(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】滞在判定装置、情報提供システム、滞在判定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2021042348
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】恋塚 葵
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
(72)【発明者】
【氏名】井戸上 彰
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037574(JP,A)
【文献】特開2014-170281(JP,A)
【文献】特開2002-123731(JP,A)
【文献】米国特許第10932089(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集部と、
滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶部と、
前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定部と、を備え、
前記滞在判定部は、
前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログ
に基づいてビーコン信号の検知の終了を
判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、
前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリア
から離脱したと判定する、
滞在判定装置。
【請求項2】
前記記憶部は、ビーコン発信装置が前記滞在判定エリアの出入口において前記滞在判定エリアの内側又は外側に設けられていることを示す情報をさらに記憶し、
前記ビーコン信号の検知の終了の判断において、前記滞在判定エリアに対応付けられた各ビーコン発信装置に関する最新の前記ビーコンログが全てビーコン信号の検知の終了を示し、且つ当該各ビーコン発信装置に関する最新の前記ビーコンログの中の最新の前記ビーコンログが前記滞在判定エリアの外側に設けられたビーコン発信装置に関するものであることが成立する
ことを判断する、
請求項1に記載の滞在判定装置。
【請求項3】
前記滞在判定部は、
前記経過時間が前記離脱判定時間を超過していない場合において、
前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログに基づいてビーコン信号が前記ユーザ端末装置で継続して前記滞在判定時間以上検知されていると判断したときは、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに前記滞在判定時間以上は滞在したと判定する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の滞在判定装置。
【請求項4】
請求項1
から3のいずれか1項に記載の滞在判定装置と、
前記滞在判定装置によって滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したと判定されたユーザ端末装置へ当該滞在判定エリアに対応付けられた情報を提供し、
前記滞在判定装置によって滞在判定エリアに前記滞在判定時間以上は滞在していないと判定されたユーザ端末装置へ当該滞在判定エリアに対応付けられた情報を提供しない、情報提供部と、
を備える情報提供システム。
【請求項5】
前記滞在判定装置による滞在判定回数に応じて、前記情報提供部による情報の提供を制御する情報提供制御部をさらに備える、
請求項
4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記情報提供制御部は、
一定の期間における前記滞在判定回数に基づいて前記滞在判定エリアがユーザ端末装置で混雑しているか否かを判定し、
当該判定の結果が混雑しているである場合に、前記情報提供部による情報の提供を抑制する、
請求項
5に記載の情報提供システム。
【請求項7】
滞在判定装置が、滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶ステップと、
前記滞在判定装置が、ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集ステップと、
前記滞在判定装置が、前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定ステップと、を含み、
前記滞在判定装置は、
前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログ
に基づいてビーコン信号の検知の終了を
判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、
前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリア
から離脱したと判定する、
滞在判定方法。
【請求項8】
コンピュータに、
滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶ステップと、
ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集ステップと、
