(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】伝導度センサを含む流体チャネルおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20240709BHJP
G01N 29/02 20060101ALI20240709BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240709BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20240709BHJP
G01N 9/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N29/02 501
G01N37/00 101
G01N35/10 A
G01N9/00 C
(21)【出願番号】P 2021500212
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2019039470
(87)【国際公開番号】W WO2020009897
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-20
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517090646
【氏名又は名称】コーボ ユーエス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ラッセル ウェブスター
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/190295(WO,A2)
【文献】特開2005-283163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0049148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/08
G01N 29/02
G01N 37/00
G01N 35/10
G01N 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析センサへの流体を計量するためのデバイスであって、以下の:
少なくとも1つの流体チャネルと;
流体アクチュエータと;
前記流体チャネル内部に配置された分析センサと;
前記流体チャネル内部に配置された伝導度センサと;
イントロデューサと;
を含む、第1の部分、及び
少なくとも1つの材料を含む少なくとも1つのウェル;
を含む第2の部分を含み、
前記第1または第2の部分のうちの一方が他方との関係において移動可能であり、前記イントロデューサが、前記少なくとも1つのウェルから前記材料の少なくとも一部分を得、それを前記流体チャネルに送出するように構成されており、前記流体アクチュエータが、前記流体チャネル内の前記材料の少なくとも一部分を移動させるように構成されており、
ここで前記流体アクチュエータが、前記伝
導度センサにおいて抵抗が低下した際に、前記流体チャネル内部の流体の流れを停止し、そして前記流体チャネルに通気して前記流体チャネル内部の残存圧力の蓄積を除去し、それにより前記流体の迅速な停止を可能にするように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記分析センサが共振器センサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記共
振器センサがバルク音響波(BAW)センサである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記伝導度センサが前記分析センサの上流側に位置設定されている、請求項1から3のいずれか一つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記伝導度センサが2つの電極を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記2つの電極が金を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
分析センサへの流体を計量するシステムを使用する方法であって、当該システムが以下の:
少なくとも1つの流体チャネルと;
流体アクチュエータと;
前記流体チャネル内部に配置された分析センサと;
前記流体チャネル内部に配置された伝導度センサと;
イントロデューサと;
を含む第1の部分、および、
少なくとも1つの材料を含む少なくとも1つのウェル
を含む第2の部分を含み、
前記第1または第2の部分のうちの一方が他方との関係において移動可能であり、前記イントロデューサが、前記少なくとも1つのウェルから前記材料の少なくとも一部分を得、それを前記流体チャネルに送出するように構成されており、前記流体アクチュエータが、前記流体チャネル内の前記材料の少なくとも一部分を移動させるように構成されており、前記方法が、以下の:
前記伝導度センサの抵抗を監視するステップと;
前記流体チャネル内部で流体を移動させるステップと;
前記伝導度センサの前記抵抗の変化を監視するステップであって、前記伝
導度センサの前記抵抗の変化の監視が、前記伝導度の抵抗の低下を監視することを含む、前記ステップと;
ひとたび前記抵抗の低下が監視されると、前記流体チャネル内の流体の流れを停止するステップと;
ひとたび前記流体の流れが停止されると、前記流体チャネルに通気して、前記流体チャネル内の残存圧力の蓄積を除去し、それにより前記流体の迅速な停止を可能にするステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記流体チャネル内部で流体を移動させるステップが、前記流体チャネル内の流体の流れを開始させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記流体チャネル内で前記流体を移動させる前記ステップが第1の流速を有し、前記抵抗の低下が第2の流速で監視された後に前記流体チャネル内の前記流体の前記流れを逆転させるステップがさらに含まれ、前記第2の流速が前記第1の流速よりも低い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の:
第1の試薬を第1の余剰分から計量する工程;および
第2の試薬を第2の余剰分から計量する工程
