(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】表示装置、表示モジュール、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20240709BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240709BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240709BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240709BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240709BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 342
G09F9/00 348Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 336
G09F9/30 338
G09F9/30 349A
H01L33/00 L
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020540867
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2019057065
(87)【国際公開番号】W WO2020049392
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2018166335
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018166336
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】江口 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特許第6131374(JP,B1)
【文献】特開2013-137509(JP,A)
【文献】特表2017-538290(JP,A)
【文献】特開2015-109252(JP,A)
【文献】特開2017-130647(JP,A)
【文献】特表2016-512347(JP,A)
【文献】特開2018-078279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166643(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0104086(KR,A)
【文献】特開2016-174143(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116814(WO,A1)
【文献】特表2015-501085(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203340(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0345801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0305202(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113140661(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L21/336
29/786
33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタ
、第1乃至第4の絶縁層、第1の導電層及び第2の導電層が設けられた第1の基板と
、複数の発光ダイオードがマトリクス状に設けられた第2の基板と、が貼り合わされた表示装置であって、
前記複数のトランジスタは、それぞれ、前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続され、
前記複数のトランジスタは、それぞれ、前記第1の基板の上方の第1のゲート電極、前記第1のゲート電極の上方に設けられ、かつチャネル形成領域を有する金属酸化物層、及び前記金属酸化物層の上方の第2のゲート電極と、を有し、
前記金属酸化物層は、In、Ga及びZnを有し
前記第1のゲート電極は、
前記第1の絶縁層に埋め込まれるように設けられ、且つ前記第1のゲート電極の上面の高さは、前記第1の絶縁層の上面の高さと概略一致しており、
前記第2のゲート電極は、
前記第2の絶縁層に埋め込まれるように設けられた領域を有し、且つ前記第2のゲート電極の上面の高さは、前記第2の絶縁層の上面の高さと概略一致しており、
前記第3の絶縁層は、前記第2のゲート電極の上面に接する領域と、前記第2の絶縁層の上面に接する領域とを有し、
前記第4の絶縁層は、前記第3の絶縁層の上方に設けられ、
前記第1の導電層及び前記第2の導電層の各々は、前記第4の絶縁層の上面に接する領域を有し、
前記複数の発光ダイオードの一の画素電極は、第1の導電性ペーストを介して、前記第1の導電層と電気的に接続され、
前記第1の導電層は、前記複数のトランジスタの一と電気的に接続され、
前記複数の発光ダイオードの一の共通電極は、第2の導電性ペーストを介して、前記第2の導電層と電気的に接続され、
前記複数のトランジスタの一のチャネル長方向における断面視において、前記第1の導電層の幅は、前記複数の発光ダイオードの一の画素電極の幅よりも大きく、且つ前記第2の導電層の幅は、前記複数の発光ダイオードの共通電極の幅よりも大きい、表示装置。
【請求項2】
請求項
1において、
前記複数の発光ダイオードの各々は、光を射出する領域の面積が10000μm
2以下である、表示装置。
【請求項3】
請求項1
又は2において、
前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つは、マイクロ発光ダイオードである、表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一において、
前記複数の発光ダイオードは、第1の発光ダイオード及び第2の発光ダイオードを有し、
前記第1の発光ダイオードと前記第2の発光ダイオードとは、互いに異なる色の光を呈する、表示装置。
【請求項5】
請求項
4において、
前記第1の発光ダイオードと電気的に接続される第1のトランジスタと、前記第2の発光ダイオードと電気的に接続される第2のトランジスタと、は、チャネル長及びチャネル幅の一方または双方が互いに異なる構造である、表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至
3のいずれか一において、
前記複数の発光ダイオードは、いずれも同じ色の光を呈する、表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一において、
さらに、駆動回路を有し、
前記駆動回路は、複数の回路用トランジスタを有し、
前記複数の回路用トランジスタは、それぞれ、半導体基板にチャネル形成領域を有し、
前記第1の基板は、前記
第2の基板と前記半導体基板
との間に位置
する、表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか一において、
さらに、機能層を有し、
前記機能層は、前記
第2の基板と前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つとの間に位置し、
前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つは、前記機能層を介して、前記
第2の基板側に光を発し、
前記機能層は、着色層及び色変換層の一方又は双方を有する、表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか一において、
さらに、タッチセンサを有し、
前記発光ダイオードは、前記
第2の基板を介して、前記タッチセンサ側に光を発する、表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか一に記載の表示装置と、コネクタまたは集積回路と、を有する、表示モジュール。
【請求項11】
請求項
10に記載の表示モジュールと、
アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち少なくとも一つと、を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、表示モジュール、電子機器、及びこれらの作製方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED(Light Emitting Diode))を表示素子に用いた表示装置が提案されている(例えば特許文献1)。マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置は、高輝度、高コントラスト、長寿命などの利点があり、次世代の表示装置として研究開発が活発である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2014/0367705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置は、LEDチップの実装にかかる時間が極めて長く、製造コストの削減が課題となっている。例えば、ピック・アンド・プレイス方式では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のLEDをそれぞれ異なるウエハ上に作製し、LEDを1つずつ切り出して回路基板に実装する。したがって、表示装置の画素数が多いほど、実装するLEDの個数が増え、実装にかかる時間が長くなる。また、表示装置の精細度が高いほど、LEDの実装の難易度が高くなる。
【0006】
本発明の一態様は、精細度が高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、表示品位の高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、消費電力の低い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
本発明の一態様は、マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置の製造コストを削減することを課題の一とする。本発明の一態様は、高い歩留まりで、マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置を製造することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の表示装置は、基板、絶縁層、複数のトランジスタ、及び、複数の発光ダイオードを有する。複数の発光ダイオードは、基板にマトリクス状に設けられている。複数のトランジスタは、それぞれ、複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続される。複数の発光ダイオードは、複数のトランジスタよりも基板側に位置する。複数の発光ダイオードは、基板側に光を発する。複数のトランジスタは、それぞれ、金属酸化物層、及びゲート電極を有する。金属酸化物層は、チャネル形成領域を有する。ゲート電極の上面の高さは、絶縁層の上面の高さと概略一致している。
【0010】
または、本発明の一態様の表示装置は、基板、絶縁層、複数のトランジスタ、及び、複数の発光ダイオードを有する。複数の発光ダイオードは、基板にマトリクス状に設けられている。複数のトランジスタは、それぞれ、複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続される。複数の発光ダイオードは、複数のトランジスタよりも基板側に位置する。複数の発光ダイオードは、基板側に光を発する。複数のトランジスタは、それぞれ、金属酸化物層、ゲート絶縁層、ゲート電極、第1の導電層、及び第2の導電層を有する。金属酸化物層は、チャネル形成領域を有する。金属酸化物層は、第1の導電層と重なる第1の領域と、第2の導電層と重なる第2の領域と、第1の領域と第2の領域の間の第3の領域と、を有する。第1の導電層及び第2の導電層は、金属酸化物層上に互いに離間して位置する。絶縁層は、第1の導電層上及び第2の導電層上に位置する。絶縁層は、第3の領域と重なる開口を有する。ゲート絶縁層は、開口の内側に位置し、かつ、絶縁層の側面及び第3の領域の上面と重なる。ゲート電極は、開口の内側に位置し、かつ、ゲート絶縁層を介して、絶縁層の側面及び第3の領域の上面と重なる。
【0011】
複数の発光ダイオードの少なくとも一つは、マイクロ発光ダイオードであることが好ましい。
【0012】
複数の発光ダイオードは、互いに異なる色の光を呈する第1の発光ダイオード及び第2の発光ダイオードを有していてもよい。このとき、第1の発光ダイオードと電気的に接続される第1のトランジスタと、第2の発光ダイオードと電気的に接続される第2のトランジスタと、は、チャネル長及びチャネル幅の一方または双方が互いに異なる構造であってもよい。
【0013】
または、複数の発光ダイオードは、いずれも同じ色の光を呈してもよい。
【0014】
本発明の一態様の表示装置は、さらに、駆動回路を有することが好ましい。駆動回路は、複数の回路用トランジスタを有する。複数の回路用トランジスタは、それぞれ、半導体基板にチャネル形成領域を有する。絶縁層、複数のトランジスタ、及び複数の発光ダイオードは、それぞれ、基板と半導体基板の間に位置する。複数のトランジスタは、複数の回路用トランジスタよりも基板側に位置する。
【0015】
本発明の一態様の表示装置は、さらに、機能層を有することが好ましい。機能層は、基板と複数の発光ダイオードの少なくとも一つとの間に位置する。複数の発光ダイオードの少なくとも一つは、機能層を介して、基板側に光を発する。機能層は、着色層及び色変換層の一方又は双方を有する。
【0016】
本発明の一態様の表示装置は、さらに、タッチセンサを有することが好ましい。発光ダイオードは、基板を介して、タッチセンサ側に光を発する。
【0017】
本発明の一態様は、上記の構成の表示装置を有し、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、またはCOG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等のモジュールである。
【0018】
本発明の一態様は、上記のモジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち、少なくとも一つと、を有する電子機器である。
【0019】
