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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】睡眠の質の改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240709BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20240709BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/194
A61P25/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020553226
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040639
(87)【国際公開番号】W WO2020080394
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2018195043
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018195570
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019027414
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228590
【氏名又は名称】日本ケミファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】川口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 里美
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-520980(JP,A)
【文献】国際公開第2005/097101(WO,A1)
【文献】特開2009-249372(JP,A)
【文献】特開2007-230954(JP,A)
【文献】特開2014-172892(JP,A)
【文献】特開2009-023948(JP,A)
【文献】特開2002-322063(JP,A)
【文献】UEDA T., et al.,Urine alkalization improves the problems of pain and sleep in hypersensitive bladder syndrome,Int. J. Urol.,2014年05月,Vol.21, No.5,p.512-517,特に要約、Methods、516頁左欄2段落
【文献】NIELSEN Forrest H. et al.,Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adu,Magnesium Research,2010年,23(4),158-168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
A61K 6/00 -135/00
A61P 1/00 - 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸のアルカリ金属塩を有効成分として含む、哺乳動物の、不眠症の治療のための睡眠の質の改善剤であって、前記不眠症が膀胱知覚過敏による不眠症を除き、前記睡眠の質の改善が中途覚醒の抑制又は早朝覚醒の抑制である、睡眠の質の改善剤
【請求項2】
さらにクエン酸を有効成分として含む、請求項1に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項3】
クエン酸、クエン酸ナトリウム又はその水和物、及びクエン酸カリウム又はその水和物を有効成分として含む、請求項2に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項4】
睡眠の質の改善が中途覚醒の抑制である、請求項1~3のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項5】
睡眠の質の改善が早朝覚醒の抑制である、請求項1~4のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項6】
眠の質の改善が、徐波睡眠の促進である、請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項7】
眠の質の改善が、睡眠時間全体に対するノンレム睡眠ステージ3の時間の割合の増加である、請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項8】
眠の質の改善が、ノンレム睡眠におけるステージ1の時間の割合を減少させ、ステージ3の時間の割合を増加させる徐波睡眠の促進である、請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項9】
眠の質の改善が、第1睡眠周期における睡眠の質の改善である、請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項10】
眠の質の改善が、第1睡眠周期におけるデルタパワー値の増加である、請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項11】
眠の質の改善が、第1睡眠周期において深い眠りの形成促進である、請求項1~10のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項12】
眠の質の改善が、頻尿に伴う睡眠障害の抑制である、請求項1~11のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項13】
眠の質の改善が、頻尿に伴う中途覚醒の抑制である、請求項1~12のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項14】
品である、請求項1~13のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項15】
食当たり単位包装形態からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上含む食品である、請求項1~14のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項16】
食当たり単位包装形態からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上2g以下含む食品である、請求項1~14のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項17】
装、容器、又は説明書に、睡眠の質の改善の効果が表示されている食品である、請求項1~16のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【請求項18】
装、容器、又は説明書に、睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合の増加、中途覚醒の回数の減少又は熟眠感の向上の効果が表示されている食品である、請求項1~17のいずれか1項に記載の睡眠の質の改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウム(重曹ともいう)を有効成分として含む、睡眠の質の改善剤(例えば、食品組成物又は医薬組成物)に関する。また、本発明は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用の組成物(例えば、食品組成物又は医薬組成物)に関する。
本願は、2018年10月16日に、日本に出願された特願2018-195043号、2018年10月17日に、日本に出願された特願2018-195570号、及び2019年2月19日に、日本に出願された特願2019-27414号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
睡眠は、心身の休養、身体の成長、修復若しくは新陳代謝、又は記憶の再構成等に深く関わっており、健全な生活を営むには、適切な睡眠の取得が必要である。しかしながら、例えば、日本国厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査報告」によれば、睡眠で休養が充分にとれていない者の割合は19.7%であり、その割合は、近年、有意に増加している。また、20~50歳代では、その割合は2割を超えている。生活環境の諸事情により、充分な睡眠時間の確保は必ずしも容易ではなく、一定の睡眠時間で満足感の高い睡眠を取得するには、睡眠の質を改善することが重要である。
オルニチンは、アミノ酸の1種であり、生体内において、有害なアンモニアを尿素に変換するオルニチン回路を構成する物質として知られている。近年、経口的に投与されたオルニチンが血中コルチゾール濃度を低下させ、睡眠の質を改善させることが報告されている(非特許文献1)。また、オルニチンは、アンモニアを尿素に変換するアンモニアの解毒作用(以下、単にアンモニア解毒作用と称する場合がある)を有することにより、疲労感を軽減させ、睡眠の質を改善させることが期待されている。
【0003】
セロトニンは、生体内において、トリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンを経て合成される。セロトニンの多くは消化管粘膜に分布して、腸の蠕動運動に作用するが、脳内の神経伝達物質としても存在し、生体リズム、睡眠又は体温調節等の生理機能や、精神の安定化等の心理機能に関与することが知られている。また、日中分泌されたセロトニンは、夕刻から深夜にかけてメラトニンに変換され、かかるメラトニンが入眠を促すことが知られている。セロトニンの欠乏は睡眠/覚醒リズムを害し(非特許文献2)、セロトニンの前駆体であるトリプトファンの摂取は、睡眠/覚醒リズムの改善に有用であることが報告されている(非特許文献3)。
【0004】
タウリン(2-アミノエタンスルホン酸ともいう)は、生体内に存在する含硫アミノ酸様物質の1つであり、生体の恒常性維持に関与することが知られている。また、脳疲労回復、精神疲労回復、若しくは肝機能修復による身体疲労回復効果等を有することにより、疲労感を軽減し、睡眠の質を改善させることが期待されている。
一方、アルコール(特にエタノール)は、生理的及び心理的状態に影響を及ぼすことが知られており、比較的少量のアルコール飲料の摂取は、気分を陽気にさせ、又は入眠までの時間を短縮させる等、睡眠の質の改善にも寄与する場合がある。しかしながら、過量のアルコール飲料の摂取は、悪心、嘔吐、頭痛又はめまい等を伴う、いわゆる、悪酔い又は二日酔いの状態を惹起することが知られている。摂取されたアルコールは、生体内で、アセトアルデヒドを経て酢酸に代謝され、更に二酸化炭素と水に分解されるが、悪酔い又は二日酔いには、アルコールの代謝によって生成したアセトアルデヒドが深く関与していると理解されている。アルデヒドデヒドロゲナーゼ2は、生体内でアセトアルデヒドを酢酸に代謝する酵素であるが、欧米人に比べて、日本人は、正常なアルデヒドデヒドロゲナーゼ2を有しない者の割合が高いことが知られている。アルデヒドデヒドロゲナーゼ2を有しない個体は、「フラッシャーズ」と分類され、少量のアルコール摂取によって、フラッシング反応(顔面紅潮、動悸、悪心又は低血圧等)を生じやすい。
【0005】
オルニチンは、肝機能改善作用を有し、かつ上記アンモニア解毒作用による疲労感の軽減作用を有することから、アルコール飲料の摂取による悪酔い又は二日酔いの抑制に有効であることが期待されている。また、経口的に投与されたオルニチンが、アルコールを摂取したフラッシャーズの翌朝の唾液中コルチゾールの低下と疲労感の改善をもたらすことが報告されている(非特許文献4)。
シスチン(3,3’-ジチオビス(2-アミノプロピオン酸)ともいう)は、アミノ酸の1種であり、毛又は爪等を構成するケラチンの構成成分として多く含まれていることが知られている。また、シスチンには、生体内でアセトアルデヒドの代謝を促進する効果があることが知られている。
ニコチンアミド(ナイアシン又はビタミンBともいう)は、生体内において、酸化還元酵素の補酵素ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(略称:NAD)及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド・リン酸(略称:NADP)の構成要素として知られ、これらの補酵素は、生体内における酸化還元反応の電子受容体又は水素供与体として機能している。これらの補酵素は、アルコールの代謝酵素である、アルコールデヒドロゲナーゼ及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼの補酵素としても機能するため、アルコールの代謝に重要な役割を果たしている。ニコチンアミドは、生体内でトリプトファンから生合成される。トリプトファンは、セロトニン及びメラトニンの生合成原料でもあることから、アルコール代謝により、ニコチンアミドが消費されると、それを補うべく、トリプトファンがニコチンアミドの生合成に消費され、セロトニン又はメラトニンの生合成に使用されるトリプトファンが減少し、結果としてセロトニン又はメラトニンの不足が睡眠の質に悪影響を与える場合がある。したがって、ニコチンアミドの摂取は、アルコール及びアセトアルデヒドの代謝促進、及びアルコール代謝時の睡眠の質の低下抑制に寄与することが期待されている。
【0006】
夜間多尿は高齢者の30~50%に認められ、夜間就寝中に尿意を覚え排尿のために1回以上起きなければならない“夜間頻尿”と呼ばれる症状の主な原因となる。実際、夜間多尿は、夜間頻尿患者の8割で認められている(非特許文献5)。
夜間頻尿は、尿意による夜間覚醒を惹起し、睡眠の質を悪化させることとなり、日中の眠気をもたらし、仕事や家事にも影響を及ぼす、日常生活において支障度の高い症状と言われている。特に、就寝中の排尿回数が2回以上になると生活の質(QOL)が低下するため、治療の対象となることが多い。
上記のように、夜間頻尿の主な原因に夜間多尿があること、高齢者においては、夜間の抗利尿ホルモン:アルギニンバソプレシン(AVP)の分泌が低下することが、夜間尿量の増加の一因と考えられていることから(非特許文献6)、AVPの受容体であって、抗利尿作用を発揮するV2受容体を刺激することで、夜間多尿を改善し、そして、夜間頻尿を改善することが期待されている。実際、V2受容体選択的作動薬であるデスモプレシン(dDAVP)は、夜間尿量及び夜間排尿回数を減少させ、初回睡眠時間を延長することが報告されている(非特許文献7、非特許文献8)。
