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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】室内機および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0068 20190101AFI20240709BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20240709BHJP
   F24F 1/0059 20190101ALI20240709BHJP
【FI】
F24F1/0068
F24F1/0007 401D
F24F1/0059
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021161746
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023051205
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳司
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140998(JP,A)
【文献】特開2013-155892(JP,A)
【文献】特開2005-262248(JP,A)
【文献】特開平4-359797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F28F19/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(15)と、
上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)と
を備え、
上記接続配管(31,32,2031,4031)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管(311,321)と、
上記第1冷媒配管(311,321,4311)の第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成されると共に、一端が上記第1冷媒配管(311,321,4311)の他端に接続され、他端にはフレアユニオンが固定されている、第2冷媒配管(312,322,2312)と
を備え、
上記第1冷媒配管(311,321,4311)は、
略鉛直方向に沿って延びる第1部分(311a)と、
上記第1部分(311a)の上記第2冷媒配管(312,322,2312)側の端部に連なると共に、屈曲する第2部分(311b)と、
上記第2部分(311b)の上記第2冷媒配管(312,322,2312)側の端部に連なると共に、略水平方向に沿って延びる第3部分(311c)と
を備え、
上記第1部分(311a)は、上記熱交換器(15)の側方に配置されて、上記熱交換器(15)の長手方向に直交する短手方向に沿って延び、
上記第3部分(311c)は、上記熱交換器(15)の長手方向に沿って延び、
上記第1冷媒配管(311,321,4311)に密着して、上記第3部分(311c)の上記第2冷媒配管(312,322,2312)側の端部から上記第2部分(311b)までを覆う被覆部材(51)またはコーティング膜が設けられ
上記被覆部材(51)またはコーティング膜は、上記第1部分(311a)を覆わずに、上記第3部分(311c)の上記第2冷媒配管(312,322,2312)側の端部から上記第2部分(311b)までを覆う室内機(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の室内機(1)において、
上記第2冷媒配管(2312)の上記第1冷媒配管(311)側の端部は、上記被覆部材(51)またはコーティング膜で覆われている、室内機(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記第2冷媒配管(312,322)は、ステンレス製の第3冷媒配管(313,323)を介して上記第1冷媒配管(311,321)の他端に接続され、
上記第3冷媒配管(313,323)は、上記被覆部材(51)またはコーティング膜で覆われている、室内機(1)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記被覆部材(51)またはコーティング膜は、断熱材からなる筒部材(61)で覆われている、室内機(1)。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記第1冷媒配管(4311)は、上記熱交換器(15)と上記第1部分(311a)との間に位置する第4部分(4311d)を有し、
上記第1部分(311a)は、上記第4部分(4311d)に接合部(14311d)を介して接続されている、室内機(1)。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の室内機(1)を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機としては、空気調和機の一部を構成するものがある(例えば、特許文献1特開2015-140998号公報(特許文献1)参照)。この室内機は、ケーシングと、このケーシング内に配置される熱交換器とを備える。
