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特許7517945ログインシステム、電子機器及びログイン制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ログインシステム、電子機器及びログイン制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20240709BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240709BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240709BHJP
【FI】
G06F21/32
G06T7/00 510F
G06T7/00 660A
G06T7/60 110
G06T7/00 660B
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020176936
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022068019
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】石田 伊吹
(72)【発明者】
【氏名】岸本 奈々
【審査官】三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-141542(JP,A)
【文献】特開2010-128938(JP,A)
【文献】特開2017-182577(JP,A)
【文献】特開2014-81796(JP,A)
【文献】特開2012-27657(JP,A)
【文献】特開2010-287124(JP,A)
【文献】特開2018-55250(JP,A)
【文献】特開2012-133603(JP,A)
【文献】特開2011-113112(JP,A)
【文献】特開2010-86403(JP,A)
【文献】特開2005-202730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/14、21/00-21/88
G06T 7/00- 7/90
E05B 1/00-85/28
G06V 40/00-40/70
G07C 1/00-15/00
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示する
ログインシステム。
【請求項2】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、
前記制御部は、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しない
ログインシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を呼び出すボタンを前記表示部に表示する、
請求項に記載のログインシステム。
【請求項4】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示する
ログインシステム。
【請求項5】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、
前記制御部は、
前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しない
ログインシステム。
【請求項6】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、
前記制御部は、1:1認証の実行を常に許可する
ログインシステム。
【請求項7】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とする
ログインシステム。
【請求項8】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示する、
電子機器。
【請求項9】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、
前記制御部は、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しない、
電子機器。
【請求項10】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え
前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示する、
電子機器。
【請求項11】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、
前記制御部は、
前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しない、
電子機器。
【請求項12】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え
前記制御部は、1:1認証の実行を常に許可する、
電子機器。
【請求項13】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え
前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とする、
電子機器。
【請求項14】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで表示部における表示の態様を切り替え、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示する、
ログイン制御方法。
【請求項15】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで表示部における表示の態様を切り替え、
前記制御する処理は、
前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しない、
ログイン制御方法。
【請求項16】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示する、
ログイン制御方法。
【請求項17】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を表示部に表示し、
前記制御する処理部は、
前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、
前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しない、
ログイン制御方法。
【請求項18】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、1:1認証の実行を常に許可する、
ログイン制御方法。
【請求項19】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、
前記制御する処理は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とする、
ログイン制御方法。
【請求項20】
撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を1回実行するログインシステムであって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備える
ログインシステム。
【請求項21】
撮像画像から顔情報を取得する取得部と、
複数人の顔情報が記憶されている記憶部と、
1:1認証又は1:N認証により、前記取得部により取得された顔情報と前記記憶部に記憶されている顔情報とを照合する照合部と、
前記照合部による照合結果に基づいてログインを許可する許可部と、
を更に備える請求項20に記載のログインシステム。
【請求項22】
前記制御部は、前記人数情報として、前記撮像画像から取得された顔の数を使用する、
請求項20又は21に記載のログインシステム。
【請求項23】
前記制御部は、前記人数情報として、前記撮像画像から取得された骨格の数を使用する、
請求項20又は21に記載のログインシステム。
【請求項24】
表示部を更に備え、
前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替える、
請求項20又は21に記載のログインシステム。
【請求項25】
表示部を更に備え、
前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示する、
請求項20又は21に記載のログインシステム。
【請求項26】
前記制御部は、前記表示部に表示された候補のうちユーザにより選択された候補を登録の対象に決定する、
請求項25に記載のログインシステム。
【請求項27】
前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合に、追加される顔画像と、ログイン操作中のユーザから新たに取得した顔画像との一致率を算出し、算出された一致率が予め定めた基準より低いとき、アラームを出力する、
請求項25に記載のログインシステム。
【請求項28】
前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合に、追加される顔画像と、当該顔画像に対応付けられるユーザについて既に登録されている顔画像との一致率を算出し、算出された一致率が予め定めた基準より低いとき、アラームを出力する、
請求項25に記載のログインシステム。
【請求項29】
前記制御部は、1:N認証でログインしたか、1:1認証でログインしたかを履歴として記録する、
請求項20又は21に記載のログインシステム。
【請求項30】
ログインの対象である電子機器の周辺エリアを前記撮像画像として撮像する撮像部を更に備える、