しかしながら、V2受容体作動薬は理論的には体液貯留を促し、低ナトリウム血症の懸念があるため、夜間多尿や夜間頻尿患者の多数を占める高齢者へのV2受容体作動薬の投与の際には血清ナトリウム濃度測定などの注意が必要であることが報告されている(特許文献1)。
【0007】
ところで、クエン酸は、医薬品又は食品の分野において、安定化剤,緩衝剤,又は矯味剤等の添加剤として有用であることが知られている。
クエン酸の塩、特にアルカリ金属塩、又は炭酸水素ナトリウム(重曹ともいう)(以下、これらを総称してアルカリ性化剤と称する場合がある)は、高尿酸血症患者又は痛風患者に投与することにより、これらの患者における尿路結石の生成の抑制に有用であることが知られている。また、アルカリ性化剤は、患者の体液をアルカリ性にする作用を有するので、患者のアシドーシス、特に腎尿細管性アシドーシス等の代謝性アシドーシスの改善に有効なことが知られている。
しかしながら、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムが、哺乳動物(特にヒト)において、血中オルニチン濃度増加作用、血中セロトニン濃度増加作用、血中タウリン濃度増加作用、血中シスチン濃度増加作用、又は血中ニコチンアミド濃度増加作用を有していることは知られていない。ましてや、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムが、哺乳動物(特にヒト)において、睡眠の質の改善に有用なことは知られていない。
睡眠は、脳波パターンによりレム睡眠とノンレム睡眠に分類され、ノンレム睡眠は、さらに睡眠の浅い順に、ステージ1、2、3及び4の4段階に分けられる。ステージ3及び4の深い睡眠は徐波睡眠(又は深睡眠)と呼ばれている。近年、睡眠不足が蓄積された状態である睡眠負債が問題視されている。睡眠負債の解消の為に、睡眠時間の増加とともに、睡眠の質を改善する手段が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2016/143200号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Miyake et al., Nutrition Journal 2014, 13:53
【文献】Smaranda Leu-Semenescu et al., SLEEP, Vol. 33, No. 3, 2010,pp. 304-S1
【文献】R. Bravo et al., AGE (2013) 35, pp. 1277-1285
【文献】Kokubo et al., BioPsychoSocial Medicine 2013, 7:6
【文献】J.Urol.,2011;186:1358-1363
【文献】Drugs Aging,1999;15:429-437
【文献】J.Urol.,2013;190:958-964
【文献】J.Urol.,2013;190:965-972
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題の一つは、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善剤を提供することである。本発明の他の一つの課題は、哺乳動物(特にヒト)の、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用の食品組成物又は医薬組成物を提供することである。本発明の他の一つの課題は、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防に有用な医薬組成物を提供することである。本発明の他の一つの課題は、中途覚醒の抑制に有用な食品組成物又医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を行ったところ、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムが、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善に有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は以下の側面を有する。
(1)クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善剤。
(2)有効成分として、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む、(1)に記載の睡眠の質の改善剤。
(3)クエン酸の塩が、クエン酸のアルカリ金属塩である、(1)又は(2)に記載の睡眠の質の改善剤。
(4)クエン酸の塩が、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(5)睡眠の質の改善が、中途覚醒の抑制(例えば、早朝覚醒(例えば、起床前2時間の中途覚醒)の抑制又は頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う中途覚醒の抑制)、熟眠感の向上、深い眠りの形成促進、徐波睡眠の促進(例えば、睡眠時間全体に対する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の割合の増加、徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の増加、睡眠時間全体に対するステージ1の時間の割合を減少させ、睡眠時間全体に対するステージ3の時間の割合を増加させる徐波睡眠の促進、又はステージ1の時間を減少させ、ステージ3の時間を増加させる徐波睡眠の促進)、及び頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の抑制からなる群から選択される少なくとも1つである、(1)~(4)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(6)睡眠の質の改善が、第1睡眠周期における睡眠の質の改善(例えば、第1睡眠周期におけるデルタパワー値の増加、又は第1睡眠周期において深い眠りの形成促進)である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(7)睡眠の質の改善が、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う中途覚醒の抑制又は頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の抑制である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(8)包装、容器、又は説明書に、睡眠の質の改善の効果(例えば、徐波睡眠の促進(例えば、睡眠時間全体に対する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の割合の増加、徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の増加、睡眠時間全体に対するステージ1の時間の割合を減少させ、睡眠時間全体に対するステージ3の時間の割合を増加させる徐波睡眠の促進、ステージ1の時間を減少させ、ステージ3の時間を増加させる徐波睡眠の促進)、中途覚醒(例えば、早朝覚醒(起床前2時間の中途覚醒)又は頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う中途覚醒)の回数の減少、熟眠感の向上、深い眠りの形成促進、第1睡眠周期における睡眠の質の改善(例えば、第1睡眠周期におけるデルタパワー値の増加、又は第1睡眠周期において深い眠りの形成促進)又は頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の抑制の効果)が表示されている食品組成物である、(1)~(7)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(9)食品組成物又は医薬組成物である、(1)~(8)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(10)1回の摂取当たり単位包装形態(例えば、1食当たり単位包装形態)からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上含む食品組成物。
(11)1回の摂取当たり単位包装形態(例えば、1食当たり単位包装形態)からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上含む食品組成物である、(1)~(9)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(12)クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、哺乳動物(特にヒト)の、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用組成物(例えば、食品組成物又は医薬組成物)。
(13)有効成分として、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む、(12)に記載の組成物(例えば、食品組成物又は医薬組成物)。
(14)有効成分として、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムを含む、(1)~(13)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤又は組成物(例えば、食品組成物又は医薬組成物)。
(15)有効成分として、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムを、モル比1:2:2で含む、(1)~(14)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤又は組成物(例えば、食品組成物又は医薬組成物)。
【0013】
本発明は以下の別の側面を有する。
(1’)クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を有効成分として含む、哺乳動物の、睡眠の質の改善剤。
(2’)クエン酸を有効成分として含む、(1’)に記載の睡眠の質の改善剤。
(3’)クエン酸のアルカリ金属塩を有効成分として含む、(1’)又は(2’)に記載の睡眠の質の改善剤。
(4’)クエン酸、クエン酸ナトリウム又はその水和物、及びクエン酸カリウム又はその水和物を有効成分として含む、(1’)~(3’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(5’)睡眠の質の改善が中途覚醒の抑制である、(1’)~(4’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(6’)睡眠の質の改善が早朝覚醒の抑制である、(1’)~(5’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(7’)睡眠の質の改善が、熟眠感の向上である、(1’)~(6’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(8’)睡眠の質の改善が、徐波睡眠の促進である、(1’)~(7’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(9’)睡眠の質の改善が、睡眠時間全体に対するノンレム睡眠ステージ3の時間の割合の増加である、(1’)~(8’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(10’)睡眠の質の改善が、ノンレム睡眠におけるステージ1の時間の割合を減少させ、ステージ3の時間の割合を増加させる徐波睡眠の促進である、(1’)~(9’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(11’)睡眠の質の改善が、第1睡眠周期における睡眠の質の改善である、(1’)~(10’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(12’)睡眠の質の改善が、第1睡眠周期におけるデルタパワー値の増加である、(1’)~(11’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(13’)睡眠の質の改善が、第1睡眠周期において深い眠りの形成促進である、(1’)~(12’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(14’)睡眠の質の改善が、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の抑制である、(1’)~(13’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(15’)睡眠の質の改善が、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う中途覚醒の抑制である、(1’)~(14’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(16’)食品である、(1’)~(15’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(17’)1食当たり単位包装形態からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上含む食品である、(1’)~(16’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(18’)1食当たり単位包装形態からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を500mg以上2g以下含む食品である、(1’)~(16’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(19’)包装、容器、又は説明書に、睡眠の質の改善の効果が表示されている食品である、(1’)~(18’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