本発明の一態様は、第1の基板上に、複数のトランジスタをマトリクス状に形成し、第2の基板上に、複数の発光ダイオードをマトリクス状に形成し、第1の基板上または第2の基板上に、複数のトランジスタの少なくとも一つまたは複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続する第1の導電体を形成し、第1の導電体を介して、複数のトランジスタの少なくとも一つと複数の発光ダイオードの少なくとも一つとが電気的に接続されるように、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせ、複数のトランジスタを形成する工程には、少なくとも1回の平坦化処理を用いる、表示装置の作製方法である。複数の発光ダイオードの少なくとも一つは、マイクロ発光ダイオードであることが好ましい。複数のトランジスタの少なくとも一つは、チャネル形成領域に金属酸化物を有することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様の表示装置の作製方法では、第1の導電体を第1の基板上に形成することで、第1の導電体と複数のトランジスタの少なくとも一つとを電気的に接続させ、第2の基板上に、複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続する第2の導電体を形成し、第1の導電体と第2の導電体とが接するように、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせてもよい。
【0021】
本発明の一態様の表示装置の作製方法では、第3の基板上に、着色層、色変換層、及びタッチセンサのうち少なくとも一つを形成し、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、第2の基板を剥離し、第2の基板を剥離することで露出した面に、第3の基板を貼り合わせてもよい。
【0022】
または、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、第3の基板上に、着色層、色変換層、及びタッチセンサのうち少なくとも一つを形成し、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた後、第2の基板を研磨することで、第2の基板の厚さを薄くし、第2の基板の研磨した面に、第3の基板を貼り合わせてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様により、精細度が高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、表示品位の高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、消費電力の低い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、信頼性の高い表示装置を提供できる。
【0024】
本発明の一態様により、マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置の製造コストを削減できる。本発明の一態様により、高い歩留まりで、マイクロLEDを表示素子に用いた表示装置を製造できる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、表示装置の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2(A)~
図2(C)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、表示装置の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、表示装置の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)は、表示装置の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、表示装置の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8(A)は、トランジスタの一例を示す上面図である。
図8(B)、
図8(C)は、トランジスタの一例を示す断面図である。
【
図9】
図9(A)は、トランジスタの一例を示す上面図である。
図9(B)、
図9(C)は、トランジスタの一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、表示装置の画素の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0029】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0030】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について
図1~
図9を用いて説明する。
【0032】
[表示装置の概要]
本実施の形態の表示装置は、表示素子である発光ダイオードと、表示素子を駆動するトランジスタと、をそれぞれ複数有する。複数の発光ダイオードは、可視光に対する透過性を有する基板にマトリクス状に設けられている。複数のトランジスタは、それぞれ、複数の発光ダイオードの少なくとも一つと電気的に接続される。複数の発光ダイオードは、複数のトランジスタよりも当該基板側に位置する。複数の発光ダイオードは、当該基板側に光を発する。
【0033】
本実施の形態の表示装置は、互いに異なる基板上に形成された複数のトランジスタと複数の発光ダイオードと、を貼り合わせることで形成される。
【0034】
本実施の形態の表示装置の作製方法では、複数の発光ダイオードと複数のトランジスタとを一度に貼り合わせるため、画素数の多い表示装置や高精細な表示装置を作製する場合であっても、発光ダイオードを1つずつ回路基板に実装する方法に比べて、表示装置の製造時間を短縮でき、また、製造の難易度を低くすることができる。
【0035】
本実施の形態の表示装置は、発光ダイオードを用いて映像を表示する機能を有する。発光ダイオードは自発光素子であるため、表示素子として発光ダイオードを用いる場合、表示装置にはバックライトが不要であり、また偏光板を設けなくてもよい。したがって、表示装置の消費電力を低減することができ、また、表示装置の薄型・軽量化が可能である。また、表示素子として発光ダイオードを用いた表示装置は、コントラストが高く視野角が広いため、高い表示品位を得ることができる。また、発光材料に無機材料を用いることで、表示装置の寿命を長くし、信頼性を高めることができる。
【0036】
本実施の形態では、特に、発光ダイオードとして、マイクロLEDを用いる場合の例について説明する。なお、本実施の形態では、ダブルヘテロ接合を有するマイクロLEDについて説明する。ただし、発光ダイオードに特に限定はなく、例えば、量子井戸接合を有するマイクロLED、ナノコラムを用いたLEDなどを用いてもよい。
【0037】
発光ダイオードの光を射出する領域の面積は、1mm2以下が好ましく、10000μm2以下がより好ましく、3000μm2以下がより好ましく、700μm2以下がさらに好ましい。なお、本明細書等において、光を射出する領域の面積が10000μm2以下の発光ダイオードをマイクロLEDと記す場合がある。
【0038】
表示装置が有するトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有することが好ましい。金属酸化物を用いたトランジスタは、消費電力を低くすることができる。そのため、マイクロLEDと組み合わせることで、極めて消費電力の低減された表示装置を実現することができる。
【0039】
特に、本実施の形態の表示装置は、ゲート電極の上面の高さが、絶縁層の上面の高さと概略一致しているトランジスタを有することが好ましい。例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化処理を施すことで、ゲート電極の上面と絶縁層の上面を平坦化し、ゲート電極の上面の高さと絶縁層の上面の高さを揃えることができる。
【0040】
このような構成のトランジスタは、サイズを小さくすることが容易である。トランジスタのサイズを小さくすることで、画素のサイズを小さくすることができるため、表示装置の精細度を高めることができる。
【0041】
本実施の形態の表示装置は精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば腕時計型やブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)や、ヘッドマウントディスプレイなどのVR(Virtual Reality)向け機器、メガネ型のAR(Augmented Reality)向け機器、またはMR(Mixed Reality)向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
【0042】
[表示装置の構成例1]
図1に、表示装置100Aの断面図を示す。
図2に、表示装置100Aの作製方法を示す断面図を示す。
【0043】
図1に示す表示装置100Aは、
図2(A)に示すLED基板150Aと、
図2(B)に示す回路基板150Bと、が貼り合わされて(
図2(C)参照)構成されている。
【0044】
【0045】
LED基板150Aは、基板101、発光ダイオード110a、発光ダイオード110b、及び、保護層102を有する。
【0046】
発光ダイオード110aは、電極112a、半導体層113a、発光層114a、半導体層115a、及び電極116aを有する。発光ダイオード110bは、電極112b、半導体層113b、発光層114b、半導体層115b、及び電極116bを有する。
【0047】
電極112aは、半導体層113aと電気的に接続されている。電極116aは、半導体層115aと電気的に接続されている。電極112bは、半導体層113bと電気的に接続されている。電極116bは、半導体層115bと電気的に接続されている。保護層102は、基板101、半導体層113a、113b、発光層114a、114b、及び、半導体層115a、115bを覆うように設けられる。保護層102は、電極112a、112bの側面及び電極116a、116bの側面を覆っており、電極112a、112bの上面及び電極116a、116bの上面と重なる開口を有する。当該開口において、電極112a、112bの上面及び電極116a、116bの上面は露出している。
【0048】
発光層114aは、半導体層113aと半導体層115aとに挟持されている。発光層114bは、半導体層113bと半導体層115bとに挟持されている。発光層114a、114bでは、電子と正孔が結合して光を発する。半導体層113a、113bと半導体層115a、115bとのうち、一方はn型の半導体層であり、他方はp型の半導体層である。
【0049】
半導体層113a、発光層114a、及び半導体層115aを含む積層構造、及び、半導体層113b、発光層114b、及び半導体層115bを含む積層構造は、それぞれ、赤色、黄色、緑色、または青色などの光を呈するように形成される。2つの積層構造は異なる色の光を呈することが好ましい。これらの積層構造には、例えば、ガリウム・リン化合物、ガリウム・ヒ素化合物、ガリウム・アルミニウム・ヒ素化合物、アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン化合物、ガリウム窒化物、インジウム・窒化ガリウム化合物、セレン・亜鉛化合物等を用いることができる。
【0050】
発光ダイオード110aと発光ダイオード110bとを、互いに異なる色の光を呈するように形成することにより、色変換層を形成する工程が不要となる。したがって、表示装置の製造コストを抑制することができる。
【0051】
また、2つの積層構造が同じ色の光を呈してもよい。このとき、発光層114a、114bから発せられた光は、色変換層及び着色層の一方又は双方を介して、表示装置の外部に取り出されてもよい。なお、各色の画素が、同一の色の光を呈する発光ダイオードを有する構成は、表示装置の構成例2で後述する。
【0052】
また、本実施の形態の表示装置は、赤外光を呈する発光ダイオードを有していてもよい。赤外光を呈する発光ダイオードは、例えば、赤外光センサの光源として用いることができる。
【0053】
基板101としては、例えば、サファイア(Al2O3)基板、炭化シリコン(SiC)基板、シリコン(Si)基板、窒化ガリウム(GaN)基板などの単結晶基板を用いることができる。
【0054】
図1に示すように、発光ダイオード110a、110bの光は、基板101側に射出される。したがって、基板101は、可視光に対する透過性を有することが好ましい。例えば、研磨などにより厚さを薄くすることで、基板101の可視光に対する透過性を高めることができる。
【0055】
【0056】
回路基板150Bは、基板151、絶縁層152、トランジスタ120a、トランジスタ120b、導電層184a、導電層184b、導電層187、導電層189、絶縁層186、絶縁層188、導電層190a、導電層190b、導電層190c、及び、導電層190dを有する。回路基板150Bは、さらに、絶縁層162、絶縁層181、絶縁層182、絶縁層183、及び絶縁層185等の絶縁層を有する。これら絶縁層の一つまたは複数は、トランジスタの構成要素とみなされる場合もあるが、本実施の形態では、トランジスタの構成要素に含めずに説明する。
【0057】
基板151としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板等の絶縁性基板、または、シリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板などの半導体基板を用いることができる。
【0058】
基板151は、可視光を遮る(可視光に対して非透過性を有する)ことが好ましい。基板151が可視光を遮ることで、基板151に形成されたトランジスタ120a、120bに外部から光が入り込むことを抑制することができる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、基板151は可視光に対する透過性を有していてもよい。
【0059】
基板151上には、絶縁層152が設けられている。絶縁層152は、基板151から水や水素などの不純物が、トランジスタ120a、120bに拡散すること、及び金属酸化物層165から絶縁層152側に酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層152としては、例えば、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、窒化シリコン膜などの、酸化シリコン膜よりも水素や酸素が拡散しにくい膜を用いることができる。
【0060】
トランジスタ120a、120bは、導電層161、絶縁層163、絶縁層164、金属酸化物層165、一対の導電層166、絶縁層167、導電層168等を有する。
【0061】
金属酸化物層165は、チャネル形成領域を有する。金属酸化物層165は、一対の導電層166の一方と重なる第1の領域と、一対の導電層166の他方と重なる第2の領域と、当該第1の領域と当該第2の領域の間の第3の領域と、を有する。
【0062】
絶縁層152上に導電層161及び絶縁層162が設けられ、導電層161及び絶縁層162を覆って絶縁層163及び絶縁層164が設けられている。金属酸化物層165は、絶縁層164上に設けられている。導電層161はゲート電極として機能し、絶縁層163及び絶縁層164はゲート絶縁層として機能する。導電層161は絶縁層163及び絶縁層164を介して金属酸化物層165と重なる。絶縁層163は、絶縁層152と同様に、バリア層として機能することが好ましい。金属酸化物層165と接する絶縁層164には、酸化シリコン膜などの酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。