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の試薬を前記第2の試薬と混合することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1の試薬と第2の試薬の混合物中の第1の試薬と第2の試薬の比が1:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記分析センサが共振器センサである、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記分析センサがバルク音響波(BAW)センサである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記伝導度センサが分析センサの上流に配置される、請求項7、13及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記伝導度センサが2つの電極を含む、請求項7、及び13~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、開示が参照により本明細書に組込まれている2018年7月6日出願の米国仮特許出願第62/694,621号、2018年7月6日出願の米国仮特許出願第62/694,594号および2018年7月6日出願の米国仮特許出願第62/694,599号の利益を共に主張する2019年9月1日出願の米国特許出願第16/120,224号および2018年9月1日出願の米国特許出願第16/120,225号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
医学、獣医学、環境、バイオハザード、バイオテロリズム、農産物および食品の安全性に関連する材料の診断試験のための計器および測定技術は数多く存在する。診断試験は従来、意味のあるデータを得るために長い応答時間を必要とし、高価な遠隔のまたは面倒な実験室設備が関与し、大きい試料サイズを必要とし、多数の試薬を使用し、高度の訓練を受けたユーザが求められ、多大な直接および間接経費が関与する可能性がある。例えば医学的および獣医学的な診断の両方の市場において、大部分の試験で、患者から試料を収集しその後研究所に送る必要があり、ここで結果は数時間あるいは数日間入手不可能である。その結果、医療従事者は、患者を治療するのを待たなければならない。
【0003】
診断試験および分析のためのユースポイント(または医学または獣医学について論述する場合にはケアポイント)ソリューションは、指摘された欠点の大部分を解決することができるものの、幾分か限定的なものであり続けている。さらに利用可能なユースポイントソリューションのいくつかは、実験室試験に比べて感度および再現性が限定されている。同様に多くの場合、利用可能な各々のユースポイント試験のための別個のシステムが存在し得ることから、直接経費が多大である。
【発明の概要】
【0004】
本発明書中で開示されているのは、少なくとも1つの流体チャネルと;流体アクチュエータと;流体チャネル内部に配置された分析センサと;流体チャネル内部に配置された伝導度センサと;イントロデューサと;を含む第1の部分、および、少なくとも1つの材料を封入する少なくとも1つのウェル;を含む第2の部分、を含むデバイスにおいて、第1または第2の部分のうちの一方が他方との関係において移動可能であり、イントロデューサが、少なくとも1つのウェルから材料の少なくとも一部分を得、それを流体チャネルに送出するように構成されており、流体アクチュエータが、流体チャネル内の材料の少なくとも一部分を移動させるように構成されている、デバイスである。
【0005】
同様に開示されているのは、少なくとも1つの流体チャネルと;流体アクチュエータと;流体チャネル内部に配置された分析センサと;流体チャネル内部に配置された伝導度センサと;イントロデューサと;を含む第1の部分、および、少なくとも1つの材料を封入する少なくとも1つのウェル;を含む第2の部分、を含むシステムであって、第1または第2の部分のうちの一方が他方との関係において移動可能であり、イントロデューサが、少なくとも1つのウェルから材料の少なくとも一部分を得、それを流体チャネルに送出するように構成されており、流体アクチュエータが、流体チャネル内の材料の少なくとも一部分を移動させるように構成されているシステムの使用方法において、伝導度センサの抵抗を監視するステップと;流体チャネル内部で液体を移動させるステップと;伝導度センサの抵抗の変化を監視するステップと;を含む方法である。
【0006】
同様に開示されているのは、少なくとも1つの流体チャネルと;流体アクチュエータと;流体チャネル内部に配置された分析センサと;流体チャネル内部に配置された伝導度センサと;イントロデューサと;を含む第1の部分、および、少なくとも1つの材料を封入する少なくとも1つのウェル;を含む第2の部分、を含むシステムであって、第1または第2の部分のうちの一方が他方との関係において移動可能であり、イントロデューサが、少なくとも1つのウェルから材料の少なくとも一部分を得、それを流体チャネルに送出するように構成されており、流体アクチュエータが、流体チャネル内の材料の少なくとも一部分を移動させるように構成されているシステムの利用方法において、伝導度センサにおける抵抗を監視するステップと;流体チャネルの内部の流体の流れを開始させるステップであって、ここで流れが1つの流速を有しているステップと;抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間を決定するステップと;抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間と液体の流速に少なくとも基づいて、流体チャネルの少なくとも一部分の中の流体の体積を決定するステップと;を含む方法である。
【0007】
これらのおよびさまざまな他の特徴は、以下の詳細な説明および関連する図面を読むことにより明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的センサアセンブリを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、化合物、組成物、製品および方法の複数の具体的実施形態が開示されている。他の実施形態も企図され、本開示の範囲または精神から逸脱することなく実施され得るということを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとらえられるべきものではない。
【0010】
