(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】安全運転判定装置、安全運転判定システムおよび安全運転判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240709BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240709BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240709BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240709BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2020196656
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大石 啓之
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-059820(JP,A)
【文献】特開2014-085832(JP,A)
【文献】特表2010-531515(JP,A)
【文献】特開2020-073372(JP,A)
【文献】特開2008-002838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、運転者の画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部で取得した画像データに対し所定の状態にあるか否かを判別する画像判別部と、
前記車両の操作状態を判別する操作状態判別部と、
前記車両の所定の安全状態に関する情報を予め保存した安全状態情報格納部と、
前記画像判別部による第1の判別結果と、前記操作状態判別部による第2の判別結果とを、前記所定の安全状態に関する情報と比較して前記操作状態の適否を判定する判定部と、
を備え
、
前記画像判別部による第1の判別結果は、前記撮像部で取得した画像データに基づいて判別される前記運転者の着座位置および前記運転者の保護具着用状態を含む、安全運転判定装置。
【請求項2】
前記判定部の判定結果に基づいて、前記運転者に対して前記操作状態の適否を報知する報知部をさらに備える請求項1に記載の安全運転判定装置。
【請求項3】
前記操作状態判別部による第2の判別結果は、前記車両の操作状態に基づいて判別される指差呼称操作状態および前記車両が備える作動部の操作状態を含む
請求項1又は2に記載の安全運転判定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の安全運転判定装置を備える車載器と、
該車載器と通信回線を介して接続される外部装置と、
を備える安全運転判定システム。
【請求項5】
車両の運転者の画像データを取得する撮像過程と、
取得した画像データに対し所定の状態にあるか否かを判別する画像判別過程と、
前記車両の操作状態を判別する操作状態判別過程と、
前記画像判別過程による第1の判別結果と、前記操作状態判別過程による第2の判別結果とを、所定の安全状態に関する情報と比較して前記操作状態の適否を判定する判定過程と、
を有し、
前記画像判別過程による第1の判別結果は、前記撮像過程で取得した画像データに基づいて判別される前記運転者の着座位置および前記運転者の保護具着用状態を含む、安全運転判定装置が備えるCPUで実行される安全運転判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両等に適用可能な安全運転判定装置、安全運転判定システムおよび安全運転判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業車両(例えばフォークリフト等)および一般車両のなかには、運転者がシートに着座しないと車両に関する操作ができない構成としたものがある。
【0003】
より具体的には、例えば、シートに着座スイッチを設け、運転者がシートに着座して着座スイッチがオンにならない限り、車両が備える各種機器の操作を行うことができないインターロック機構を備えたものが提案されている。
【0004】
また、作業車両等では、安全確保の観点から、各種操作を行う際に指差呼称等を実施することが推奨されている。そこで、運転者が指差呼称等を行っているかを判定する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術において、運転者のシートへの着座の有無は確認できるが、正しい着座位置や姿勢であるか、どのような体の向きであるかなどを判断できなかった。
そのため、運転者が安全運転を行うことができる状態であるか否かを判定し、報知等を行うことができないという問題があった。
【0007】