【0063】
ここで、導電層161の上面の高さは、絶縁層162の上面の高さと概略一致している。例えば、絶縁層162に開口を設け、当該開口を埋めるように導電層161を形成した後、CMP法などを用いて平坦化処理を施すことで、導電層161の上面の高さと絶縁層162の上面の高さを揃えることができる。これにより、トランジスタ120a、120bのサイズを小さくすることができる。
【0064】
一対の導電層166は、金属酸化物層165上に離間して設けられている。一対の導電層166は、ソース及びドレインとして機能する。金属酸化物層165及び一対の導電層166を覆って、絶縁層181が設けられ、絶縁層181上に絶縁層182が設けられている。絶縁層181及び絶縁層182には金属酸化物層165に達する開口が設けられており、当該開口の内部に絶縁層167及び導電層168が埋め込まれている。当該開口は、上記第3の領域と重なる。絶縁層167は、絶縁層181の側面及び絶縁層182の側面と重なる。導電層168は、絶縁層167を介して、絶縁層181の側面及び絶縁層182の側面と重なる。導電層168はゲート電極として機能し、絶縁層167はゲート絶縁層として機能する。導電層168は絶縁層167を介して金属酸化物層165と重なる。
【0065】
ここで、導電層168の上面の高さは、絶縁層182の上面の高さと概略一致している。例えば、絶縁層182に開口を設け、当該開口を埋めるように絶縁層167及び導電層168を形成した後、平坦化処理を施すことで、導電層168の上面の高さと絶縁層182の上面の高さを揃えることができる。これにより、トランジスタ120a、120bのサイズを小さくすることができる。
【0066】
そして、絶縁層182、絶縁層167、及び導電層168の上面を覆って、絶縁層183及び絶縁層185が設けられている。絶縁層181及び絶縁層183は、絶縁層152と同様に、バリア層として機能することが好ましい。絶縁層181で一対の導電層166を覆うことで、絶縁層182に含まれる酸素により一対の導電層166が酸化してしまうことを抑制できる。
【0067】
一対の導電層166の一方及び導電層187と電気的に接続されるプラグが、絶縁層181、絶縁層182、絶縁層183、及び絶縁層185に設けられた開口内に埋め込まれている。プラグは、当該開口の側面及び一対の導電層166の一方の上面に接する導電層184bと、当該導電層184bよりも内側に埋め込まれた導電層184aと、を有することが好ましい。このとき、導電層184bとして、水素及び酸素が拡散しにくい導電材料を用いることが好ましい。
【0068】
なお、
図1では、絶縁層185上に導電層187が設けられ、導電層187上に絶縁層186が設けられている。絶縁層186は、導電層187に達する開口が設けられており、当該開口の内部に導電層189が埋め込まれている。一方、
図2(B)に示すように、絶縁層185上に導電層187及び絶縁層186が設けられ、導電層187上に絶縁層188が設けられていてもよい。ここで、導電層187の上面の高さは、絶縁層186の上面の高さと一致または概略一致している。例えば、絶縁層186に開口を設け、当該開口を埋めるように導電層187を形成した後、CMP法などを用いて平坦化処理を施すことで、導電層187の上面の高さと絶縁層186の上面の高さを揃えることができる。
図2(B)において、絶縁層188は、導電層187に達する開口が設けられており、当該開口の内部に導電層189が埋め込まれている。導電層189は導電層187と導電層190aまたは導電層190cとを電気的に接続するプラグとして機能する。
【0069】
トランジスタ120aの一対の導電層166の一方は、導電層184a、導電層184b、導電層187及び導電層189を介して、導電層190aと電気的に接続されている。
【0070】
同様に、トランジスタ120bの一対の導電層166の一方は、導電層184a、導電層184b、導電層187、及び導電層189を介して、導電層190cと電気的に接続されている。
【0071】
なお、本実施の形態の表示装置を構成する各種導電層に用いることができる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0072】
なお、本実施の形態の表示装置を構成する各種絶縁層に用いることができる材料としては、アクリル、ポリイミド、エポキシ、シリコーンなどの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0073】
なお、回路基板150Bは、発光ダイオードの光を反射する反射層及び当該光を遮る遮光層の一方又は双方を有していてもよい。
【0074】
図1に示すように、LED基板150Aに設けられた電極112a、112b、116a、116bは、それぞれ、回路基板150Bに設けられた導電層190a、190b、190c、190dと電気的に接続される。
【0075】
例えば、電極116aと導電層190aとは、導電体117aを介して電気的に接続されている。これにより、トランジスタ120aと発光ダイオード110aとを電気的に接続することができる。電極116aは、発光ダイオード110aの画素電極として機能する。
【0076】
また、電極112aと導電層190bとは、導電体117bを介して電気的に接続されている。電極112aは、発光ダイオード110aの共通電極として機能する。
【0077】
同様に、電極116bと導電層190cとは、導電体117cを介して電気的に接続されている。これにより、トランジスタ120bと発光ダイオード110bとを電気的に接続することができる。電極116bは、発光ダイオード110bの画素電極として機能する。
【0078】
また、電極112bと導電層190dとは、導電体117dを介して電気的に接続されている。電極112bは、発光ダイオード110bの共通電極として機能する。
【0079】
導電体117a~117dには、例えば、銀、カーボン、銅などの導電性ペーストや、金、はんだなどのバンプを好適に用いることができる。また、導電体117a~117dと接続される電極112a、112b、116a、116b、及び導電層190a~190dには、それぞれ、導電体117a~117dとのコンタクト抵抗の低い導電材料を用いることが好ましい。例えば、導電体117a~117dに銀ペーストを用いる場合、これらと接続される導電材料が、アルミニウム、チタン、銅、銀(Ag)とパラジウム(Pd)と銅(Cu)の合金(Ag-Pd-Cu(APC))などであると、コンタクト抵抗が低く好ましい。
【0080】
図2(C)では、導電体117a~117dを回路基板150B側に設け、LED基板150Aと回路基板150Bとを貼り合わせる例を示す。または、導電体117a~117dをLED基板150A側に設け、LED基板150Aと回路基板150Bとを貼り合わせてもよい。
【0081】
なお、1つのトランジスタに、複数の発光ダイオードが電気的に接続されていてもよい。
【0082】
【0083】
表示装置100Bでは、トランジスタ120aとトランジスタ120bとでチャネル長が互いに異なる例を示す。それ以外の構成は、表示装置100Aと同様である。
【0084】
発光ダイオード110aを駆動するトランジスタ120aと、発光ダイオード110bを駆動するトランジスタ120bと、は、トランジスタのサイズ、チャネル長、チャネル幅、及び構造などの少なくとも一つが互いに異なっていてもよい。例えば、発光ダイオード110aと発光ダイオード110bとが互いに異なる色の光を呈する場合などでは、色ごとにトランジスタの構成を変えてもよい。具体的には、所望の輝度で発光させるために必要な電流量に応じて、色ごとにトランジスタのチャネル長及びチャネル幅の一方又は双方を変えてもよい。
【0085】
【0086】
表示装置100Cは、基板131にチャネル形成領域を有するトランジスタ(トランジスタ130a、130b)と、金属酸化物にチャネル形成領域を有するトランジスタ(トランジスタ120a、120b)と、を積層して有する。
【0087】
基板131としては、単結晶シリコン基板が好適である。トランジスタ130a、130bは、導電層135、絶縁層134、絶縁層136、一対の低抵抗領域133を有する。導電層135は、ゲートとして機能する。絶縁層134は、導電層135と基板131との間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。絶縁層136は、導電層135の側面を覆って設けられ、サイドウォールとして機能する。一対の低抵抗領域133は、基板131における、不純物がドープされた領域であり、一方がトランジスタのソースとして機能し、他方がトランジスタのドレインとして機能する。
【0088】
また、基板131に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタの間に、素子分離層132が設けられている。
【0089】
トランジスタ130a、130bを覆って絶縁層139が設けられ、絶縁層139上に導電層138が設けられている。絶縁層139の開口に埋め込まれた導電層137を介して、導電層138は、一対の低抵抗領域133の一方と電気的に接続される。また導電層138を覆って絶縁層141が設けられ、絶縁層141上に導電層142が設けられている。導電層138及び導電層142は、それぞれ配線として機能する。また、導電層142を覆って絶縁層143及び絶縁層152が設けられ、絶縁層152上にトランジスタ120a、120bが設けられている。絶縁層152から基板101までの積層構造は表示装置100Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
トランジスタ120a、120bは、画素回路を構成するトランジスタとして用いることができる。また、トランジスタ130a、130bは、画素回路を構成するトランジスタや、当該画素回路を駆動するための駆動回路(ゲートドライバ及びソースドライバの一方又は双方)を構成するトランジスタとして用いることができる。また、トランジスタ120a、120b、130a、130bは、演算回路や記憶回路などの各種回路を構成するトランジスタとして用いることができる。
【0091】
このような構成とすることで、発光ダイオードの直下に画素回路だけでなく駆動回路等を形成することができるため、表示部の外側に駆動回路を設ける場合に比べて、表示装置を小型化することができる。また、狭額縁の(非表示領域の狭い)表示装置を実現することができる。
【0092】
[表示装置の構成例2]
図5(A)に、表示装置100Dの断面図を示し、
図5(B)に、表示装置100Eの断面図を示す。
【0093】
表示装置100D及び表示装置100Eでは、各色の画素が、同一の色の光を呈する発光ダイオードを有する。
【0094】
表示装置100D及び表示装置100Eは、着色層CFR及び色変換層CCMRが設けられた基板191を有する。
【0095】
具体的には、基板191は、赤色の画素が有する発光ダイオード110aと重なる領域に、着色層CFR及び色変換層CCMRを有する。色変換層CCMRは、青色の光を赤色の光に変換する機能を有する。
【0096】
図5(A)、
図5(B)では、赤色の画素が有する発光ダイオード110aが発した光は、色変換層CCMRにより青色から赤色に変換され、着色層CFRにより赤色の光の純度が高められて、表示装置100Dまたは表示装置100Eの外部に射出される。
【0097】
図示しないが、同様に、基板191は、緑色の画素が有する発光ダイオードと重なる領域に、緑色の着色層と、青色の光を緑色に変換する色変換層と、を有する。これにより、緑色の画素が有する発光ダイオードが発した光は、色変換層により青色から緑色に変換され、着色層により緑色の光の純度が高められて、表示装置の外部に射出される。
【0098】
一方、基板191は、青色の画素が有する発光ダイオード110bと重なる領域に、色変換層を有さない。基板191は、青色の画素が有する発光ダイオード110bと重なる領域に、青色の着色層を有していてもよい。青色の着色層を設けると、青色の光の純度を高めることができる。青色の着色層を設けない場合、作製工程を簡略化できる。
【0099】
発光ダイオード110bが発した青色の光は、接着層192及び基板191を介して、表示装置100Dまたは表示装置100Eの外部に射出される。
【0100】
各色の画素で同じ構成の発光ダイオードを有する表示装置の作製では、基板上に1種類の発光ダイオードのみを作製すればよいため、複数種の発光ダイオードを作製する場合に比べて、製造装置及び工程を簡素化できる。
【0101】
基板191は、発光ダイオードからの光を取り出す側に位置するため、可視光に対する透過性の高い材料を用いることが好ましい。基板191に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、サファイア、樹脂などが挙げられる。基板191には、樹脂フィルムなどのフィルムを用いてもよい。これにより表示装置の軽量化、薄型化が可能となる。
【0102】
色変換層としては、蛍光体や量子ドット(QD:Quantum dot)を用いることが好ましい。特に、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭く、色純度のよい発光を得ることができる。これにより、表示装置の表示品位を高めることができる。
【0103】
色変換層は、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)、塗布法、インプリント法、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷)等を用いて形成することができる。また、量子ドットフィルムなどの色変換フィルムを用いてもよい。
【0104】
量子ドットを構成する材料としては、特に限定は無く、例えば、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネル類、各種半導体クラスターなどが挙げられる。
【0105】
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化インジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化砒素、セレン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セレン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムと砒素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いてもよい。
【0106】
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などが挙げられる。また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好ましい。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって、凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的安定性を向上させることも可能である。
【0107】
