(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240709BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240709BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240709BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20240709BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240709BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G09B29/00 F
G16Y10/40
G16Y20/10
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2020200289
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康博
(72)【発明者】
【氏名】藤森 一憲
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈昌
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038702(JP,A)
【文献】特開2010-107332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G09B 29/00
G16Y 10/40
G16Y 20/10
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の道路リンクを走行する
複数の車両
それぞれから、当該
複数の車両
それぞれの運転操作に関連するデータを含む車両データを受信することと、
前記
複数の車両
それぞれの、過去の所定の期間において前記道路リンクを走行した頻度に関する情報を取得することと、
前記
複数の車両
それぞれについて取得された前記頻度に関する情報
及び前記
複数の車両
それぞれから受信した前記車両データ
から、前記道路リンクに対して評価値を算出することと、
を実行する制御部を有
し、
前記評価値を算出することは、前記複数の車両のうち前記頻度の少ない車両の重みを大きくし、前記頻度の多い車両の重みを小さくして、前記複数の車両それぞれの前記車両データから前記評価値を算出することにより構成される、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両ナビゲーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブデータに基づいて、道路の走りやすさを評価するための技術がある。例えば、特許文献1には、プローブカーの走行履歴に基づいて、ルート上における運転負荷を推定し、推定した運転負荷に基づいて、ドライバーによって敬遠される経路を特定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-022033号公報
【文献】特開2004-347539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る装置においては、運転にかかる負荷を推定することで、道路の走りやすさに関する評価を行っている。しかし、ある道路を運転した場合における負荷は、ドライバーによって異なる。すなわち、負荷の推定基準を一律としてしまうと、評価の精度が落ちてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は上記の課題を考慮してなされたものであり、道路の走りやすさを評価する装置において、評価精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の様態に係る情報処理装置は、
所定の道路リンクを走行する車両から、当該車両の運転操作に関連するデータを含む車両データを受信することと、前記車両データを送信した車両が、過去の所定の期間において前記道路リンクを走行した頻度に関する情報を取得することと、前記車両について取得された前記頻度に関する情報と、前記車両から受信した前記車両データと、に基づいて、前記道路リンクに対して評価値を算出することと、を実行する制御部を有する。
【0007】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置が実行する情報処理方法、当該情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、道路の走りやすさを評価する装置において、評価精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ナビゲーションシステムの概要を説明する図。
【
図2】ナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図。
【
図3】車載端末から送信されるプローブデータの例。
【
図4】記憶部に記憶されるプローブデータテーブルの例。
【
図5】記憶部に記憶される道路リンクテーブルの例。
【
図7】モジュール間において送受信されるデータの流れを示す図。
【
