(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】PET装置および算出方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240709BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01T1/161 Z
G01T1/161 C
G01T7/00 C
(21)【出願番号】P 2020197946
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-04
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエンユエン チー
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン
(72)【発明者】
【氏名】エヴレン アズマ
(72)【発明者】
【氏名】シャオリ リ
(72)【発明者】
【氏名】リ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ペン ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コルサマー
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0192896(US,A1)
【文献】特開2008-170329(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203822(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0176087(US,A1)
【文献】S. Kinouchi et al.,New Component-Based Normalization Method to Correct PET System Models,Medical Imaging Technology,日本,The Japanese Society of Medical Imaging Technology,2011年,Vol. 29, No. 5,pp. 239-249,DOI: 10.11409/mit.29.239
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 1/40
G01T 7/00 - 7/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器と、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、前記結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第2の結晶効率と、前記線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率と、を取得する取得部と、
前記第1の結晶効率と前記第2の結晶効率と前記第3の結晶効率とに基づいて、第4の結晶効率を算出する算出部と、
を備える、PET装置。
【請求項2】
前記線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数する計数部と、
前記リング毎の同時計数イベントの数を決定する決定部をさらに備え、
前記取得部は、前記シングルイベントの数と、前記同時計数イベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を取得する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記シングルイベントの数に基づいて前記結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、前記同時計数イベントの数に基づいて前記結晶の軸方向の相対的効率を決定し、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、前記第1の結晶効率を取得する、請求項2に記載のPET装置。
【請求項4】
前記取得部は、模擬された前記円筒状線源から照射されるガンマ線を、模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、前記第2の結晶効率を取得し、模擬された線状線源から照射されるガンマ線を、前記模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、前記第3の結晶効率を取得する、請求項1~3のいずれか1つに記載のPET装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記シングルイベントの数に基づいて前記結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、前記模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記同時計数イベントの数に基づいて前記結晶の軸方向の相対的効率を決定し、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、前記第3の結晶効率を取得する、請求項4に記載のPET装置。
【請求項6】
前記計数部は、前記線状線源から照射される実測のガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記シングルイベントの数を補正する、請求項2に記載のPET装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記模擬された前記円筒状線源から照射されるガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記模擬された前記円筒状線源に基づく前記シングルイベントの数を補正する、請求項4に記載のPET装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記模擬された前記線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記模擬された前記線状線源に基づく前記シングルイベントの数を補正する、請求項4に記載のPET装置。
【請求項9】
前記第4の結晶効率を用いて正規化されたデータセットに基づいて、PET画像を再構成する再構成部をさらに備える、請求項1~8のいずれか1つに記載のPET装置。
【請求項10】
複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器と、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数する計数部と、
線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づくシングルイベントの数と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第1の結晶効率とを取得する取得部と、
前記実測のガンマ線に基づくシングルイベントの数と前記シミュレーションに基づくシングルイベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第2の結晶効率を算出する算出部と、
を備える、PET装置。
【請求項11】
複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器を有するPET装置によって実行される算出方法であって、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、前記結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第2の結晶効率と、前記線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率と、を取得し、
前記第1の結晶効率と前記第2の結晶効率と前記第3の結晶効率とに基づいて、第4の結晶効率を算出する、
ことを含む、算出方法。
【請求項12】
複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器を有するPET装置によって実行される算出方法であって、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数し、
線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づくシングルイベントの数と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第1の結晶効率とを取得し、
前記実測のガンマ線に基づくシングルイベントの数と前記シミュレーションに基づくシングルイベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第2の結晶効率を算出する、
ことを含む、算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、PET装置および算出方法に関する。
【0002】
具体的には、本開示は、任意の半径の小さな円筒状線源を用いた実データ収集と正規化シミュレーションの組み合わせにより、有限な空間的広がりを有する線源を用いた場合と等価な陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)検出器の正規化を可能にするPET装置及び算出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的とするものである。現在の指定された発明者の研究は、この背景の項目で説明されている範囲において、ならびに出願時に先行技術と見なされない説明の態様においては、明示的にも黙示的にも本開示に対する先行技術として自認するものではない。
【0004】
陽電子放出断層撮影(PET)は、放射性トレーサーの使用を通して、ヒトまたは動物における生化学的プロセスをイメージングできる機能的イメージングモダリティである。PETイメージングでは、注射、吸入、または摂取を介して、イメージングすべき患者にトレーサー物質が導入される。投与された後、この物質は、その物理的および生体分子特性により、患者の身体の特定の場所に集積される。当該物質の実際の空間分布、蓄積領域の強度、および投与から最終的な排泄までのプロセスの動態は、全て臨床的意義を有し得る因子である。
【0005】
PETシステムは、正確で信頼できる画像再構成を保証するために、幾つかの補正を使用することができる。最も一般的で重要な補正の1つは減衰補正である。PETの減衰を正確に補正する機能は、特に単一光子放射型コンピュータ断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography:SPECT)と比較して、最終的な再構成画像を大幅に改善した最初の発展の1つであった。減衰に加えて、他のモダリティを用いた一般的な補正スキーム(例えば散乱補正、不感時間の推定)、およびその他のPET固有の補正(例えばランダム補正)もまた、定性的および定量的な結果の改善のために使用される。
【0006】
PET検出器の構造および結晶自体の固有の特性は、考慮されうる種々のタイプの系統的エラーおよびランダムエラーの原因となりうる。PETデータセットの応答線(Lines Of Response:LOR)は、検出器の効率の変動、対象となる立体角、および隣接するデータ要素の合計を含む様々な理由で感度が異なる。これらの変動に関する情報は、定量的でアーチファクトのない画像をより正確に再構成するために利用される。特に、これらの変動は、画像再構成の前または最中に修正することができる。ノーマライゼーション(以下、正規化とも記載する)とは、上記の変動を補正するプロセスを指し、正規化係数は各LORの補正係数を指す。正規化が不十分なPET検出器は、生成される画像の診断値を低下させる可能性がある。
【0007】
