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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両用光標示具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20240709BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240709BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20240709BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20240709BHJP
   F21S 43/33 20180101ALI20240709BHJP
   F21S 43/37 20180101ALI20240709BHJP
   F21S 43/30 20180101ALI20240709BHJP
   F21W 107/13 20180101ALN20240709BHJP
   F21W 107/17 20180101ALN20240709BHJP
【FI】
B60Q1/50 C
F21V7/00 320
F21V7/30
F21V7/24
F21S43/33
F21S43/37
F21S43/30
F21W107:13
F21W107:17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020215841
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101325
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛裕
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-152253(JP,A)
【文献】実開昭61-025212(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
F21V 7/00
F21V 7/30
F21V 7/24
F21S 43/33
F21S 43/37
F21S 43/30
F21W 107/13
F21W 107/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両構成部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部の取付側と反対側に設けられ、反射材を含有する第1標示部と、
前記第1標示部に隣接して設けられ、発光材を含有する第2標示部と、
を備え
前記反射材は、再帰性反射材であり、
前記発光材は、蛍光材又は蓄光材である、
車両用光標示具。
【請求項2】
前記第2標示部は、前記発光材を含有する樹脂材料で形成されている、請求項1に記載の車両用光標示具。
【請求項3】
前記第2標示部は、環状とされ、前記第1標示部を取り囲んでいる、請求項1又は請求項2に記載の車両用光標示具。
【請求項4】
前記車両構成部材に形成された貫通孔に挿入されて該貫通孔を塞ぐ閉塞部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記車両構成部材の前記貫通孔の周辺部を覆うフランジ部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記貫通孔に挿入されて係止される前記取付部としての係止部と、を有するベース部材を備え、
前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に前記第1標示部が設けられ、
前記フランジ部に前記第2標示部が設けられている、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の車両用光標示具。
【請求項5】
車両構成部材に形成された貫通孔に挿入されて該貫通孔を塞ぐ閉塞部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記車両構成部材の前記貫通孔の周辺部を覆うフランジ部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記貫通孔に挿入されて係止される取付部としての係止部と、を有するベース部材と、
前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に設けられ、入射された光を反射する第1標示部と、
前記フランジ部に設けられ、入射された光によって発光又は入射された光を反射する第2標示部と、
を備える車両用光標示具。
【請求項6】
前記第2標示部が前記ベース部材に対して着脱可能とされている、請求項又は請求項に記載の車両用光標示具。
【請求項7】
前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に凹部が設けられ、