量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整する。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわたって、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)は、例えば、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下である。量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、発光スペクトルがより狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有する。
【0108】
着色層は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料又は染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0109】
表示装置100Dは、まず、表示装置100Aのように回路基板とLED基板を貼り合わせ、その後、LED基板が有する基板101を剥離し、剥離により露出した面に、接着層192を用いて、着色層CFR及び色変換層CCMRなどが設けられた基板191を貼り合わせることで作製できる。
【0110】
基板101の剥離方法に限定は無く、例えば、
図6(A)に示すように、レーザ光(Laser beam)を基板101の一面全体に照射する方法が挙げられる。これにより、基板101を剥離し、保護層102、及び発光ダイオード110a、110bを露出することができる(
図6(B))。
【0111】
レーザとしては、エキシマレーザ、固体レーザなどを用いることができる。例えば、ダイオード励起固体レーザ(DPSS)を用いてもよい。
【0112】
基板101と発光ダイオード110a、110bとの間に、剥離層を設けてもよい。
【0113】
剥離層は、有機材料または無機材料を用いて形成することができる。
【0114】
剥離層に用いることができる有機材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0115】
剥離層に用いることができる無機材料としては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素を含む金属、該元素を含む合金、または該元素を含む化合物等が挙げられる。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
【0116】
接着層192には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤等の各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着シート等を用いてもよい。
【0117】
また、表示装置100Eに示すように、基板101に、接着層192を用いて、着色層CFR及び色変換層CCMRなどが設けられた基板191を貼り合わせてもよい。つまり、基板101を剥離しなくてもよい。
【0118】
このとき、研磨などにより、基板101の厚さを薄くすることが好ましい。これにより、発光ダイオードが発する光の取り出し効率を高めることができる。また、表示装置の薄型化、軽量化も可能となる。
【0119】
表示装置100Eは、まず、表示装置100Aのように回路基板とLED基板を貼り合わせ、その後、LED基板が有する基板101を研磨し、基板101の研磨した面に、接着層192を用いて、着色層CFR及び色変換層CCMRなどが設けられた基板191を貼り合わせることで作製できる。
【0120】
[表示装置の構成例3]
図7に、表示装置100Fの断面図を示す。
【0121】
本発明の一態様の表示装置は、タッチセンサが搭載された表示装置(入出力装置またはタッチパネルともいう)であってもよい。上述の各表示装置の構成を、タッチパネルに適用することができる。表示装置100Fは、表示装置100Aにタッチセンサを搭載する例である。
【0122】
本発明の一態様のタッチパネルが有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。指やスタイラスなどの被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサを、検知素子として適用することができる。
【0123】
センサの方式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0124】
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有するタッチパネルを例に挙げて説明する。
【0125】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0126】
本発明の一態様のタッチパネルは、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせる構成、表示素子を支持する基板及び対向基板の一方または双方に検知素子を構成する電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
【0127】
表示装置100Fにおいて、基板151から基板101までの積層構造は、表示装置100Aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0128】
導電層187bは、導電層189b、導電層190e、及び導電体195を介して、FPC1と電気的に接続されている。表示装置100Fには、FPC1を介して、信号及び電力が供給される。
【0129】
導電層187bは、導電層187aと同一の材料及び同一の工程で形成することができる。導電層189bは、導電層189aと同一の材料及び同一の工程で形成することができる。導電層190eは、導電層190a~190dと同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0130】
導電体195としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、または異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0131】
基板171にタッチセンサが設けられている。基板171のタッチセンサが設けられている面を基板101側に向けて、基板171と基板101とが、接着層179によって貼り合わされている。
【0132】
基板171の基板101側には、電極177及び電極178が設けられている。電極177及び電極178は同一平面上に形成されている。電極177及び電極178には、可視光を透過する材料を用いる。絶縁層173は、電極177及び電極178を覆うように設けられている。電極174は、絶縁層173に設けられた開口を介して、電極177を挟むように設けられる2つの電極178と電気的に接続している。
【0133】
電極177、178と同一の導電層を加工して得られた配線172が、電極174と同一の導電層を加工して得られた導電層175と接続している。導電層175は、接続体176を介してFPC2と電気的に接続される。
【0134】
[トランジスタの構成例]
本発明の一態様の表示装置に用いることができるトランジスタは、
図1等に示したトランジスタ120a、120bの構成に限定されない。以下では、
図8及び
図9を用いて、本発明の一態様の表示装置に用いることができるトランジスタの構成例について説明する。
【0135】
図8(A)にトランジスタ300の上面図を示す。なお、
図8(A)では、図の明瞭化のため、一部の要素の図示を省略する。
図8(B)に、
図8(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図を示す。
図8(B)は、トランジスタ300のチャネル長方向の断面図といえる。
図8(C)に、
図8(A)における一点鎖線A3-A4間の断面図を示す。
図8(C)は、トランジスタ300のチャネル幅方向の断面図といえる。
【0136】
図9(A)にトランジスタ300Aの上面図を示す。なお、
図9(A)では、図の明瞭化のため、一部の要素の図示を省略する。
図9(B)に、
図9(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図を示す。
図9(B)は、トランジスタ300Aのチャネル長方向の断面図といえる。
図9(C)に、
図9(A)における一点鎖線A3-A4間の断面図を示す。
図9(C)は、トランジスタ300Aのチャネル幅方向の断面図といえる。
【0137】
なお、
図9に示すトランジスタ300Aは、
図8に示すトランジスタ300の変形例である。酸化物層330c、絶縁層354、及び絶縁層380が、
図8ではそれぞれ単層構造であり、
図9ではそれぞれ積層構造である。その他の構成は、
図8と
図9で同様である。
【0138】
なお、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域、またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域、またはソース電極)の間にチャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0139】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
【0140】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0141】
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネル形成領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向のチャネル形成領域の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネル形成領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0142】
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0143】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0144】
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
【0145】
トランジスタ300は、基板(図示しない)上に絶縁層314を介して配置され、絶縁層316に埋め込まれるように配置された導電層305と、絶縁層316上及び導電層305上に配置された絶縁層322と、絶縁層322上に配置された絶縁層324と、絶縁層324上に配置された酸化物層330(酸化物層330a、酸化物層330b、及び酸化物層330c)と、酸化物層330上に配置された絶縁層350と、絶縁層350上に配置された導電層360(導電層360a及び導電層360b)と、酸化物層330bの上面の一部と接する導電層342a及び導電層342bと、絶縁層324の上面の一部、酸化物層330aの側面、酸化物層330bの側面、導電層342aの側面及び上面、並びに、導電層342bの側面及び上面に接して配置された絶縁層354と、を有する。
【0146】
トランジスタ300上には、それぞれ層間膜として機能する、絶縁層380、絶縁層374、及び絶縁層381が設けられる。また、トランジスタ300は、プラグとして機能する導電層340(導電層340a及び導電層340b)と電気的に接続される。なお、導電層340の側面に接して絶縁層341(絶縁層341a及び絶縁層341b)が設けられる。
【0147】
酸化物層330は、絶縁層324上に配置された酸化物層330aと、酸化物層330a上に配置された酸化物層330bと、酸化物層330b上に配置され、少なくとも一部が酸化物層330bの上面に接する酸化物層330cと、を有することが好ましい。酸化物層330bの下に酸化物層330aを有することで、酸化物層330aよりも下方に形成された構造物から、酸化物層330bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物層330b上に酸化物層330cを有することで、酸化物層330cよりも上方に形成された構造物から、酸化物層330bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0148】
なお、トランジスタ300では、酸化物層330が、酸化物層330a、酸化物層330b、及び酸化物層330cの3層構造である例を示しているが、本発明はこれに限られるものではない。酸化物層330は、例えば、酸化物層330bの単層、酸化物層330aと酸化物層330bの2層構造、酸化物層330bと酸化物層330cの2層構造、または4層以上の積層構造であってもよい。また、酸化物層330a、酸化物層330b、酸化物層330cのそれぞれが積層構造を有していてもよい。
【0149】
酸化物層330b上には、導電層342(導電層342a及び導電層342b)が設けられる。導電層342の膜厚は、例えば、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上25nm以下とすることができる。
【0150】
導電層360は、トランジスタ300の第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能し、導電層342a及び導電層342bは、それぞれトランジスタ300のソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0151】
トランジスタ300は、チャネル形成領域を有する酸化物層330に、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0152】
上記金属酸化物としては、バンドギャップが2.0eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。バンドギャップの大きい金属酸化物を酸化物層330に用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の表示装置を提供できる。
【0153】
例えば、酸化物層330として、インジウム(In)、元素M、及び亜鉛(Zn)を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。また、酸化物層330として、In-M酸化物、In-Zn酸化物、またはM-Zn酸化物を用いてもよい。
【0154】
トランジスタ300には、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。なお、金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0155】
特に、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、金属酸化物中に酸素欠損を形成する場合がある。金属酸化物中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0156】
よって、金属酸化物を酸化物層330に用いる場合、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0157】