(20’)包装、容器、又は説明書に、睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合の増加、中途覚醒の回数の減少又は熟眠感の向上の効果が表示されている食品である、(1’)~(19’)のいずれか1つに記載の睡眠の質の改善剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明が提供する組成物の摂取又は投与により、哺乳動物(特にヒト)において、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加が認められる。本発明が提供する組成物の摂取又は投与により、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿))の抑制が認められる。本発明が提供する組成物は、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】腎不全ミニブタに対し、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤を投与したときの血漿オルニチン濃度の変化を表すグラフである。横軸の1、2、3及び4のグラフは、それぞれ、投与前、1週間投与後、次の1週間投与休止後、更に次の1週間投与後の結果を表し、縦軸は披検物質量の相対面積値を表す(図2~5においても同様である)。
図2】腎不全ミニブタに対し、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤を投与したときの血漿セロトニン濃度の変化を表すグラフである。
図3】腎不全ミニブタに対し、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤を投与したときの血漿タウリン濃度の変化を表すグラフである。
図4】腎不全ミニブタに対し、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤を投与したときの血漿シスチン濃度の変化を表すグラフである。
図5】腎不全ミニブタに対し、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤を投与したときの血漿ニコチンアミド濃度の変化を表すグラフである。
図6】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、セントマリー病院睡眠質問票に基づき評価した結果(何回目を覚ましたかを評価した結果)を表すグラフである。
図7】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、セントマリー病院睡眠質問票に基づき評価した結果(睡眠について評価した結果)を表すグラフである。
図8】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、セントマリー病院睡眠質問票に基づき評価した結果(どれくらいよく眠れたかについて評価した結果)を表すグラフである。
図9】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(中途覚醒の回数)を表すグラフである。
図10】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(起床前2時間の中途覚醒の回数)を表すグラフである。
図11】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(ノンレム睡眠ステージ1の全睡眠時間に対する割合)を表すグラフである。
図12】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(ノンレム睡眠ステージ1の時間)を表すグラフである。
図13】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(ノンレム睡眠ステージ3の全睡眠時間に対する割合)を表すグラフである。
図14】被験者に、クエン酸、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を含む配合剤又はプラセボを投与したときの睡眠の質について、脳波を測定することにより評価した結果(ノンレム睡眠ステージ3の時間)を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウム(重曹ともいう)を有効成分として含む、睡眠の質の改善剤を提供する。
本発明が提供する睡眠の質の改善剤は、食品組成物又は医薬組成物であり得る。
また、本発明は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用の組成物を提供する。本発明が提供する血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用の組成物は、食品組成物又は医薬組成物であり得る。
【0017】
1.食品組成物
本発明が提供する食品組成物は、有効成分として、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含むことができる。
一つの実施態様として、本発明が提供する食品組成物は、クエン酸及びクエン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を有効成分として含むことができる。
クエン酸としては、クエン酸の水和物(例えば、クエン酸一水和物(C6H8O7・H2O))及び無水クエン酸等が挙げられる。
クエン酸の塩としては、クエン酸の食品又は医薬として許容され得る塩が好ましく、例えば、クエン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄又はアンモニウムイオンとの塩等が挙げられ、より具体的には、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム(本明細書では、クエン酸三カリウムを単にクエン酸カリウムと称する場合がある)、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム(本明細書では、クエン酸三ナトリウムを単にクエン酸ナトリウムと称する場合がある)、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸第一鉄、クエン酸第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム等が挙げられる。
クエン酸の塩としては、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩が好ましく、中でもクエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム等が好ましい。
一つの実施態様において、クエン酸の塩は、クエン酸第一鉄及びクエン酸第二鉄以外の食品又は医薬として許容され得る塩である。
【0018】
前記クエン酸の塩は、その水和物であってもよく、また異なる塩又はその水和物の混合物であってもよい。より具体的には、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)等の水和物並びにそれらの混合物を例示することができる。例えば、有効成分としてのクエン酸のアルカリ金属塩が、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)の混合物であるとき、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)の混合比は、当業者が適宜設定でき、例えば、クエン酸カリウムの一水和物とクエン酸ナトリウムの二水和物のモル比を、クエン酸カリウムの一水和物1に対してクエン酸ナトリウムの二水和物を0.01~100とすることができる。混合比をモル比で約1:1としてもよい。
一つの実施態様において、前記混合物における、クエン酸のナトリウム塩のモル数と、クエン酸のカリウム塩のモル数との混合比は、当業者が適宜設定でき、0.85:1.15~1.15:0.85が好ましく、0.90:1.10~1.10:0.90がより好ましく、0.95:1.05~1.05:0.95がより好ましく、0.99:1.01~1.01:0.99が更に好ましく、1:1が特に好ましい。
一つの実施態様において、前記混合物における、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)のモル数と、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)のモル数との混合比は、当業者が適宜設定でき、0.85:1.15~1.15:0.85が好ましく、0.90:1.10~1.10:0.90がより好ましく、0.95:1.05~1.05:0.95がより好ましく、0.99:1.01~1.01:0.99が更に好ましく、1:1が特に好ましい。
【0019】
有効成分をクエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)及び無水クエン酸の混合物とした場合、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)及び無水クエン酸の混合物における、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)及び無水クエン酸の混合比は、当業者が適宜設定でき、例えば、クエン酸カリウムの一水和物、クエン酸ナトリウムの二水和物と無水クエン酸のモル比を、クエン酸カリウムの一水和物1に対してクエン酸ナトリウムの二水和物を0.01~100、無水クエン酸を0.01~100とすることができる。混合比をモル比で約2:2:1としてもよい。
一つの実施態様において、前記混合物における、無水クエン酸のモル数と、クエン酸のナトリウム塩のモル数と、クエン酸のカリウム塩のモル数との混合比は、当業者が適宜設定でき、1:1.7~2.3:1.7~2.3が好ましく、1:1.9~2.1:1.9~2.1がより好ましく、1:1.95~2.05:1.95~2.05が更に好ましく、1:2:2が特に好ましい。
一つの実施態様において、前記混合物における、無水クエン酸のモル数と、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)のモル数と、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)のモル数との混合比は、当業者が適宜設定でき、1:1.7~2.3:1.7~2.3が好ましく、1:1.9~2.1:1.9~2.1がより好ましく、1:1.95~2.05:1.95~2.05が更に好ましく、1:2:2が特に好ましい。
また、好ましいクエン酸のアルカリ金属塩の他の例には、クエン酸ナトリウム又はその水和物が挙げられ、例えば、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)であってもよい。
また、好ましいクエン酸のアルカリ金属塩の他の例には、クエン酸カリウム又はその水和物が挙げられ、例えば、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)であってもよい。
【0020】
一つの実施態様において、本発明の食品組成物に含まれる有効成分としては、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物を含んでいてもよい。
別の実施態様において、本発明の食品組成物に含まれる有効成分としては、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物のみから構成されていてもよい。
本明細書において、クエン酸及びその塩(例えば、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及び、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O))並びに炭酸水素ナトリウムの重量について言及するときは、その重量は乾燥重量であり得る。
クエン酸のアルカリ金属塩又は炭酸水素ナトリウムは、アルカリ性化剤とも称され、哺乳動物(特にヒト)の体液、例えば、血液又は尿のHCO3 -濃度やpHを高める能力を有する薬剤としても知られている。
【0021】
本明細書において、「哺乳動物」には哺乳類(Mammalia)に分類される動物が含まれ、特にヒトが好ましい。
例えば、ヒトの「睡眠」は、通常、浅睡眠(ステージ1及びステージ2のノンレム睡眠)及び徐波睡眠(深睡眠ともいう、ステージ3及びステージ4のノンレム睡眠)(浅睡眠及び徐波睡眠をノンレム睡眠と称する場合がある)、並びにレム睡眠の各状態を遷移することが知られており、また、睡眠の途中で覚醒し、再び睡眠状態に移行すること(中途覚醒と称する場合がある)があり得ることも知られている。
【0022】
「睡眠の質」は、例えば、中途覚醒の回数及び時間、睡眠効率、早朝覚醒の有無、ノンレム睡眠時間延長、ノンレム睡眠及びレム睡眠に入るまでの時間、徐波睡眠に入るまでの時間、徐波睡眠の回数及び時間並びに睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合、睡眠時間、入眠潜時(寝付くまでの時間)、若しくはノンレム睡眠時のデルタパワー値(眠りの深さの指標)等の客観的な指標、又は寝つきの良さ、寝覚めのすっきり感、熟眠感、夢み(例えば、悪夢をみるか否か、夢みの回数等)、睡眠の満足度若しくは日中の眠気の程度等の、比較的、被験者の主観に基づく指標によって一般的に評価することができる。また、本明細書において、「睡眠の質」には、睡眠時間の長さの概念も含み得る。その理由は次の通りである。本発明の食品組成物の適用対象の生活習慣において、睡眠に充てられる時間帯(以下、睡眠時間帯と称する場合がある)は限られていることがある。しかしながら、必ずしも前記睡眠時間帯の間中、睡眠状態を維持できるとは限らないところ、前記睡眠時間帯における睡眠状態の長さは、「睡眠の質」に影響すると考えることができるからである。また、本発明の食品組成物の適用対象の生活習慣において、前記睡眠時間帯を伸長し得る環境においては、睡眠状態の継続時間が長いほど「睡眠の質」が高い場合があり得るからである。