また、従来技術では、指差呼称等の動作について、安全運転を行える正しい着座姿勢等で励行されているか否かを判定することができないという不都合があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、運転者が車両の安全運転を行える状態にあるか、および指差呼称等の動作を励行しているかを正確に判定することができる安全運転判定装置、安全運転判定システムおよび安全運転判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る安全運転判定装置は、車両に搭載され、運転者の画像データを取得する撮像部と、前記画像データの入出力を行うインターフェイス部と、前記撮像部で取得した画像データに対し所定の状態にあるか否かを判別する画像判別部と、前記車両の操作状態を判別する操作状態判別部と、前記車両の所定の安全状態に関する情報を予め保存した安全状態情報格納部と、前記画像判別部による第1の判別結果と、前記操作状態判別部による第2の判別結果とを、前記所定の安全状態に関する情報と比較して前記操作状態の適否を判定する判定部と、を備える。
前記判定部の判定結果に基づいて、前記運転者に対して前記操作状態の適否を報知する報知部をさらに備えることが好ましい。
【0010】
前記画像判別部による第1の判別結果は、前記撮像部で取得した画像データに基づいて判別される前記運転者の着座位置および前記運転者の保護具着用状態を含むことが好ましい。
【0011】
前記操作状態判別部による第2の判別結果は、前記車両の操作状態に基づいて判別される指差呼称操作状態および前記車両が備える作動部の操作状態を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の他の態様に係る安全運転判定システムは、上述の何れかの安全運転判定装置を備える車載器と、該車載器と通信回線を介して接続される外部装置と、を備える。
【0013】
本発明の他の態様に係る安全運転判定プログラムは、安全運転判定装置が備えるCPUで実行され、車両の運転者の画像データを取得する撮像過程と、取得した画像データに対し所定の状態にあるか否かを判別する画像判別過程と、前記車両の操作状態を判別する操作状態判別過程と、前記画像判別過程による第1の判別結果と、前記操作状態判別過程による第2の判別結果とを、所定の安全状態に関する情報と比較して前記操作状態の適否を判定する判定過程とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者が車両の安全運転を行える状態にあるか、および指差呼称等の動作を励行しているかを正確に判定することができる安全運転判定装置、安全運転判定システムおよび安全運転判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る安全運転判定システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る安全運転判定システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係る安全運転判定システムを適用した車両内の状態を示す説明図である。
【
図4】実施の形態に係る安全運転判定システムを適用した車両内の他の状態を示す説明図である。
【
図5】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行される着座位置とヘルメット着用有無の判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行される指差呼称の判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行されるメイン判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行されるメイン判定処理のサブルーチンSB1の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行されるメイン判定処理のサブルーチンSB2の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態に係る安全運転判定システムで実行されるメイン判定処理のサブルーチンSB3の処理手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から
図10を参照して、本発明の実施の形態に係る安全運転判定システムS1について説明する。
【0017】
(安全運転判定システムの機能構成)
図1を参照して、本実施の形態に係る安全運転判定システムS1の機能構成について説明する。
図1に示すように、安全運転判定システムS1は、作業車両(例えばフォークリフト等)或いは一般車両等の車両に搭載される車載器10として構成され、運転者の画像データを取得する撮像部(カメラ)23を備える。
また、画像データの入出力を行うインターフェイス部(カメラI/F)16を備える。
【0018】
また、撮像部23で取得した画像データに対し所定の状態にあるか否か(例えば、運転者が正しい姿勢で着座しているか否か、シートベルトを装着しているか否か、ヘルメットを着用しているか否か、運転者が指差呼称の動作を行っているか否か等)を判別するCPU11等で構成される画像判別部101を備える。
さらに、車両の操作状態(例えば、前後進レバー操作、アクセル操作等)を判別する操作状態判別部102を備える。
【0019】
また、撮像部23で取得した画像データに対し所定の状態にあるか否か(例えば、運転者が正しい姿勢で着座した状態であるか否か、シートベルトを装着した状態であるか否か、ヘルメットを着用した状態であるか否か、運転者が指差呼称の動作を行っている状態であるか否か等)のデータを予め保存した不揮発性メモリ等で構成される安全状態情報格納部26Aを備える。