【0003】
上記熱交換器には第1冷媒配管の一端部が接続されている。この第1冷媒配管の他端部には第2冷媒配管の一端部が接続されている。
【0004】
上記第1冷媒配管はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。一方、上記第2冷媒配管は銅または銅合金で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-140998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記室内機では、第2冷媒配管の一端部の位置が第1冷媒配管の他端の位置より高い場合、第2冷媒配管で結露が発生したとき、銅イオンを含んだ結露水が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の第1冷媒配管に流れてしまう。
【0007】
したがって、上記銅イオンを含んだ結露水が第1冷媒配管に接触すると、銅とアルミニウムとの電位差から第1冷媒配管で電蝕が進行する恐れがある。そのため、上記室内機には、第1冷媒配管における電蝕の発生を抑制する対策が必要となる。
【0008】
本開示の課題は、第1冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる室内機および空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の室内機は、
熱交換器と、
上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管と
を備え、
上記接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、
上記第1冷媒配管の第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成されると共に、一端が上記第1冷媒配管の他端に接続される第2冷媒配管と
を備え、
上記第1冷媒配管は、
略鉛直方向に沿って延びる第1部分と、
上記第1部分の上記第2冷媒配管側の端部に連なると共に、屈曲する第2部分と
上記第2部分の上記第2冷媒配管側の端部に連なると共に、略水平方向に沿って延びる第3部分と
を備え、
上記第1冷媒配管に密着して、上記第3部分の上記第2冷媒配管側の端部から上記第2部分までを覆う被覆部材またはコーティング膜が設けられている。
【0010】
ここで、上記第2冷媒配管側とは、第1冷媒配管から第2冷媒配管へ冷媒が流れるとき、冷媒の流れの下流側に相当する一方、第2冷媒配管から第1冷媒配管へ冷媒が流れるとき、冷媒の流れの上流側に相当する。
【0011】
また、上記略鉛直方向とは、鉛直方向、または、鉛直方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。
【0012】
また、上記略水平方向とは、水平方向、または、水平方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。
【0013】
上記構成によれば、上記被覆部材またはコーティング膜が第1冷媒配管の第3部分における第2冷媒配管側の端部から第2部分までを覆っているので、第1冷媒配管における電蝕の発生を抑制することができる。
【0014】
本開示の一態様の室内機では、
上記第2冷媒配管の上記第1冷媒配管側の端部は、上記被覆部材またはコーティング膜で覆われている。
【0015】
ここで、上記第1冷媒配管側とは、第1冷媒配管から第2冷媒配管へ冷媒が流れるとき、冷媒の流れの上流側に相当する一方、第2冷媒配管から第1冷媒配管へ冷媒が流れるとき、冷媒の流れの下流側に相当する。
【0016】
上記態様によれば、上記被覆部材またはコーティング膜が第2冷媒配管の第1冷媒配管側の端部を覆うので、第1冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0017】
本開示の一態様の室内機では、
上記第2冷媒配管は、ステンレス製の第3冷媒配管を介して上記第1冷媒配管の他端に接続され、
上記第3冷媒配管は、上記被覆部材またはコーティング膜で覆われている。
【0018】
上記態様によれば、上記第1冷媒配管の他端と第2冷媒配管の一端との間に第3冷媒配管が配置されていても、被覆部材またはコーティング膜が第3冷媒配管を覆うので、第1冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0019】
本開示の一態様の室内機では、
上記被覆部材またはコーティング膜は、断熱材からなる筒部材で覆われている。
【0020】
上記態様によれば、上記筒部材が被覆部材またはコーティング膜を覆うので、筒部材外からの液体が被覆部材またはコーティング膜へ付着するのを抑制することができる。
【0021】
本開示の一態様の室内機では、
上記第1冷媒配管は、上記熱交換器と上記第1部分との間に位置する第4部分を有し、