前記第2標示部が前記凹部に嵌められている、請求項に記載の車両用光標示具。
【請求項8】
前記車両構成部材は、車両用ドアである、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の車両用光標示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光標示具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用ドアのメンテナンス用の貫通孔を塞ぐホールプラグが開示されている。このホールプラグの表面中央部には、光を反射すると共に電力供給により発光する反射発光部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3215198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のホールプラグでは、反射発光部を除く部分が光の反射及び発光をしない。また、特許文献1のホールプラグでは、反射発光部の発光に電力を要する。このため、市場では、電力供給が不要で、夜間における視認性に優れるホールプラグの開発が期待されている。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる車両用光標示具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の車両用光標示具は、車両構成部材に取り付けられる取付部と、前記取付部の取付側と反対側に設けられ、反射材を含有する第1標示部と、前記第1標示部に隣接して設けられ、発光材を含有する第2標示部と、を備える。
【0007】
第1態様の車両用光標示具は、取付部を車両構成部材に取り付けることで、車両構成部材に取り付けられる。
【0008】
また、上記車両用光標示具では、取付部の取付側と反対側に反射材を含有する第1標示部が設けられている。この第1標示部で光(入射光)が反射されることで、夜間において遠距離からでも上記車両用光標示具を視認することが可能になる。すなわち、上記車両用光標示具では、例えば、反射材を含有する第1標示部を備えないものと比べて、夜間における視認性に優れる。
【0009】
また、上記車両用光標示具では、第1標示部に隣接して第2標示部が設けられている。この第2標示部は、発光材を含有しているため、電力供給がなくても光を受けることで発光する。
【0010】
そして、上記車両用光標示具では、光が照射されると、第1標示部が光を反射し、第2標示部が発光するため、例えば、第1標示部又は第2標示部の片方のみを備えるものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなる。このように上記車両用光標示具では、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0011】
以上のことから、第1態様の車両用光標示具は、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる。
【0012】
本発明の第2態様の車両用光標示具は、第1態様の車両用光標示具において、前記第2標示部は、前記発光材を含有する樹脂材料で形成されている。
【0013】
第2態様の車両用光標示具では、発光材を含有する樹脂材料で第2標示部を形成していることから、樹脂成形(例えば、従来公知の樹脂成形方法)により簡単に第2標示部を形成することができる。
【0014】
本発明の第3態様の車両用光標示具は、第1態様又は第2態様の車両用光標示具において、前記発光材は、蛍光材又は蓄光材である。
【0015】
第3態様の車両用光標示具では、第2標示部が蛍光材又は蓄光材を含有していることから、電力供給がなくても光を受けることで第2標示部は発光する。
【0016】
本発明の第4態様の車両用光標示具は、第1態様~第3態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記反射材は、再帰性反射材である。
【0017】
第4態様の車両用光標示具では、第1標示部が再帰性反射材を含有している、すなわち、第1標示部が再帰性反射性を備えている。このように車両用光標示具では、第1標示部に入射された光がそのまま光源へはね返されるため、夜間において遠距離からでも第1標示部(すなわち、車両用光標示具)を視認しやすくなる。
【0018】
本発明の第5態様の車両用光標示具は、車両構成部材に取り付けられる取付部と、前記取付部の取付側と反対側に設けられ、入射された光を正反射又は再帰性反射する第1標示部と、前記第1標示部に隣接して設けられ、入射された光によって発光又は入射された光を拡散反射する第2標示部と、を備える。
【0019】
第5態様の車両用光標示具は、取付部を車両構成部材に取り付けることで、車両構成部材に取り付けられる。
【0020】