本明細書中で使用されている全ての科学的および技術的用語は、別途規定のないかぎり当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書中で提供されている定義は、本明細書中で頻繁に使用される一定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定するように意図されたものではない。
【0011】
本明細書および添付のクレーム中で使用されている単数形態「a」、「an」および「the」は、内容が異なる指示を明確に行なっているのでないかぎり、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0012】
本明細書:および添付クレーム中で使用されている「または」なる用語は概して、内容が異なる指示を明確に行なっているのでないかぎり、「および/または」を含めた意味で用いられる。「および/または」なる用語は、列挙された要素の1つまたは全てまたは列挙された要素のいずれか2つ以上の組合せを意味する。
【0013】
本明細書中で使用される「have(~を有する)」、「having(~を有する)」、「include(~を含む)」、「including(~を含む)」、「comprise(~を含む)」、「comprising(~を含む)」などは、そのオープンエンド型の意味において使用され、概して「~を非限定的に含む」を意味する。「consisting essentially of(本質的に~からなる)」、「consisting of(~からなる)」などは、「compring(~を含む)」などに包含されるものと理解される。組成物、生成物、方法などに関連して、本明細書中で使用される「consisting essentially of」は、組成物、生成物、方法などの構成要素が、列挙された構成要素および組成物、生成物、方法などの基本的および新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない他の任意の構成要素に限定されることを意味する。
【0014】
「preferred(好ましい)」および「preferably(好ましくは)」なる用語は、一定の状況下で一定の利益を提供し得る本発明の実施形態を意味する。しかしながら、同じまたは他の状況下では、他の実施形態も同様に好ましい可能性がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用でないことを暗示せず、クレームを含めた本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図していない。
【0015】
同様に本明細書中、端点による数値的範囲の記述は、その範囲内に包含された全ての数を含む(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含み、あるいは10以下は10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3などを含む)。値の範囲が特定の値「まで(up to)」である場合、その値はこの範囲内に含められる。
【0016】
本明細書中で言及される任意の方向、例えば「top(頂部)」、「bottom(底部)」、「left(左)」、「right(右)」、「upper(上部)」、「lower(下部)」および他の方向および配向は、図の参照における明確さのために本明細書に記載されており、実際のデバイスまたはシステム、またはデバイスまたはシステムの使用を限定するものであってはならない。本明細書中に記載のデバイスまたはシステムは、多くの方向および配向で使用可能である。
【0017】
開示されているデバイスは、流体が中に位置設定されているデバイスの内部における流体の少なくとも一部分の伝導度を決定することのできる伝導度センサを含む。伝導度は、さまざまな目的で利用可能である。
【0018】
本明細書中で開示されているのは、アセンブリである。いくつかの実施形態において、アセンブリは、第1の部分と第2の部分とを含むことができる。第1および第2の部分は、共に組立てられて1つのアセンブリを形成するように構成され得る。第1および第2の部分は、メーカー、組立業者、エンドユーザ、またはその任意の組合せによって共に組立て可能である。2つの部分の組立ては、2つの部分の形状、組立てを容易にするように設計されている2つの部分の少なくとも1つの構成要素、またはその何らかの組合せによって容易にされ得る。2つの部分は、同じ材料または異なる材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、第1の部分および第2の部分は異なる材料で製造され得、これは、2つの部分の目的が異なることから、有用であり得る。アセンブリの2つの部分は、同じまたは異なる施設内で別個に製造可能であり;かつ/または別個にまたは一緒に梱包および/または販売され得る。
【0019】
第1および第2の部分の少なくとも一方は、他方との関係において移動可能である。このことは、第1および第2の部分が組立てられてアセンブリを形成した後、一方の部分が他方の部分との関係において移動可能であることを暗示している。他方の部分との関係において移動可能である部分は、1つ以上の方向または次元で移動可能であり得る。他方の部分との関係における一方の部分の移動は、第2の部分内のウェル(後述)に第1の部分が無作為にアクセスできるという点で、利点を提供し得る。第2の部分内のウェルに無作為にアクセスできることによって、アセンブリ自体の構成を改変することなく幅広いプロトコルの達成を可能にすることができる。他方の部分との関係における一方の部分の移動可能性によって提供される他の考えられる利点が、本開示全体を通して論述される。
【0020】
図1は、アセンブリの例示的実施形態を示す。この提示的アセンブリ100は、第1の部分110と第2の部分120を含む。この特定の例示的なアセンブリ100は、z方向で第1の部分110の下方に第2の部分120を位置付けする形で組立てられるように構成されている。いくつかの実施形態において、第2の部分120は、第1の部分110との関係において移動可能である。第2の部分が第1の部分との関係において移動可能であるということは、第2の部分が、静止状態である第1の部分との関係において少なくとも1つの次元(x、yまたはz)で移動できることを暗示し得る。いくつかの実施形態において、第2の部分は、第1の部分との関係において直線に沿って(例えばx次元に沿って)移動可能である。
