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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240709BHJP
   F24C 3/04 20210101ALI20240709BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C3/04 J
F24C3/12 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020186969
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076561
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】林 周作
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03376104(EP,A1)
【文献】特開2003-004227(JP,A)
【文献】特開平02-213610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナを備え、コンロバーナでの燃焼により被加熱物を加熱するコンロと、少なくともコンロバーナ周辺の監視エリアを監視するバーナ周辺監視手段とを備える加熱調理システムにおいて、
バーナヘッド部は、周方向に区分された複数の区分けヘッド領域を有し、コンロは、これら複数の区分けヘッド領域の火力を個別に調節可能なバルブ手段と、バルブ手段を制御する制御手段とを備え、
バーナ周辺監視手段による監視エリアを複数の区分けヘッド領域に対応して複数の区分けエリアに区分し、
制御手段は、バーナ周辺監視手段により取得した各区分けエリア内の監視情報が所定条件を満たした場合に、所定条件を満たした区分けエリアに対応する区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行するように構成されることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
前記所定条件は、前記区分けエリア内の前記監視情報が区分けエリア内に侵入物が存在することを表す侵入物情報を含む場合であることを特徴とする請求項1記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記区分けエリア内の前記監視情報が区分けエリア内に前記被加熱物たる調理容器の取手が存在することを表す取手情報を含む場合であることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理システム。
【請求項4】
請求項3記載の加熱調理システムであって、前記取手の温度を検出可能な温度検出手段を備え、温度検出手段で検出された取手の温度が所定温度未満である場合は、取手が存在する前記区分けエリアに対応する前記区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行しないことを特徴とする加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナを備え、コンロバーナでの燃焼により被加熱物を加熱するコンロと、少なくともコンロバーナ周辺の監視エリアを監視するバーナ周辺監視手段とを備える加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理システムとして、バーナ周辺監視手段により、ユーザーの手等がコンロバーナにある程度以上接近したとの監視情報が得られた場合に、コンロバーナの火力を弱める等の燃焼制限を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、ユーザーの手等がコンロバーナの前後左右何れの箇所に接近しても、コンロバーナの全ての箇所で燃焼制限されてしまう。そのため、コンロバーナの火力不足で調理性能に悪影響が及んでしまう。
【0004】
ここで、安全性を確保するには、ユーザーの手等が接近したコンロバーナの箇所で燃焼制限すれば十分である。そして、調理性能に悪影響が及ばないようにするには、必要以上の燃焼制限を抑制することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-20749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、コンロバーナの必要以上の燃焼制限を抑制することができるようにした加熱調理システムを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナを備え、コンロバーナでの燃焼により被加熱物を加熱するコンロと、少なくともコンロバーナ周辺の監視エリアを監視するバーナ周辺監視手段とを備える加熱調理システムにおいて、バーナヘッド部は、周方向に区分された複数の区分けヘッド領域を有