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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】活物質およびフッ化物イオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/48 20100101AFI20240709BHJP
   H01M 6/14 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 10/056 20100101ALI20240709BHJP
   C01G 49/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M6/14 Z
H01M10/056
C01G49/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021193515
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2022142722
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2021042171
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】三木 秀教
(72)【発明者】
【氏名】内本 喜晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太郎
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/48
H01M 6/14
H01M 10/056
C01G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、
無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方であり、Bは遷移金属元素であり、pは0.8≦p≦1を満たし、qは0.8≦q≦1を満たし、rは1.5≦r≦2.5を満たす)で表される結晶相を備える、活物質。
【請求項2】
前記qに対する前記pの割合(p/q)は、1である、請求項1に記載の活物質。
【請求項3】
前記qに対する前記pの割合(p/q)は、1未満である、請求項1に記載の活物質。
【請求項4】
フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、
無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する結晶相を備え、
前記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.1°±1.0°、2θ=35.1°±1.0°、2θ=46.0°±1.0°および2θ=59.1°±1.0°の位置にピークを有する、活物質。
【請求項5】
フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、
無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する結晶相を備え、
前記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.9°±1.0°、2θ=36.0°±1.0°、2θ=43.6°±1.0°および2θ=56.4°±1.0°の位置にピークを有する、活物質。
【請求項6】
前記Aが、Ca、Sr、Ba、LaおよびCeの少なくとも一種である、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の活物質。
【請求項7】
前記Bが、Fe、NiおよびCuの少なくとも一種である、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の活物質。
【請求項8】
前記Bが、Feである、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の活物質。
【請求項9】
前記結晶相が、CaSr1-xFeO(xは、0<x<1を満たす)で表される、請求項1または請求項4に記載の活物質。
【請求項10】
前記xが、0.6≦x<1を満たす、請求項9に記載の活物質。
【請求項11】
前記結晶相が、CaCuO(pは、0.8≦p<1を満たす)で表される、請求項1または請求項5に記載の活物質。
【請求項12】
正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、前記正極層および前記負極層の間に形成された電解質層とを有するフッ化物イオン電池であって、
前記正極活物質または前記負極活物質が、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の活物質である、フッ化物イオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、活物質およびフッ化物イオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧かつ高エネルギー密度な電池として、例えばLiイオン電池が知られている。Liイオン電池は、Liイオンをキャリアとして用いるカチオンベースの電池である。一方、アニオンベースの電池として、フッ化物イオンをキャリアとして用いるフッ化物イオン電池が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フッ化物イオン電池に用いられる活物質として、層状ペロブスカイト構造を有する結晶相を有する活物質が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-143044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フッ化物イオン電池の性能向上のため、新規な活物質が求められている。