図1中に描かれている実施形態は、このような移動を示し、第2の部分120は(mと称される矢印によって示されているような)x方向に移動している。いくつかの実施形態において、第2の部分は、第1の部分との関係において直線に沿って(例えばx次元に沿って)移動でき、第1の部分との関係において上下に(例えばz次元に沿って)移動できる。このような移動は、第2の部分120がz次元でも移動する場合に、アセンブリ100中で見ることができる思われる。
【0021】
第1の部分
【0022】
第1の部分は、少なくとも1つの流体通路、流体アクチュエータおよびイントロデューサを含むことができる。流体通路は同様に、流体チャネルを含むものとして説明され得る。
図1に示されている例示的な第1の部分110は、流体チャネル112、流体アクチュエータ114およびイントロデューサ116を含む。概して、流体チャネル112、流体アクチュエータ114およびイントロデューサ116は、相互に流体連通状態にある。流体アクチュエータ114、イントロデューサ116および流体チャネル112は流体通路の内部、その上にあるかまたは流体通路の一部であるとも説明することができる。
【0023】
流体通路は、さまざまな構成を有することができ、本明細書中で描かれている実施例は、単に例示的構成として役立つものである。いくつかの実施形態において、流体通路は、試料を得るデバイスの部分を含まない。いくつかの実施形態において、流体通路は、試料が第2の部分のウェル内に封入された後に始まる。流体通路は、アセンブリ内の流体用の通過経路として説明することができる。流体通路は常時流体連結されている必要はない。例えば流体通路は、例えば1つの部分を別の部分との関係において移動させることによって、流体通路内へまたは流体通路外へ移動させることのできるデバイスの一部分を含み得る。流体通路は同様に、イントロデューサによりアクセス可能であるデバイスの任意の部分、イントロデューサによりアクセス可能であるデバイスの任意の部分と流体連結されたデバイスの任意の部分、またはそれらの何らかの組合せを含むものとして説明することもできる。流体通路は、連結されている実質の体積のみを含む必要はない。いくつかの実施形態において、流体通路は、第1の部分内に完全に収容されるか、第2の部分内に完全に収容され得、または流体通路の少なくとも一部分が第1の部分上に存在することができかつ流体通路の少なくとも一部分が第2の部分上に存在することができる。いくつかの実施形態において、流体通路は、常時連結されている流体通路であり得、いくつかの実施形態において、流体通路の1つ以上の部分をある時点で流体通路の残りの部分から連結解除することができる。いくつかの実施形態において、流体通路は流体チャネルを含むことができる。いくつかの実施形態において、このような流体チャネルは、常時連結されている体積であり得る。いくつかの実施形態において、このような流体チャネルは、アセンブリの第1の部分上に完全に収容され得る。いくつかの実施形態において、このような流体チャネルはアセンブリの第1の部分上に完全に収容され得、常時静的に連結されている体積であり得る。流体チャネルは、アセンブリの第1の部分上の物理的チャネルを意味し得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、流体通路はバルブを含まない。いくつかの実施形態において、流体チャネルはバルブを含まない。いくつかの実施形態において、バルブが全く無い場合でも流体は、流体通路内(または流体チャネル内)をいずれかの方向に流れることができる。たとえ流体通路(または流体チャネル)内に全くバルブがない可能性があっても、第2の部分内のウェル(例えば空のウェル)に無作為にアクセスする能力のために双方向の流れが可能である。より具体的には、第1の方向に流体を流すことによって、第2の部分上の空のウェル内の流体通路(または流体チャネル)内に液体(いくつかの実施形態においては全ての液体)を堆積させ、次にその液体をそのウェルから回収し、第2の方向(第1の方向の反対)に流体を流して流体通路内にその液体を導くことによって、2方向の流れを達成することができる。いかなるバルブでも使用することなく2方向の流れを達成することで、開示されているアセンブリは、より高い費用効率で製造できかつバルブの使用に付随する問題の発生をさらに低減させることができる。
【0025】
流体通路(ひいては流体通路の一部である流体チャネル)は、試料導入通路にもアクセスすることができる。試料導入通路および流体通路は、その全体が同じ部分上または部分内に位置設定されている必要はない。試料導入通路は、試料をウェル内に取り込むように機能し得る1つ以上の構成要素を含むことができる。試料導入通路は、ウェル内に入る前の試料のための通過経路として説明することができる。試料導入通路は、つねに流体連結されている必要はない。例えば、試料導入通路は、試料導入通路内へまたは試料導入通路から外へと移動され得る(例えば一方の部分の他方の部分との関係における移動に基づく)デバイスの一部分を含むことができる。
【0026】
試料導入通路は、例えば試料導入チャンバおよび、試料導入チャンバからウェル(第2の部分上、後述)まで試料を得るための1つ以上の構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、試料導入通路は、1つ以上の逆止バルブを含むことができる。試料導入通路内にあり得る単数または複数のバルブは同様に、可動部分を含まないものとして説明することもできる。いくつかの実施形態において、試料導入チャンバは、第1の部分上または部分内に位置設定され得る。試料導入通路は例えば、バルブ、フィルタまたはそれらの何らかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態においてにおいて、試料導入通路は第1の部分のイントロデューサ部分を利用することができる。いくつかの実施形態において、試料を、試料導入チャンバから第2の部分上の試料ウェルまで移動させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、試料導入通路は、流体通路または流体通路の一部である流体チャネル内に直接試料を導入するように構成され得る。このような実施形態においては、試料導入通路は、最初に試料ウェル内に試料を堆積させることなく試料を流体通路内に堆積させるように構成されると思われる。このような構成は、試料サイズが比較的小さい事例に特に有用または適用可能であり得ると思われる。いくつかの実施形態において、このような構成は、例えば100μL以下の試料サイズについて利用可能であると思われる。このような試料の一例としては、指を穿刺して得られる量の血液が含まれる。
【0028】
