(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】フリーイン/フリーアウト型ゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/45 20140101AFI20240709BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240709BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240709BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20240709BHJP
【FI】
A63F13/45
A63F13/55
A63F13/79
A63F13/822
(21)【出願番号】P 2020205266
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:2020年12月10日 ウェブサイトのアドレス a)https://justcausemobile.square-enix-games.com/en-us/ b)https://thegameawards.com/
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】平魯 隆導
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064181(JP,A)
【文献】特開2018-202082(JP,A)
【文献】特開2019-062999(JP,A)
【文献】特開2013-198692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、三次元仮想空間内に設定された戦闘空間内に所定数のノンプレイヤキャラクタを配置し、一人以上のプレイヤからの指令に応じて、該プレイヤに対応したプレイングキャラクタを、該戦闘空間内に、任意の時点で配置、撤退可能に制御し、更に、前記戦闘空間内に配置された、前記ノンプレイヤキャラクタと前記プレイングキャラクタとの戦闘を制御する手順を実行させ、更に前記戦闘空間内で前記ノンプレイヤキャラクタとプレイングキャラクタとの間の戦闘状態を、前記戦闘空間内に配置されている仮想カメラでレンダリングして、前記各プレイヤのディスプレィに表示する表示手順を実行させるゲームプログラムであって、該ゲームプログラムは、コンピュータに、
前記戦闘空間内に、配置されているプレイングキャラクタの数をカウントするカウント
手順、
前記ノンプレイヤキャラクタが前記戦闘空間内のプレイングキャラクタにより倒された場合に、該倒されたノンプレイヤキャラクタを戦闘から除外する除外手順、
前記除外されたノンプレイヤキャラクタを、所定のリスポーン時間経過後に前記戦闘空間に再配置する再配置手順、
前記カウント手順によりカウントされた、配置されているプレイングキャラクタの数に応じて、前記リスポーン時間を演算するリスポーン時間演算手順を、実行させるゲームプログラムであって、
前記カウント手順は、前記ノンプレイヤキャラクタが前記プレイングキャラクタにより倒された時点で、前記戦闘空間内に配置されている前記プレイングキャラクタの数をカウントし、
前記リスポーン時間には、デフォルトリスポーン時間が設定されており、前記リスポーン時間演算手順は、前記デフォルトリスポーン時間から、前記カウント手順によりカウントされた、前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタの数に応じて該デフォルトリスポーン時間を減少させる形で演算して、前記リスポーン時間を求め、
前記再配置手順は、リスポーン時間演算手順により演算されたリスポーン時間に基づいて、前記除外されたノンプレイヤキャラクタの戦闘空間への再配置までの時間を変更するように制御することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記リスポーン時間演算手順は、前記リスポーン時間を前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタの数が多いほど、短くなるように演算することを特徴とする、請求項1記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記リスポーン時間には、最小値が設定されており、前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタの数が一定数以上の場合には、前記リスポーン時間は前記最小値に設定されることを特徴とする、請求項2記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記デフォルトリスポーン時間は、前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタが1人の場合には、前記デフォルトリスポーン時間がリスポーン時間として設定されることを特徴とする、請求項2記載のゲームプログラム。
【請求項5】