また、上記車両用光標示具では、取付部の取付側と反対側に、入射された光(入射光)を正反射又は再帰性反射する第1標示部が設けられている。このため、夜間において遠距離からでも第1標示部(車両用光標示具)を視認することが可能になる。すなわち、上記車両用光標示具では、例えば、入射された光を正反射又は再帰性反射する第1標示部を備えないものと比べて、夜間における視認性に優れる。
【0021】
また、上記車両用光標示具では、第1標示部に隣接して第2標示部が設けられている。この第2標示部は、電力供給がなくても、入射された光によって発光又は入射された光を拡散反射する。
【0022】
そして、上記車両用光標示具では、光が照射されると、第1標示部が光を反射し、第2標示部が反射又は発光するため、例えば、第1標示部又は第2標示部の片方のみを備えるものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなる。このように上記車両用光標示具では、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0023】
以上のことから、第5態様の車両用光標示具は、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる。
【0024】
本発明の第6態様の車両用光標示具は、第1態様~第5態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記第2標示部は、環状とされ、前記第1標示部を取り囲んでいる。
なお、ここでいう「環状」には、外形が円形の円環状、外形が楕円形の楕円環状、外形が多角形(例えば、三角形や矩形)の多角形環状が含まれる。
【0025】
第6態様の車両用光標示具では、環状の第2標示部が第1標示部を取り囲んでいるため、第2標示部の外形が大きくなる。これにより、上記車両用光標示具では、例えば、第2標示部が第1標示部を取り囲まずに隣接しているものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0026】
本発明の第7態様の車両用光標示具は、第1態様~第6態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記車両構成部材に形成された貫通孔に挿入されて該貫通孔を塞ぐ閉塞部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記車両構成部材の前記貫通孔の周辺部を覆うフランジ部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記貫通孔に挿入されて係止される前記取付部としての係止部と、を有するベース部材を備え、前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に前記第1標示部が設けられ、前記フランジ部に前記第2標示部が設けられている。
【0027】
第7態様の車両用光標示具では、車両構成部材に形成された貫通孔がベース部材の閉塞部によって塞がれ、車両構成部材の貫通孔の周辺部がフランジ部によって覆われるため、車両構成部材の貫通孔周りの見栄えが向上する。また、上記車両用光標示具では、取付部としての係止部を車両構成部材の貫通孔に挿入して係止させる簡単な作業でベース部材を車両構成部材に取り付けることができる。そして、上記車両用光標示具では、ベース部材の表面側の閉塞部に対応する位置に第1標示部が設けられ、第1標示部に隣接するフランジ部に第2標示部が設けられている。そのため、光を受けて光る部分の面積が大きくなり、夜間における視認性が向上する。
【0028】
本発明の第8態様の車両用光標示具は、車両構成部材に形成された貫通孔に挿入されて該貫通孔を塞ぐ閉塞部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記車両構成部材の前記貫通孔の周辺部を覆うフランジ部と、前記閉塞部と一体に形成され、前記貫通孔に挿入されて係止される係止部と、を有するベース部材と、前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に設けられ、入射された光を反射する第1標示部と、前記フランジ部に設けられ、入射された光によって発光又は入射された光を反射する第2標示部と、を備える。
【0029】
第8態様の車両用光標示具では、車両構成部材に形成された貫通孔がベース部材の閉塞部によって塞がれ、車両構成部材の貫通孔の周辺部がフランジ部によって覆われるため、車両構成部材の貫通孔周りの見栄えが向上する。また、上記車両用光標示具では、係止部を車両構成部材の貫通孔に挿入して係止させる簡単な作業でベース部材を車両構成部材に取り付けることができる。
【0030】
そして、上記車両用光標示具では、ベース部材の表面側の閉塞部に対応する位置に第1標示部が設けられている。このため、夜間において遠距離からでも第1標示部(車両用光標示具)を視認することが可能になる。すなわち、上記車両用光標示具では、例えば、入射された光を反射する第1標示部を備えないものと比べて、夜間における視認性に優れる。
【0031】