本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、フッ化物イオン電池に使用可能な新規の活物質を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示においては、フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方であり、Bは遷移金属元素であり、pは0.8≦p≦1を満たし、qは0.8≦q≦1を満たし、rは1.5≦r≦2.5を満たす)で表される結晶相を備える、活物質を提供する。
【0007】
本開示によれば、無限層構造を有し、かつ、特定の組成を有する結晶相を備える活物質が、フッ化物イオン電池の活物質として機能することを新たに知見した。
【0008】
上記開示において、上記qに対する上記pの割合(p/q)は、1であってもよい。
【0009】
上記開示において、上記qに対する上記pの割合(p/q)は、1未満であってもよい。
【0010】
また、本開示においては、フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する結晶相を備え、上記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.1°±1.0°、2θ=35.1°±1.0°、2θ=46.0°±1.0°および2θ=59.1°±1.0°の位置にピークを有する、活物質を提供する。
【0011】
本開示によれば、無限層構造を有し、かつ、所定の位置にXRDピークを有する結晶相を備える活物質が、フッ化物イオン電池の活物質として機能することを新たに知見した。
【0012】
また、本開示においては、フッ化物イオン電池に用いられる活物質であって、無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する結晶相を備え、上記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.9°±1.0°、2θ=36.0°±1.0°、2θ=43.6°±1.0°および2θ=56.4°±1.0°の位置にピークを有する、活物質を提供する。
【0013】
本開示によれば、無限層構造を有し、かつ、所定の位置にXRDピークを有する結晶相を備える活物質が、フッ化物イオン電池の活物質として機能することを新たに知見した。
【0014】
上記開示においては、上記Aが、Ca、Sr、Ba、LaおよびCeの少なくとも一種であってもよい。
【0015】
上記開示においては、上記Bが、Fe、NiおよびCuの少なくとも一種であってもよい。
【0016】
上記開示においては、上記Bが、Feであってもよい。
【0017】
上記開示において、上記結晶相が、CaSr1-xFeO(xは、0<x<1を満たす)で表されてもよい。
【0018】
上記開示において、上記xが、0.6≦x<1を満たしてもよい。
【0019】
上記開示において、上記結晶相が、CaCuO(pは、0.8≦p<1を満たす)で表されてもよい。
【0020】
また、本開示においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に形成された電解質層とを有するフッ化物イオン電池であって、上記正極活物質または上記負極活物質が、上述した活物質である、フッ化物イオン電池を提供する。
【0021】
本開示によれば、上述した活物質を用いることで、容量が良好なフッ化物イオン電池となる。
【発明の効果】
【0022】
本開示においては、フッ化物イオン電池に使用可能な新規な活物質を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示における無限層構造を説明する説明図である。
図2】本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。
図3】実施例1~6および比較例1、2で作製した電池の構成を示す概略断面図である。
図4】実施例1~6および比較例1のXRD測定の結果である。
図5】実施例1~6および比較例1、2の充放電試験の結果を示すグラフである。
図6】実施例1~6で得られた放電容量を理論容量と比較したグラフである。
図7】実施例7および実施例8のXRD測定の結果である。
図8】実施例7および実施例8の充放電試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示における活物質およびフッ化物イオン電池について、詳細に説明する。
【0025】
A.活物質
本開示における活物質は、無限層構造を有し、かつ、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する結晶相を備える。上記結晶相は、A(AおよびBは上述の通りであり、pは0.8≦p≦1を満たし、qは0.8≦q≦1を満たし、rは1.5≦r≦2.5を満たす)で表されることが好ましい。また、上記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、所定の位置にピークを有することが好ましい。
【0026】
本開示によれば、所定の結晶相を有する活物質が、フッ化物イオン電池の活物質として機能することを新たに知見した。また、本開示における活物質は、容量が良好であるという利点がある。また、本開示における活物質は、結晶構造の変化に伴う活物質の膨張収縮を抑制することができるため、サイクル特性およびレート特性に優れる。さらに、例えば、本開示における結晶相が、アルカリ土類金属元素と、遷移金属元素と、O元素とを構成元素として含有する場合、資源リスクが低いという利点もある。
