部を有する第1印刷部と、前記第2保持部が保持する前記缶体に対して当該第1色を印刷する第1色部および当該缶体に対して当該第2色を印刷する第2色部を有する第2印刷部と、を有する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記移動部は、前記第1印刷部によって前記缶体に印刷が行われる際に、前記保持部を前記一方向における一方側から他方側に向けて移動させ、前記第2印刷部によって前記缶体に印刷が行われる際に、当該保持部を当該他方側から当該一方側に向けて移動させる、ことを特徴とする請求項に記載に印刷装置。
【請求項6】
前記第1印刷部は、前記一方側から前記他方側に向けて、前記第1色部と前記第2色部との順に並べて設けられ、
前記第2印刷部は、前記他方側から前記一方側に向けて、前記第1色部と前記第2色部との順に並べて設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の印刷装置。
【請求項7】
直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、
前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、
前記一方向において、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、
を備え、
前記保持部は、前記一方向と交差する交差方向の一端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第1保持部と、当該交差方向の他端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部は、当該第1保持部が保持する前記缶体を特定方向に回転させ、
前記第2保持部は、前記第1保持部が前記缶体を前記特定方向に回転させる際に、当該第2保持部が保持する前記缶体を当該特定方向とは逆方向に回転させる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、
前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、
前記一方向において、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、
を備え、
前記印刷部の前記一方向における一方側に配置され、前記保持部に対する前記缶体の供給および排出を行う第1機構部と、
前記印刷部の前記一方向における他方側に配置され、前記保持部に対する前記缶体の供給および排出を行う第2機構部と、を備え、
前記移動部は、前記第1機構部と前記第2機構部とを折り返し箇所として、前記印刷部に対して前記保持部を往復移動させる、ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、マンドレルホイール、マンドレルホイールに備えられた複数個の自転可能なマンドレル、及びマンドレルに装着されたシームレス缶外面の少なくとも胴部にインクジェット印刷により印刷画像を形成するインクジェット印刷ステーションを有する印刷装置において、インクジェット印刷が少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションで行われ、インクジェット印刷ステーションには複数個のインクジェットヘッドが配置されていることを特徴とするシームレス缶の印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5891602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の缶体を搬送させながら印刷を行う場合に、例えば缶体の搬送経路に曲がり部があると、曲がり部の影響により缶体の搬送に歪みが生じる可能性が高い。そして、缶体の搬送に歪みが生じると、搬送される缶体に印刷を行う際に、印刷に不具合が発生するおそれがあった。
本発明は、印刷が行われる缶体の搬送の歪みの発生が抑制された印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される印刷装置は、直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、前記一方向における一方側と他方側とを同一の経路で折り返して、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、を備えることを特徴とする印刷装置である。
ここで、前記保持部は、前記一方向と交差する交差方向の一端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第1保持部と、当該交差方向の他端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第2保持部と、を有する、ことを特徴とすることができる
た、前記第1保持部は、前記缶体を着脱する箇所が前記一端側に設けられ、前記第2保持部は、前記缶体を着脱する箇所が前記他端側に設けられる、ことを特徴とすることができる。
また、前記印刷部は、前記第1保持部が保持する前記缶体に対して第1色を印刷する第1色部および当該缶体に対して第2色を印刷する第2色部を有する第1印刷部と、前記第2保持部が保持する前記缶体に対して当該第1色を印刷する第1色部および当該缶体に対して当該第2色を印刷する第2色部を有する第2印刷部と、を有する、ことを特徴とすることができる。
