(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】重ね合わせ内装部品及び重ね合わせ内装部品用のクッション部材
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20240709BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B60R13/02 B
F16B5/07 H
(21)【出願番号】P 2021173161
(22)【出願日】2021-10-22
【審査請求日】2023-09-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 文彦
(72)【発明者】
【氏名】大沼 健二
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/132677(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/202626(WO,A1)
【文献】特開2017-171158(JP,A)
【文献】特開平04-225035(JP,A)
【文献】実開平07-028632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材を覆う表皮材と、前記基材と前記表皮材との間に設けられるクッション部材と、を備え、前記基材、前記クッション部材、及び前記表皮材が重ね合わせられてなる重ね合わせ内装部品において、
前記クッション部材は、
前記表皮材に面接触する接触面及び複数の貫通孔を有する基部と、
前記貫通孔の各々の縁から前記基材に向かって突出する突起と、を有し、
前記突起は、当該貫通孔の中心を通るとともに前記接触面に直交して延在する仮想軸線に向かって曲がって延びる曲がり部を有
し、
前記縁は、前記接触面の面方向において湾曲して延びており、
前記突起は、前記縁に沿って湾曲している、
重ね合わせ内装部品。
【請求項2】
前記突起は、前記縁から前記仮想軸線に向かって傾斜して延びる傾斜部を有しており、
前記曲がり部は、前記傾斜部の先端側に連なって延びている、
請求項1に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項3】
前記貫通孔は、平面視扇形状であり、
前記縁は、扇形の弧の部分であり、
前記突起は、前記縁に沿って円弧状に湾曲している、
請求項1または請求項2に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項4】
前記仮想軸線を第1仮想軸線とし、前記第1仮想軸線に直交して延びる仮想軸線を第2仮想軸線とするとき、
複数の前記貫通孔が、前記第2仮想軸線に沿って互いに一定の間隔をおいて並んで設けられており、
前記第2仮想軸線の軸線方向において隣り合う前記突起同士は、当該軸線方向において前記突起の先端同士が隣り合わないように配置されている、
請求項3に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項5】
前記第1仮想軸線及び前記第2仮想軸線の双方に直交する仮想軸線を第3仮想軸線とするとき、
複数の前記貫通孔が、前記第3仮想軸線に沿って互いに一定の間隔をおいて並んで設けられており、
前記第3仮想軸線の軸線方向において隣り合う前記突起同士は、当該軸線方向において前記突起の先端同士が隣り合わないように配置されている、
請求項4に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項6】
基材と、前記基材を覆う表皮材との間に設けられ、前記基材及び前記表皮材と重ね合わせられることで重ね合わせ内装部品を構成するクッション部材であって、
前記表皮材に接触する接触面及び複数の貫通孔を有する基部と、
前記貫通孔の縁から前記基材に向かって突出する突起と、を有し、
前記突起は、当該貫通孔の中心を通るとともに前記接触面に直交して延在する仮想軸線に向かって曲がって延びる曲がり部を有し、
前記縁は、前記接触面の面方向において湾曲して延びており、
前記突起は、前記縁に沿って湾曲している、
重ね合わせ内装部品用のクッション部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせ内装部品及び重ね合わせ内装部品用のクッション部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の部材と、第1の部材に向かって突出するとともに撓み変形可能とされた先細状の複数の突起を有する第2部材とを備える内装部品が開示されている。
こうした内装部品によれば、第2の部材が第1の部材に向けて押し込まれると、複数の突起の一部または全体が第1の部材と接触するとともに撓み変形する。このため、使用者に対して、発泡ウレタンなどの発泡材が埋め込まれた内装部品に似た触感を提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第2の部材の押し込み量を大きくするために、突起の長さを長くすると、以下の不都合が生じるおそれがある。すなわち、上述したように、突起は先細状であることから、突起の長さを長くすると、これに伴って突起の基端部が太くなる。そのため、第2の部材の表皮部分のうち突起の基端部分とそれ以外の部分とで厚さの差が大きくなるとともに、これに起因して熱収縮量の差が大きくなる。その結果、熱収縮に伴う成形不良、所謂ヒケが第2の部材の表皮部分に発生しやすくなることで、意匠性が損なわれるおそれがある。
【0005】
これに対して、上記表皮部分を厚くすることでヒケの発生を抑えるようにすると、第2の部材を押し込む際の触感が硬くなるといった別の問題が生じる。