図1は、流体通路の一部である流体チャネル112を示す。流体チャネル112は、第1の部分の2つ以上の構成要素または部品から形成され得る(すなわち、頂部、底部および側面)。いくつかの実施形態において、流体チャネル112はいかなる流体バルブも封入していない。例示的流体チャネルは、分析センサの前後両方の体積または合計体積のいずれかで、その体積により描写され得る。いくつかの実施形態において、例示的流体チャネルは、分析センサの前の領域内で10μL~1000μL、そして分析センサの後の領域内で10μL~1000μLの体積を有することができる。いくつかの実施形態において、例示的流体チャネルは、分析センサの前の領域内で50μL~250μL、分析センサの後の領域内で50μL~250μLの体積を有することができる。いくつかの実施形態において、例示的流体チャネルは、分析センサの前の領域内で75μL~200μL、分析センサの後の領域内で75μL~200μLの体積を有することができる。いくつかの実施形態において、例示的流体チャネルは、分析センサの前の領域内では100μL~175μL、分析センサの後の領域内では100μL~175μLの体積を有することができる。同様に、分析センサの前後の体積は同じである必要はない、ということも理解すべきである。
【0029】
第1の部分は同様に、流体アクチュエータ114も含んでいる。流体アクチュエータ114は流体チャネル112の一端部にあるものとして描かれているが、流体アクチュエータを流体チャネル112に沿った任意の点に位置設定することができ、流体チャネル112に沿った多数の点に位置設定することもできると思われ、かつ/または流体アクチュエータは流体チャネル112に沿った多数の点に多数の構成要素を有することができると思われる。流体アクチュエータ114は、流体チャネル112に沿って流体を移動させるように機能する。同様に、流体アクチュエータ114は流体チャネル112に沿って、その中へ、そこから外へ、その内部で(またはこれらの任意の組合せで)流体を移動させるように機能すると説明することもできる。
【0030】
流体アクチュエータ114は、ポート程度に単純であり得、またはポンプやダイヤフラム程度に複雑であり得る。いくつかの実施形態において、流体アクチュエータ114は、流体チャネル112の端部にあるポート(例えば
図1で描かれているものなど)であり得、このポートは第1の部分の外部に位置設定されたポンプと流体連通状態にある。いくつかの実施形態において、流体アクチュエータ114は、センサアセンブリを制御および/または操作するように構成されている外部計器の上または内部にあるポンプと流体連通状態にあるポートである。いくつかの実施形態において、流体アクチュエータ114は、流体制御システム全体と流体連通状態にあるポートであり得る。例示的流体制御システムは、ポンプ、ダイヤフラム、バルブ、さらなる流体チャネル、タンクまたはそれらの何らかの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、例示的流体制御システムの少なくとも一部分は、外部計器、センサアセンブリの第1の部分、センサアセンブリの第2の部分、またはそれらの何らかの組合せの上または内部に位置設定され得る。いくつかの実施形態において、流体アクチュエータ114は、流体制御システムの一部分と流体連通状態にあるダイヤフラムを含むことができる。
【0031】
第1の部分は同様に、イントロデューサ116も含む。イントロデューサ116は、流体チャネル112の上にあるか、内部にあるかまたは流体チャネル112に対し流動付着され、第2の部分のウェルにアクセスするように機能する(後述)。イントロデューサ116の機能は同様に、第2の部分の上の少なくとも1つのウェルの内容物の少なくとも一部分を得るように構成されているものとして説明することができる。イントロデューサ116は、第2の部分の封止されたウェルを穿刺すると同時にウェル内の材料の少なくとも一部分にアクセスしこれを得ることができるものとして説明され得る。イントロデューサ116は、ウェルにアクセスする目的で外部計器から起動され得る。このような起動は、1次元以上での移動を含むことができる。例えば、
図1に描かれている例において、z方向でのイントロデューサ116の移動は、第2の部分上の少なくとも1つのウェルへのアクセスを提供できると思われる。
【0032】
いくつかの実施形態において、イントロデューサ116は同様に、それがアクセスしたウェル内に空気を導入するように構成され得る。これによりイントロデューサ116は、ウェルから材料をより高い信頼性で得ることができるようになり得る。イントロデューサ116この任意の機能は、イントロデューサのチップの特定の設計によって、2つの点で(1つの点ではなく)同時に、異なる時点で規定の順序でウェルに対するシールを穿孔することによって、またはそれらの組合せによって実現可能である。いくつかの実施形態において、イントロデューサ116は、ピペットのチップと形状および構成が類似したものであり得る。
【0033】
イントロデューサ116は同様に、第2の部分のウェルから材料を抽出するのと同時に第2の部分のウェル内に材料を導入するように構成され得る。このような実施形態において、外部計器は、いくつかの実施形態においては例えばポンプの制御を通して、イントロデューサ116がウェルから材料を抽出する状態かあるいはウェル内に材料を導入する状態かを制御することができる。材料をウェル内に導入することにより、使用されているセンサアセンブリからの液体漏出をユーザが心配する必要なく材料の貯蔵が可能になる。材料をウェル内に導入することによって同様に混合方法も得ることができる。ウェル内への材料の導入は同様に、プロトコルの別のステップが実施されている間に中間組成物を保管する方法をも提供することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1の部分110は同様に、分析センサ118を含むこともできる。第1の部分内の分析センサは任意のタイプのセンサであり得、例えばそれは、光学センサ(例えば化学発光または蛍光発光を使用するもの)、電気化学センサ、または共振センサであり得る。いくつかの実施形態において、分析センサ118は少なくとも1つの共振器センサを含むことができる。このようなセンサの例としては、バルク音響波(BAW)センサおよび薄膜バルク音響共振器(TFBAR)センサが含まれ得る。BAWおよびTFBARセンサは両方共、圧電層または圧電基板、および入力および出力トランスジューサを含む。BAWおよびTFBARセンサは両方共、小型センサであり、該技術をハンドヘルドまたはポータブルデバイスとしての使用に特に好適なものにしている。