また、前記移動部は、前記第1印刷部によって前記缶体に印刷が行われる際に、前記保持部を前記一方向における一方側から他方側に向けて移動させ、前記第2印刷部によって前記缶体に印刷が行われる際に、当該保持部を当該他方側から当該一方側に向けて移動させる、ことを特徴とすることができる。
また、前記第1印刷部は、前記一方側から前記他方側に向けて、前記第1色部と前記第2色部との順に並べて設けられ、前記第2印刷部は、前記他方側から前記一方側に向けて、前記第1色部と前記第2色部との順に並べて設けられる、ことを特徴とすることができる。
また、本発明が適用される印刷装置は、直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、前記一方向において、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、を備え、前記保持部は、前記一方向と交差する交差方向の一端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第1保持部と、当該交差方向の他端側に設けられ、複数の前記缶体を保持する第2保持部と、を有し、前記第1保持部は、当該第1保持部が保持する前記缶体を特定方向に回転させ、前記第2保持部は、前記第1保持部が前記缶体を前記特定方向に回転させる際に、当該第2保持部が保持する前記缶体を当該特定方向とは逆方向に回転させる、ことを特徴とすることができる。
また、本発明が適用される印刷装置は、直線状の一方向において複数の缶体が並んだ状態で当該複数の缶体を保持する保持部と、前記保持部に保持される前記缶体に対して印刷を行う印刷部と、前記一方向において、前記印刷部に対して前記保持部を相対的に往復移動させる移動部と、を備え、前記印刷部の前記一方向における一方側に配置され、前記保持部に対する前記缶体の供給および排出を行う第1機構部と、前記印刷部の前記一方向における他方側に配置され、前記保持部に対する前記缶体の供給および排出を行う第2機構部と、を備え、前記移動部は、前記第1機構部と前記第2機構部とを折り返し箇所として、前記印刷部に対して前記保持部を往復移動させる、ことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷が行われる缶体の搬送の歪みの発生が抑制された印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の印刷装置の全体図である。
図2】本実施形態の搬送部の部分拡大図である。
図3】本実施形態の印刷部の概要を示す図である。
図4】本実施形態の印刷装置の動作フローの一例を示す図である。
図5】本実施形態の印刷装置の動作の説明図である。
図6】本実施形態の印刷装置の動作の説明図である。
図7】本実施形態の印刷装置の動作の説明図である。
図8】本実施形態の印刷装置の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の印刷装置1の全体図である。
図2は、本実施形態の搬送部10の部分拡大図である。
【0010】
図1に示すように、印刷装置1は、複数の缶体100を保持して複数の缶体100を搬送する搬送部10と、搬送部10に対して缶体100の供給および排出をする供給/排出部20と、缶体100に対して印刷を行う印刷部30と、搬送部10、供給/排出部20および印刷部30を統括的に制御する制御部40と、を備える。
【0011】
また、図2に示すように、本実施形態の印刷装置1による印刷対象となる缶体100は、有底円筒状に形成されている。缶体100は、円筒状の部分である側面100sを有する。また、缶体100は、軸方向の一端側に缶蓋が取り付けられる部分となる開口部100tを有し、軸方向の他端側が塞がれた底部100bを有している。また、本実施形態の缶体100は、金属を材料とする。缶体100の材料には、アルミニウム、アルミニウム合金、スチールなどの金属を用いることができる。
【0012】
そして、図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、直線状の一方向において複数の缶体100が並んだ状態で複数の缶体100を保持し、保持される複数の缶体100を一方向に沿って往復移動させ、保持される個々の缶体100に対して、印刷部30により、それぞれ印刷を行う。
以下、各々の構成について詳細に説明する。
【0013】
なお、図1に示すように、缶体100が搬送される方向を「第1方向」とし、第1方向において印刷装置1の紙面左側を「一方側」とし、印刷装置1の紙面右側を「他方側」とする。また、第1方向と交差(例えば、直交)する交差方向を「第2方向」とし、第2方向において印刷装置1の紙面下側を「前側」とし、印刷装置1の紙面上側を「後側」とする。さらに、印刷装置1の鉛直方向に沿った方向を「上下方向」とする。
【0014】
〔搬送部10〕
図1に示すように、搬送部10は、移動する移動部11と、移動部11の移動を案内するガイド部12と、移動部11に支持されて缶体100を保持する第1保持部13と、移動部11に支持されて缶体100を保持する第2保持部14と、を備える。
【0015】
移動部11は、図示しない駆動モータを備え、駆動モータのシャフトにピニオンギア11pを有している。ピニオンギア11pは、ガイド部12に設けられる後述のラックギア12rに接続する。移動部11は、駆動モータによってピニオンギア11pが一方向に回転することで、第1方向に沿って一方側から他方側に向けて移動する。また、移動部11は、駆動モータによってピニオンギア11pが他方向に回転することで、第1方向に沿って他方側から一方側に向けて移動する。
【0016】
そして、本実施形態の移動部11は、移動部11が支持する第1保持部13および第2保持部14を、供給/排出部20に対向する位置に移動させたり、印刷部30に対向する位置に移動させたりする。