し、コンロは、これら複数の区分けヘッド領域の火力を個別に調節可能なバルブ手段と、バルブ手段を制御する制御手段とを備え、バーナ周辺監視手段による監視エリアを複数の区分けヘッド領域に対応して複数の区分けエリアに区分し、制御手段は、バーナ周辺監視手段により取得した各区分けエリア内の監視情報が所定条件を満たした場合に、所定条件を満たした区分けエリアに対応する区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行するように構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、バーナ周辺監視手段により取得した各区分けエリア内の監視情報が所定条件を満たした区分けエリアに対応する区分けヘッド領域でのみ燃焼制限されるため、必要以上の燃焼制限を抑制して、調理性能への悪影響を抑制できる。
【0009】
ここで、上記所定条件は、区分けエリア内の監視情報が区分けエリア内に侵入物が存在することを表す侵入物情報を含む場合であることが望ましい。これによれば、侵入物が存在する区分けエリアに対応する区分けヘッド領域の燃焼制限により、侵入物が強く加熱されることを防止できる。
【0010】
また、上記所定条件は、区分けエリア内の監視情報が区分けエリア内に被加熱物たる調理容器の取手が存在することを表す取手情報を含む場合であってもよい。これによれば、取手が存在する区分けエリアに対応する区分けヘッド領域の燃焼制限により、取手が強く加熱されることを防止でき、ユーザーが取手を掴んだときに熱い思いをすることがない。
【0011】
また、この場合、取手の温度を検出可能な温度検出手段を設け、温度検出手段で検出された取手の温度が所定温度未満である場合は、取手が存在する区分けエリアに対応する区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行しないようにしてもよい。これによれば、取手の温度が低いときに、無駄に燃焼制限されることがなく、調理性能への悪影響をより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の加熱調理システムの設置状況を示す斜視図。
図2】実施形態の加熱調理システムが具備するコンロの要部の斜視図。
図3図2のIII-III線で切断した断面図。
図4】実施形態の加熱調理システムが具備するコンロに設けられたコンロバーナの分解状態の斜視図。
図5】実施形態の加熱調理システムが具備するコンロの天板に設けられた操作パネル部の拡大平面図。
図6】実施形態の加熱調理システムに設けられたレンジフードの斜め下方から見た斜視図。
図7】実施形態の加熱調理システムにおいて設定された監視エリアを示す平面図。
図8】実施形態の加熱調理システムが具備するコンロの制御手段が行う燃焼制限制御に関する制御内容を示すフロー図。
図9図8の制御に含まれる監視情報判別処理の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態の加熱調理システムが具備するコンロ1は、コンロ本体2をシステムキッチンのカウンタトップCTに形成したコンロ開口CTaに落とし込むようにして配置するビルトイン式コンロであり、左右2個のコンロバーナ3,3を備えている。各コンロバーナ3は、コンロ本体2の開放された上面を覆う天板4に開設したバーナ用開口41を通して天板4上に露出するバーナヘッド部31を有している。また、コンロ1は、各バーナ用開口41を囲うようにして天板4上に設置される五徳5を備えている。尚、天板4には、各バーナ用開口41と各コンロバーナ3のバーナヘッド部31との間の隙間を閉塞するリング部材42が装着されている。また、天板4の前部には、コンロバーナ3,3用の左右一対の操作パネル部43,43と、中央部の電源スイッチ44とが設けられている。
【0014】
図4を参照して、各コンロバーナ3のバーナヘッド部31は、周方向に区分された第1乃至第4の4個の区分けヘッド領域31~31を有している。具体的に説明すれば、バーナヘッド部31は、環状の下ヘッド部材32と、下ヘッド部材32上に設置される環状の上ヘッド部材33とで構成されている。下ヘッド部材32の上面には、周方向に等間隔で4個の放射状リブ321が立設され、また、上ヘッド部材33の下面にも、周方向に等間隔で4個の放射状リブ331が垂設されている。更に、上ヘッド部材33の内周部に、下ヘッド部材32の内周部に設けた上方への凸部322に係合する位相決め用の切欠き部332を設けている。そして、上ヘッド部材33を下ヘッド部材32上に位相決めした状態で載置することにより、下ヘッド部材32の各放射状リブ321の上縁に上ヘッド部材33の各放射状リブ331の下縁が当接して、バーナヘッド部31が、前方の第1区分けヘッド領域31と、右方の第2区分けヘッド領域31と、後方の第3区分けヘッド領域31と、左方の第4区分けヘッド領域31とに区分けされるようにしている。また、上ヘッド部材33の外周部には、各区分けヘッド領域31~31から混合気が噴出する多数の炎口34が形成されている。
