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特許7518042トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法
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  • 特許-トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20240709BHJP
   E21F 17/06 20060101ALI20240709BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20240709BHJP
   B61D 15/00 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
H02G1/06
E21F17/06
H02G11/00
B61D15/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021112280
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2022095524
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020208810
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英典
(72)【発明者】
【氏名】川内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正昴
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-151106(JP,A)
【文献】特開2012-046877(JP,A)
【文献】特開2002-308527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
E21F 17/06
H02G 11/00
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削用重機の後方に延設してトンネル坑内に敷設される動力ケーブルを、トンネル掘削用重機の掘進に伴い後方に継ぎ足して延長してゆくための、トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法であって、
トンネル坑内の継足し領域とは異なる別の作業領域において、側面が開放可能な六面体形状のケーブル収納用の箱体に、継足し用の動力ケーブルを、開放された側面を介して一方向に引き出した際によじれを生じない状態で、まとめて収容することによりケーブル収納カートリッジを形成しておき、形成した該ケーブル収納カートリッジを前記継足し領域まで搬送して、収容した動力ケーブルの一端部を、開放された側面を介して先行して敷設される動力ケーブルの先端部に接続すると共に、他端部を、開放された側面を介してトンネル掘削用重機側に接続し、
トンネル掘削用重機の掘進に伴って、前記ケーブル収納カートリッジを前進させつつ、収容した動力ケーブルの一端部側を、開放された側面を介して後方に引き出しながら、トンネル坑内に敷設してゆくことによって、動力ケーブルを継ぎ足して延長してゆくトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法。
【請求項2】
前記継足し用の動力ケーブルは、八の字巻きにして前記ケーブル収納用の箱体に収容されていることにより、開放された側面を介して一方向に引き出した際によじれを生じない状態となっている請求項1記載のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法。
【請求項3】
前記ケーブル収納カートリッジは、搬送用の台車の上に設置された状態で、前記継足し領域まで搬送される請求項1又は2記載のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法。
【請求項4】
前記トンネル掘削用重機は、シールド掘進機であり、前記トンネル坑内は、シールドトンネルの坑内である請求項1~3のいずれか1項記載のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法。
【請求項5】
