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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】インサートナット付樹脂部品
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/42 20060101AFI20240709BHJP
   F16B 37/04 20060101ALI20240709BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20240709BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B29C33/42
F16B37/04 M
F16B37/04 B
B29C33/12
B29C45/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021215044
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023098339
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 哲也
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0081390(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198189(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0126808(KR,A)
【文献】特開2011-073289(JP,A)
【文献】特開2009-121635(JP,A)
【文献】特開2015-169304(JP,A)
【文献】特開2011-245848(JP,A)
【文献】特開2005-201335(JP,A)
【文献】特開2013-253627(JP,A)
【文献】特開2003-113825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 39/26-39/36
B29C 41/38-41/44
B29C 43/36-43/42
B29C 43/50
B29C 45/00-45/84
B29C 49/48-49/56
B29C 49/70
B29C 51/30-51/40
B29C 51/44
F16B 17/00-19/14
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサートナットと、
前記インサートナットを保持する樹脂製の保持部と、
を備え、
前記保持部は、
本体と、
前記本体から突出すると共に、前記インサートナットが埋め込まれた筒状の埋込部と、
前記埋込部と前記本体とに跨って設けられた板状の少なくとも1つのリブと、
を有し、
前記インサートナットは、前記インサートナットの前記埋込部に対する回転を規制する規制部を有し、
前記少なくとも1つのリブは、
前記埋込部の外周面において前記埋込部の軸方向に沿って延伸する第1端部と、
前記本体のうち前記埋込部が突出した表面において前記第1端部から前記埋込部の径方向外側に向かって延伸する第2端部と、
を有し、
前記インサートナットの軸方向から視て、前記第2端部の延伸方向は、前記第1端部における前記インサートナットの径方向に対し、前記インサートナットにボルトを締め付ける側に傾斜する、インサートナット付樹脂部品。
【請求項2】
請求項1に記載のインサートナット付樹脂部品であって、
前記インサートナットは、前記インサートナットの径方向と直交する平坦な複数の外側面を有し、
前記保持部は、前記少なくとも1つのリブとして、前記複数の外側面それぞれの外側に配置された複数のリブを有し、
前記複数のリブそれぞれの前記第1端部は、前記インサートナットの径方向において、前記複数の外側面の幅方向中央部と重なる、インサートナット付樹脂部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のインサートナット付樹脂部品であって、
前記インサートナットの軸方向から視た前記埋込部の外形は、円形である、インサートナット付樹脂部品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインサートナット付樹脂部品であって、
前記インサートナットは、ネジ溝が設けられた螺合部を有し、