【0015】
バーナヘッド部31は、コンロ本体2内に固定のバーナホルダ21に形成した複数の支持孔211に下端部が嵌入する複数の支柱301を垂設した環状のバーナボディ30上に設置されている。バーナボディ30には、各区分けヘッド領域31~31の中央部から下方にのびる混合管部302が垂設されている。バーナホルダ21には、第1乃至第4の各区分けヘッド領域31~31からのびる混合管部302の下端開口に臨む第1乃至第4の各ノズル35~35が設けられている。また、下ヘッド部材32には、各混合管部302の上端開口に僅かな隙間を存して対向する案内板部323が設けられている。そして、各ノズル35~35から噴射された燃料ガスが各案内板部323に衝突して各区分けヘッド領域31~31内に拡散することで発生するラジアルベンチュリ効果により各混合管部302の下端開口から一次空気が吸い込まれ、混合気が生成されるようにしている。尚、図4では、上ヘッド部材33を斜め下方から見た斜視図で表し、下ヘッド部材32とバーナホルダ21とを斜め上方から見た斜視図で表している。
【0016】
また、各コンロバーナ3には、操作パネル部43に設けた後述する点消火ボタン432による点火操作時に制御手段たるコントローラ6による制御でスパークする点火電極36と、火炎検知素子としての熱電対37と、五徳5に載置する被加熱物たる調理容器の底面に当接してその温度を検出する鍋底温度センサ38とが付設されている。点火電極36は、第3区分けヘッド領域31の炎口34に臨ませて設けられ、熱電対37は、第1乃至第4の夫々の区分けヘッド領域31~31の炎口34に臨むように4個設けられている。また、鍋底温度センサ38は、各コンロバーナ3のバーナボディ30及びバーナヘッド部31で囲われた中央空間に配置されている。尚、上ヘッド部材33には、点火電極36の直上部で径方向外方に突出する舌片状のカバー部333を設け、点火電極36に煮こぼれが落下しないようにしている。
【0017】
各コンロバーナ3に対するガス供給路39には安全弁391が介設されている。安全弁391は、操作パネル部43に設けた点消火ボタン432による点火操作時に、コントローラ6による制御で開弁され、点消火ボタン432による消火操作時や、鍋底温度センサ38が調理容器の過熱を検知したときや、燃焼中であるはずの区分けヘッド領域に対応する熱電対37の起電力が低下して失火が検知されたときにコントローラ6による制御で閉弁される。また、ガス供給路39は、安全弁391の下流側で第1乃至第4の各ノズル35~35に連なる第1乃至第4の分岐路39~39に分岐されている。第1乃至第4の各分岐路39~39には、第1乃至第4の各開閉弁392~392と第1乃至第4の各火力調節弁393~393とが介設されている。そして、これら開閉弁392~392と火力調節弁393~393により各区分けヘッド領域31~31の火力を消火も含めて個別に調節可能な火力調節手段を構成している。尚、本実施形態では、各火力調節弁393~393により各区分けヘッド領域31~31の火力を最小の第1段から最大の第10段まで10段階に調節可能としている。
【0018】
各操作パネル部43には、図5に示す如く、ディスプレイ部431と、点消火ボタン432や火力調節ボタン433を含む各種ボタンが配置されている。ディスプレイ部431には、コンロバーナ3の第1乃至第4の区分けヘッド領域31~31に対応する第1乃至第4の表示領域434~434を有する火力表示部434が設けられている。各表示領域434~434には、内外3重の表示ラインが配置されており、各区分けヘッド領域31~31の火力が強くなるのに伴い点灯する表示ラインの数が内側から外側に向けて増加する。また、第1乃至第4の表示領域434~434の何れかを長押しすると、この表示領域に対応する区分けヘッド領域の火力を火力調節ボタン433の操作で変更できるようになっている。
【0019】
また、本実施形態の加熱調理システムは、図6に示す如く、カウンタトップCTの上方に位置するレンジフードRHの下面に配置した、赤外線カメラから成る左右一対のバーナ周辺監視手段7,7を備えている。各バーナ周辺監視手段7は、各コンロバーナ3の周辺を含む所定範囲を俯瞰して撮像する。そして、図7に示す如く、各バーナ周辺監視手段7の撮像範囲内のうち、各コンロバーナ3の中心を中心とする一辺が所定長さ(例えば、30cm程度)の正方形のエリアを第1の監視エリアS1とし、また、コンロ1の天板4の外縁から所定距離(例えば、30cm程度)以内のエリアを第2の監視エリアS2としている。更に、第1と第2の各監視エリアS1,S2を、コンロバーナ3の前方の第1区分けヘッド領域31と右方の第2区分けヘッド領域31と後方の第3区分けヘッド領域31と左方の第4区分けヘッド領域31とに対応して、前方の第1区分けエリアS1,S2と右方の第2区分けエリアS1,S2と後方の第3区分けエリアS1,S2と左方の第4区分けエリアS1,S2とに区分している。尚、図7は、左側のコンロバーナ3に対する第1と第2の監視エリアS1,S2を示しており、右側のコンロバーナ3に対しても図7と左右対称で同様に第1と第2の監視エリアが設定される。