デフリーズ(Defrise)法は、重く且つ調製が難しい大型の均一な円筒状ファントムまたは回転円筒状ファントムの使用を含む。これは、i)デフリーズ法は、円筒状ファントムの中心を通過するLORと隣接するLORの数が同じであるとの仮定に基づいており、ii)大きな円筒状ファントムは、軸横断方向ドメインで結晶の斜めの入射角を有する事象を有することができ、iii)円筒状ファントムは実際の患者のサイズに近い、ためである。このような円筒状ファントムは、より長い軸方向の視野(Field Of View:FOV)または大きなボアを備えたPETスキャナでは取り扱いがますます困難になる可能性がある。したがって、任意のPETスキャナで使用するための、半径が小さく且つ重量の小さいファントムを用いた方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2015/0142389号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0131774号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0176087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、任意の半径の小さな円筒状線源を用いた結晶効率の算出を可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態のPET装置は、PET(Positron Emission Tomography)検出器と、取得部と、算出部とを有する。PET(Positron Emission Tomography)検出器は、複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成される。取得部は、線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、前記結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第2の結晶効率と、前記線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率と、を取得する。算出部は、前記第1の結晶効率と前記第2の結晶効率と前記第3の結晶効率とに基づいて、第4の結晶効率を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、一実施形態に係るPETスキャナの軸横断方向断面の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施形態に係る第1の結晶についての軸方向ドメインにおける結晶効率の正規化を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、一実施形態に係る第2の結晶についての軸方向ドメインにおける結晶効率の正規化を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るリアル線状線源(Real Line Source:RLS)を用いて結晶効率を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るシミュレートされた円筒状線源を用いてシミュレートされた結晶効率を決定する方法の一例を示すフローチャートである
【
図4】
図4は、一実施形態に係るシミュレートされた線状線源を用いてシミュレートされた結晶効率を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る第1の組み合わされた結晶効率を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る第2の組み合わされた結晶効率を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る結晶効率マップを示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る補正されたシングルのプロファイルを決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、一実施形態に係る中心から外れた線源を用いたRLSシングル計数の分布を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、一実施形態に係るRLSシングル計数の分布の曲線適合を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、一実施形態に係る補正されたRLSシングル計数分布の分布を示す図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る結晶効率マップを示す図である。
【
図11A】
図11Aは、一実施形態に係る陽電子放出断層撮影(PET)スキャナを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例として提案される本開示の様々な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明するが、添付図面においては、同様の数字は同様の要素を意味する。
【0013】
以下の開示では、提供される主題の異なる特徴を実装するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素および配置の特定の例を以下に説明する。勿論、これらは単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、以下の説明において、第2の特徴の上または真上への第1の特徴の形成は、第1および第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含み得るものであり、また第1および第2の特徴が直接接触し得ないように、第1および第2の特徴の間に追加の特徴が形成され得る実施形態をも含み得るものである。更に、本開示では、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、単純さおよび明確さを目的とするものであり、それ自体では、説明される様々な実施形態および/または構成の間の関係を規定するものではない。更に、「頂部」、「底部」、「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語が、図に示された要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記載する説明を容易にするために、本明細書において使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの様々な向きを包含することが意図されている。当該システムは、他の方法で方向付けられてもよく(90度または他の方向に回転して)、また本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて同様に解釈されてよい。
【0014】
本明細書において記載される異なるステップの説明の順序は、明確化のために提示されているものである。一般に、これらのステップは任意の適切な順序で実行できる。更に、本明細書の異なる特徴、技法、構成などの各々は、本開示の種々の場所で論じられ得るが、当該概念の各々は互いに独立して、または互いに組み合わせて実施できることが意図されている。したがって、本開示の技術は、多くの異なる方法で具体化および検討することができる。
【0015】
本開示は、処理回路を具備するイメージングシステムに関し、当該処理回路は、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得するように設定され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器について、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器についての前記リアルシングル計数に基づき、軸横断方向の相対的効率を決定するように設定され、前記リアル線状線源から放出されて反対方向に移動する前記シングルガンマ線をペアリングして、前記シングルガンマ線のペアを取得するように設定され、前記リアル線状線源から放出され、且つi)前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記リアル検出器(複数)の第1のラインに沿った前記リアル検出器(複数)の第1のリアル検出器、およびii)前記リアル検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのリアル検出器(複数)によって検出された前記シングルガンマ線のペア(複数)のリアルペア計数を取得するように設定され、前記第2のラインのリアル検出器(複数)は前記リングの第1のリアル検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったリアル検出器(複数)の第1のリアル検出器は、前記検出されたペアにおける第1のシングルガンマ線を検出し、また前記リアル検出器(複数)の第2のラインにおけるリアル検出器(複数)の1つは、前記検出されたペアにおける第2のシングルガンマ線を検出するように設定され、
前記第1のラインのリアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルペア計数に基づいて軸方向の相対的効率を決定するように設定され、また前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、リアル線状線源検出器効率を決定するように設定される。
【0016】
本開示は更に、スキャンニングシステムにおける検出器素子を正規化する方法に関し、当該方法は、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは、相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器について、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器についての前記リアルシングル計数に基づいて、軸横断方向の相対的効率を決定することと、前記リアル線状線源から放出されて反対方向に移動する前記シングルガンマ線(複数)をペアリングして、前記シングルガンマ線のペア(複数)を取得することと、前記リアル線状線源から放出され、且つi)前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記リアル検出器(複数)の第1のラインに沿った前記リアル検出器(複数)の第1のリアル検出器、およびii)前記リアル検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのリアル検出器(複数)によって検出された、前記シングルガンマ線のペア(複数)のリアルペア計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のリアル検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったリアル検出器(複数)の第1のリアル検出器は、前記検出されたペアにおける第1のシングルガンマ線を検出し、また前記リアル検出器(複数)の第2のラインにおけるリアル検出器(複数)の1つは、前記検出されたペアにおける第2のシングルガンマ線を検出し、前記第1のラインのリアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルペア計数に基づいて軸方向の相対的効率を決定することと、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、リアル線状線源検出器効率を決定することとを含む。
【0017】
なお、上記した概要は、本開示または特許請求の範囲に記載の事項の全ての実施形態および/または付加的に新規な態様を特定するものではなく、異なる実施形態および対応する新規性のポイントの予備的な議論のみを提供するものである。本実施形態の更なる詳細および/または可能な全体像について、読者は、以下で更に議論される本開示の詳細な説明の項目、および対応する図へと導かれる。