【0017】
ガイド部12は、第1方向に沿って延びて設けられ、移動部11のピニオンギア11pと噛み合うラックギア12rを有している。そして、ガイド部12は、移動部11の第1方向に沿った移動を案内する。
本実施形態において、ガイド部12は、供給/排出部20から印刷部30までにわたって敷設される。このガイド部12および移動部11によって、供給/排出部20の後述する一方側第1給排部21および一方側第2給排部22(例えば、第1機構部の一例)と、供給/排出部20の後述する他方側第1給排部23および他方側第2給排部24(例えば、第2機構部の一例)とを折り返し箇所として、印刷部30に対して第1保持部13および第2保持部14を往復移動させる。
このように、本実施形態の搬送部10は、弧状の曲がり部の経路を有さずに、直線状だけによって構成された経路を用いて、第1保持部13や第2保持部14に保持される缶体100を搬送する。
【0018】
第1保持部13は、第2方向の後側に設けられる。そして、第1保持部13は、複数の第1保持体131を有する。複数の第1保持体131は、第1方向において略等間隔に並べて配置される。また、各々の第1保持体131は、第2方向の後側に向けて移動部11から突出するように設けられる。さらに、各々の第1保持体131は、略水平方向に沿って延びている。
【0019】
図2に示すように、第1保持体131は、缶体100を保持するマンドレル132と、マンドレル132を回転可能に支持するシャフト133と、シャフト133に設けられる保持体ギア134と、マンドレル132に設けられる通気孔135と、を有する。
【0020】
マンドレル132は、円柱状に形成される。そして、マンドレル132は、缶体100の開口部100t側から缶体100の内部に挿入されて缶体100を保持する。本実施形態のマンドレル132を有する第1保持体131は、上述のとおり略水平方向に沿って延びている。従って、マンドレル132に缶体100が保持された状態で、缶体100は、缶体100の軸が略水平方向に沿って保持される。
【0021】
シャフト133は、一端側にてマンドレル132が取り付けられ、他端側に保持体ギア134が取り付けられる。シャフト133は、不図示の軸受を介して、移動部11によって回転可能に支持される。
保持体ギア134は、不図示の駆動モータの駆動力を受ける。そして、保持体ギア134は、回転の駆動力をシャフト133およびマンドレル132に伝える。
【0022】
本実施形態において、複数の第1保持体131の各々の保持体ギア134は、不図示のプーリーに共通して接続される。プーリーが駆動モータによって回転することで、複数の第1保持体131のマンドレル132は、互いに同期して、同方向に回転する。
なお、第1保持体131は、保持体ギア134を回転させる駆動モータを個別に備えていても構わない。この場合には、複数の第1保持体131によって構成される複数の駆動モータが、予め定められたタイミングで同方向に回転するように、制御部40による制御信号を用いた同期制御を行うことができる。
【0023】
通気孔135は、空気を供給したり排出したりする不図示の空気給排装置に接続している。そして、通気孔135は、マンドレル132に缶体100が装着され缶体100を保持する際、マンドレル132と缶体100との間の空気を吸引する。これにより、缶体100は、マンドレル132が回転したり、マンドレル132が搬送されたりしても、マンドレル132に対してずれずに強固に固定される。一方、通気孔135は、マンドレル132から缶体100を排出する際、マンドレル132と缶体100との間に圧縮空気を供給する。これにより、缶体100は、圧縮空気によって押圧され、マンドレル132に対して外れる。
【0024】
図1に示すように、第2保持部14は、第2方向の前側に設けられる。そして、第2保持部14は、複数の第2保持体141を有する。複数の第2保持体141は、第1方向において略等間隔に並べて配置される。また、各々の第2保持体141は、第2方向の前側に向けて移動部11から突出するように設けられる。さらに、各々の第2保持体141は、略水平方向に沿って延びている。
【0025】
図2に示すように、第2保持体141は、缶体100を保持するマンドレル142と、マンドレル142を回転可能に支持するシャフト143と、シャフト143に設けられる保持体ギア144と、マンドレル142に設けられる通気孔145と、を有する。
これら第2保持体141の構成部の基本構成は、上述した第1保持体131のマンドレル132、シャフト133、保持体ギア134および通気孔135とそれぞれ同様である。
【0026】
第2保持体おいて、複数の第2保持体141の各々の保持体ギア144は、不図示のプーリーに共通して接続される。プーリーが駆動モータによって回転することで、複数の第2保持体141のマンドレル142は、互いに同期して、同方向に回転する。
なお、第2保持体141は、各々の第2保持体141ごとにマンドレル142を回転させる駆動モータを個別に備えていても良い。
【0027】
そして、本実施形態では、第2保持体141のマンドレル142の回転方向は、第2方向の前側または後側から見た場合に、第1保持体131のマンドレル132の回転方向と反対方向になっている。
【0028】
続いて、上述した第1保持部13と第2保持部14との配置の関係について説明する。
図1に示すように、本実施形態の第1保持部13と第2保持部14とは、搬送部10を上下方向から見た場合に、移動部11の長手方向を対称軸とする線対称に設けられる。
第1保持部13は、第2方向の後側(例えば、一端側の一例)に設けられ、複数の缶体100を保持する。第2保持部14は、第2方向の前側(例えば、他端側の一例)に設けられ、複数の缶体100を保持する。