三次元仮想空間内に設定された戦闘空間内に所定数のノンプレイヤキャラクタを配置し、一人以上のプレイヤからの指令に応じて、該プレイヤに対応したプレイングキャラクタを、該戦闘空間内に、任意の時点で配置、撤退可能に制御し、更に、前記戦闘空間内に配置された、前記ノンプレイヤキャラクタと前記プレイングキャラクタとの戦闘を制御する手段を有し、更に前記戦闘空間内で前記ノンプレイヤキャラクタとプレイングキャラクタとの間の戦闘状態を、前記戦闘空間内に配置されている仮想カメラでレンダリングして、前記各プレイヤのディスプレィに表示する表示手段を有するゲームシステムにおいて、
前記戦闘空間内に、配置されているプレイングキャラクタの数をカウントするカウント
手段、
前記ノンプレイヤキャラクタが前記戦闘空間内のプレイングキャラクタにより倒された場合に、該倒されたノンプレイヤキャラクタを戦闘から除外する除外手段、
前記除外されたノンプレイヤキャラクタを、所定のリスポーン時間経過後に前記戦闘空間に再配置する再配置手段、
前記カウント手段によりカウントされた、配置されているプレイングキャラクタの数に応じて、前記リスポーン時間を演算するリスポーン時間演算手段を有するゲームシステムであって、
前記カウント手段は、前記ノンプレイヤキャラクタが前記プレイングキャラクタにより倒された時点で、前記戦闘空間内に配置されている前記プレイングキャラクタの数をカウントし、
前記リスポーン時間には、デフォルトリスポーン時間が設定されており、前記リスポーン時間演算手段は、前記デフォルトリスポーン時間から、前記カウント手段によりカウントされた、前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタの数に応じて該デフォルトリスポーン時間を減少させる形で演算して、前記リスポーン時間を求め、
前記再配置手段は、リスポーン時間演算手段により演算されたリスポーン時間に基づいて、前記除外されたノンプレイヤキャラクタの戦闘空間への再配置までの時間を変更するように制御することを特徴とするゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間内に設定された戦闘空間に、プレイングキャラクタを任意の時点で配置/撤退(フリーイン/フリーアウト)可能に制御するゲームプログラムに係わり、特に前記戦闘空間に配置されているプレイングキャラクタの数に応じて、敵ノンプレイヤキャラクタの復活時間を制御するゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバのメモリの三次元仮想空間内に設定された戦闘空間に対して、該サーバに接続された多数の端末を介したプレイヤからの指令に応じて、該プレイヤが操作するプレイングキャラクタを前記戦闘空間内に任意の時点で自由に配置/撤退させる(フリーイン/フリーアウト)ことの出来る、ゲームプログラムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうしたゲームプログラムでは、プレイヤが操作するプレイングキャラクタは、任意の時点で戦闘空間に対する配置/撤退、即ち出入りが自由であることから、戦闘が行われる戦闘空間内に配置される敵キャラクタとしてのノンプレイヤキャラクタ(ゲームプログラムにより行動が制御されるキャラクタ)は、戦闘を円滑に継続させるために(即ち、常に敵キャラクタが戦闘空間に配置された状態を維持するために)、プレイヤが操作するプレイングキャラクタにより倒された一定時間後には、戦闘空間に復活するように制御し、常に一定数のプレイングキャラクタが戦闘に参加しているものと推定される戦闘空間内で、戦闘が円滑に継続できるようにしている。
【0004】
しかし、こうした制御では、仮に戦闘空間内に配置された、従って、戦闘に参加している、プレイヤが操作するプレイングキャラクタの数に関わらず、プレイングキャラクタにより倒された敵キャラクタ(ノンプレイヤキャラクタ)は、一定時間後には復活して再度、戦闘に参加するように制御されることとなる。
【0005】
その場合、仮に戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタが一人、即ち、その時点で戦闘空間内に自分のプレイングキャラクタを配置しているプレイヤが一人の場合、倒すべき敵キャラクタが多くなり、敵キャラクタをいくら倒しても、一定時間後に復活する敵キャラクタにより、戦況が好転することが無い状況が継続し、難易度が大幅に上昇してしまう可能性がある。これでは、プレイングキャラクタを操作するプレイヤは大きなストレスを感じ、ゲームに対する興趣を失ってしまう可能性がある。
【0006】
一方、仮に戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタが複数、即ち、その時点で戦闘空間内に自分のプレイングキャラクタを配置しているプレイヤが複数の場合、その数が多ければ多いほど、一人あたりの倒すべき敵キャラクタの数は低下するので、敵キャラクタは復活する間もなく、短時間に全て倒され、戦闘の難易度が大幅に低下してしまい、こうした場合でも、ゲームに対する興趣が失われる危険性が高い。
【0007】
