(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】触媒混合物
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20240709BHJP
C08F 210/18 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/18
(21)【出願番号】P 2021514067
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2019074869
(87)【国際公開番号】W WO2020058267
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511242409
【氏名又は名称】アランセオ・ネザーランズ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファエレ・ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルドゥス・ファン・ドレマーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウテル・ファン・メーレンドンク
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・ヴィントミュラー
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-518201(JP,A)
【文献】特表2017-509595(JP,A)
【文献】特表2007-529584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60-4/70、6/00-246/00、301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
CyLMZ
p (1)
による少なくとも1つの金属錯体と、
式(2)
InLMZ
p (2)
による少なくとも1つの金属錯体とを含有する
、エチレン、少なくとも1つのC
3
~C
12
-α-オレフィン、及び少なくとも1つの非共役ジエンを重合させることによりポリマーを製造するための触媒混合物であって、
Cyは、置換基R
1、R
2及び3つの追加的なメチル基を含有する置換シクロペンタジエニル配位子であり、
R
1は、H、ハロゲン、又はC
3~C
20置換基を意味し、C
3~C
20置換基は、3~20個の炭素原子を含有する脂肪族又はアリール基であり、且つC
3~C
20置換基は、ハロゲン、窒素、リン、酸素、及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を含有していてもよく、
そして
R
2はC
1~C
20置換基を意味し、C
1~C
20置換基は、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族又はアリール基であり、且つC
1~C
20置換基は、ハロゲン、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を含有していてもよく、
Inは、任意選択により1つ以上の置換基R
3によって置換されていてもよいインデニル配位子であって、前記1つ以上の置換基R
3は、独立してC
1~C
20ヒドロカルビル置換基を意味し、
且つ各式(1)及び(2)に関して独立して、
Mは、チタンであり、
Zは、C
1~10アルキル基及びClから独立して選択されるアニオン配位子であり、
pは、1~2の数であり、そして
Lは、式(3)
【化1】
のアミジナート型配位子であり、前記配位子は、
式(3)中のイミン窒素原子を介して前記
チタンMに共有結合し、且つSub1は、Sub1がそれによって前記イミン炭素原子に結合する第14族原子を含む置換基であり、且つ置換又は非置換フェニルから選択され、Sub2は、Sub2がそれによって前記イミン炭素原子に結合するN原子を含む置換基であり、且つ、一般式NR
4R
5のものであり、R
4及びR
5は、独立して、脂肪族C
1~20ヒドロカルビル、ハロゲン化C
1~20脂肪族ヒドロカルビル、芳香族C
6~20ヒドロカルビル、及びハロゲン化芳香族C
6~20ヒドロカルボニル残基からなる群から選択されるか、又はR
4は、R
5若しくはSub1と一緒に複素環を任意選択により形成している、触媒混合物。
【請求項2】
式(2)
中、式(3)の配位子LのSub1は、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、又は2,6-ジフルオロフェニルから選択される、請求項1に記載の触媒混合物。
【請求項3】
式(1)中、Cyは、三級又は四級炭素原子を介してシクロペンタジエニル環に結合している1つのC
3~C
20ヒドロカルビル置換基、及び4つのメチル基によって置換されているシクロペンタジエニル環を意味する、請求項1又は2に記載の触媒混合物。
【請求項4】
式(1)中、Cyは、4つのメチル基によって置換されているシクロペンタジエニル環を意味する、請求項1
又は2に記載の触媒混合物。
【請求項5】
式(1)対式(2)の触媒の質量比が、50:1~1:50である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒混合物。
【請求項6】
式(1)中、
式(3)の配位子LのSub1が、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、及び2,6-ジフルオロフェニルからなる群から選択され、且つSub2は、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ビスシクロヘキシルアミノ、及びピペリジニルからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒混合物。
【請求項7】
式(2)中、
式(3)の配位子LのSub1が、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、及び2,6-ジフルオロフェニルからなる群から選択され、且つSub2は1-ピペリジニルから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒混合物。
【請求項8】
a)請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒混合物、及び
b)活性剤、
を含む、触媒システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒混合物又は請求項8に記載の触媒システムとモノマーを接触させることを含む、少なくとも1つのオレフィンモノマーを重合させることによるポリマーの製造方法であって、エチレン、少なくとも1つのC
3~C
12-α-オレフィン、及び少なくとも1つの非共役ジエンがオレフィンモノマーとして用いられる、方法。
【請求項10】
少なくとも1つの非共役ジエンが5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、2,5-ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、及びビニルシクロヘキセンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの異なる金属錯体を含有する触媒混合物、ポリマーを得るための重合プロセス、及びそれによって得られるポリマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エラストメリックポリマーは、一般に、ポリマーがカーボンブラックなどのフィラー及び/又は油と混合されているコンパウンドの形態で加工される。ダイを通してポリマーを押出成形する時、特に低充填調製法で起こり得る典型的な現象は、表面のゆがみ、ダイの膨張又は著しい融解物破砕である。押出成形のために適切なコンパウンドは、加工の間に高いトルク及び圧力を必要としないべきであり、そして表面のゆがみの傾向がないべきである。コンパウンドの粘度を低下させることによって、押出成形の挙動の改善をもたらすことが知られている。
【0003】