上記第1部分は、上記第4部分に接合部を介して接続されている。
【0022】
上記態様によれば、上記第1部分と第4部分との接続を接合部を介して行うことにより、第1冷媒配管への被覆部材の取り付けが容易となる。
【0023】
本開示の空気調和機は、
上述した室内機のうちのいずれか一つの室内機を備える。
【0024】
上記構成によれば、上記室内機を備えるので、第1冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の第1実施形態の空気調和機の冷媒回路図である。
図2】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の斜視図である。
図3】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の正面図である。
図4】上記第1実施形態の室内熱交換器およびその周辺部の正面図である。
図5】上記第1実施形態の液冷媒用接続配管およびその周辺部の正面図である。
図6】上記第1実施形態の液冷媒用接続配管およびその周辺部の上面図である。
図7】上記第1実施形態の液冷媒用接続配管およびその周辺部の左側面図である。
図8】本開示の第2実施形態の液冷媒用接続配管の要部の拡大図である。
図9】本開示の第3実施形態の液冷媒用接続配管およびその周辺部の正面図である。
図10】本開示の第4実施形態の液冷媒用接続配管およびその周辺部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の室内機および空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、説明中の上下左右は、室内機を室内に設置した状態での上下左右に対応する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の空気調和機が備える冷媒回路RCを示す。この空気調和機は、室内機1と室外機2とが一対一のペア型の空気調和機である。
【0028】
上記空気調和機は、室内機1と、この室内機1に冷媒回路RCを介して接続された室外機2とを備えている。
【0029】
冷媒回路RCは、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨張弁14と、熱交換器の一例としての室内熱交換器15と、アキュムレータ16とを有する。この圧縮機11の駆動に伴い、冷媒(例えば、R410A、R32などのHFC冷媒)が冷媒回路RCを循環する。
【0030】
より詳しく説明すると、圧縮機11の吐出側の部分には四路切換弁12の一端が接続されている。四路切換弁12の他端には室外熱交換器13の一端が接続されている。室外熱交換器13の他端には電動膨張弁14の一端が接続されている。電動膨張弁14の他端には、閉鎖弁V1および連絡配管L1を介して室内熱交換器15の一端が接続されている。室内熱交換器15の他端には、連絡配管L2,閉鎖弁V2および四路切換弁12を介してアキュムレータ16の一端が接続されている。アキュムレータ16の他端には圧縮機11の吸入側の部分が接続されている。
【0031】
また、室内熱交換器15および室内ファン18は、室内機1に搭載されている。この室内ファン18は、例えばクロスフローファンであり、室内熱交換器15を介して室内空気を吸い込む。
【0032】
また、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、電動膨張弁14、アキュムレータ16および室外ファン17は、室外機2に搭載されている。
【0033】
上記空気調和機は、冷房運転時および除湿運転時、四路切換弁12を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する一方、暖房運転時、四路切換弁12を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する。なお、図1中の実線矢印の方向は、冷房運転時および除湿運転時に冷媒が流れる方向を示す。また、図1中の点線矢印の方向は、暖房運転時に冷媒が流れる方向を示す。
【0034】
図2は、室内機1を斜め上方から見た図である。また、図3は、室内機1を前側から見た図である。
【0035】
室内機1は、図2図3に示すように、ケーシング21を備え、室内熱交換器15、室内ファン18などがケーシング21内に収容されている。
【0036】
ケーシング21の上部には、室内空気を吸い込む吸込口22が設けられている。室内ファン18の駆動時、室内空気が吸込口22からケーシング21内に入って室内ファン18に向かう。このとき、室内空気と共に埃などがケーシング21内に入らないようにするため、フィルタ(図示せず)が吸込口22に取り付けられている。
【0037】
ケーシング21の下部には、室内ファン18からの空気(室内熱交換器15と熱交換した室内空気)を吹き出す吹出口23が設けられている。この吹出口23の周縁部には、水平フラップ24が回動可能に取り付けられている。
【0038】
水平フラップ24は、冷房運転などが開始すると、吹出口23を塞ぐような停止姿勢から、吹出口23を開くような運転姿勢に移行して、吹出口23から吹き出される空気の上下方向の風向を調整する。