請求項2029のいずれか1項に記載のログインシステム。
【請求項31】
前記撮像部は、前記電子機器が設けられる施設内を監視する監視カメラであり、
前記電子機器の処理データを記憶する第1のサーバと、
前記監視カメラの処理データを記憶する、前記第1のサーバとは異なる第2のサーバと
を更に備える、
請求項30記載のログインシステム。
【請求項32】
前記撮像部は、前記電子機器に設けられる又は取り付けられるカメラであり、
前記電子機器の処理データと前記カメラの処理データを記憶するサーバを更に備える、
請求項30に記載のログインシステム。
【請求項33】
撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に1回要求する電子機器であって、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部
を備える電子機器。
【請求項34】
コンピュータにおけるログイン制御方法であって、
電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が1回要求される場合に、
前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有するログイン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログインシステム、電子機器及びログイン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用に先立ち、ログインが要求される機器がある。今日、ログインには、様々な認証技術が存在し、その1つに顔認証がある。顔認証を用いるログインでは、ユーザの顔画像と登録済みの顔画像とが照合され、照合が成功した場合にログインが許可される。
ところで、複数人の顔画像が同時に撮像されることが起こり得る。そこで、特許文献1には、予め定めたハンドジェスチャーを実行したユーザをログインの対象者に特定し、特定されたユーザについて顔認証を実行する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-159573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、ログインの対象者が1人の場合にも、ハンドジェスチャーの実行が要求される。しかし、撮像される顔画像が1つの場合には、本来、ハンドジェスチャーを実行しなくてもログインの対象者を特定することが可能であり、ジェスチャーの要求がユーザに不要な作業を強いることになる。
【0005】
本発明は、撮像画像から検出される人数に応じて適切な認証方法を選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部、表示部とを備え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示するログインシステムである。
請求項に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、表示部とを備え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しないログインシステムである。
請求項に記載の発明は、前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を呼び出すボタンを前記表示部に表示する、請求項に記載のログインシステムである。
請求項に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示するログインシステムである。
請求項5に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、表示部とを備え、前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しないログインシステムである。
請求項6に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、1:1認証の実行を常に許可するログインシステムである。
請求項に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とするログインシステムである。
請求項8に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、表示部とを備え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示する、電子機器である。
請求項9に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、表示部とを備え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しない、電子機器である。
請求項10に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示する、電子機器である。
請求項11に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部と、表示部とを備え、前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しない、電子機器である。
請求項12に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、1:1認証の実行を常に許可する、電子機器である。
請求項13に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とする、電子機器である。
請求項14に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで表示部における表示の態様を切り替え、前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を、第1のサイズで前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、前記第1のサイズに比して小さい第2のサイズにより、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示する、ログイン制御方法である。
請求項15に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで表示部における表示の態様を切り替え、前記制御する処理は、前記人数情報が複数人の場合、1:1認証用の画面を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、1:1認証用の前記画面を前記表示部に表示しない、ログイン制御方法である。
請求項16に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、前記人数情報が1人の場合、1:N認証の実行を指示する、ログイン制御方法である。
請求項17に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を表示部に表示し、前記制御する処理部は、前記人数情報が複数人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示し、前記人数情報が1人の場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示しない、ログイン制御方法である。
請求項18に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、1:1認証の実行を常に許可する、ログイン制御方法である。
請求項19に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有し、前記制御する処理は、前記人数情報が1人の場合、1:1認証の実行を不可とする、ログイン制御方法である。
請求項20に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像に基づいて顔認証を1回実行するログインシステムであって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備えるログインシステムである。
請求項21に記載の発明は、撮像画像から顔情報を取得する取得部と、複数人の顔情報が記憶されている記憶部と、1:1認証又は1:N認証により、前記取得部により取得された顔情報と前記記憶部に記憶されている顔情報とを照合する照合部と、前記照合部による照合結果に基づいてログインを許可する許可部と、を更に備える請求項20に記載のログインシステムである。
請求項22に記載の発明は、前記制御部は、前記人数情報として、前記撮像画像から取得された顔の数を使用する、請求項20又は21に記載のログインシステムである。
請求項23に記載の発明は、前記制御部は、前記人数情報として、前記撮像画像から取得された骨格の数を使用する、請求項20又は21に記載のログインシステムである。
請求項24に記載の発明は、表示部を更に備え、前記制御部は、前記人数情報が複数人の場合と1人の場合とで前記表示部における表示の態様を切り替える、請求項20又は21に記載のログインシステムである。
請求項25に記載の発明は、表示部を更に備え、前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合、追加する顔画像の候補を前記表示部に表示する、請求項20又は21に記載のログインシステムである。
請求項26に記載の発明は、前記制御部は、前記表示部に表示された候補のうちユーザにより選択された候補を登録の対象に決定する、請求項25に記載のログインシステムである。