長鎖分枝の導入によって、又はより低分子量のさらなるポリマー留分による主要ポリマー留分の希釈によって、より低い粘度を達成することができる。これは、ポリマーブレンド若しくは混合、ポリマーへの油の添加、又は触媒混合物を介するポリマーの製造などの当該技術分野において既知の技術によって達成することができる。そのような方法は、最終ポリマーの全体的な粘度を低下させるが、一般に引張強さ又は圧縮永久ひずみなどのコンパウンド物性の悪化をもたらす。
【0004】
(特許文献1)において、アミジナート配位子を含有する触媒を使用することによる良好なポリマー特性が報告された。
【0005】
(特許文献1)には、エチレンと、3~8個の炭素原子を有する少なくとも1つの追加的なアルファオレフィンとの共重合のためのプロセスが開示される。さらに、(特許文献1)には、エチレン、アルファオレフィン及び1つ又は複数の非共役ジエンの共重合のためのプロセスも開示されており、それによって、ペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp*)配位子を含むアミジナト触媒を使用して、最も高い分子量(又は固有粘度(IV))のポリマーが製造される。この結果は、(特許文献2)から既知である通り、Cp環において特別な置換パターンを有する類似の触媒によって、さらに改善することもできる。
【0006】
本発明の目的は、従来技術から既知の欠点を克服することのできる触媒を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2005090418号パンフレット
【文献】欧州特許第3272761号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
驚くべきことに、特に加工及び物理的特性の両方における、より良好な特性は、2つのアミジナト触媒の使用によって達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、式(1)
CyLMZ
p (1)
による少なくとも1つの金属錯体と、
式(2)
InLMZ
p (2)
による少なくとも1つの金属錯体とを含有する触媒混合物であって、
Cyは、置換基R
1、R
2及び3つの追加のメチル基を有する置換シクロペンタジエニル配位子であり、
R
1は、H、ハロゲン又はC
3~C
20置換基を意味し、そして
R
2はC
1~C
20置換基を意味し、
Inは、任意選択により1つ以上、特に1~7つの置換基R
3によって置換されていてもよいインデニル配位子であって、1つ又は複数の置換基R
3は、独立してメチル基などのC
1~C
20ヒドロカルビル置換基を意味し、
且つ各式(1)及び(2)に関して独立して、
Mは、第4族金属であり、
Zは、独立してアニオン配位子であり、
pは、1~2、好ましくは2の数であり、そして
Lは、式(3)
【化1】
のアミジナート配位子であり、このアミジン含有配位子は、そのイミン窒素原子を介して金属Mに共有結合し、且つSub1は、Sub1がそれを介してイミン炭素原子に結合する第14族原子を含む置換基であり、且つSub2は、Sub2がそれを介してイミン炭素原子に結合する第15族のヘテロ原子を含む置換基である、触媒混合物に関する。
【0010】
したがって、アミジナート配位子すなわちアミジン含有配位子は、本発明の意味において、上記のように定義される配位子である。それは、分子は上記のように置換されうるが、任意選択により置換されていてもよいアミジンの構造に類似する一般構造を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】表4のコンパウンドに関するGarveyダイ品質のプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態:
M
好ましい実施形態において、式(1)及び(2)中の第4族の金属Mは、互いに独立して、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、又はハフニウム(Hf)であり、最も好ましくはチタンである。式(1)及び(2)中のさらに好ましいMは、それぞれチタンである。
【0013】
Z
好ましい実施形態において、Zは、独立して、ハロゲン、C1~10アルキル基、C7~20アラルキル基、C6~20アリール基、又はC1~20炭化水素置換アミノ基、そしてより好ましくはハロゲン原子及びC1~10アルキル基、最も好ましくはCl、F、Br、メチル、ベンジル、メチルトリメチルシリル、フェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、N,N-ジメチルアミノフェニル、ビス-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペルフルオロフェニル、トリアルキルシリルフェニル、ビス(トリアルキルシリル)フェニル及びトリ(トリアルキルシリル)フェニルからなる群から選択される。最も好ましいZは、メチル又はベンジルである。pが1以上である場合とはp=2を意味し、Zに関する所与の意味は独立している。好ましくは、p=2であり、且つ両Zは同一である。
【0014】
L
好ましい実施形態において、式(1)及び(2)中、互いにそれぞれ独立して、式(3)の配位子LのSub1は、置換若しくは非置換C6~C20アリール残基、特にフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、又は2,6-ジフルオロフェニルである。
【0015】
好ましい実施形態において、式(1)及び(2)中、互いにそれぞれ独立して、式(3)の配位子LのSub2は、一般式NR4R5のものであり、R4及びR5は、独立して、脂肪族C1~C20ヒドロカルビル、ハロゲン化C1~C20脂肪族ヒドロカルビル、芳香族C6~C20ヒドロカルビル、及びハロゲン化芳香族C6~C20ヒドロカルボニル残基からなる群から選択されるか、又はR4は、R5若しくはSub1と一緒に複素環を任意選択により形成していてもよい。Sub2のための最も好ましい例は、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ビスシクロヘキシルアミノ、及びピペリジニル、特に1-ピペリジニルである。
【0016】
式(2)において、式(3)の配位子LのSub1はフェニルであり、且つSub2はジイソプロピルアミノ又はピペリジニルであることが好ましくなり得る。
【0017】
式(1)において、式(3)の配位子LのSub1は2,6-ジフルオロフェニルであり、且つSub2はジイソプロピルアミノ又はピペリジニルであることがさらに好ましくなり得る。
【0018】
本発明のさらなる実施形態は、Sub1がアルキル残基である式(3)のLを有する式(1)及び(2)の金属錯体の触媒混合物に関する。そのような好ましいSub1の典型的な例は、1~20個の炭素原子を有し、非置換であるか、又はハロゲン、アミド、シリル、若しくはC6~C20アリール基によって置換された直鎖状、分枝状、又は環状アルキル残基である。そのようなSub1の例は、メチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソプロピル、tert-ブチル、ベンジル、トリフルオロメチル、2,6-ジメチルベンジル、2,6-ジフルオロベンジル、及び2,6-ジフルオロベンジルである。
【0019】
式(3)によって表されるアミジナート含有配位子の最も好ましい例は、式(3a)
【化2】
のプロチオ-アミジン(protio-amidine)をベースとするものである。
【0020】