なお、上述したヒケの問題は、先細状の突起に限定されるものではなく、一定の太さの突起であっても、第2の部材の押し込み量を大きくするために突起を長くすることに伴って突起を太くした場合には同様にして生じることとなる。
【0006】
また、押し込み量を大きくするために突起を長くすると、第2の部材を押し込む際の反発荷重が小さくなるという背反が生じることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための重ね合わせ内装部品は、基材と、前記基材を覆う表皮材と、前記基材と前記表皮材との間に設けられるクッション部材と、を備え、前記基材、前記クッション部材、及び前記表皮材が重ね合わせられてなる。前記クッション部材は、前記表皮材に面接触する接触面及び複数の貫通孔を有する基部と、前記貫通孔の各々の縁から前記基材に向かって突出する突起と、を有し、前記突起は、当該貫通孔の中心を通るとともに前記接触面に直交して延在する仮想軸線に向かって曲がって延びる曲がり部を有する。
【0008】
また、上記課題を解決するための重ね合わせ内装部品用のクッション部材は、基材と、前記基材を覆う表皮材との間に設けられ、前記基材及び前記表皮材と重ね合わせられることで重ね合わせ内装部品を構成する。前記クッション部材は、前記表皮材に接触する接触面及び複数の貫通孔を有する基部と、前記貫通孔の縁から前記基材に向かって突出する突起と、を有し、前記突起は、当該貫通孔の中心を通るとともに前記接触面に直交して延在する仮想軸線に向かって曲がって延びる曲がり部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、重ね合わせ内装部品の一実施形態について、内装部品の断面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態のクッション部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態のクッション部材の平面図である。
【
図4】
図4(a)は、潰れ変形している突起を示す断面図であり、
図4(b)は、倒れ変形している突起を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1変形例のクッション部材の平面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例のクッション部材の平面図である。
【
図7】
図7は、第3変形例のクッション部材の斜視図である。
【
図8】
図8は、第3変形例のクッション部材の側面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例のクッション部材の斜視図である。
【
図11】
図11は、第4変形例のクッション部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図4を参照して、一実施形態について説明する。なお、
図1は、
図3の1-1線に沿った断面図である。
<重ね合わせ内装部品の全体構成>
図1に示すように、重ね合わせ内装部品(以下、内装部品10)は、基材11と、基材11を覆う薄板状の表皮材12と、基材11と表皮材12との間に設けられるクッション部材13とを備えている。基材11、クッション部材13、及び表皮材12が重ね合わされることで内装部品10が構成されている。
【0011】
内装部品10は、例えば自動車のドアトリムである。
<重ね合わせ内装部品の各部構成>
図1に示すように、基材11は、ポリプロピレンなどの硬質樹脂材料により形成されている。
【0012】
表皮材12は、軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質樹脂材料により形成されている。
図1~
図3に示すように、クッション部材13は、表皮材12に面接触する接触面21及び複数の貫通孔22を有する板状の基部20と、各貫通孔22の縁23から基材11に向かって突出する突起30とを有している。基材11は、一定の厚さを有している。クッション部材13は、軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質樹脂材料により一体成形されている。
【0013】
突起30は、1つの貫通孔22に対して1つだけ設けられている。
なお、以降において、貫通孔22の中心を通るとともに接触面21に直交して延在する仮想軸線を第1仮想軸線V1として説明する。また、第1仮想軸線V1に直交して延びる仮想軸線を第2仮想軸線V2とするとともに、第1仮想軸線V1及び第2仮想軸線V2の双方に直交する仮想軸線を第3仮想軸線V3として説明する。
【0014】
図2及び
図3に示すように、複数の貫通孔22は、第2仮想軸線V2に沿って互いに一定の間隔d2をおいて並んで設けられている。また、複数の貫通孔22は、第3仮想軸線V3に沿って互いに一定の間隔d3をおいて並んで設けられている。本実施形態では、第2仮想軸線V2の軸線方向における貫通孔22同士の間隔d2と、第3仮想軸線V3の軸線方向における貫通孔22同士の間隔d3とが同一である(d2=d3)。
【0015】
各貫通孔22は、貫通孔22は、平面視扇形状である。縁23は、扇形の弧の部分である。貫通孔22の扇形の中心角は、90度である。
図1及び
図2に示すように、突起30は、縁23から第1仮想軸線V1に向かって傾斜して延びる傾斜部31と、傾斜部31の先端側に連なるとともに第1仮想軸線V1に向かって曲がって延びる曲がり部32とを有している。曲がり部32は、第1仮想軸線V1に向かって円弧状に湾曲している。
【0016】
図2及び
図3に示すように、
突起30は、縁23に沿って円弧状に湾曲している。すなわち、縁23は、接触面21の面方向において湾曲して延びている。また、突起30は、縁23に沿って湾曲している。