図8】制御部が有する各モジュールが実行する処理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、管理下にある複数の車両(プローブカー)から送信されたデータ(プローブデータ)に基づいて、複数の道路リンクについて走行推奨度を算出する装置である。具体的には、情報処理装置は、受信したプローブデータに基づいて、道路リンクごとの運転の容易さを判定し、運転がより容易であると評価できる道路リンクについて、より高い走行推奨度を割り当てる。
【0011】
情報処理装置は、所定の道路リンクを走行する車両から、当該車両の運転操作に関連するデータを含む車両データを受信することと、前記車両データを送信した車両が、過去の所定の期間において前記道路リンクを走行した頻度に関する情報を取得することと、前記車両について取得された前記頻度に関する情報と、前記車両から受信した前記車両データと、に基づいて、前記道路リンクに対して評価値を算出することと、を実行する制御部を有する。
【0012】
車両データは、車両の運転操作に関連するデータを含む。車両の運転操作に関連するデータとして、例えば、加減速の量、ステアリングの操作量などを例示することができる。
このような、運転操作に関連するデータに基づいて、ある道路リンクにおける、運転のしやすさを推定することができる。例えば、単位時間あたりのステアリングの操作量が大きい場合、障害物を回避する運転行動が起きていると推定することができる。また、車速が一定でない場合、スムーズな走行を妨げる要因があると推定することができる。
【0013】
しかし、これらの情報に基づいて、一律の基準で評価を行うことは好ましくない。例えば、車両のドライバーが、対象の道路の近くで生活している場合や、当該道路を通り慣れている場合、他のドライバーよりもスムーズに対象の道路を通過できる場合がある。よって、道路リンクを評価する際は、ドライバーの熟練の度合いを考慮することが好ましい。
【0014】
本実施形態に係る情報処理装置は、車両データを送信した車両が、過去の所定の期間において対象の道路リンクを走行した頻度に関する情報を取得し、当該頻度を考慮して、道路リンクに対する評価を行う。例えば、走行頻度がより高い車両については、評価における重みをより小さくすることができる。かかる構成によると、より精度の高い評価を行うことが可能になる。
【0015】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る経路案内システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。第一の実施形態に係る経路案内システムは、車両200Aから収集した情報に基づいて、道路地図データに含まれる道路リンクに対して評価値を割り当て、評価値が割り当てられた道路地図データを用いて、車両200Bに対する経路案内を行うシステムである。
【0017】
本実施形態に係る経路案内システムは、車両200と、車両200によって取得されたプローブデータに基づいて、道路リンクに対する評価情報を生成するサーバ装置100と、を含んで構成される。
なお、以降の説明では、プローブデータを生成する車両(プローブカー)を車両200A、道路地図データの提供を受ける車両を車両200Bとして区別するが、双方の車両は
同一であってもよい。両者を区別しない場合、単に車両200と称する。
【0018】
車両200Aは、サーバ装置100に対してプローブデータを提供する車両である。車両200Aは、搭載されたセンサを用いて、運転操作に関するデータを取得し、プローブデータとして、サーバ装置100に周期的に送信する。
第一の実施形態では、車両200Aは、運転操作に関するデータとして、単位時間あたりの加減速度に関するデータ、および、単位時間あたりのステアリング操作量に関するデータを取得する。
【0019】
サーバ装置100は、道路地図データを記憶しており、車両200Aから収集したプローブデータに基づいて、道路地図データに含まれる道路リンクに対して走行推奨度を付与する。本実施形態における走行推奨度とは、運転の容易さを表す値である。例えば、より運転が容易である道路リンクに対しては、より大きい走行推奨度が与えられ、より運転が難しい道路リンクに対しては、より小さい走行推奨度が与えられる。
サーバ装置100は、走行推奨度が反映された道路地図データを生成し、車両200Bから要求があった場合に、生成した道路地図データを当該車両200Bに送信する。
【0020】
車両200Bは、経路の探索を行う車両である。車両200Bは、サーバ装置100から、走行推奨度が反映された道路地図データをダウンロードし、当該道路地図データを用いて経路探索を行う。これにより、より運転が容易である経路を生成することができる。
【0021】
図2は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図である。
【0022】
車両200は、制御部201、記憶部202、通信部203、入出力部204、および、センサ205を含んで構成される。
【0023】
制御部201は、車両200の制御を司る制御装置である。制御部201は、車両を制御する複数のECU(Engine Control Unit)によって構成されてもよい。以降の説明に
おいて、制御部201は、車両200に搭載されている複数のECUのうち、本実施形態で説明する処理を実行するECUを指すものとする。なお、制御部201は、ECU以外の車載コンピュータであってもよい。
【0024】
制御部201は、データ取得部2011、データ送信部2012、および、ナビゲーション部2013の3つの機能モジュールを含んで構成される。これらの機能モジュールは、後述する記憶部202に記憶されたプログラムをCPUやECUによって実行することで実現してもよい。