前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログ
に基づいてビーコン信号の検知の終了を
判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、
前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリア
から離脱したと判定する、ステップ、
をさらに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞在判定装置、情報提供システム、滞在判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに広告を配信する広告配信技術として例えば特許文献1が知られている。特許文献1に記載された技術では、通知対象エリアにユーザ端末装置が位置していることをビーコン端末装置から受信したビーコン信号の受信により判定し、対象のユーザ端末に通知対象エリアに対応付けられた広告通知メッセージを送信する。また頻度が過剰な広告通知はユーザに不快感を与えることから、時間に関連する条件要素を含む通知許可条件を満たした場合に通知を行うようにしている。例えば、ユーザ端末装置が通知対象エリアに入場してから一定の通知待機時間を経過しているとの時間に関連する条件要素を含む通知許可条件を満たした場合に、ユーザ端末装置に対して広告通知メッセージを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された従来の技術では、通知対象エリアにユーザ端末装置が位置していることを、当該通知対象エリアに設置されたビーコン端末装置のビーコン信号をユーザ端末装置が受信することにより判定する。そして、ユーザ端末装置が通知対象エリアに入場してから一定の通知待機時間を経過していることを満たす場合に、ユーザ端末装置に対して広告通知メッセージを送信するようにしている。
【0005】
しかしながら、当該従来の技術では、ユーザ端末装置が通知対象エリアに存在していても、ビーコン信号の電波受信状況の悪化によってユーザ端末装置がビーコン信号を受信することができなかった場合、ユーザ端末装置が通知対象エリアに入場してから一定の通知待機時間を経過していても、そのことを検知することができず、ユーザ端末装置に対して広告通知メッセージを送信する機会を逃す可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ビーコン信号を受信するユーザ端末装置が滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する際に、ビーコン信号の電波受信状況の変化に適応することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集部と、滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶部と、前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定部と、を備え、前記滞在判定部は、前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログに基づいてビーコン信号の検知の終了を判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアから離脱したと判定する、滞在判定装置である。
(2)本発明の一態様は、前記記憶部は、ビーコン発信装置が前記滞在判定エリアの出入口において前記滞在判定エリアの内側又は外側に設けられていることを示す情報をさらに記憶し、前記ビーコン信号の検知の終了の判断において、前記滞在判定エリアに対応付けられた各ビーコン発信装置に関する最新の前記ビーコンログが全てビーコン信号の検知の終了を示し、且つ当該各ビーコン発信装置に関する最新の前記ビーコンログの中の最新の前記ビーコンログが前記滞在判定エリアの外側に設けられたビーコン発信装置に関するものであることが成立することを判断する、上記(1)の滞在判定装置である。
(3)本発明の一態様は、前記滞在判定部は、前記経過時間が前記離脱判定時間を超過していない場合において、前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログに基づいてビーコン信号が前記ユーザ端末装置で継続して前記滞在判定時間以上検知されていると判断したときは、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに前記滞在判定時間以上は滞在したと判定する、上記(1)又は(2)のいずれかの滞在判定装置である。
【0008】
(4)本発明の一態様は、上記(1)から(3)のいずれかの滞在判定装置と、前記滞在判定装置によって滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したと判定されたユーザ端末装置へ当該滞在判定エリアに対応付けられた情報を提供し、前記滞在判定装置によって滞在判定エリアに前記滞在判定時間以上は滞在していないと判定されたユーザ端末装置へ当該滞在判定エリアに対応付けられた情報を提供しない、情報提供部と、を備える情報提供システムである。
(5)本発明の一態様は、前記滞在判定装置による滞在判定回数に応じて、前記情報提供部による情報の提供を制御する情報提供制御部をさらに備える、上記(4)の情報提供システムである。