本発明は、戦闘空間内に配置されるプレイングキャラクタの数に応じて、敵キャラクタが戦闘により倒された時点から、復活するまでの時間を制御して、戦闘空間内のプレイングキャラクタの数が変化しても難易度の大幅な変動を防止して、ゲームバランスを保持することの出来るゲームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、コンピュータ(2)に、三次元仮想空間内に設定された戦闘空間(BF)内に所定数のノンプレイヤキャラクタ(NPC)を配置し、一人以上のプレイヤからの指令に応じて、該プレイヤに対応したプレイングキャラクタ(PC)を、該戦闘空間(BF)内に、任意の時点で配置、撤退可能に制御し、更に、前記戦闘空間(BF)内に配置された、前記ノンプレイヤキャラクタ(NPC)と前記プレイングキャラクタ(PC)との戦闘を制御する手順を実行させ、更に前記戦闘空間(BF)内で前記ノンプレイヤキャラクタ(NPC)とプレイングキャラクタ(PC)との間の戦闘状態を、前記戦闘空間内に配置されている仮想カメラでレンダリングして、前記各プレイヤのディスプレィに表示する表示手順を実行させるゲームプログラムであって、該ゲームプログラムは、コンピュータ(2)に、
前記戦闘空間内に、配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数をカウントするカウント手順、
前記ノンプレイヤキャラクタ(NPC)が前記戦闘空間(BF)内のプレイングキャラクタ(PC)により倒された場合に、該倒されたノンプレイヤキャラクタ(NPC)を戦闘から除外する除外手順、
前記除外されたノンプレイヤキャラクタ(NPC)を、所定のリスポーン時間(RT)経過後に前記戦闘空間(BF)に再配置する再配置手順、
前記カウント手順によりカウントされた、配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数に応じて、前記リスポーン時間(RT)を演算するリスポーン時間演算手順を、実行させるゲームプログラムであって、
前記再配置手順は、リスポーン時間演算手順により演算されたリスポーン時間(RT)に基づいて、前記除外されたノンプレイヤキャラクタ(NPC)の戦闘空間への再配置までの時間を変更するように制御することを特徴とするゲームプログラムである。
【0009】
本発明の第2の観点は、前記リスポーン時間演算手順は、前記リスポーン時間(RT)を前記戦闘空間(BF)内に配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数(m)が多いほど、短くなるように演算することを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点は、前記リスポーン時間(RT)には、最小値が設定されており、前記戦闘空間内に配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数(m)が一定数以上の場合には、前記リスポーン時間は前記最小値に設定されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の観点は、前記リスポーン時間(RT)には、デフォルトリスポーン時間(DT)が設定されており、前記戦闘空間(BF)内に配置されているプレイングキャラクタ(PC)が1人の場合には、前記デフォルトリスボーン時間(DT)がリスポーン時間(RT)として設定されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の観点は、三次元仮想空間内に設定された戦闘空間(BF)内に所定数のノンプレイヤキャラクタを配置し、一人以上のプレイヤからの指令に応じて、該プレイヤに対応したプレイングキャラクタを、該戦闘空間内に、任意の時点で配置、撤退可能に制御し、更に、前記戦闘空間内に配置された、前記ノンプレイヤキャラクタと前記プレイングキャラクタとの戦闘を制御する手段を有し、更に前記戦闘空間内で前記ノンプレイヤキャラクタとプレイングキャラクタとの間の戦闘状態を、前記戦闘空間内に配置されている仮想カメラでレンダリングして、前記各プレイヤのディスプレィに表示する表示手段を有するゲームシステムにおいて、
前記戦闘空間内に、配置されているプレイングキャラクタの数をカウントするカウント手段、
前記ノンプレイヤキャラクタが前記戦闘空間内のプレイングキャラクタにより倒された場合に、該倒されたノンプレイヤキャラクタを戦闘から除外する除外手段、
前記除外されたノンプレイヤキャラクタを、所定のリスポーン時間経過後に前記戦闘空間に再配置する再配置手段、
前記カウント手段によりカウントされた、配置されているプレイングキャラクタの数に応じて、前記リスポーン時間を演算するリスポーン時間演算手段を有するゲームシステムであって、
前記再配置手段は、リスポーン時間演算手段により演算されたリスポーン時間に基づいて、前記除外されたノンプレイヤキャラクタの戦闘空間への再配置までの時間を変更するように制御することを特徴とするゲームシステムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プレイングキャラクタ(PC)により倒されたノンプレイヤキャラクタ(NPC)のリスポーン時間(RT)が、戦闘空間(BF)内に配置されたプレイングキャラクタ(PC)の数により変更されるので、プレイングキャラクタ(PC)が戦闘空間(BF)内に1人の場合と、プレイングキャラクタ(PC)が戦闘空間BF内に複数の場合とで、ノンプレイヤキャラクタ(NPC)を倒してから、当該ノンプレイヤキャラクタ(NPC)が再配置されるまでのリスポーン時間(RT)を変化させることが出来る。