【0027】
上述のように、層状ペロブスカイト構造を有する結晶相を備えた活物質(層状ペロブスカイト酸化物とも称する)が、フッ化物イオン電池に用いることができることが知られている。層状ペロブスカイト酸化物は、層間へのフッ化物イオンのインターカレーション反応により充放電を行うことができるため、結晶構造の変化に伴う活物質の膨張収縮を抑制することができる。そのため、層状ペロブスカイト酸化物を用いた電池はサイクル特性およびレート特性に優れた電池となる。一方で、層状ペロブスカイト酸化物においては、フッ化物イオンを格納するための骨格がかさ高くなり、理論容量が小さくなってしまう。
【0028】
これに対して、本発明者等は、後述する無限層構造を有し、特定の元素を含有する結晶相を備える活物質であれば、フッ化物イオン電池に用いることが可能であり、かつ、容量が良好となることを見出した。
【0029】
ここで、本開示における結晶相が有する無限層構造の一例を、図を用いてより詳細に説明する。図1(a)はSrFeOで表される結晶相の無限層構造の一例を示し、図1(b)はCaFeOで表される結晶相の無限層構造の一例を示している。また、図1(c)は、ABOで表されるペロブスカイト型構造の一例を示している。なお、図1(a)、(b)におけるSrおよびCaは、図1(c)におけるAイオンに相当し、Feは、Bイオンに相当する。図1(a)~(c)に示すように、無限層構造はペロブスカイト構造においてOが選択的に欠損した構造であり、アニオン欠陥サイトを有している。本開示における活物質は、アニオン欠陥サイトによって、フッ化物イオンがより挿入されやすく、かつ、フッ化物イオンの拡散パスが形成されていると考えられる。
【0030】
また、図1(a)、(b)に示すように、無限層構造はAイオンの違いにより、元素の配置に違いが生じる。例えば、図1(a)では、AイオンがSrであり、平面四配位構造が形成されている。一方、図1(b)では、AイオンがCaであり、平面四配位構造が四面体構造に歪んだ配位状態が形成されている。これは、SrとCaのイオン半径の差に起因すると考えられる。このように、アニオン欠陥サイトの有無、元素の配置によって、本開示における活物質は、ペロブスカイト酸化物に比べて良好な容量特性を有していると考えられる。なお、無限層構造は、例えばX線回折測定(XRD測定)により同定することができる。
【0031】
本開示における活物質が備える結晶相は、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方であり、Bは遷移金属元素であり、pは0.8≦p≦1を満たし、qは0.8≦q≦1を満たし、rは1.5≦r≦2.5を満たす)で表されることが好ましい。
【0032】
Aは、アルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である。Aは、アルカリ土類金属元素のみであってもよく、希土類元素のみであってもよく、アルカリ土類金属元素および希土類元素の両方であってもよい。また、Aは、アルカリ土類金属元素または希土類元素に属する一種の元素であってもよく、アルカリ土類金属元素または希土類元素に属する二種の元素であってもよく、アルカリ土類金属元素または希土類元素に属する三種以上の元素であってもよい。
【0033】
アルカリ土類金属元素としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが挙げられる。一方、希土類元素としては、La、Ce等のランタノイド元素、Sc、Yが挙げられる。中でも、Aは、Ca、Sr、Ba、LaおよびCeの少なくとも一種であることが好ましい。
【0034】
特に、Aは、Ca、SrおよびBaの少なくとも一種であることが好ましく、二種以上であってもよい。これらの元素はイオン半径が小さく、活物質にフッ化物イオンが挿入される際の障壁となりにくい。また、Aは、CaおよびSrの少なくとも一種であることがより好ましく、少なくともCaであることが特に好ましい。CaおよびSr、特にCaは原子量が小さいため、活物質1g当たりの容量が大きくなる。また、Aは、LaおよびCeの少なくとも一種であってもよい。
【0035】
Bは、遷移金属元素である。また、Bは、遷移金属元素に属する一種の元素であってもよく、遷移金属元素に属する二種の元素であってもよく、遷移金属元素に属する三種以上の元素であってもよい。遷移金属元素としては、例えば、Fe、Ni、Cu、Co、Mn等が挙げられる。
【0036】
において、pは0.8≦p≦1を満たし、qは0.8≦q≦1を満たし、rは1.5≦r≦2.5を満たす。pは1であってもよく、1未満であってもよい。後者の場合、pは0.98以下であってもよく、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。同様に、qは1であってもよく、1未満であってもよい。後者の場合、qは0.98以下であってもよく、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。また、rは、2であってもよく、2未満であってもよく、2より大きくてもよい。本開示においては、p=1、q=1およびr=2であってもよい。また、本開示においては、0.8≦p<1、q=1およびr=2であってもよい。
【0037】