(6)本発明の一態様は、前記情報提供制御部は、一定の期間における前記滞在判定回数に基づいて前記滞在判定エリアがユーザ端末装置で混雑しているか否かを判定し、当該判定の結果が混雑しているである場合に、前記情報提供部による情報の提供を抑制する、上記(5)の情報提供システムである。
【0009】
(7)本発明の一態様は、滞在判定装置が、滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶ステップと、前記滞在判定装置が、ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集ステップと、前記滞在判定装置が、前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定ステップと、を含み、前記滞在判定装置は、前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログに基づいてビーコン信号の検知の終了を判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアから離脱したと判定する、滞在判定方法である。
【0010】
(8)本発明の一態様は、コンピュータに、滞在判定エリアとビーコン発信装置とを対応付ける滞在判定エリア情報を記憶する記憶ステップと、ユーザ端末装置がビーコン発信装置から受信するビーコン信号に関するログであるビーコンログを収集するビーコンログ収集ステップと、前記ビーコンログと前記滞在判定エリア情報とに基づいて前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する滞在判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、前記滞在判定エリアに対応付けられたビーコン発信装置に関する前記ビーコンログに基づいてビーコン信号の検知の終了を判断し、ビーコン信号の検知の終了時から現在時刻までの経過時間と所定の離脱判定時間とを比較し、前記経過時間が前記離脱判定時間を超過する場合に、前記ユーザ端末装置が前記滞在判定エリアから離脱したと判定する、ステップ、をさらに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ビーコン信号を受信するユーザ端末装置が滞在判定エリアに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する際に、ビーコン信号の電波受信状況の変化に適応することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る滞在判定エリア情報の構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るビーコンログの構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る滞在判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る滞在判定方法を説明するための説明図である。
【
図6】一実施形態に係るビーコン発信装置の設置方法の例である。
【
図7】一実施形態に係る他の滞在判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、滞在判定エリアareaは、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在したか否かを判定する対象のエリアである。ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在した場合には、当該ユーザ端末装置UEを利用するユーザUが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在したと推定することができる。一方、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在していない場合には、当該ユーザ端末装置UEを利用するユーザUが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在していないと推定することができる。
【0014】
滞在判定エリアareaには、例えば店舗や公共交通機関(例えばバスやタクシーや電車など)の路線等が存在している。滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在したユーザUは、当該滞在判定エリアareaに対応付けられた情報(提供情報)を提供することが好ましい者である。提供情報は、例えば、滞在判定エリアareaに存在する店舗の広告や案内や当該店舗で利用可能な特典が付与されるクーポンやポイントなどである。当該提供情報は、滞在判定エリアareaに当該滞在判定時間以上は滞在したユーザUに利用されることが期待される情報である。一方、滞在判定エリアareaに当該滞在判定時間以上は滞在していないユーザUは、当該滞在判定エリアareaを単に通過するだけであって当該提供情報を提供しても利用されない可能性が高いと考えられる者である。
【0015】
なお、提供情報は、店舗の広告やクーポンのようにユーザUが直接的に利用するものであってもよく、ユーザ端末装置UEが利用するものであってもよい。例えば、提供情報は、ユーザ端末装置UEに備わるアプリケーションに設定されるパラメータであって、滞在判定エリアareaに固有のパラメータであってもよい。