例としては、N,N-ジメチルアセトイミドアミド、N,N-ジイソプロピルアセトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシルアセトイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルアセトイミドアミド、N,N-ジメチルイソ酪酸イミドアミド、N,N-ジイソプロピルイソ酪酸イミドアミド、N,N-ジシクロヘキシルイソ酪酸イミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルイソ酪酸イミドアミド、N,N-ジメチルシクロヘキサンカルボキシイミドアミド、N,N-ジイソプロピルシクロヘキサンカルボキシイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシルシクロヘキサンカルボキシイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルシクロヘキサンカルボキシイミドアミド、N,N-ジメチルピバル酸イミドアミド、N,N-ジイソプロピルピバル酸イミドアミド、N,N-ジシクロヘキシルピバル酸イミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルピバル酸イミドアミド、2,2,2-トリフルオロ-N,N-ジメチルアセトイミドアミド、2,2,2-トリフルオロ-N,N-ジイソプロピルアセトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2,2,2-トリフルオロアセトイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチル-2,2,2-トリフルオロアセトイミドアミド、2-(フェニル)-N,N-ジメチルアセトイミドアミド、2-(フェニル)-N,N-ジイソプロピルアセトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-(フェニル)アセトイミドアミド、2-(フェニル)-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルアセトイミドアミド、2-(2,6-ジメチルフェニル)-N,N-ジメチルアセトイミドアミド、2-(2,6-ジメチルフェニル)-N,N-ジイソプロピルアセトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-(2,6-ジメチルフェニル)アセトイミドアミド、N,2-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルアセトイミドアミド、2-(2,6-ジフルオロフェニル)-N,N-ジメチルアセトイミドアミド、2-(2,6-ジフルオロフェニル)-N,N-ジイソプロピルアセトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-(2,6-ジフルオロフェニル)アセトイミドアミド、2-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチル-アセトイミドアミド、N,N-ジメチルベンズイミドアミド、N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシルベンズイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルベンズイミドアミド、N,N-ジメチル-1-ナフトイミドアミド、N,N-ジイソプロピル-1-ナフトイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-1-ナフトイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチル-1-ナフトイミドアミド、N,N,2,6-テトラ-メチルベンズイミドアミド、N,N-ジイソプロピル-2,6-ジメチルベンズイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2,6-ジメチルベンズイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチル-2,6-ジメチルベンズイミドアミド、2,6-ジフルオロ-N,N-ジメチルベンズイミドアミド、2,6-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピル-ベンズイミドアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2,6-ジフルオロベンズイミドアミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチル-2,6-ジフルオロベンズイミドアミド、2,6-ジクロロ-N,N-ジメチルベンズイミドアミド、2,6-ジクロロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド、2,6-ジクロロ-N,N-ジシクロヘキシルベンズイミドアミド、2,6-ジクロロ-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-エチルベンズイミドアミドが含まれる。好ましい例は、2,6-ジフルオロ-N,N-ピペリジニルベンズアミジン、2,4-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(2,4-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)、2,4,6-トリフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(2,4,6-トリフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)、3,5-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(3,5-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)、ペンタフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(ペンタフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)、2,6-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(2,6-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)及びN,N-ジイソプロピルベンズイミドアミド(N,N-ジイソプロピルベンズアミジン)である。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態は、独立して、式(3b)
【化3】
(式中、アミジン含有配位子は、イミン窒素原子N
2を介して金属Mに共有結合し;Sは-CH
2-単位であり、且つtはSの数を示す整数であり、且つ1~4の範囲、より好ましくは1~2の範囲、最も好ましくは1であり;
Sub3は、それを通してSub3がアミン窒素原子N
1に結合する第14族原子を含む脂肪族又は芳香族環式又は直鎖状置換基であり、
Sub4は、2つの炭素原子がsp
2又はsp
3混成であり得る任意選択により置換されていてもよいC2単位である)
のLを有する式(1)及び(2)の金属錯体の触媒混合物に関する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、Sub3が、独立して、それぞれの場合において非置換であるか、又はハロゲン、アミド、シリル、若しくはアリール基によって置換された、1~20個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル又は6~20個の炭素原子を有する芳香族残基である、式1及び2の金属錯体の触媒混合物に関する。そのようなSub3の例は、メチル、n-プロピル、i-プロピル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、シクロドデシル、オクタデシル、アダマンチル、1-ブテニル、2-ブテニル、プロペニル、非置換フェニル、又は置換フェニル残基、好ましくはフェニル、ナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、又は2,6-ジフルオロフェニルである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態は、独立して、式3b)のLが、一般式3c)
【化4】
(式中、R
1~R
4は同一であるか、又は異なり、且つそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、任意選択により置換されていてもよいC
1~10アルキル基又は任意選択により置換されていてもよいC
1~10アルコキシ基を表し、且つS、t、及びSub3は上述の意味を有する)を有するか、或いは式3b)のLが、一般式3d)
【化5】