【0039】
図4は、室内熱交換器15およびその周辺部を前側から見た図である。
【0040】
室内熱交換器15は、熱交換部151と、この熱交換部151を左右方向に貫通する複数の伝熱管152とを有する。この熱交換部151および各伝熱管152は、それぞれ、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
【0041】
また、室内機1は、室内熱交換器15の伝熱管152に流体的に接続され、冷媒が流れる接続配管30を備えている。
【0042】
接続配管30は、連絡配管L1の一部を構成する液冷媒用接続配管31と、連絡配管L2の一部を構成するガス冷媒用接続配管32とで構成されている。この液冷媒用接続配管31は、冷房運転時および除湿運転時、電動膨張弁14からの液冷媒を室内熱交換器15へ案内する。一方、ガス冷媒用接続配管32は、冷房運転時および除湿運転時、室内熱交換器15からのガス冷媒を圧縮機11へ案内する。なお、液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32は、それぞれ、接続配管の一例である。
【0043】
<液冷媒用接続配管31の構成>
液冷媒用接続配管31は、一端が室内熱交換器15の伝熱管152に流体的に接続されると共に、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1液冷媒配管311と、銅または銅合金で形成された第2液冷媒配管312とを備えている。なお、第1液冷媒配管311は、第1冷媒配管の一例である。また、上記アルミニウムおよびアルミニウム合金は、それぞれ、第1の金属の一例である。また、第2液冷媒配管312は、第2冷媒配管の一例である。また、上記銅および銅合金は、それぞれ、第2の金属の一例である。
【0044】
また、第2液冷媒配管312の一端は、ステンレス製の第3液冷媒配管313を介して、第1液冷媒配管311の他端に流体的に接続されている。一方、第2液冷媒配管312の他端には、液冷媒用フレアユニオン41がろう付けで固定されている。なお、第3液冷媒配管313は、第3冷媒配管の一例である。
【0045】
第3液冷媒配管313は、一端部の外径よりも他端部の外径が大きくなっている。また、第3液冷媒配管313の一端部は、第1液冷媒配管311の第3液冷媒配管313側の端部に繋がっている。一方、第3液冷媒配管313の他端部は、第2液冷媒配管312の第3液冷媒配管313側の端部に繋がっている。
【0046】
より詳しく説明すると、第3液冷媒配管313の第1液冷媒配管311側の端部は、拡管成形さておらず、第1液冷媒配管311の第3液冷媒配管313側の端部内に挿入されて、ろう付けで第1液冷媒配管311に固定されている。第3液冷媒配管313の第2液冷媒配管312側の端部は、拡管成形さており、第2液冷媒配管312の第3液冷媒配管313側の端部が挿入されて、ろう付けで第2液冷媒配管312に固定されている。
【0047】
なお、第1液冷媒配管311の第3液冷媒配管313側の端部も、第3液冷媒配管313の第2液冷媒配管312側の端部と同様に拡管成形され、第1液冷媒配管311の他の部分に比べて外径が大きくなっている。
【0048】
<ガス冷媒用接続配管32の構成>
ガス冷媒用接続配管32は、液冷媒用接続配管31と同様に構成されて、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1ガス冷媒配管321と、銅または銅合金製の第2ガス冷媒配管322とを備えている。なお、第1ガス冷媒配管321は、第1冷媒配管の一例である。また、第2ガス冷媒配管322は、第2冷媒配管の一例である。
【0049】
第1ガス冷媒配管321の一端は、室内熱交換器15の伝熱管152に流体的に接続されている。
【0050】
第2ガス冷媒配管322の一端は、ステンレス製の第3ガス冷媒配管323を介して、第1ガス冷媒配管321の他端に流体的に接続されている。一方、第2ガス冷媒配管322の他端には、ガス冷媒用フレアユニオン42がろう付けで固定されている。
【0051】
図5は、液冷媒用接続配管31およびその周辺部を前側から見た図である。また、図6は、液冷媒用接続配管31およびその周辺部を上側から見た図である。また、図7は、液冷媒用接続配管31およびその周辺部を左側から見た図である。
【0052】
液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311は、略鉛直方向に沿って延びる第1部分311aを有する。なお、上記略鉛直方向は、鉛直方向を指すか、または、鉛直方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を指す。
【0053】
<第1液冷媒配管311の第2液冷媒配管312側の構成>
第1液冷媒配管311は、第1部分311aよりも第2液冷媒配管312側に、第1部分311aと一体的に形成された第2部分311bを有する。この第2部分311bは、第1部分311aの下端部に連なると共に、その下端部から第2液冷媒配管312側に向かうように屈曲している。なお、第1部分311aの下端部は、第1部分311aの第2液冷媒配管312側の端部に相当する。