前記少なくとも1つのリブは、前記インサートナットの径方向において前記螺合部と重なる、インサートナット付樹脂部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インサートナット付樹脂部品に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状の樹脂成型品にインサートナットを埋め込んだ構造が公知である(特許文献1参照)。この構造では、インサートナットが挿入されたホルダに設けられた凸部によって、ボルトの締め付け時におけるインサートナットの樹脂成型品に対する回転を規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-217707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の構造では、インサートナットへのボルトの締め付け時に、樹脂成型品において凸部が接触する部位が大きく変形する。この変形によってインサートナットの回転が規制されなくなることで、インサートナットが空転し、ボルト締結に必要なトルクが得られないおそれがある。
【0005】
本開示の一局面は、インサートナットの空転を抑制できるインサートナット付樹脂部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、インサートナットと、インサートナットを保持する樹脂製の保持部と、を備えるインサートナット付樹脂部品である。保持部は、本体と、本体から突出すると共に、インサートナットが埋め込まれた筒状の埋込部と、埋込部と本体とに跨って設けられた板状の少なくとも1つのリブと、を有する。インサートナットは、インサートナットの埋込部に対する回転を規制する規制部を有する。
【0007】
少なくとも1つのリブは、埋込部の外周面において埋込部の軸方向に沿って延伸する第1端部と、本体のうち埋込部が突出した表面において第1端部から埋込部の径方向外側に向かって延伸する第2端部と、を有する。インサートナットの軸方向から視て、第2端部の延伸方向は、第1端部におけるインサートナットの径方向に対し、インサートナットにボルトを締め付ける側に傾斜する。
【0008】
このような構成によれば、埋込部と本体とを連結するリブによって、埋込部の剛性が向上する。また、リブの第2端部がインサートナットの径方向に対し、ボルトを締め付ける側に傾斜していることで、ボルト締め付け時における埋込部の変形を抑制できる。その結果、インサートナットの空転を抑制できる。
【0009】
本開示の一態様では、インサートナットは、インサートナットの径方向と直交する平坦な複数の外側面を有する。保持部は、少なくとも1つのリブとして、複数の外側面それぞれの外側に配置された複数のリブを有する。複数のリブそれぞれの第1端部は、インサートナットの径方向において、複数の外側面の幅方向中央部と重なってもよい。このような構成によれば、ボルト締め付け時に応力が発生しやすい外側面の幅中央部の近傍に第1端部が存在するため、ボルト締め付け時における埋込部の変形の抑制効果が促進される。
【0010】
本開示の一態様では、インサートナットの軸方向から視た埋込部の外形は、円形であってもよい。このような構成によれば、埋込部の成型が容易となる。
【0011】
本開示の一態様では、インサートナットは、ネジ溝が設けられた螺合部を有してもよい。少なくとも1つのリブは、インサートナットの径方向において螺合部と重なってもよい。このような構成によれば、ボルト締め付け時に応力が発生しやすい螺合部の外側にリブが配置されるため、ボルト締め付け時における埋込部の変形の抑制効果が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態におけるインサートナット付樹脂部品の使用状態を示す模式的な断面図である。
図2図2Aは、図1のインサートナット付樹脂部品の模式的な斜視図であり、図2Bは、図2AのIIB-IIB線での模式的な切断部端面図である。
図3図3は、図1のインサートナット付樹脂部品の模式的な平面図である。
図4図4A図4B図4C及び図4Dは、図3とは異なる実施形態におけるインサートナット付樹脂部品の模式的な平面図である。
図5図5A図5B及び図5Cは、図2Aとは異なる実施形態におけるインサートナット付樹脂部品の模式的な斜視図である。
図6図6は、図2Aとは異なる実施形態におけるインサートナット付樹脂部品の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すインサートナット付樹脂部品1は、インサートナット2と、保持部3とを備える。
【0014】
インサートナット付樹脂部品1は、ボルト11をインサートナット2に締め付けることで、締結用部品を保持部3に対し締結する。図1では、締結用部品の一例として、板状のブラケット14がブッシュ13を介して保持部3に取り付けられている。ブラケット14は、ブッシュ13に厚み方向に挟持されている。ブッシュ13は、カラー12と共に、ボルト11によってインサートナット2に締結されている。