前記ケーブル収納カートリッジは、前記シールドトンネルの坑内の上部にトンネルの横断方向に延設して取り付けられた、レール部材から吊り下げられることによって、トンネルの横断方向に移動可能となっている請求項4記載のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法に用いる側面が開放可能な六面体形状のケーブル収納カートリッジであって、継足し用の動力ケーブルが、ケーブル収納用の箱体に、八の字巻きにされて、開放された側面を介して一方向に引き出し可能に収容されているケーブル収納カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法及びケーブル収納カートリッジに関し、特に、トンネル掘削用重機の後方に敷設される動力ケーブルを、トンネル掘削用重機の掘進に伴い継ぎ足して延長してゆくための、トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法、及び該延設方法に用いるケーブル収納カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削用重機を用いたトンネル掘削工法として、例えばシールド掘進機によるシールド工法では、トンネルの先端部分のシールド掘進機やこれに後続する作業用の台車等に電力等の動力を供給するための動力ケーブルが、例えば発進基地に設けられた発電機等の動力施設と接続するようにして、トンネル坑内に相当の距離に亘って連続して敷設されることになる。また、動力ケーブルは、シールド掘進機等のトンネル掘削用重機によるトンネルの掘進に伴って、順次継ぎ足して延長しながら、トンネル坑内に敷設してゆく必要がある。
【0003】
このため、従来の例えばシールド工法では、シールド掘進機と共に前進する後続の各種の台車にケーブル用台車をけん引させ、このケーブル用台車の上に、例えば200m程度の長さの動力ケーブルを、よじれを生じることなく引き出せるように、好ましくは八の字巻きにして複数段に重ねた状態でストックしておき、ケーブル用台車の前進に伴い最上段の動力ケーブルから順次後方に引き出すことによって、シールド掘進機の後方に、動力ケーブルを延長させて敷設するようになっている。
【0004】
一方、シールド掘進機に後続する台車にけん引されるケーブル用台車の上に、動力ケーブルをストックしておく従来の方法では、ストックした動力ケーブルが全て引き出される毎に、追加の動力ケーブルをトンネル坑内に搬入して、ケーブル用台車の上に、八の字巻きにして複数段に重ねた状態でストックするためのストック作業が必要になり、このようなストック作業は、狭いトンネル坑内において手作業で行わなければならず、また動力ケーブルは相当の重量を有していることから、多くの労力を要することになって、作業員に大きな負担となっている。
【0005】
これに対して、例えば特許文献1には、回転中心軸をトンネルの掘進方向に向けて配置された、動力ケーブルが巻回されたケーブルリールと、スリップリングを用いた回転接続器とを備える動力ケーブル延長装置を、トンネル坑内においてトンネルの掘進方向に走行自在に配置された台車の上に、着脱自在に搭載しておき、ケーブルリールに巻回された所定の長さの動力ケーブルを引き出したら、台車とは別の作業領域において所定の長さずつ動力ケーブルを予め巻き付けて形成された、別のケーブルリールを、台車の上に載せ替えて用いることにより、シールド掘進機の後方に動力ケーブルを継ぎ足して延長してゆくことを可能にして、動力ケーブルをストックするための作業員による労力を、大幅に軽減できるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-237519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のシールド掘進機の後方に動力ケーブルを継ぎ足して延長してゆく技術によれば、所定の長さの動力ケーブルが予め巻き付けられたケーブルリールを用いることによって、動力ケーブルをストックするための作業員による労力を軽減することが可能になるが、その一方で、ケーブルリールを回転させつつケーブルリールの後方に引き出される動力ケーブルには、回転によるよじれを生じることになる。このため、引き出した動力ケーブルのよじれを解消するための手段が別途に必要になって、装置の構成が複雑になると共に、作業員の労力も増大することになる。
【0008】
本発明は、トンネル掘削用重機の後方に延設してトンネル坑内に敷設される動力ケーブルを、簡易な構成によって、よじれを生じることなく少ない労力で効率良く継ぎ足して延長してゆくことのできるトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法、及び該延設方法に用いるケーブル収納カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トンネル掘削用重機の後方に延設してトンネル坑内に敷設される動力ケーブルを、トンネル掘削用重機の掘進に伴い後方に継ぎ足して延長してゆくための、トンネル坑内における動力ケーブルの延設方法であって、トンネル坑内の継足し領域とは異なる別の作業領域において、側面が開放可能な六面体形状のケーブル収納用の箱体に、継足し用の動力ケーブルを、開放された側面を介して一方向に引き出した際によじれを生じない状態で、まとめて収容することによりケーブル収納カートリッジを形成しておき、形成した該ケーブル収納カートリッジを前記継足し領域まで搬送して、収容した動力ケーブルの一端部を、開放された側面を介して先行して敷設される動力ケーブルの先端部に接続すると共に、他端部を、開放された側面を介してトンネル掘削用重機側に接続し、トンネル掘削用重機の掘進に伴って、前記ケーブル収納カートリッジを前進させつつ、収容した動力ケーブルの一端部側を、開放された側面を介して後方に引き出しながら、トンネル坑内に敷設してゆくことによって、動力ケーブルを継ぎ足して延長してゆくトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、前記継足し用の動力ケーブルが、八の字巻きにして前記ケーブル収納用の箱体に収容されていることにより、開放された側面を介して一方向に引き出した際によじれを生じない状態となっていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、前記ケーブル収納カートリッジが、搬送用の台車の上に設置された状態で、前記継足し領域まで搬送されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、前記トンネル掘削用重機が、シールド掘進機であり、前記トンネル坑内は、シールドトンネルの坑内であることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、前記ケーブル収納カートリッジが、前記シールドトンネルの坑内の上部にトンネルの横断方向に延設して取り付けられた、レール部材から吊り下げられることによって、トンネルの横断方向に移動可能となっていることが好ましい。
【0014】
また、本発明は 上記のいずれかのトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法に用いる側面が開放可能な六面体形状のケーブル収納カートリッジであって、継足し用の動力ケーブルが、ケーブル収納用の箱体に、八の字巻きにされて、開放された側面を介して一方向に引き出し可能に収容されているケーブル収納カートリッジを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法又はケーブル収納カートリッジによれば、トンネル掘削用重機の後方に延設してトンネル坑内に敷設される動力ケーブルを、簡易な構成によって、よじれを生じることなく少ない労力で効率良く継ぎ足して延長してゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法が採用される、シールド掘削機によるトンネル坑内を説明する部分破断縦断面図、図1(b)は図1(a)のA-Aに沿った略示横断面図である。
図2図2は、トンネル坑内にケーブル収納カートリッジが配置される状態を説明する略示横断面図である。
図3図3は、ケーブル収納カートリッジを説明する略示斜視図である。
図4図4は、動力ケーブルがケーブル収納カートリッジに収容された状態を説明する略示平面図である。
図5図5は、ケーブル収納カートリッジに収容された動力ケーブルを用いて、動力ケーブルをシールド掘進機の後方に延長して行く状態の説明図である。
図6図6は、ケーブル収納カートリッジを継足し領域の台車に載せ替える状況を説明する部分縦断面図である。
図7図7(a)~図7(d)は、ケーブル収納カートリッジを継足し領域の台車に載せ替える状況を説明する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、図1(a)、(b)に示すように、トンネル掘削用重機として、例えばシールド掘進機10を用いたシールド工法によるトンネル坑内11に、動力ケーブル(図4図5参照)15を、シールド掘進機10の掘進に伴ってこれの後方に継ぎ足しながら延長させて、連続して敷設して行くための方法として採用されたものである。例えばシールド工法では、トンネル坑内11の先端部分で切羽面の掘削を行うシールド掘進機10や、これに後続する各種の作業用等の台車12に、電力等の動力を供給するための動力ケーブル15を、例えば発進基地に設けられた発電機等の動力施設と接続させて、トンネル坑内11に相当の距離に亘って連続して敷設してゆく必要がある。また動力ケーブル15は、シールド掘進機10によるトンネルの掘進に伴って、順次継ぎ足して延長させながらトンネル坑内11に敷設してゆく必要があることから、本実施形態の動力ケーブルの延設方法を採用することで、シールド掘進機10の後方に延設してトンネル11の坑内に敷設される動力ケーブル15を、簡易な構成によって、少ない労力で効率良く継ぎ足して延長してゆくことができるようにしたものである。
【0018】