酸化物層330に金属酸化物を用いる場合、導電層342(導電層342a及び導電層342b)と酸化物層330とが接することで、酸化物層330中の酸素が導電層342へ拡散し、導電層342が酸化する場合がある。導電層342が酸化することで、導電層342の導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物層330中の酸素が導電層342へ拡散することを、導電層342が酸化物層330中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
【0158】
酸化物層330中の酸素が導電層342(導電層342a及び導電層342b)へ拡散することで、導電層342aと、酸化物層330b及び酸化物層330cとの間、及び、導電層342bと、酸化物層330b及び酸化物層330cとの間に、それぞれ、層が形成される場合がある。当該層は、導電層342よりも酸素を多く含むため、絶縁性を有すると推定される。このとき、導電層342と、当該層と、酸化物層330bまたは酸化物層330cとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造と呼ぶ場合がある。
【0159】
そこで、導電層342(導電層342a及び導電層342b)は、酸化物層330中の水素が導電層342へ拡散しやすく、かつ、酸化物層330中の酸素が導電層342へ拡散しにくい特性を有する導電性材料で構成されることが好ましい。これにより、酸化物層330の水素が導電層342へ拡散することで、酸化物層330の水素濃度が低減され、トランジスタ300に安定した電気特性を付与することができる。なお、本明細書などでは、酸化物中の水素が導電層へ拡散しやすいことを、当該導電層は当該酸化物中の水素を抜き取りやすい(吸い取りやすい)、と表現する場合がある。また、酸化物中の酸素が導電層へ拡散しにくいことを、当該導電層は酸化しにくい、当該導電層は耐酸化性を有する、などと表現する場合がある。
【0160】
上記導電性材料として、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを含む導電体がある。特に、タンタルを含む導電体を導電層342に用いることが好ましい。タンタルを含む導電体は、窒素を有してもよく、酸素を有してもよい。よって、タンタルを含む導電体は、組成式がTaNxOy(xは0より大きく1.67以下の実数、かつ、yは0以上1.0以下の実数)を満たすことが好ましい。タンタルを含む導電体は、金属タンタル、酸化タンタル、窒化タンタル、窒酸化タンタル、酸窒化タンタルなどを有する。そこで、本明細書等では、タンタルを含む導電体を、TaNxOyと表記する場合がある。
【0161】
TaNxOyにおいて、タンタルの比率は高い方が好ましい。または、窒素及び酸素の比率は低い方が好ましく、x及びyの値は小さい方が好ましい。タンタルの比率を高くすることで、TaNxOyの抵抗率が下がり、当該TaNxOyを導電層342に用いたトランジスタ300に良好な電気特性を与えることができる。
【0162】
また、TaNxOyにおいて、窒素の比率は高い方が好ましく、xの値は大きい方が好ましい。窒素の比率が高いTaNxOyを導電層342に用いることで、導電層342の酸化を抑制することができる。また、導電層342と酸化物層330との間に形成される層の膜厚を薄くすることができる。
【0163】
なお、導電層342へ拡散した水素は、導電層342に留まる場合がある。別言すると、酸化物層330中の水素が導電層342に吸収される場合がある。また、酸化物層330中の水素は、導電層342を透過して、導電層342の周辺に設けられた構造体、またはトランジスタ300の外方へ放出される場合がある。
【0164】
酸化物層330の水素濃度を低減し、導電層342と酸化物層330との間に層が形成されるのを抑制するには、導電層342が、酸化物層330中の水素が導電層342へ拡散しやすい特性を有する導電性材料で構成され、かつ、導電層342と酸化物層330との間に、導電層342の酸化を抑制する機能を有する層を設けることが好ましい。当該層を設けることで、導電層342と酸化物層330とが接しない構造となるので、導電層342が、酸化物層330の酸素を吸収することを抑制することができる。
【0165】
以下では、トランジスタ300の詳細な構成について説明する。
【0166】
絶縁層314は、水、水素などの不純物が、基板側からトランジスタ300に拡散するのを抑制する絶縁性バリア膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁層314には、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0167】
なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、当該不純物、または当該酸素のいずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。また、水素または酸素の拡散を抑制する機能を有する膜を、水素または酸素が透過しにくい膜、水素または酸素の透過性が低い膜、水素または酸素に対してバリア性を有する膜、水素または酸素に対するバリア膜などと呼ぶ場合がある。また、バリア膜に導電性を有する場合、当該バリア膜を導電性バリア膜と呼ぶことがある。
【0168】
例えば、絶縁層314として、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜などを用いることが好ましい。これにより、水、水素などの不純物が、絶縁層314よりも基板側からトランジスタ300側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁層324などに含まれる酸素が、絶縁層314よりも基板側に、拡散するのを抑制することができる。なお、絶縁層314は、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。例えば、酸化アルミニウム膜と窒化シリコン膜との積層としてもよい。
【0169】
また、例えば、絶縁層314として、スパッタリング法を用いて成膜した、窒化シリコン膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層314中の水素濃度を低くすることができ、水、水素などの不純物が、絶縁層314よりも基板側からトランジスタ300側に拡散するのをより抑制することができる。
【0170】
層間膜として機能する絶縁層316は、絶縁層314よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁層316として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、フッ素を添加した酸化シリコン膜、炭素を添加した酸化シリコン膜、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン膜、空孔を有する酸化シリコン膜などを適宜用いればよい。
【0171】
絶縁層316は、水素濃度が低く、化学量論的組成よりも酸素が過剰に存在する領域(以下、過剰酸素領域ともいう。)または加熱により離脱する酸素(以下、過剰酸素ともいう。)を有することが好ましい。例えば、絶縁層316として、スパッタリング法を用いて成膜した酸化シリコン膜を用いることが好ましい。これにより、酸化物層330への水素の混入を抑制することができる、または、酸化物層330に酸素を供給し、酸化物層330中の酸素欠損を低減することができる。したがって、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。
【0172】
絶縁層316を積層構造にしてもよい。例えば、絶縁層316において、少なくとも導電層305の側面と接する部分に、絶縁層314と同様の絶縁層を設ける構成にしてもよい。このような構成にすることで、絶縁層316に含まれる酸素によって、導電層305が酸化するのを抑制することができる。または、導電層305により、絶縁層316に含まれる酸素量が減少するのを抑制することができる。
【0173】
導電層305は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電層305に印加する電位を、導電層360に印加する電位と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ300のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電層305に負の電位を印加することにより、トランジスタ300のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電層305に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電層360に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0174】
導電層305は、酸化物層330及び導電層360と重なるように配置する。また、導電層305は、絶縁層314または絶縁層316に埋め込まれるように設けることが好ましい。
【0175】
導電層305は、
図8(B)に示すように、酸化物層330におけるチャネル形成領域よりも、大きく設けるとよい。特に、
図8(C)に示すように、導電層305は、酸化物層330のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物層330のチャネル幅方向における側面の外側において、導電層305と、導電層360とは、絶縁層を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、第1のゲート電極として機能する導電層360の電界と、第2のゲート電極として機能する導電層305の電界によって、酸化物層330のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0176】
図8(C)に示すように、導電層305は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電層305の下に、配線として機能する導電層を設ける構成にしてもよい。また、導電層305は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電層305を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
【0177】
トランジスタ300では、導電層305が2層の積層構造(絶縁層314上の第1の導電層及び第1の導電層上の第2の導電層)である例について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電層305は、単層、または3層以上の積層構造であってもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0178】
ここで、導電層305の第1の導電層は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0179】
導電層305の第1の導電層に、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電層305の第2の導電層が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電層305の第1の導電層は、上記導電性材料を用いた単層構造または積層構造とすることが好ましい。例えば、導電層305の第1の導電層は、タンタル膜、窒化タンタル膜、ルテニウム膜、または酸化ルテニウム膜と、チタン膜または窒化チタン膜との積層としてもよい。
【0180】
導電層305の第2の導電層には、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、
図8(B)等では、導電層305の第2の導電層を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン膜または窒化チタン膜と、当該導電性材料を含む膜との積層としてもよい。
【0181】
絶縁層322及び絶縁層324は、ゲート絶縁層として機能する。
【0182】
絶縁層322は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁層322は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁層322は、絶縁層324よりも水素及び酸素の一方または双方の拡散をより抑制できることが好ましい。
【0183】
絶縁層322の材料としては、絶縁性材料であるアルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁層322を形成した場合、絶縁層322は、酸化物層330から基板側への酸素の放出や、トランジスタ300の周辺部から酸化物層330への水素等の不純物の拡散を抑制する層として機能する。よって、絶縁層322を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ300の内側へ拡散することを抑制し、酸化物層330中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電層305が、絶縁層324や、酸化物層330が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0184】
または、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁層322は、これらの絶縁体を含む絶縁膜に、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化シリコン膜を積層して用いてもよい。
【0185】
絶縁層322は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁材料を用いて、単層構造または積層構造で形成してもよい。トランジスタの微細化及び高集積化が進むと、ゲート絶縁層の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁層として機能する絶縁層にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0186】
酸化物層330と接する絶縁層324は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。例えば、絶縁層324は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁層を酸化物層330に接して設けることにより、酸化物層330中の酸素欠損を低減し、トランジスタ300の信頼性を向上させることができる。
【0187】
絶縁層324として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物層とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素分子の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm3以上、または3.0×1020molecules/cm3以上である酸化物層である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0188】