【0016】
滞在判定エリアareaには、一又は複数のビーコン発信装置2が設置されている。ビーコン発信装置2は、ビーコン信号beを定期的に発信する。ユーザ端末装置UEは、滞在判定エリアareaに入ると、ビーコン発信装置2から発信されたビーコン信号beを受信する。
【0017】
ビーコン発信装置2は、例えば「Bluetooth(登録商標)」の規格に基づく無線信号であるビーコン信号beを定期的(100msから1秒程度の周期)に送信する。ビーコン信号beには、発信元のビーコン発信装置2を識別する識別情報(ビーコンID)が格納されている。「Bluetooth(登録商標)」の規格の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)では、ビーコンIDとして「UUID」、「major」及び「minor」の3個の値の組でビーコン信号beを識別する。
【0018】
ビーコン発信装置2は、滞在判定エリアarea内ではユーザ端末装置UEがビーコン信号beを受信することができ、且つ滞在判定エリアarea外ではユーザ端末装置UEがビーコン信号beを受信することができないように、ビーコン信号beの送信を制御することが好ましい。このビーコン信号beの送信の制御は、ビーコン発信装置2の送信出力の調整や設置場所の調整により行われる。
【0019】
滞在判定エリアareaに複数のビーコン発信装置2が設置されることによって、滞在判定エリアareaのサイズを拡げたり、ビーコン発信装置2の故障に対処するための冗長化を行ったりすることができる。
【0020】
ユーザ端末装置UEは、例えばスマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置である。ユーザ端末装置UEは、ビーコン発信装置2が発信するビーコン信号beを受信する。ユーザ端末装置UEは、通信ネットワークNWを介して滞在判定サーバ4や情報提供装置7と通信を行う。ユーザ端末装置UEは、携帯電話網や例えば「Wi-Fi(登録商標)」等の無線LAN(Local Area Network)に接続する。
【0021】
ユーザ端末装置UEは、ビーコン発信装置2から受信するビーコン信号beに関するログであるビーコンログ52を滞在判定サーバ4へ送信する。ユーザ端末装置UEは、ビーコン信号beの検知開始や検知終了が確認される度に、ビーコンログ52を滞在判定サーバ4へ送信する。
【0022】
情報提供システム1は、滞在判定サーバ4(滞在判定装置)と、情報提供装置7とを備える。滞在判定サーバ4と情報提供装置7とは通信ネットワークNWを介して通信を行う。
【0023】
[滞在判定サーバ]
滞在判定サーバ4は、ビーコンログ収集部40と、滞在判定部41と、データベース42(記憶部)とを備える。
【0024】
滞在判定サーバ4の各機能は、滞在判定サーバ4がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、滞在判定サーバ4として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、滞在判定サーバ4は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、滞在判定サーバ4の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、滞在判定サーバ4は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は滞在判定サーバ4の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
【0025】
ビーコンログ収集部40は、ユーザ端末装置UEがビーコン発信装置2から受信するビーコン信号beに関するログであるビーコンログ52を収集する。ビーコンログ収集部40は、ユーザ端末装置UEから受信したビーコンログ52をデータベース42に格納する。
【0026】
データベース42は、滞在判定エリア情報51とビーコンログ52とを記憶する。滞在判定エリア情報51は、データベース42に予め格納される。滞在判定エリア情報51は、滞在判定エリアareaとビーコン発信装置2とを対応付ける情報である。
【0027】
滞在判定部41は、データベース42に格納されているビーコンログ52と滞在判定エリア情報51とに基づいて、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在したことを判定する滞在判定処理を実行する。また、滞在判定部41は、データベース42に格納されているビーコンログ52と滞在判定エリア情報51とに基づいて、非滞在判定処理を実行する。非滞在判定処理は、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在していないことを判定する処理である。
【0028】
図2は、本実施形態に係る滞在判定エリア情報の構成例を示す図である。
図2に例示されるように、滞在判定エリア情報51には、滞在判定エリアarea毎に、滞在判定エリアareaの識別情報(滞在判定エリアID)とビーコンリストとが関連付けて格納される。ある滞在判定エリアareaのビーコンリストは、当該滞在判定エリアareaに設置された全てのビーコン発信装置2のビーコンIDが記載されたリストである。例えばBLEに基づいたビーコン信号beでは、ビーコンリストには、滞在判定エリアareaに設置された全てのビーコン発信装置2について、それぞれの「UUID」、「major」及び「minor」の組が格納される。