(式中、R
5~R
8は同一であるか、又は異なり、且つそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、任意選択により置換されていてもよいC
1~10アルキル基、任意選択により置換されていてもよいC
1~10アルコキシ基を表すか、又は隣接するR
5~R
8は連結して、任意選択により場合によって置換されている、好ましくは非置換である芳香環を形成し得、且つS、t、及びSub3は上述の意味を有する)を有する、式1及び2の金属錯体の触媒混合物に関する。好ましいR
5~R
8の典型的な例は、水素及びフッ素である。
【0024】
好ましい実施形態において、Lは、R1~R4がそれぞれ水素原子を表す一般形態3c)を有するか、又はR5~R8がそれぞれ水素原子を表すか、若しくはR5がフッ素原子である一般形態3d)を表し、且つSub3は、メチル、n-プロピル、i-プロピル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、シクロドデシル、オクタデシル、アダマンチル、1-ブテニル、2-ブテニル、プロペニル、フェニル、ナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、又は2,6-ジフルオロフェニルであり、SはCH2を意味し、そしてtは1である。
【0025】
Cy
本明細書で使用される場合、シクロペンタジエニル配位子という用語は、概して、その従来の意味を意味するように意図され、すなわち、金属へのη5-配位をする際に、通常、π-型結合を通して金属に結合されている5員炭素環を有する置換された配位子を意味する。
【0026】
R1及びR2は、それらが水素ではない場合、5員炭素環においてそれぞれ水素を置換する置換基である。置換基R1及びR2は、下記のように形成されることができ、それら自体が置換されてもよく、したがって置換基を有していても、有していなくてもよい。
【0027】
R2は、メチル、エチル、n-プロピル、アリル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、イソプロピルドデシル、アダマンチル、ノルボルニル、トリシクロ[5.2.1.0]デシル、又はフェニル、ベンジル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ナフチル、ブチルフェニル若しくはブチルジメチルフェニルを含むアリール基などの脂肪族直鎖状又は分枝状の基を暫定的に意味する。
【0028】
R2のC1~C20置換基は、ハロゲンを含むヘテロ原子置換基も含むことができ、特にF、Cl及びBrが挙げられる。特定の例には、フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル及びフルオロメチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが含まれる。さらに、第15族及び第16族元素は、例えば、窒素、リン、酸素、及び硫黄;例えば、N,N-ジメチルアミノベンジル、N,N-ジメチルアミノメチル、メトキシメチル、ジフェニルホスフィノメチル、シアノエチル、及び硫黄複素環。好ましくは、R2のC1~C20置換基は非置換である。
【0029】
R1は、好ましくは、水素、ハロゲン、特にF、Cl及びBrを意味し、且つ特に、R1は、C3~C20置換基、例えば、脂肪族直鎖状及び分枝状基、例えば、n-プロピル、イソプロピル、アリル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、イソプロピルドデシル、アダマンチル、ノルボルニル、トリシクロ[5.2.1.0]デシル、又はフェニル、ベンジル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ナフチル、ブチルフェニル及びブチルジメチルフェニルを含むアリール基を意味する。
【0030】
R1置換基のC3~C20は、ハロゲン、特にF、Cl及びBrを含むヘテロ原子置換基によって置換されていてもよい。特定の例としては、フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル及びフルオロメチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチル、さらに、第15族及び第16族元素は例えば、窒素、リン、酸素及び硫黄;例えば、N,N-ジメチルアミノベンジル、N,N-ジメチルアミノメチル、メトキシメチル、ジフェニルホスフィノメチル、シアノエチル、及び硫黄複素環が挙げられる。好ましくは、R1のC3~C20置換基は非置換である。
【0031】
好ましい実施形態において、R1はC3~C10置換基を意味し、そしてR2はメチルを意味する。より好ましくは、R2はメチルを意味し、そしてR1はC3~C6基を意味する。最も好ましくは、R1は、イソプロピル、シクロヘキシル、アリル、又は直鎖状若しくは分枝状ブチル異性体、特にn-ブチル、s-ブチル、イソブチル、又はt-ブチルを意味し、そしてR2はメチルを意味する。
【0032】
Cyは、三級又は四級炭素原子を介してシクロペンタジエニル環に結合する1つのC3~C20ヒドロカルビル置換基、及び4つのメチル基によって置換されているシクロペンタジエニル環を意味し得る。
【0033】
一般に、Cyは、好ましくは、R1に加えて、4つのメチル基によって置換されているシクロペンタジエニル環を意味する。この場合、R1がHであることが好ましくは定められ得る。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明の混合物は本発明の式(1)の金属錯体を含み、この場合、
MはTiであり、
Zは、塩素及びC1~C4-アルキル、特にメチルからなる群から選択され、
pが2であり、
Cyは、そのうちの1つがR2=メチルからである4つのメチル基で置換され、そしてR1が、水素又はC3~C6脂肪族置換基、特にイソプロピル、シクロヘキシル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、又はt-ブチル、アリルを意味し、そして
Lは、N,N-ジイソプロピルベンズアミジナート、2,6-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピル-ベンズアミジナート、又は2,6-ジフルオロ-N,N-ピペリジニルベンズアミジンを意味する。
【0035】
In
本明細書で使用される場合、インデニル(In)配位子という用語は、概して、その従来の意味を意味するように意図され、これは、金属へのη5-配位をする際に、通常、π-型結合を通して金属に結合される。インデニル環は、非置換であるか、又は1~7個の置換基、特にC1~C20ヒドロカルビル置換基、特に1つ又は複数のメチル基によって置換され得る。好ましくは、インデニル配位子は非置換である。1つ又は複数の置換基R3は、インデニル環において水素をそれぞれ置き換える。1つ又は複数、特に1~7個の置換基R3は上記の通りに形成されることができ、且つそれ自体が置換されていてもよく、したがって、置換基を有していてもよい。
【0036】
R3は、メチル、エチル、n-プロピル、アリル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、イソプロピルドデシル、アダマンチル、ノルボルニル、トリシクロ[5.2.1.0]デシル、又はフェニル、ベンジル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ナフチル、ブチルフェニル若しくはブチルジメチルフェニルを含むアリール基などの脂肪族直鎖状又は分枝状の基を意味する。
【0037】
R3のC1~C20置換基は、ハロゲンを含むヘテロ原子置換基も含むことができ、特にF、Cl及びBrを挙げることができる。特定の例には、フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル及びフルオロメチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが含まれる。さらに、第15族及び第16族元素、例えば、窒素、リン、酸素及び硫黄;例えば、N,N-ジメチルアミノベンジル、N,N-ジメチルアミノメチル、メトキシメチル、ジフェニルホスフィノメチル、シアノエチル、及び硫黄複素環。