【0054】
また、第1液冷媒配管311は、第2部分311bよりも第2液冷媒配管312側に、第2部分311bと一体的に形成された第3部分311cを有する。この第3部分311cは、第2部分311bの第2液冷媒配管312側の端部に連なると共に、略水平方向に沿って延びている。なお、上記略水平方向とは、水平方向を指すか、または、水平方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を指す。
【0055】
また、第1液冷媒配管311の外周面において、第3部分311cの第2液冷媒配管312側の端部から第2部分311bの第1部分311a側の端部までは、防水チューブ51で全周にわたって覆われている。この防水チューブ51は、防水性を有する材料(例えば、塩化ビニール、シリコンゴム、フッ素系ポリマーなど)からなるチューブを、加熱して収縮させて形成されている。これにより、防水チューブ51は第2部分311bおよび第3部分311cの外周面に密着している。なお、防水チューブ51は被覆部材の一例である。
【0056】
また、防水チューブ51は、第3液冷媒配管313の第1液冷媒配管311側の端部の外周面にも密着して、この端部を全周にわたって覆っている。
【0057】
<第1液冷媒配管311の室内熱交換器15側の構成>
第1液冷媒配管311は、第1部分311aよりも室内熱交換器15側に、第1部分311aと一体的に形成された第4部分311dを有する。この第4部分311dの右側下端部は、第1部分311aの上端部に連なる。また、第4部分311dは、第1部分311aの上端部から室内熱交換器15側に曲がるようにUターンする形状になっている。なお、第4部分311dの右側下端部は、第4部分311dの第2液冷媒配管312側の端部に相当する。また、第1部分311aの上端部は、第1部分311aの室内熱交換器15側の端部に相当する。
【0058】
また、第1液冷媒配管311は、第4部分311dよりも室内熱交換器15側に、第4部分311dと一体的に形成された第5部分311eを有する。この第5部分311eは、第4部分311dの左側下端部に連なると共に、その左側下端部から分流器33側に向かうように屈曲している。なお、第4部分311dの左側下端部は、第4部分311dの室内熱交換器15側の端部に相当する。
【0059】
また、第1液冷媒配管311は、第5部分311eよりも室内熱交換器15側に、第5部分311eと一体的に形成された第6部分311fを有する。この第6部分311fは、第5部分311eの室内熱交換器15側の端部から分流器33まで延びている。
【0060】
分流器33は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。この分流器33の室内熱交換器15側の端部には、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された枝配管34がろう付けで固定されている。
【0061】
上記構成の空気調和機では、第1液冷媒配管311の第2部分311bおよび第3部分311cの外周面が全周にわたって防水チューブ51で覆われている。これにより、例えば、銅イオンを含んだ結露水が第2液冷媒配管312側から第1液冷媒配管311側へ流れたとしても、第1液冷媒配管311の第2部分311bおよび第3部分311cへの結露水の付着を抑制することができる。要するに、防水チューブ51は、銅イオンを含んだ結露水が第1液冷媒配管311の第2部分311bおよび第3部分311cに付着する可能性を下げることができる。したがって、第1液冷媒配管311における電蝕の発生を抑制することができる。
【0062】
また、防水チューブ51が第1液冷媒配管311の外周面に密着するので、結露水などの液体が防水チューブ51と第1液冷媒配管311との間に侵入する可能性を下げることができる。したがって、第1液冷媒配管311における電蝕の抑制効果を高めることができる。
【0063】
また、防水チューブ51は第3液冷媒配管313の第1液冷媒配管311側の端部の外周面も覆うので、第1液冷媒配管311の他端側から第1液冷媒配管311と防水チューブ51との間に液体が侵入する可能性を下げることができる。したがって、第1液冷媒配管311における電蝕の抑制効果を高めることができる。
【0064】
また、防水チューブ51は、第1液冷媒配管311の第1部分311aを覆わないように形成されているので、第1液冷媒配管311の第1部分311aを覆うように形成されたときに比べて、軸方向の長さを短くすることができる。したがって、防水チューブ51の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0065】
また、仮に、結露水などの液体が第1液冷媒配管311の第1部分311aに付着したとしても、第1部分311aは略鉛直方向に沿って延びているので、液体は第2部分311b側に流れ落ちる。したがって、第1液冷媒配管311の第1部分311aの外周面を防水チューブ51で覆っていなくても、第1部分311aにおける電蝕発生のリスクは低くなっている。
【0066】
