(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】非静止および/または静止の通信衛星用のリソース展開オプティマイザ
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240709BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240709BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240709BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W16/28
H04W84/06
(21)【出願番号】P 2021514338
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 CA2019051267
(87)【国際公開番号】W WO2020051685
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】521102605
【氏名又は名称】テレサット テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョニエ エリック
(72)【発明者】
【氏名】ミンハス ラウル
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0181173(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0134359(US,A1)
【文献】特表2002-534901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割り当て可能な通信リソースをそれぞれ有する、複数の非静止衛星および/または静止衛星の群と、
前記衛星の群との間で信号を送信および受信するための1つまたは複数の地球局からなる地上システムと、
前記衛星の群との間で信号を送信および受信するための複数の衛星端末と、
前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムのリソースを動的に割り当てるように動作可能なコントローラと、
を含む通信システムであって、
前記コントローラは、
リンクバジェットレシピを事前にコンパイルし、全ての潜在的なリンクの
リンクバジェットを計算し、且つ
前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムリソースを動的に割り当てるために、前記事前に
コンパイルおよび計算された
リンクバジェットを使用する最適化アルゴリズムを実行する、
ように更に動作可能である、
通信システム。
【請求項2】
前記コントローラが、
集中型コントローラ、
分散リソースコントローラ、および
複数のコントローラ、
から構成されるグループから選択される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記
リンクバジェットレシピを事前にコンパイルし、ベクトル処理を使用して
リンクバジェットを
計算する、ように動作可能である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベクトル処理は、低レベルの並列化スキームを含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記最適化アルゴリズムは、個々のグリッドポイントによってまたはセルごとに衛星を割り当て、個々のグリッドポイントによってまたはセルごとに衛星通信ビームリソースを
割り当てる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、ベネチアンブラインドアルゴリズムを実行することによって衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能であり、ここでは、
要求グリッドは、
生成されたタイムステップの連続ストリームを含み、前記タイムステップの連続ストリームは、タイムステップの2つのストリームに
分割され、前記ベネチアンブラインドアルゴリズムは、前記タイムステップのブロックを
第1ストリームおよび第2ストリームに交互に割り当て、
前記タイムステップの第1ストリームにおける各タイムステップのブロックは、前記第1ストリームの他のタイムステップのブロックから分離して最適化され、
前記タイムステップの第2ストリームにおける各タイムステップのブロックは、前記タイムステップの第1ストリームにおける前記最適化されたタイムステップの
ブロックを境界条件制約として使用し、前記第2ストリームにおける他のタイムステップのブロックから分離して最適化される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
最適化の前に、スペクトル効率およびペイロード電力利用効率の観点から、ユーザーアップリンクおよびダウンリンクに潜在的な衛星を特徴付け、
前記のスペクトル効率およびペイロード電力利用効率のデータを前記
最適化アルゴリズムに入力する、
ように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、
連続変数を使用して、
ポイントごとに緩和された解を決定し、
次に、より狭く定義された対象および範囲を使用して、
元の混合整数問題を解く、
ことにより、衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、
重み付けされた対象が、全てのグリッドポイントにわたって
最小満足度および平均満足度を最大化するために等しい重みを
与えるように、最小満足度および平均満足度のバランスを取り、
ストレートMIP(混合整数計画)定式化を使用して最適化計算を実行する、
ことにより、衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、
重み付けされた対象が、全てのグリッドポイントにわたる平均満足度と総配信容量を最大化するために等しい重みを
与えるように、平均満足度および総容量のバランスを取り、
ストレートMIP(混合整数計画)定式化を使用して最適化計算を実行する、
ことにより、
衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、
重み付けされた対象が、全てのグリッドポイントにわたる前記平均満足度と前記総収入を最大化するために等しい重みを
与えるように、平均満足度および総収入のバランスを取り、
ストレートMIP(混合整数計画)定式化を使用して最適化計算を実行する、
ことにより、
衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラが、