【0035】
いくつかの実施形態において、分析センサ118は、流体通路の内部にあるかまたは流体通路の一部を成すことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、分析センサ118は流体チャネルの内部にあるかまたはその一部を成すことができる。例えば、流体通路の一部分は、流体通路内の流体が分析センサ上を流れるように、流体通路の内部に存在するかまたは流体通路の一部を成すように構成され得る。いくつかの実施形態において、流体通路内の流体は、センサの周りを完全に走行することができ、他の実施形態においては、流体通路内の流体は分析センサの全ての表面より少ない表面の周りを走行することができる。いくつかの実施形態において、流体通路内の流体は、分析センサの活性領域を横断して走行することができる。いくつかの実施形態において、流体通路内の流体は、対象の被分析物のための結合部位と共に被覆された分析センサの圧電層の上を流れることができる。
【0036】
分析センサは、任意のタイプのセンサであり得る。いくつかの実施形態において、分析センサは、例えば光学センサ(例えば化学発光センサまたは蛍光発光センサ)または共振センサであり得る。いくつかの実施形態において、分析センサは、BAWセンサなどの共振センサであり得る。
【0037】
開示されているデバイスは、流体チャネル内部に配置された伝導度センサを含む。伝導度センサは概して、少なくとも2つの電極を含み得る。いくつかの実施形態において、電極は、流体チャネルの内部に位置設定されることになる流体(例えば試料、試薬または試料と試薬の組合せ)と反応しない材料で作られている。いくつかの実施形態において、電極は、実質的に化学的に不活性な材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、電極は例えば金製であり得る。
【0038】
少なくとも2つの電極は、流体チャネル内部の流体の抵抗を測定するように構成された電圧および電流特性を有することができる。少なくとも2つの電極は、交流電流(AC)、直流電流(DC)、またはそれらの組合せで使用可能である。いくつかの実施形態においては、電極の表面における加水分解を防止するかまたは少なくとも最小限に抑えることができるため、AC電流を使用できる。いくつかの実施形態において、流体チャネル内部の流体の実質的なジュール加熱を回避する目的で、比較的低い電流が利用される。
【0039】
伝導度センサは、センサから信号を得、その信号をさまざまな目的で利用することのできるプロセッサと通信状態、例えば電気通信状態にあることができる。付加的にまたは代替的に、伝導度センサはプロセッサによって制御され得、例えばプロセッサはさまざまな時点で、さまざまな長さの時間、またはそれらの組合せで、伝導度センサを活動化させることができる。
【0040】
伝導度センサは、分析センサの上流側または分析センサの下流側に位置設定され得る。いくつかの実施形態において、伝導度センサは、分析センサの上流側に位置設定され得る。伝導度センサが分析センサの上流側に位置設定されている実施形態において、伝導度センサは、試料、試薬、試料と試薬の両方またはそれらの混合物を計量するために利用され得る。
【0041】
伝導度センサ(例えば2つの電極)が空気に曝露されている場合、センサは高い抵抗を測定することになる。イオンを含む液体試料と接触させられた場合、抵抗は、液体中のイオンの濃度レベルにしたがって変化(低下)する。抵抗の変化が発生する時間は、液体試料が両方の電極と接触状態にあるときを表す。液体が伝導度センサの両方の電極と接触状態にある正確な時点は、開示されているシステム内でさまざまな目的のために利用され得る。したがって、開示されている方法は、流体チャネル内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部で液体を移動させる(または液体の流れを開始させる)ステップ、および伝導度チャネルにおける抵抗の低下を監視するステップを含むことができる。開示された方法の目的および/または最終目標に応じて、上述の3つのステップに加えてさまざまなステップを任意に実施することができる。
【0042】
いくつかの実施形態においては、伝導度センサを含むシステムを利用して、流体を計量することができる。流体計量の利用分野では、抵抗変化が検出された場合に一貫して流体を停止することができる。流体駆動メカニズムに応じて、抵抗が低下した時点で直ちに流体を停止することができると思われる。これは、抵抗が変化した後間もなく、さらには直ちに駆動メカニズムを停止させることによって達成される。したがって、開示されている方法は、流体チャネルの内部に位置設定されている伝導度センサを監視するステップ、流体チャネルの内部の液体の流れを開始させるステップ、伝導度センサにおける抵抗の低下を監視するステップおよび流体チャネル内の液体の流れを停止させるステップを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、流体を駆動するためにシステム内に蓄積した圧力が、流体を迅速に停止させるステップを幾分か困難にする可能性がある。この場合、より低速の流体流が圧力の蓄積を低下させ、流体がより迅速に停止できるようにするものと思われる。同等の流速のためにはより高い圧力が必要とされることから、試料の粘度が増大するにつれて問題は悪化し得る。しかしながら、試料を計量するための時間が結果を得るのに必要な時間を著しく増大させる可能性のあるケアポイント高速試験においては特に、低速流は望ましくない可能性がある。
【0044】
いくつかの実施形態において、高速計量を可能にするための2つの代替案が存在し得る。抵抗が低下するまで高速順方向流を使用し、その後流体が電極をオーバーシュートした場合にポンプを停止させること。高い抵抗が測定されるまでゆっくりと流れを逆転させ、ポンプを停止させること。したがって、このような開示された方法のいくつかは、流体チャネルの内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部の液体の流れを第1の流速で第1の方向で開始させるステップ、伝導度チャネルにおける抵抗の低減を監視するステップ、流体チャネル内の液体の流れを停止させるステップおよび、第1の流速が第2の流速よりも速い場合に第2の流速で流体チャネル内の液体の流れを逆転させるステップ、そしてその後、流体の流れを停止させるステップを含むことができる。このような方法では、計量時間を削減する上での控えめな利益しか得られない可能性がある。
【0045】