上記第1実施形態の空気調和機では、1つの室外機2に対して、室内機1を1つ接続していたが、室内機1を複数接続するようにしてもよい。別の言い方をすれば、上記空気調和機は、ペア型であったが、マルチ型にしてもよい。
【0067】
上記第1実施形態では、第1液冷媒配管311は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていたが、アルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。このようにする場合も、第1液冷媒配管311を形成するための金属は、第2液冷媒配管312を形成するめの金属に対して電位的に卑となるように選択される。
【0068】
上記第1実施形態では、第2液冷媒配管312は、銅または銅合金で形成されていたが、銅または銅合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。このようにする場合も、第2液冷媒配管312を形成するための金属は、第1液冷媒配管311を形成するめの金属に対して電位的に貴となるように選択される。
【0069】
上記第1実施形態では、第1ガス冷媒配管321は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていたが、アルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。このようにする場合も、第1ガス冷媒配管321を形成するための金属は、第2ガス冷媒配管322を形成するめの金属に対して電位的に卑となるように選択される。
【0070】
上記第1実施形態では、第2ガス冷媒配管322は、銅または銅合金で形成されていたが、銅または銅合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。このようにする場合も、第2ガス冷媒配管322を形成するための金属は、第1ガス冷媒配管321を形成するめの金属に対して電位的に貴となるように選択される。
【0071】
上記第1実施形態では、室内熱交換器15の伝熱管152と第1液冷媒配管311の一端との間に、分流器33および枝配管34を介在させていたが、分流器33および枝配管34を介在させないようにしてもよい。別の言い方をすれば、室内熱交換器15の伝熱管152に第1液冷媒配管311の一端を直接接続してもよい。
【0072】
上記第1実施形態では、1つの冷媒流を2つの冷媒流に分ける分流器33を用いていたが、1つの冷媒流を3つ以上の冷媒流に分ける分流器33を用いるようにしてもよい。
【0073】
上記第1実施形態では、第1液冷媒配管311の他端と第2液冷媒配管312の一端との間に、第3液冷媒配管313を介在させていたが、第3液冷媒配管313を介在させないようにしてもよい。別の言い方をすれば、第1液冷媒配管311の他端に第2液冷媒配管312の一端を直接接続してもよい。
【0074】
上記第1実施形態では、防水チューブ51は、液冷媒用接続配管31に設けられていたが、液冷媒用接続配管31に設けられたときと同様に、ガス冷媒用接続配管32に設けられるようにしてもよい。
【0075】
上記第1実施形態では、防水チューブ51は、第2部分311bの全部の外周面を覆っていたが、第2部分311bの第3部分311c側の端部の外周面を覆うが、第2部分311bの他の部分の外周面を覆わないようにしてもよい。
【0076】
上記第1実施形態では、防水チューブ51は、第3液冷媒配管313の第2液冷媒配管312側の端部の外周面を覆うように形成されていなかったが、第3液冷媒配管313の第2液冷媒配管312側の端部の外周面を覆うように形成されもよい。別の言い方をすれば、防水チューブ51は、第3液冷媒配管313の全部の外周面を覆うように形成されてもよい。
【0077】
上記第1実施形態では、第1液冷媒配管311の第2部分311bおよび第3部分311cの外周面を防水チューブ51で覆っていた、第1液冷媒配管311の第2部分311bおよび第3部分311cの外周面をコーティング膜で覆うようにしてもよい。このコーティング膜は、防水性を有する材料(例えば、フッ素樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)、アクリルゴムなど)からなっている。また、上記材料は、耐熱性または弾性を有してもよい。
【0078】
また、上記コーティング膜は、第3液冷媒配管313の外周面を覆わないように形成してもよいし、第3液冷媒配管313の外周面を覆うように形成してもよい。第3液冷媒配管313の外周面をコーティング膜で覆う場合、第1液冷媒配管311と第3液冷媒配管313との接続箇所は、少なくとも覆うようにする。
【0079】
〔第2実施形態〕
図8は、本開示の第2実施形態の空気調和機の液冷媒用接続配管2031の要部を拡大した図である。この第2実施形態の空気調和機は、第1液冷媒配管311の他端と液冷媒用フレアユニオン41との間の構成を除いて、第1実施形態の空気調和機と同様に構成されている。
【0080】
上記第2実施形態の空気調和機では、液冷媒用接続配管2031がステンレス製の第2液冷媒配管2312を有している。この第2液冷媒配管2312の一端は、第3液冷媒配管313を介さずに、第1液冷媒配管311の他端に流体的に接続されている。なお、第2液冷媒配管2312は、第2冷媒配管の一例です。