【0018】
本明細書で論じられる1つの実施形態によれば、結晶効率の正規化のための方法は、i)複数の検出器結晶のリング内の軸横断ドメインに沿った陽電子放出断層撮影(PET)スキャナシステムにおける複数の検出器結晶の各々について、シングルイベント計数を決定することと、ii)調整可能な半径の円筒状ファントムについて、複数の検出器結晶の軸方向ドメインに沿った複数の検出器結晶のペアについてのペア事象計数(コインシデンス計数)を決定することとを含む。
【0019】
本明細書で論じられる1つの実施形態によれば、結晶効率の正規化のための方法は、調整可能な半径を有する円筒状ファントムを含む。特に、可動部品を最小限に抑えることができ、また円筒ファントムの調製、取り扱い、および保管が改善される。一部の正規化の方法では、平均的な患者の胴体半径に最もよく一致するように20cmの半径を備えた円筒状ファントムを使用するが、ここに開示された方法の調整可能な半径の円筒状ファントムは、患者のために適切に調整および最適化することができる。特に、この円筒状ファントムは細く、任意の半径の小さな円筒状線源であり、理想的な点状線源放射線放出を有する線状線源に近づくことができる。
【0020】
PETスキャナ効率の正規化について、検出器アレイ内の各検出器結晶は相互に差異を有する可能性がある。これは製造上の欠陥、変更された製造プロトコル、または単一の製造元の同じプロトコルで製造された結晶間でさえもマイナーな材料特性(結晶構造など)の変動を生じることに起因し得る。加えて、結晶がPETシステムに導入される際に、その結晶に接続される電子機器に性能の変動が含まれる可能性がある。最後に、結晶の幾何学的配置が効率の更なる相違をもたらす可能性があり、これには、結晶の位置および結晶間のギャップが含まれ得る。前述の全ての性能低下の原因に起因した検出器結晶の全体の性能は、検出器結晶の効率として表すことができる。すなわち、システム内の第1の検出器結晶は、同じシステム内の別の第2の結晶よりも少ない信号またはイベントを検出する可能性がある。このより少ない信号の検出は、例えば、放射線の追加の減衰という誤った結論(すなわち、身体が放射線を吸収したと誤って結論付けること)を導く可能性がある。これにより、最終的な画像再構成に追加の減衰が含められる可能性がある。検出器の結晶効率を考慮せずにデータから画像を再構築すると、不適切な診断を導き得る。したがって、画像再構成の精度を改善するために、結晶の正規化を利用して、全ての検出器結晶間の相対的な差異が決定される。特に、絶対的な検出器結晶効率の代わりに相対的な検出器結晶効率を用いることは、画像再構成を改善するために十分であることができる。
【0021】
図1Aは、一実施形態に係るPETスキャナ100の軸横断方向断面の概略図である。一実施形態において、PETスキャナ100は、中心軸周りにリング状に配置された、ガンマ線を検出するように構成された検出器結晶105を含む。PETスキャナ100は、リングの軸に沿って配置された検出器結晶105の追加のリングを含むことができる。PETスキャナ100の追加の特徴が、
図1Bおよび1Cに示されており、また以下の付随する記載で説明される。ファントムまたは人間のような、スキャンされる対象物は検出器結晶105の中心に配置することができる。例えば、ファントムは、リアル線状線源(RLS)110であることができる。以下では、「RLS110」、「リアル検出器」、「リアルシングル計数」、「リアルペア計数」などにおける「リアル」の用語は、シミュレートされていない特徴を指称し得るものと理解することができる。例えば、RLS110は、商業的設定においてユーザが取り扱うことができ、且つPETスキャナ100内に物理的に配置することができる、物理的で有形のファントムまたは放射線源であることができる。同様に、以下では、「シミュレートされた」という修飾語を含む用語および特徴は、シミュレーションまたは数学的モデリング手法(例えばモンテカルロシミュレーション)を使用して、シミュレートまたはモデル化された用語および特徴を指すことができる。
【0022】
一実施形態において、RLS110は中実または中空であることができ、例えば、陽電子を放出するトレーサーを有する流体を中空の空洞に充填することによって、放射線を放出するように構成することができる。特に、RLS110は、使用される他のファントム、例えばより広い空洞の円筒状ファントムよりも軽量で且つ半径の小さいものであることができる。更に、RLS110は、PETスキャナに配置され且つ複雑な機械による正確な回転が必要な、ときには回転チューブファントムとも称されるより細い円筒状ファントムと比較して有利である。
【0023】
ファントムまたは人間から放出された陽電子が電子と衝突したときに、陽電子と電子が結合する対消滅イベントが発生する。殆どの場合、この対消滅イベントは実質的に180度離れて移動する2つのガンマ線(511keVにおいて)を生成する。これらのガンマ線の1つは、シングル115と呼ばれる。断層撮影再構成原理を介してトレーサーの時空間分布を再構成するために、検出された各イベントは、そのエネルギー(すなわち、生成される光の量)、その場所、およびそのタイミングについて特徴付けされる。2つのガンマ線(すなわち、2つのシングル115)を検出し、それらの位置の間に線、すなわち、応答線(LOR)を引くことによって、元となる崩壊のありそうな位置を決定することができる。
【0024】
図1Bおよび
図1Cにおいては、一実施形態に係るPETスキャナ100の軸方向断面の概略図を示す。この断面は、リング配置の結晶105の位置の1つが、複数のリングを有するPETスキャナ100の長さに関して示されるように、PETスキャナ100の軸に沿うことができる。同様に、PETスキャナ100の中心に配置されたRLS110の長さも示されている。RLS110は、
図1Aについて上述したように放射線を放出できるが、
図1Bおよび
図1Cにおいて、シングル115は、対消滅イベントから実質的に180度離れて移動する2つのシングル115へとペアリングされており、これはペア120と称することができる。
【0025】
一実施形態において結晶105の効率の正規化を実行するために、
図1Aは、中心に配置されたRLS110から放出されるシングル115が、如何にして同じリング内の各結晶105においてカウントされ、且つその後に当該シングル115の計数が比較され得るかを示している。すなわち、リアル(シミュレートされていない)のRLS110は、リアル(シミュレートされていない)のPETスキャナ100に配置することができ、リアル結晶105の効率は、軸横断方向ドメイン(単独のリングの平面に沿ってPETスキャナ100の軸に直交するドメイン)および軸方向ドメイン(PETスキャナ100の軸に沿うドメイン)に分離することができる。しかしながら、軸横断方向ドメインでは、各結晶105についてのシングル115の計数は、RLS110をPETスキャナ100に配置するときの位置決めエラーに起因して、位置依存性である可能性がある。すなわち、RLS110の位置が検出器105のリングの片側に僅かに近い場合、その片側に沿った検出器105は、より多くのシングル115の計数を検出すると考えられる。したがって、結晶105間の効率の違いが結晶105の特性(例えば、材料(結晶構造)欠陥、製造欠陥など)によって引き起こされるのか、結晶105の位置によって引き起こされるのかについての曖昧さがあり得る。この曖昧さを解消するために、RLS110を使用した効率の正規化ステップを更に実行することができる。
【0026】
図1Bは、一実施形態に係る第1の結晶105aの軸方向ドメインにおける効率の正規化を示す図である。
図1Cは、一実施形態に係る第2の結晶105bの軸方向ドメインにおける効率の正規化を示す図である。一実施形態において、第1の結晶105aおよび第2の結晶105bは、PETスキャナ100のリングに沿った同じ位置であるが、異なるリング上にあることができる。第1の結晶105aと第2の結晶105bの間の相対的な効率は、i)シングル115を、第1の結晶105aまたは第2の結晶105bと反対側のカップリングされた結晶により検出される許容可能なペア120にペアリングすること(PETスキャナ100の端縁に沿ったリングの結晶105と比較したときの、PETスキャナ100の中央のリングにある結晶105によるシングル115のアンバランスな検出を除去するため)と、ii)第1の結晶105aおよび当該第1の結晶105aとカップリングされた反対側に沿った全ての結晶105で検出されたペア120をカウントすることと、iii)第2の結晶105bで検出されたペア120および当該第2の結晶105bとカップリングされた反対側に沿った全ての結晶105において検出されたペア120をカウントすることによって決定することができる。反対側の同じ結晶105が、第1の結晶105aおよび第2の結晶105bとカップリングするために使用されるので、これらのグループ間でペア120にカウント差がある場合、それは、第1の結晶105aおよび第2の結晶105bの効率差によって生じる。これは、軸方向ドメインに沿ったPETスキャナ100における各結晶105の相対的効率を決定するために、リング内の各位置にある全ての結晶105について実行することができる。
【0027】
続いて、軸方向および軸横断方向の両方の効率を組み合わせて、各結晶105についての全体的な効率を決定することができる。一実施形態において、各リングには、I個のリングおよびJ個の結晶105が存在し得る。各結晶105について検出されたシングル115の計数は、si,J, i=1, …,I, j=1, …, J として与えられ、また軸横断方向ドメインにおける結晶105の相対的効率は、以下の式(1)として与えることができる。
【0028】
【0029】
また、各結晶105について検出されたペア120の計数は、pi,J, i=1, …,I, j=1, …, J として与えることができ、また軸方向ドメインにおける結晶105の相対的効率は、以下の式(2)として与えることができる。
【0030】
【0031】
したがって、結晶105の推定される結晶効率ηi,jは、以下の式(3)によって与えることができる。ここで、式(3)における「N」は、ηi,jの正規化因子である。
【0032】
【0033】
図2は、一実施形態に係るRLS110を用いて結晶105の効率を決定する方法200の一例を示すフローチャートである。ステップ205では、RLS110がPETスキャナ100内に配置される。ステップ210では、RLS110から放出されたシングル115が、軸横断方向ドメインにおける結晶105についてカウントされ得る。すなわち、各リングにおける結晶105について、検出器105の各リングは、他のリングとは別にカウントされる。シングル115をカウントして、RLSシングル計数215「s
i,J」を取得することができる。軸方向ドメインについては、シングル115を一緒にペアリングしてステップ220においてカウントし、RLSペア計数225「p
i,J」を取得することができる。ステップ230では、軸横断方向ドメインにおける結晶105の相対的効率を、RLSシングル計数215に基づいて決定することができる(式(1)参照)。ステップ235では、軸方向ドメインにおける結晶105の相対的効率を、RLSペア計数225に基づいて決定することができる(式(2)参照)。ステップ240においては、RLSシングル計数215およびRLSペア計数225に基づいて全体的なRLS110、結晶105の効率を決定して、RLS結晶効率245を得ることができる。なお、有利なことに、方法200の全体は単回の正規化スキャンで実行することができ、追加のファントムをスキャンする必要はない。
【0034】
すなわち、方法200では、線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数し、リング毎の同時計数イベントの数を決定し、シングルイベントの数と、同時計数イベントの数とに基づいて、第1の結晶効率(RLS結晶効率)を取得する。ここで、方法200では、シングルイベントの数に基づいて結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、同時計数イベントの数に基づいて結晶の軸方向の相対的効率を決定し、軸方向の相対的効率および軸横断方向の相対的効率に基づいて、第1の結晶効率を取得する。