また、上記車両用光標示具では、第1標示部に隣接するフランジ部に第2標示部が設けられている。この第2標示部は、電力供給がなくても、入射された光によって発光又は入射された光を反射する。そして、上記車両用光標示具では、光が照射されると、第1標示部が光を反射し、第2標示部が発光又は反射するため、例えば、第1標示部又は第2標示部の片方のみを備えるものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなる。このように上記車両用光標示具では、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0032】
以上のことから、第8態様の車両用光標示具は、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる。
【0033】
本発明の第9態様の車両用光標示具は、第5態様又は第7態様の車両用光標示具において、前記第1標示部は、再帰性反射材を含有している。
【0034】
第9態様の車両用光標示具では、第1標示部が再帰性反射材を含有している、すなわち、第1標示部が再帰性反射性を備えている。このように車両用光標示具では、第1標示部に入射された光がそのまま光源へはね返されるため、夜間において遠距離からでも第1標示部(すなわち、車両用光標示具)を視認しやすくなる。
【0035】
本発明の第10態様の車両用光標示具は、第5態様、第7態様、又は第9態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記第2標示部は、発光材を含有している。
【0036】
第10態様の車両用光標示具では、第2標示部が発光材を含有していることから、電力供給がなくても光を受けることで第2標示部が発光する。このため、上記車両用光標示具では、夜間における視認性が向上する。
【0037】
本発明の第11態様の車両用光標示具は、第5態様、第7態様、又は第9態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記第2標示部は、反射材を含有している。
【0038】
第11態様の車両用光標示具では、第1標示部が反射材を含有していることから、第1標示部に入射された光が反射される。このため、上記車両用光標示具では、夜間における視認性が向上する。
【0039】
本発明の第12態様の車両用光標示具は、第7態様又は第8態様の車両用光標示具において、前記第2標示部が前記ベース部材に対して着脱可能とされている。
【0040】
第12態様の車両用光標示具では、第1標示部がベース部材に対して着脱可能とされている。このため上記車両用光標示具では、第1標示部を交換することができる。
【0041】
本発明の第13態様の車両用光標示具は、第12態様の車両用光標示具において、前記ベース部材の表面側の前記閉塞部に対応する位置に凹部が設けられ、前記第2標示部が前記凹部に嵌められている。
【0042】
第13態様の車両用光標示具では、ベース部材の表面側の閉塞部に対応する位置に設けられた凹部には、第1標示部が嵌められている。このため、上記車両用光標示具では、例えば、凹部が設けられていないベース部材の表面に第1標示部が設置されるものと比べて、第1標示部とフランジ部(第2標示部)との間の段差を小さくできる。これにより、上記車両用光標示具の見栄えが良くなる。
【0043】
本発明の第14態様の車両用光標示具は、第1態様~第13態様のいずれか1態様の車両用光標示具において、前記車両構成部材は、車両用ドアである。
【0044】
第14態様の車両用光標示具では、車両用光標示具が車両用ドアである。このため、夜間における視認性に優れる上記車両用光標示具を車両用ドアへ取り付けることで、夜間における車両用ドアの開放状態を後方の車両から視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる車両用光標示具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用光標示具としてのホールプラグを斜め上方から見た斜視図である。
図2図1に示されるホールプラグの正面図である。
図3図2に示されるホールプラグの3-3線断面図である。
図4図3に示されるホールプラグを貫通孔に挿入した状態を示す断面図(図3に対応する断面図)である。
図5図1に示されるホールプラグを車両用ドアに取り付けた状態を示す図である。
図6】本発明のその他の実施形態に係る車両用光標示具の正面図である。
図7図6に示される車両用光標示具の7-7線断面図である。
図8】本発明のその他の実施形態に係る車両用光標示具の正面図である。
図9図8に示される車両用光標示具の9-9線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本発明の一実施形態に係る車両用光標示具としてのホールプラグ20を図1図5を用いて説明する。
【0048】