本明細書において、「睡眠時間」は、入眠時刻(すなわち、覚醒状態から浅睡眠、徐波睡眠又はレム睡眠のいずれかの状態に移行した時刻)から、起床直前又は起床時に、覚醒状態(中途覚醒を除く)に移行した時刻(目覚めの時刻ともいう)までの時間であり得る。睡眠中に、浅睡眠、徐波睡眠、レム睡眠又は中途覚醒の状態が単数又は複数回出現する場合があるが、本明細書において、浅睡眠の時間、徐波睡眠の時間、レム睡眠の時間又は中途覚醒の時間とは、複数回出現する各状態の各回の時間を指す場合と、各状態の各回の時間の合計時間を指す場合があり得る。
【0023】
本発明による睡眠の質の改善は、睡眠期間の全部における睡眠の質の改善でも、睡眠期間の一部における睡眠の質の改善でもよく、例えば、第1睡眠周期における睡眠の質の改善であってもよい。睡眠中には、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に出現する。本明細書において、「睡眠周期」とは、あるレム睡眠が終了してから次のレム睡眠が終了するまでを言う。「第1睡眠周期」とは、入眠後最初の睡眠周期を言う。
【0024】
本発明が提供する「睡眠の質の改善」は、例えば、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、中途覚醒の抑制(例えば、中途覚醒の回数の減少)、徐波睡眠の促進(例えば、徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の増加、睡眠時間全体に対する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の割合の増加)、第1睡眠周期のデルタパワー値の増加)、早朝覚醒の抑制(例えば、起床前2時間の中途覚醒の回数の減少)、徐波睡眠の時間の増加、睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合の増加、若しくは深い眠りの形成促進(例えば、デルタパワー値(例えば、第1睡眠周期のデルタパワー値)の増加)、又は熟眠感の向上等として評価することができる。
中途覚醒の回数、レム睡眠、ノンレム睡眠、徐波睡眠、デルタパワー値等は、公知の方法で評価することができ、例えば、脳波計を用いて脳波を測定すること等により評価することができる。
【0025】
一つの実施態様において、「睡眠の質の改善」は、睡眠時間全体に対する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の割合の増加である。睡眠中に、徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の状態が複数回出現する場合は、前記徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間とは、複数回出現する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の状態の各回の時間の合計時間であり得る。
一つの実施態様において、睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合は、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、10%~50%増加することが好ましく、15%~35%増加することがより好ましい。
一つの実施態様において、「睡眠の質の改善」は、中途覚醒の回数の減少である。
【0026】
一つの実施態様において、中途覚醒の回数は、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、測定された脳波から覚醒と判断される回数が5~30%減少することが好ましく、10~20%減少することがより好ましい。また、一つの実施態様において、中途覚醒の回数は、睡眠期間中に実際に覚醒を認識した回数で評価してもよく、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、1回減少することが好ましく、中途覚醒が0回になることが特に好ましい。
一つの実施態様において、「睡眠の質の改善」は、熟眠感の向上であり、熟眠感の向上は、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、充実した眠りが取れていると主観的に感じることを指標に評価してもよい。
一つの実施態様において、「睡眠の質の改善」は、深い眠りの形成促進であり、深い眠りの形成促進は、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較し、深い眠りが取れていると主観的に感じることを指標に評価してもよく、デルタパワー値の増加を指標に評価してもよい。
【0027】
本明細書において、夜間多尿とは、夜間の尿量が増加している状態をいい、例えば、高齢者では、夜間就寝中の尿量が1日の総尿量の33%を超える状態、若年者では、夜間就寝中の尿量が1日の総尿量の20%を超える状態をいう。夜間頻尿とは、就寝中に排尿のために1回以上起きなければならない症状をいう。夜間頻尿は、夜間多尿による夜間頻尿であり得る。
【0028】
夜間の排尿回数が減少すれば、中途覚醒が抑えられ得る。中途覚醒は睡眠障害を惹起し、睡眠の質を悪化させ得る。また、排尿に至らなくても、夜間の尿の産生量が増加すれば、尿意により覚醒し得、睡眠障害を惹起し、睡眠の質を悪化させ得る。
よって、本発明は、一つの実施態様において、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)による睡眠障害の抑制用の食品組成物を提供し、一つの実施態様において、中途覚醒の抑制用食品組成物を提供し、一つの実施態様において、睡眠の質の改善用食品組成物(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善用食品組成物)を提供する。
一つの実施態様において、「排尿回数の減少」は、本発明の食品組成物の摂取前又はコントロール若しくはプラセボと比較することによって評価し得る。
【0029】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物の摂取により、摂取前又はコントロール若しくはプラセボに比較し、血中オルニチン濃度の増加、血中セロトニン濃度の増加、血中タウリン濃度の増加、血中シスチン濃度の増加、又は血中ニコチンアミド濃度の増加等の効果を奏するので、本発明が提供する食品組成物は、睡眠の質の改善に有用である。
【0030】
本発明が提供する食品組成物中のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの含量は、食品の種類により、適宜決定され得る。食品組成物の例には、特定保健用食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメントが挙げられる。これら、食品組成物の形態としては、前記効果を奏するための有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含み、経口的に摂取可能な形態であれば特に限定されるものではなく、通常の飲食品の形態であってもよいし、後述のように製剤化し、経口投与に適した製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、顆粒剤、ゼリー剤、ドリンク剤等の製剤として提供されてもよい。本明細書において、これらの製剤の構成及び製造方法については、医薬の製剤技術の分野(以下、製薬分野と称する場合がある)において、それ自体公知の製剤技術を、本発明が提供する食品組成物の製剤に適用することができる。
【0031】
本発明が提供する食品組成物の製剤は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含み(例えば、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を有効成分として含み)、その有効成分をそのまま、又は食品として許容され得る担体、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP))、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))、希釈剤(例えば、水、生理食塩水)、及び必要な場合はその他の添加剤(例えば、pH調整剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤)と混合して調製されていてもよい。本発明が提供する食品組成物の製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、顆粒剤、ゼリー剤、ドリンク剤等の経口的に摂取できる製剤であり得る。例えば、錠剤とするには、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP))、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)等と混合して製剤化してもよい。本明細書において、食品組成物の有効成分が、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムであるとき、これらの成分は前記担体には含まれない。
本発明に係る錠剤について、以下により詳細に説明する。
【0032】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は錠剤である。本発明が提供する錠剤は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウム、より具体的には、例えば、クエン酸カリウム又はその水和物;クエン酸ナトリウム又はその水和物;クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物;又は炭酸水素ナトリウム等の有効成分の他、製薬分野において慣用の、薬学的に許容され得る添加剤であって、食品としても許容され得る添加剤を含んでもよい。このような添加剤の例としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、滑沢剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤及び香料が挙げられる。
本発明が提供する食品組成物の錠剤におけるクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの含量は、錠剤に対し10~95重量%、好ましくは30~90重量%であってもよく、より好ましくは60~85重量%であってもよい。
【0033】
本発明が提供する錠剤に使用され得る賦形剤の例には、乳糖(例えば、乳糖水和物、無水乳糖)、グルコース、ショ糖、果糖、マルトース等の糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、D-マンニトール等の糖アルコール類、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン)、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、乳酸カルシウム及びエチルセルロースが挙げられ、特に結晶セルロースが好ましい。
本発明が提供する錠剤における賦形剤の含量は、錠剤に対し1~95重量%、好ましくは1~80重量%であってもよく、より好ましくは3~80重量%、更に好ましくは3~20重量%であってもよい。
【0034】
本発明が提供する錠剤に使用され得る結合剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストリン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール、アルファー化デンプン(例えば、部分アルファー化デンプン)、寒天及びゼラチンが挙げられ、特にヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
本発明が提供する錠剤における結合剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.1~10重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0035】
本発明が提供する錠剤に使用され得る崩壊剤の例には、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン、デンプン(例えば、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン)及びカルメロースが挙げられ、特に部分アルファー化デンプンが好ましい。
本発明が提供する錠剤における崩壊剤の含量は、錠剤に対し0.3~20重量%、好ましくは1~10重量%であってもよく、より好ましくは3~10重量%であってもよい。
【0036】
本発明が提供する錠剤に使用され得る流動化剤の例には、軽質無水ケイ酸、タルク及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明が提供する錠剤における流動化剤の含量は、錠剤に対し0.03~3重量%、好ましくは0.1~3重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0037】
本発明が提供する錠剤に使用され得る矯味剤の例には、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸等の酸味料(ただし、前記矯味剤は、本発明の有効成分である、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含まない)、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム(登録商標)、ステビア、ソーマチン及びスクラロース等の甘味料が挙げられる。
本発明が提供する錠剤における矯味剤の含量は、錠剤に対し0.03~3重量%、好ましくは0.1~3重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0038】
本発明が提供する錠剤に使用され得る滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、カルナウバロウ、マクロゴール及びフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられ、特にステアリン酸マグネシウムが好ましい。
本発明が提供する錠剤における滑沢剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.3~10重量%であってもよく、より好ましくは1~3重量%であってもよい。
【0039】