請求項27に記載の発明は、前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合に、追加される顔画像と、ログイン操作中のユーザから新たに取得した顔画像との一致率を算出し、算出された一致率が予め定めた基準より低いとき、アラームを出力する、請求項25に記載のログインシステムである。
請求項28に記載の発明は、前記制御部は、認証に使用する顔画像を追加で登録する場合に、追加される顔画像と、当該顔画像に対応付けられるユーザについて既に登録されている顔画像との一致率を算出し、算出された一致率が予め定めた基準より低いとき、アラームを出力する、請求項25に記載のログインシステムである。
請求項29に記載の発明は、前記制御部は、1:N認証でログインしたか、1:1認証でログインしたかを履歴として記録する、請求項20又は21に記載のログインシステムである。
請求項30に記載の発明は、ログインの対象である電子機器の周辺エリアを前記撮像画像として撮像する撮像部を更に備える、請求項20~29のいずれか1項に記載のログインシステムである。
請求項31に記載の発明は、前記撮像部は、前記電子機器が設けられる施設内を監視する監視カメラであり、前記電子機器の処理データを記憶する第1のサーバと、前記監視カメラの処理データを記憶する、前記第1のサーバとは異なる第2のサーバとを更に備える、請求項30記載のログインシステムである。
請求項32に記載の発明は、前記撮像部は、前記電子機器に設けられる又は取り付けられるカメラであり、前記電子機器の処理データと前記カメラの処理データを記憶するサーバを更に備える、請求項30に記載のログインシステムである。
請求項33に記載の発明は、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証をログイン時に1回要求する電子機器であって、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する制御部を備える電子機器である。
請求項34に記載の発明は、コンピュータにおけるログイン制御方法であって、電子機器に対するログイン時に、撮像画像から取得された顔画像を用いた顔認証が1回要求される場合に、前記撮像画像から検出された人数情報に基づいて、1:N認証の実行の可否を制御する処理を有するログイン制御方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像画像から検出される人数に応じて適切な認証方法を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で使用する貨幣処理システムの構成例を説明する図である。
図2】実施の形態1で使用する出納機の外観例を説明する図である。
図3】実施の形態1で使用する出納機の機能構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1で使用する顔認証サーバの機能構成例を示すブロック図である。
図5】画像内人数検知部で人数の検知に使用する2種類の方法を説明する図である。(A)は顔の数を計数する方法を説明する図であり、(B)は骨格の数を計数する方法を説明する図である。
図6】実施の形態1で使用される顔認証サーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図7】撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機に表示されるログイン画面の一例を示す図である。
図8】監視カメラにより撮像される画像の例を説明する図である。
図9】撮像画像に含まれる人数が複数名の場合に出納機に表示されるログイン画面の一例を示す図である。
図10】監視カメラにより撮像される画像の他の例を説明する図である。
図11】撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機に表示されるログイン画面の他の例を示す図である。
図12】撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機に表示されるログイン画面の他の例を示す図である。
図13】実施の形態2で使用する顔認証サーバの機能構成例を示すブロック図である。
図14】実施の形態2におけるログイン画面の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(E)はメニュー画面の例である。
図15】実施の形態2におけるログイン画面の他の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(E)はメニュー画面の例である。
図16】実施の形態2におけるログイン画面の他の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)及び(E)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(F)はメニュー画面の例である。
図17】ログイン担当者により顔画像の追加登録が指示された場合に顔認証サーバの制御部が実行する処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図18】ログイン担当者により顔画像の追加登録が指示された場合に顔認証サーバの制御部が実行する処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
図19】実施の形態3で使用される顔認証サーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図20】実施の形態4で使用する貨幣処理システムの構成例を説明する図である。
図21】実施の形態5で使用する貨幣処理システムの構成例を説明する図である。
図22】実施の形態5で使用する出納機の機能構成例を示すブロック図である。
図23】実施の形態6で使用する貨幣処理システムの構成例を説明する図である。
図24】出納機に設けられている出金口の例を説明する図である。
図25】取り間違い監視サーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図26】1台の出納機を2人の作業者が同時に利用する場面を説明する図である。
図27】Aさんの取引に関連する出金口とBさんの取引に関連する出金口を説明する図である。(A)はAさんの取引に関連する出金口の位置を表し、(B)はBさんの取引に関連する出金口の位置を表す。
図28】取り間違いが発生した場合のアラームの出力例を説明する図である。
図29】実施の形態7で使用する貨幣処理システムの構成例を説明する図である。
図30】実施の形態7で使用する医療費支払機の機能構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
<システムの構成>
図1は、実施の形態1で使用する貨幣処理システム1の構成例を説明する図である。
本実施の形態における貨幣処理システム1は、銀行等の金融機関の店舗(施設)内に設置されている。以下では、紙幣と硬貨を総称する場合に「貨幣」という。
【0010】
図1に示す貨幣処理システム1は、出納機10と、少なくとも出納機10の周辺エリア20Aを含むエリアを撮像する監視カメラ20と、出納機10の取引を管理する取引管理サーバ30と、監視カメラ20で撮像された画像を管理するカメラ画像管理サーバ40と、顔認証を実行する顔認証サーバ50と、これらを相互に接続するネットワーク60とで構成される。
店舗内には、複数台の監視カメラ20が取り付けられていても良い。ただし、本実施の形態では、出納機10にログインする作業者の顔画像を撮像可能な位置に少なくとも1台の監視カメラ20が取り付けられている場合を想定する。なお、図1では、監視カメラ20を想定するが、顔認証のために設置された専用のカメラでもよい。
【0011】
図1では、監視カメラ20が撮像する周辺エリア20Aの一例として、出納機10の前方付近を例示している。もっとも、監視カメラ20の取り付け位置は、出納機10にログインする作業者の顔を正面から撮像可能な位置に限らず、作業者が体の向きや顔の向きを変えることで顔を撮像可能な位置でもよい。例えば図1に示すように、出納機10に向かって左側の壁や天井に取り付けられていてもよい。
【0012】
監視カメラ20は、広範囲を一度に撮像できるように広角レンズが用いられる。なお、監視カメラ20にはズーム機能が設けられていてもよい。例えば顔認証の際には、ズーム機能により、撮像画像内の顔をアップで撮像できるようにしてもよい。
ここでの出納機10は、電子機器の一例である。また、図1に示す貨幣処理システム1は、ログインシステムの一例である。また、監視カメラ20は撮像部の一例である。
【0013】
図1の場合、取引管理サーバ30とカメラ画像管理サーバ40は、それぞれ独立したサーバとして店内に設置されている。
取引管理サーバ30は、出納機10と共に情報系システムを構成する。取引管理サーバ30は、出納機10の処理データを記憶する第1のサーバの一例である。
カメラ画像管理サーバ40は、監視カメラ20と共に監視システムを構成する。カメラ画像管理サーバ40は、監視カメラ20の処理データを記憶する第2のサーバの一例である。
もっとも、取引管理サーバ30とカメラ画像管理サーバ40とを1つのサーバに統合してもよい。
【0014】
顔認証サーバ50は、監視カメラ20で撮像された顔画像と、事前に登録されている顔画像との照合により、出納機10にログインする作業者を顔認証する。具体的には、顔認証サーバ50は、顔の全体から例えば100個の特徴を検出し、検出された顔全体の特徴を利用することにより異同を判定する。もっとも、検出する特徴の数は一例である。本実施の形態の場合、顔全体の特徴は、顔の全体から均等に検出される。なお、顔の特徴は、顔の全体ではなく、目や鼻等の特定の部位とその周辺から検出してもよい。
なお、顔認証サーバ50は、顔認証に使用する顔画像を、カメラ画像管理サーバ40経由で取得してもよい。