本開示における活物質が備える結晶相が、Aで表される場合、フッ化物イオンの挿入脱離においてBの遷移金属元素が酸化還元される余地が多いものとなる。従って、活物質により多くのフッ化物イオンが挿入できると考えられる。例えば、BがFeを含む場合、Feが2価で存在できることから、フッ化物イオンの挿入脱離においてFeが酸化還元される余地が多く、活物質により多くのフッ化物イオンが挿入できると考えられる。その結果、容量が良好になると考えられる。このように、Bは、2価の遷移金属元素を主成分として含むことが好ましい。「主成分」とは、モル比が最も多いことをいう。なお、ペロブスカイト型構造(ABO)においてBイオンとしてFeを用いた場合には、通常Feは4価の状態で存在する。そのため、ペロブスカイト型構造におけるFe(4価)は、無限層構造におけるFe(2価)に比べて酸化還元される余地が少ない。
【0038】
また、上記結晶相は、CaSr1-xFeO(xは、0<x<1を満たす)で表されることが好ましい。xは、0.4以上であってもよく、0.6以上であってもよく、0.7以上であってもよく、0.8以上であってもよい。また、xは、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。ここで、CaはSrよりも原子量が小さいため、通常Srを含まない組成(x=1)の容量が大きくなると考えられる。これに対して、後述する実施例に記載するように、Srを所定の割合(0.6≦x<1)で含有する組成では、Srを含まない組成(x=1)と同等以上の容量を示す活物質となる。その理由は明らかではないが以下のように推察される。まず、上記の組成においては、CaFeOとSrFeOとが共存していると推察される。上述のように、両者とも無限層構造を有しているが、元素の空間的な配置が異なる(図1参照)。そのため、結晶相においてCaFeOとSrFeOとが所定の割合で共存することで、活物質にフッ化物イオンが挿入されやすくなるようなひずみが生じると推察される。
【0039】
また、上記結晶相は、LaNiO(pは、0.8≦p≦1を満たす)で表されることが好ましい。また、上記結晶相は、CaCuO(pは、0.8≦p≦1を満たす)で表されることが好ましい。これらの組成において、pは1であってもよく、1未満であってもよい。後者の場合、pは0.98以下であってもよく、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。
【0040】
で表される上記結晶相において、qに対するpの割合(p/q)は、1であってもよく、1未満であってもよい。前者は、Aサイトに欠損を有しない結晶相に該当し、本開示においては結晶相αと称する。後者は、Aサイトに欠損を有する結晶相に該当し、本開示においては結晶相βと称する。結晶相βにおいて、p/qは0.98以下であってもよく、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。一方、p/qは、例えば0.8以上である。
【0041】
結晶相αは、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.1°±1.0°、2θ=35.1°±1.0°、2θ=46.0°±1.0°および2θ=59.1°±1.0°の位置にピークを有することが好ましい。これらのピーク位置は、それぞれ、±0.5°の範囲で前後していてもよく、±0.3°の範囲で前後していてもよい。
【0042】
結晶相βは、結晶相αにおけるAサイトに欠損が生じた結晶相である。結晶相βは、無限層構造を維持しつつ、結晶相αと比較して結晶構造が歪んでいると推測される。本発明者等は、結晶構造の歪みにより、より高容量な活物質となることを見出した。結晶相βは、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.9°±1.0°、2θ=36.0°±1.0°、2θ=43.6°±1.0°および2θ=56.4°±1.0°の位置にピークを有することが好ましい。これらのピーク位置は、それぞれ、±0.5°の範囲で前後していてもよく、±0.3°の範囲で前後していてもよい。
【0043】
結晶相αおよび結晶相βは、組成が近似していても、空間群が異なる場合がある。例えば、CaCuOの空間群はP4/mmmであるが、Ca1-xCuO(x>0)の空間群はFmmmである。
【0044】
本開示における活物質は、上述した本開示における結晶相のみを備える単相材料であってもよく、本開示における結晶相および他の結晶相を備える複相材料であってもよい。後者の場合、本開示における結晶相を主相として備えることが好ましい。「主相」とは、XRDチャートにおいて、最も強度が大きいピークが属する結晶相をいう。活物質が、本開示における結晶相を主相として備える場合、全ての結晶相に対する本開示における結晶相の割合は、例えば50重量%以上であり、70重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよい。なお、他の結晶相としては、例えばペロブスカイト構造を有する結晶相が挙げられる。
【0045】
本開示における活物質の組成(全体組成)は、特に限定されないが、例えば、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方であり、Bは遷移金属元素であり、Pは0.8≦P≦1を満たし、Qは0.8≦Q≦1を満たし、Rは1.5≦R≦2.5を満たす)で表されることが好ましい。
【0046】
活物質の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状が挙げられる。また、活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上であり、10nm以上であってもよい。一方、活物質の平均粒径(D50)は、例えば100μm以下であり、30μm以下であってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。また、本開示における活物質は、通常フッ化物イオン電池に用いられる。フッ化物イオン電池については後述する。