絶縁層324は、水素濃度が低く、過剰酸素領域または過剰酸素を有することが好ましく、例えば、絶縁層316と同様の材料を用いて設けてもよい。
【0189】
絶縁層322及び絶縁層324が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0190】
酸化物層330は、化学組成が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物層330aに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比が、酸化物層330bに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物層330aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物層330bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物層330bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物層330aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物層330cは、酸化物層330aまたは酸化物層330bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0191】
酸化物層330b及び酸化物層330cは、結晶性を有することが好ましい。例えば、後述するCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物層330bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物層330bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ300は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0192】
酸化物層330cとして、CAAC-OSを用いることが好ましく、酸化物層330cが有する結晶のc軸が、酸化物層330cの被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが好ましい。CAAC-OSは、c軸と垂直方向に酸素を移動させやすい性質を有する。したがって、酸化物層330cが有する酸素を、酸化物層330bに効率的に供給することができる。
【0193】
酸化物層330a及び酸化物層330cの伝導帯下端のエネルギー準位は、酸化物層330bの伝導帯下端のエネルギー準位より高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物層330a及び酸化物層330cの電子親和力は、酸化物層330bの電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、酸化物層330cは、酸化物層330aに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。このとき、キャリアの主たる経路は酸化物層330bとなる。
【0194】
ここで、酸化物層330a、酸化物層330b、及び酸化物層330cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物層330a、酸化物層330b、及び酸化物層330cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物層330aと酸化物層330bとの界面、及び酸化物層330bと酸化物層330cとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0195】
具体的には、酸化物層330aと酸化物層330b、酸化物層330bと酸化物層330cが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物層330bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物層330a及び酸化物層330cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いてもよい。
【0196】
具体的には、酸化物層330aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、または1:1:0.5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物層330bとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、またはIn:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物層330cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。
【0197】
なお、金属酸化物をスパッタリング法により成膜する場合、上記の原子数比は、成膜された金属酸化物の原子数比に限られず、金属酸化物の成膜に用いるスパッタリングターゲットの原子数比であってもよい。
【0198】
酸化物層330a及び酸化物層330cを上述の構成とすることで、酸化物層330aと酸化物層330bとの界面、及び酸化物層330bと酸化物層330cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ300は高いオン電流、及び高い周波数特性を得ることができる。
【0199】
酸化物層330cは、2層以上の積層構造を有していてもよい。例えば、酸化物層330cは、第1の酸化物層と、当該第1の酸化物層上の第2の酸化物と、を有していてもよい。
【0200】
酸化物層330cの第1の酸化物層は、酸化物層330bに用いられる金属酸化物を構成する金属元素の少なくとも一つを含むことが好ましく、当該金属元素を全て含むことがより好ましい。例えば、酸化物層330cの第1の酸化物層として、In-Ga-Zn酸化物膜を用い、酸化物層330cの第2の酸化物層として、In-Ga-Zn酸化物膜、Ga-Zn酸化物膜、または酸化ガリウム膜を用いるとよい。これにより、酸化物層330bと酸化物層330cの第1の酸化物層との界面における欠陥準位密度を低くすることができる。また、酸化物層330cの第2の酸化物層は、酸化物層330cの第1の酸化物層より、酸素の拡散または透過を抑制することが好ましい。絶縁層350と酸化物層330cの第1の酸化物層との間に酸化物層330cの第2の酸化物層を設けることで、絶縁層380に含まれる酸素が、絶縁層350に拡散するのを抑制することができる。したがって、当該酸素は、酸化物層330cの第1の酸化物層を介して、酸化物層330bに供給されやすくなる。
【0201】
また、酸化物層330a及び酸化物層330cの第2の酸化物層の伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物層330b及び酸化物層330cの第1の酸化物層の伝導帯下端のエネルギー準位より高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物層330a及び酸化物層330cの第2の酸化物層の電子親和力は、酸化物層330b及び酸化物層330cの第1の酸化物層の電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、酸化物層330cの第2の酸化物層は、酸化物層330aに用いることができる金属酸化物を用い、酸化物層330cの第1の酸化物層は、酸化物層330bに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。このとき、キャリアの主たる経路は酸化物層330bだけでなく、酸化物層330cの第1の酸化物層もキャリアの主たる経路となる場合がある。
【0202】
導電層342としては、上述のTaNxOyを用いることが好ましい。なお、TaNxOyはアルミニウムを含んでもよい。また、例えば、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0203】
絶縁層354は、
図8(B)に示すように、導電層342aの上面及び側面、導電層342bの上面及び側面、酸化物層330a及び酸化物層330bの側面、並びに絶縁層324の上面の一部に接することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁層380は、絶縁層354によって、絶縁層324、酸化物層330a、及び酸化物層330bと離隔される。
【0204】
絶縁層354は、絶縁層322と同様に、水素及び酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁層354は、絶縁層324及び絶縁層380よりも水素及び酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。これにより、絶縁層380に含まれる水素が、酸化物層330a及び酸化物層330bに拡散するのを抑制することができる。さらに、絶縁層322及び絶縁層354によって、絶縁層324、酸化物層330などを囲むことにより、水、水素などの不純物が、外方から絶縁層324及び酸化物層330に拡散することを抑制することができる。よって、トランジスタ300に良好な電気特性及び信頼性を与えることができる。
【0205】
絶縁層354としては、例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁膜を成膜するとよい。この場合、絶縁層354は、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を用いて成膜されることが好ましい。ALD法は、被覆性の良好な成膜法なので、絶縁層354の凹凸によって、段切れなどが形成されるのを防ぐことができる。
【0206】
絶縁層354としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ300を駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。また、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを用いることもできる。
【0207】
絶縁層354としては、例えば、ガリウムを含む酸化物を用いてもよい。ガリウムを含む酸化物は、水素及び酸素の一方または双方の拡散を抑制する機能を有する場合があるため好ましい。なお、ガリウムを含む酸化物として、酸化ガリウム、ガリウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などを用いることができる。なお、絶縁層354としてインジウムガリウム亜鉛酸化物膜を用いる場合、インジウムに対するガリウムの原子数比は大きい方が好ましい。当該原子数比を大きくすることで、当該酸化物膜の絶縁性を高くすることができる。
【0208】
絶縁層350は、ゲート絶縁層として機能する。絶縁層350は、酸化物層330cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁層350の材料には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0209】
絶縁層350は、絶縁層324と同様に、加熱により酸素が放出される絶縁膜を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁膜を、絶縁層350として、酸化物層330cの上面に接して設けることにより、酸化物層330bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給し、酸化物層330bのチャネル形成領域の酸素欠損を低減することができる。したがって、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有するとともに、信頼性を向上させたトランジスタを提供することができる。また、絶縁層324と同様に、絶縁層350中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁層350の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0210】
導電層360は、導電層360aと、導電層360a上の導電層360bと、を有することが好ましい。例えば、導電層360aは、導電層360bの底面及び側面を包むように配置されることが好ましい。
【0211】
導電層360aには、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0212】
導電層360aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁層350に含まれる酸素により、導電層360bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0213】
導電層360は、配線としても機能するため、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。例えば、導電層360bには、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電層360bは積層構造としてもよく、例えば、チタン膜、窒化チタン膜と上記導電性材料を含む膜との積層構造としてもよい。
【0214】
図8では、導電層360は、導電層360aと導電層360bの2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0215】
トランジスタ300では、導電層360は、絶縁層380などに形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電層360をこのように形成することにより、導電層342aと導電層342bとの間の領域に、導電層360を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
【0216】
図8(B)に示すように、導電層360の上面は、絶縁層350の上面及び酸化物層330cの上面と略一致している。
【0217】
図8(C)に示すように、トランジスタ300のチャネル幅方向において、絶縁層322の底面を基準として、導電層360の、導電層360と酸化物層330bとが重ならない領域の底面の高さは、酸化物層330bの底面の高さより低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電層360が、絶縁層350などを介して、酸化物層330bのチャネル形成領域の側面及び上面を覆う構成とすることで、導電層360の電界を酸化物層330bのチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ300のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。
【0218】
絶縁層380は、絶縁層354を介して、絶縁層324、酸化物層330、及び導電層342上に設けられる。また、絶縁層380の上面は、平坦化されていてもよい。