【0029】
図3は、本実施形態に係るビーコンログの構成例を示す図である。
図3に例示されるように、ビーコンログ52には、ビーコンログの識別情報(ビーコンログID)、ユーザ端末装置UEの識別情報(ユーザID)、ログの日時(ログ時刻)、領域IN・OUTフラグ、及びビーコンIDが関連付けて格納される。領域IN・OUTフラグは、ビーコンIDのビーコン信号beの検知が開始された時に「1:領域IN」が設定され、ビーコンIDのビーコン信号beの検知が終了された時に「2:領域OUT」が設定される。
【0030】
ユーザ端末装置UEは、あるビーコンIDのビーコン信号beの検知を開始した時に、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」である当該ビーコンIDのビーコンログ52を作成して滞在判定サーバ4へ送信する。あるビーコンIDに関して、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52が作成された後は、続けて「1:領域IN」であるビーコンログ52は作成されない。ユーザ端末装置UEは、あるビーコンIDのビーコン信号beの検知を開始した後に当該ビーコンIDのビーコン信号beの検知を終了した時に、領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」である当該ビーコンIDのビーコンログ52を作成して滞在判定サーバ4へ送信する。したがって、一のビーコンIDについて、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52と領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52とは対となる。
【0031】
[情報提供装置]
情報提供装置7は、情報提供部71と、情報提供制御部72とを備える。
情報提供装置7の各機能は、情報提供装置7がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、情報提供装置7として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、情報提供装置7は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、情報提供装置7の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、情報提供装置7は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は情報提供装置7の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、情報提供装置7として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0032】
情報提供部71は、滞在判定サーバ4によって滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在したと判定されたユーザ端末装置UEへ当該滞在判定エリアareaに対応付けられた情報(提供情報)を提供する。一方、情報提供部71は、滞在判定サーバ4によって滞在判定エリアareaに所定の滞在判定時間以上は滞在していないと判定されたユーザ端末装置UEへ当該滞在判定エリアareaに対応付けられた提供情報を提供しない。
【0033】
情報提供制御部72は、滞在判定サーバ4による滞在判定回数に応じて、情報提供部71による提供情報の提供を制御する。滞在判定回数は、滞在判定サーバ4による滞在判定処理の実行回数である。例えば、情報提供制御部72は、一定の期間における滞在判定回数に基づいて滞在判定エリアareaがユーザ端末装置UEで混雑しているか否かを判定し、当該判定の結果が混雑しているである場合に情報提供部71による提供情報の提供を抑制する。これは、滞在判定回数が多い場合、多数のユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに入ったと考えられるので、滞在判定エリアareaがユーザ端末装置UEで混雑していると判定して、滞在判定エリアareaの混雑の緩和に寄与するために、提供情報の提供を抑制するものである。
【0034】
[滞在判定方法]
図4を参照して本実施形態に係る滞在判定方法を説明する。
図4は、本実施形態に係る滞在判定方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0035】
ユーザ端末装置UEは、滞在判定エリアareaに設置されたビーコン発信装置2から発信されたビーコン信号beを初めて検知すると、当該ビーコン信号beのビーコンIDのビーコンログ52として領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52を作成して滞在判定サーバ4へ送信する。当該ビーコンログ52は、当該ビーコンIDのビーコン信号beの検知の開始を示すビーコンログ52である。また、ユーザ端末装置UEは、当該ビーコンIDのビーコン信号beが検知されなくなると、当該ビーコン信号beのビーコンIDのビーコンログ52として領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52を作成して滞在判定サーバ4へ送信する。当該ビーコンログ52は、当該ビーコンIDのビーコン信号beの検知の終了を示すビーコンログ52である。