【0015】
本実施の形態における顔認証サーバ50は、1:1認証と1:N認証の両方に対応する。
1:1認証は、ログインを求める担当者(以下「ログイン担当者」ともいう)の顔画像と、ログイン担当者が入力するID(=Identification)等の識別情報に紐付けられている顔画像とを照合する方式をいう。
1:N認証は、ログイン担当者の顔画像と、データベースに登録されている複数の顔画像とを照合する方式をいう。
【0016】
ネットワーク60は、例えばLAN(=Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルで構成される他、無線通信により構成される。
図1に示すネットワーク60には、金融機関の業務に関連する取引で使用する他の機器、例えば貨幣入出金機(図示せず)、貨幣入金機(図示せず)、窓口端末(図示せず)、両替機(図示せず)も接続される。
【0017】
<各装置の構成>
<出納機10の構成>
図2は、実施の形態1で使用する出納機10の外観例を説明する図である。図2に示す出納機10は、硬貨の入出金を処理する硬貨処理部11と、紙幣の入出金を処理する紙幣処理部12と、帯封紙幣(以下「束紙幣」ともいう)や包装硬貨(以下「棒金」ともいう)を保管する貨幣保管部13と、それらの操作表示部14と、印字部15とを有している。
【0018】
硬貨処理部11は、バラ硬貨の入出金処理、包装硬貨の作成処理、包装硬貨の出金処理、精査処理等を実行する。包装硬貨は、例えば50枚のバラ硬貨を包装することで作成される。
紙幣処理部12は、バラ紙幣の入出金処理、帯封紙幣の作成処理、帯封紙幣の出金処理、精査処理等を実行する。帯封紙幣は、例えば100枚のバラ紙幣を帯封することで作成される。
【0019】
貨幣保管部13は、いわゆる現金バスと呼ばれるキャビネット型の処理部である。貨幣保管部13には、バラ紙幣、帯封紙幣、包装硬貨等の貨幣の他、有価証券等も収納される。貨幣保管部13にも、保管中の貨幣を精査する機能が設けられている。
操作表示部14は、例えばタッチパネル等から構成される。操作表示部14は、出納機10に対する操作の入力に使用される。ここでの操作には、ログインに伴う操作も含まれる。また、操作表示部14には、出納機10における紙幣や硬貨の処理状況、出納機10に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報が表示される。操作表示部14は、表示部の一例である。
印字部15は、例えばプリンタで構成される。印字部15は、出納機10で実行された処理の結果、出納機10に収納されている貨幣の在高等の情報をレシート等に印刷する。
【0020】
図3は、実施の形態1で使用する出納機10の機能構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、出納機10には、装置全体の動きを制御する制御部100が設けられている。
制御部100は、硬貨処理部11、紙幣処理部12、貨幣保管部13に指令信号を与え、それらの動作を制御する。また、制御部100には、操作表示部14、印字部15、記憶部16、通信インターフェース部17がそれぞれ接続されている。この他、操作表示部14の操作が可能な位置への作業者の接近を感知する人感センサーが設けられてもよい。
【0021】
記憶部16は、ハードディスク装置等で構成される。記憶部16には、出納機10で実行された取引のデータ(すなわち取引データ)、出納機10に収納されている紙幣や硬貨の在高等が記憶される。
通信インターフェース部17は、ネットワーク60(図1参照)経由の通信を可能とする通信モジュールで構成される。
【0022】
制御部100は、CPU(=Central Processing Unit)と、ROM(=Read Only Memory)と、RAM(=Random Access Memory)とで構成される。すなわち、制御部100は、コンピュータを構成する。ROMには、BIOS(=Basic Input Output System)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアとして使用してプログラムを実行する。
本実施の形態における制御部100は、CPUによるプログラムの実行を通じ、ログイン許可部101、取引処理部102として機能する。
【0023】
ログイン許可部101は、顔認証サーバ50(図1参照)との連携によりログインの許可又は不許可を決定する処理部である。ログイン許可部101は、顔認証サーバ50における顔認証が成功した場合、自機の操作を許可する。一方、ログイン許可部101は、顔認証サーバ50における顔認証が失敗した場合、自機の操作を許可しない。
【0024】
取引処理部102は、ログインしたユーザからの指示により受け付けた取引に関する処理を実行する処理部である。取引処理部102は、取引の内容に応じて硬貨処理部11、紙幣処理部12、貨幣保管部13に指令信号を与え、各部の動作と進捗を制御する。また、取引処理部102は、ログインしたユーザを識別する情報と、取引の内容と、取引の日時等を含む取引データを取引管理サーバ30(図1参照)に送信する。
【0025】
<顔認証サーバ50の構成>
顔認証サーバ50は、いわゆるコンピュータとしてのハードウェア構成を有している。
図4は、実施の形態1で使用する顔認証サーバ50の機能構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、顔認証サーバ50には、装置全体の動きを制御する制御部500が設けられている。
【0026】
制御部500には、事前に登録された顔画像が記憶されている顔画像データベース(以下「顔画像DB」という)51、ログイン時に実行された顔認証の履歴が記憶されている顔認証履歴データベース(以下「顔認証履歴DB」という)52、通信インターフェース部53がそれぞれ接続されている。
【0027】
顔画像DB51は、ハードディスク装置等で構成される。本実施の形態の場合、顔画像DB51は、顔認証サーバ50内に設けられている。ただし、顔画像DB51は、顔認証サーバ50に外付けされていてもよいし、ネットワーク60経由で接続されていてもよい。
顔画像DB51は、出納機10が設けられている店舗とは異なる場所に存在してもよい。顔画像DB51には、出納機10が設置されている店舗や同じ金融機関で勤務する従業員について認証用の顔画像が登録されている。
【0028】
顔認証履歴DB52は、ハードディスク装置等で構成される。本実施の形態の場合、顔認証履歴DB52は、顔画像DB51とは別に設けられている。顔認証履歴DB52には、ログイン時に用いた認証の方式が、認証されたユーザを識別する情報、認証の日時、ログインの対象である機器を識別する情報等とともに記憶される。ここでの認証の方式とは、1:1認証と1:N認証である。
通信インターフェース部53は、ネットワーク60(図1参照)経由の通信を可能とする通信モジュールで構成される。
【0029】
制御部500は、CPUと、ROMと、RAMとで構成される。すなわち、制御部500は、コンピュータを構成する。ROMには、BIOSや各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアとして使用してプログラムを実行する。
本実施の形態における制御部500は、CPUによるプログラムの実行を通じ、画像内人数検知部501、実行可否制御部502、顔画像取得部503、照合部504、照合結果通知部505、認証履歴記録部506として機能する。
【0030】
画像内人数検知部501は、出納機10(図1参照)の周辺エリア20A(図1参照)を撮像した撮像画像に含まれる人数を検知し、人数情報として出力する処理部である。
本実施の形態の場合、撮像画像は、カメラ画像管理サーバ40から読み出される。もっとも、画像内人数検知部501は、監視カメラ20(図1参照)から撮像画像を直接取得してもよい。
【0031】
人数を検知する方法には、撮像画像に含まれる顔の数を計数する方法と、撮像画像に含まれる骨格の数を計数する方法とがある。
図5は、画像内人数検知部501で人数の検知に使用する2種類の方法を説明する図である。(A)は顔の数を計数する方法を説明する図であり、(B)は骨格の数を計数する方法を説明する図である。
図5(A)では、撮像画像511の中から顔画像512が1つ検知されている。図5(B)では、撮像画像511から検出された人の骨格513が模式的に表されている。骨格513は、人の骨格そのものではなく、予め用意された骨格モデルで表される。
【0032】
顔の数を計数する方法は、顔画像取得部503の機能との兼用が可能である。もっとも、画像内人数検知部501による顔画像512の検出は、顔認証の場合とは異なり、頭部の検出でもよい。
骨格の数を計数する方法は、画像内で複数の頭部が重なっており、1つの頭部と他の頭部の切り分けが困難な場合でも、撮像画像511に写り込んでいる人数を正確に計数することが可能である。
画像内人数検知部501は、検知された人数を人数情報として実行可否制御部502に与える。
【0033】
実行可否制御部502は、1:1認証と1:N認証のそれぞれについて実行の可否を制御する処理部である。
本実施の形態における実行可否制御部502は、撮像画像に含まれる人数が1人のとき、1:N認証の実行と1:1認証の実行を許可する。もっとも、撮像画像に含まれる人数が1人のとき、1:N認証の実行が1:1認証の実行よりも優先される。換言すると、ログイン担当者から1:1認証による顔認証が指示されない限り、1:N認証が実行される。
【0034】
なお、実行可否制御部502は、撮像画像に含まれる人数が複数人のとき、1:N認証の実行を不可に設定する一方で、1:1認証を実行可に設定する。
本実施の形態の場合、1:1認証は、撮像画像に含まれる人数によらず実行が許可される。
一方、1:N認証は、撮像画像に含まれる人数に応じて、実行の可否が切り替えられる。
ここでの実行可否制御部502は、制御部の機能の一例である。