【0014】
また、リスポーン時間(RT)を戦闘空間(BF)内に配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数(m)が多いほど、短くなるように制御すると、プレイングキャラクタ(PC)の数が多いほど、ノンプレイヤキャラクタ(NPC)のリスポーン時間が(RT)が短くなるので、その分ゲームの難易度が増し、プレイングキャラクタ(PC)の数が増えても、適切なリスポーン時間(RT)を設定することができ、
【0015】
更に、リスポーン時間には、最小値が設定されており、戦闘空間(BF)内に配置されているプレイングキャラクタ(PC)の数が一定数以上の場合には、リスポーン時間(RT)は前記最小値に設定されるので、一定数以上の多数のプレイングキャラクタ(PC)が戦闘に参加した場合には、短時間でノンプレイヤキャラクタ(NPC)を倒すことが容易になり、多くのプレイングキャラクタ(PC)で攻撃して、戦況を有利に進めるといった作戦が可能となり、リアルな戦闘状況の再現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明が適用されるゲームシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、ゲームサーバの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、プレイングキャラクタが一人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図4】
図4は、プレイングキャラクタが一人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図5】
図5は、プレイングキャラクタが一人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図6】
図6は、プレイングキャラクタが一人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図7】
図7は、プレイングキャラクタが一人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図8】
図8は、プレイングキャラクタが三人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図9】
図9は、プレイングキャラクタが三人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図10】
図10は、プレイングキャラクタが三人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図11】
図11は、プレイングキャラクタが三人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図12】
図12は、プレイングキャラクタが三人の場合の、戦闘態様の制御例を示す模式図。
【
図13】
図13は、リスポーン制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施例の記述では、より深い理解のために特定の詳細な事項が述べられるが、実施例は、これらの特定の詳細な事項にとらわれるものではない。また、不要で煩雑な記述を避けるために、周知の事項はその詳細を述べていない。
【0018】
本発明が適用されるゲームシステム1は、
図1に示すように、ゲームサーバ2を有しており、ゲームサーバ2には、インターネットなどの通信ネットワーク3を介して多数の端末5が接続している。各端末5は、それらを区別するために、「端末1」、「端末2」、「端末3」‥‥「端末n」と図示しているが、各端末を区別しない場合には、単に端末5と称する。また、各端末5は、据え置き型のゲーム専用の端末の他に、携帯型のゲーム端末、スマートフォン、タブレットなどの携帯型汎用端末、パーソナルコンピュータなど、ゲームサーバ2と接続して、該ゲームサーバ2のメモリ内に形成された三次元仮想空間内である戦闘空間内に、各端末5を操作するプレイヤのプレイングキャラクタを配置/離脱可能に制御することができる限り、どのような構成でもよい。
【0019】
ゲームサーバ2は、
図2に示すように、主制御部6を有しており、主制御部6には、バス線7を介して、ネットワーク3に接続される通信制御部9,ゲームプログラムメモリ10、戦闘実行制御部11,プレイングキャラクタ管理部12及びノンプレイヤキャラクタ管理部13が接続している。なお、
図2に示すゲームサーバ2を構成する主制御部6、通信制御部9,ゲームプログラムメモリ10、戦闘実行制御部11,プレイングキャラクタ管理部12及びノンプレイヤキャラクタ管理部13は、本発明の理解を容易にするために模式化したものであり、実際はCPU、メモリ、各種制御プログラム等からなるコンピュータとして機能しているものである。また、ゲームサーバ2は、後述するゲームプログラムPROの一部を実行することで、ゲームサーバ2を構成するコンピュータのCPUを時分割的に、各ゲームサーバ2を構成する
図2の各機能ブロックとして機能させているが、
図2に示す各機能ブロックを専用のハードウエア及び/又はソフトウェアで構成することも当然可能である。