本発明が提供する錠剤に使用され得るpH調整剤の例には、リン酸塩(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム)、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム)、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩及びアミノ酸塩(ただし、前記pH調整剤は、本発明の有効成分である、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含まない)が挙げられる。
本発明が提供する錠剤におけるpH調整剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.3~10重量%であってもよく、より好ましくは1~5重量%であってもよい。
【0040】
本発明が提供する錠剤に使用され得る界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、マクロゴール及びポロクサマーが挙げられる。
本発明が提供する錠剤における界面活性剤の含量は、錠剤に対し0.01~3重量%、好ましくは0.03~1重量%であってもよく、より好ましくは0.03~0.5重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得る安定化剤の例には、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、マレイン酸、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、トコフェロール(ただし、前記安定化剤は、本発明の有効成分である、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含まない)が挙げられる。
本発明が提供する錠剤における安定化剤の含量は、錠剤に対し0.01~30重量%、好ましくは0.1~30重量%であってもよく、より好ましくは1~20重量%であってもよい。
【0041】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物(例えば、錠剤)の有効成分がクエン酸のアルカリ金属塩(例えば、クエン酸カリウム又はその水和物(例えば、クエン酸カリウムの一水和物);クエン酸ナトリウム又はその水和物(例えば、クエン酸ナトリウムの二水和物);クエン酸カリウム又はその水和物、及びクエン酸ナトリウム又はその水和物の混合物;又はクエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物)である場合、本発明が提供する食品組成物(例えば、錠剤)は無水クエン酸を安定化剤として含んでもよい。
【0042】
本発明が提供する錠剤に使用され得る香料の例には、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘系香料、ペパーミント、スペアミント及びメントールが挙げられ、錠剤中に適量(例えば、錠剤に対し、0.01~1重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%)含有することができる。
本発明が提供する錠剤における、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムである有効成分及び食品として許容され得る添加剤の合計含量は、錠剤に対し100重量%を超えない。
【0043】
本発明が提供する錠剤は、上記の成分を含有し、コーティング層を施さない素錠とすることもできるし、コーティング層を施したフィルムコーティング錠とすることもできる。
コーティング層の含量は、当業者が適宜設定できるが、例えば、素錠に対して、0.1~10重量%であってもよい。コーティング層には、コーティング基剤の他、可塑剤、着色剤や光沢化剤等を適宜含めることができる。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング基剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマー及びポリビニルピロリドンが挙げられ、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。本発明が提供する錠剤におけるコーティング基剤の含量は、錠剤に対し0.01~10重量%、好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0044】
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング可塑剤の例には、クエン酸トリエチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール6000)が挙げられ、特にマクロゴール6000が好ましい。本発明が提供する錠剤におけるコーティング可塑剤の含量は、錠剤に対し0.01~1重量%、好ましくは0.03~3重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング着色剤の例には、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用青色2号及び食用青色2号アルミニウムレーキが挙げられる。本発明が提供する錠剤におけるコーティング着色剤の含量は、錠剤に対し0.01~1重量%、好ましくは0.03~3重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング光沢化剤の例には、カルナウバロウが挙げられる。本発明が提供する錠剤におけるコーティング光沢化剤の含量は、錠剤に対し0.0001~0.1重量%、好ましくは0.001~0.01重量%であってもよい。
【0045】
本発明が提供する食品組成物の製剤は、製薬分野において公知の方法を適用して製造することができる。例えば、錠剤とする場合、製造方法には、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムである有効成分(より具体的には、例えば、クエン酸カリウム又はその水和物;クエン酸ナトリウム又はその水和物;クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物;又は炭酸水素ナトリウム)と添加物を混合する混合工程、造粒工程、打錠工程及び/又はコーティング工程を含み得る。
混合工程は、前記有効成分と、賦形剤、安定化剤、崩壊剤及び/又は結合剤等の添加物とを混合する工程を含み得る。また、打錠工程の前に、前記有効成分と添加剤とを含む混合物を、滑沢剤、矯味剤及び/又は香料と混合する工程を更に含み得る。混合は、V型混合機、W型混合機、コンテナミキサー、タンブラー混合機、撹拌混合機等を用いて行うことができる。
造粒工程は、製薬分野において、それ自体公知の造粒方法により行うことができる。造粒方法の例には、乾式造粒法、湿式造粒法、流動層造粒法が挙げられる。
【0046】
一つの実施態様として、混合工程で得られた混合物や造粒工程で得られた造粒物は、適宜粉砕及び/又は篩分けすることにより、所望の粒子径を有する混合物や造粒物とされ得る。粉砕は、例えば、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミル等の製薬分野において公知の粉砕機で行うことができる。篩分けは、16mesh篩(目開き1000μm)~32mesh篩(目開き500μm)等を用いて行うことができる。
打錠工程は、製薬分野において、それ自体公知の打錠方法により行うことができる。打錠方法の例には、直接打錠法、乾式打錠法、湿式打錠法、外部滑沢打錠法が挙げられる。
例えば、単発式打錠機やロータリー式打錠機等の製薬分野において、それ自体公知の打錠機を用いて、上記の工程で得られた混合物や造粒物を打錠することができる。単発式打錠機、ロータリー式打錠機等を用いる場合は、1kN~30kNの打錠圧を採用することができる。
コーティング工程は、製薬分野において、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、コーティング基剤と、可塑剤、着色剤や光沢化剤等を適宜含めたコーティング液を素錠の外側にスプレーコーティングすることにより行うことができる。
【0047】
一つの実施態様において、本発明が提供する錠剤は、前記有効成分、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース及び/又はブドウ糖)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン及び/又はポリビニルピロリドン(PVP))、安定化剤、崩壊剤(例えば、デンプン(例えば、部分アルファー化デンプン)及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を混合し、打錠することにより素錠を得て;その素錠の外側に、コーティング基剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はPVP)と、可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル及び/又はマクロゴール6000)、着色剤(例えば、三二酸化鉄及び/又は酸化チタン)や光沢化剤(例えば、カルナウバロウ)を含むコーティング層を形成することにより製造することができる。
一つの実施態様において、得られる錠剤の硬度は、10~200N、好ましくは30~150Nであり得る。
【0048】
本発明が提供する食品組成物中の前記有効成分の量は適宜設定され得る。一つの実施態様において、前記食品組成物の製剤は、痛風又は高尿酸血症における酸性尿の改善用の医薬として承認されている医薬製剤と区別できるような、有効成分、その含有量、又は剤形である。
【0049】
本発明が提供する食品組成物が製剤化されず、通常の飲食品の形態として提供される場合、当該食品の種類により、当業者が適宜製造でき、例えば、食品素材にクエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質(例えば、クエン酸、クエン酸カリウム又はその水和物及び/又はクエン酸ナトリウム又はその水和物)、又は炭酸水素ナトリウムを配合することにより製造され得る。
前記飲食品の形態としては、飲料、醤油、牛乳、ヨーグルト、味噌等の液状又は乳状又はペースト状食品;ゼリー、グミ等の半固形状食品;飴、ガム、豆腐、サプリメント等の固形状食品;又は粉末状食品等が挙げられる。
飲料としては、果汁・果実飲料、コーヒー飲料、烏龍茶飲料、緑茶飲料、紅茶飲料、麦茶飲料、野菜飲料、ソフトドリンクである炭酸飲料、果実エキス入り飲料、野菜エキス入りジュース、ニアウオーター、スポーツ飲料、ダイエット飲料等が挙げられる。
飲料には、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を、単独又は組み合わせて配合することができる。
【0050】
クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムである有効成分の摂取量は、前記有効成分の種類、摂取方法、摂取する対象の年齢、体重、性別、症状、前記有効成分への感受性等に応じて適宜決定されるが、症状の種類、及びその改善若しくは抑制の状況に応じて摂取の時期及び摂取量を調節してよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、1食当たりの単位包装形態からなり、クエン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を200mg以上、300mg以上、400mg以上又は500mg以上含んでもよく、例えば、200mg以上5g以下、300mg以上5g以下、400mg以上5g以下、500mg以上5g以下、200mg以上3g以下、300mg以上3g以下、400mg以上3g以下、500mg以上3g以下、200mg以上2g以下、300mg以上2g以下、400mg以上2g以下、500mg以上2g以下、200mg以上1g以下、300mg以上1g以下、400mg以上1g以下又は500mg以上1g以下含んでもよい。このような単位包装形態を、1回/日、2回/日又は3回/日で摂食してもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物の単位包装形態は、1000~1600mgのクエン酸カリウム又はその水和物、1000~1600mgのクエン酸ナトリウム又はその水和物、300~600mgのクエン酸(例えば、無水クエン酸)を含む。例えば、このような単位包装形態を2回/日(例えば、朝食後及び睡眠前)で摂食してもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物の単位包装形態は、200~300mgのクエン酸カリウム又はその水和物、200~300mgのクエン酸ナトリウム又はその水和物、50~100mgのクエン酸(例えば、無水クエン酸)を含む。例えば、このような単位包装形態を2単位/回、3回/日(例えば、朝食後及び睡眠前)で摂食してもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物を摂取することにより、クエン酸又はその塩(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムの混合物)を1日当たり1~10g、2~7g、又は3~6g摂取してもよい。
一つの実施態様において、例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品又は病院患者用食品の場合、1食分の食品あたり、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を合計で1~3gの1/3量含むか、又は炭酸水素ナトリウムを1~6gの1/3量含んでいてもよい。特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病院患者用食品又はサプリメントが錠剤として提供される場合、例えば、1錠あたり、300mg~600mg の錠剤に、70~80重量%のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含んでいてもよい。
本発明が提供する食品組成物の摂取期間は特に限定されず、例えば、1日以上、2日以上、3日以上、1週間以上、2週間以上又は4週間以上であり得る。
【0051】