【0025】
データ取得部2011は、車両に対して行われた運転操作に関するデータ(プローブデータ)を生成する。本実施形態では、プローブデータは、単位時間あたりの加減速量、および、単位時間あたりのステアリングの操作量を示すデータを含む。これらのデータは、車両200が有する一つ以上のセンサ205(後述)を利用して取得することができる。
【0026】
データ送信部2012は、データ取得部2011によって取得されたプローブデータを、サーバ装置100に周期的に送信する。
【0027】
ナビゲーション部2013は、車両の乗員に対してナビゲーション機能を提供する。具体的には、経路案内の提供、交通情報の提供などを行う。ナビゲーション部2013は、車両の現在位置を取得するためのユニット(GPSモジュール等)や、外部から交通情報を取得するためのユニット(通信モジュール等)と通信可能に構成されていてもよい。
【0028】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部201で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部201によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
また、記憶部202は、ナビゲーション機能を提供するためのデータ(道路地図データ)などを記憶可能に構成されてもよい。
【0029】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。
【0030】
通信部203は、車両200をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部203は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、サーバ装置100と通信可能に構成される。
入出力部204は、利用者が行った入力操作を受け付け、利用者に対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0031】
センサ205は、加速度センサおよびステアリングセンサを含む。加速度センサによって、単位時間あたりに行われた加減速の量を取得することができる。また、ステアリングセンサによって、単位時間あたりに行われたステアリング操作の量(例えば、角度の総量)を取得することができる。なお、本実施形態では、加速度センサを例示するが、速度センサが出力する値を利用して加速度を算出することもできる。
【0032】
次に、サーバ装置100について説明する。
サーバ装置100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、サーバ装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0033】
制御部101は、サーバ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、データ取得部1011、車両評価部1012、リンク評価部1013、および、マップ生成部1014の4つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUやECUによって実行することで実現してもよい。
【0034】
データ取得部1011は、システムの管理下にある車両200Aからプローブデータを取得する。
図3は、車両200Aから送信されるプローブデータの例である。図示したよ
うに、プローブデータには、車両の識別子、センシングが行われた日時を表す情報、センシングが行われた地点を表す情報、および、センサデータ(単位時間あたりの加減速量およびステアリング操作量)が含まれる。
【0035】
また、データ取得部1011は、取得したプローブデータを道路リンクに割り当てる。本実施形態におけるサーバ装置100は、車両が走行可能な道路を複数の道路リンクに分割して管理しており、プローブデータに対応する地点(すなわち、センシングが行われた地点)を、所定の道路リンクと対応付けることができる。
【0036】
車両評価部1012は、ある道路リンクにおいてプローブデータを送信した車両の、当該道路リンクにおける走行の頻度を判定する。ある車両について、特定の道路リンクにおける走行の頻度が所定値よりも高い場合、当該車両は、当該道路リンクを走り慣れていると判定することができる。このような場合、当該車両から送信されたプローブデータを評価に用いない、または、評価を行う際の重みを小さくすることが好ましい。本実施形態に係るサーバ装置は、車両評価部1012が判定した頻度に基づいて、後述するリンク評価部1013が評価を行う。
【0037】
リンク評価部1013は、記憶されたプローブデータに基づいて、道路リンクごとに、運転の容易さに関する評価を行う。
具体的には、リンク評価部1013は、対象の道路リンクに対応する複数のプローブデータに含まれる、単位時間あたりの加減速量の総計がより小さい道路リンク、および、単位時間あたりのステアリングの操作量の総計がより小さい道路リンクについて、より高い走行推奨度を与える。
【0038】
この際、リンク評価部1013は、以下のいずれかの方法によって評価を行う。
(1)対象の道路リンクについて、走行頻度が高い車両から送信されたプローブデータよりも、走行頻度が低い車両から送信されたプローブデータにより大きい重みを与える