【0020】
ゲームシステム1は、以上のような構成を有するので、ゲームシステム1によるゲームは、複数のプレイヤが各端末5を操作して、ゲームサーバ2にログインした状態で、各プレイヤが自らのプレイングキャラクタを、ゲームサーバ2の戦闘実行制御部11のメモリ内に形成された三次元仮想空間内の戦闘空間で、移動制御し、同様に該戦闘空間内に配置された敵キャラクタとしてのノンプレイヤキャラクタと戦闘を行うことで、実行される。
【0021】
こうした多数の端末5を介して、各プレイヤに対応したプレイングキャラクタをサーバ2の三次元仮想空間内である戦闘空間で、敵キャラクタと戦闘させるゲームは、よく知られている。従って、ここでは、既に各プレイヤに対応したプレイングキャラクタは、サーバ2のプレイングキャラクタ管理部12内に、それぞれのプレイングキャラクタのオブジェクトデータ及びその属性データが、各種の戦闘能力データ(HP、MP、武器、アイテムなど、戦闘空間内での敵キャラクタとの戦闘に必要なデータ)等と共にメモリに格納され、ゲームプログラムメモリ10内に格納されたゲームプログラムを介してプレイヤの各端末5からの指示に応じて、戦闘空間内を自由に行動することができるもとして説明する。戦闘空間内でプレイングキャラクタと戦闘行動を行うノンプレイヤキャラクタについても、同様である。
【0022】
通常、プレイヤが、ゲームプログラムに基づいて、ゲームサーバ2内の戦闘空間内で戦闘行動を伴ったゲームを行う場合、各プレイヤは自己の端末5を操作してネットワーク3を介してサーバ2にログインする。各プレイヤのログイン情報は、通信制御部9で処理され、プレイングキャラクタ管理部は、当該ログインしたプレイヤのプレイングキャラクタのデータを、図示しないメモリから呼び出して、戦闘実行制御部11に出力する。戦闘実行制御部11では、ゲームプログラムに基づいて、当該ログインされたプレイヤ(一名以上)のプレイングキャラクタを、三次元仮想空間内の、戦闘空間の所定の配置位置に、所定のタイミングで配置する。
【0023】
戦闘実行制御部11のメモリ内に設定された三次元仮想空間内の戦闘空間BFは、例えば、
図3及び
図8に示すように、平面形状が円形に設定されており、ログインしたプレイヤのプレイングキャラクタPCは、ゲームプログラムに基づいて該戦闘空間BF内に設定された所定の配置ポイントLP1~LP3(同時に配置されるプレイングキャラクタPCの数によりLP1~LPn(n:整数)の間で変動する)にそれぞれ配置される。プレイングキャラクタPCの配置ポイントLP1~LPnは、当該プレイングキャラクタPCを戦闘空間BFに配置する時点において、当該戦闘空間BF内に他のプレイヤのプレイングキャラクタが何名同時配置されるかで、ゲームプログラムに基づいて、戦闘実行制御部11により適宜決定されるが(プレイングキャラクタが戦闘空間BF内に適宜分散配置されるように、配置ポイントLP1~LPnは設定されている)、こうした手法は公知であるので、詳細な説明は省略する。なお、三次元仮想空間内に設定される戦闘空間BFの平面形状は円形に限らず、任意である。
【0024】
今、仮に、戦闘空間BF内に配置されたプレイングキャラクタPCが一人だけだった場合には、
図3に示すように、プレイングキャラクタPCは、戦闘空間BF内の図中右端の配置ポイントLP1に配置されるが、戦闘空間BF内に配置されたプレイングキャラクタPCが3人だった場合には、
図8に示すように、プレイングキャラクタPCは、戦闘空間BF内の図中右側の配置ポイントLP1~PL3の三カ所に配置される。
【0025】
戦闘空間BFにプレイングキャラクタPCが配置されると、ゲームプログラムに基づいて、戦闘実行制御部11は、ノンプレイングキャラクタ管理部13を介して、戦闘空間BFで戦闘を行なうノンプレイヤキャラクタNPCをゲームプログラムに基づいて読み出し、該読み出されたノンプレイングキャラクタNPCを、戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCと対向する位置に、複数の敵キャラクタとして、配置する。本実施の場合、三名のノンプレイヤキャラクタNPCが配置されるが、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCは、それぞれゲームプログラムにより戦闘空間BF内に予め複数設定された出現エリアAR(図中楕円で表示されているが、実際に画像として表示される訳ではない。あくまでもゲームプログラムに基づく、戦闘実行制御部11内での仮想的設定である)内のランダムな位置にそれぞれ配置される。
【0026】
敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCが配置されると、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCとプレイングキャラクタPCとの間で、戦闘が開始される。それらの戦闘は、公知の手法で行われ、当該戦闘によりプレイングキャラクタPCと敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCとの間でダメージの応酬が、ゲームプログラムに基づいて、戦闘実行制御部11により行われる。戦闘の状態は、戦闘空間BF内に適宜設置されている仮想カメラによりレンダリングされ、通信制御部9を介して各プレイヤの端末5に伝達され、当該端末5の図示しないディスプレィに表示される。