【0219】
層間膜として機能する絶縁層380は、誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜に用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁層380は、例えば、絶縁層316と同様の材料を用いて設けることが好ましい。特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0220】
絶縁層380中の水、水素などの不純物濃度は低減されていることが好ましい。また、絶縁層380は、水素濃度が低く、過剰酸素領域または過剰酸素を有することが好ましく、例えば、絶縁層316と同様の材料を用いて設けてもよい。なお、絶縁層380は、2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0221】
絶縁層374は、絶縁層314などと同様に、水、水素などの不純物が、上方から絶縁層380に拡散するのを抑制する絶縁性バリア膜として機能することが好ましい。また、絶縁層374は、絶縁層314などと同様に、水素濃度が低く、水素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。
【0222】
図8(B)に示すように、絶縁層374は、導電層360、絶縁層350、及び酸化物層330cのそれぞれの上面と接することが好ましい。これにより、絶縁層381などに含まれる水素などの不純物が、絶縁層350へ混入することを抑えることができる。したがって、トランジスタの電気特性及びトランジスタの信頼性への悪影響を抑制することができる。
【0223】
絶縁層374の上に、層間膜として機能する絶縁層381を設けることが好ましい。絶縁層381は、絶縁層316などと同様に、誘電率が低いことが好ましい。また、絶縁層381は、絶縁層324などと同様に、膜中の水、水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0224】
絶縁層381、絶縁層374、絶縁層380、及び絶縁層354に形成された開口に、導電層340a及び導電層340bを配置する。導電層340a及び導電層340bは、導電層360を挟んで対向して設ける。なお、導電層340a及び導電層340bの上面の高さは、絶縁層381の上面と、同一平面上としてもよい。
【0225】
なお、絶縁層381、絶縁層374、絶縁層380、及び絶縁層354の開口の側壁に接して、絶縁層341aが設けられ、その側面に接して導電層340aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電層342aが位置しており、導電層340aが導電層342aと接する。同様に、絶縁層381、絶縁層374、絶縁層380、及び絶縁層354の開口の側壁に接して、絶縁層341bが設けられ、その側面に接して導電層340bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電層342bが位置しており、導電層340bが導電層342bと接する。
【0226】
導電層340a及び導電層340bには、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。
【0227】
導電層340a及び導電層340bは積層構造としてもよい。なお、トランジスタ300では、導電層340a及び導電層340bを、2層の積層構造として設ける構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電層340を単層、または3層以上の積層構造としてもよい。
【0228】
絶縁層341a及び絶縁層341bとしては、例えば、絶縁層314、絶縁層354等に用いることができる絶縁膜を用いることができる。絶縁層341a及び絶縁層341bは、絶縁層354に接して設けられるので、絶縁層380などに含まれる水、水素などの不純物が、導電層340a及び導電層340bを通じて酸化物層330に拡散するのを抑制することができる。また、絶縁層380に含まれる酸素が導電層340a及び導電層340bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0229】
また、図示しないが、導電層340aの上面、及び導電層340bの上面に接して配線として機能する導電層を配置してもよい。配線として機能する導電層には、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電層は、積層構造としてもよく、例えば、チタン膜、窒化チタン膜と上記導電性材料を含む膜との積層としてもよい。なお、当該導電層は、絶縁層に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0230】
また、図示しないが、上記導電層を覆うように、抵抗率が1.0×1013Ωcm以上1.0×1015Ωcm以下、好ましくは5.0×1013Ωcm以上5.0×1014Ωcm以下の絶縁層を設けることが好ましい。上記導電層上に上記のような抵抗率を有する絶縁層を設けることで、当該絶縁層は、絶縁性を維持しつつ、トランジスタ300、上記導電層等の配線間に蓄積される電荷を分散し、該電荷によるトランジスタや、該トランジスタを有する電子機器の特性不良や静電破壊を抑制することができ、好ましい。
【0231】
以上のように、本実施の形態の表示装置は、複数の発光ダイオードと複数のトランジスタとを一度に貼り合わせることができるため、表示装置の製造コストの削減及び歩留まりの向上を図ることができる。また、マイクロLEDと、金属酸化物を用いたトランジスタを組み合わせることで、消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0232】
また、本実施の形態の表示装置は、トランジスタのサイズを小さくできるため、精細度を高めることや、比較的小さな表示部を有する電子機器への適用が容易である。
【0233】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0234】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の画素について
図10を用いて説明する。
【0235】
[画素]
本実施の形態の表示装置は、m行n列(m、nは、それぞれ1以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素を有する。
図10に、画素200(i,j)(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)の回路図の一例を示す。
【0236】
図10に示す画素200(i,j)は、発光素子210、スイッチSW21、スイッチSW22、トランジスタM、及び容量素子C1を有する。
【0237】
本実施の形態では、スイッチSW21として、トランジスタを用いる例を示す。スイッチSW21のゲートは、走査線GL1(i)と電気的に接続される。スイッチSW21のソース及びドレインは、一方が信号線SL(j)と電気的に接続され、他方がトランジスタMのゲートと電気的に接続される。
【0238】
本実施の形態では、スイッチSW22として、トランジスタを用いる例を示す。スイッチSW22のゲートは、走査線GL2(i)と電気的に接続される。スイッチSW22のソース及びドレインは、一方が配線COMと電気的に接続され、他方がトランジスタMのゲートと電気的に接続される。
【0239】
トランジスタMのゲートは、容量素子C1の一方の電極、スイッチSW21のソース及びドレインの他方、及びスイッチSW22のソース及びドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタMのソース及びドレインは、一方が配線CATHODEと電気的に接続され、他方が発光素子210のカソードと電気的に接続される。
【0240】
容量素子C1の他方の電極は、配線CATHODEと電気的に接続される。
【0241】
発光素子210のアノードは、配線ANODEと電気的に接続される。
【0242】
走査線GL1(i)は、選択信号を供給する機能を有する。走査線GL2(i)は、制御信号を供給する機能を有する。信号線SL(j)は、画像信号を供給する機能を有する。配線VCOM、配線CATHODE、及び配線ANODEには、それぞれ定電位が供給される。発光素子210のアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。
【0243】
スイッチSW21は、選択信号により制御され、画素200の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。
【0244】
トランジスタMは、ゲートに供給される電位に応じて発光素子210に流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。スイッチSW21が導通状態のとき、信号線SL(j)に供給される画像信号がトランジスタMのゲートに供給され、その電位に応じて、発光素子210の発光輝度を制御することができる。
【0245】
スイッチSW22は、制御信号に基づいてトランジスタMのゲート電位を制御する機能を有する。具体的には、スイッチSW22は、トランジスタMを非導通状態にする電位を、トランジスタMのゲートに供給することができる。
【0246】
スイッチSW22は、例えば、パルス幅の制御に用いることができる。制御信号に基づく期間、トランジスタMから発光素子210に電流を供給することができる。または、発光素子210は、画像信号及び制御信号に基づいて、階調を表現することができる。
【0247】
ここで、画素200(i,j)が有するトランジスタには、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0248】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1に直列に接続されるスイッチSW21及びスイッチSW22には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0249】
また、画素200(i,j)が有するトランジスタに、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0250】
また、画素200(i,j)が有するトランジスタのうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0251】
なお、
図10において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0252】
[トランジスタ]
次に、表示装置に用いることができるトランジスタについて、説明する。
【0253】
表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート構造またはボトムゲート構造のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0254】
表示装置が有するトランジスタには、例えば、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタを用いることができる。これによりオフ電流の極めて小さいトランジスタを実現することができる。
【0255】
または、表示装置が有するトランジスタにシリコンをチャネル形成領域に有するトランジスタを適用してもよい。当該トランジスタとしては、例えば、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(代表的には、低温ポリシリコン)を有するトランジスタ、単結晶シリコンを有するトランジスタなどが挙げられる。
【0256】
[金属酸化物]
以下では、トランジスタの半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0257】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0258】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0259】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSを用いることができる。
【0260】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0261】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0262】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0263】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0264】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0265】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0266】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0267】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0268】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0269】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0270】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0271】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0272】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0273】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0274】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0275】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0276】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図11~
図15を用いて説明する。
【0277】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は、表示品位が高く、かつ、消費電力が低い。また、本発明の一態様の表示装置は、高精細化及び大型化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0278】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0279】