【0020】
また、画像判別部101による第1の判別結果と、操作状態判別部102による第2の判別結果とを、所定の安全状態に関する情報と比較して操作状態の適否を判定するCPU11等で構成される判定部103を備える。
【0021】
また、判定部103の判定結果に基づいて、運転者に対して操作状態の適否を音声や文字表示で報知するスピーカ20、液晶パネル等の表示部22などで構成される報知部200を備える。
【0022】
なお、画像判別部101による第1の判別結果は、撮像部23で取得した画像データに基づいて判別される運転者の着座位置および運転者の保護具(シートベルト、ヘルメット等)着用状態を含むようにできる。
【0023】
また、操作状態判別部102による第2の判別結果は、車両の操作状態に基づいて判別される指差呼称操作状態および車両が備える作動部(各種レバー、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル等)の操作状態を含むようにできる。
また、安全運転判定システムS1は、車載器10と通信回線(無線回線)N1を介して接続される事務所PCなどで構成される外部装置30を備える。
安全運転判定システムS1によれば、運転者が車両の安全運転を行える状態にあるか、および指差呼称等の動作を励行しているかを正確に判定することができる。
【0024】
(安全運転判定システムの構成例)
図2を参照して、本実施の形態に係る安全運転判定システムS1の構成例について説明する。
安全運転判定システムS1は、車載器10と外部装置としての事務所PC30とから構成される。
【0025】
車載器10は、例えば車両Vの一種として、倉庫等の構内を移動する車両であるフォークリフトに搭載され、フォークリフトの運行に関する運行データを収集して事務所PC30に送信する。
事務所PC30は、事業者の事務所等に設置され、車載器10から受信した運行データをサーバ(図示せず)等へ送信する。
安全運転判定システムS1は、複数の顧客の事務所等に設置される複数の事務所PC30及び複数の車載器10を含む。
【0026】
車載器10は、デジタルタコグラフの機能及びドライブレコーダの機能を備えている。 事務所PC30は、事務所に設置された汎用のコンピュータ装置で構成され、フォークリフトの運行状況を管理する。
【0027】
車載器10は、デジタルタコグラフの機能を有し、車両(フォークリフト)の走行距離、走行時間、走行速度、速度オーバ、エンジン回転数オーバ、急発進、急加速、急減速等の運行データを記録する。
【0028】
また、車載器10は、ドライブレコーダの機能を有し、車両周辺を撮影した映像データを常時記録し保存したり、車両の衝突等の異常な状況を検知した場合に、トリガ信号を出力し、このトリガ信号に同期して画像を含むデータを一定時間だけ自動的に記録し保存する。
【0029】
車載器10は、CPU11、不揮発性メモリ26A、揮発性メモリ26B、記録部17、カードI/F18、音声I/F19、RTC(時計IC)21、表示部22を有する。
CPU11は、車載器10の各部を統括的に制御し、不揮発性メモリ26Aは、CPU11によって実行される動作プログラム等を格納する。
記録部17は、運行データやカメラ(撮像部)23で取得された画像データ等を記録する。
【0030】
カードI/F18には、乗務員(運転者)が所持するメモリカード65が挿抜自在に接続される。CPU11は、カードI/F18に接続されたメモリカード65に対し運行データ、画像データ等を書き込む。
音声I/F19には、報知部を構成する内蔵のスピーカ20が接続される。スピーカ20は、安全運転の判定に基づいて警報等の音声を発する。1
RTC21(計時部)は、現在時刻を計時する。
【0031】
報知部を構成する表示部22は、LCD(LiquidCrystalDisplay)で構成され、通信や動作の状態の他、安全運転の判定に基づいて警報等を表示する。
また、車載器10は、センサ入力I/F14、カメラI/F16、通信部24及び電源部25を有する。
【0032】
センサ入力I/F14には、加速度(G値)を検知する加速度センサ(Gセンサ)27、磁気センサ28、及びジャイロセンサ29が接続され、Gセンサ27、磁気センサ28、及びジャイロセンサ29からの信号が入力される。
【0033】
カメラI/F16には、車両(フォークリフト)Vに設置され、
図3に示すように、運転者の前方を撮像して画像データを取得するカメラ(車載カメラ)23が接続される。
【0034】
カメラ23は、車両の移動中に、運転者500の例えば頭部501、腕部502a、502b等を撮像して取得した画像データを、カメラI/F16を介してCPU11に入力する。
【0035】
カメラ23は、例えば魚眼レンズを通して撮像される撮像面に例えば30万画素、100万画素、200万画素が配置されたイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサやCCD(電荷結合素子)センサなど公知のセンサで構成されている。
【0036】
カメラ23で撮像された画像データは、記録部17に時系列に記録されるが、所定時間分だけ記録されるように繰り返し上書きされるようにしてもよい。カメラ23で撮像される画像データは、静止画、動画の何れであってもよい。