【0035】
例えば、
図1Aに示される結晶105は、隣接する結晶105と接触しているように描かれているが、実際の設定でのPETスキャナ100は、結晶105間にギャップを含むことができるグループまたはモジュールに配置された結晶105を有し得る。RLS110から決定される結晶効率は、より中心配置されたより点状線源様の起源に由来するより理想的なLOR(すなわち、ペア120)を提供することができるが、これは中心から外れた対消滅イベントの起源に由来する幾つかの影響を打ち消すことができる。中心から外れたLORは、次いで結晶105間のギャップに移動し、ギャップに起因して隣接する結晶105からの「陰」のない結晶105の側面におけるシングル115またはペア120の検出計数に更に寄与する。何れにしても、この計数は結晶105によって記録され、これにより、検出されたシングル115またはペア120の起源を決定することにおいてエラーを導く可能性がある。
【0036】
したがって、上記を考慮すると、シミュレートされた結晶効率は、PETスキャナ100内の円筒状線源のシミュレーションを介して決定することができる。シミュレーションは、結晶105の配置、結晶105間のギャップ、および結晶105の形状によって引き起こされる相対的効率の違いに対する洞察を提供することができる。これらの因子は、RLS110および方法200を介して決定できる電子部品、製造欠陥などによる変動により引き起こされる相対的効率の差を増大させるために、シミュレーションによって決定することができる。有利なことに、シミュレーションは比較的速く、正確であり、自律的で、且つ労力の少ない(ユーザから見て)方法を提供し、PETスキャナ100の相対的効率の差を更に改善することができる。
【0037】
図3は、一実施形態に係るシミュレートされた円筒状線源を用いてシミュレートされた結晶105の効率を決定する方法300の一例を示すフローチャートである。ステップ305ではシミュレートされた円筒の形状が決定され、シミュレートされたPETスキャナに配置され得る。ステップ310では、シミュレートされた円筒から放出されたシミュレートされたシングルが、軸横断方向ドメインのシミュレートされた結晶についてカウントされ、シミュレートされた円筒のシングル計数315を得ることができる。軸方向ドメインについては、シミュレートされたシングルをペアリングし、ステップ320でカウントして、シミュレートされた円筒のペア計数325を取得できる。ステップ330では、シミュレートされた円筒のシングル計数315およびシミュレートされた円筒のペア計数325に基づいて、シミュレートされた円筒の効率が決定され、シミュレートされた円筒の結晶効率335を得ることができる。
【0038】
すなわち、方法300では、模擬された円筒状線源から照射されるガンマ線を、模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、第2の結晶効率(シミュレートされた円筒状線源の結晶効率)を取得する。
【0039】
前述のように、結晶105の効率は、形状誤差(結晶105の配置、結晶105間のギャップ)および物理的特性誤差(製造欠陥など)によって影響を受ける。PETスキャナ100自体の結晶105の物理的特性エラーのみによって引き起こされる結晶効率の相対的な違いを決定するために、シミュレートされた線源をシミュレートされたPETスキャナに配置することができる。
【0040】
図4は、一実施形態に係るシミュレートされた線状線源を用いてシミュレートされた結晶105の効率を決定する方法400の一例を示すフローチャートである。ステップ405では、シミュレートされた線状線源の形状を決定し、シミュレートされたPETスキャナに配置することができる。ステップ210では、シミュレートされた線源から放出されたシミュレートされたシングルが、軸横断方向ドメインのシミュレートされた結晶についてカウントされ得る。シミュレートされたシングルをカウントして、シミュレートされた線状線源のシングル計数415を取得することができる。軸方向ドメインについては、シミュレートされたシングルをペアリングし、ステップ420でカウントして、シミュレートされた線状線源ペア計数425を取得できる。ステップ430では、軸横断方向ドメインのシミュレートされた結晶の相対的効率を、シミュレートされた線状線源シングル計数415に基づいて決定する。ステップ435では、軸領域におけるシミュレートされた結晶の相対的効率を、シミュレートされた線状線源ペア計数425に基づいて決定できる。ステップ440において、全体的にシミュレートされた線状線源結晶効率を、シミュレートされた線状線源シングル計数415およびシミュレートされた線状線源ペア計数425に基づいて決定して、シミュレートされた線状線源結晶効率445を得ることができる。軸横断方向および軸方向ドメインにおけるシミュレートされた結晶の相対的効率415、425、およびシミュレートされた線状線源結晶効率445の計算は、方法200の計算と同様に実行することができる。
【0041】
すなわち、方法400では、模擬された線状線源から照射されるガンマ線を、模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、第3の結晶効率(SLS結晶効率)を取得する。ここで、方法400では、模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づくシングルイベントの数に基づいて結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づく同時計数イベントの数に基づいて結晶の軸方向の相対的効率を決定し、軸方向の相対的効率および軸横断方向の相対的効率に基づいて、第3の結晶効率を取得する。
【0042】
例えば、方法400は、方法200と組み合わせて実行することができ、方法200のRLS110の形状、配置、および放出特性は、方法400のシミュレートされた線状線源についてユーザが入力した形状、配列、および放出特性と厳密に一致することができ、その逆もまた同様である。取得期間などの他のスキャン変数は、リアルPETスキャナ100の望ましいスキャン条件に従って、シミュレーションで一致させることができる。その後、RLSシングル計数215と、シミュレートされた線状線源シングル計数415とを比較できる。シミュレーションとリアルPETスキャナ100は同じ条件下で動作するように調整できるため、決定された結晶効率の値の間に不一致がある場合、その不一致はリアルPETスキャナ100の結晶105の物理的特性エラーによって引き起こされる可能性がある。すなわち、シミュレーションは、実質的に同一の特性および寸法を有する実質的に同一の結晶をモデル化しており、エレクトロニクス効果、製造欠陥などに起因するエラーを強調させることができる。
【0043】
図5は、一実施形態に係る第1の組み合わされた結晶効率510を決定する方法500の一例を示すフローチャートである。一実施形態において、RLSシングル計数215とシミュレートされた線状線源シングル計数415との比較は、非点状線源放出体からの幾何学誤差を完全に説明することができないので、比較は、シミュレートされた円筒の結晶効率335と組み合わせることができる。円筒状線源のシミュレーションを使用して、結晶105の効率に関する形状誤差を決定できる。
【0044】
【0045】
【0046】
すなわち、方法500では、線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数し、線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づくシングルイベントの数と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第1の結晶効率とを取得し、前記実測のガンマ線に基づくシングルイベントの数と前記シミュレーションに基づくシングルイベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第2の結晶効率を算出する。
【0047】
図6は、一実施形態に係る第2の組み合わされた結晶効率610を決定する方法600の一例を示すフローチャートである。シミュレートされた線状線源と正確に同じ位置および向きでRLS110を配置するのは、ユーザにとって困難である場合があり得る。何らかの正しくない配置により、検出されたLORの不均一な分布または分布の変化が発生する可能性がある。RLS110の不正確な位置決めがこの種の変化を引き起こす場合、エラーがリアルな物理的特性エラーまたは位置決めエラーの何れにより引き起こされるのかに関して曖昧さが導入される。前述のように、RLS110は、結晶105間の軸横断方向ドメインのギャップに起因するエラーを除いて、結晶105の効率の殆どを捕捉できる。すなわち、物理的特性および形状エラーの殆どは説明できるが、軸横断方向ドメインのギャップは説明できない。したがって、シミュレートされた円筒状線源が導入されるのは、結晶105間の軸横断方向ドメインのギャップを考慮することができるからである。次に、シミュレーションにおけるシミュレートされた線状線源とリアルスキャンにおけるRLS110の結果を比較することにより、物理特性エラーの影響を絞り込むことができる。シングル計数の相違は線源の配置に起因する場合があるが、ペア計数の違いにより絞り込まれた結晶効率は、線状線源の配置には影響されない。円筒状線源のシミュレーションを使用して、結晶105の効率に対する形状誤差を決定できる。
【0048】
【0049】
【0050】
すなわち、方法600では、線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される結晶ごとの第2の結晶効率と、線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率とを取得し、第1の結晶効率と第2の結晶効率と第3の結晶効率とに基づいて、第4の結晶効率を算出する。換言すると、方法600では、第2の結晶効率と第3の結晶効率とに基づいて、第1の結晶効率を補正することで、第4の結晶効率を算出する。
【0051】
結晶105の効率差が前述の方法の何れかにより決定された後に、正規化された値を利用して、後続の画像をより正確に再構成することができる。
【0052】
図7は、一実施形態に係る結晶効率マップを示す図である。ここで、
図7(A)は、一実施形態に係るデフリーズ法を使用して生成された円筒状線源からの結晶効率マップを示す図である。
図7(B)は、一実施形態に係る方法600を使用して生成された線状線源からの結晶効率マップを示す図である。
図7(A)および
図7(B)は完全な結晶効率マップを示し、PETスキャナ100は、例えば、64個のリング(結晶マップにおける行)および1リングあたり576個の結晶(結晶マップにおける列)を含むことができる。この結果は、方法600からの提案された線状線源を利用した正規化結果が、円筒状線源を使用して得られたものと同様の全体的なパターンを有することを示している。
【0053】
図7(C)は、一実施形態に係る
図7(A)においてマークされた領域の拡大図である。
図7(D)は、一実施形態に係る
図7(B)においてマークされた領域の拡大図である。本開示によって提案された線状線源による正規化方法600は、矢印で示される細部をうまく捕捉している。
【0054】
先の方法では、放射線源が中心に配置されると仮定されているが、これは常に実際的であるとは限らない。この課題を克服するために、中心から外れた線源についての取得後補正方法が本明細書で説明される。