【0027】
こうしてプレイングキャラクタPCとノンプレイヤキャラクタNPCとの間で、
図4又は
図9に示すように、戦闘が行われ、例えば、
図4に示すように、一人のプレイングキャラクタPCが3人の敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを攻撃AT(模式的に攻撃ATを、図中では矢印で表示している)し、
図5に示すように各ノンプレイヤキャラクタNPCを倒した場合、又は、
図9に示すように、3人のプレイングキャラクタPCが3人の敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを攻撃AT(模式的に攻撃ATを、図中では矢印で表示しているが、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCとプレイングキャラクタPCが1対1の攻撃パターンで戦うことを意味するものではない)し、
図10に示すように各ノンプレイヤキャラクタNPCを倒した場合が生じる。
【0028】
図5及び
図10に示すように、プレイングキャラクタPCがそれぞれ敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを倒すと(
図5及び
図6では全ての敵キャラクタが倒されているが、少なくとも1人の敵キャラクタが倒されると)、
図6及び
図11に示すように、倒されたノンプレイヤキャラクタNPCのオブジェクトは、戦闘空間BF内から除外され、図示しない仮想カメラから捕捉(レンダリング)される戦闘空間BFの映像、従って、各プレイヤの端末5のディスプレィ上の映像から敵キャラクタが消去されることとなり、戦闘から除外され、プレイヤは敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを倒したことを認識する。
【0029】
一方、戦闘実行制御部11では、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCが、プレイヤが操作するプレイングキャラクタPCにより倒されると、ゲームプログラムの一部であるリスポーン制御プログラムRCPを実行して、倒されたノンプレイヤキャラクタのリスポーン動作を制御する。
【0030】
即ち、戦闘実行制御部11は、
図13に示すように、リスポーン制御プログラムRCPのステップS1で、戦闘空間BF内での敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCとプレイヤが操作するプレイングキャラクタPCとの戦闘状態から、戦闘空間BF内で倒された敵キャラクタがいるか否かを常に監視している。戦闘空間BF内で、倒された敵キャラクタ(ノンプレイヤキャラクタNPC)が検出された場合には、ステップS2に入り、先述したように、倒された当該敵キャラクタのオブジェクトを戦闘空間BFから排除する。次にリスポーン制御プログラムRCPのステップS3に入り、敵キャラクタが倒された時点で、戦闘空間BF内に配置されているプレイングキャラクタPCの数をカウントする。戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCの数は、当該戦闘空間BF内の戦闘に参加しているプレイヤの数と等しいので、各端末5のログイン状態から、容易に求めることが出来る。なお、プレイヤによる、プレイングキャラクタPCの戦闘空間BFへの配置、撤退は、任意の時点で端末5を介して行うことが出来るように、ゲームプログラムに基づいて、戦闘実行制御部11が制御しているので、戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCの数は常に変動している。従って、戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCの数は、戦闘実行制御部11が、ゲームプログラムにもとづいて一定時間毎にカウントしているが、後述するリスポーン時間の演算に際して採用すべきプレイングキャラクタPCの数は、敵キャラクタが倒された時点、又はその後の、適宜な時点での数を採用することが望ましい。
【0031】
現在戦闘空間BF内に配置されているプレイングキャラクタPCの数は、例えば
図5の場合は1人であり、
図10の場合は、3人である。戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCの数が判明すると、ステップS4に入り、当該倒された敵キャラクタのリスポーン時間RTを、式(1)により、演算する。ここで、リスポーン時間RTとは、敵キャラクタが倒された後、再度戦闘空間BF内に復活するまでの時間を意味する。
RT=DT-(10×(m-1)) ‥‥(1)
ここで、RT:リスポーン時間(単位:秒)、DT:デフォルトリスポーン時間(単位:秒)、m:戦闘空間BF内のプレイングキャラクタ数
【0032】