【0020】
コントローラ6は、各バーナ周辺監視手段7により取得した各区分けエリアS1~S1,S2~S2内の監視情報が所定条件を満たした場合に、所定条件を満たした区分けエリアに対応する区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行するように構成される。以下、この制御について、図8図9を参照して説明する。
【0021】
燃焼制限制御に関する処理は、電源スイッチ44がオンされたときにスタートし、先ず、STEP1でバーナ周辺監視手段7により各区分けエリアS1~S1,S2~S2内の監視情報を取得する。次に、STEP2に進み、取得した監視情報が所定条件を満たしているか否かを判別する監視情報判別処理を行う。
【0022】
監視情報判別処理では、先ず、STEP100において、第1の監視エリアS1の各区分けエリアS1~S1内の監視情報が所定条件の一つである区分けエリアS1~S1内に侵入物が存在することを表す侵入物情報を含んでいるか否かを判別する。何れかの区分けエリアS1~S1内の監視情報が侵入物情報を含んでいる場合には、STEP101に進んで、侵入物情報を含んでいる区分けエリアを記憶した後、STEP102に進む。例えば、図7に示す如く、第1の監視エリアS1の左方の第2区分けエリアS1に布巾等の侵入物Wが存在する場合は、第2区分けエリアS1が記憶される。何れの区分けエリアS1~S1内の監視情報も侵入物情報を含んでいない場合には、STEP100からSTEP101を経由せずにSTEP102に進む。
【0023】
STEP102では、第1の監視エリアS1の各区分けエリアS1~S1内の監視情報が所定条件の他の一つである区分けエリアS1~S1内に被加熱物たる調理容器の取手が存在することを表す取手情を含んでいるか否かを判別する。何れかの区分けエリアS1~S1内の監視情報が取手情報を含んでいる場合には、STEP103に進んで、取手の温度を検出可能な温度検出手段に兼用されるバーナ周辺監視手段7たる赤外線カメラの赤外線画像の温度解析から取手の温度が所定温度(例えば、50℃)以上であるか否かを判別する。そして、取手の温度が所定温度以上であれば、STEP104に進んで、取手情報を含んでいる区分けエリアを記憶した後、STEP105に進む。例えば、図7に示す如く、調理容器Pの取手Paが第1の監視エリアS1の前方の第1区分けエリアS1に存在し、取手Paの温度が所定温度以上である場合は、第1区分けエリアS1が記憶される。何れの区分けエリアS1~S1内の監視情報も取手情報を含んでいない場合には、STEP102からSTEP105に直接進み、取手の温度が所定温度未満である場合も、STEP103からSTEP105に直接進む。
【0024】
STEP105では、第2の監視エリアS2の各区分けエリアS2~S2内の監視情報が所定条件の更に他の一つである区分けエリアS2~S2内に侵入物としての人体(着衣を含む)が存在することを表す人体情報を含んでいるか否かを判別する。何れかの区分けエリアS2~S2内の監視情報が侵入物情報を含んでいる場合には、STEP106に進んで、人体情報を含んでいる区分けエリアを記憶した後、監視情報判別処理を終了する。何れの区分けエリアS2~S2内の監視情報も人体情報を含んでいない場合には、STEP106を経由せずに監視情報判別処理を終了する。尚、人体の存在を監視するエリアを第1の監視エリアS1よりも広い第2の監視エリアS2としたのは、人体に対しより高い安全性を確保するためである。
【0025】
STEP2で上記監視情報判別処理を行うと、次に、STEP3で点消火ボタン432による点火操作が行われたか否かを判別する。点火操作が行われるまでは、STEP1に戻ることを繰り返し、点火操作が行われたときに、STEP4に進んで、安全弁391と第1乃至第4開閉弁392~392とを開弁させてコンロバーナ3の全ての区分けヘッド領域31~31にガスを供給すると共に、点火電極36でスパークさせて、コンロバーナ3に点火する。尚、点火時の各区分けヘッド領域31~31の火力は点火に適した第4段にしている。次に、STEP5において、熱電対37により着火が検知されたか否かを判別し、着火が検知されなければ、STEP6で着火不良を報知した後、STEP7に進み、安全弁391及び第1乃至第4開閉弁392~392を閉弁させるコンロバーナ3の消火制御を行う。
【0026】
着火を検知したときは、STEP8において、STEP2での監視情報判別処理で記憶された区分けエリアが有るか否かを判別する。そして、記憶された区分けエリアが有る場合は、STEP9に進み、記憶された区分けエリアに対応するコンロバーナ3の区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行する。例えば、上記の如く第1の監視エリアS1の侵入物Wが存在する右方の第2区分けエリアS1と、第1の監視エリアS1の取手Paが存在する前方の第1区分けエリアS1とが記憶されていれば、コンロバーナ3の右方の第2区分けヘッド領域31と前方の第1区分けヘッド領域31とでの火力を点火時の第4段から第3段に低下させる燃焼制限制御を行う。