さらに、第1保持部13と第2保持部14とは、移動部11を含め、同じ水平面上に配置される。
【0029】
また、本実施形態において、第1保持部13に設けられる第1保持体131の数と、第2保持部14に設けられる第2保持体141の数とは、同じになっている。また、対称に配置される第2保持体141のシャフト143と、第1保持体131のシャフト133とは、第2方向に沿う同じ仮想軸上に設けられる。
【0030】
さらに、第1保持部13に設けられる第1保持体131のマンドレル132が突出する向きは、第2方向の後側であり、第2保持部14に設けられる第2保持体141のマンドレル142が突出する向きは、第2方向の前側である。つまり、第1保持部13は、缶体100を着脱する箇所が第2方向の後側(例えば、一端側の一例)に設けられ、第2保持部14は、缶体100を着脱する箇所が第2方向の前側(例えば、他端側の一例)に設けられることになる。これによって、第1保持部13および第2保持部14は、缶体100を着脱する箇所がそれぞれ外側に配置されることで、缶体100を着脱(すなわち、供給または排出)する際の作業性を向上させている。
【0031】
本実施形態では、第1保持部13のマンドレル132(図2参照)を回転させる際、第2保持部14のマンドレル142(図2参照)も回転させるようにしている。この場合に、第2方向から見て、第1保持部13のマンドレル132の回転方向を特定方向とした場合に、第2保持部14のマンドレル142の回転方向は、特定方向とは逆方向となる。また、第1保持部13のマンドレル132と第2保持部14のマンドレル142とは、回転速度や回転のタイミングが同期している。これによって、搬送部10を全体で捉えた場合に、第1保持部13のマンドレル132の回転に伴う振動やねじれの影響は、第1保持部13のマンドレル132とは反対に回転する第2保持部14のマンドレル142によって相殺される。
【0032】
なお、第1保持部13と第2保持部14とを単一の駆動モータによって駆動するようにしても良い。この場合、第1保持部13では、複数の第1保持体131の全てを例えば一のプーリーで接続する。また、第2保持部14では、複数の第2保持体141の全てを例えば他のプーリーで接続する。そして、単一の駆動モータは、一のプーリーと他のプーリーとを、回転方向が互いに逆になるように回転させる。
【0033】
〔供給/排出部20〕
図1に示すように、供給/排出部20は、一方側であって後側に配置される一方側第1給排部21と、一方側であって前側に配置される一方側第2給排部22とを有する。また、供給/排出部20は、他方側であって後側に配置される他方側第1給排部23と、他方側であって前側に配置される他方側第2給排部24と、を有する。なお、一方側第1給排部21、一方側第2給排部22、他方側第1給排部23および他方側第2給排部24を特に区別しない場合には、供給/排出部20と称して説明する。
【0034】
供給/排出部20は、第2方向において移動可能になっている。一方側第1給排部21は、一方側にて、第1保持部13に対して、近づく方向と遠ざかる方向とに移動可能である。一方側第2給排部22は、一方側にて、第2保持部14に対して、近づく方向と遠ざかる方向とに移動可能である。また、他方側第1給排部23は、第1保持部13に対して、近づく方向と遠ざかる方向とに移動可能である。他方側第2給排部24は、第2保持部14に対して、近づく方向と遠ざかる方向とに移動可能である。
【0035】
供給/排出部20は、缶体100の外側を掴んで、缶体100を把持する缶体把持部210を有している。供給/排出部20は、複数の缶体把持部210を有している。缶体把持部210の数は、第1保持部13の第1保持体131の数または第2保持部14の第2保持体141の数に対応している。
そして、缶体把持部210は、印刷が行われる前の缶体100が蓄積される不図示の蓄積部から送られてきた缶体100を把持し、第1保持部13や第2保持部14に供給する。また、缶体把持部210は、印刷が行われた印刷済みの缶体100を把持し、第1保持部13や第2保持部14から排出して、印刷済みの缶体100を収集する収集部に送る。
【0036】
〔印刷部30〕
図1に示すように、印刷部30は、第2方向の後側に配置される第1印刷ユニット31と、第2方向の前側に配置される第2印刷ユニット32と、を有する。
第1印刷ユニット31および第2印刷ユニット32は、移動部11により移動してきた缶体100に対する印刷を行う。より具体的には、第1印刷ユニット31は、移動部11が移動させる第1保持部13に保持される缶体100に対して印刷を行う。また、第2印刷ユニット32は、移動部11が移動させる第2保持部14に保持される缶体100に対して印刷を行う。なお、印刷部30による印刷範囲は、缶体100の表面であって、缶体100の側面100s(図2参照)である。
【0037】
本実施形態の印刷部30は、第1方向、第2方向および上下方向における位置が固定して設置されており、予め定められた位置から移動しない。そして、印刷部30は、搬送部10によって搬送される缶体100に対して印刷を行う。本実施形態の印刷装置1では、後述するようにインクを吐出する側となる印刷部30の位置を固定とすることで、印刷を行う際にインクを吐出する側が移動する構成と比較して、印刷精度を高めている。
【0038】
(第1印刷ユニット31)
図3は、本実施形態の印刷部30の概要を示す図である。
なお、図3は、第2方向における前側から後側に向けて印刷部30を見た場合の図であり、第2印刷ユニット32の図示を省略している。
【0039】