(2)対象の道路リンクについて、走行頻度が所定値を下回る車両から送信されたプローブデータのみを用いて評価を行う
これにより、対象の道路リンクを走り慣れている車両の影響を最小化することができる。
【0039】
マップ生成部1014は、リンク評価部1013が行った評価の結果に基づいて、道路リンクに走行推奨度が付与された道路地図データを生成し、車両200Bへ送信する。
【0040】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0041】
さらに、記憶部102は、プローブデータテーブル102A、道路リンクテーブル102B、および、走行履歴テーブル102Cを記憶する。
【0042】
プローブデータテーブル102Aは、複数の車両200Aから受信したプローブデータを記憶するテーブルである。
図4は、プローブデータテーブルの例である。図示したように、プローブデータテーブルには、複数の車両200Aのそれぞれから受信したプローブデータが、それぞれ別個のレコードとして追加される。「リンクID」フィールドには、プローブデータが生成された地点に対応する道路リンクの識別子が格納される。
【0043】
道路リンクテーブル102Bは、道路リンクを定義するテーブルである。
図5は、道路
リンクテーブル102Bの例である。図示したように、当該テーブルは、道路リンクの地理的位置を定義するためのデータと、算出された評価値(走行推奨度)を含む。評価値は、リンク評価部1013によって随時更新される。
【0044】
走行履歴テーブル102Cは、複数の道路リンクごとの、車両200の走行頻度を記録するテーブルである。
図6は、走行履歴テーブル102Cの例である。走行履歴テーブル102Cは、車両の識別子、道路リンクの識別子、当該道路リンクを車両200が走行した回数、更新日時等を含む。これらのレコードは、プローブデータテーブル102Aに記録されたデータに基づいて、車両評価部1012によって随時更新される。
【0045】
通信部103は、サーバ装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信モジュールを含んで構成される。
【0046】
なお、
図2に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0047】
各モジュールが行う処理と、利用されるデータの詳細について、モジュール間で送受信されるデータを示した図である
図7を参照しながら説明する。
【0048】
データ取得部1011は、車両200Aからプローブデータを受信する。また、データ取得部1011は、道路リンクテーブル102Bを参照し、新規に取得したプローブデータが示す地点と、道路リンクとの対応付けを行ったうえで、プローブデータテーブル102Aに格納する。プローブデータの取得は、管理下にある複数の車両200のそれぞれについて周期的に実行される。
【0049】
車両評価部1012は、プローブデータテーブル102Aに格納されたプローブデータに基づいて、過去の所定期間において車両200Aが各道路リンクを走行した回数(すなわち、走行頻度)を算出する。算出された走行回数は、走行履歴テーブル102Cに格納される。
【0050】
リンク評価部1013は、プローブデータテーブル102Aに格納されたプローブデータに基づいて、各道路リンクについて走行推奨度を評価し、結果を道路リンクテーブル102Bに反映する。走行推奨度は、例えば、以下の手順によって求めることができる。
(1)対象の道路リンク内における、複数の車両の単位時間あたりの加減速量の平均値を求める
(2)対象の道路リンク内における、複数の車両の単位時間あたりのステアリング操作量の平均値を求める
(3)上記を統合し、運転操作の頻度を表す値を算出する
(4)算出した頻度が小さいほど、対象の道路リンクにより大きい走行推奨度を与える
【0051】
すなわち、リンク評価部1013は、加減速量の平均値が大きく、ステアリング操作量の平均値が大きい道路リンクであるほど、走行推奨度がより低くなるよう算出を行う。これにより、スムーズな運転が行えない(例えば、障害物が多い、対向車の退避が多い、屈曲が多い等)道路に対して、より低い評価を行うことができる。
【0052】
さらに、リンク評価部1013は、走行履歴テーブル102Cを参照して、プローブデータを送信した車両の、当該道路リンクにおける走行頻度を取得し、取得した走行頻度を、走行推奨度の算出に利用する。例えば、対象の道路リンクにおける走行頻度が所定値よ
りも高い車両がいる場合、当該車両から送信されたプローブデータを除外して、上記の処理を行ってもよい。また、このような車両がいる場合、走行推奨度の算出において、当該車両に対応するデータに、より小さい重みを付与してもよい。
これにより、対象の道路リンクを走り慣れた車両から送信されたプローブデータの影響を最小にすることができる。
【0053】
マップ生成部1014は、道路リンクテーブル102Bに格納された情報に基づいて、各道路リンクに走行推奨度を割り当てた道路地図データを生成する。生成された道路地図データは、車両200Bの求めに応じて、当該車両200Bに送信される。
【0054】
車両200B(ナビゲーション部2013)は、サーバ装置100から受信した道路地図データに基づいて、経路探索を行う。経路の探索においては、従来技術と同様に、道路リンクに関連付いたコスト(例えば、所要時間や混雑度)の合計がより低くなる経路を生成する。さらに、ナビゲーション部2013は、コストに加え、リンク評価部1013が生成した走行推奨度を併用して経路を生成する。すなわち、より所要時間が短く(混雑度が低く)、より運転が容易である道路リンクを、経路の一部として優先的に採用する。