リスポーン時間RTは、式(1)の場合は、戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCが1人の場合を基準にして、デフォルトリスポーン時間DTが設定されている。このデフォルトリスポーン時間DTは、例えば60秒であるが、適宜設定することができる。式(1)によれは、戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCの数が一名増えることに、リスポーン時間RTは、デフォルトリスポーン時間DTから10秒ずつ減少してゆくので、
図5の場合、プレイングキャラクタPCが1人なので、リスポーン時間RTはデフォルトリスポーン時間(例えば、60秒)となり、
図10の場合、プレイングキャラクタPCが3人なので、リスポーン時間RTは、デフォルトリスポーン時間(例えば、60秒)から20秒減少して、例えば40秒となる。リスポーン時間RTを求める演算式は、戦闘空間BF内に配置されているプレイングキャラクタPCの数に応じて、リスポーン時間RTを変動させる限り、多様な形を採用することが出来る。なお、リスポーン時間RTは、最小値が例えば10秒に設定されており、プレイングキャラクタPCの数mが一定数以上の場合には、リスポーン時間RTは最小値に設定される。
【0033】
なお、戦闘空間BFが複数設定されている場合(即ち、戦闘ステージが複数存在し、プレイングキャラクタPCは、順次各戦闘ステージをクリアする形で、複数の戦闘空間BFを順次攻略する形でゲームを進行してゆく場合)などでは、デフォルトリスボーン時間DTは、戦闘空間BFに配置される敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCやプレイングキャラクタPCの強さに応じて、戦闘ステージ(戦闘空間BF)毎に変動する形で設定されていても良い。
【0034】
ステップS4でリスポーン時間RTが求められたところで、戦闘実行制御部11は、リスポーン制御プログラムRCPのステップS5に入り、
図7及び
図12に示すように、一度倒された敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを、当該ノンプレイヤキャラクタNPCが倒されてステップS4で演算されたリスポーン時間RTが経過した後、それぞれの対応する出現エリアARに再配置し(リスポーン)、戦闘に復帰させる。この状態で、再配置された敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCと戦闘空間BF内のプレイングキャラクタPCは、再度戦闘を開始することができる。
【0035】
なお、リスポーンに際した、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCの戦闘空間BFへの復帰態様には、各種の態様が考えられ、例えば戦闘空間BFが屋外の場合には、ノンプレイヤキャラクタNPCがパラシュートで出現エリアARに降下して復帰する演出や、戦闘空間BFが屋内の場合には、ドアを破って入ってくる演出など、多様な演出を用いることが出来る。
【0036】
このように、プレイングキャラクタPCにより倒された敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCのリスポーン時間RTが、戦闘空間BF内に配置されたプレイングキャラクタPCの数により変更されるので、例えば、
図3~
図7に示すように、プレイングキャラクタPCが戦闘空間BF内に1人の場合と、
図8~
図12示すように、プレイングキャラクタPCが戦闘空間BF内に3人の場合とで、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCを倒してから、当該敵キャラクタが再配置されるまでのリスポーン時間RTを変化させることが出来る。
【0037】
すると、例えば、式(1)を用いた場合で、DTが60秒の時、プレイングキャラクタPCが戦闘空間BF内に1人の場合には、敵キャラクタのリスポーン時間は、60秒となり、プレイングキャラクタPCが戦闘空間BF内に3人の場合には、敵キャラクタのリスポーン時間は、20秒減って、40秒となる。これにより、プレイングキャラクタPCが1人の場合は、3人の場合よりも、敵キャラクタのリスポーン時間RTが長くなり、それだけ余裕を持った状態で戦闘を行うことが出来、ゲームプログラムにより設定されているクリア条件の達成が容易となる。一方、プレイングキャラクタPCが戦闘空間BF内に3人の場合には、戦力は1人の場合よりも多くなるが、その分、敵キャラクタのリスボーン時間RTが1人の場合よりも短くなるので、各プレイヤが倒すべき敵キャラクタの数を、適切な難易度となるように設定することができ、敵キャラクタが復活する間もなく、短時間で全て倒され、戦闘の難易度が大幅に低下してしまうようなことは、未然に防止される。
【0038】
こうして、敵キャラクタであるノンプレイヤキャラクタNPCとプレイヤが操作するプレイングキャラクタPCとの戦闘は、敵キャラクタが戦闘空間BF内に配置されたプレイングキャラクタPCの数に応じて変化されるリスポーン時間RTによって復帰再配置される形で継続し、リスポーン制御プログラムRCPのステップS6で、ゲームプログラムにより設定された所定のクリア条件を満たしたものと判断された時点で終了する。
【符号の説明】
【0039】
2‥‥コンピュータ(ゲームサーバ)
BF‥‥戦闘空間
DT‥‥デフォルトリスボーン時間
PC‥‥プレイングキャラクタ
RT‥‥リスポーン時間
NPC‥‥ノンプレイヤキャラクタ