【0015】
<インサートナット>
インサートナット2は、金属で構成されている。図2A及び図2Bに示すように、インサートナット2は、螺合部21と、脚部22とを有する。
【0016】
螺合部21は、ボルト11が螺合するネジ溝が設けられた中空部を有する。螺合部21は、保持部3の埋込部32に軸方向に圧入されている。螺合部21の外周面は、埋込部32の内周面に接触している。
【0017】
螺合部21は、軸方向から視て、四角形状の外形を有する。そのため、螺合部21は、第1角部211と、第2角部212と、第3角部213と、第4角部214とを有する。4つの角部211,212,213,214は、それぞれ、インサートナット2の埋込部32に対する回転を規制する規制部である。
【0018】
脚部22は、インサートナット2の軸方向において螺合部21に連結されている。脚部22は、螺合部21を貫通したボルト11の先端部が挿入される中空部を有する。脚部22の外周面は、埋込部32の内周面に接触している。
【0019】
<保持部>
保持部3は、インサートナット2を保持する樹脂製の部材である。保持部3は、本体31と、埋込部32と、第1リブ33と、第2リブ34と、第3リブ35と、第4リブ36とを有する。
【0020】
<本体>
本体31は、埋込部32が突出する土台を構成する部位である。本実施形態では、本体31は板状の部材であるが、本体31は板状に限定されない。本体31は、樹脂で成型された機能部品の一部であってもよい。
【0021】
本実施形態では、インサートナット2は本体31には到達していない。ただし、インサートナット2の端部は、本体31の内部に配置されてもよいし、本体31を貫通してもよい。
【0022】
<埋込部>
埋込部32は、本体31から突出すると共に、インサートナット2が埋め込まれた筒状の部位である。
【0023】
インサートナット2の軸方向から視た埋込部32の外形は、円形である。つまり、埋込部32は円筒形である。埋込部32の中空部は、インサートナット2の外形に合わせた四角柱形状である。
【0024】
埋込部32の中心軸とインサートナット2の中心軸とは一致している。埋込部32の本体31からの突出方向(つまり図2Bにおける上方向)は、インサートナット2へのボルト11の挿入方向(つまり図2Bにおける下方向)とは反対方向である。
【0025】
本実施形態では、埋込部32は、本体31のうち、ボルト11が挿入される側(つまり締結用部品が取り付けられる側)の第1表面31Aに設けられている。また、埋込部32は、第1表面31Aとは反対側の第2表面31Bからは突出していない。
【0026】
<リブ>
第1リブ33、第2リブ34、第3リブ35、及び第4リブ36は、それぞれ埋込部32と本体31とに跨って設けられた板状の部位である。
【0027】
第1リブ33、第2リブ34、第3リブ35、及び第4リブ36は、それぞれ、インサートナット2の径方向において、少なくとも一部がインサートナット2の螺合部21と重なっている。つまり、インサートナット2の螺合部21は、インサートナット2の軸方向において、第1リブ33、第2リブ34、第3リブ35、及び第4リブ36と同じ位置に配置されている。
【0028】
第1リブ33の厚み方向は、インサートナット2の軸方向と直交する。つまり、第1リブ33の板面は、インサートナット2の軸方向と平行である。第1リブ33の平面形状(つまり厚み方向から視た形状)は、台形状である。
【0029】
第1リブ33は、第1端部33Aと、第2端部33Bと、第3端部33Cと、第4端部33Dとを有する。第1端部33A、第2端部33B、第3端部33C、及び第4端部33Dは、それぞれ第1リブ33の端面で構成されている。
【0030】
第1端部33Aは、第1リブ33における埋込部32の外周面との接続部である。第1端部33Aは、埋込部32の外周面において埋込部32の軸方向に沿って延伸している。第1端部33Aは、本体31のうち埋込部32が突出した第1表面31Aから、埋込部32の突出端まで延伸している。第1端部33Aは、台形において上底及び下底に直交する(つまり高さ方向と平行な)脚に相当する部位を構成している。
【0031】
第2端部33Bは、第1リブ33における本体31との接続部である。第2端部33Bは、本体31の第1表面31Aにおいて、第1端部33A(つまり埋込部32の外周面)から埋込部32の径方向外側に向かって延伸している。第2端部33Bは、本体31の第1表面31A上で第1端部33Aに接続されている。第2端部33Bは、台形において下底に相当する部位を構成している。
【0032】