本発明が提供する食品組成物は、一つの実施態様において、睡眠の質の改善が必要な対象に適用することができる。
一つの実施態様において、睡眠の質の改善が必要な対象とは、哺乳動物(特にヒト)であって、その睡眠の質において、「病的な」、「異常な」若しくは「不快な」症状、状態若しくは疾患を有しない対象か、又は「病的な」、「異常な」若しくは「不快な」症状はあっても疾患若しくは障害を有するとまではいえない対象、すなわち、「健常な」状態にある対象を意味し、本発明が提供する食品組成物は、「健常な」、「正常な」若しくは「快適な」状態を維持するため、若しくは増進するため、「快適な」状態をより快適な状態にするため、又は「病的な」、「異常な」若しくは「不快な」症状若しくは状態を改善するために適用することができる。すなわち、一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物による「睡眠の質の改善」は、「睡眠の質の向上」を含む概念である。
【0052】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、「睡眠の質が気になる人(健常人)」、「寝つきが悪い人(健常人)」、「夜中に目が覚めてしまう人(健常人)」、「朝までぐっすり眠りたい人(健常人)」、「朝からボーとする人(健常人)」、「夜間の尿意若しくは夜間の排尿(例えば、夜間の排尿回数が多いこと)が気になる人(健常人)」、「日中の眠気が気になる人(健常人)」又は「目覚めが悪い人(健常人)」に対して、睡眠の質を改善するために適用することができる。この場合、本発明が提供する食品組成物の上記摂取量を、通常の食事と一緒に摂取してもよく、通常の食事の前又は後に摂取してもよく、就寝前、例えば、就寝予定時刻の3時間前まで、より好ましくは0.5時間前~2時間前に摂取することができる。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、通常の食事の前又は後に摂取してもよく、朝食後と就寝前(例えば、就寝30分前)に摂取してもよい。
【0053】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、健常人に摂取されることにより、有益な効果(例えば、夜間の尿産生量の低減効果、夜間の排尿回数の低減効果、中途覚醒の抑制効果、睡眠の質の改善効果(例えば、夜間尿意又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善効果)等)を発揮し得る。
【0054】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、一日の尿量に影響を及ぼさない。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、一日の排尿回数に影響を及ぼさない。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、高齢者(例えば、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、65歳以上75歳未満)に摂取される。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、40歳以上、50歳以上、40歳以上60歳未満に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、若年者(例えば、幼児(例えば、3歳以上6歳未満の子供)、小児(例えば、6歳以上の小児)、6歳以上12歳以下の子供、6歳以上15歳以下の子供)に摂取される。
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、「加齢が気になる人」に摂取される。
【0055】
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物の有効量が、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加が必要な対象に投与される。
【0056】
一つの実施態様において、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、又は血中タウリン濃度増加が必要な対象とは、前記睡眠の質の改善を必要とする対象と同じであり得る。
【0057】
したがって、本発明に係る食品組成物の実施の形態としては以下が挙げられる。
<1-1>クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善用食品組成物;
<1-2>睡眠の質の改善が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む食品組成物を摂取させることを含む、睡眠の質を改善させる方法;及び
<1-3>睡眠の質を改善するための食品組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用。
【0058】
本発明に係る食品組成物は、その包装、容器、又は説明書に、睡眠の質の改善の効果が表示されていることが好ましい。
【0059】
本発明に係る食品組成物の実施の形態の別の側面としては以下が挙げられる。
<2-1>クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、哺乳動物(特にヒト)の、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用食品組成物;
<2-2>血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む食品組成物を摂取させることを含む、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせる方法;及び
<2-3>血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるための食品組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用。
【0060】
本発明に係る食品組成物の実施の形態のまた別の側面としては以下が挙げられる。
<3-1>クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、中途覚醒の抑制用食品組成物;
<3-2>中途覚醒の抑制が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む食品組成物を摂取させることを含む、中途覚醒の抑制方法;及び
<3-3>中途覚醒の抑制用食品組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用。
【0061】
本発明に係る食品組成物の実施の形態のまた別の側面としては以下が挙げられる。
<4-1>クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを有効成分として含む、睡眠の質の改善用(例えば、夜間尿意の抑制用又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善用)の食品組成物;
<4-2>睡眠の質の改善(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善)が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む食品組成物を摂取させることを含む、睡眠の質の改善方法(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善方法);及び
<4-3>睡眠の質の改善用食品組成物(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善用食品組成物)を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用。
【0062】
本発明に係る食品組成物の実施の形態のまた別の側面としては以下が挙げられる。
<5-1>食品組成物が、高齢者又は若年者に摂取される、<1-1>~<1-3>、<2-1>~<2-3>、<3-1>~<3-3>及び<4-1>~<4-3>のいずれか1つに記載の食品組成物、方法又は使用;及び
<5-2>食品組成物が、加齢が気になる人に摂取される、<1-1>~<1-3>、<2-1>~<2-3>、<3-1>~<3-3>、<4-1>~<4-3>及び<5-1>のいずれか1つに記載の食品組成物、方法又は使用。
【0063】
血中オルニチン濃度、血中セロトニン濃度、血中タウリン濃度、血中シスチン濃度、及び血中ニコチンアミド濃度の測定は、公知のHPLC法、酵素法、酵素免疫測定法等により測定することができる。
【0064】
本発明に係る食品組成物の実施の形態のまた別の側面は、腎臓病に罹患している患者(本明細書において、腎臓病患者と称する場合がある)の、睡眠の質の改善用食品組成物である。
本発明に係る食品組成物の実施の形態のまた別の側面は、腎臓病患者の、血中オルニチン濃度増加用、血中セロトニン濃度増加用、血中タウリン濃度増加用、血中シスチン濃度増加用、又は血中ニコチンアミド濃度増加用食品組成物である。
【0065】
本明細書において、「腎臓病」は、特に言及のない限り、急性腎臓病及び慢性腎臓病を含む。
急性腎臓病の例には、薬剤(例えば、非ステロイド性抗炎症薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アミノグリコシド系抗生物質、ニューキノロン系抗菌薬、ヨード造影剤、シスプラチン等の白金製剤)に起因する急性腎臓病、及び腎虚血に起因する急性腎臓病が挙げられる。
慢性腎臓病(CKD)は、原疾患を問わず、慢性に経過する腎臓病を包括する概念であり、糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下があるか、又は腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3ヶ月以上)に持続する病態全てを包含する概念である。
【0066】
2.医薬組成物
本発明が提供する医薬組成物は、有効成分として、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含むことができる。前記医薬組成物に含まれる、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムは、前記食品組成物の有効成分として記載されている、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムと同義であり、その具体例も同様であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、クエン酸及びクエン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質を有効成分として含むことができる。
【0067】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物(例えば、錠剤)の有効成分がクエン酸のアルカリ金属塩(例えば、クエン酸カリウム又はその水和物(例えば、クエン酸カリウムの一水和物);クエン酸ナトリウム又はその水和物(例えば、クエン酸ナトリウムの二水和物);クエン酸カリウム又はその水和物、及びクエン酸ナトリウム又はその水和物の混合物;又はクエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物)である場合、本発明が提供する医薬組成物(例えば、錠剤)は無水クエン酸を安定化剤として含んでもよい。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物の投与により、哺乳動物(特にヒト)の、睡眠の質の改善が認められる。例えば、睡眠の質の改善は、本発明が提供する医薬組成物の投与前又はプラセボと比較し、中途覚醒の抑制(例えば、中途覚醒の回数の減少)、徐波睡眠の促進(例えば、徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の増加、睡眠時間全体に対する徐波睡眠(例えば、ノンレム睡眠ステージ3)の時間の割合の増加)、第1睡眠周期のデルタパワー値の増加)、早朝覚醒の抑制(例えば、起床前2時間の中途覚醒の回数の減少)、徐波睡眠の時間の増加、睡眠時間全体に対する徐波睡眠の時間の割合の増加、若しくは深い眠りの形成促進(例えば、デルタパワー値(例えば、第1睡眠周期のデルタパワー値)の増加)、又は熟眠感の向上等として評価することができる。
【0068】
本発明が提供する医薬組成物は、ヒト又はその他の哺乳動物に経口又は非経口で投与され、非経口投与の例には、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、関節内投与、経粘膜投与、経皮投与、経鼻投与、直腸投与、髄腔内投与、腹腔内投与、局所投与が挙げられる。
本発明が提供する医薬組成物は、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを、そのまま、又は薬学的に許容され得る担体、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、及び必要な場合はその他の添加剤と混合して調製されてもよく、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の製剤であり得る。
前記賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、及びその他の添加剤は、食品組成物において記載されている、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、及びその他の添加剤と同じものを使用することができる。また、本発明が提供する食品組成物が経口的な摂取に適した錠剤、カプセル剤及び懸濁剤等に製剤化され得るのに対し、本発明が提供する医薬組成物は、食品組成物の経口的な摂取に適した剤形に加えて、注射剤又は坐薬等の非経口的な投与に適した剤形に製剤化され得る。
【0069】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤である。本発明が提供する医薬組成物の錠剤におけるクエン酸及びクエン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質、又は炭酸水素ナトリウムの含量は、錠剤に対し10~95重量%、好ましくは30~90重量%であってもよく、より好ましくは60~85重量%であってもよい。