【0055】
図8は、サーバ装置100(制御部101)が有する各モジュールが実行する処理を示した図である。図中の点線は、データの参照を表している。
【0056】
データ取得部1011は、ステップS11で、車両200Aからプローブデータを受信する。また、受信したプローブデータに対して道路リンクを割り当て(ステップS12)、その結果をプローブデータテーブル102Aに格納する(ステップS13)。ステップS11~S13の処理は、複数の車両200Aのそれぞれからプローブデータの送信があった場合に実行される。
【0057】
車両評価部1012は、プローブデータテーブル102Aを参照し、特定の車両についてのプローブデータを取得する(ステップS21)。そして、複数の道路リンクのそれぞれについての走行頻度を算出し、その結果を走行履歴テーブル102Cに反映させる(ステップS22)。ステップS21~S22の処理は、システムの管理下にある複数の車両200のそれぞれについて、所定の周期で実行される。
【0058】
リンク評価部1013は、プローブデータテーブル102Aから、過去の所定の期間に対応するデータを取得する(ステップS31)。また、同様に、走行履歴テーブル102Cから、過去の所定の期間に対応するデータを取得する(ステップS32)。そして、前述した方法によって、複数の道路リンクのそれぞれについて走行推奨度を算出する(ステップS33)。算出の結果は、道路リンクテーブル102Bに反映される。ステップS31~S33の処理は、所定の周期で(例えば、1日1回)実行される。
【0059】
マップ生成部1014は、道路リンクテーブル102Bからデータを取得し(ステップS41)、道路地図データを生成する(ステップS42)。前述したように、道路地図データには、道路リンクごとに走行推奨度が割り当てられている。生成された道路地図データは、車両200Bからの要求に応じて配信される。ステップS41~S42の処理は、所定の周期で実行されてもよいし、車両200Bから要求があった場合に実行されてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置100は、車両200Aから収集したプローブデータに基づいて、より単純な運転操作で通過できる道路リンクに対してより大きい走行推奨度を割り当てる。この際、当該道路リンクにおけるプローブカーの走行頻度に基づいて、データの採用可否を決定、ないし、データに対する重みを決定する。これ
により、ドライバーの熟練の度合いを考慮して、道路リンクを評価することが可能になる。
【0061】
なお、実施形態の説明では、走行頻度を閾値によって二つに分類したが、これ以外の方法を採用してもよい。走行推奨度の算出においては、走行頻度が類似しているプローブカーから送信されたプローブデータを利用することが好ましい。このため、走行頻度をクラス分類し、所定のクラスに属するプローブカーから送信されたプローブデータのみを用いて走行推奨度の算出を行うようにしてもよい。
【0062】
(第一の実施形態の変形例1)
第一の実施形態では、加減速量およびステアリングの操作量に基づいて走行推奨度を決定したが、これ以外のデータを併用して走行推奨度を決定してもよい。
例えば、車両200Aが画像センサを有している場合、車両200Aによって取得された画像、または、当該画像を解析して得られたデータに基づいて、道路リンクに対する走行推奨度を決定してもよい。なお、画像から得られる情報(例えば、道路の幅、道路の形状、街灯の有無等)は、ドライバーの熟練度とは無関係であるため、これらの情報を利用する際は、走行頻度を関与させないことが好ましい。
【0063】
(第一の実施形態の変形例2)
第一の実施形態では、車両200Aの走行頻度を道路リンクごとに判定したが、これ以外の情報に基づいて、「ある車両が対象の道路リンクを走り慣れているか」を判定してもよい。例えば、サーバ装置100が、車両200Aごとに、当該車両の本拠地(例えば、自宅の駐車場)に関するデータを保持し、本拠地から所定の範囲内にある道路リンクについて、走り慣れていると判定してもよい。
このように、サーバ装置100は、対象の道路リンクの走行頻度を間接的に推定してもよい。
【0064】
(第一の実施形態の変形例3)
第一の実施形態では、複数の道路リンクについて一律に走行推奨度を算出したが、道路における走行環境は、時間帯によって変わる場合がある。例えば、曜日や時間帯によって自転車や歩行者が増減する場合がある。これに対応するため、サーバ装置100は、曜日ないし時間帯別に走行推奨度を算出してもよい。この場合、サーバ装置100は、曜日ないし時間帯別に複数の道路地図データを生成し、このうちの適切なものを車両200Bに送信するようにしてもよい。
【0065】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0066】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0067】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコ
ンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0068】
100・・・サーバ装置
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103,203・・・通信部
200・・・車両
204・・・入出力部
205・・・センサ