図8は、一実施形態に係る補正されたシングルプロファイルを決定する方法800の一例を示すフローチャートである。RLSシングル計数215を取得した後、取得されたRLSシングル計数215に基づいて、全ての結晶105が均一で、同じ取得に関して全く同じであると仮定して、RLS110の中心補正を適用できる。適切に中心に配置された線状線源については、同じシングル計数を用いた全ての取得は同じであると考えられる。ここで、中心から外れたエラーがある場合、結晶105がRLS110に近づくと、シングル115のカウントがより多く検出される。このような相関が形成され、1つの結晶105がより多くのシングル115を検出すると、別の結晶105は同時に、より少ないシングル115を検出すると考えられる。一実施形態では、全ての結晶105が同じであると仮定して、RLSシングル計数215の分布をプロットすることができ、その観察される如何なる差も、RLS110の配置に帰することができる(ステップ805)。その分布は、例えば、正弦曲線に適合させることができる(ステップ810)。中心誤差の範囲を特定するために、RLSシングル計数215の分布から低頻度の変化を抽出することができる。中心誤差による低周波数の変化は、例えばローパスフィルタのような正弦曲線に適合させることができる。元のRLSシングル計数215の分布は、例えば、元のRLSシングル計数215の分布曲線を正弦曲線で除算して、ほぼ均一な補正済み分布曲線を取得することによって補正することができ、これは3つの方法全てに使用できる(ステップ815)。これは、実際の補正されたRLSシングル計数215と見なすことができる。
【0055】
すなわち、方法800では、線状線源から照射される実測のガンマ線に基づくリング毎のシングルイベントの数の分布に対して、分布に基づく曲線を適用することで、シングルイベントの数を補正する。
【0056】
図9Aは、一実施形態に係る中心から外れた線源を有するRLSシングル計数215の分布を示す図である。
図9Aに示すように、分布は、中心から外れたRLS110に起因して、非平坦な形状を示す。
【0057】
図9Bは、一実施形態に係るRLSシングル計数215の分布の曲線適合を示す図である。この曲線は、例えば、正弦曲線の形状であり得る。
【0058】
図9Cは、一実施形態に係る補正されたRLSシングル計数215の分布を示す図である。元のRLSシングル計数215の分布を正弦曲線で除算して、RLSシングル計数215のほぼ均一な補正済み分布曲線を得ることができる。
【0059】
図10は、一実施形態に係る結晶効率マップを示す図である。ここで、
図10(A)は、一実施形態に係るシミュレートされたPETスキャナにおいて中心に置かれた円筒状線源のシミュレートされた結晶効率マップを示す図である。
【0060】
図10(B)は、一実施形態に係るPETスキャナ100の中心に置かれたRLS110のシミュレートされた結晶効率マップを示す図である。
【0061】
図10(C)は、一実施形態に係るPETスキャナ100の中心から外れたRLS110のシミュレートされた結晶効率マップを示す図である。例えば、RLS110は、2mmだけ中心から外れている可能性がある。
【0062】
図10(D)は、一実施形態に係る方法800を使用して中心から外れた補正を伴うRLS110のシミュレートされた結晶効率マップを示す図である。ここで、補正されたマップは、
図10(B)のマップと厳密に一致する。
【0063】
図11Aおよび11Bは、方法100および200を実装できるPETスキャナ1100の非限定的な例を示す。
図11Aは、一実施形態に係る陽電子放出断層撮影(PET)スキャナを示す斜視図である。
図11Bは、一実施形態によるPETスキャナを示す概略図である。PETスキャナ1100は、多くのガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)(例えば、GRD1、GRD2…GRDNを含む)を含み、これらはそれぞれ長方形の検出器モジュールとして構成されている。1つの実装例によれば、検出器リングは40個のGRDを含む。別の実装形態によれば、48個のGRDが存在し、より多くのGRDを使用するほどPETスキャナ1100の空洞サイズは大きくなる。
【0064】
各GRDは、ガンマ線を吸収してシンチレーション光子を放出する個々の検出器結晶の二次元アレイを含むことができる。シンチレーション光子は光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)の2次元配列によって検出でき、これはGRDにも配置されている。検出器結晶のアレイとPMTの間には光ガイドを配置することができる。
【0065】
あるいは、シンチレーション光子はシリコン光電子増倍管(Silicon Photomultiplier:SiPM)のアレイによって検出することができ、個々の各検出器結晶は、それぞれのSiPMを有することができる。
【0066】
各光検出器(例えば、PMTまたはSiPM)は、シンチレーション事象が発生するときを示すアナログ信号、および検出事象を生成するガンマ線のエネルギーを生成することができる。更に、1つの検出器結晶から放出された光子を複数の光検出器で検出でき、各光検出器で生成されたアナログ信号に基づいて、検出事象に対応する検出器結晶を、例えばアンガーロジック(Anger-Logic)および結晶復号化などを使用して決定できる。
【0067】
図11Bは、対象物OBJから放出されたガンマ線を検出するように配置された、ガンマ線(ガンマ線)光子計数検出器(GRD)を有するPETスキャナシステムの概略図を示している。GRDは、各ガンマ線検出に対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定できる。1つの実装形態では、
図11Aおよび
図11Bに示すように、ガンマ線検出器はリング状に配置される。検出器結晶は、二次元アレイに配置された個々のシンチレータ要素を有するシンチレータ結晶とすることができ、シンチレータ要素は、任意の既知のシンチレーション材料とすることができる。PMTは、各シンチレータ要素からの光が複数のPMTによって検出されるように配置して、シンチレーション事象のアンガー演算および結晶復号を可能にすることができる。
【0068】
図11Bは、PETスキャナ1100の配置の例を示し、撮像される対象物OBJは、テーブル1116上に置かれ、GRDモジュールGRD1~GRDNは、対象物OBJおよびテーブル1116の周りに円周方向に配置される。GRDは、ガントリ1140に固定的に結合された円形コンポーネント1120に固定的に接続することができる。ガントリ1140は、PET撮像装置の多くの部品を収納している。PET撮像装置のガントリ1140はまた、対象物OBJおよびテーブル1116が通過できる開いた開口を含み、対消滅イベントにより対象物OBJから相互に反対方向に放出されたガンマ線はGRDによって検出することができ、またタイミングおよびエネルギー情報は、ガンマ線ペアの一致を決定するために使用できる。
【0069】
図11Bには、ガンマ線検出データを取得、格納、処理、および分配するための回路およびハードウェアもまた示されている。当該回路およびハードウェアには、プロセッサ1170、ネットワークコントローラ1174、メモリー1178、およびデータ取得システム(Data Acquisition System:DAS)1176が含まれる。PET撮像装置には、GRDからの検出測定結果をDAS1176、プロセッサ1170、メモリー1178、およびネットワークコントローラ1174へとルーティングするデータチャネルも含まれる。DAS1176は、検出器からの検出データの取得、デジタル化、およびルーティングを制御できる。1つの実装において、DAS1176は、ベッド1116の動きを制御する。プロセッサ1170は、検出データからの画像の再構成、検出データの再構成前処理、および画像データの再構成後処理を含む機能を実行する。なお、上記した再構成を実行する機能は、再構成部の一例である。
【0070】
また、プロセッサ1170は、結晶効率を取得する取得機能と、結晶効率を補正する算出機能と、実測のガンマ線に基づくシングルイベントを計数する計数機能と、同時計数伊部との数を決定する決定機能とを実行する。なお、取得機能は、取得部の一例である。また、算出機能は、算出部の一例である。また、計数機能は、計数部の一例である。また、決定機能は、決定部の一例である。
【0071】
プロセッサ1170は、本明細書で説明される方法100および/または200の様々なステップならびにそれらの変形を実行するように構成され得る。プロセッサ1170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)または他の複雑なプログラマブル論理装置(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のように、個別の論理ゲートとして実装できるCPUを含むことができる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL、Verilog、またはその他のハードウェア記述言語でコード化することができ、当該コードはFPGAまたはCPLD内の電子メモリーに直接、または別個の電子メモリーとして保存できる。更に、当該メモリーは、ROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリなどのように不揮発性であってよい。当該メモリーはまた、スタティックまたはダイナミックRAMなどの揮発性とすることができ、またマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサのようなプロセッサを設けて、当該電子メモリーを管理し、ならびにFPGAまたはCPLDと当該メモリーとの間の相互作用を管理することもできる。
【0072】
あるいは、プロセッサ1170内のCPUは、方法100および/または方法200の様々なステップを実行する1組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムを実行することができ、当該プログラムは、上記の任意の非一時的電子メモリーおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、またはその他の既知の保存媒体に格納される。更に、コンピュータ可読命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、オペレーティングシステムのコンポーネント、またはそれらの組み合わせとして提供され、米国インテル社のXenonプロセッサおよび米国AMD社のOpteronプロセッサのようなプロセッサ、ならびにマイクロソフトVISTA、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple、MAC-OS、および当業者に知られている他のオペレーティングシステムのようなオペレーティングシステムと組み合わせて実行される。更に、CPUは、命令を実行するために並行して協働する複数のプロセッサとして実装することができる。
【0073】
メモリー1178は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または当技術分野で知られている他の任意の電子記憶装置とすることができる。
【0074】
米国インテル社から入手できるインテルイーサネット(登録商標)PROネットワークインターフェースカードのようなネットワークコントローラ1174は、PET撮像装置の様々な部分の間をインターフェースすることができる。更に、ネットワークコントローラ1174はまた、外部ネットワークとインターフェースすることもできる。理解され得るように、外部ネットワークは、インターネットのようなパブリックネットワーク、またはLANまたはWANネットワークのようなプライベートネットワーク、あるいはそれらの任意の組み合わせであることができ、PSTNまたはISDNサブネットワークを含むこともできる。外部ネットワークは、イーサネット・ネットワークのような有線にすることも、EDGE、11G、4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークなどの無線にすることもできる。無線ネットワークは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または他の既知のワイヤレス通信形式であることもできる。
【0075】