【0070】
上記「1.食品組成物」において記載されている、「摂取」という用語は、本発明に係る「医薬組成物」にも適用することができ、さらに、本発明に係る「医薬組成物」については、用語「摂取」を、「投与」と読み替えることができる。したがって、例えば、用語「摂取する」、「摂取させる」、「摂取される」等は、「投与する」、「投与させる」等と文脈に応じて語形変化させて読み替えることができ、製剤化された食品組成物に適用される技術が、医薬組成物にも適用できる。
【0071】
本発明が提供する医薬組成物において、有効成分である、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの量は適宜設定され得る。例えば、医薬組成物の製剤には、1製剤に対して、70~80重量%のクエン酸及びクエン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質、又は炭酸水素ナトリウムを含んでいてもよく、医薬組成物が錠剤として提供される場合、1錠あたり、300mg~600mg の錠剤に、70~80重量%のクエン酸及びクエン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの物質、又は炭酸水素ナトリウムを含んでいてもよい。
一つの実施態様において、クエン酸の塩は、クエン酸第一鉄及びクエン酸第二鉄以外の医薬として許容され得る塩である。
【0072】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物中の前記有効成分のうち、クエン酸のアルカリ金属塩又は炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性化剤の量は、アルカリ性化剤の投与量がヒトに投与することにより痛風又は高尿酸血症における酸性尿が改善される量、又は、それより少ない量となるように設定されてもよく、例えば、痛風又は高尿酸血症における酸性尿の改善について日本で認可されている1日用量(例えば、アルカリ性化剤がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、アルカリ性化剤が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の1~50%、又は10~20%となるように設定されてもよい。
【0073】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、アルカリ性化剤としてのクエン酸カリウム一水和物又はクエン酸ナトリウム二水和物を10mg~1g、好ましくは、100mg~500mg、より好ましくは、400mg~500mgを含んでもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ10mg~300mgで、合計20mg~600mg含んでもよく、好ましくは、それぞれ150~250mgで、合計400~500mg、より好ましくは、それぞれ190~240mgで、合計400~450mgを含んでもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、アルカリ性化剤としての炭酸水素ナトリウムを10mg~1g、好ましくは、100mg~500mg含んでもよい。
【0074】
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、有効成分として、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物 195.0mgを含み、添加剤として、無水クエン酸、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン及びカルナウバロウを含んでもよい。
一つの実施態様として、クエン酸カリウム一水和物 231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物 195.0mgを含む錠剤を1投与単位としてもよい。
一つの実施態様として、クエン酸カリウム一水和物 231.5mg、クエン酸ナトリウム二水和物 195.0mg及び無水クエン酸 72.5mgを含む錠剤を1投与単位としてもよい。
本明細書において、「投与単位」とは、製剤の単位を表し、「1投与単位」とは、製剤の最小単位を表す。したがって、例えば、錠剤であれば、投与単位は各錠剤であり、1投与単位は、一つの錠剤を表す。注射剤であれば、投与単位は、アンプル又はバイアル等の密封容器に入れられた注射剤であり、1投与単位は、一つのアンプル又はバイアル等の密封容器に入れられた注射剤を表す。
本発明が提供する医薬組成物が、ヒト又はその他の哺乳動物に投与される場合、1回あたり、1又は2以上の前記投与単位が投与されてもよく、前記1投与単位が分割されて投与されてもよい。
【0075】
クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムである有効成分の投与量は、前記有効成分の種類、投与方法、投与対象の年齢、体重、性別、症状、薬剤への感受性等に応じて適宜決定されるが、症状の改善の状況に応じて投与量を調節してよい。
一つの実施態様において、有効成分としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、有効成分がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、有効成分が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の半分量を1日の投与量としてもよい。
【0076】
一つの実施態様において、有効成分としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、有効成分がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、有効成分が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)を1日の投与量としてもよい。
一つの実施態様において、有効成分としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、有効成分がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、有効成分が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の半分量を1日の投与量として投与を開始し、その後投与量を痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量まで増量してもよい。
【0077】
一つの実施態様において、有効成分としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物をヒトに経口投与する場合は、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.1~5g/日で合計0.2~10g/日、それぞれ0.1~3g/日で合計0.2~6g/日、それぞれ0.5~3g/日で合計1~6g/日、好ましくは、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、それぞれ1~1.5g/日で合計2~3g/日、又はそれぞれ0.5~1g/日で合計1~2g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
一つの実施態様において、有効成分としてクエン酸カリウム一水和物又はクエン酸ナトリウム二水和物をヒトに経口投与する場合は、1~10g/日、1~6g/日、2~5.5g/日、1~3g/日、2~3g/日又は1~1.5g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
一つの実施態様において、有効成分として炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、1~6g/日、好ましくは、1~3g/日、又は3~5g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
【0078】
一つの実施態様において、前記有効成分は、連続して投与されてもよい。特に睡眠の質の改善用に用いられる場合、前記有効成分は、例えば、2日間、3日間、5日間、1週間、2週間、3週間、6週間、8週間、10週間、12週間、24週間、40週間、60週間、80週間、100週間、120週間、1週間以上、2週間以上、3週間以上、6週間以上、8週間以上、10週間以上、12週間以上、24週間以上、40週間以上、60週間以上、80週間以上、100週間以上、120週間以上、6週間以上24週間以下、12週間以上24週間以下、6週間以上30週間以下、12週間以上30週間以下、6週間以上40週間以下、12週間以上40週間以下、6週間以上60週間以下、12週間以上60週間以下、6週間以上80週間以下、12週間以上80週間以下、6週間以上100週間以下、12週間以上100週間以下、6週間以上120週間以下又は12週間以上120週間以下で投与される。
一つの実施態様において、前記有効成分は、連続して投与されてもよい。特に睡眠の質の改善用に用いられる場合、前記有効成分は、例えば、2日間、3日間、5日間、1週間、2週間で投与される。
【0079】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の有効量が、睡眠の質の改善を必要とする対象(例えば、ヒト又はその他の哺乳動物)に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の有効量が、不眠症(例えば、中途覚醒、早朝覚醒又は熟眠障害)の治療のために、それが必要な患者に投与される。
【0080】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の有効量が、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加が必要な対象に投与される。
【0081】
一つの実施態様において、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、又は血中タウリン濃度増加が必要な対象とは、前記睡眠の質の改善を必要とする対象と同じであり得る。
【0082】
夜間多尿や夜間の排尿回数の増加は、高齢者に一般的に見られることから、一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、高齢者(例えば、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、65歳以上75歳未満)に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、40歳以上、50歳以上、40歳以上60歳未満のヒトに投与される。
また、慢性腎臓病では、比較的早期(例えば、CKDのステージがG3a又はG3bであるヒト)より、多尿や夜間多尿等の排尿障害が認められる。よって、一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者(例えば、CKDのステージがG3a又はG3bであるヒト)に投与される。
さらに、夜尿症は、若年者で問題となることから、一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、若年者(例えば、幼児(例えば、3歳以上6歳未満の子供)、小児(例えば、6歳以上の小児)、6歳以上12歳以下の子供、6歳以上15歳以下の子供)に投与される。
【0083】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与対象は、痛風に罹患していない。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与対象は、高尿酸血症に罹患していない。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与対象は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善が必要な対象(例えば、ヒト)ではない。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与対象は、アシドーシスの改善が必要な対象(例えば、ヒト)ではない。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿酸降下剤(例えば、尿酸排泄促進剤、尿酸生成阻害剤)と併用されない。
【0084】
本発明の実施の他の形態の例としては以下が挙げられる。
(1-1)睡眠の質の改善が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物を投与することを含む、睡眠の質を改善させる方法;
(1-2)血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物を投与することを含む、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせる方法;
(1-3)頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物を投与することを含む、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防方法;
(1-4)中途覚醒の抑制が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物を投与することを含む、中途覚醒の抑制方法;
(1-5)睡眠の質の改善(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善)が必要な対象に、有効量のクエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物を投与することを含む、睡眠の質の改善方法(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善方法);
(1-6)前記対象が、腎臓病に罹患している患者である、前記(1-1)~(1-5)のいずれか1つに記載の方法;
【0085】