そして、本実施形態のトンネル坑内における動力ケーブルの延設方法は、トンネル掘削用重機であるシールド掘進機10の後方に延設してトンネル坑内11に敷設される動力ケーブル15を、シールド掘進機10の掘進に伴い後方に継ぎ足して延長してゆくための延設方法であって、トンネル坑内11の継足し領域13とは異なる別の作業領域において、図3に示すように、ケーブル収納用の箱体14に、継足し用の動力ケーブル15を、一方向に引き出した際によじれを生じない状態で、まとめて収容することによりケーブル収納カートリッジ16を形成しておく。形成したケーブル収納カートリッジ16を継足し領域13まで搬送して、図5に示すように、収容した動力ケーブル15の一端部を、先行して敷設される動力ケーブル15aの先端部に接続すると共に、他端部をシールド掘進機10側に配置された例えばトランス台車19上のトランス20に接続し、シールド掘進機10の掘進に伴って、ケーブル収納カートリッジ16を前進させつつ、収容した動力ケーブル15の一端部側を後方に引き出しながら、トンネル坑内11に敷設してゆくことによって、動力ケーブル15を継ぎ足して延長してゆくようになっている。
【0019】
また、本実施形態では、継足し用の動力ケーブル15は、図4に示すように、八の字巻きにしてケーブル収納用の箱体14に収容されていることにより、ケーブル収納カートリッジ16から一方向に引き出した際に、よじれを生じない状態となっている。
【0020】
さらに、本実施形態では、図2に示すように、ケーブル収納カートリッジ16は、シールドトンネルのトンネル坑内11の上部にトンネルの横断方向Yに延設して取り付けられた、レール部材21から吊り下げられることによって、トンネルの横断方向Yに移動可能となっている。
【0021】
本実施形態では、トンネル掘削用重機であるシールド掘進機10は、例えば泥土圧式の掘進機となっており、図1(a)に示すように、シールド掘進機10の後方には、これの外殻体10aやセグメント覆工体22の内側をシールドトンネルのトンネル坑内11として、エレクター装置23や、これに後続する例えば礫取り台車、ポンプ台車、カッタ軌道台車、制御盤台車、洗浄台車、運転台車等の各種の台車12が、シールド掘進機10によって牽引可能な状態で設けられている。
【0022】
また、本実施形態では、これらの複数の台車12は、シールドトンネルのトンネル坑内11において、図1(b)に示すように、主としてセグメント24aを搬送するためのセグメント台車24が移動する中央レール部25aを挟んだ両側の、サイドレール部25bに案内されて、トンネルの掘進方向Xに移動できるようになっている。本実施形態では、ケーブル収納カートリッジ16は、トランス20を設置したトランス台車19に後続するケーブル台車18を継足し領域13として、ケーブル台車18の上に着脱交換可能に設置されることで、動力ケーブル15を継ぎ足して延長してゆく作業を行えるようになっている。
【0023】
本実施形態の動力ケーブルの延設方法に用いるケーブル収納カートリッジ16は、図3及び図4に示すように、ケーブル収納用の箱体14に、継足し用の動力ケーブル15が、八の字巻きにされて、一方向に引き出し可能な状態で収容されたものとなっている。すなわち、箱体14は、各種の鋼材を組み付けることによって形成された、例えば中央レール部25a側に面した側面が開閉可能な開口面14aとなっている、六面体形状を備えている。箱体14には、継足し領域13であるケーブル台車18とは別の作業領域として、例えば発進基地における広い作業領域において、開口面14aを開放させたまま、作業員の手作業によって、好ましくは八の字巻きにして複数段に重ねた状態で(図4図5参照)、例えば200m程度の長さの継足し用の動力ケーブル15を内部に収容することにより、ケーブル収納カートリッジ16が形成されるようになっている。
【0024】
箱体14の内部に継足し用の動力ケーブル15を八の字巻きにして収容して形成されたケーブル収納カートリッジ16は、好ましくは箱体14の開口面14aを閉塞した状態で、中央レール部25aを走行する搬送台車26に積み込んで、中央レール部25aを介して、継足し領域13を形成するケーブル台車18と隣接する位置まで搬送される。継足し領域13まで搬送されたケーブル収納カートリッジ16は、以下のようにして、トンネルの横断方向Yに移動して、サイドレール部25bの上を移動するケーブル台車18の上に載せ替えることが可能になる。
【0025】
すなわち、本実施形態では、図2に示すように、中央レール部25aを挟んだ両側の台車12に跨るようにして架設されて、上述のように、トンネル坑内11の上部にトンネルの横断方向Yに延設する、例えばIビームからなる横移動用のレール部材21が、図6に示すように、搬送されてきたケーブル収納カートリッジ16の長さ方向の両端部分に配置されるようにして、間隔をおいて一対取り付けられている。これらのレール部材21には、各々、例えば吊り上げ用のチェーンブロック27が、横断方向Yへの横移動が可能な状態で設けられている。図7(a)~(d)に示すように、これらのチェーンブロック27に係止された吊上げ部材27aに、搬送されてきたケーブル収納カートリッジ16の両端部分を各々係合して(図7(a)参照)、チェーンブロック27によりケーブル収納カートリッジ16を吊り上げた状態で(図7(b)参照)、チェーンブロック27を例えばチェーントロリーによって、レール部材21に沿って横移動させ、継足し領域13となる台車12の上方まで移動させたら(図7(c)参照)、吊り上げたケーブル収納カートリッジ16を吊り降ろすことで、継足し領域13となる台車12の上に、載せ替えることができる(図7(d)参照)。