【0035】
顔画像取得部503は、出納機10から顔認証が要求された場合に、撮像画像に含まれる顔の領域を検出して、顔画像として取得する処理部である。顔認証の要求は、例えば不図示の人感センサーが、操作表示部14(図3参照)を操作可能な位置への作業者の接近を検知した場合や作業者が操作表示部14の待機画面をタッチした場合に出力される。待機画面は、作業が行われていない期間に出力される画面である。
【0036】
照合部504は、撮像画像から検出された顔画像と顔画像DB51に記憶されている顔画像とを照合する処理部である。
1:N認証の場合、照合部504は、撮像画像から検出された1つの顔画像と顔画像DB51に記憶されている複数の顔画像とを照合する。具体的には、撮像画像から検出されたログイン担当者の顔画像に合致する顔画像が顔画像DB51から検索される。
【0037】
一方、1:1認証の場合、照合部504は、ログイン担当者を特定する担当者番号や暗証番号の入力を受け付ける。その後、照合部504は、受け付けた担当者番号等について登録されている顔画像を顔画像DB51から読み出し、読み出された顔画像と撮像画像から検出された顔画像とを照合する。本実施の形態の場合、撮像画像に含まれる顔画像は1つの場合も複数の場合もある。
【0038】
照合結果通知部505は、照合部504による照合の結果を、顔認証を要求した出納機10に通知する処理部である。照合に成功した場合、認証されたログイン担当者を識別する情報や認証の日時等の情報も出納機10に通知される。一方、照合に失敗した場合、認証が失敗した事実と日時等の情報が出納機10に通知される。
認証履歴記録部506は、実行された認証の履歴を顔認証履歴DB52に記録する処理部である。記憶される認証の履歴には、認証に用いられた方式の情報も含まれる。すなわち、1:N認証が実行されたか、1:1認証が実行されたかを示す情報が含まれる。
【0039】
<処理動作>
以下では、図6図12を使用して、本実施の形態における処理動作を説明する。
図6は、実施の形態1で使用される顔認証サーバ50(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。なお、図中に示す記号Sはステップを意味する。図6に示す処理動作は、ログイン制御方法の一例である。
【0040】
まず、制御部500(図4参照)は、顔認証の要求を受信したか否かを判定する(ステップ1)。ステップ1で否定結果が得られている間、制御部500は、ステップ1の判定を繰り返す。
ステップ1で肯定結果が得られた場合、制御部500は、要求元の装置を撮像範囲に含む撮像画像を取得する(ステップ2)。本実施の形態の場合、要求元の装置は、出納機10(図1参照)である。
【0041】
次に、制御部500は、取得された撮像画像に含まれる人数を検知する(ステップ3)。人数の検知には、前述した2種類の方法のいずれかが使用される。
人数が検知されると、制御部500は、人数は1人か否かを判定する(ステップ4)。
撮像画像に含まれる人数が1人の場合、制御部500は、ステップ4で肯定結果を得る。一方、撮像画像に含まれる人数が複数人の場合、制御部500は、ステップ4で否定結果を得る。
【0042】
ステップ4で肯定結果が得られた場合、制御部500は、1:N認証と1:1認証の両方を実行可に設定する(ステップ5)。
次に、制御部500は、要求元の装置に1:N認証用のログイン画面の表示を指示する(ステップ6)。本実施の形態では、1:N認証と1:1認証の両方の実行が可の場合、1:N認証の実行が優先される。その結果、出納機10(図1参照)の操作表示部14(図3参照)に1:N認証用のログイン画面が表示される。
【0043】
図7は、撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機10に表示されるログイン画面140の一例を示す図である。ログイン画面140は、1:N認証用である。ログイン画面140には、「ログイン待ち画面」との文言と、「監視カメラの方向に顔を向けてください。」との文言が表示されている。
【0044】
図8は、監視カメラ20により撮像される画像(すなわち撮像画像)511の例を説明する図である。図8の場合、撮像画像511には1名の作業者だけが含まれている。
1:N認証の場合、ログイン担当者は、監視カメラ20の方向に顔を向けるだけでよい。すなわち、ログイン担当者は、追加で、ハンドジェスチャーを行う必要も担当者番号や暗証番号を入力する必要もない。
【0045】
図6の説明に戻る。
ステップ6に続き、制御部500は、撮像画像からログイン担当者の顔画像を取得する(ステップ7)。
ログイン担当者の顔画像が取得されると、制御部500は、撮像されたログイン担当者の顔画像と顔画像DBに記憶されている顔画像とを照合する(ステップ8)。
その後、制御部500は、照合の結果を要求元の装置に通知する(ステップ9)。具体的には、出納機10に照合の結果が通知される。
【0046】
一方、ステップ4で否定結果が得られた場合、制御部500は、1:N認証を実行不可に設定する一方、1:1認証を実行可に設定する(ステップ10)。
次に、制御部500は、要求元の装置に1:1認証用のログイン画面の表示を指示する(ステップ11)。本実施の形態では、出納機10(図1参照)の操作表示部14(図3参照)に1:1認証用のログイン画面が表示される。
【0047】
図9は、撮像画像に含まれる人数が複数名の場合に出納機10に表示されるログイン画面141の一例を示す図である。ログイン画面141は、1:1認証用である。ログイン画面141には、「ログイン待ち画面」との文言と、「番号を入力し、監視カメラの方向に顔を向けてください」との文言が表示されている。また、ログイン画面141には、担当者番号又は暗証番号の入力欄142と、テンキーボタン143とが表示されている。担当者番号や暗証番号は、ログインコードの一例である。
【0048】
もっとも、ログイン画面141には、当初、入力欄142だけが表示され、入力欄142がタップされると、テンキーボタン143がポップアップ表示されてもよい。
1:1認証の場合、出納機10の周辺エリア20A(図1参照)を撮像した撮像画像に複数人が写り込んでいても、担当者番号や暗証番号の入力により、ログイン担当者を1名に特定することができる。
なお、図9では、担当番号や暗証番号の入力によりログイン担当者を特定しているが、これらの番号の入力に代えて、ログイン担当者が所持するログイン用のカードを不図示のカードリーダー読取部で読み取る手法を採用してもよい。
図10は、監視カメラ20により撮像される画像(すなわち撮像画像)511の他の例を説明する図である。図10の場合、撮像画像511には4名の作業者が含まれている。
【0049】
図6の説明に戻る。
ステップ11に続き、制御部500は、要求元の装置からログインコードを取得する(ステップ12)。本実施の形態では、ログインコードとして、担当者番号や暗証番号が取得される。
コードが取得されると、制御部500は、ログインコードに紐付けられている顔画像を顔画像DB51(図4参照)から取得する(ステップ13)。ここでは、ログインコードを入力した作業者(すなわちログイン担当者)の顔画像が取得される。
【0050】
次に、制御部500は、顔画像DB51から取得したログイン担当者の顔画像と撮像画像に含まれる顔画像とを照合する(ステップ14)。
その後、制御部500は、照合の結果を要求元の装置に通知する(ステップ15)。具体的には、出納機10に照合の結果が通知される。
【0051】
前述したように、本実施の形態の場合、撮像画像に写り込んでいる作業者が1名であれば、監視カメラ20(図1参照)の方向に顔を向けるだけで顔認証を開始できる。すなわち、ログイン担当者には、ジェスチャーの実行やログインコードの入力等の特別な操作が不要である。結果的に、要求される操作の回数が、特許文献1に記載の手法に比して少なく済む。
一方で、本実施の形態の場合、撮像画像に写り込んでいる作業者が複数名であれば、自動的に1:1認証用のログイン画面が表示され、ログインコードを入力したログイン担当者についての顔認証を開始できる。
【0052】
<他のログイン画面例>
<例1>
図11は、撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機10に表示されるログイン画面140の他の例を示す図である。図11には、図7との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0053】
図11に示すログイン画面140は、前述したように1:N認証を想定している。ただし、ログイン画面140には、1:1認証によるログインへの切り替えるための文言144とボタン145が追加されている。
本実施の形態の場合、1:1認証の実行は、撮像画像に写り込む作業者の人数が1人か複数かによらず許可されるためである。
【0054】
図11の場合、文言144には「*番号入力でログインする場合は右のボタンを押して画面を切り替えてください。」が示されている。「番号入力」を用いるログインは、顔認証に1:1認証を用いることを意味する。
1:1認証用のログイン画面を呼び出すためのボタン145を配置する位置は任意であるが、図11では文言144の右側に配置されている。このため、文言144には「右のボタン」と表している。
また、「番号入力」との文言に代えて「1:1認証」との用語を用いることも可能である。
【0055】
<例2>
図12は、撮像画像に含まれる人数が1名の場合に出納機10に表示されるログイン画面140の他の例を示す図である。図12には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
前述した図11に示す1:N認証用のログイン画面140には、1:1認証用のログイン画面を呼び出すボタン145が表示されていたが、図12に示すログイン画面140には、1:1認証用のログイン画面が最初から表示されている。
【0056】