(2-1)睡眠の質の改善に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-2)腎臓病患者における、睡眠の質の改善に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-3)血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせることに使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-4)腎臓病患者における、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせることに使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-5)頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-6)腎臓病患者における、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-7)中途覚醒の抑制に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-8)腎臓病患者における、中途覚醒の抑制に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-9)睡眠の質の改善(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善)に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
(2-10)腎臓病患者における、睡眠の質の改善(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善)に使用するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムを含む医薬組成物;
【0086】
(3-1)睡眠の質の改善のための医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-2)腎臓病患者における、睡眠の質の改善のための医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-3)血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるための医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-4)腎臓病患者における、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるための医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-5)頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-6)腎臓病患者における、頻尿(例えば、夜間頻尿、又は夜間多尿による夜間頻尿)に伴う睡眠障害の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-7)中途覚醒の抑制用医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-8)腎臓病患者における、中途覚醒の抑制用医薬組成物を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-9)睡眠の質の改善用医薬組成物(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善用医薬組成物)を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
(3-10)腎臓病患者における、睡眠の質の改善用医薬組成物(例えば、夜間尿意の抑制又は夜間排尿回数の低減による睡眠の質の改善用医薬組成物)を製造するための、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの使用;
【0087】
(4-1)医薬組成物が慢性腎臓病の患者に投与される、(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-10)、及び(3-1)~(3-10)のいずれか1つに記載の方法、医薬組成物又は使用;
(4-2)医薬組成物における、クエン酸若しくはその塩、又は炭酸水素ナトリウムの含量が、痛風又は高尿酸血症における酸性尿が改善される量である、(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-10)、(3-1)~(3-10)及び(4-1)のいずれか1つに記載の方法、医薬組成物又は使用;
(4-3)医薬組成物が痛風及び高尿酸血症の患者に投与されない、(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-10)、(3-1)~(3-10)、(4-1)及び(4-2)のいずれか1つに記載の方法、医薬組成物又は使用;及び
(4-4)医薬組成物が1週間投与される、(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-10)、(3-1)~(3-10)、及び(4-1)~(4-
【0088】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、睡眠の質の改善のためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、睡眠の質の改善のためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0089】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における、睡眠の質の改善のためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における、睡眠の質の改善のためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0090】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0091】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における、血中オルニチン濃度増加、血中セロトニン濃度増加、血中タウリン濃度増加、血中シスチン濃度増加、又は血中ニコチンアミド濃度増加をさせるためのクエン酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸のアルカリ金属塩として、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0092】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0093】
実施例1
腎血管結紮による腎障害ミニブタモデル(Gottingen Minipigs、雄性、n=3、20ヵ月齢、オリエンタル酵母工業株式会社伊那MP生産センター)に、クエン酸製剤(1錠中に231.5mgのクエン酸カリウム一水和物と195.0mgのクエン酸ナトリウム二水和物及び72.5mgのクエン酸を含む)4錠を飼料200gと混ぜ合わせ、1日3回7日間給餌した(I期)。その後7日間の休薬期間を設け、再びクエン酸製剤4錠を含む飼料を1日3回7日間給餌した(II期)。I期のクエン酸製剤投与前(1)、投与最終日(2)、休薬最終日(3)、II期の投与最終日(4)の4ポイントで採血し、血漿サンプルを得た。サンプルは適切な前処理を施したのち、CE-TOFMS装置(Agilent Technologies社)を用いて、キャピラリー電気泳動-質量分析法により代謝物質の測定を行った。得られた代謝物の量は相対面積値として算出し、ウェルチのt検定による群間比較を行った。
【0094】
その結果、以下が確認された。
クエン酸製剤投与前(1)に比べ、II期(4)のオルニチンレベルが増加することが確認された(p=0.0711)(図1)。
休薬期間中(3)に比べ、II期(4)のセロトニンレベルが増加することが確認された(p=0.0511)(図2)。
試験開始前(1)に比べI期(2)、休薬期間(3)に比べII期(4)のタウリンレベルが増加する傾向が確認された(図3)。
休薬期間(3)に比べ、II期(4)のシスチンレベルが有意に増加することが確認された(図4)。
試験開始前(1)及び休薬期間(2)に比べ、II期(4)のニコチンアミドレベルが増加することが確認された(図5)。
【0095】
実施例2
アテネ式不眠尺度によるスコアが6以上9以下で「不眠症の疑いがある」と判定された男女25名を対象とした。被験者はプラセボ(placebo)あるいはクエン酸塩(citrate)3gが入ったカプセル(1392mgのクエン酸カリウム一水和物、1170mgのクエン酸ナトリウム二水和物及び438mgのクエン酸を含む)を朝食後と就寝30分前に2週間ずつ毎日服用した。休薬期間は1週間とした。服用最終日翌朝に被験者全員にセントマリー病院睡眠質問票(SMH)による調査を実施した。このうち9名については就床時に脳波計を装着し、起床時までの脳波を測定した。解析対象者はSMH23名(平均年齢38.4歳)、脳波測定8名(平均年齢43.5歳)とし、Wilcoxon符号付順位和検定によるプララセボとの比較を行った。その結果、以下が確認された。
【0096】
セントマリー病院睡眠質問票による調査の結果より、citrate群はplacebo群に比べ、有意に中途覚醒回数を減らすことが確認された(図6)。
citrate群はplacebo群に比べ、深く眠れ(図7)、良好な眠りを得られる(図8)ことが確認された。
脳波測定結果より、citrate群はplacebo群に比べ、中途覚醒回数(図9)及び早朝覚醒回数(図10)を減らすことが確認された。
citrate群はplacebo群に比べノンレム睡眠ステージ1(浅睡眠)割合(図11)及び時間(図12)を減らし、ノンレム睡眠ステージ3(徐波睡眠)割合(図13)及び時間(図14)を増加させることが確認された、また、citrate群の第1睡眠周期におけるデルタパワー値は、placebo群の第1睡眠周期におけるデルタパワー値の約1.2倍に増加した。クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムの水和物の配合剤は、睡眠全体に対する徐波睡眠の割合及び時間を増加させ、中途覚醒(例えば、早朝覚醒)を減少させること、睡眠の質を高めることが示された。
【0097】
実施例3
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物・クエン酸配合製剤及び炭酸水素ナトリウム(重曹)製剤の、夜間尿量、夜間排尿回数及び尿pHへの効果の確認を目的とした非盲検クロスオーバーテストを、健常男子(29歳~63歳)を対象として実施した(エントリー人数:30名)。被験者に以下の1)~3)の処置を間に1週間以上の間隔を置き行った:
1)クエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5 mg、クエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0 mg及び無水クエン酸 72.5 mgを含有する錠剤を1回2錠、1日3回(朝、昼、夕)、7日間経口投与(A群:クエン酸製剤投与群);
2)炭酸水素ナトリウム500 mgを含む錠剤を1回4錠、1日3回(朝、昼、夕)、7日間経口投与(B群:重曹投与群);
3)薬剤投与無し7日間(C群:コントロール)。
各群の薬剤投与最終日に、ユリンメート(登録商標)P(住友ベークライト株式会社より入手)を用いて、24 時間尿を採取し、排尿ごとに、時刻、尿量、及び、尿pHを記録した。 「22:00(以降)~早朝第一尿」を「夜間尿」、「第二尿~22:00」を「昼間尿」とした。
「夜間尿」「昼間尿」について、「尿量」「排尿回数」を3群の間で比較した。加えて、「第一尿」「第二尿」のpHに及ぼす効果と尿量との関連を調べた。
なお、畜尿日において、被験者の食事を管理し、被験者間における食事(塩分、糖類、タンパク質摂取量等)の影響をできるだけ排除した。
統計解析は、Wilcoxon符号付順位検定を用いた。
その結果を表1~3に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
クエン酸製剤の投与(A群)により、コントロール群(C群)に比較し夜間の尿量が減少した(表1)。また、クエン酸製剤の投与(A群)により、コントロール群(C群)に比較し1日尿量における夜間尿の割合が低下した(表1)。重曹製剤の投与(B群)によっても、コントロール群(C群)に比較し夜間の尿量が減少した(表1)。また、重曹製剤の投与(B群)により、コントロール群(C群)に比較し1日尿量における夜間尿の割合が低下した(表1)。
【0102】
排尿回数については、クエン酸製剤の投与(A群)により、コントロール群(C群)に比較し昼間の排尿回数は変わらなかったが、夜間の排尿回数が減少した(表2)。重曹製剤の投与(B群)によっても、コントロール群(C群)に比較し昼間の排尿回数は変わらなかったが、夜間の排尿回数が減少した(表2)。
【0103】
尿pHについては、クエン酸製剤の投与(A群)及び重曹製剤の投与(B群)により、コントロール群(C群)に比較して、顕著に高値となり(アルカリ化され)、試験した投与量では、クエン酸製剤の投与(A群)に比較し、重曹製剤の投与(B群)により、尿のpHはより高くなった(アルカリ化された)(表3)。しかしながら、クエン酸製剤と重曹製剤の尿のアルカリ化の効果の程度は、両製剤の夜間尿量の低下効果の程度に反映されなかった。よって、クエン酸製剤による夜間尿量の低下効果は、尿のアルカリ化だけでなく、クエン酸製剤が有する尿のアルカリ化以外のクエン酸の作用にも起因していることが示唆された(表1及び表3)。同様に、クエン酸製剤と重曹製剤の尿のアルカリ化の効果の程度は、両製剤の夜間排尿回数の低下効果の程度に反映されなかった。よって、クエン酸製剤による夜間排尿回数の低下効果は、尿のアルカリ化だけでなく、クエン酸製剤が有する尿のアルカリ化以外のクエン酸の作用にも起因していることが示唆された(表2及び表3)。
【産業上の利用可能性】
【0104】
哺乳動物、特にヒトにおいて睡眠の質の改善に有用な食品組成物又は医薬組成物を提供することができる。
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