前述の説明では、処理システムの特定の幾何学形状、およびそこで使用される様々なコンポーネントおよびプロセスの説明など、特定の詳細が説明されている。しかしながら、本明細書における技術は、これらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態で実施されてもよく、そのような詳細は説明の目的のためであり、限定ではないことを理解されたい。本明細書に開示される実施形態を添付の図面を参照して説明してきた。同様に説明の目的で、完全な理解を提供するために特定の数、材料および構成を示してきた。しかし、実施形態は、そのような特定の詳細を伴わずに実施されてもよい。なお、実質的に同一の機能構成を有する要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0076】
様々な実施形態の理解を助けるために、種々の技法を複数の別個の動作として説明してきた。説明の順序は、これらの動作が必然的にその順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。実際、これらの動作は表示された順序で実行する必要はない。説明される動作は、説明される実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。追加の実施形態では、様々な追加の動作を実行することができ、および/または説明した動作を省略することができる。
【0077】
以上、説明したとおり、実施形態によれば、任意の半径の小さな円筒状線源を用いた結晶効率の算出を可能にする。
【0078】
本開示の実施形態はまた、以下の括弧内において示されるとおりであり得る。
【0079】
(1)イメージングシステムであって、処理回路を具備し、当該処理回路は、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得するように設定され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器について、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器についての前記リアルシングル計数に基づき、軸横断方向の相対的効率を決定するように設定され、前記リアル線状線源から放出されて反対方向に移動する前記シングルガンマ線をペアリングして、前記シングルガンマ線のペアを取得するように設定され、前記リアル線状線源から放出され、且つi)前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記リアル検出器(複数)の第1のラインに沿った前記リアル検出器(複数)の第1のリアル検出器、およびii)前記リアル検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのリアル検出器(複数)によって検出された前記シングルガンマ線のペア(複数)のリアルペア計数を取得するように設定され、前記第2のラインのリアル検出器(複数)は前記リングの第1のリアル検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったリアル検出器(複数)の第1のリアル検出器は、前記検出されたペアにおける第1のシングルガンマ線を検出し、また前記リアル検出器(複数)の第2のラインにおけるリアル検出器(複数)の1つは、前記検出されたペアにおける第2のシングルガンマ線を検出するように設定され、前記第1のラインのリアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルペア計数に基づいて軸方向の相対的効率を決定するように設定され、また前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、リアル線状線源検出器効率を決定するように設定されるイメージングシステム。
【0080】
(2)前記処理回路は更に、シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた円筒状(Simulated Cylinder:SC)線源から放出されたSCシングルガンマ線のシミュレートされた円筒状(SC)シングル計数を取得するように設定され、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングは互いに隣接して配置され、且つ前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記SCシングルガンマ線は前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出され、前記SC線源から放出されて反対方向に移動するSCシングルガンマ線をペアリングして、前記SCシングルガンマ線のSCペアを取得するように設定され、前記SC線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)のSCペア計数を取得するように設定され、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの前記第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第1のSCシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第2のSCシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記SCシングル計数および前記SCペア計数に基づいてSC線源検出器効率を決定するように設定され、また前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた線状(Simulated Line:SL)線源から放出されたSLシングルガンマ線のSLシングル計数を取得するように設定される、(1)に記載のイメージングシステム。
【0081】
(3)前記処理回路は更に、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルシングル計数、前記SLシングル計数、および前記SC線源検出器効率に基づいて、第1の組み合わされた検出器効率を決定するように設定される、(2)に記載のシステム。
【0082】
(4)前記処理回路は更に、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器についてのSLシングル計数に基づいて、シミュレートされた軸横断方向の相対的効率を決定するように設定され、前記SL線源から放出された反対方向に移動する前記SLシングルガンマ線をペアリングさせて、前記SLシングルガンマ線のSLペア(複数)を取得するように設定され、前記SL線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SLシングルガンマ線のSLペア(複数)のSLペア計数を取得するように設定され、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第1のSLシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第2のSLシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の前記第1のラインの各シミュレートされた検出器について、前記SLペア計数に基づいて、シミュレートされた軸方向の相対的効率を決定するように設定され、また前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた軸方向の相対的効率および前記シミュレートされた軸横断方向の相対的効率に基づいて、SL線源検出器効率を決定するように設定される、(2)または(3)に記載のシステム。
【0083】
(5)前記処理回路は更に、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアル線状線源検出器効率、前記SC線源検出器効率、および前記SL線源検出器効率に基づいて、第2の組み合わされた検出器効率を決定するように設定される、(2)または(4)に記載のシステム。
【0084】
(6)前記処理回路は更に、前記リアル検出器(複数)によって検出された前記シングルガンマ線の前記リアルシングル計数の生の分布を決定するように設定され、前記リアルシングル計数の生の分布に曲線を適合させるように設定され、また前記生の分布への曲線適合に基づき、前記リアルシングル計数の生の分布を正規化して、前記リアルシングル計数の補正された分布を生じさせるように設定される、(1)~(5)の何れか1項に記載のシステム。
【0085】
(7)前記処理回路は更に、前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出された前記SCシングルガンマ線の前記SCシングル計数の生の分布を決定するように設定され、前記SCシングル計数の生の分布に曲線を適合させるように設定され、また前記生の分布への曲線適合に基づき、前記SCシングル計数の生の分布を正規化して、前記SCシングル計数の補正された分布を生じさせるように設定される、(2)~(6)の何れか1項に記載のシステム。
【0086】
(8)前記処理回路は更に、前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出された前記SLシングルガンマ線のSLシングル計数の生の分布を決定するように設定され、前記SLシングル計数の生の分布に曲線を適合させるように設定され、また前記生の分布への曲線適合に基づき、前記SLシングル計数の生の分布を正規化し、前記SLシングル計数の補正された分布を生じさせるように設定される、(2)~(7)の何れか1項に記載のシステム。
【0087】
(9)前記処理回路は更に、前記第2の組み合わされた検出器効率を使用して正規化されたデータセットに基づいて画像を再構成するように設定される、(5)に記載のシステム。
【0088】
(10)イメージングシステムにおける検出器素子を正規化する方法であって、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは、相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器について、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器についての前記リアルシングル計数に基づいて、軸横断方向の相対的効率を決定することと、前記リアル線状線源から放出されて反対方向に移動する前記シングルガンマ線(複数)をペアリングして、前記シングルガンマ線のペア(複数)を取得することと、前記リアル線状線源から放出され、且つi)前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記リアル検出器(複数)の第1のラインに沿った前記リアル検出器(複数)の第1のリアル検出器、およびii)前記リアル検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのリアル検出器(複数)によって検出された、前記シングルガンマ線のペア(複数)のリアルペア計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のリアル検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったリアル検出器(複数)の第1のリアル検出器は、前記検出されたペアにおける第1のシングルガンマ線を検出し、また前記リアル検出器(複数)の第2のラインにおけるリアル検出器(複数)の1つは、前記検出されたペアにおける第2のシングルガンマ線を検出し、前記第1のラインのリアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルペア計数に基づいて軸方向の相対的効率を決定することと、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、リアル線状線源検出器効率を決定することとを含む方法。
【0089】