第3端部33Cは、第2端部33Bとインサートナット2の軸方向に離れた位置において、第2端部33Bと平行に延伸している。第3端部33Cは、第2端部33Bよりも短い。第3端部33Cは、埋込部32の突出端で第1端部33Aに接続されている。第3端部33Cは、台形において上底に相当する部位を構成している。
【0033】
第4端部33Dは、第1端部33Aとは反対側において、第2端部33Bと第3端部33Cとを連結している。第4端部33Dは、第1端部33Aと対向している。第4端部33Dは、台形において高さ方向に対し傾斜した脚に相当する部位を構成している。
【0034】
図3に示すように、インサートナット2は、インサートナット2の径方向と直交する平坦な第1外側面221、第2外側面222、第3外側面223、及び第4外側面224を有する。これらの外側面221,222,223,224は、インサートナット2の螺合部21の外周面を構成している。
【0035】
第1リブ33の第1端部33Aは、インサートナット2の径方向において、第1外側面221の幅方向中央部と重なっている。つまり、第1リブ33は、第1外側面221のインサートナット2の径方向外側に配置されている。
【0036】
ここで、「外側面の幅方向中央部」とは、インサートナット2の周方向における外側面の両端部(つまり、第1外側面221の場合は第1角部211及び第2角部212)よりも、幅方向中心線Pに近い領域を意味する。幅方向中心線Pは、インサートナット2の中心軸Oを含みつつ外側面に直交する仮想平面Sと、外側面との交線である。
【0037】
インサートナット2の軸方向から視て、第1リブ33の第2端部33Bの延伸方向E(つまり長手方向)は、第1端部33A(つまり第2端部33Bの起点)におけるインサートナット2の径方向(つまり、インサートナット2の中心軸から第1端部33Aに向かう方向)に対し、インサートナット2にボルト11を締め付ける側(つまり、ボルト11の締結時回転方向D)に傾斜している。
【0038】
つまり、第1リブ33は、第1端部33Aからインサートナット2の径方向に沿って延伸するリブの先端部を、第1端部33Aを中心軸として、締結時回転方向Dに回転させたものである。
【0039】
なお、図3において、第1端部33Aにおけるインサートナット2の径方向は、仮想平面Sと平行であり、第1外側面221と直交する。
【0040】
図3の実施形態では、第2端部33Bのインサートナット2の径方向に対する傾斜角度θは、略45°である。第2端部33Bの長さは、埋込部32の外半径と略同じである。また、第2端部33Bの幅(つまり第1リブ33の厚み)は、第2端部33Bの長さよりも小さい。
【0041】
第2リブ34、第3リブ35、及び第4リブ36は、第1リブ33と同様の形状を有する。つまり、第2リブ34、第3リブ35、及び第4リブ36は、それぞれ、第1リブ33と同様の第1端部33A、第2端部33B、第3端部33C及び第4端部33Dを有する。
【0042】
第1リブ33、第2リブ34、第3リブ35及び第4リブ36は、それぞれ、第1外側面221、第2外側面222、第3外側面223及び第4外側面224の外側に配置されており、インサートナット2の径方向において等間隔で配置されている。
【0043】
第2リブ34は、第1リブ33に対し、締結時回転方向Dに沿って90°ずれた位置に配置されている。第2リブ34の第1端部33Aは、インサートナット2の径方向において、第2外側面222の幅方向中央部と重なっている。また、インサートナット2の軸方向から視て、第2リブ34の第2端部33Bの延伸方向は、第1端部33Aにおけるインサートナット2の径方向に対し、締結時回転方向Dに傾斜している。
【0044】
第3リブ35は、第2リブ34に対し、締結時回転方向Dに沿って90°ずれた位置に配置されている。第3リブ35の第1端部33Aは、インサートナット2の径方向において、第3外側面223の幅方向中央部と重なっている。また、インサートナット2の軸方向から視て、第3リブ35の第2端部33Bの延伸方向は、第1端部33Aにおけるインサートナット2の径方向に対し、締結時回転方向Dに傾斜している。
【0045】
第4リブ36は、第3リブ35に対し、締結時回転方向Dに沿って90°ずれた位置に配置されている。第4リブ36の第1端部33Aは、インサートナット2の径方向において、第4外側面224の幅方向中央部と重なっている。また、インサートナット2の軸方向から視て、第4リブ36の第2端部33Bの延伸方向は、第1端部33Aにおけるインサートナット2の径方向に対し、締結時回転方向Dに傾斜している。
【0046】
図4A及び図4Bに示すように、各リブの第2端部33Bのインサートナット2の径方向に対する傾斜角度は、任意に設定可能である。図4Aの例では、各リブの第2端部33Bのインサートナット2の径方向に対する傾斜角度は、45°よりも小さい。図4Bの例では、各リブの第2端部33Bのインサートナット2の径方向に対する傾斜角度は、45°よりも大きい。