図12の場合、文言144Aには「*番号入力でログインする場合は、以下を操作した後、監視カメラの方向に顔を向けてください。」が示されている。また、文言144Aの下側には、担当者番号又は暗証番号の入力欄146と、テンキーボタン147とが表示されている。ここでの入力欄146とテンキーボタン147は、図9の入力欄142とテンキーボタン143と同じである。
図12に示すログイン画面140には、入力欄146とテンキーボタン147が初めから表示されるので、ログイン担当者は、即座に1:1認証のための番号入力を行うことができる。
【0057】
ただし、ログイン画面140は、あくまでも1:N認証のための画面であり、1:1認証は補助的な位置づけである。このため、1:N認証用のログイン画面140に表示される1:1認証用の入力欄146とテンキーボタン147は、図9に示す1:1認証用のログイン画面140における入力欄142とテンキーボタン143のサイズに比して小さく表示される。
【0058】
図9に示す入力欄142とテンキーボタン143のサイズが第1のサイズの一例であり、図12に示す入力欄146とテンキーボタン147のサイズが第2のサイズの一例である。
なお、テンキーボタン147のサイズが小さすぎると正しく操作できないし、入力欄146のサイズが小さすぎても入力された数字の確認が難しい。このため、入力欄146とテンキーボタン147のサイズは、実用上の観点から定められる。
また、テンキーボタン147は、入力欄146がタップされると、ポップアップ表示されるようにしてもよい。
【0059】
<実施の形態2>
<システムの構成>
現実の顔認証では、顔画像が登録されている真正な作業者であるにも関わらず、顔認証に失敗することがある。例えば新たに撮像される顔の向き、照明光や太陽光の加減等により、撮像画像から切り出された顔画像と登録されている顔画像との照合が失敗に終わることがある。
本実施の形態では、失敗に続いて実行された番号入力による個人認証が成功する場合に、顔認証が失敗に終わった顔画像を、ログイン担当者に対する追加の顔画像として登録を可能とする機能について説明する。
【0060】
実施の形態2の場合にも、実施の形態1で説明した貨幣処理システム1(図1参照)を想定する。
図13は、実施の形態2で使用する顔認証サーバ50の機能構成例を示すブロック図である。図13には、図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13に示す顔認証サーバ50は、顔画像追加制御部507を有する点で、図4に示す顔認証サーバ50と相違する。
顔画像追加制御部507は、顔認証が失敗で終わった直後に番号入力によるログインが成功した場合に、顔認証に使用した顔画像を、ログイン担当者に紐付けて追加登録するための処理部である。顔画像追加制御部507は、制御部の機能の一例である。
【0061】
<ログイン画面例>
<例1>
図14は、実施の形態2におけるログイン画面の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(E)はメニュー画面の例である。
【0062】
図14に示す各画面は、ログインの対象である出納機10(図1参照)の操作表示部14に表示される。なお、図14に示すログイン画面の表示は、顔認証の方式が1:1認証の場合も1:N認証の場合も実行される。
図14(A)に示す画面150は、顔認証サーバ50(図1参照)による顔認証の実行中、すなわち出納機10が顔認証の結果を待機している場面に表示される。画面150には、「通信中です」、「しばらくお待ちください」との文言が表示されている。
【0063】
図14(B)に示す画面151は、顔認証に失敗した場合に表示される。画面151には、「顔認証に失敗しました」、「再度顔認証を行いますか?」との文言に続き、2つの選択肢が表示されている。画面151の場合、「はい:顔認証を再実行します」と「いいえ:番号入力でログインします」の2つが表示される。
ちなみに、番号入力によるログインとは、前述した顔認証における1:1認証の意味ではなく、入力された番号と登録されている番号とを照合する認証方式を意味する。
【0064】
図14(B)の場合、「いいえ:番号入力でログインします」の位置に選択状態を示すカーソル151Aが表示されている。カーソル151Aは、例えばログイン担当者がいずれかの選択肢をタップすると、タップした選択肢の側に移動する。もっとも、ログイン担当者が、カーソル151Aを希望する選択肢の位置にドラッグ移動してもよい。
選択を確定するためには、画面151の下部に配置された確定用のボタン151Bをタップする。
図14(B)の場合、番号入力によるログインで選択が確定する。
【0065】
図14(C)に示す画面152は、番号入力によるログインが選択された場合に表示される。画面152には、番号の入力を促す文言と、番号の入力欄と、テンキーとが配置されている。ただし、画面152の場合、「番号を入力してください」との文言が表示されるだけで、監視カメラの方向に顔を向けることは要求されていない。この点が、顔認証を前提とする1:1認証との違いである。
【0066】
図14(D)に示す画面153は、ログインが成功した場合に表示される。画面153には、ログインの成功を表す文言とともに、ログイン担当者として顔認証サーバ50に識別された作業者の個人情報が表示される。また、画面153には、顔認証に失敗にした顔画像をログイン担当者の顔画像として追加で登録するかを確認する文言が表示される。具体的には、「先程の顔画像を追加登録しますか?」との文言が表示される。
また、画面153には、追加の登録を希望する場合に操作されるボタン153Aと、追加の登録を希望しない場合に操作されるボタン153Bも配置されている。
【0067】
ボタン153A又はボタン153Bが操作されると、画面153は、図14(E)に示す画面154に遷移する。画面154は、メニュー画面である。画面154には、出納機10で実行が可能な取引等に対応付けられたボタンが表示されている。画面154の場合は12個のボタンが表示されている。ボタン153Aが操作されると、顔認証で失敗した際の顔画像がログイン担当者(図14の例では山田太郎さん)に紐づけて登録される。
【0068】
図14の場合、追加の顔画像の登録は、ログインが成功した直後に付属的に実行される。このため、顔画像の登録のためだけに専用の機能を起動する場合に比して、担当者の作業負担が軽減される。
また、顔認証が失敗するような環境で撮像された顔画像を登録できるので、同じ環境での次回以降の顔認証が成功され易くなる。結果的に、図14に例示したように改めて番号入力によるログインを選択する回数も削減できる。
【0069】
<例2>
図15は、実施の形態2におけるログイン画面の他の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(E)はメニュー画面の例である。
図15には、図14との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0070】
図14との相違点は、図15(D)に示す画面153に、追加する顔画像の候補153Cが確認用に表示される点である。図15(D)の場合、ログイン担当者は、自身の顔画像として登録される顔画像の状態を確認した上で、登録の可否を判断することができる。図15(D)に示す顔画像の候補153Cは、顔認証サーバ50に登録されている顔画像の撮像時に比べて高い照度で撮像されている。このため、エッジ成分がやや少ない。
【0071】
図15の場合には、候補153Cが表示されるため、同顔画像を自身の顔画像として追加登録するか否かをログイン担当者自身が具体的に判断できる。結果的に、あまり画質のよくない顔画像の登録を未然に回避できる。
なお、顔認証に失敗する原因は、照度が高い場合に限らず、照度が低い場合も考えられる。また、ログイン担当者が正しく監視カメラ20の方向を向かなかったことが原因になる可能性もある。
【0072】
図16は、実施の形態2におけるログイン画面の他の遷移例を説明する図である。(A)は顔認証の実行中に表示される画面の例であり、(B)は顔認証に失敗した場合に表示される画面の例であり、(C)は番号入力によるログインが選択された場合に表示される画面の例であり、(D)及び(E)はログインが成功した場合に表示される画面の例であり、(F)はメニュー画面の例である。
図16には、図15との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0073】
図16(D)の場合、ログインが成功した場合に表示される画面153に表示される追加する顔画像の候補153Cがログイン担当者とは別人である点で、図15(D)と相違する。監視カメラ20は広範囲を撮像するため、撮像画像内にログイン担当者以外の第三者が映り込む可能性があり、この第三者がログイン担当者の顔画像として誤って検出された可能性があるためである。
本実施の形態の場合も、撮像画像内に複数人の顔が写り込んでいる場合には、登録の候補は一意に定まらず、複数人の顔画像が登録の候補153Cとなる。
そこで、ログイン担当者は、図16(D)では「いいえ」のボタン153Bを選択し、図16(E)では「はい」のボタン153Aを選択する。この結果、別人の顔画像が誤って追加登録される事態を未然に防ぐことができる。
【0074】
<不適切な追加登録を排除するための処理動作>
続いて、不適切な顔画像の追加登録を排除するための処理動作について説明する。
<処理動作1>
図17は、ログイン担当者により顔画像の追加登録が指示された場合に顔認証サーバ50(図1参照)の制御部500(図4参照)が実行する処理動作の一例を説明するフローチャートである。
【0075】
まず、制御部500は、追加登録の対象である顔画像を取得する(ステップ21)。ちなみに、ステップ21は、図14(D)でボタン153Aが操作された場合、図15(D)でボタン153Aが操作された場合、図16(E)でボタン153Aが操作された場合に実行される。