【0081】
また、防水チューブ51は、第2液冷媒配管2312の第1液冷媒配管311側の端部の外周面に密着して、この端部を全周にわたって覆っている。
【0082】
上記構成の空気調和機では、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管2312との間に第3液冷媒配管313を介在させないので、部品点数を減らすことができる。したがって、上記空気調和機の製造工程を簡略化することができる。
【0083】
また、第2液冷媒配管2312はステンレスで形成されているので、第2液冷媒配管2312の錆の進行を抑制することができる。
【0084】
また、防水チューブ51は第2液冷媒配管2312の第1液冷媒配管311側の端部の外周面も覆うので、第1液冷媒配管311の他端側から防水チューブ51と第1液冷媒配管311との間に液体が侵入する可能性を下げることができる。したがって、第1液冷媒配管311における電蝕の抑制効果を高めることができる。
【0085】
〔第3実施形態〕
図9は、本開示の第3実施形態の空気調和機の液冷媒用接続配管31およびその周辺部を前側から見た図である。
【0086】
上記第3実施形態の空気調和機は、防水チューブ51を覆う筒部材61を備えている点を除いて、第1実施形態の空気調和機と同様に構成されている。
【0087】
筒部材61は、断熱材(例えば発泡ポリエステル)で形成されている。この筒部材61は、第1液冷媒配管311の第1部分311aの上端から液冷媒用ユニオンの先端まで覆っている。
【0088】
また、図示しないが、筒部材61内には、液冷媒用接続配管31と同様にガス冷媒用接続配管32の大部分も挿入される。このため、筒部材61は、液冷媒用接続配管31の外径とガス冷媒用接続配管32の外径との和よりも大きくなるように内径が設定されている。
【0089】
上記構成の空気調和機では、筒部材61が防水チューブ51を覆うので、結露水などの液体が被覆部材または防水チューブ51へ付着するのを抑制することができる。したがって、仮に、防水チューブ51に亀裂が入ったとしても、第1液冷媒配管311における電蝕の発生を抑制することができる。
【0090】
〔第4実施形態〕
図10は、本開示の第4実施形態の空気調和機の液冷媒用接続配管4031およびその周辺部を前側から見た図である。
【0091】
上記第4実施形態の空気調和機は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された液冷媒用接続配管4031を備えている点を除いて、第1実施形態の空気調和機と同様に構成されている。なお、液冷媒用接続配管4031は、接続配管の一例である。
【0092】
液冷媒用接続配管4031は、2つの管部材を互いに接合することで形成された第1液冷媒配管4311を備えている。
【0093】
より詳しく説明すると、第1液冷媒配管4311は、室内熱交換器15と第1部分311aとの間に位置する第4部分4311dを有する。この接合部14311dは、第4部分4311dの第2液冷媒配管312側の端部であって、第4部分4311dにおいて拡管形成された部分である。また、接合部14311dには、第1部分311aの上端部が挿入されてろう付けで固定されている。
【0094】
上記構成の空気調和機では、液冷媒用接続配管4031には接合部14311dが設けられているので、接合部14311dへの第1部分311aの上端部のろう付け前、熱収縮前の防水チューブ51内に第1部分311aの上端部を挿入することができる。したがって、防水チューブ51の取り付けを容易に行うことができる。
【0095】
上記第4実施形態では、接合部14311dは、第4部分4311dの第2液冷媒配管312側の端部に設けられていたが、第4部分4311dの第2液冷媒配管312側の端部に設けないで、第1部分311aの上端部に設けられてもよい。
【0096】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第4実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1~第4実施形態で記載した内容の一部を削除または置換したものを、本開示の一実施形態としてもよい。また、上記第1実施形態の変形例のように、第2~第4実施形態を変形してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 室内機
15 室内熱交換器
31,2031 液冷媒用接続配管
32 ガス冷媒用接続配管
33 分流器
41 液冷媒用フレアユニオン
42 ガス冷媒用フレアユニオン
51 防水チューブ
61 筒部材
151 熱交換部
152 伝熱管
311,4311 第1液冷媒配管
311a 第1部分
311b 第2部分
311c 第3部分
311d,4311d 第4部分
311e 第5部分
311f 第6部分
312,2312 第2液冷媒配管
313 第3液冷媒配管
321 第1ガス冷媒配管
322 第2ガス冷媒配管
14311d 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10