【0047】
また、図4C及び図4Dに示すように、各リブの第2端部33Bの長さも、任意に設定可能である。図4C及び図4Dの例では、各リブの第2端部33Bの長さは、埋込部32の外半径よりも小さい。
【0048】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)埋込部32と本体31とを連結するリブ33,34,35,36によって、埋込部32の剛性が向上する。また、リブ33,34,35,36の第2端部33Bがインサートナット2の径方向に対し、ボルト11を締め付ける側に傾斜していることで、ボルト締め付け時における埋込部32の変形を抑制できる。その結果、インサートナット2の空転を抑制できる。
【0049】
(1b)第1端部33Aがインサートナット2の径方向において、外側面221,222,223,224の幅方向中央部と重なることで、ボルト締め付け時に応力が発生しやすい外側面221,222,223,224の幅中央部の近傍に第1端部33Aが存在する。その結果、ボルト締め付け時における埋込部32の変形の抑制効果が促進される。
【0050】
(1c)インサートナット2の軸方向から視た埋込部32の外形が円形であることで、埋込部32の成型が容易となる。
【0051】
(1d)ボルト締め付け時に応力が発生しやすい螺合部21の外側にリブ33,34,35,36が配置されるため、ボルト締め付け時における埋込部32の変形の抑制効果が促進される。
【0052】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0053】
(2a)上記実施形態のインサートナット付樹脂部品において、図5Aに示すように、埋込部32は、本体31を貫通していてもよい。つまり、埋込部32は、本体31の第1表面31A及び第2表面31Bの双方から突出していてもよい。この実施形態では、インサートナット2は、埋込部32と共に本体31を貫通している。
【0054】
このように埋込部32が本体31を貫通する場合、図5Bに示すように、埋込部32の本体31を挟んだ両側にリブが設けられてもよい。つまり、保持部3は、ボルト11が挿入される側の第1表面31Aに配置されたリブ33,34,35,36に加えて、第1表面31Aとは反対側の第2表面31Bに配置された追加リブ37を有してもよい。追加リブ37は、リブ33,34,35,36と同等の形状を有する。
【0055】
また、埋込部32が本体31を貫通する場合、図5Cに示すように、第2表面31Bに追加リブ37が配置されると共に、ボルト11が挿入される側の第1表面31Aにはリブが設けられなくてもよい。
【0056】
(2b)上記実施形態のインサートナット付樹脂部品において、図6に示すように、埋込部32は、本体31のうち、ボルト11が挿入される側(つまり締結用部品が取り付けられる側)の第1表面31Aとは反対側の第2表面31Bのみから突出してもよい。
【0057】
この実施形態では、インサートナット2は、本体31に設けられた、埋込部32の中空部と連通する開口に挿入される。また、リブ33,34,35,36は、第2表面31B上に配置される。
【0058】
(2c)上記実施形態のインサートナット付樹脂部品において、インサートナットの軸方向から視た外形は、必ずしも多角形状でなくてもよい。例えば、インサートナットの軸方向から視た外形は、円形であってもよい。この場合、インサートナットの回転を規制する規制部として、例えばインサートナットの外周面から突出する凸部が設けられる。
【0059】
(2d)上記実施形態のインサートナット付樹脂部品において、インサートナットの軸方向から視た埋込部の外形は、必ずしも円形でなくてもよい。例えば、インサートナットの軸方向から視た埋込部の外形は、多角形状であってもよい。
【0060】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0061】
1…インサートナット付樹脂部品、2…インサートナット、3…保持部、
11…ボルト、12…カラー、13…ブッシュ、14…ブラケット、21…螺合部、
22…脚部、31…本体、31A…第1表面、31B…第2表面、32…埋込部、
33…第1リブ、33A…第1端部、33B…第2端部、33C…第3端部、
33D…第4端部、34…第2リブ、35…第3リブ、36…第4リブ、
37…追加リブ、211…第1角部、212…第2角部、213…第3角部、
214…第4角部、221…第1外側面、222…第2外側面、223…第3外側面、
224…第4外側面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6