【0036】
滞在判定部41には、「滞在判定時間」、「離脱判定時間」及び「待機時間」が予め設定される。滞在判定時間は、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに所定の時間以上は滞在したことを判定するための閾値である。離脱判定時間は、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaから離脱したことを判定するための閾値である。本実施形態に係る離脱判定時間は、滞在判定エリアareaにおいてビーコン信号beの電波受信状況が良好でなく、滞在判定エリアarea内にユーザ端末装置UEが在るにもかかわらず、途切れ途切れにビーコン信号beが受信されるような場合においても、正しく滞在の判定ができるように設けたものである。待機時間は、
図4の処理の途中で一時的に処理を中断して待機する時間である。
【0037】
滞在判定部41は、滞在判定エリアarea毎に且つユーザ端末装置UE毎に、
図4の処理の初期化後の最初のビーコンログ52がデータベース42に格納されると、
図4の処理を開始する。滞在判定部41は、
図4の処理の開始毎に、
図4の処理を開始した時刻(滞在判定開始時刻)を記録する。
図4の処理の初期化後において、ある滞在判定エリアareaに関するあるユーザ端末装置UEの最初のビーコンログ52は、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52になる。
【0038】
図4の各ステップにおけるビーコンログ52は、データベース42に格納されたビーコンログ52であって、判定対象の滞在判定エリアareaに設置されたビーコン発信装置2から発信されたビーコン信号beに関するビーコンログ52であり且つ判定対象のユーザ端末装置UEが作成したビーコンログ52である。
【0039】
(ステップS1) 滞在判定部41は、各ビーコン発信装置2(ビーコンID)のビーコンログ52のうち、ログ時刻が最新であり且つ領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52があるかを判定する。この判定の結果、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52がある場合、当該ビーコンログ52に関するビーコンIDのビーコン信号beはユーザ端末装置UEで継続して検知されていることになる。領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52がある場合には(ステップS1、YES)ステップS2へ進み、そうではない場合には(ステップS1、NO)ステップS4へ進む。
【0040】
(ステップS2) 滞在判定部41は、今回の滞在判定開始時刻から現在時刻までの経過時間が「滞在判定時間」を超過したか否かを判定する。この判定の結果、当該経過時間が「滞在判定時間」を超過した場合には(ステップS2、YES)にはステップS3へ進み、そうではない場合には(ステップS2、NO)ステップS6へ進む。
【0041】
(ステップS3) 滞在判定部41は、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに「滞在判定時間」以上は滞在した(「滞在」)と判定する。この後、
図4の処理は終了され、
図4の処理の初期化が実行される。
【0042】
(ステップS4) 滞在判定部41は、各ビーコン発信装置2(ビーコンID)のビーコンログ52のうち、ログ時刻が最新であり且つ領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52のログ時刻から現在時刻までの経過時間と「離脱判定時間」とを比較する。この比較の結果、当該経過時間が「離脱判定時間」を超過した場合には(ステップS4、YES)にはステップS5へ進み、そうではない場合には(ステップS4、NO)ステップS6へ進む。当該経過時間が「離脱判定時間」を超過した場合、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに設置された全てのビーコン発信装置2から発信されたビーコン信号beを、「離脱判定時間」以上の期間において受信しなかったことになる。
【0043】
(ステップS5) 滞在判定部41は、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに「滞在判定時間」以上は滞在していない(「非滞在」)と判定する。この後、
図4の処理は終了され、
図4の処理の初期化が実行される。
【0044】
(ステップS6) 滞在判定部41は、「待機時間」だけ待機する。待機時間が経過したらステップS1に戻り、再度、ステップS1から処理を再開する。
【0045】
図5は、本実施形態に係る滞在判定方法を説明するための説明図である。
図5には、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52と領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52との対が2つ(1つ目の対と2つ目の対)示される。
図5の例では、1つ目の対の領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52がデータベース42に格納されると、