【0047】
本開示における活物質を製造する方法は、目的とする活物質が得ることができる方法であれば特に限定されない。結晶相αを有する活物質は、例えば、固相反応法により作製した前駆体を、還元剤により還元することで得られる。具体的には、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する原料組成物に対して熱処理を行うことで、固相反応によりABO(yは2より大きく、例えば、AFeOである)で表される前駆体を作製する。得られた前駆体を、CaH等の還元剤と共に密閉空間で焼成することで、前駆体を還元して、結晶相αを有する活物質が得られる。焼成温度および焼成時間等の条件については、適宜調整することができる。また、前駆体は、原料組成物を溶融KOH中で反応させることにより、得ることもできる。
【0048】
また、結晶相βを有する活物質は、例えば、A(Aはアルカリ土類金属元素および希土類元素の少なくとも一方である)と、B(Bは遷移金属元素である)と、Oとを含有する原料組成物に対して酸素雰囲気下で熱処理を1回または複数回行うことで得られる。焼成温度、焼成時間および熱処理回数等の条件については、適宜調整することができる。
【0049】
B.フッ化物イオン電池
図2は本開示におけるフッ化物イオン電池の一例を示す概略断面図である。図2に示されるフッ化物イオン電池10は、正極活物質を含有する正極層1と、負極活物質を含有する負極層2と、正極層1および負極層2の間に形成された電解質層3と、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本開示においては、上記正極活物質または上記負極活物質が、上述した活物質である。
【0050】
本開示によれば、上述した活物質を用いることで、容量が良好なフッ化物イオン電池となる。また、上述した活物質を用いることで、資源リスクを回避可能なフッ化物イオン電池となる。
【0051】
1.正極層
本開示における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。また正極層は、必要に応じて、電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。
【0052】
正極活物質は、上述した本開示における活物質であることが好ましい。後述する負極活物質が上述した活物質である場合、正極活物質は、より高い電位を有する任意の活物質であることが好ましい。
【0053】
導電材としては、所望の電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブが挙げられる。一方、バインダーとしては、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダーが挙げられる。電解質については、後述の「3.電解質層」に記載する内容と同様である。
【0054】
正極層における正極活物質の含有量は特に限定されないが、容量の観点からは多いことが好ましい。正極活物質の含有量は、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよい。また、正極層の厚さは特に限定されず、電池の構成によって適宜調整することができる。
【0055】
2.負極層
本開示における負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。また負極層は、必要に応じて、電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。
【0056】
負極活物質は、上述した本開示における活物質であることが好ましい。正極活物質が上述した活物質である場合、負極活物質は、より低い電位を有する任意の活物質であることが好ましい。
【0057】
電解質、導電材およびバインダーについては、上記「1.正極層」に記載に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。負極層における負極活物質の含有量は特に限定されないが、容量の観点からはより多いことが好ましい。負極活物質の含有量は、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよい。また、負極層の厚さは特に限定されず、電池の構成によって適宜調整することができる。
【0058】
3.電解質層
本開示における電解質層は、正極層および負極層の間に形成される層であり、電解質を少なくとも含有する。また、電解質層は、必要に応じて、さらにバインダーを含有していてもよい。バインダーの種類については、上記「1.正極層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。電解質は、液体電解質(電解液)であってもよく、固体電解質であってもよい。
【0059】
上記電解液としては、例えば、フッ化物塩および有機溶媒を含有する電解液が挙げられる。フッ化物塩としては、例えば、無機フッ化物塩、有機フッ化物塩、イオン液体が挙げられる。無機フッ化物塩の一例としては、例えば、XF(Xは、Li、Na、K、RbまたはCsである)が挙げられる。有機フッ化物塩のカチオンの一例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン等のアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。電解液におけるフッ化物塩の濃度は、例えば0.1mol%以上40mol%以下であり、1mol%以上10mol%以下であってもよい。
【0060】