【0038】
好ましくは、R3のC1~C20置換基は非置換である。
【0039】
好ましい実施形態において、本発明の混合物は、本発明の式(2)の金属錯体を含み、その場合、
MはTiであり、
Zは、塩素及びC1~C4-アルキル、特にメチルからなる群から選択され、
pは2であり、
Inは非置換インデニル配位子であり、且つ
Lは、N,N-ジイソプロピルベンズアミジナート、2,6-ジフルオロ-N,N-ジイソプロピル-ベンズアミジナート、又は2,6-ジフルオロ-N,N-ピペリジニルベンズアミジンを意味する。
【0040】
そのような混合物
本発明による触媒混合物中の式(1)対式(2)の触媒の質量比は、50:1~1:50、好ましくは1:1~1:20、より好ましくは1:5~1:15である。
【0041】
混合物はさらなる他の触媒を含みことができ、好ましくは、合計で95質量%より多い、特に99質量%より多い式(1)及び(2)の触媒を含有する。
【0042】
本発明はまた、
a)本発明による触媒混合物、
b)活性剤、及び
c)任意選択により場合によって捕捉剤
を含む触媒システムにも関連する。
【0043】
捕捉剤c)は、本発明のプロセス中に存在する、触媒に対して有害である不純物と反応する化合物である。
【0044】
本発明の好ましい実施形態において、触媒システムの捕捉剤c)は、第1~13族の金属又はメタロイドのヒドロカルビル、或いは第15又は16族原子を含有する少なくとも1つの立体障害型化合物とのその反応生成物である。
【0045】
好ましくは、立体障害型化合物の第15又は16族原子はプロトンを有する。これらの立体障害型化合物の例は、tert-ブタノール、イソプロパノール、トリフェニルカルビノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-エチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルアニリン、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルアニリン、4-エチル-2,6-ジ-tert-ブチルアニリン、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、ジイソプロピルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジフェニルアミンなどである。捕捉剤のいくつかの非限定的な例は、オルガノアルミニウム化合物(E)、その異性体を含むブチルリチウム、ジヒドロカルビルマグネシウム及びヒドロカルビル亜鉛、及びそれらと立体障害型合物又はHF、HCl、HBr、HIなどの酸との反応生成物である。さらに、以下に定義されるオルガノアルミニウム化合物(E)、特にメチルアルミノキサン(MAO)などのヒドロカルビルアルミノキサンを活性剤b)として使用することができる。
【0046】
シングルサイト触媒のための成分b)の活性剤は、当該技術分野において周知である。これらの活性剤は、ホウ素又はアルミニウムなどの第13族原子を含むことが多い。これらの活性剤の例は、E.Y-X.Chen及びT.J.MarksによるChem.Rev.,2000,100,1391に記載されている。好ましい活性剤b)は、ボラン(C1)、ボレート(C2、C3)、又はメチルアルミノキサン(MAO)などのアルキルアルミノキサンなどのオルガノアルミニウム化合物(E)である。活性化のための活性剤は、好ましくは以下の(C1)~(C3)のいずれかのホウ素化合物及び/又はオルガノアルミニウム化合物(E)である。オルガノアルミニウム化合物(E)は、捕捉剤及び/又は活性剤として利用されてもよい。
【0047】
好ましい活性剤b)及び捕捉剤c)は、これらの2つの成分に関して参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第2816050で号明細書に記載されるものと同一である。
【0048】
重合プロセス
本発明は、本発明による触媒混合物又は触媒システムとモノマーを接触させることを含む、少なくとも1つのオレフィンモノマーを重合させることによるポリマーの調製のためのプロセスにも関する。
【0049】
重合のための好ましいプロセスは、一般に、気相中、スラリー中、又は不活性溶媒、好ましくは炭化水素溶媒中の溶液中で実施される。
【0050】
そのような重合は、異なる重合ゾーンで起こることができる。重合ゾーンは、重合が生じる容器であり、そしてバッチ反応器又は連続反応器のいずれであることも可能である。複数の反応器が利用される場合(平行又は直列構成で連結される)、それぞれの反応器は別々の重合ゾーンと考えられる。
【0051】
2つ以上の触媒システムを活性剤と予め混合することができるか、又は重合ゾーン内で混合することができる。同様に、2つ以上の触媒システムを予め混合して重合ゾーンに一緒に供給してもよく、又はその場での混合のために別個に添加してもよい。そのように、添加及び混合は、連続式であっても、又はバッチ式であってもよく、且つそれぞれの触媒システムのために同一又は異なる活性剤を使用することができる。
【0052】
適切な溶媒は、気相、スラリー、又は不活性溶媒、好ましくは炭化水素溶媒中での溶液の状態にある。適切な溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、その異性体及び混合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタメチルヘプタン及び水素化ナフサなどのC5~12炭化水素である。製造される生成物に応じて、本発明のプロセスは、10~250℃の温度で実施してよい。最も好ましくは、重合は80℃より高い温度で実施される。
【0053】
モノマー
オレフィンモノマーは、少なくとも1つの重合可能な二重結合を有する分子であることが理解される。
【0054】
適切なオレフィンモノマーは、C2~20オレフィンである。好ましいモノマーとしては、エチレン、及び非置換であるか又は最高2個までのC1~6アルキル基によって置換されたC3~12アルファオレフィン、非置換であるか、あるいはC1~4アルキル基及び非置換であるか又はC1~4アルキル基によって置換されたC4~12直鎖状又は環状ヒドロカルビル基からなる群から選択される最高2個までの置換基によって置換されたC8~12ビニル芳香族モノマーが含まれる。そのようなα-オレフィンの実例となる非限定的な例は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン及び12-エチル-1-テトラデセンである。これらのα-オレフィンは、組合せて用いてもよい。
【0055】
本発明のエチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマー中に含まれるエチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーのα-オレフィンの好ましい例は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、及び1-デセンである。これらの中で、プロピレン及び1-ブテンが好ましい。プロピレンが最も好ましい。
【0056】
モノマーは、少なくとも2つの二重結合を含むポリエンであってもよい。二重結合は、鎖、環システム又はそれらの組合せのなかで共役していても、又は非共役型であってもよく、そしてそれらは環内及び/又は環外二重結合であることができ、且つ異なる量及び種類の置換基を有し得る。これは、ポリエンが少なくとも1つの脂肪族、脂環式、若しくは芳香族基、又はその組合せを含み得ることを意味する。
【0057】
適切なポリエンには、脂肪族ポリエン及び脂環式ポリエンが含まれる。さらに特に、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、3-メチル-1,5-ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、1,5,9-デカトリエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエン及び1,13-テトラデカジエン、1,3-ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族ポリエンを挙げることができる。
【0058】