図4の処理が開始される。また、2つ目の対の領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52のログ時刻は、1つ目の対の領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52のログ時刻から「離脱判定時間」が経過する前の時刻である。以下、領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52と領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52との対のことを「ビーコンログ52の対」と称する。
【0046】
図5には、「滞在判定時間」として4つの例(a),(b),(c),(d)が示される。
【0047】
「滞在判定時間」の例(a)の場合、1つ目のビーコンログ52の対の期間で、滞在判定開始時刻からの経過時間が「滞在判定時間」を超過した時点で「滞在」と判定される。
【0048】
「滞在判定時間」の例(b)の場合、1つ目のビーコンログ52の対の期間では、滞在判定開始時刻からの経過時間が「滞在判定時間」を超過しないので、「滞在」とは判定されない。その後、1つ目のビーコンログ52の対の領域IN・OUTフラグが「1:領域IN」であるビーコンログ52によって、滞在判定開始時刻からの経過時間が「滞在判定時間」を超過するので「滞在」と判定される。
【0049】
「滞在判定時間」の例(c)の場合、1つ目のビーコンログ52の対の期間でも2つ目のビーコンログ52の対の期間でも滞在判定開始時刻からの経過時間が「滞在判定時間」を超過しないので、「滞在」とは判定されない。そして、2つ目のビーコンログ52の対の領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52のログ時刻から「離脱判定時間」が経過した時点で「非滞在」と判定される。
【0050】
「滞在判定時間」の例(d)の場合、上記の例(c)と同様に、1つ目のビーコンログ52の対の期間でも2つ目のビーコンログ52の対の期間でも滞在判定開始時刻からの経過時間が「滞在判定時間」を超過しないので、「滞在」とは判定されない。そして、2つ目のビーコンログ52の対の領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52のログ時刻から「離脱判定時間」が経過した時点で「非滞在」と判定される。
【0051】
本実施形態によれば、上記した「離脱判定時間」を用いた非滞在判定処理により、ユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに在るにもかかわらず、一時的にビーコン信号beを受信することができなかったために領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」であるビーコンログ52が作成された場合にも、ステップS6へ進んで、再度、「滞在判定時間」を用いた滞在判定処理を実行することができる。これにより、滞在判定エリアareaにおいてビーコン信号beの電波受信状況が良好でなく、滞在判定エリアarea内にユーザ端末装置UEが在るにもかかわらず、途切れ途切れにビーコン信号beが受信されるような場合においても、正しく「滞在」の判定ができる。このように本実施形態によれば、ビーコン信号beを受信するユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに「滞在判定時間」以上は滞在したことを判定する際に、ビーコン信号beの電波受信状況の変化に適応することができるという効果が得られる。
【0052】
[他の滞在判定方法]
図6,
図7を参照して本実施形態に係る他の滞在判定方法を説明する。この他の滞在判定方法は、滞在判定エリアareaが広いために、滞在判定エリアareaの全域にビーコン信号beが届くようにするためには多数のビーコン発信装置2を滞在判定エリアarea内に設置しなければならないような場合に、特に好適な方法である。
【0053】
図6は、本実施形態に係るビーコン発信装置の設置方法の例である。
図6に示されるように、ビーコン発信装置2(2_in,2_out)は、滞在判定エリアareaAの出入口において滞在判定エリアareaAの内側及び外側にそれぞれ設けられる。データベース42(記憶部)は、ビーコン発信装置2が滞在判定エリアareaAの出入口において滞在判定エリアareaAの内側又は外側に設けられていることを示す情報をさらに記憶する。
【0054】
ビーコン発信装置2_inは、滞在判定エリアareaAの出入口において滞在判定エリアareaAの内側に設置される。ビーコン発信装置2_inから発信されたビーコン信号beは、受信エリアCa_inにおいてユーザ端末装置UEが受信可能である。ビーコン発信装置2_outは、滞在判定エリアareaAの出入口において滞在判定エリアareaAの外側に設置される。ビーコン発信装置2_outから発信されたビーコン信号beは、受信エリアCa_outにおいてユーザ端末装置UEが受信可能である。
図6の例では、受信エリアCa_inの大きさと受信エリアCa_outの大きさがほぼ同じになるように設定されている。
【0055】
図7は、本実施形態に係る他の滞在判定方法の手順の例を示すフローチャートである。以下、
図7を参照して、
図6に例示されるようにビーコン発信装置2が設置された滞在判定エリアareaAにおけるユーザ端末装置UEの滞在判定方法を説明する。なお、