(11)更に、シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた円筒状(SC)線源から放出されたSCシングルガンマ線のシミュレートされた円筒状(SC)シングル計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングは互いに隣接して配置され、且つ前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記SCシングルガンマ線は前記シミュレートされた検出器によって検出され、前記SC線源から放出されて反対方向に移動するSCシングルガンマ線をペアリングして、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)を取得することと、前記SC線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)のSCペア計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第1のSCシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第2のSCシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記SCシングル計数および前記SCペア計数に基づいてSC線源検出器効率を決定することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた線状(SL)線源から放出されたSLシングルガンマ線のSLシングル計数を取得することとを含む、(10)に記載の方法。
【0090】
(12)更に、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルシングル計数、前記SLシングル計数、および前記SC線源検出器効率に基づいて、第1の組み合わされた検出器効率を決定することとを含む、(11)に記載の方法。
【0091】
(13)更に、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器のためのSLシングル計数に基づいて、シミュレートされた軸横断方向の相対的効率を決定することと、前記SL線源から放出された反対方向に移動する前記SLシングルガンマ線(複数)をペアリングさせて、前記SLシングルガンマ線(複数)のSLペア(複数)を取得することと、前記SL線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SLシングルガンマ線のSLペア(複数)のSLペア計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第1のSLシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第2のSLシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインにおける各シミュレートされた検出器について、前記SLペア計数に基づいてシミュレートされた軸方向の相対的効率を決定することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた軸方向の相対的効率および前記シミュレートされた軸横断方向の相対的効率に基づいてSL線源検出器効率を決定することとを含む、(11)または(12)の何れかに記載の方法。
【0092】
(14)更に、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアル線状線源検出器効率、前記SC線源検出器効率、および前記SL線源検出器効率に基づいて、第2の組み合わされた検出器効率を決定することを含む、(11)または(13)の何れかに記載の方法。
【0093】
(15)更に、前記リアル検出器(複数)によって検出された前記シングルガンマ線の前記リアルシングル計数の生の分布を決定することと、前記リアルシングル計数の生の分布に曲線を適合させることと、前記生の分布への曲線適合に基づき、前記リアルシングル計数の生の分布を正規化して、前記リアルシングル計数の補正された分布を生じさせることとを含む、(10)~(14)の何れか1項に記載の方法。
【0094】
(16)更に、前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出された前記SCシングルガンマ線の前記SCシングル計数の生の分布を決定することと、前記SCシングル計数の生の分布に曲線を適合させることと、前記生の分布への曲線適合に基づき、前記SCシングル計数の生の分布を正規化して、前記SCシングル計数の補正された分布を生じさせることとを含む、(11)~(15)の何れか1項に記載の方法。
【0095】
(17)更に、前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出された前記SLシングルガンマ線のSLシングル計数の生の分布を決定することと、前記SLシングル計数の生の分布に曲線を適合させることと、前記生の分布への曲線適合に基づき、前記SLシングル計数の生の分布を正規化し、前記SLシングル計数の補正された分布を生じさせることとを含む、(11)~(16)の何れか1項に記載の方法。
【0096】
(18)更に、前記第2の組み合わされた検出器効率を使用して正規化されたデータセットに基づいて画像を再構成することを含む、(14)に記載の方法。
【0097】
(19)回路によって実行されたときに、前記回路に対して、イメージングシステムにおける検出器素子を正規化する方法を実施させるための実行可能な命令を含む、コンピュータ読取り可能な非一時的記憶媒体であって、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器について、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各リアル検出器についての前記リアルシングル計数に基づいて、軸横断方向の相対的効率を決定することと、前記リアル線状線源から放出されて反対方向に移動する前記シングルガンマ線をペアリングして、前記シングルガンマ線のペア(複数)を取得することと、前記リアル線状線源から放出され、且つi)前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおける同じ位置に配置された前記リアル検出器(複数)の第1のラインに沿った前記リアル検出器(複数)の第1のリアル検出器、およびii)前記リアル検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのリアル検出器(複数)によって検出された、前記シングルガンマ線のペア(複数)のリアルペア計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のリアル検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったリアル検出器(複数)の第1のリアル検出器は、前記検出されたペアにおける第1のシングルガンマ線を検出し、また前記リアル検出器(複数)の第2のラインにおけるリアル検出器の1つは、前記検出されたペアにおける第2のシングルガンマ線を検出し、前記第1のラインのリアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルペア計数に基づいて軸方向の相対的効率を決定することと、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、リアル線状線源検出器効率を決定することとを含む、コンピュータ読取り可能な非一時的記憶媒体。
【0098】
(20)前記方法が更に、シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた円筒状(SC)線源から放出されたSCシングルガンマ線のシミュレートされた円筒状(SC)シングル計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングは互いに隣接して配置され、且つ前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記SCシングルガンマ線は前記シミュレートされた検出器(複数)によって検出され、前記SC線源から放出されて反対方向に移動するSCシングルガンマ線をペアリングして、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)を取得することと、前記SC線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)のSCペア計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第1のSCシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第2のSCシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記SCシングル計数および前記SCペア計数に基づいてSC線源検出器効率を決定することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた線状(SL)線源から放出されたSLシングルガンマ線のSLシングル計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の1つのリングにおける各シミュレートされた検出器についてのSLシングル計数に基づいて、シミュレートされた軸横断方向の相対的効率を決定することと、前記SL線源から放出された反対方向に移動する前記SLシングルガンマ線をペアリングさせて、前記SLシングルガンマ線(複数)のSLペア(複数)を取得することと、前記SL線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SLシングルガンマ線のSLペア(複数)のSLペア計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第1のSLシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSLペアにおける第2のSLシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインにおける各シミュレートされた検出器について、前記SLペア計数に基づいてシミュレートされた軸方向の相対効率を決定することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記シミュレートされた軸方向の相対的効率および前記シミュレートされた軸横断方向の相対的効率に基づいてSL線源検出器効率を決定することと、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアル線状線源検出器効率、前記SC線源検出器効率、および前記SL線源検出器効率に基づいて、第2の組み合わされた検出器効率を決定することとを含む、(19)に記載のコンピュータ読取り可能な記憶媒体。
【0099】