【0037】
また、カメラ23は、車両の前方の他、車両の後方、左側方、右側方を撮像可能なように、複数設けてもよい。また、各方向を撮像する複数のイメージセンサが1つの筐体に収容されたものでもよい。
なお、カメラ23は、運転者の撮影に限らず、車両の前方、左右方向、後方の撮像、任意の角度方向の映像を撮像可能としてもよい。
【0038】
通信部24は、Wifi(登録商標)等の無線LANの通信規格に対応した無線通信モジュールであり、所定のアクセスポイント8等との間で無線通信用の回線を確保することができる。
【0039】
例えば、構内に設置されているアクセスポイント8から所定範囲内(例えば半径100m程度の範囲)に車載器10が存在する場合に、通信部24がアンテナを介してアクセスポイント8と接続できる状態になるようにできる。
通信部24は、フォークリフトの運行に関する運行データを、アクセスポイント8を介して事務所PC30に送信する。
【0040】
一方、事務所PC30は、汎用のオペレーティングシステムで動作するPCにより構成されている。事務所PC30は、車載器10を管理する管理装置として機能し、CPU31、通信部32、表示部33、記憶部34、カードI/F35、操作部36、出力部37、音声I/F38及び外部I/F48を有する。
CPU31は、事務所PC30の各部を統括的に制御する。通信部32は、アクセスポイント8を介して車載器10と通信可能である。
表示部33は、運行管理画面の他、運転者の映像等を表示する。
記憶部34は、車載器10から受信した画像データや運行データを表示するためのソフトウェア等、各種プログラムを格納する。
【0041】
カードI/F35には、メモリカード65が挿抜自在に装着される。カードI/F35は、車載器10によって計測されメモリカード65に記憶された運行データを入力する。 操作部36は、キーボードやマウス等を有し、事務所の管理者の操作を受け付ける。出力部37は、各種データを出力する。音声I/F38には、スピーカ42が接続される。 なお、事務所の管理者は、スピーカ42を用いて車両の運転者に警報を発することが可能である。
【0042】
また、無線LANの通信機能を利用して、メモリカード65に保持されている運行データを事務所PC30に転送する場合には、メモリカード65を車載器10から取り外す必要はない。また、事務所PC30のカードI/F35を省略することもできる。
外部I/F48には、画像データおよび運行データを記憶可能なデータベース56が接続される。
【0043】
(車両内の状態について)
本実施の形態に係る安全運転判定システムS1を適用した車両(フォークリフト等)Vの車両内の状態について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3に示すように、車両(フォークリフト等)Vの社内には、運転者500が着座するシート600が設置されている。
シート600は、座面部601と、背もたれ部602が設けられている。また、運転者500が着座した姿勢で上半身を保持するシートベルト603が設けられている。
【0044】
そして、車内の前方側の上部には、撮像部としてのカメラ23が配置されている。このカメラ23は、運転者500が着座した状態で、頭部501、左右の腕部502a(502b)を含む領域の画像データを取得できるように調整される。
【0045】
これにより、例えば
図3に示す状態では、運転者500が、前方を視認できる正しい姿勢で着座しているか、ヘルメットが必要な場合には頭部に正しく着用しているか、シートベルトを正しい状態で着用しているか、腕部502a(502b)によりハンドル604または操作レバーを正しい状態で操作しているか等を判別する画像データをカメラ23によって取得することができる。
また、
図4に示す状態では、運転者500が、例えば右腕502bを上げて、正しい状態で指差呼称の動作を行っているかを判別する画像データをカメラ23によって取得することができる。
【0046】
(着座位置とヘルメット着用有無の判定処理について)
次に、
図5のフローチャートを参照して安全運転判定システムS1で実行される着座位置とヘルメット着用有無の判定処理の処理手順の例について説明する。
なお、本処理および後述の各処理は、車載器10等が備えるOS(オペレーティングシステム)と所定のアプリケーションプログラムとの協働により実現することができる。但し、各処理の一部または全部をハードウェアで実現するようにしてもよい。
この処理が開始されると、ステップS101で、運転者500を撮影した画像データに基づいて検知した着座位置が正規の位置であるか否かが判定される。
【0047】
なお、かかる判定は、画像判別部101による第1の判別結果と、操作状態判別部102による第2の判別結果とを、予め格納されている所定の安全状態に関する情報と比較することで行われる。
【0048】
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS102に移行する。ステップS102では、画像判別部101による第1の判別結果と、操作状態判別部102による第2の判別結果とを、予め格納されている所定の安全状態に関する情報と比較することにより、運転者500が頭部501にヘルメットを着用しているか否かが判定される。