本実施形態のホールプラグ20は、図5に示されるように、車両用構成部材の一例としての車両用ドア(サイドドア)50に形成された内部作業用の貫通孔52を塞ぐための栓部材である。具体的には、ホールプラグ20は、車両用ドア50の車室内側を構成するドアインナパネル54の車両後方側端部54Aに形成された貫通孔52を塞ぐようになっている。
なお、図3及び図4に示す矢印Xは、ホールプラグ20の軸方向の一方、ここでは、挿入方向(以下、適宜「プラグ挿入方向」と記載する。)を示している。また、図2図4に示す矢印Yは、ホールプラグ20の径方向(以下、適宜「プラグ径方向」と記載する。)を示し、矢印Zは、ホールプラグ20の周方向(以下、適宜「プラグ周方向」と記載する。)を示している。また、図3及び図4に示す符号CLは、ホールプラグ20の中心軸を示している。なお、プラグ径方向内側とは、プラグ径方向に沿って中心軸CLに近い側を指しており、プラグ径方向外側とは、プラグ径方向に沿って中心軸CLから遠い側を指している。
【0049】
ホールプラグ20は、図1図4に示されるように、閉塞部22と、フランジ部24と、爪部26と、光反射部としての第1標示部28と、発光部としての第2標示部30とを備えている。
【0050】
(閉塞部22)
閉塞部22は、図3及び図4に示されるように、ホールプラグ20において、ドアインナパネル54の貫通孔52を閉塞する部分である。この閉塞部22は、ドアインナパネル54の貫通孔52へ挿入されることで、貫通孔52を閉塞するようになっている。
【0051】
また、閉塞部22は、図3及び図4に示されるように、円筒状の外周壁部32と、外周壁部32の内側に外周壁部32と同心円状に配置された円筒状の内周壁部34と、外周壁部32のプラグ挿入方向側の端部と内周壁部34のプラグ挿入方向側の端部とをつなぐ連結壁部36と、内周壁部34のプラグ挿入方向と反対側の端部に架け渡されて、内周壁部34の内側を閉塞する底部38と、を備えている。なお、本実施形態でいう「円筒状」には、断面形状が真円及び楕円のものが含まれる。
【0052】
(フランジ部24)
フランジ部24は、図4に示されるように、ホールプラグ20において、ドアインナパネル54の貫通孔52の周辺部を覆う部分である。このフランジ部24は、図1及び図3に示されるように、外周壁部32のプラグ挿入方向と反対側の端部からプラグ径方向外側へ張り出しており、円環状とされている。
【0053】
また、フランジ部24の外径は、図4に示されるように、貫通孔52の孔径よりも大径である。このため、ホールプラグ20の閉塞部22をドアインナパネル54の貫通孔52に挿入し、後述する爪部26を貫通孔52の縁部52Bに引っ掛けた状態では、閉塞部22によって貫通孔52が閉塞され、貫通孔52の周辺部が覆われる(図4参照)。すなわち、ホールプラグ20によってドアインナパネル54の貫通孔52及びこの貫通孔52の周辺部が目隠しされる。
【0054】
(爪部26)
爪部26は、図3及び図4に示されるように、ホールプラグ20を車両用ドア50に取り付けるための部分である。具体的には、爪部26は、ドアインナパネル54の貫通孔52へ挿入されて、貫通孔52の縁部(ドアインナパネル54の貫通孔52を形成する部分)52Bに係止される部分である。なお、本実施形態の爪部26は、本発明における係止部の一例である。
【0055】
この爪部26は、外周壁部32の外周面にプラグ円周方向に間隔をあけて複数形成されている。また爪部26は、閉塞部22をドアインナパネル54の貫通孔52に挿入する際に貫通孔52の縁部52Aに当接して弾性変形するため、閉塞部22を容易に貫通孔52へ挿入できる。一方、閉塞部22に引き抜き方向の力が作用した場合、貫通孔52の縁部52Bに爪部26が引っ掛かる(言い換えると、爪部26が縁部52Bに係止される)ため、貫通孔52からの閉塞部22の抜け去りが抑制される。
【0056】
また、本実施形態では、閉塞部22と、フランジ部24と、爪部26とが一体に形成されてベース部材21を構成している。このベース部材21は、弾性変形可能な樹脂材料で形成された樹脂の一体成型品である。
【0057】
また、ベース部材21には、表面側の閉塞部22に対応する位置に凹部21Aが設けられている。具体的には、凹部21Aは、ベース部材21の内周壁部34と底部38とによって構成されている。この凹部21Aには、第1標示部28が嵌め込まれるようになっている。また、凹部21Aの凹壁を構成する内周壁部34には、径方向内側へ突出するストッパ部21Bが設けられている。
【0058】
(第1標示部28)
第1標示部28は、図1図4に示されるように、ホールプラグ20において、光を反射する部分である。この第1標示部28は、反射材を含有しており、入射された光を正反射、再帰性反射あるいは拡散反射するようになっている。第1標示部28が含有する反射材としては、再帰性反射材を用いることが好ましい。なお、本実施形態では、第1標示部28が再帰性反射材で構成された反射板を有している。このため、本実施形態の第1標示部28は照射された光を再帰性反射するようになっている。
【0059】