次に、制御部500は、ログイン担当者に紐付けられている登録済みの顔画像を顔画像DB51(図4参照)から取得する(ステップ22)。
【0076】
次に、制御部500は、追加登録の対象として選択された顔画像と登録済みの顔画像との一致率を算出する(ステップ23)。本処理動作では、顔認証に失敗したときの顔画像と登録済みの顔画像とが再び照合されることになる。
ここでの一致率は、顔画像としての一致の度合いや同一人である可能性の度合いを表す値であり、照合の過程で算出される。
一致率が算出されると、制御部500は、一致率が基準値より大きいか否かを判定する(ステップ24)。基準値は、顔認証で使用する基準値と同じでもよいが、異なってもよい。例えば明らかに別人を排除できることを前提に、顔認証よりも低い基準値を用いてもよい。
【0077】
ステップ24で肯定結果が得られた場合、制御部500は、顔画像DB51に顔画像を追加登録する(ステップ25)。勿論、追加登録される顔画像は、ログイン担当者に紐付けられる。
一方、ステップ24で否定結果が得られた場合、制御部500は、アラームを出力する(ステップ26)。否定結果は、図16(D)の例のように、別人の顔画像が追加登録の対象になる場合に出力される。この場合、追加登録は、実行されずアラームが出力される。この結果、ログイン担当者の過誤や故意に起因する誤登録を回避することができる。
【0078】
<処理動作2>
図18は、ログイン担当者により顔画像の追加登録が指示された場合に顔認証サーバ50(図1参照)の制御部500(図4参照)が実行する処理動作の他の例を説明するフローチャートである。図18には、図17との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0079】
図18の場合も、制御部500は、まず、追加登録の対象である顔画像を取得する(ステップ21)。
ただし、図18では、ステップ21の次に実行される処理が図17と相違する。図18の場合、制御部500は、ログイン担当者の顔画像を再取得する(ステップ22A)。本処理動作では、顔認証に失敗したときの顔画像と再取得された顔画像とが照合されることになる。
【0080】
次に、制御部500は、追加登録の対象である顔画像と再取得された顔画像との一致率を算出する(ステップ23A)。
以降の動作は、図17と同じである。
すなわち、一致率が算出されると、制御部500は、一致率が基準値より大きいか否かを判定する(ステップ24)。
ステップ24で肯定結果が得られた場合、制御部500は、顔画像DB51に顔画像を追加登録する(ステップ25)。勿論、追加登録される顔画像は、ログイン担当者に紐付けられる。
【0081】
一方、ステップ24で否定結果が得られた場合、制御部500は、アラームを出力する(ステップ26)。否定結果、図16(D)の例のように、別人の顔画像が追加登録の対象になる場合に起こり得る。この場合、追加登録は、実行されずアラームが出力される。本処理動作では、ログイン担当者の過誤に起因する誤登録を回避することができる。
【0082】
<実施の形態3>
本実施の形態では、貨幣処理システム1(図1参照)を構成する顔認証サーバ50(図1参照)で実行される他の処理動作について説明する。
図19は、実施の形態3で使用される顔認証サーバ50で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図19には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0083】
前述した実施の形態1では、撮像画像に含まれる人数によらず、1:1認証の実行は許可したが、本実施の形態では、撮像画像に含まれる人数に応じ、1:1認証の実行の可否を切り替える。
このため、本実施の形態における制御部500は、ステップ4で肯定結果が得られた場合、1:N認証を実行可に設定する一方、1:1認証を実行不可に設定する(ステップ5A)。
ちなみに、ステップ4で否定結果が得られた場合における制御部500の動作は、実施の形態1と同じである。すなわち、制御部500は、1:N認証を実行不可に設定する一方、1:1認証を実行可に設定する(ステップ10)。
【0084】
本実施の形態の場合、出納機10(図1参照)の操作表示部14(図3参照)には、撮像画像に含まれる人数に応じ、ログイン画面140(図7参照)及びログイン画面141(図9参照)のいずれか一方が表示される。
なお、本実施の形態の場合、操作表示部14には、図11に示すログイン画面140や図12に示すログイン画面140が表示されることはない。本実施の形態の場合、1:N認証と1:1認証とは排他的にしか許可されないためである。
【0085】
<実施の形態4>
本実施の形態では、貨幣処理システム1(図1参照)の他のシステム構成について説明する。
図20は、実施の形態4で使用する貨幣処理システム1Aの構成例を説明する図である。図20には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0086】
図20に示す貨幣処理システム1Aは、監視カメラ20(図1参照)に代えて、出納機10Aに取り付けられているカメラ20Bを使用する。図20の場合、カメラ20Bは、支柱20Cの頂上付近に設けられている。もっとも、カメラ20Bは、操作表示部14の周囲部等に取り付けられていてもよい。また、カメラ20Bは、出納機10Aの本体と一体でもよい。
【0087】
本実施の形態におけるカメラ20Bは、少なくともログイン担当者の顔画像の撮像が可能な位置に取り付けられていればよい。
もっとも、カメラ20Bは、出納機10Aを操作する作業者の手元の撮像が可能でもよい。カメラ20Bも撮像部の一例である。
【0088】
図20の場合、カメラ20Bは、紙幣処理部12側の操作表示部14の背後に1台のみ取り付けられているが、硬貨処理部11側の操作表示部14の背後に1台のみ取り付けられていてもよいし、両方の位置に取り付けられていてもよい。
また、1台のカメラ20Bを、硬貨処理部11側の操作表示部14と紙幣処理部12側の操作表示部14の中間位置に配置してもよい。
【0089】
図20に示す貨幣処理システム1Aの場合、カメラ20Bの撮像画像70Aと出納機10Aの取引データ70Bは、共通のデータ管理サーバ70に記憶される。
ちなみに、カメラ20Bで撮像された撮像画像は、出納機10A及びネットワーク60経由でデータ管理サーバ70に送信されてもよいし、ネットワーク60経由でデータ管理サーバ70に直接送信されてもよい。
【0090】
<実施の形態5>
引き続き、貨幣処理システム1(図1参照)の他のシステム構成について説明する。
図21は、実施の形態5で使用する貨幣処理システム1Bの構成例を説明する図である。図21には、図20との対応部分に対応する符号を付して示している。
図21に示す貨幣処理システム1Bでは、顔認証サーバ50(図20参照)の機能を、出納機10Bに設けている。
【0091】
図22は、実施の形態5で使用する出納機10Bの機能構成例を示すブロック図である。図22には、図3及び図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態の場合、記憶部16内に、顔画像DB51と顔認証履歴DB52が記憶される。
また、制御部100Bは、プログラムの実行を通じ、実施の形態1における制御部100(図3参照)の機能と制御部500(図4参照)の機能を実現する。図22の場合、照合部504による照合の結果は、ログイン許可部101に直接出力される。
本実施の形態における出納機10Bは、ログインシステムの一例であると共に、電子機器の一例である。
【0092】
<実施の形態6>
<システムの構成>
以下では、貨幣処理システム1(図1参照)の他のシステム構成について説明する。
図23は、実施の形態6で使用する貨幣処理システム1Cの構成例を説明する図である。図23には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図23に示す貨幣処理システム1Cには、取り間違い監視サーバ80が追加されている。取り間違い監視サーバ80は、出納機10を操作する作業者の行動を監視し、貨幣の取り間違いが発生した場合には即座に作業者に対して通知する機能を提供する。
【0093】
具体的には、取り間違い監視サーバ80は、取引管理サーバ30からは取引データを取得し、取引データを通じて各作業者が貨幣を取り出すべき出金口を特定し、特定された出金口から本来の作業者が貨幣を取り出したか否かをカメラ画像管理サーバ40(図1参照)から読み出した撮像画像を通じて監視する動作を実行する。
そして、誤った出金口から貨幣が取り出された場合、取り間違い監視サーバ80は、取り間違いの発生を、アラーム音や警告表示を通じて対象者等に通知する。
【0094】
なお、取り間違い監視サーバ80も、他のサーバと同じく、コンピュータを基本構成とする。また、貨幣の取り間違いを通知する機能は、コンピュータによるプログラムの実行を通じて実現する。
本実施の形態における監視カメラ20は、作業者が、出納機10のどの出金口から貨幣を取り出すかを撮像可能な位置に取り付けられる。このため、監視カメラ20とは別に、監視用の不図示の監視カメラを設置してもよい。
【0095】
図24は、出納機10に設けられている出金口の例を説明する図である。図24には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
図24に示す出納機10の場合、硬貨処理部11に6個、紙幣処理部12に4個、計10個の出金口が設けられている。これらの出金口には、実行中の取引に応じて貨幣が排出される。
この他、出納機10には、貨幣の入金に使用する入金口も設けられている。
【0096】
<処理動作>
図25は、取り間違い監視サーバ80で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。なお、図中に示す記号Sはステップを意味する。
取り間違い監視サーバ80は、出納機10にログインしたか否かを判定する(ステップ31)。ログインの有無は、顔認証サーバ50との連携により判定される。