脂環式ポリエンは、少なくとも1つの環状部分からなることができる。これらの脂環式ポリエンの例は、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、2,5-ノルボルナジエン、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロペンタン、1,5-ジビニルシクロオクタン、1-アリル-4-ビニルシクロヘキサン、1,4-ジアリル-シクロヘキサン、1-アリル-5-ビニルシクロオクタン、1,5-ジアリルシクロオクタン、1-アリル-4-イソプロペニル-シクロヘキサン、1-イソプロペニル-4-ビニルシクロヘキサン及び1-イソプロペニル-3-ビニルシクロペンタン及び1,4-シクロヘキサジエンである。好ましいポリエンは、少なくとも1つの環内二重結合を有し、任意選択により場合によっては少なくとも1つの環外二重結合を有していてもよいポリエン、例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニルノルボルネン及び2,5-ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン及びビニルシクロヘキセンである。
【0059】
芳香族ポリエンの例は、ジビニルベンゼン(その異性体を含む)、トリビニル-ベンゼン(その異性体を含む)及びビニルイソプロペニルベンゼン(その異性体を含む)である。
【0060】
上記のモノマーの全ては、第13~17族のヘテロ原子又はそれらの組合せを含む少なくとも1つの基によって、さらに置換されていてもよい。
【0061】
上記のオレフィンモノマーの3つ以上をベースとするホモポリマー、コポリマー及びコポリマー並びにそれらの混合物は、本発明のプロセスで調製可能である。
【0062】
一つの好ましい実施形態では、重合プロセスは、エチレン、少なくとも1つのC3~C12-α-オレフィン、及び少なくとも1つの非共役ジエンをオレフィンモノマーとして用いることを特徴とする。
【0063】
好ましい実施形態において、重合プロセスは、少なくとも1つの非共役ポリエンを用い、その炭素-炭素二重結合のなかに、メタロセン触媒によって重合可能な2つの炭素-炭素二重結合が1つの分子中に存在することを特徴とする。この定義は、例えば欧州特許第2354170号明細書により知られている。
【0064】
好ましくは、そのような非共役ポリエンは、5-アルケニル-2-ノルボルネン、例えば、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)及び5-アリル-2-ノルボルネン;脂環式ポリエン、例えば、2,5-ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)及びテトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ-3,8-ジエン;並びにα,ω-ジエン類、例えば、1,7-オクタジエン及び1,9-デカジエンからなる群から選択される。それらの間でも、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、2,5-ノルボルナジエン、1,7-オクタジエン、及び1,9-デカジエンが好ましく、そして5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)が特に好ましい。
【0065】
好ましい実施形態において、エチレン、少なくとも1つのC3~12アルファオレフィン、好ましくはプロピレン、及び少なくとも1つの非共役ジエン、好ましくは、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニルノルボルネン、2,5-ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、及びビニルシクロヘキセンからなる群、より好ましくは5-エチリデン-2-ノルボルネン及び5-ビニルノルボルネンからなる群から選択されるジエンをベースとするコポリマーは、本発明の2つ以上の金属錯体を用いて製造される。
【0066】
好ましい実施形態において、5-エチリデン-2-ノルボルネン及び5-ビニルノルボルネンのジエンの組合せが使用される。
【0067】
本発明は、本発明による触媒混合物又は触媒システム(触媒系)によって入手可能なポリマーにも関する。
【0068】
ポリマー
好ましいポリマーに関して、特に、本発明のプロセスによって入手可能であるエチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーに関して、そのようなポリマーは、好ましくは以下の通りにさらに説明することができる。
【0069】
エチレンモノマーから誘導される構造単位の好ましい含有量は、ポリマーの70質量%以下、特に65質量%以下である。より好ましいエチレン含有量は、40~65質量%、特に45~60質量%である。
【0070】
好ましくは、ポリマーのジエンモノマーから誘導される構造単位の含有量は、エチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーの2~12質量%である。
【0071】
好ましくは、エチレン、非共役ジエン、及びα-オレフィンの合計は、モノマーの99質量%より多く、特に100質量%である。
【0072】
好ましい実施形態において、125℃におけるエチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーi)のムーニー粘度ML(1+4)は、20MU以上、特に20~200MUである。
【0073】
エチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーは、好ましくは、少なくとも40,000g/モル、特に40,000~800,000g/モルの重量平均分子量(Mw)(これは標準エチレンプロピレンコポリマーを使用して作成される較正曲線を使用して、高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される)を有する。
【0074】
3.5より高い、好ましくは4.0より高い、高温GPCによって測定される多分散度、すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を有するエチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーも好ましい。
【0075】
さらにまた、エチレン-α-オレフィン-非共役ジエンコポリマーは、好ましくは0~50のΔδで分岐し、より好ましくは2~20のΔδ、なおより好ましくは2~18のΔδである。
【0076】
Δδは度で表され、125℃において動的機械分光法(DMS)によって決定される0.1rad/sの振動数における位相角と100rad/sの振動数における位相角δとの間の差である。この量Δδは、ポリマー中に存在する長鎖分枝状構造の量の尺度であり、H.C.Booij,Kautschuk + Gummi Kunststoffe,Vol.44,No.2,128~130ページに紹介されており、これを参照によって本明細書に援用する。
【0077】
そのようなΔδ値は、好ましくはENBジエンに追加的に使用されるジエンとして、少量のVNBを使用して特に達成することができる。VNBモノマーから誘導される構造単位の好ましい量は、ビニル側鎖不飽和の量として、0.05~3.0質量%、特に0.1~1.5質量%である。
【0078】
したがって、重合のために本発明の触媒混合物を使用して得られるポリマーは、改善され且つ予想外の特性を示す。特に炭素-炭素二重結合のなかで、メタロセン触媒によって重合可能な2つの炭素-炭素二重結合が1つの分子中に存在する、少なくとも1つの非共役ポリエン、特にVNBを含有するポリマーの特性は非常に良好である。特に、触媒混合物の使用は、それぞれの単一触媒によって得られるポリマーの混合物によって得られるポリマーをもたらすだけでなく、両方の触媒の寄与によって構築されたポリマー鎖ももたらされることについて留意されるべきである。
【0079】
以下、本発明を以下の実施例及び比較実験に基づいて説明するが、それに制限されることはない。
【実施例】
【0080】
試験方法
IAV分子特性解析、コード:SEC-HT-2(汎用計算)