第1標示部28は、図1及び図3に示されるように、円板状又は円柱状とされている。この第1標示部28は、ベース部材21の閉塞部22の挿入側と反対側に設けられている。具体的には、第1標示部28は、ベース部材21の表面側の閉塞部22に対応する位置に設けられている。具体的には、第1標示部28は、ベース部材21の凹部21Aに嵌められている。すなわち、第1標示部28は、ベース部材21に対して着脱可能とされている。
【0060】
また、第1標示部28の外周面には、周方向に沿って延びる突条部35が設けられている。ここで、第1標示部28を凹部21Aに嵌めた状態では、底部38とストッパ部21Bとの間に突条部35が位置しており、突条部35とストッパ部21Bとが当接することで、第1標示部28がベース部材21から抜け去るのが抑制されている。すなわち、突条部35とストッパ部21Bによって、第1標示部28がベース部材21の凹部21A内に嵌められた状態が維持されるようになっている。
【0061】
(第2標示部30)
第2標示部30は、図1図4に示されるように、ホールプラグ20において、光を受けて発光する部分である。この第2標示部30は、発光材を含有しており、入射された光によって発光するようになっている。第2標示部30が含有する発光材は、蛍光材又は蓄光材を用いることが好ましい。なお、本実施形態では、第2標示部30が蛍光材を含有する樹脂材料で形成されている。このため、本実施形態の第2標示部30は光を受けると発光するようになっている。
【0062】
第2標示部30は、図1及び図3に示されるように、第1標示部28に隣接して設けられている。この第2標示部30は、フランジ部24に沿って環状に設けられている。これにより、環状の第2標示部30によって、第1標示部28が取り囲まれている。なお、本実施形態でいう「環状」には、外形が円形の円環状、外形が楕円形の楕円環状、外形が多角形(例えば、三角形や矩形)の多角形環状が含まれる。
【0063】
また、本実施形態では、フランジ部24全体が第2標示部30とされている。ここで、本実施形態のベース部材21は、第2標示部30と同じ発光材(本実施形態では蛍光材)を含有した樹脂材料で形成されていることから、ベース部材21の製造時にベース部材21に第2標示部30を備えさせるのが容易になる。また、本発明は上記構成に限定されない。例えば、フランジ部24の表面部分を第2標示部30としてもよい。
【0064】
次に、本実施形態のホールプラグ20の作用効果について説明する。
ホールプラグ20では、ベース部材21に装着された第1標示部28を介して閉塞部22の底部38を押しながら、閉塞部22を貫通孔52に挿入していくと、復元した爪部26が貫通孔52の縁部52Bに引っ掛かり、ホールプラグ20がドアインナパネル54の貫通孔52に係止される。このようにしてホールプラグ20がドアインナパネル54に取り付けられると、ホールプラグ20によって、ドアインナパネル54の貫通孔52及びその周辺部が目隠し及び止水される。
【0065】
ここで、ホールプラグ20は、車両用ドア50の貫通孔52に閉塞部22を挿入して爪部26を縁部52Bに引っ掛ける(係止させる)簡単な作業で車両用ドア50に取り付けられるため、車両用ドア50への取り付けが容易になる。
【0066】
また、ホールプラグ20では、閉塞部22のプラグ挿入側と反対側に反射材を含有する第1標示部28が設けられている。この第1標示部28で光(入射光)が反射されることで、夜間において遠距離からでもホールプラグ20を視認することが可能になる。すなわち、ホールプラグ20では、例えば、反射材を含有する第1標示部28を備えないものと比べて、夜間における視認性に優れる。特に、本実施形態では、第1標示部28が再帰性反射材を含有している、すなわち、第1標示部28が再帰性反射性を備えている。このようにホールプラグ20では、第1標示部28に入射された光がそのまま光源へはね返されるため、夜間において遠距離からでも第1標示部28(すなわち、ホールプラグ20)を視認しやすくなる。
【0067】
また、ホールプラグ20では、第1標示部28に隣接して第2標示部30が設けられている。この第2標示部30は、発光材(本実施形態では蛍光材)を含有しているため、電力供給がなくても光を受けることで発光する。特に、本実施形態では、第2標示部30が蛍光材を含有しているため、発光強度が高く、夜間における視認性が向上する。
【0068】
そして、ホールプラグ20では、光が照射されると、第1標示部28が光を反射し、第2標示部30が発光するため、例えば、第1標示部28又は第2標示部30の片方のみを備えるものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなる。これにより、ホールプラグ20では、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0069】
以上のことから、本実施形態のホールプラグ20は、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる。
【0070】
上記のようなホールプラグ20を車両用ドア50へ取り付けることで、夜間における車両用ドア50の開放状態を後方の車両から視認しやすくなる。なお、ここでいう後方の車両には、自動車、自動二輪車、原動機付き自転車、自転車等を含む。