【0097】
ステップ31で否定結果が得られている間、取り間違い監視サーバ80は、ステップ31の判定を繰り返す。ステップ31の判定は、予め定めた周期(例えば10秒)で実行してもよい。
なお、取り間違い監視サーバ80がログインの発生を出納機10や顔認証サーバ50等に問い合わせるのではなく、出納機10や顔認証サーバ50等からログインの発生の通知を受ける構成でもよい。
【0098】
ステップ31で肯定結果が得られた場合、取り間違い監視サーバ80は、撮像画像による作業者の監視と追跡を開始する(ステップ32)。ここでの追跡は、作業者の追跡をいう。操作表示部14に対して取引を指示した作業者は、出金された貨幣の取り出しのため、取引に対応する出金口の位置に移動する。この出金口への移動や作業者の手の動きが追跡される。なお、作業者の区別は、顔画像の異同で判別してもよいし、骨格の異同で判別してもよい。
【0099】
次に、取り間違い監視サーバ80は、作業者の取引に関する貨幣が出金される出金口を特定する(ステップ33)。
続いて、取り間違い監視サーバ80は、作業者が誤った出金口から貨幣を取り出したか否かを判定する(ステップ34)。
ステップ34で肯定結果が得られた場合、取り間違い監視サーバ80は、出納機10にアラームの出力を指示する(ステップ35)。ここでのアラームの出力は、音、音声、画像のいずれか又は組み合わせで実行される。
【0100】
一方、ステップ34で否定結果が得られた場合、取り間違い監視サーバ80は、そのまま処理を終了する。
図25に示すフローチャートでは、貨幣が出金される出金口が1つの取引に対して1つ場合を想定しているが、1つの取引に対して複数の出金口から貨幣が出金される場合には、全ての出金口についてステップ34の判定が実行される。
【0101】
<具体例>
以下では、図26図28を使用して、取り間違い監視サーバ80による取り間違いの通知例を説明する。
図26は、1台の出納機10を2人の作業者が同時に利用する場面を説明する図である。図26の場合、AさんとBさんの2名が出納機10を同時に利用している。
【0102】
図27は、Aさんの取引に関連する出金口とBさんの取引に関連する出金口を説明する図である。(A)はAさんの取引に関連する出金口の位置を表し、(B)はBさんの取引に関連する出金口の位置を表す。
図27の場合、Aさんの取引に関連する出金口は、硬貨処理部11に設けられている5個の出金口と、紙幣処理部12に設けられている1個の出金口の計6個である。一方、Bさんの取引に関連する出金口は、硬貨処理部11に設けられている1個の出金口と、紙幣処理部12に設けられている3個の出金口の計4個である。
【0103】
図28は、取り間違いが発生した場合のアラームの出力例を説明する図である。図28では、Aさんが貨幣を取り出すべき出金口の位置を点線で囲んでいる。図28の場合、点線で囲んだ出金口は、硬貨処理部11の右中段に存在する。
ところが、Aさんが、硬貨処理部11の右下段の出金口から貨幣を取り出すことが起こり得る。この場合、不図示の取り間違い監視サーバ80は、Aさんが誤った出金口から貨幣を取り出したことを、操作表示部14に表示する。
【0104】
図28の例では、Aさんが操作している硬貨処理部11側の操作表示部14に取り違いアラートが表示されている。例えば新札の取り出しと旧札の取り出しと取り違いを通知できる。
図28の例では、「間違った出金口から取り出しています。Bさんに渡してください。」と、Aさんに求める動作も表示されている。なお、不図示であるが、Bさんが識別情報を入力した上で、Aさんからの貨幣の受け取りの確認を入力すると、アラーム画面が消えるようにしてもよい。
【0105】
本実施の形態では、複数の出金口が設けられる貨幣処理装置の一例として出納機10を例示しているが、その他の入出金機にも適用が可能である。
また、本実施の形態では、出金口の誤りをアラームで通知しているが、これに限らない。例えばジャムエラー等で機内から取り出した貨幣が、エラー現金戻し処理が実行されていないのに、誤って入金口に戻される場合もアラーム画面を表示してもよい。
【0106】
<実施の形態7>
本実施の形態では、貨幣処理装置の一例である医療費支払機について説明する。
図29は、実施の形態7で使用する貨幣処理システム1Dの構成例を説明する図である。図29に示す貨幣処理システム1Dは、医療費支払機90と、医事会計システム1000と、ネットワーク1010とで構成されている。
図29に示す貨幣処理システム1Dは、病院、クリニック、調剤薬局等に設置される点で、前述した他のシステムと相違する。
【0107】
本実施の形態で使用する医療費支払機90は、患者が操作するセルフ機である。医療費支払機90には、診療費や薬代の情報が医事会計システム1000から与えられる。
医療費支払機90には、操作の途中で操作者がいなくなってしまう場合や操作に不慣れな操作者が戸惑う場合を想定して、操作を受け付けてから経過した時間が一定時間を超えた場合に、処理中の取引をキャンセルするか有効なまま継続するかを決定するための操作タイマー機能を備えている。
【0108】
現在、操作タイマー機能で管理する一定時間は最適値が不明なまま用いられているが、本実施の形態では、患者の年齢、性別、受診科等の情報と作業時間とを紐付けて機械学習することにより、前述した一定時間を患者ごとに自動調整する機能を追加する。患者の年齢、性別、受診科、診療費、薬代等は医事データに含まれている。
図30は、実施の形態7で使用する医療費支払機90の機能構成例を説明する図である。
【0109】
図30に示すように、医療費支払機90には、装置全体の動きを制御する制御部900が設けられている。
制御部900は、硬貨処理部91、紙幣処理部92に指令信号を与え、それらの動作を制御する。ここでの硬貨処理部91と紙幣処理部92は、それぞれ硬貨処理部11(図3参照)と紙幣処理部12(図3参照)に対応する。
【0110】
また、制御部900には、操作表示部93、印字部94、記憶部95、カードリーダー96、人感センサー97、通信インターフェース部98がそれぞれ接続されている。
操作表示部93は、タッチパネル等で構成される。印字部94は、例えばプリンタで構成される。記憶部95は、ハードディスク装置等で構成される。
記憶部95には、医事データ95A、医事データに紐付けられた取引に要した時間を記録したデータベース95B、患者の年齢、性別、受診科等と取引に要した時間の関係を学習した学習モデル95Cが記憶されている。
【0111】
カードリーダーは、診察券、クレジットカード、キャッシュカード等のカード状の媒体からデータを読み出す。
人感センサー97は、医療費支払機90の前面に配置され、操作中の患者の存在を検知する。
通信インターフェース部98は、ネットワーク1010(図29参照)経由の通信を可能とする通信モジュールである。
【0112】
制御部900は、CPUと、ROMと、RAMとで構成される。すなわち、制御部900は、コンピュータを構成する。ROMには、BIOSや各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアとして使用してプログラムを実行する。
制御部900は、CPUによるプログラムの実行を通じ、医事データ取得部901、操作時間測定部902、操作時間学習部903、タイマー時間調整部904として機能する。
【0113】
医事データ取得部901は、カードリーダー96で読み取った診察券に対応する医事データを医事会計システム1000から取得する処理部である。
操作時間測定部902は、操作時間測定部902は、診察券を読み取った時刻から精算が終了するまでに要した時間を測定する処理部である。
操作時間学習部903は、年齢、性別、受診科の組み合わせと測定された操作時間の関係を機械学習する処理部である。操作時間学習部903による機械学習により、年齢、性別、受診科の組み合わせが入力されると操作時間が出力される学習モデル95Cが生成される。
【0114】
タイマー時間調整部904は、診察券がカードリーダー96で読み取られると、読み取った患者について取得された医事データの年齢、性別、受診科を読み出して学習モデル95Cに与えることにより、操作中の患者について想定される操作時間を得、得られた操作時間に応じてタイマー時間を調整する処理部である。
このタイマー時間調整部904によるタイマー時間の調整により、患者毎に最適なタイマー時間が設定されることになる。例えば若い人のタイマー時間は、年配者のタイマー時間に比して短めに設定される。
【0115】
なお、医療費支払機90毎にタイマー時間を機械学習するのでは、生成される学習モデルの精度が高くなるまでの時間が長くなる。そこで、病院等に設置されている複数台の医療費支払機90の情報、すなわち医事データに紐付けられた操作時間の情報をクラウドサーバに集約することで、学習モデル95Cの学習効果を高めてもよい。
また、データの集約は病院等を単位とする場合だけでなく、系列の病院等を単位として実行してもよいし、系列等は関係なく実行してもよい。
【0116】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0117】
前述の実施の形態の場合には、ログインシステムとして貨幣処理装置へのログインを想定しているが、鍵や重要物を管理する装置へのログインの管理にも使用することが可能である。鍵や重要物を管理する装置は、電子機器の一例である。
【符号の説明】
【0118】
1、1A、1B、1C、1D…貨幣処理システム、10、10A、10B…出納機、11…硬貨処理部、12…紙幣処理部、13…貨幣保管部、14…操作表示部、20…監視カメラ、20B…カメラ、30…取引管理サーバ、40…カメラ画像管理サーバ、50…顔認証サーバ、60、1010…ネットワーク、70…データ管理サーバ、80…取り間違い監視サーバ、90…医療費支払機、1000…医事会計システム
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