第1印刷ユニット31では、インクジェット印刷方式を用いて缶体100に印刷する。インクジェット印刷方式とは、インクジェットヘッドからインクを吐出させて、缶体100にインクを付着させることにより行う画像形成方法である。インクジェット印刷方式による印刷には、公知の方式を用いることができ、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0040】
そして、図3に示すように、第1印刷ユニット31(例えば、第1印刷部の一例)は、シアンのインクを吐出する第1シアンヘッド31C(例えば、第1色部の一例)、マゼンタのインクを吐出する第1マゼンタヘッド31M(例えば、第2色部の一例)、イエローのインクを吐出する第1イエローヘッド31Y、ブラックのインクを吐出する第1ブラックヘッド31Kを有する。なお、第1シアンヘッド31C、第1マゼンタヘッド31M、第1イエローヘッド31Yおよび第1ブラックヘッド31Kを特に区別しない場合には、単に、「第1インクジェットヘッド」と称する。
さらに、第1印刷ユニット31は、第1インクジェットヘッドによる印刷が行われた缶体100に対して、光を照射する第1光照射部33を有する。
【0041】
本実施形態の第1シアンヘッド31C、第1マゼンタヘッド31M、第1イエローヘッド31Yおよび第1ブラックヘッド31Kの4色を有する第1インクジェットヘッドは、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体100への印刷を行う。
【0042】
なお、本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色を有する第1インクジェットヘッドが設けられている場合を例示したが、コーポ―レートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドや、白色の層を形成するためのインクジェットヘッドなどをさらに設けてもよい。
【0043】
そして、4色の第1インクジェットヘッドは、缶体100の移動方向に並んだ状態で配置されている。本実施形態の第1印刷ユニット31では、第1方向において一方側から他方側に向けて、第1シアンヘッド31C、第1マゼンタヘッド31M、第1イエローヘッド31Yおよび第1ブラックヘッド31Kの順に並んで配置される。
【0044】
また、各々の第1インクジェットヘッドは、缶体100の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。具体的には、第1インクジェットヘッドは、インクを吐出する吐出孔が、缶体100の軸方向に沿うように配置されている。また、第1インクジェットヘッドは、缶体100の開口部100tと底部100bとの間となる側面100s(図2参照)に対して軸方向の全体にわたって設けられる。
【0045】
そして、第1インクジェットヘッドによって印刷を行う際、缶体100は、缶体100の軸方向には移動しない。一方で、第1インクジェットヘッドによって印刷を行う際、缶体100は、周方向に回転する。なお、本実施形態では、缶体100の側面100s(図2参照)の全体を対象として画像を形成するため、第1インクジェットヘッドによって印刷を行う際、缶体100を周方向において少なくとも一周回転させる。
【0046】
そして、本実施形態では、移動部11によって搬送されてきた各々の缶体100は、それぞれ第1インクジェットヘッドの下側にて停止する。より具体的には、本実施形態の移動部11は、複数設けられた第1インクジェットヘッドの各々の設置箇所に、複数の缶体100のうち1つずつ缶体100が配置されるように、複数の缶体100を搬送する。このとき、移動部11の移動方向における位置としては缶体100の移動は停止するが、缶体100は、周方向に回転している。すなわち、缶体100は、軸方向を回転軸とする自転を行っている。
【0047】
また、本実施形態では、缶体100の軸方向が水平方向に沿った状態で缶体100が移動し、缶体100の外周面の最上部となる一部が、鉛直方向における上側を向いている。そして、本実施形態の各第1インクジェットヘッドは、この缶体100の外周面に対して上側から下側に向けてインクを吐出し、缶体100に対する印刷を行う。
そして、移動部11が各第1インクジェットヘッドの設置箇所にて順次停止するように各缶体100を移動させ、4色の第1インクジェットヘッドは、一の缶体100に対して4色のインクを用いたカラー印刷を行う。
【0048】
本実施形態の第1印刷ユニット31では、第1印刷ユニット31に対して、一方側から他方側に向けて第1保持部13を移動させ、第1保持部13が保持する缶体100に対して各色の印刷を順次行う。本実施形態では、一の第1インクジェットヘッドによる缶体100への印刷が終わると、移動部11が、一の第1インクジェットヘッドに対して移動部11の移動方向における下流側に位置する他の第1インクジェットヘッドに向けて、その缶体100を移動させる。そして、他の第1インクジェットヘッドは、その缶体100に対して印刷を行う。
【0049】
そして、第1印刷ユニット31の第1インクジェットヘッドは、この4つの第1インクジェットヘッドの下方を缶体100が通過していく過程で、缶体100に対して上側からインクを吐出し、缶体100に印刷する。この場合に、各色のインクは、缶体100の表面から、その表面から離れる方向に、シアンのインク、マゼンタのインク、イエローのインク、ブラックのインクの順に缶体100の表面に載せられる。
【0050】
本実施形態の第1光照射部33は、第1ブラックヘッド31Kの他方側に配置される。すなわち、第1保持部13に保持される缶体100に対して印刷が行われる際に、移動部11の移動方向において、第1光照射部33は、4つの第1インクジェットヘッドの下流側に配置される。