電解液の有機溶媒は、通常、フッ化物塩を溶解する溶媒である。有機溶媒としては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(G3)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(G4)等のグライム;エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネートが挙げられる。また、有機溶媒として、イオン液体を用いてもよい。
【0061】
上記固体電解質としては、例えば、無機固体電解質が挙げられる。無機固体電解質としては、例えば、La、Ce等のランタノイド元素を含むフッ化物、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ元素を含むフッ化物、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類元素を含むフッ化物が挙げられる。具体的には、LaおよびBaを含むフッ化物(例えば、La0.9Ba0.12.9)、PbおよびSnを含むフッ化物が挙げられる。電解質層の厚さは特に限定されず、電池の構成によって適宜調整することができる。
【0062】
4.その他の構成
本開示におけるフッ化物イオン電池は、正極層の集電を行う正極集電体、負極層の集電を行う負極集電体、および上述した部材を収容する電池ケースを有することが好ましい。集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状が挙げられる。また、フッ化物イオン電池は、正極層および負極層の間に、セパレータを有していてもよい。より安全性の高い電池を得ることができるからである。電池ケースとしては、従来公知の電池ケースを用いることができる。
【0063】
5.フッ化物イオン電池
本開示におけるフッ化物イオン電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、二次電池には、一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。また、フッ化物イオンの形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、角型が挙げられる。
【0064】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例
【0065】
[実施例1]
(活物質の合成)
原料としてCaCOとFeをモル比で2:1となるよう秤量し、これらをボールミルを用いて混合した。得られた粉末をペレット成型し、1200℃にて10時間熱処理を実施して、前駆体を得た。得られた前駆体をペレット化し、還元剤(CaH)のペレットとともにガラス管に真空封入した。このガラス管を300℃で焼成することで、活物質(CaFeO)を合成した。
【0066】
(電池の作製)
得られた活物質を正極活物質として、図3に示すような電池(全固体フッ化物イオン電池)を以下のようにして作製した。上記活物質と、固体電解質(La0.9Ba0.12.9、フッ化物イオン伝導性材料)と、導電材(VGCF、電子伝導性材料)とを、30:60:10の重量比で秤量し、これらを混合してペレット成型することで、電極ペレット(10mg)を得た。得られた電極ペレットを作用極(正極)とし、La0.9Ba0.12.9(100mg)を用いた固体電解質層と、PbSnFおよびアセチレンブラック(AB)を混合した層ならびにPb箔を用いた対極(負極)とを積層して圧粉成型した。
【0067】
[実施例2]
原料としてSrCOとFeとをモル比で2:1となるよう秤量したこと以外は、実施例1と同様にして活物質(SrFeO)および電池を作製した。
【0068】
[実施例3]
原料としてCaCOとSrCOとFeとをモル比で1.6:0.4:1となるよう秤量したこと以外は、実施例1と同様にして活物質(Ca0.8Sr0.2FeO)および電池を作製した。
【0069】
[実施例4]
原料としてCaCOとSrCOとFeとをモル比で1.2:0.8:1となるよう秤量したこと以外は、実施例1と同様にして活物質(Ca0.6Sr0.4FeO)および電池を作製した。
【0070】
[実施例5]
原料としてCaCOとSrCOとFeとをモル比で0.8:1.2:1となるよう秤量したこと以外は、実施例1と同様にして活物質(Ca0.4Sr0.6FeO)および電池を作製した。
【0071】
[実施例6]
原料としてCaCOとSrCOとFeとをモル比で0.4:1.6:1となるよう秤量したこと以外は、実施例1と同様にして活物質(Ca0.2Sr0.8FeO)および電池を作製した。
【0072】
[比較例1]
還元剤(CaH)との焼成を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして活物質(SrFeO)および電池を作製した。
【0073】
[比較例2]
原料としてLaとSrCOとFeとをモル比で1:1:1となるよう秤量し、これらをボールミルを用いて混合した。得られた粉末をペレット成型し、1400℃にて10時間熱処理を実施して活物質(LaSrFe)を作製した。この活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0074】
[評価]
(XRD測定)
実施例1~6で得られた活物質に対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。図4(a)に実施例1の結果を示し、図4(b)に実施例2の結果を示し、図4(c)に実施例1~6の結果をまとめて示す。また、各実施例で得られた代表的なピークの位置について表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