高速計量を可能にするための第2のタイプの方法は、電極に向かって流体を速く移動させるステップを含み、抵抗が変化した時点で、ポンプは停止させられ、通気される。これにより流体チャネル内の残留する圧力蓄積が迅速に除去され、流体は迅速に停止できる。したがって、このような開示された方法のいくつかは、流体チャネル内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部の液体の流れを第1の流速で第1の方向で開始させるステップ、伝導度チャネルにおける抵抗の低下を監視するステップ、流体チャネル内の液体の流れを停止させるステップおよび流体チャネルを通気するステップを含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態においては、流体チャネルの一部分内の流体スラグの合計体積を推定するために、伝導度センサを含むシステムを利用することができる。上述のもの(または別のもの)のような容積式計量方法を適用する場合、典型的には、計量器の停止(伝導度センサ、疎水性ベント他)において、流体の存在が保証され、計量器チャネル内で流体が連続的であるという仮定がなされる。
【0047】
計量器チャネル内で流体が連続的であることを確認し、合計体積を推定するために、伝導度センサを使用することができる。計量された流体スラグは、伝導度センサを通過して駆動され得、使用された流体駆動方法によって流体スラグの体積を推定することができる。例えば、流体を特定の流速で駆動するために、容積形ポンプを使用することができる。次に、流速に基づいて流体の体積を推定するために、伝導度センサ上に液体が観察された合計時間を使用することができる。したがって、このような開示された方法のいくつかは、流体チャネル内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部の液体の流れを開始させるステップ、抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間を決定するステップ、および抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間および液体の流速に基づいて流体チャネルの少なくとも一部分の中の流体の体積を決定するステップを含むことができる。
【0048】
流体の流速が定常状態にない場合に実際の流体流速を補償することによって、推定値を改善するために圧力データを使用することも同様に可能であると思われる。したがって、このような開示された方法のいくつかは、流体チャネル内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部の圧力を監視するステップ、流体チャネル内部の液体の流れを開始させるステップ、抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間を決定するステップ、および抵抗が実質的に恒常な値に維持された時間、液体の流速および流体チャネル内部の圧力に基づいて流体チャネルの少なくとも一部分の中の流体の体積を決定するステップを含むことができる。
【0049】
流体の体積をどのように推定するかについては、異なる圧送方法が異なる方法を指示し得る。試料の体積のこのような推定値を用いて、適切な試料の存在を確実に確認し、過度に少量の試料の出現を識別することができる。計量器方法単独では(上述した通り)、計量方法におけるタイムアウトエラーが利用された場合に試料不在を識別することしかできない。
【0050】
開示されたシステムは同様に、試料および試薬、またはその任意の組合せの混合を制御するためにも利用可能である。典型的には、計量された流体は、反応を行なうため追加の流体と混合される必要がある。混合物中の最終濃度は、試験によって報告される分析結果の精度にとって重要である。例えば、2つの試薬の最終混合物中の正確かつ精度の高い濃度を達成する1つの方法は、一余剰分からの試薬1を計量し、それを試薬2の(製造時の)すでに正確で/精度の高い体積に加えることである。このような方法のいくつかにおいて、流体チャネル中の液体の体積を決定する上述の方法のいずれかを、第2の液体の公知の体積に対して液体の体積を加えるステップと組合せることができる。いくつかの方法において、第1の液体が試料であり、第2の液体が試薬であり得、第1の液体が試薬であり第2の液体が試料であり得、第1の液体が試薬であり第2の液体が試薬であり得、第1の液体が試料であり第2の液体が試料用の希釈剤であり得、あるいはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態において、試薬は、試薬2のすでに正確で/精度の高い体積中に2回以上計量され得る。
【0051】
このアプローチの潜在的な問題は、流体デバイスにおける容積式計量方法が、正確なチャネル幾何形状ならびに組立て許容誤差に左右されるという点にある。同じキャビティから生産される射出成形部品は、この方法を用いて優れた精度を達成するのに充分な一貫性を有する。しかしながら、多数のキャビティから生産される部品は、成形型の変動に起因して充分な一貫性がない可能性がある。
【0052】
代替的には、レシオメトリックアプローチを用いて、最終的混合物中の正確かつ精度の高い濃度を達成することができる。ここで、試薬1は、余剰分から計量される(例えば、流体チャネルの内部に位置設定された伝導度センサを監視するステップ、流体チャネル内部の液体の流れを開始させるステップ、伝導度チャネルにおける抵抗の低下を監視するステップ、および流体チャネル内の液体の流れを停止させるステップを含む方法)。次に、試薬2が、同じ計量方法を用いて余剰分から計量される。2つの計量された体積は、次に混合される。ここで、正確かつ精度の高い濃度で1:1の混合物が達成されるが、最終体積は不正確であるとみなされ得ると考えられる。混合物の合計体積の正確さが最終的な試験結果にとって重要でない場合、この方法は、数個取り成形型の問題を回避し、2計器ステップの費用が追加される。比率は1:1に限定されないということを指摘しておかなければならない。例えば、第1の液体(および/または第2の液体)を多数回計量(固定体積計量器具)して、異なる混合物比率を達成することができると思われる。可変体積計量器方法もまた、確かに限定されない。
【0053】
レシオメトリック方法における液体の体積は、それを知る必要がある場合、例えばチャネルの幾何形状を用いた流体チャネル内の流体体積、チャネル内の圧力、流体の流速、流体抵抗、流体が移動させられた時間、またはそれらの何らかの組合せを含めた多くの因子を用いて、推定可能である。
【0054】
第2の部分
【0055】