そして、判定結果が「Yes」の場合には、安全運転が励行されているとして、ステップS101に戻る。
一方、ステップS101またはステップS102で「No」と判定された場合にはステップS103に移行する。
ステップS103では、前後進レバー操作、またはアクセルペダル操作が行われたか否かが判定される。
【0049】
なお、かかる判定は、画像判別部101による第1の判別結果(例えば、運転者500によるレバー操作に関連する画像データの判別結果)と、操作状態判別部102による第2の判別結果(アクセルペダルの操作状況等の判別結果)とを、予め格納されている所定の安全状態に関する情報と比較することで行われる。
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS101に戻り、「Yes」の場合にはステップS104に移行する。
ステップS104では、報知部(スピーカ20、表示部22)200により、音声または表示による警報を行うと共に、記録を行って処理を終了する。
報知内容としては、例えば「規則に従った安全運転を励行してください」、「正しい姿勢で着座してください」、「ヘルメットを正しく着用してください」等が挙げられる。
【0050】
(指差呼称の判定処理について)
次に、
図6のフローチャートを参照して安全運転判定システムS1で実行される指差呼称の判定処理の処理手順の例について説明する。
この処理が開始されると、ステップS201で、指差呼称を2連続で検知したか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合にはステップS202に移行する。ステップS202では、検知した指差呼称が、後・前の順であるか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合にはステップS203に移行する。ステップS203では前後進レバーを前進方向へ操作したか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合には、安全運転が励行されているとして、ステップS201に戻る。
判定結果が「No」の場合には、ステップS204に移行して、正確でない指差呼称の動作が行われた旨の警報(報知)と、記録を行って処理を終了する。
また、ステップS202で「No」と判定された場合にはステップS206に移行する。
ステップS206では、検知した指差呼称が、前・後の順であるか否かが判定される。
「Yes」の場合にはステップS207に移行する。ステップS207では、前後進レバーを後進方向へ操作したか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合には、安全運転が励行されているとして、ステップS201に戻る。
【0051】
また、ステップS206またはステップS207の判定結果が「No」の場合には、ステップS208に移行して、正確でない指差呼称の動作が行われた旨の警報(報知)と、記録を行って処理を終了する。
一方、ステップS201で「No」と判定された場合にはステップS205に移行する。
【0052】
ステップS205では、前後進レバーを操作したか否かが判定される。判定結果が「No」の場合には、安全運転が励行されているとして、ステップS201に戻る。
また、判定結果が「Yes」の場合には、ステップS209に移行する。ステップS209では、指差呼称が未実施である旨の警報(報知)と、記録を行って処理を終了する。
これにより、正しく指差呼称が実施され、安全運転が励行されているかを判定することができる。
【0053】
(判定処理の他の実施例について)
次に、
図7から
図10のフローチャートを参照して安全運転判定システムS1で実行される判定処理の他の実施例の処理手順の例について説明する。
まず、
図7は、メイン判定処理のフローチャートである。
この処理が開始されると、ステップS301でイグニッションスイッチがオンにされて、運転を開始する。
【0054】
スイッチ302では、車速が閾値以上になったか否かが判定される。なお、車両がトラックである場合、事業所敷地内等で低速で走行していることが多々ある。そのため、通常道路を走行し始めた時点では、閾値を約40km/h程度とすることができる。
そして、判定結果が「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS303に移行する。
ステップS303では、運転者(ドライバー)500の通常走行位置等を調整するキャリブレーションを行って、
図8に示すサブルーチンSB1に移行する。
図8に示すサブルーチンSB1は、脇見(或いは居眠り)運転を検知する処理である。
【0055】
ステップS304では、運転者(ドライバー)500の着座姿勢について通常ポジション等を設定するキャリブレーションを行って、ステップS305に移行する。
【0056】
ステップS305では、画像データに基づいて、運転者(ドライバー)500の頭部501のyaw角度もしくはpitch角度が任意の時間(例えば、約3秒程度)以上にわたって、キャリブレーション値と比較して角度絶対値が大きくなったかが判定される。
即ち、通常位置よりも顔向き角度が大きくなった場合を、頭部501が下や横を向いた状態(脇見している状態)と判定する。