クロマトグラフィー:PolymerChar SEC(システムID:HT-SEC1)
検出:PolymerCharV-400粘度計;IR5検出器
カラムセット:3つのPolymer Laboratories 13μm PLgel Olexis、300×7.5mm
PEモル質量較正は、線状PE標準品を用いて実施した。
PPモル質量較正:システムの較正のために線状PE標準品が使用した。PPモル質量較正は、PE及びPPのマーク-フウィンク(Mark-Houwink)定数を用いて、PEからPPへの変換後に得られた。
温度:160℃
溶媒/溶離液:DCBD安定剤を添加したTCB又は1,2,4-トリクロロベンゼン
流量:1ml/分
フーリエ変換赤外線分光器(FT-IR)を使用して、押圧されたポリマー膜上で、ASTM D 3900及びD 6047に準拠して、コポリマーの組成を決定した。
ISO 289に準拠して、ムーニー粘度ML(1+4)を125℃にて測定する。このパラメーターによって示される分枝度は、H.C.Booij,Kautsch.Gummi Kunstst.44(1991)128に説明されているとおりである。
【0081】
第I部-配位子及び化合物の合成
全般
全ての操作は、アルゴン又はN2の雰囲気下で、標準シュレンクライン又は乾燥ボックスの技術を使用して実施された。N2を用いてバブリングすることによって溶媒を脱気し、そして適切な乾燥剤のカラムを通すことによって乾燥させた。トルエンをナトリウム上で還流し、蒸留した。重水素化溶媒はカリウム(C6D6)又はP2O5(CDCl3及びCD2Cl2)上で乾燥させ、減圧下で蒸留し、N2下のテフロン(登録商標)弁アンプル中に貯蔵した。NMR試料は、J.Youngテフロン(登録商標)弁を備えた5mmのWilmad 507-PP管中、N2下で調製した。1H及び13C-{1H}スペクトルを周囲温度で記録し、そして残留プロトン性溶媒(1H)又は溶媒(13C)の共鳴を内部参照とし、そしてテトラメチルシラン(d=0ppm)に対して報告する。化学シフトはδ(ppm)で示され、カップリング定数はHzで示される。
【0082】
配位子、金属前駆体及び有機金属化合物の合成
配位子A-HNC(2,6-C6H3F2)(NC5H10)
トルエン(20mL)中のピペリジン(5mL、50.6mmol)溶液に、MeMgCl(THF中3.0M、16.9mL、50.6mmol)を添加した。溶液を50℃まで2時間加熱し、その後、室温まで冷却し、そしてカニューレを使用してトルエン(20mL)中の2,6-ジフルオロベンゾニトリル(7.03g、50.6mmol)溶液に移した。溶液を室温で16時間撹拌し、その後、水(1mL)を添加することによって反応を停止した。1時間撹拌後、無水硫酸ナトリウムを添加し、次いで溶液を濾過し、塩を除去した。次いで、その透明な溶液を塩水(2×40mL)で洗浄し、その後、揮発性物質を減圧下で除去し、粘性の黄色油状物を得た。次いで、これを別のヘキサン(15mL)で希釈し、2日間、-20℃に置き、所望の生成物の結晶化が生じた。収量=8.7g(77%)。1H NMR(300MHz)(CDCl3)δ(ppm):7.24(m,1H,Ar);6.86(m,2H,Ar);6.06(m,1H,NH),3.33(br m,4H,NCH2),1.53(br m,6H,CH2CH2CH2)ppm。19F-NMR(282MHz,CDCl3)δ:-113.30ppm。
【0083】
金属前駆体A-(CH3)4(CH(CH3)2)Cp-Ti-Cl3
2,3,4,5-テトラメチル-2-シクロペンテノンのTHF溶液に、1当量のイソプロピルマグネシウムブロミド溶液を添加し、そして得られた黄色溶液を8時間還流させた。0℃まで溶液を冷却した後、25mlのHCl(1M溶液)を用いて反応を停止し、室温までゆっくり加温し、さらに2時間撹拌した。Et2Oの添加後に相が分離し、有機相を水、続いて塩水で洗浄した。一緒にした水相をEt2Oで抽出し、Na2SO4上で乾燥させた。減圧下で揮発性物質を除去すると、オレンジ色油状物として粗生成物が得られた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;n-ヘキサン)を使用して、この化合物を精製した。
【0084】
-78℃まで冷却した置換シクロペンテンのヘキサン溶液に、n-BuLiの溶液を滴下して添加した。次いで、溶液を室温までゆっくり加温し、その後、16時間撹拌した。次いで、沈澱したリチウム塩を濾過によって回収し、ヘキサンで洗浄し、そして減圧下で慎重に乾燥させた。空気に敏感なリチウム塩は、非常に不溶性で、特徴分析が困難であり、次に、さらなる精製を行わずに用いた。
【0085】
そのリチウム塩のTHF溶液に、TMSClを慎重に添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして得られた残留物をヘキサン中に抽出した。減圧下でのヘキサンの除去によって、所望の生成物が得られた。
【0086】
TMS置換シクロペンタジエニル化合物のトルエン溶液に、四塩化チタン溶液を添加した。その混合物を室温で48時間撹拌した。生成物をトルエン中に抽出し、そしてその後、揮発性物質を真空下で除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させ、最終生成物を得た。
1H NMR(C6D6,300MHz)δ(ppm):3.13(hept,J=7.1Hz,(CH3)2CH,1H),2.08(s,CpCH
3
,6H),1.87(s,CpCH
3
,6H),1.04(d,J=7.1Hz,(CH
3
)2CH,6H)。13C NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):147.52(CCH),138.35(CCH3),136.40(CCH3),30.16(CH(CH3)2),21.91((CH3)2CH),14.81(CCH3),14.05(CCH3).
【0087】
CAT A-Cl (CH3)4(CH(CH3)2)Cp-Ti-Cl2)(NC(2,6-C6H3F2)(NC5H10)
イソプロピルテトラメチルシクロペンタジエニルチタン(IV)トリクロリド(3.50g、11.0mmol)及び配位子A(2.47g、11.0mmol)のトルエン(50mL)溶液に、トリメチルアミン(6.15mL、44.1mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。乾燥させた粗生成物をトルエン(3×20mL)中に抽出し、その後、揮発性物質を真空下で除去し、定量的収量で黄色の微結晶性固体を得た。
収量=5.50g、99%-黄色固体-1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.30-7.17(m,p-ArH,1H),6.95-6.82(m,m-ArH,1H),3.74-3.60(m,NCH
2
,2H),3.18-3.07(m,NCH
2
,2H),2.95(hept,J=7.1Hz,(CH3)2CH,1H),2.12(s,CpCH
3
,6H),1.96(s,CpCH
3
,6H),1.62(m,NCH2CH
2
,4H),1.55-1.40(m,NCH2CH2CH
2
,2H),0.99(d,J=7.1Hz,(CH
3
)2CH,6H)。13C NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):158.75(dd,J=251.1,7.3Hz,o-Ar),151.25(NCN),137.32(CCH),130.89(t,J=9.7Hz,p-Ar),128.35(CCH3),126.93(CCH3),112.47(t,J=22.5Hz,i-Ar),111.82(m,m-Ar),49.25(NCH2),45.88 9(NCH2),28.75(CH(CH3)2),26.73(NCH2CH2
CH2),26.02(NCH2
CH2),24.46(NCH2
CH2),22.18((CH3)2CH),13.61(CCH3),12.81(CCH3)。19F NMR(CDCl3,282MHz)δ(ppm):-111.17(s) 元素分析:C24H32Cl2F2N2Tiに対する計算値:C,57.05;H,6.38;N,5.54。実測値:C,56.93及び56.92;H,6.33及び6.29;N,5.58及び5.56
【0088】