【0027】
次に、STEP10で再びバーナ周辺監視手段7により各区分けエリアS1~S1,S2~S2内の監視情報を取得し、STEP11において、STEP10で取得した監視情報に基づく上記と同様の監視情報判別処理を行う。次に、STEP12において、STEP11での監視情報判別処理で記憶された区分けエリアが有るか否かを判別する。そして、記憶された区分けエリアが有る場合は、STEP13に進み、記憶された区分けエリアに対応するコンロバーナ3の区分けヘッド領域での燃焼制限制御を実行する。次に、STEP14で点消火ボタン432による消火操作が行われた否かを判別し、消火操作が行われていなければ、STEP15に進んで、火力調節ボタン433やオート調理で火力変更の指示が出されたか否かを判別する。火力変更の指示が出されたときは、STEP16で火力を変更してから上記STEP10に戻り、火力変更の指示が出されていないときは、STEP16を経由せずにSTEP10に戻る。尚、STEP16で火力を変更する際も、記憶された区分けエリアに対応するコンロバーナ3の区分けヘッド領域での燃焼制限制御は継続する。また、消火操作が行われたときは、STEP14からSTEP7に進んで消火制御を行う。
【0028】
STEP8において、記憶された区分けエリアが無いと判別されたときは、STEP17に進んで、火力変更の指示が出されたか否かを判別する。火力変更の指示が出されたときは、STEP18で火力を変更してからSTEP19に進む。火力変更の指示が出されていないときは、STEP18を経由せずにSTEP19に進む。STEP19では、消火操作が行われた否かを判別し、消火操作が行われていなければ、STEP10に進み、消火操作が行われていれば、STEP7に進んで消火制御を行う。STEP12において、記憶された区分けエリアが無いと判別されたときは、STEP20で燃焼制限制御を解除してからSTEP17に進む。
【0029】
本実施形態によれば、バーナ周辺監視手段7により取得した各区分けエリアS1~S1,S2~S2内の監視情報が所定条件を満たした区分けエリアに対応する区分けヘッド領域でのみ燃焼制限されるため、必要以上の燃焼制限を抑制して、調理性能への悪影響を抑制できる。そして、上記所定条件の一つは、第1の監視エリアS1の各区分けエリアS1~S1内の監視情報が区分けエリア内に侵入物Wが存在することを表す侵入物情報を含む場合、或いは、第2の監視エリアS2の各区分けエリアS2~S2内の監視情報が区分けエリア内に侵入物の一つである人体が存在することを表す人体情報を含む場合であるため、侵入物W或いは人体が存在する区分けエリアに対応する区分けヘッド領域の燃焼制限により、侵入物W或いは人体が強く加熱されることを防止できる。
【0030】
また、上記所定条件の他の一が、第1の監視エリアS1の各区分けエリアS1~S1内の監視情報が区分けエリア内に調理容器Pの取手Paが存在することを表す取手情報を含む場合であるため、取手Paが存在する区分けエリアに対応する区分けヘッド領域の燃焼制限により、取手Paが強く加熱されることを防止でき、ユーザーが取手を掴んだときに熱い思いをすることがない。更に、取手Paの温度が所定温度未満である場合は、取手Paが存在する区分けエリアが記憶されないため、この区分けエリアに対応する区分けヘッド領域での燃焼制限制御は実行されない。従って、取手Paの温度が低いときに、無駄に燃焼制限されることがなく、調理性能への悪影響をより効果的に抑制することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態において、コンロバーナ3は、バーナヘッド部31の外周部に炎口34を有するものであるが、バーナヘッド部31の上面に炎口を有するものであってもよい。また、上記実施形態において、バーナヘッド部31の区分けヘッド領域の数は4個であるが、4個以外であってもよい。更に、上記実施形態では、バーナ周辺監視手段7をレンジフードRHの下面に設置しているが、それ以外の例えばコンロ1の後方の壁面にバーナ周辺監視手段を設置することも可能である。更に、コンロ1が上記実施形態の如く複数のコンロバーナ3を備える場合、一方のコンロバーナ3に対する第1と第2の各監視エリアS1,S2と他方のコンロバーナ3に対する第1と第2の各監視エリアS1,S2とが部分的に重複していてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…コンロ、3…コンロバーナ、31…バーナヘッド部、31~31…区分けヘッド領域、34…炎口、392~392…開閉弁(バルブ手段)、393~393…火力調節弁(バルブ手段)、6…コントローラ(制御手段)、7…バーナ周辺監視手段、S1,S2…監視エリア、S1~S1,S2~S2…区分けエリア、W…侵入物、P…調理容器、Pa…取手。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9