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS306に移行し、「Yes」の場合には
図9のサブルーチンSB2に移行する。
【0057】
ステップS306では、画像データに基づいて、運転者(ドライバー)500の閉眼状態が任意の時間(例えば、2秒)以上にわたって続いたか否かが判定される。
判定結果が「No」の場合にはステップS305に戻り、「Yes」の場合には
図9のサブルーチンSB2に移行する。
図9に示すサブルーチンSB2は、危険で急を要する脇見運転を検知する処理である。
ステップS307では、脇見による前方車両への接近を判定する。即ち、車間距離が減少しているか否かが判定される。
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS308に移行し、「No」の場合には
図10のサブルーチンSB3に移行する。
ステップS308ではフラグAを立て、ステップS309で警告音を発声させてステップS310に移行する。
ステップS310では、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
一方、ステップS311では、脇見による無意識な前方車両への接近を判定する。即ち、速度パルスに基づいて法定速度を超過しているかが判定される。
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS312に移行し、「No」の場合には
図10のサブルーチンSB3に移行する。
ステップS312ではフラグBを立て、ステップS313で警告音を発声させてステップS314に移行する。
ステップS314では、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
また、ステップS315では、車線認識により脇見による車線逸脱の有無を判定する。
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS308に移行し、「No」の場合には
図10のサブルーチンSB3に移行する。
ステップS308ではフラグAを立て、ステップS309で警告音を発声させてステップS310に移行する。
ステップS310では、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
図10に示すサブルーチンSB3は、危険には繋がらなかった脇見運転を判定する処理である。
ステップS401では、脇見をしたことで走行位置ズレを生じたか、即ち、横移動速度に基づいて、ふらつきを生じたか否かが判定される。
【0058】
判定結果が「Yes」の場合にはステップS402に移行する。ステップS402では、フラグDを立て、ステップS403で、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
【0059】
また、ステップS401で「No」と判定された場合には、ステップS410で車両挙動に影響のない脇見であるとしてフラグ記録(解析用データの記録)を行って処理を終了する。即ち、この場合には、脇見運転と判断するには不確実であるため、脇見運転の警報の対象とはしないように処理する。
ステップS404では、脇見をしたことで障害物を避けるような動きを生じたか、即ち車両Vが急旋回したか否かが判定される。
【0060】
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS405に移行する。ステップS405では、フラグEを立て、ステップS406で、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
【0061】
また、ステップS404で「No」と判定された場合には、ステップS410で車両挙動に影響のない脇見であるとしてフラグ記録(解析用データの記録)を行って処理を終了する。即ち、この場合には、脇見運転と判断するには不確実であるため、脇見運転の警報の対象とはしないように処理する。
ステップS407では、前方車両へ接近したことによる急ブレーキが有ったか、即ち、急減速したか否かが判定される。
【0062】
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS408に移行する。ステップS4025は、フラグFを立て、ステップS409で、車内外の画像データ等を含めトリガ記録を行って処理を終了する。
【0063】
また、ステップS407で「No」と判定された場合には、車両挙動に影響のない脇見であるとしてフラグ記録(解析用データの記録)を行って処理を終了する。即ち、この場合には、脇見運転と判断するには不確実であるため、脇見運転の警報の対象とはしないように処理する。
【0064】
以上、本発明の安全運転判定システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0065】
S1 安全運転判定システム
V 車両
10 車載器
11 CPU
16 インターフェイス部(カメラI/F)
23 カメラ(撮像部)
26A 不揮発性メモリ(安全状態情報格納部)
30 外部装置(事務所PC)
101 画像判別部
102 操作状態判別部
103 判定部
200 報知部