【0026】
搬送されてきたケーブル収納カートリッジ16を、継足し領域13となるケーブル台車18の上に載せ替えたら、例えばケーブル収納カートリッジ16の箱体14の開口面14aを開放して、好ましくは八の字巻きにして内部に収容された継足し用の動力ケーブル15の両端部分を引き出し、図5に示すように、一端部を、先行して敷設された動力ケーブル15aの先端部に例えば公知のコネクター17を介して接続すると共に、他端部を、シールド掘進機10側に隣接して配置されたトランス台車19上のトランス20に接続する。
【0027】
これによって、シールド掘進機10の掘進に伴って、シールド掘進機10により牽引される継足し領域13となるケーブル台車18の上に載置されたケーブル収納カートリッジ16を前進させつつ、一端部側が先行して敷設された動力ケーブル15aに接続された継ぎ足し用の動力ケーブル15を、後方に引き出しながら、トンネル坑内11に敷設してゆくことによって、動力ケーブル15をトンネルの掘進方向Xに継ぎ足して延長してゆくことが可能になる。
【0028】
また、ケーブル収納カートリッジ16に収容された動力ケーブル15を後方に引き出す際に、継ぎ足し用の動力ケーブル15は、一方向に引き出した際によじれを生じない状態として、好ましくは八の字巻きにして複数段に重ねた状態でケーブル収納用の箱体14に収容されているので、よじれを生じることなく動力ケーブル15をスムーズに引きだすことが可能になる。
【0029】
ケーブル収納カートリッジ16に収容された所定の長さの動力ケーブル15を引き出したら、トランス台車19上のトランス20に接続された他端部を、トランス20から取り外し、空になったケーブル収納カートリッジ16の箱体14を、上述のチェーンブロック27を用いて吊り上げて、横移動用のレール部材21に沿ってトンネルの横断方向Yに移動させ、中央レール部25aを走行する搬送台車26に積み込んで搬出することにより、継足し領域となるケーブル台車18から撤去することができる。
【0030】
空になった箱体14が撤去された継足し領域のケーブル台車18には、中央レール部25aを走行移動する搬送台車26により搬送されてきた別のケーブル収納カートリッジ16が、上述と同様の方法によって、横移動用のレール部材21やチェーンブロック27を用いてトンネルの横断方向Yに横移動された後に、継足し領域13となる台車18の上に、吊り降すことで載せ替えられることによって、引き続いてトンネル坑内11に動力ケーブル15を、トンネルの掘進方向Xに継ぎ足して延長させながら敷設してゆくことが可能になる。
【0031】
これらによって、本実施形態によれば、シールド掘進機10の後方に延設してトンネル坑内11に敷設される動力ケーブル15を、簡易な構成によって、よじれを生じることなく少ない労力で、効率良く継ぎ足して延長してゆくことが可能になる。
【0032】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、トンネル掘削用重機は、シールド掘進機である必要は必ずしも無く、トンネルボーリングマシン等のその他の種々のトンネル掘削用重機であっても良い。トンネル坑内は、シールドトンネルの坑内である必要は必ずしも無く、山岳トンネル等のトンネル坑内であっても良い。継足し用の動力ケーブルは、八の字巻き以外の、一方向に引き出した際によじれを生じないようにすることが可能な、その他の種々の方法によって箱体の内部に纏めて収容されていても良い。ケーブル収納カートリッジを形成する箱体は、側面が開閉可能な六面体形状を備えるものである必要は必ずしも無く、例えば底面以外の面が開放された、枠形状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0033】
10 シールド掘進機(トンネル掘削用重機)
10a 外殻体
11 トンネル坑内
12 台車
13 継足し領域
14 ケーブル収納用の箱体
14a 開口面
15 動力ケーブル
15a 先行して敷設される動力ケーブル
16 ケーブル収納カートリッジ
17 コネクター
18 ケーブル台車18
19 トランス台車
20 トランス
21 レール部材
22 セグメント覆工体
23 エレクター装置
24 セグメント台車
24a セグメント
25a 中央レール部
25b サイドレール部
26 搬送台車
27 チェーンブロック
27a 吊上げ部材
X トンネルの掘進方向
Y トンネルの横断方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7