開示されているアセンブリは同様に、第2の部分も含んでいる。第2の部分は少なくとも1つのウェルを含むことができる。
図1は、複数のウェル122を含む例示的な第2の部分120を描いている。アセンブリの開示されている第2の部分は、任意の数のウェルを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の部分は、少なくとも一(1)個、少なくとも三(3)個、または少なくとも五(5)個のウェルを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の部分は九(9)個のウェルを含むことができ、1個は試料ウェルである。ウェルは、任意の構成、線形(
図1に描かれている通り、円形、他)で存在し得る。
【0056】
第2の部分の内部のウェルは、同じまたは異なる体積を封入するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ウェルは少なくとも10μLを封入するためのサイズを有し得る。いくつかの実施形態において、ウェルは例えば50μL~150μLを封入するためのサイズを有し得る。いくつかの実施形態において、ウェルは例えば約100μLを封入するためのサイズを有し得る。いくつかの実施形態において、ウェルは、それらが保持するべく設計されている数量より多い合計容量を有することができる。例えば、ウェルは、100μLの体積を収容するために200μLの合計容量を有することができる。ウェルは、例えば、隅、平担な底部および丸い底部を含めたさまざまな構成を有することができる。ウェルは、さまざまな形状を有することができ、例えば円筒形または球形、六角形他であり得る。
【0057】
第2の部分の内部のウェルは、さまざまな材料を封入することができ、または空でもあり得る。いくつかの実施形態において、第2の部分は、空である少なくとも1つのウェルを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の部分は少なくとも1つの試料ウェルを含むことができる。試料ウェルは概して、アセンブリが使用される前は空であり得る。このような実施形態における試料ウェルは、試料導入通路を介して試料導入チャンバから移送された試料の少なくとも一部分を保持するために利用可能である。いくつかの実施形態において、試料ウェルは、1つ以上の材料を含むことができ、試料は試料ウェル内への導入時点でこの材料と組合せられることになる。
【0058】
ウェルの内部に封入される材料は、液体または固体であり得る。ウェル内部に封入される材料は、試薬、希釈剤、洗浄液、緩衝溶液または他のこのような用語でも呼ばれ得る。いくつかの実施形態において、ウェル内部の材料は、室温で液体である単一の材料、2つ以上の材料を含有する溶液、または別の材料中に分散した1つの材料を含有する分散体であり得る。いくつかの実施形態において、ウェル内部の材料は固体であり得る。個別のウェルの内部の材料は、他のウェル内の材とは独立して選択され得る。いくつかの実施形態において、ウェル内部の材料は、特定の試験プロトコルを実施するために選択される。
【0059】
第2の部分は同様にシールを含むことができる。概して、シールはウェル内部に材料を封入するために機能する。いくつかの実施形態において、シールは単体要素であり得る一方、いくつかの実施形態においては、シールは2つ以上の要素で構成され得る。例えば、
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、単一の要素がウェル122の全てを覆うことができると思われる。一方他のいくつかの実施形態においては、各ウェル122を個別の要素によって覆うことができると思われ、要素の全てがシールを構成する。シールは、ウェル内部にウェルの内容物を維持すると同時にイントロデューサがウェル内の材料にアクセスできるようにするためにも機能し得る任意の材料で製造され得る。例示的材料としては例えば、接着剤またはヒートシールを介して第2の部分(またはその一部分)に対して封止され得る金属箔などの箔;プラスチックフィルム;または他のこのような材料が含まれる。いくつかの実施形態において、シールは、金属箔で製造され、第2の部分全体を覆う。
【0060】
第2の部分は同様にユーザから直接的にまたは間接的に試料を導入する方法を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部分は空のウェルを含むことができ、センサアセンブリにより試験されるべき試料を導入するために、このウェルのシール(封止されている場合)を開示されているアセンブリまたはユーザにより穿孔することができる。このウェルは、試料ウェルと呼ぶことができる。いくつかの実施形態において、試料はシールによって覆われていない。試料がユーザにより第2の部分に直接導入されるいくつかの実施形態においては、試料を、シリンジ、ピペットまたは他の類似の計器を介して試料ウェルに加えることができる。いくつかの実施形態においては、例えば試料導入通路を介して試料ウェルに試料を加えることができる。
【0061】
使用
【0062】
本明細書中に記載のデバイス、システムおよび方法は、試料中の標的被分析物を検出するために利用され得る。デバイスは、多くの化学、環境、食品安全性または医療の利用分野において使用され得る。一例として、試験すべき試料は、血液、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、尿などであり得るか、またはこれらに由来し得る。流体組成物でない他の試験組成物は、分析のため、適切な溶液または溶媒中に溶解または懸濁させられてもよい。
【0063】
標的被分析物の非限定的例としては、核酸、タンパク質、ペプチド、抗体、酵素、炭水化物、化学化合物または感染性種、例えば細菌、真菌、原虫、ウィルス、殺虫剤などが含まれる。一部の利用分野において、標的被分析物は、2つ以上の分子認識成分と結合する能力を有する。
【0064】
本開示は、以下の実施例により例示される。本明細書中に記されている開示の範囲および精神にしたがって、特定の実施例、仮定、モデリングおよび手順を広義で解釈しなければならない、ということを理解すべきである。
【0065】
したがって、「伝導度センサを含む流体チャネルおよびその使用」の実施形態が開示されている。上述の実装または他の実装が以下のクレームの範囲内に入る。当業者であれば、開示されているもの以外の実施形態を用いて本開示を実践することができるということを認識するものである。開示されている実施形態は、限定する目的ではなく例示を目的として提示されるものである。