そして、第1光照射部33は、缶体100に対して紫外線を照射する。第1光照射部33によって缶体100に対する紫外線が照射される際、缶体100は、軸方向を回転軸として回転している。そして、第1光照射部33は、缶体100の外周面に形成された画像を硬化させる。
なお、缶体100への印刷にあたっては、熱硬化型のインクを用いても良い。この場合は、例えば、第1光照射部33が設けられている箇所に、光源ではなく発熱ランプなどの熱源を設置することができる。
【0051】
(第2印刷ユニット32)
図1に示すように、第2印刷ユニット32(例えば、第2印刷部の一例)は、シアンのインクを吐出する第2シアンヘッド32C(例えば、第1色部の一例)、マゼンタのインクを吐出する第2マゼンタヘッド32M(例えば、第2色部の一例)、イエローのインクを吐出する第2イエローヘッド32Y、ブラックのインクを吐出する第2ブラックヘッド32Kを有する。なお、第2シアンヘッド32C、第2マゼンタヘッド32M、第2イエローヘッド32Yおよび第2ブラックヘッド32Kを特に区別しない場合には、単に、「第2インクジェットヘッド」と称する。
さらに、第2印刷ユニット32は、第2インクジェットヘッドによる印刷が行われた缶体100に対して、光を照射する第2光照射部34を有する。
【0052】
第2印刷ユニット32の第2インクジェットヘッドおよび第2光照射部34の基本構成は、第1印刷ユニット31の第1インクジェットヘッドおよび第1光照射部33と同様である。ただし、第2印刷ユニット32の第2インクジェットヘッドおよび第2光照射部34は、第1方向における各構成部の配置が、第1印刷ユニット31とは異なる。
【0053】
第2印刷ユニット32は、第1方向において他方側から一方側に向けて、第2シアンヘッド32C、第2マゼンタヘッド32M、第2イエローヘッド32Yおよび第2ブラックヘッド32Kの順に並んで配置される。この第2インクジェットヘッドの色の並びは、第2方向における前側または後側から見た場合に、第1印刷ユニット31の第1インクジェットヘッドの第1方向における色の並びと逆の関係になる。
【0054】
一方で、第2印刷ユニット32では、第2印刷ユニット32に対して、他方側から一方側に向けて第2保持部14を移動させ、第2保持部14が保持する缶体100に対して各色の印刷を順次行う。本実施形態では、一の第2インクジェットヘッドによる缶体100への印刷が終わると、移動部11が、一の第2インクジェットヘッドに対して移動部11の移動方向における下流側に位置する他の第2インクジェットヘッドに、その缶体100を移動させる。そして、他の第2インクジェットヘッドは、その缶体100に対して印刷を行う。このように、本実施形態では、この4つの第2インクジェットヘッドの下側を缶体100が通過していく過程で、缶体100に対して上側からインクが吐出され、缶体100に印刷される。
【0055】
そして、上述のとおり、第2印刷ユニット32の第2インクジェットヘッドは、この4つの第2インクジェットヘッドの下側を缶体100が通過していく過程で、缶体100に印刷する。この場合に、各色のインクは、缶体100の表面から、その表面から離れる方向に、シアンのインク、マゼンタのインク、イエローのインク、ブラックのインクの順に缶体100の表面に載せられる。
このように、本実施形態の印刷装置1では、第2印刷ユニット32と第1印刷ユニット31とで、缶体100に対して各色のインクを載せる順序が同じになるように構成されている。これによって、本実施形態の印刷装置1では、第2印刷ユニット32と第1印刷ユニット31とで印刷条件を同様として、第2印刷ユニット32と第1印刷ユニット31とで画像の色味などが異なることを抑制している。
【0056】
〔制御部40〕
図1に示す制御部40は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを記憶する記憶領域であるROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)とを備える。また、制御部40は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備える。なお、制御部40は、複数のCPUを有し、複数のCPUが協働して演算処理を行っても良い。
【0057】
そして、制御部40は、予め定められたプログラムの内容、および図示しない各種センサによる移動部11等の位置などの動作情報に基づいて、搬送部10、供給/排出部20および印刷部30の動作を制御する。
【0058】
続いて、本実施形態の印刷装置1の動作を具体的に説明する。
図4は、本実施形態の印刷装置1の動作フローの一例を示す図である。
図5図6図7および図8は、本実施形態の印刷装置1の動作の説明図である。
なお、図5図8は、それぞれ、印刷装置1を上下方向における上側から下側に見た場合の図である。
【0059】
図4に示すように、第1保持部13に未印刷の缶体100を供給し、第2保持部14から印刷済みの缶体100を排出する(S101)。
具体的には、図5に示すように、移動部11は、第1保持部13および第2保持部14を、一方側の一方側第1給排部21および一方側第2給排部22にそれぞれ対向するように位置させている。そして、一方側第1給排部21は、印刷前の缶体100が蓄積される蓄積部から缶体100を受け取り、第1保持部13の各第1保持体131に缶体100を挿入する。また、一方側第2給排部22は、印刷済みの缶体100を第2保持部14の各第2保持体141から抜き取り、印刷済みの缶体100を収集する不図示の収集部に送る。
これによって、第1保持部13の各第1保持体131には、それぞれ缶体100が保持され、第2保持部14の各第2保持体141には、缶体100が保持されない状態になる。
【0060】