CAT A-(CH3)4(CH(CH3)2)Cp-Ti-(CH3)2)(NC(2,6-C6H3F2)(NC5H10)
(欧州特許第3272761号明細書の実施例23によって知られている)
CAT A-Cl(5.500g、10.88mmol)のトルエン溶液に、メチルマグネシウムブロミド(7.7mL、3.0M、23.15mmol)を添加し、そして混合物を16時間撹拌した。TMSCl(0.84mL、6.61mmol)を用いて残留グリニャールを失活させ、さらに2時間撹拌した。乾燥させた粗生成物をヘキサン(3×20mL)中に抽出し、その後、揮発性物質を真空下で除去し、黄色固体を得た。
収量=3.60g(71%)-黄色固体-1H NMR(C6D6,300MHz)δ(ppm):6.76-6.20(m,ArH,3H),4.01-3.39(m,NCH
2
,2H),3.08-2.80(m,NCH
2
,2H),2.92(hept,J=7.0Hz,(CH3)2CH,1H),2.05(s,CpCH
3
,6H),1.96(s,CpCH
3
,6H),1.53-1.32(m,NCH2CH
2
,2H),1.21(q,NCH2CH2CH
2
,4H),1.16(d,J=7.1Hz,(CH
3
)2CH,6H),0.58(s,Ti(CH
3
)2,6H)。13C NMR(CDCl3,75MHz)δ(ppm):159.64(dd,J=248.4,7.9Hz,o-Ar),146.48(NCN),131.43(CCH),129.54(t,J=9.7Hz,p-Ar),121.60(CCH3),118.79(CCH3),112.14-111.40(m,i-Ar),48.80(NCH
2
),48.34(Ti(CH3)2),44.74(NCH2),28.58(CH(CH3)2),27.17(NCH2
CH2),26.35(NCH2
CH2),25.25(NCH2CH2
CH2),23.24((CH3)2CH),12.96(CCH3),12.30(CCH3)。19F NMR(CDCl3,282MHz)δ(ppm):-113.11(s)
【0089】
CAT B-Cl (Ind)-TiCl2(NC(C6H5)(N((CH(CH3)2)2
トルエン(30mL)中のN,N-ジイソプロピルベンズアミジン(0.500g、2.45mmol)及びインデニル-TiCl3(0.659g、2.45mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.35mL)を添加し、そして混合物を50℃で一晩撹拌し、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を少量の熱トルエン中に溶解し、そして5日間結晶化させ、結晶化トルエン(0.66等量又は14質量%)を含有する明赤色結晶(100mg、10%)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ:7.54-7.01(9H,ArH);6.08(2H,d,J=3.4Hz,IndH);5.97(1H,t,J=3.4Hz,IndH),3.88-3.39(2H,m,CH(CH3)2),1.57(6H,d,J=6.9Hz,CH(CH3)2),1.07(6H,d,J=6.7Hz,CH(CH3)2)。
13C-NMR(75MHz,CDCl3)δ:165.18(iPr2NC=N),137.93,129.63,129.08,127.74,126.02,125.80,125.15,116.83,107.15,53.10(CH(CH3)2),49.04(CH(CH3)2),20.44(d,J=12.0Hz,CH(CH3)2)。
元素分析:実測値(C22H26Cl2N2Tiに対する計算値):C,60.44(60.64);H,5.99(6.05);N,6.41(6.42)
【0090】
CAT B - (インデニル)-Ti(CH3)2(NC(C6H5)(N((CH(CH3)2)2
CAT-B-Clのトルエン溶液に、3当量のMeMgBrを添加した。混合物を64時間撹拌し、その後、トルエンを除去し、ヘキサンでストリッピングし、そしてヘキサン中で濾過を行った。ヘキサン中での一連の再結晶によって、最終生成物が得られた。
1H NMR(300.1MHz,C6D6,R.T.):δ7.50(m,ArH,2H),7.14-6.99(m,ArH,7H),5.99(d,1-3Ind,2H),5.39(s,2-Ind-H,1H),3.33(,Me2CH,2H),1.22(br,(CH
3
)2CH,12H),0.304(s,Ti(CH3),6H)。
【0091】
第II部-EPDM共重合(表1)
重合試験は、3Lの容積を有する溶液重合反応器中で実施した。当業者に知られているように、水、酸素、及び極性化合物などの、触媒を失活させる不純物を除去するために、原材料の流れを種々の吸収媒体と接触させることによって精製した。本プロセスは、全ての原材料の流れにおいて連続的である。予め混合したヘキサン(C6)、プロペン、エチレン、ジエン、水素、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを、反応器に供給する前に予冷した。金属有機化合物(CAT A/CAT B)及びトリフェニルカルベニウムテトラキスペルフルオロフェニルボレートを含む溶液を別々に反応器に供給した。表1及び2に示されるように、所望のポリマームーニー粘度を達成するために水素含有量を調整した。放出ラインを通してポリマー溶液を連続的に取り出し、イソプロパノール中のIrganox(登録商標)1076の溶液を添加し、その後、連続的蒸気ストリッピングによって仕上げた。
【0092】
2本ロールミル上でのポリマーのバッチ式乾燥後、最終のEPDM試料が得られた。
【0093】
ミル上でのポリマーのバッチ式乾燥後、EPDMが得られた。組成についてはFTIR、ムーニー粘度(ML(1+4)125℃)、並びに分子量及び分子量分布についてはSEC-DV、並びにデルタデルタパラメーターについては動的機械分光法(DMS)を使用して、ポリマーを分析した。
【0094】
【0095】
使用した触媒の特性を比較するために、82+/-6MLのムーニー粘度(1+4)@125℃を有するEPDMポリマーを目標とした。
【0096】
表1からわかるように、触媒混合物の使用によって、単一触媒で得られるポリマーに関するものと類似又はより低いVNB供給速度において、より広いMWD及びより高分岐のポリマーの製造が可能となる(実施例1対比較例)。
【0097】
触媒比を変化させることによって、さらにMWDが広がり、そして分岐レベルが増大する(実施例2を実施例1と及び比較例と比較されたい)。
【0098】
さらにVNB供給速度を大きくすることによって、分岐レベルが増大し、そしてMWDが広がる(実施例3を実施例2と比較されたい)。
【0099】
表1からわかるように、触媒混合物の使用によって、予想外であることに、ポリマーのMWD及び分岐レベルの制御が可能となる。
【0100】
第II部-EPDMコンパウンド評価-(表2、3及び4)
混合の部
内部混合機(Harburg-Freudenberger Maschinenbau GmbHからのGK1,5 E1;ラム圧8バール、50rpm、充填度72%及び全混合時間5分)で全てのコンパウンドを調製した。硬化システムの化学物質をオープンミル(ロール直径200mm;20rpm、ロール温度40℃及び摩擦1.22)で添加した。組成物は表2の処方に従って達成される。
【0101】
【0102】
試験片の硬化
全てのコンパウンドについて、180℃において、t90の1.1及び1.25倍に等しい時間まで、厚さ2mm及び6mmの試験プレートを硬化することによって、試験片を調製した(t90は、レオメーター測定時に最大トルクの90%に到達する時間である)。
【0103】
表3に列挙した試験方法に従って、種々の機械特性及び弾性特性を測定した。
【0104】
【0105】
【0106】
表4のコンパウンドに関するGarveyダイ品質のプロファイルは、
図1中に見ることができる。
【0107】
表4からわかるように、比較例は、低レベルの物理的性能(引張強さ)及び低品質の押出成形(Garveyダイスコア及び
図1)を特徴とする。
【0108】
本発明による触媒混合物の使用によって、より高い物理的性能をもつ、より高い分岐が可能となる(実施例1)。さらに、分岐が増し、且つMWDが広がることによって、より高い物理的特性及び押出成形物の品質の両方を高める(実施例2及び3、
図1を参照されたい)。