【0071】
また、ホールプラグ20では、発光材(本実施形態では蛍光材)を含有する樹脂材料で第2標示部30を形成していることから、樹脂成形(例えば、従来公知の樹脂成形方法)により簡単に第2標示部30を形成することができる。
【0072】
ホールプラグ20では、環状の第2標示部30が第1標示部28を取り囲んでいるため、第2標示部30の外形が大きくなる。これにより、ホールプラグ20では、例えば、第2標示部30が第1標示部28を取り囲まずに隣接しているものと比べて、照射された光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。
【0073】
また、ホールプラグ20では、車両用ドア50の貫通孔52がベース部材21の閉塞部22によって塞がれ、車両用ドア50の貫通孔52の周辺部がフランジ部24によって覆われるため、車両用ドア50の貫通孔52周りの見栄えが向上する。またホールプラグ20では、閉塞部22を車両用ドア50の貫通孔52に挿入して爪部26を係止させる簡単な作業でベース部材21を車両用ドア50に取り付けることができる。そして、ホールプラグ20では、ベース部材21の表面側の閉塞部22に対応する位置に第1標示部28が設けられ、第1標示部28に隣接するフランジ部24が第2標示部30とされている。そのため、光を受けて光る部分の面積が大きくなり、夜間における視認性が向上する。
【0074】
また、ホールプラグ20では、第1標示部28がベース部材21に対して着脱可能とされている。このためホールプラグ20では、第1標示部28に不具合が生じた場合等に第1標示部28を交換することができる。
【0075】
また、ホールプラグ20では、ベース部材21の凹部21Aには、第1標示部28が嵌められている。このため、ホールプラグ20では、例えば、凹部21Aが設けられていないベース部材の表面に第1標示部28が設置されるものと比べて、第1標示部28とフランジ部24(第2標示部30)との間の段差を小さくできる。これにより、ホールプラグ20の見栄えが良くなる。
【0076】
(その他の実施形態)
前述の実施形態のホールプラグ20では、第1標示部28がベース部材21の凹部21Aに嵌め込まれる円板状又は円柱状の部材とされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1標示部28は、ベース部材21の凹部21Aに嵌め込まれる円板状又は円柱状の部材の表面部分に設けられてもよい。なお、第1標示部28を円板状又は円柱状の部材の表面部分に設ける場合には、第1標示部28を、反射板、反射塗料、金属箔等で形成してもよい。
【0077】
前述の実施形態のホールプラグ20では、第2標示部30が蛍光材を含有しているが、本発明はこの構成に限定されない。第2標示部30は蓄光材を含有していてもよい。この場合には、第2標示部30が蓄光材を含有しているため、蓄えた光エネルギーに応じて発光時間が長くなり、夜間における視認性が向上する。なお、その他の作用効果は、前述の実施形態のホールプラグ20と同様のものが得られる。さらに、例えば、第2標示部30に蛍光材を含有する部分と、畜光材を含有する部分とを含めてもよい。この場合、蛍光材含有部分と畜光材含有部分とをフランジ部24に沿って交互に設けてもよいし、蛍光材含有部分(又は畜光材含有部分)をフランジ部24の径方向内側に設け、畜光材含有部分(又は蛍光材含有部分)をフランジ部24の径方向外側に設けてもよい。このように第2標示部30を蛍光材含有部分と畜光材含有部分とで構成することで、発光強度と発光時間のバランスを両立することができ、夜間における視認性がさらに向上する。
【0078】
前述の実施形態のホールプラグ20では、第1標示部28が再帰性反射材で形成された反射板を有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1標示部28を粉末状の反射材を含有する樹脂材料で形成してもよい。この粉末状の反射材としては、金属フレークやガラスフレーク等が挙げられる。また、粉末状の反射材を含有させる樹脂材料としては、透明な樹脂材料を用いることが好ましい。
【0079】
前述の実施形態のホールプラグ20では、第2標示部30が発光材(蛍光材)を含有する樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第2標示部30を粉末状の反射材を含有する樹脂材料で形成してもよい。この粉末状の反射材としては、金属フレークやガラスフレーク等が挙げられる。また、粉末状の反射材を含有させる樹脂材料としては、透明な樹脂材料を用いることが好ましい。さらに、フランジ部24の表層部分を第2標示部30とし、この第2標示部30を反射板(再帰性反射板含む)、反射塗料、反射膜(金属箔)等で形成してもよい。
【0080】
前述の実施形態のホールプラグ20では、第2標示部30がフランジ部24に沿って環状に形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第2標示部30がフランジ部24に沿ってプラグ周方向に間隔をあけて複数形成されてもよい。