【0017】
図3に示すように、第2仮想軸線V2の軸線方向(
図3の上下方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。
【0018】
本実施形態では、
図3の左から奇数番目の上下の列では、先端33が
図3の右上に位置する突起30と、先端33が
図3の左上に位置する突起30とが交互に配置されている。また、
図3の左から偶数番目の上下の列では、先端33が
図3の左下に位置する突起30と、先端33が
図3の右下に位置する突起30とが交互に配置されている。
【0019】
また、第3仮想軸線V3の軸線方向(
図3の左右方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。
【0020】
本実施形態では、
図3の上から奇数番目の左右の列では、先端33が
図3の右上に位置する突起30と、先端33が
図3の左下に位置する突起30とが交互に配置されている。
図3の上から偶数番目の左右の列では、先端33が
図3の左上に位置する突起30と、先端33が
図3の右下に位置する突起30とが交互に配置されている。
【0021】
図1に示すように、表皮材12に対して外力が作用していない状態において、クッション部材13の基部20の接触面21は表皮材12に接触している。また、この状態において、各突起30の先端33は基材11に接触している。
【0022】
図1~
図3に示すように、突起30の基端部は、貫通孔22の内周面よりも貫通孔22の内側に突出している。
図1に示すように、突起30の全体が、当該突起30が設けられている貫通孔22を第1仮想軸線V1に沿って仮想的に延長した領域V内に位置している。
【0023】
次に、本実施形態の作用について説明する。
表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、クッション部材13の基部20から突出する突起30が基材11と接触するとともに撓み変形する。このため、使用者に対して、発泡ウレタンなどの発泡材が埋め込まれた内装部品に似た触感を提示することができる。
【0024】
また、表皮材12自体に突起30を設けなくて済むため、突起30の成形に起因した表皮材12の成形不良の問題を回避できる。
また、表皮材12の厚さを薄くできるため、表皮材12を押し込む際の触感が硬くなることを抑制できる。
【0025】
さらに、固定型及び可動型を用いてクッション部材13を成形する際に、固定型の成形面によって基部20の接触面21を成形するとともに、可動型の成形面によって基部20の上記接触面21とは反対側の面24を成形することができる。この場合、固定型の成形面の凸部(図示略)によって突起30の一部分を成形することができるとともに、基部20の貫通孔22を利用して固定型の成形面の凸部からクッション部材13を引き抜くことができる。このため、突起30がアンダーカットとなることを回避できる(以上、作用1)。
【0026】
本実施形態の突起30は、曲がり部32を有している。このため、
図4(a)に示すように、表皮材12の面方向において突起30の先端33に近い位置が押し込まれると、突起30は潰れるように変形する(以下、潰れ変形)。
【0027】
一方、
図4(b)に示すように、表皮材12の面方向において突起30の先端33から離れた位置が押し込まれると、突起30が倒れるように変形する(以下、倒れ変形)。
ここで、潰れ変形には、倒れ変形に比べて大きな荷重が必要となる(以上、作用2)。
【0028】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)突起30は、貫通孔22の中心を通るとともに接触面21に直交して延在する第1仮想軸線V1に向かって曲がって延びる曲がり部32を有している。
【0029】
こうした構成によれば、上記作用1を奏することから、押し込み量の拡大と意匠性の向上との両立を図ることができる。また、上記作用2を奏することができることから、押し込み量の拡大と反発荷重の増大との両立を図ることができる。
【0030】
(2)突起30は、縁23から第1仮想軸線V1に向かって傾斜して延びる傾斜部31を有している。曲がり部32は、傾斜部31の先端側に連なって延びている。
こうした構成によれば、第1仮想軸線V1に対する傾斜部31の傾斜角度、曲がり部32の曲率、及び第1仮想軸線V1の軸線方向における突起30の長さを変更することによって、押し込み量及び反発荷重の調整を行うことが可能となる。
【0031】
(3)縁23は、接触面21の面方向において湾曲して延びている。突起30は、縁23に沿って湾曲している。
こうした構成によれば、突起30が貫通孔22の中心に向けて倒れにくくなる。このため、押し込み量の拡大と反発荷重の増大との両立を一層図ることができる。
【0032】
(4)貫通孔22は、平面視扇形状である。縁23は、扇形の弧の部分である。突起30は、縁23に沿って円弧状に湾曲するとともに先細状である。
こうした構成によれば、貫通孔22の扇形の中心角を変更することによって、押し込み量及び反発荷重の調整を行うことが可能となる。
【0033】
(5)貫通孔22の扇形の中心角は、90度である。
こうした構成によれば、基部20に対して複数の貫通孔22を密に配置することが可能となる。
【0034】
(6)複数の貫通孔22が、第2仮想軸線V2に沿って互いに一定の間隔をおいて並んで設けられている。第2仮想軸線V2の軸線方向において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。複数の貫通孔22が、第3仮想軸線V3に沿って互いに一定の間隔をおいて並んで設けられている。第3仮想軸線V3の軸線方向において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。