図7において
図4の各ステップに対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0056】
図7の処理において、上記した
図4の処理と異なる点は、ステップS1Aのみである。それ以外の他のステップは、上記した
図4の処理と同じである。
【0057】
図7の各ステップにおけるビーコンログ52は、データベース42に格納されたビーコンログ52であって、判定対象の滞在判定エリアareaAに設置されたビーコン発信装置2(2_in,2_out)から発信されたビーコン信号beに関するビーコンログ52であり且つ判定対象のユーザ端末装置UEが作成したビーコンログ52である。
【0058】
(ステップS1A) 滞在判定部41は、各ビーコン発信装置2(ビーコンID)のビーコンログ52について、「各ビーコン発信装置2の最新のログ時刻のビーコンログ52が全てビーコン信号の検知の終了を示し(領域IN・OUTフラグが「2:領域OUT」である)」且つ「当該各ビーコン発信装置2の最新のログ時刻のビーコンログ52の中の最新のログ時刻のビーコンログ52が滞在判定エリアareaAの外側に設けられたビーコン発信装置2_outのビーコンログ52である」が成立するか否かを判定する。この判定の結果が成立するである場合には(ステップS1A、YES)、ステップS4へ進み、滞在判定部41は「離脱判定時間」を用いた非滞在判定処理を実行する。一方、当該判定の結果が成立しないである場合には(ステップS1A、NO)ステップS2へ進む。
【0059】
なお、滞在判定エリアareaAにおいて、
図6に例示される出入口のビーコン発信装置2(2_in,2_out)に加えて、さらに
図1に例示される滞在判定エリアareaA内部のビーコン発信装置2を備え、上記した
図4の処理と
図7の処理とを組み合わせて適用してもよい。滞在判定エリアareaA内部には、例えば、特にユーザ端末装置UEを検出したいエリアのみにビーコン発信装置2を設けてもよい。
図4の処理と
図7の処理との組み合わせの一例として、まず
図7の処理によって広いエリアの滞在判定を行った後に、さらにそのエリアの中の狭いエリアの滞在判定を
図4の処理で行うようにしてもよい。
【0060】
また、
図6の例では、滞在判定エリアareaAには、出入口が設けられているが、出入口ではなく、一方通行の入口および出口が設けられている場合には、入口にはビーコン発信装置2_inのみを滞在判定エリアareaAの内側に設け、出口にはビーコン発信装置2_outのみを滞在判定エリアareaAの外側に設ければよい。
【0061】
上述した他の滞在判定方法によれば、滞在判定エリアareaが広いために、滞在判定エリアareaの全域にビーコン信号beが届くようにするためには多数のビーコン発信装置2を滞在判定エリアarea内に設置しなければならないような場合に、ビーコン発信装置2の設置台数を削減して効率的な滞在判定を行うことができる。
【0062】
上述したように本実施形態によれば、ビーコン信号beを受信するユーザ端末装置UEが滞在判定エリアareaに「滞在判定時間」以上は滞在したことを判定する際に、ビーコン信号beの電波受信状況の変化に適応することができるという効果が得られる。
【0063】
これにより、ユーザ端末装置UEが例えば広告やクーポン等の通知対象エリアに存在していても、ビーコン信号beの電波受信状況の悪化によってユーザ端末装置UEがビーコン信号beを受信することができなかった場合であっても、ユーザ端末装置UEが通知対象エリアに入場してから滞在判定時間を経過したことを検知することができるので、ユーザ端末装置UEに対して広告やクーポン等を送信する機会を確実にとらえることができるようになる。
【0064】
例えば、店舗や公共交通機関(例えばバスやタクシーや電車など)の路線等が存在する滞在判定エリアareaにおける「滞在」が判定されたユーザ端末装置UEに対して当該店舗や公共交通機関で利用可能な特典が付与されるクーポンを配信することによって、当該店舗や公共交通機関の利用が促進される効果が得られる。
【0065】
また、情報提供装置7の情報提供制御部72が、滞在判定サーバ4による滞在判定回数に応じて情報提供部71による提供情報の提供を制御することによって、滞在判定エリアarea内のユーザ端末装置UE(ユーザU)の混雑度に応じたクーポンの配信量の動的な調節を実現することができる。これにより、例えば、集客のためにクーポンの配信を開始した後に、滞在判定エリアareaが混雑してきたらクーポンの配信量を抑制して混雑の緩和を図るようにすることが可能になる。
【0066】
なお、これにより、例えば店舗や公共交通機関における総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することが可能となる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0068】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0069】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…情報提供システム、2…ビーコン発信装置、4…滞在判定サーバ、40…ビーコンログ収集部、41…滞在判定部、42…データベース、7…情報提供装置、71…情報提供部、72…情報提供制御部、UE…ユーザ端末装置、NW…通信ネットワーク、area…滞在判定エリア、be…ビーコン信号