次に、図4に示すように、第1保持部13が保持する缶体100を回転させる(S102)。
本実施形態では、第1保持部13は、複数の第1保持体131を有し、複数の缶体100を保持している。そして、第1保持部13は、全ての複数の缶体100を、互いに同期させ、軸方向を回転軸として自転させる。また、本実施形態においては、第2保持部14の複数の第2保持体141は、第1保持部13の複数の第1保持体131の回転に伴って同時に回転させる。このとき、第2方向の前側または後側の一方から見て、第1保持体131と第2保持体141とは、互いに逆方向に回転する(図6参照)。
【0061】
そして、図4に示すように、移動部11を一方側から他方側に移動させる(S103)。
これによって、第1保持部13に保持される複数の缶体100は、第1印刷ユニット31が設置される位置まで搬送される。
そして、移動部11は、例えば複数の缶体100のうち第1方向の他方側の端に位置する缶体100(以下、一の缶体100と称す)が第1シアンヘッド31Cの下側となる位置まで移動させ、第1方向における缶体100の搬送を一時的に停止させる。
【0062】
その後、図4に示すように、第1保持部13に保持される缶体100に対して印刷を行う(S104)。
具体的には、図6に示すように、移動部11による缶体100の搬送停止した状態にて、第1保持部13は、一の缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら、第1シアンヘッド31Cは、一の缶体100に対する印刷を行う。
【0063】
その後、移動部11は、一の缶体100が、第1シアンヘッド31Cに隣り合う第1マゼンタヘッド31Mの下側となる位置まで移動させ、第1方向における缶体100の搬送を一時的に停止させる。この状態にて、第1保持部13に保持される複数の缶体100のうち一の缶体100の一方側に位置する缶体100(以下、他の缶体100と称す)は、第1シアンヘッド31Cの下側に位置した状態になる。
【0064】
そして、第1保持部13は、一の缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら、第1マゼンタヘッド31Mは、一の缶体100に対する印刷を行う。また、第1保持部13は、他の缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら、第1シアンヘッド31Cは、他の缶体100に対する印刷を行う。
【0065】
その後、移動部11は、一の缶体100を第1イエローヘッド31Yの下側となる位置まで搬送し、第1イエローヘッド31Yは、一の缶体100に対する印刷を行う。さらにその後、移動部11は、一の缶体100を第1ブラックヘッド31Kの下側となる位置まで搬送し、第1ブラックヘッド31Kは、一の缶体100に対する印刷を行う。
このようにして、印刷装置1は、一の缶体100に対して、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の印刷を行う。同様にして、印刷装置1は、他の缶体100に対しても、これら4色の印刷を行い、他の缶体100よりも一方側に位置する缶体100に対しても、同様に、順に4色の印刷を行う。
【0066】
そして、一の缶体100は、第1光照射部33の下側に位置した状態で、一の缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら、第1光照射部33から紫外線が照射される。これによって、一の缶体100に載るシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのインクは、硬化する。他の缶体100についても、同様に、第1光照射部33の下側に位置することで、紫外線が照射されインクは、硬化する。
以上のようにして、第1保持部13に保持される全ての複数の缶体100に対する印刷は、完了する。
【0067】
なお、移動部11が一方側から他方側に移動し、第1印刷ユニット31によって第1保持部13に保持される缶体100に対して印刷が行われている際、第2保持部14は、第2印刷ユニット32を通過する。ただし、本実施形態の第2保持部14は、缶体100を保持しておらず、第2保持部14に対する第2印刷ユニット32による印刷は行われない。
【0068】
その後、図4に示すように、第1保持部13から印刷済みの缶体100を排出し、第2保持部14に未印刷の缶体100を供給する(S105)。
具体的には、移動部11によって第1保持部13を一方側から他方側に移動させ、第1保持部13に保持される缶体100に対する印刷が完了するとき、図7に示すように、移動部11は、第1保持部13および第2保持部14を、他方側の他方側第1給排部23および他方側第2給排部24にそれぞれ対向するように位置している。
【0069】
そして、他方側第1給排部23は、印刷済みの缶体100を第1保持部13の各第1保持体131から抜き取り、印刷済みの缶体100を収集する不図示の収集部に送る。一方で、他方側第2給排部24は、印刷前の缶体100が蓄積される蓄積部から缶体100を受け取り、第2保持部14の各第2保持体141に缶体100を挿入する。これによって、第1保持部13の各第1保持体131には、缶体100が保持されない状態となり、第2保持部14の各第2保持体141には、缶体100が保持された状態となっている。
【0070】
次に、図4に示すように、第2保持部14が保持する缶体100を回転させる(S106)。