(21)イメージングシステムであって、処理回路を具備し、当該処理回路は、リアル検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得するように設定され、前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の各リングは相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器(複数)によって検出され、シミュレートされた検出器(複数)のリングの中心に配置されたシミュレートされた円筒状(SC)線源から放出されたSCシングルガンマ線のシミュレートされた円筒状(SC)シングル計数を取得するように設定され、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングは互いに隣接して配置され、且つ前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記SCシングルガンマ線は前記シミュレートされた検出器によって検出され、前記SC線源から放出されて反対方向に移動するSCシングルガンマ線をペアリングして、前記SCシングルガンマ線のSCペアを取得するように設定され、前記SC線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器によって検出された、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)のSCペア計数を取得するように設定され、前記シミュレートされた検出器の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第1のSCシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第2のSCシングルガンマ線を検出し、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記SCシングル計数、および前記SCペア計数に基づいて、SC線源検出器効率を決定するように設定され、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置されたシミュレートされた線状(SL)線源から放出されたSLシングルガンマ線のSLシングル計数を取得するように設定され、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルシングル計数、前記SLシングル計数、および前記SC線源検出器効率に基づいて、第1の組み合わされた検出器効率を決定するように設定される、イメージングシステム。
【0100】
(22)イメージングシステムにおける検出器素子を正規化する方法であって、リアル検出器のリングの中心に配置されたリアル線状線源から放出されたシングルガンマ線のリアルシングル計数を取得することと、前記リアル検出器のリング(複数)の各リングは相互に隣接して配置され且つ前記リアル検出器のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記シングルガンマ線は前記リアル検出器によって検出され、シミュレートされた検出器(複数)のリングの中心に配置されたシミュレートされた円筒状(SC)線源から放出されたSCシングルガンマ線のシミュレートされた円筒状(SC)シングル計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングは互いに隣接して配置され、且つ前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の軸方向に沿って延出し、前記SCシングルガンマ線は前記シミュレートされた検出器によって検出され、前記SC線源から放出されて反対方向に移動するSCシングルガンマ線をペアリングして、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)を取得することと、前記SC線源から放出され、且つi)前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の各リングにおいて同じ位置に配置された前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のラインに沿った前記シミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器、およびii)前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインに沿った全てのシミュレートされた検出器(複数)によって検出された、前記SCシングルガンマ線のSCペア(複数)のSCペア計数を取得することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインは前記リングの第1のシミュレートされた検出器とは反対側の位置に配置され、ここで、前記第1のラインに沿ったシミュレートされた検出器(複数)の第1のシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第1のSCシングルガンマ線を検出し、また前記シミュレートされた検出器(複数)の第2のラインにおける1つのシミュレートされた検出器は、前記検出されたSCペアにおける第2のSCシングルガンマ線を検出することと、前記シミュレートされた検出器(複数)の各シミュレートされた検出器について、前記SCシングル計数および前記SCペア計数に基づいてSC線源検出器効率を決定することと、前記シミュレートされた検出器(複数)のリング(複数)の中心に配置された線状(SL)線源から放出されたSLシングルガンマ線のSLシングル計数を取得することと、前記リアル検出器(複数)の各リアル検出器について、前記リアルシングル計数、前記SLシングル計数、および前記SC線源検出器効率に基づいて、第1の組み合わされた検出器効率を決定することとを含む方法。
【0101】
(23)複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器と、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、前記結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第2の結晶効率と、前記線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率と、を取得する取得部と、
前記第2の結晶効率と前記第3の結晶効率とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第4の結晶効率を算出する算出部と、
を備える、PET装置。
【0102】
(24)前記線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数する計数部と、
前記リング毎の同時計数イベントの数を決定する決定部をさらに備え、
前記取得部は、前記シングルイベントの数と、前記同時計数イベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を取得する、(23)に記載のPET装置。
【0103】
(25)前記取得部は、前記シングルイベントの数に基づいて前記結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、前記同時計数イベントの数に基づいて前記結晶の軸方向の相対的効率を決定し、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、前記第1の結晶効率を取得する、(24)に記載のPET装置。
【0104】
(26)前記取得部は、模擬された前記円筒状線源から照射されるガンマ線を、模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、前記第2の結晶効率を取得し、模擬された線状線源から照射されるガンマ線を、前記模擬されたPET検出器において検出した場合の、結晶の各々で検出されるシングルイベントの数と、リング毎の同時計数イベントの数とに基づいて、前記第3の結晶効率を取得する、(23)~(25)のいずれか1つに記載のPET装置。
【0105】
(27)前記取得部は、前記模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記シングルイベントの数に基づいて前記結晶の軸横断方向の相対的効率を決定し、前記模擬された線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記同時計数イベントの数に基づいて前記結晶の軸方向の相対的効率を決定し、前記軸方向の相対的効率および前記軸横断方向の相対的効率に基づいて、前記第3の結晶効率を取得する、(26)に記載のPET装置。
【0106】
(28)前記計数部は、前記線状線源から照射される実測のガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記シングルイベントの数を補正する、(24)に記載のPET装置。
【0107】
(29)前記取得部は、前記模擬された前記円筒状線源から照射されるガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記模擬された前記円筒状線源に基づく前記シングルイベントの数を補正する、(26)に記載のPET装置。
【0108】
(30)前記取得部は、前記模擬された前記線状線源から照射されるガンマ線に基づく前記リング毎のシングルイベントの数の分布に対して、前記分布に基づく曲線を適用することで、前記模擬された前記線状線源に基づく前記シングルイベントの数を補正する、(26)に記載のPET装置。
【0109】
(31)前記第4の結晶効率を用いて正規化されたデータセットに基づいて、PET画像を再構成する再構成部をさらに備える、(23)~(30)のいずれか1つに記載のPET装置。
【0110】
(32)複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器と、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数する計数部と、
線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づくシングルイベントの数と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第1の結晶効率とを取得する取得部と、
前記実測のガンマ線に基づくシングルイベントの数と前記シミュレーションに基づくシングルイベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第2の結晶効率を算出する算出部と、
を備える、PET装置。
【0111】
(33)複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器を有するPET装置によって実行される算出方法であって、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいた、前記結晶毎の第1の結晶効率と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第2の結晶効率と、前記線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第3の結晶効率と、を取得し、
前記第2の結晶効率と前記第3の結晶効率とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第4の結晶効率を算出する、
ことを含む、算出方法。
【0112】
(34)複数の結晶が配列されたリングが複数配列されて構成されるPET(Positron Emission Tomography)検出器を有するPET装置によって実行される算出方法であって、
線状線源から照射される実測のガンマ線に基づいて、前記結晶の各々で検出されるシングルイベントを計数し、
線状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づくシングルイベントの数と、円筒状線源から照射されるガンマ線を想定したシミュレーションに基づいて算出される前記結晶ごとの第1の結晶効率とを取得し、
前記実測のガンマ線に基づくシングルイベントの数と前記シミュレーションに基づくシングルイベントの数とに基づいて、前記第1の結晶効率を補正することで第2の結晶効率を算出する、
ことを含む、算出方法。
【0113】
当業者はまた、本発明の同じ目的を依然として達成しながら、上記で説明された技術の動作に対してなされた多くの変形が存在し得ることを理解するであろう。そのような変形は、本開示の範囲に含まれることが意図されている。したがって、本発明の実施形態の前述の説明は、限定することを意図したものではない。むしろ、本発明の実施形態に対する如何なる制限も、以下の特許請求の範囲に提示されるものである。