【0035】
上述したように、表皮材12の面方向において突起30の先端33に近い位置ほど反発荷重が大きくなる。このため、複数の貫通孔22を並んで設ける場合、隣り合う突起30の先端33同士が隣り合うように突起30が配置されると、反発荷重の位置によるばらつきが大きくなる。
【0036】
この点、上記構成によれば、反発荷重が位置によってばらつくことを、第2仮想軸線V2の軸線方向及び第3仮想軸線V3の軸線方向の双方において低減することができる。すなわち、反発荷重が位置によってばらつくことを、接触面21の面方向において低減することができる。
【0037】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0038】
・
図5に示す第1変形例のクッション部材13を採用することもできる。
図5の上下の列では、先端33が
図5の左下に位置する突起30と、先端33が
図5の右下に位置する突起30とが交互に配置されている。
図5の上から奇数番目の左右の列では、各突起30の先端33が
図5の左下に位置している。
図5の上から偶数番目の左右の列では、各突起30の先端33が
図5の右下に位置している。
【0039】
この場合であっても、第2仮想軸線V2の軸線方向(
図5の上下方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。また、第3仮想軸線V3の軸線方向(
図5の左右方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合わないように配置されている。したがって、実施形態の効果(1)~(5)に準じた効果を奏することができる。
【0040】
・
図6に示す第2変形例のクッション部材13を採用することもできる。
図6に示すように、クッション部材13には、
図6に二点鎖線にて示す平面視正方形状の複数のパターンPが互いに隣り合って配置されている。
【0041】
上記パターンPは、平面視において全体として略円形状をなすように配置されている4つの突起30によって構成されている。
この4つの突起30のうち第2仮想軸線V2の軸線方向(
図6の上下方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合うように配置されている。また、この4つの突起30のうち第3仮想軸線V3の軸線方向(
図6の左右方向)において隣り合う突起30同士は、当該軸線方向において突起30の先端33同士が隣り合うように配置されている。
【0042】
・貫通孔22の扇形の中心角は、90度に限定されない。貫通孔22の扇形の中心角を例えば120度や60度にすることもできる。
・貫通孔22の形状は、平面視扇形状に限定されない。貫通孔22を平面視円形状にすることもできる。また、貫通孔22を平面視長方形状にすることもできる。
【0043】
・
図7~
図9に示す第3変形例のクッション部材13を採用することもできる。
図7に示すように、貫通孔22は、平面視長方形状である。貫通孔22の長方形状の短辺及び長辺は、それぞれ第2仮想軸線V2及び第3仮想軸線V3に沿って延びている。
【0044】
突起30は、一対の傾斜部31と、曲がり部32とを有している。
一対の傾斜部31は、貫通孔22の一対の短辺に相当する一対の縁23から第1仮想軸線V1に向かって傾斜して延びている。
【0045】
図7及び
図9に示すように、曲がり部32は、一対の傾斜部31の先端側に連なって延びている。曲がり部32は、半円弧状をなしている。
図8に示すように、突起30の幅は、先端側ほど小さくなっている。
【0046】
この場合であっても、実施形態の効果(1)、(2)に準じた効果を奏することができる。
・
図10及び
図11に示す第4変形例のクッション部材13を採用することもできる。
【0047】
図11に示すように、貫通孔22は、平面視円形状である。
図10に示すように、突起30は、貫通孔22の縁23の全周から突出するとともに半球殼状である。突起30は、曲がり部32のみを有しており、傾斜部31を有していない。
【0048】
図11に示すように、突起30の内面には、4つのリブ25が貫通孔22の周方向において90度間隔にて突設されている。リブ25によって突起30の強度が高められている。また、リブ25の数や大きさを変更することによって、反発荷重を調整することができる。
【0049】
・上記実施形態及び第1~3変形例において、突起30の傾斜部31を省略するとともに、突起30が曲がり部32のみによって構成されるようにしてもよい。
・曲がり部は、第1仮想軸線V1に向かって湾曲して延びるものに限定されない。上記実施形態及び変形例の湾曲部32と同様な作用効果を奏するものであれば、屈曲して延びるものであってもよい。
【0050】
・クッション部材13は、軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質樹脂材料により形成されているものに限定されない。要するに、クッション部材13としては、可撓性材料であればよく、硬質樹脂材料により形成されているものであってもよい。
【0051】
・本発明に係る重ね合わせ内装部品10及びクッション部材13は、自動車のドアトリムに適用されるものに限らず、自動車のダッシュボードや、コンソールボックス、インストルメントパネルなど他の内装部品に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…内装部品
11…基材
12…表皮材
13…クッション部材
20…基部
21…接触面
22…貫通孔
23…縁
24…面
25…リブ
30…突起
31…傾斜部
32…曲がり部
33…先端