ここで、ペロブスカイト構造であるCaFeOは、2θ=32.8°付近、49.0°付近、60.1°付近および70.2°付近に特徴的なピークを有することが知られ、SrFeOは、2θ=32.7°付近、40.5°付近、47.0°付近および58.6°付近に特徴的なピークを有することが知られている。一方、図4(a)および表1に示すように、実施例1(CaFeO(x=1))は、2θ=32.4°、35.2°、46.5°および59.7°に特徴的なピークがみられた。また、図4(b)および表1に示すように、実施例2(SrFeO(x=0))は、2θ=31.6°、34.1°、45.4°および58.1°に特徴的なピークが確認された。このように、無限層構造を有する活物質は、少なくとも2θ=35.1°±1.0°の位置に、ペロブスカイト構造では見られないピークが観察された。また、図4(c)および表1に示すように、実施例1~6では、いずれも無限層構造を有することが確認された。
【0077】
(充放電試験)
実施例1~6および比較例1、2で得られた電池に対して、それぞれ140℃に加熱したセルの中で、充放電試験を実施した。充放電試験の条件は、-1.5V~3.0V(vs.Pb/PbF)、0.03mAの定電流充放電とした。実施例1~6の結果を図5(a)に示し、比較例1、2の結果を図5(b)、(c)にそれぞれ示す。
【0078】
図5(a)に示すように、実施例1~6の電池においては、充電・放電容量共に200mAh/g以上であった。一方、図5(b)、(c)に示すように、比較例1(SrFeO)および比較例2(LaSrFe)の電池においては、充電・放電容量共に200mAh/gに届かず、実施例1~6の電池は、比較例1、2の電池よりも容量特性が良好であった。
【0079】
また、実施例1~6で得られた放電容量(実測容量)を、2電子反応当たりの理論放電容量(理論容量)と比較した結果を図6に示す。ここで、CaはSrよりも原子量が小さいため、CaFeO(x=1)の方がSrFeO(x=0)よりも理論容量は良好となる。すなわち、図6に示す理論容量のように、xの増加に伴い、線形的に容量が増加することが予測される。これに対して、図6に示す実測容量のように、Srを所定の割合(0.6≦x<1)で含有する組成では、意外にも、理論容量より実測容量が顕著に大きくなり、CaFeO(x=1)と同等以上の容量となった。これは、元素の空間的配置が互いに異なるCaFeOとSrFeOとが所定の割合で共存することで、活物質にフッ化物イオンが取り込まれやすくなるようなひずみが生じたためと推察される。
【0080】
[実施例7]
原料としてLaとNiOとをモル比で1:2となるように秤量し、これらを400℃で溶融したKOH中で12時間反応させ、前駆体を得た。得られた前駆体をペレット化し、還元剤(CaH)のペレットとともにガラス管に真空封入した。このガラス管を約300℃で焼成することで、活物質(LaNiO)を合成した。合成した活物質を正極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0081】
[実施例8]
原料としてCaCOとCuOとをモル比で1:1となるように秤量し、これらをボールミルを用いて混合した。得られた粉末を、ペレット成型し、750℃にて20時間、酸素雰囲気下で焼成した。焼成後、ペレットを砕き再度ペレット成型し、同じ条件にて再焼成した。焼成および再焼成を5回繰り返すことで、活物質(Ca0.828CuO)を合成した。合成した活物質を正極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0082】
[評価]
(XRD測定)
実施例7および実施例8で得られた活物質に対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。図7(a)に実施例7の結果を示し、図7(b)に実施例8の結果を示す。
【0083】
図7(a)に示すように、実施例7(LaNiO)では、2θ=22.5°、32.0°、34.8°、41.8°、45.9°、58.9°に特徴的なピークがみられた。これは、実施例2(SrFeO)で観察されたピーク位置とほぼ同じである。
【0084】
一方、図7(b)に示すように、実施例8(Ca0.828CuO)では、2θ=16.7°、28.2°、32.9°、33.9°、36.0°、43.6°、56.4°に特徴的なピークがみられた。これは、実施例2(SrFeO)で観察されたピーク位置と僅かに異なる位置であった。これは、CaCuO組成から僅かにずれた組成で安定構造を持ち、その安定構造においてCuO平面が歪んでいるためであると推察される。また、実施例8で合成したサンプルには、少量のCaOが副相として含まれていた。
【0085】
(充放電試験)
実施例7および実施例8で得られた電池に対して、実施例1~6および比較例1、2と同様に充放電試験を行った。実施例7の結果を図8(a)に示し、実施例8の結果を図8(b)にそれぞれ示す。
【0086】
図8(a)に示すように、実施例7の電池は、実施例1~6の電池と同じく、充電・放電容量共に200mAh/g以上であり、高容量を示すことが確認された。具体的には、1サイクル目は不可逆容量が多少あるものの、2サイクル目においては、約3電子反応に相当する360mAh/g程度の放電容量が確認された。また、実施例8における活物質は、無限層構造としては歪みが生じているものであるが、図8(b)に示すように、高容量を示すことが確認された。
【符号の説明】
【0087】
1 …正極層
2 …負極層
3 …電解質層
4 …正極集電体
5 …負極集電体
6 …電池ケース
10 …フッ化物イオン電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8