特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば腕時計型やブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)や、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、またはMR向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機器等に好適に用いることができる。
【0280】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0281】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0282】
図11(A)に、メガネ型の電子機器900の斜視図を示す。電子機器900は、一対の表示パネル901、一対の筐体902、一対の光学部材903、一対の装着部904等を有する。
【0283】
電子機器900は、光学部材903の表示領域906に、表示パネル901で表示した画像を投影することができる。光学部材903は透光性を有するため、ユーザーは光学部材903を通して視認される透過像に重ねて、表示領域906に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器900は、AR表示が可能な電子機器である。
【0284】
電子機器900が備える表示パネル901は、画像を表示する機能に加えて、撮像する機能を有することが好ましい。このとき、電子機器900は、光学部材903を介して表示パネル901に入射された光を受光し、電気信号に変換して出力することができる。これにより、ユーザーの目、または目及びその周辺を撮像し、画像情報として外部、または電子機器900が備える演算部に出力することができる。
【0285】
一つの筐体902には、前方を撮像することのできるカメラ905が設けられている。また図示しないが、いずれか一方の筐体902には無線受信機、またはケーブルを接続可能なコネクタが設けられ、筐体902に映像信号等を供給することができる。また、筐体902に、ジャイロセンサなどの加速度センサを配置することで、ユーザーの頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域906に表示することもできる。また、筐体902にはバッテリが設けられていることが好ましく、無線または有線によって充電することができることが好ましい。
【0286】
図11(B)を用いて、電子機器900の表示領域906への画像の投影方法について説明する。筐体902の内部には、表示パネル901、レンズ911、反射板912が設けられている。また、光学部材903の表示領域906に相当する部分には、ハーフミラーとして機能する反射面913を有する。
【0287】
表示パネル901から発せられた光915は、レンズ911を通過し、反射板912により光学部材903側へ反射される。光学部材903の内部において、光915は光学部材903の端面で全反射を繰り返し、反射面913に到達することで、反射面913に画像が投影される。これにより、ユーザーは、反射面913に反射された光915と、光学部材903(反射面913を含む)を透過した透過光916の両方を視認することができる。
【0288】
図11では、反射板912及び反射面913がそれぞれ曲面を有する例を示している。これにより、これらが平面である場合に比べて、光学設計の自由度を高めることができ、光学部材903の厚さを薄くすることができる。なお、反射板912及び反射面913を平面としてもよい。
【0289】
反射板912としては、鏡面を有する部材を用いることができ、反射率が高いことが好ましい。また、反射面913としては、金属膜の反射を利用したハーフミラーを用いてもよいが、全反射を利用したプリズムなどを用いると、透過光916の透過率を高めることができる。
【0290】
ここで、電子機器900は、レンズ911と表示パネル901との間の距離及び角度の一方又は双方を調整する機構を有していることが好ましい。これにより、ピント調整や、画像の拡大、縮小などを行うことが可能となる。例えば、レンズ911及び表示パネル901の一方または双方が、光軸方向に移動可能な構成とすればよい。
【0291】
電子機器900は、反射板912の角度を調整可能な機構を有していることが好ましい。反射板912の角度を変えることで、画像が表示される表示領域906の位置を変えることが可能となる。これにより、ユーザーの目の位置に応じて最適な位置に表示領域906を配置することが可能となる。
【0292】
表示パネル901には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器900とすることができる。
【0293】
図12(A)、
図12(B)に、ゴーグル型の電子機器950の斜視図を示す。
図12(A)は、電子機器950の正面、平面及び左側面を示す斜視図であり、
図12(B)は、電子機器950の背面、底面、及び右側面を示す斜視図である。
【0294】
電子機器950は、一対の表示パネル951、筐体952、一対の装着部954、緩衝部材955、一対のレンズ956等を有する。一対の表示パネル951は、筐体952の内部の、レンズ956を通して視認できる位置にそれぞれ設けられている。
【0295】
電子機器950は、VR向けの電子機器である。電子機器950を装着したユーザーは、レンズ956を通して表示パネル951に表示される画像を視認することができる。また、一対の表示パネル951に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
【0296】
筐体952の背面側には、入力端子957と出力端子958とが設けられている。入力端子957には映像出力機器等からの映像信号や、筐体952内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続することができる。出力端子958は、例えば音声出力端子として機能することができ、イヤフォンやヘッドフォン等を接続することができる。なお、無線通信により音声データを出力可能な構成とする場合や、外部の映像出力機器から音声を出力する場合には、当該音声出力端子を設けなくてもよい。
【0297】
電子機器900は、レンズ956及び表示パネル951が、ユーザーの目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ956と表示パネル951との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
【0298】
表示パネル951には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器950とすることができる。これにより、ユーザーに高い没入感を感じさせることができる。
【0299】
緩衝部材955は、ユーザーの顔(額や頬など)に接触する部分である。緩衝部材955がユーザーの顔と密着することにより、光漏れを防ぐことができ、より没入感を高めることができる。緩衝部材955は、ユーザーが電子機器950を装着した際にユーザーの顔に密着するよう、柔らかな素材を用いることが好ましい。例えばゴム、シリコーンゴム、ウレタン、スポンジなどの素材を用いることができる。また、緩衝部材955として、スポンジ等の表面を布や革(天然皮革または合成皮革)などで覆ったものを用いると、ユーザーの顔と緩衝部材955との間に隙間が生じにくく光漏れを好適に防ぐことができる。緩衝部材955や装着部954などの、ユーザーの肌に触れる部材は、取り外し可能な構成とすると、クリーニングや交換が容易となるため好ましい。
【0300】
図13(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0301】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0302】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0303】
図13(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0304】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0305】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0306】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0307】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0308】
図14(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0309】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0310】
図14(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0311】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0312】
図14(B)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0313】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0314】
図14(C)、
図14(D)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0315】
図14(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0316】
図14(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0317】
図14(C)、
図14(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0318】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0319】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0320】
また、
図14(C)、
図14(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0321】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0322】
図15(A)乃至
図15(F)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0323】
図15(A)乃至
図15(F)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0324】
図15(A)乃至
図15(F)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0325】
図15(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。
図15(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0326】
図15(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0327】
図15(C)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0328】
図15(D)~
図15(F)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図15(D)は携帯情報端末9201を展開した状態、
図15(F)は折り畳んだ状態、
図15(E)は
図15(D)と
図15(F)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0329】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0330】
C1:容量素子、GL1:走査線、GL2:走査線、SW21:スイッチ、SW22:スイッチ、100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、100D:表示装置、100E:表示装置、100F:表示装置、101:基板、102:保護層、110a:発光ダイオード、110b:発光ダイオード、112a:電極、112b:電極、113a:半導体層、113b:半導体層、114a:発光層、114b:発光層、115a:半導体層、115b:半導体層、116a:電極、116b:電極、117a:導電体、117b:導電体、117c:導電体、117d:導電体、120a:トランジスタ、120b:トランジスタ、130a:トランジスタ、130b:トランジスタ、131:基板、132:素子分離層、133:低抵抗領域、134:絶縁層、135:導電層、136:絶縁層、137:導電層、138:導電層、139:絶縁層、141:絶縁層、142:導電層、143:絶縁層、150A:LED基板、150B:回路基板、151:基板、152:絶縁層、161:導電層、162:絶縁層、163:絶縁層、164:絶縁層、165:金属酸化物層、166:導電層、167:絶縁層、168:導電層、171:基板、172:配線、173:絶縁層、174:電極、175:導電層、176:接続体、177:電極、178:電極、179:接着層、181:絶縁層、182:絶縁層、183:絶縁層、184a:導電層、184b:導電層、185:絶縁層、186:絶縁層、187:導電層、187a:導電層、187b:導電層、188:絶縁層、189:導電層、189a:導電層、189b:導電層、190a:導電層、190b:導電層、190c:導電層、190d:導電層、190e:導電層、191:基板、192:接着層、195:導電体、200:画素、210:発光素子、300:トランジスタ、300A:トランジスタ、305:導電層、314:絶縁層、316:絶縁層、322:絶縁層、324:絶縁層、330:酸化物層、330a:酸化物層、330b:酸化物層、330c:酸化物層、340:導電層、340a:導電層、340b:導電層、341:絶縁層、341a:絶縁層、341b:絶縁層、342:導電層、342a:導電層、342b:導電層、350:絶縁層、354:絶縁層、360:導電層、360a:導電層、360b:導電層、374:絶縁層、380:絶縁層、381:絶縁層、900:電子機器、901:表示パネル、902:筐体、903:光学部材、904:装着部、905:カメラ、906:表示領域、911:レンズ、912:反射板、913:反射面、915:光、916:透過光、950:電子機器、951:表示パネル、952:筐体、954:装着部、955:緩衝部材、956:レンズ、957:入力端子、958:出力端子、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7100:テレビジョン装置、7101:筐体、7103:スタンド、7111:リモコン操作機、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機、7400:デジタルサイネージ、7401:柱、7411:情報端末機、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末