また、前述の実施形態のホールプラグ20では、第2標示部30がフランジ部24に沿って環状に設けられている、すなわち、フランジ部24と同じ円環状とされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第2標示部30は、フランジ部24の形状に関わらず、外形を楕円形あるいは多角形としてもよい。
さらに、前述の実施形態のホールプラグ20では、第2標示部30が第1標示部28を取り囲んでいるが、本発明はこの構成に限定されない。第1標示部28が第2標示部30を取り囲んでもよい。この場合には、例えば、第1標示部28を構成する反射材がフランジ部24上に配置され、第2標示部30を構成する樹脂材料がベース部材21の凹部21Aに嵌め込まれる。
【0081】
前述の実施形態のホールプラグ20では、第1標示部28がベース部材21に対して着脱可能とされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1標示部28がベース部材21に対して着脱不能とされてもよい。
【0082】
前述の実施形態では、車両用ドア(サイドドア)50の貫通孔52にホールプラグ20を取り付けているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、車両のバックドアに形成された貫通孔にホールプラグ20を取り付けてもよい。また、前述の実施形態のホールプラグ20をスライド式の車両用ドア(サイドドア)へ取り付けてもよい。
【0083】
前述の実施形態では、車両用のホールプラグ20に第1標示部28及び第2標示部30を設けたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、前述の車両用ドア50の貫通孔52とは別の取付場所Hに車両用光標示具60(以下、適宜「光標示具60」と記載する。)を取り付けてもよい。具体的には、光標示具60は、図6及び図7に示されるように、板状のベース部材61を備えている。このベース部材61の一方の板面に取付部62が設けられている。この取付部62は、接着層であり、取付場所Hに貼り付けられるようになっている。また、ベース部材61の他方の板面には、第1標示部64及び第2標示部66が隣接して設けられている。また、第2標示部66は、環状とされ、第1標示部64を取り囲んでいる。なお、第1標示部64は、第1標示部28と同じ材料で形成されている。また、第2標示部66は、第2標示部30と同じ材料で形成されている。ここで、取付場所Hに取付部62を貼り付けることで、光標示具60が取付場所Hに取り付けられる。また、第1標示部64で光(入射光)が反射されるため、夜間において遠距離からでも光標示具60を視認することが可能になる。すなわち、光標示具60では、例えば、反射材を含有する第1標示部64を備えないものと比べて、夜間における視認性に優れる。さらに、光標示具60では、第1標示部64に隣接して第2標示部66が設けられている。この第2標示部66は、発光材(蛍光材又は蓄光材)を含有するため、電力供給がなくても光を受けることで発光する。そして、光標示具60では、光が照射されると、第1標示部64が光を反射し、第2標示部66が発光するため、例えば、第1標示部又は第2標示部66の片方のみを備えるものと比べて、光を受けて光る部分の面積が大きくなる。このように光標示具60では、光を受けて光る部分の面積が大きくなるため、夜間における視認性に優れる。以上のことから、光標示具60は、電力供給が不要で且つ夜間における視認性に優れる。
【0084】
前述の実施形態の光標示具60では、第2標示部66が第1標示部64を取り囲んでいるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図8及び図9に示される車両用光標示具70(以下、適宜「光標示具70」と記載する。)のように、第1標示部74が第2標示部76を取り囲んでもよい。なお、第1標示部74は、第1標示部28と同じ材料で形成されている。また、第2標示部76は、第2標示部30と同じ材料で形成されている。
【0085】
前述の実施形態の光標示具60では、取付部62を接着層としているが、光標示具60のベース部材61を車両用ドア50に取り付けられれば、この構成に限定されない。例えば、取付部62をねじ止め用のねじ穴としてもよい。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
20 ホールプラグ(車両用光標示具)
21 ベース部材
21A 凹部
22 閉塞部
24 フランジ部
26 爪部(係止部(取付部))
28 第1標示部
30 第2標示部
50 車両用ドア(車両構成部材)
52 貫通孔
60 車両用光標示具
61 ベース部材
62 取付部
64 第1標示部
66 第2標示部
70 車両用光標示具
74 第1標示部
76 第2標示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9