本実施形態では、第2保持部14は、複数の第2保持体141を有し、複数の缶体100を保持している。そして、第2保持部14は、全ての複数の缶体100を、互いに同期させ、軸方向を回転軸として自転させる。また、本実施形態においては、第1保持部13の複数の第1保持体131は、第2保持部14の複数の第2保持体141の回転に伴って同時に回転させる。このとき、第2方向の前側または後側の一方から見て、第2保持体141と第1保持体131とは、互いに逆方向に回転する。
【0071】
そして、図4に示すように、移動部11を他方側から一方側に移動させる(S107)。
さらに、第2保持部14に保持される缶体100に対して印刷を行う(S108)。
具体的には、図8に示すように、移動部11は、第2保持部14に保持される複数の缶体100を、それぞれ、第2印刷ユニット32の第2シアンヘッド32C、第2マゼンタヘッド32M、第2イエローヘッド32Y、第2ブラックヘッド32Kの下側に順次、位置させる。そして、第2シアンヘッド32C、第2マゼンタヘッド32M、第2イエローヘッド32Y、第2ブラックヘッド32Kは、それぞれ、対向する缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら印刷を行う。
【0072】
そして、4色の印刷が行われた缶体100は、第2光照射部34の下側に位置した状態で、缶体100を周方向に少なくとも一周回転させながら、第2光照射部34から紫外線が照射される。これによって、缶体100に載るシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのインクは、硬化する。
以上のようにして、第2保持部14に保持される全ての複数の缶体100に対する印刷が完了する。
【0073】
なお、移動部11が他方側から一方側に移動し、第2印刷ユニット32によって第2保持部14に保持される缶体100に対して印刷が行われている際、第1保持部13は、第1印刷ユニット31を通過する。ただし、本実施形態の第1保持部13は、缶体100を保持しておらず、第1保持部13に対する第1印刷ユニット31による印刷は行われない。
【0074】
そして、上述のとおり、S108の第2保持部14に保持される缶体100に対する印刷が完了すると、再び、S101に戻る。S101では、第2保持部14から印刷済みの缶体100が排出され、第1保持部13に未印刷の缶体100が供給される。そして、S102以降の処理が繰り返される。
【0075】
以上のとおり、印刷装置1では、移動部11が第1保持部13および第2保持部14を、第1方向に沿って、一方側と他方側とを折り返すようにして往復移動させ、第1印刷ユニット31および第2印刷ユニット32を用いて、缶体100に対する印刷が行われる。そして、本実施形態の印刷装置1では、移動部11の移動経路において、例えば弧状などの曲がり部によって形成される経路を有しておらず、直線状を移動することで、第1保持部13や第2保持部14の移動に歪みの影響が及び難くしている。また、第1方向における一方側と他方側とでそれぞれ折り返して往復移動する構成を採用することで、例えば第1方向における印刷装置1の大型化を抑制している。
【0076】
なお、上述した実施形態では、印刷部30の位置を固定し、第1方向において移動部11を往復移動させることで、缶体100に対して複数の色を順次印刷するが、この態様に限定されない。例えば、本実施形態における第1保持部13および第2保持部14に対応する缶体100を保持する構造部の位置を固定とし、移動部11が第1方向において印刷部30を往復移動させることで、缶体100に対して複数の色を順次印刷しても良い。
【0077】
また、上述した実施形態では、第1保持体131のマンドレル132と、第2保持体141のマンドレル142とが互いに反対側を向いて、外側に向けてそれぞれ延びて設けられるが、この態様に限定されない。例えば、第1保持体131のマンドレル132と、第2保持体141のマンドレル142とは、互いに向き合うように、内側に向けてそれぞれ延びて設けられていても良い。
【0078】
さらに、上述した実施形態では、第1保持部13や第2保持部14が保持する缶体100の軸方向の向きは、移動部11の移動方向である第1方向と交差する方向(すなわち、第2方向)に沿っているが、この態様に限定されない。例えば、第1保持部13や第2保持部14が保持する缶体100の軸方向の向きは、第1方向に沿っていても良い。この場合に、第1印刷ユニット31や第2印刷ユニット32の向きは、缶体100の軸方向の向きに対応させて配置すれば良い。
【0079】
なお、上述した実施形態の印刷装置1の印刷部30において、第1印刷ユニット31に第1光照射部33が設けられ、第2印刷ユニット32に第2光照射部34がそれぞれ設けられているが、第1光照射部33や第2光照射部34は必須の構成ではない。印刷装置1は、第1印刷ユニット31や第2印刷ユニット32より印刷が行われた缶体100を、第1光照射部33や第2光照射部34によるインクの硬化処理を行う前に、供給/排出部20によって排出しても良い。この場合、排出された缶体100に対して、別途、第1光照射部33や第2光照射部34を用いてインクを硬化する処理を施せば良い。
【0080】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述した実施形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0081】
1…印刷装置、10…搬送部、11…移動部、12…ガイド部、13…第1保持部、14…第2保持部、20…供給/排出部、30…印刷部、31…第1印刷ユニット、32…第2印刷ユニット、40…制御部、100…缶体、131…第1保持体、132…マンドレル、141…第2保持体、142…マンドレル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8