整数変数の最適化問題として衛星リソースの割り当てを特徴づけることと、
整数変数を連続変数に変換することにより、前記最適化問題の緩和された解を決定することと、
要求された帯域幅に対する任意の帯域幅の比率で
ある最小満足度を最大化することと、
最小限界と減少した満足度の解空間を含む、より適切に動作する目的で前記最適化問題を解くこと、
により、衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記最適化
アルゴリズムを実行する前に、満たされ得る実行可能な要求グリッドを決定するために、要求を緩和するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記最適化
アルゴリズムが、衛星間リンク(ISL)上のスループットの割り当てを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、ビーム構成、衛星ビームポインティング、およびビームホッピングスケジュール、衛星送信電力、チャネル帯域幅、シンボルレート、データレート、およびデータパスを含む衛星リソースを動的に割り当てるように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、他のネットワークを保護するために電力束密度マスクを組み込むように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、独立したタスクとして電力フラックス密度マスク計算を実行して、電力フラックス密度マスクを組み込むように動作可能であり、並列処理が可能となる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、利用可能な容量を超える衛星リソースを要求する顧客に応答することによって、満たされ得る実行可能な要求グリッドを定義するために要求を緩和することによって、実行可能な状態に前記要求を調整するように動作可能であり、前記実行可能な要求グリッドは、前記
最適化アルゴリズムに対する入力として使用される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、フルリンクルーティングおよび選択最適化を実現するように動作可能であり、以下の追加の制約下で衛星リソースを動的に割り当てることによって、ポイントオブプレゼンス(PoP)にルーティングされたユーザー端末への順方向および戻りの両方をサポートする、
請
求項1から4のいずれか1項に記載のシステムであり、
前記追加の制約は、
・
順方向ダウンリンクおよび戻り方向の両方で、任意のPoPから任意のユーザー衛星へ全てのアクティブリンクによってサポートされる総スループットが、この衛星からそのPoPに割り当てられた全てのユーザーに配信される合計スループットと
一致する
・任意のISL上の全てのアクティブリンクの総スループットがISLスループット性能以下である
・
順方向および戻り方向の両方で、着陸ステーション/衛星ビームを介して全てのアクティブリンクをサポートするために必要な総帯域幅がそのビームを介して割り当てられた合計帯域幅を
超えない。
【請求項20】
前記コントローラが、グローバルに分散された降雨量データの履歴セットを使用して群性能をシミュレートし、グローバルな降雨量予測に基づいて演算された降雨フェージングを使用してリソース割り当てを最適化する、ことにより、前記
最適化アルゴリズムの一部としてフェージング分析および軽減を実現するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラが、割り当て可能なリソースの精度をキャプチャするために整数を使用してビーム帯域幅変数をモデル化するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラが、中心周波数におけるビーム中心の位置に対する端末の実際の位置に基づいてそれらに周波数を割り当てることによってビームスクイントを管理するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラが、セルメンバーが共通の衛星に共同で接続される固定地上セルに端末をグループ化するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラが、
任意の時間に許可されるビーム位置またはターゲットの数の整数制約を含むことと、
要求の高いビームターゲットは、ノードの実現可能性に大きな影響を与える可能性が高いためので、混合整数問題の解決を高速化するために各ビームターゲットの容量要求に基づいてブランチの優先順位を
設定すること、
により、
衛星が制約されたビーム位置のセットをサポートすることができる群内でリソース割り当てを最適化するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラが、
各瞬間リンクの長期的な可用性を特徴づけることと、
重み付け対象および/または階層対象を使用する晴天の容量最適化と並行して、任意の端末へのリンクチェーンの時間平均された長期可用性を最大化するために、マルチタイムステップブロックでリンク割り当てを最適化すること、
により、
フェージングの下での長期リンク可用性を最適化するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラが、
衛星への端末の割り当てにバイナリ変数を利用する混合整数線形計画最適化を実行するのではなく、
単一係数および整数定数を持つフロー容量制約によって衛星制約を概算し、
フロー値がリンクの数を表すネットワークフロー問題としてリソース割り当てを最適化するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記衛星制約が、ビーム帯域幅、周波数再利用制約、および利用可能な放射RF電力を含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラが、
パターンが
衛星から見た固定端末の均一な分布の見かけの動きと同じ一般的な方向に従って決定論的曲線に沿って移動する、衛星ビュービームレイアウトを使用して、前記
最適化アルゴリズムを実行するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラが、
衛星の視野内のしきい値間隔に基づいて、全て互いに完全に結合されたビームのグループとして定義される、ビームの任意のクラスターに割り当てられた総有効帯域幅を制限することによって周波数再利用を制御し、周波数再利用制約を組み込むためにビームのグループを定義するように動作可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
割り当て可能な通信リソースをそれぞれ有する、複数の非静止衛星および/または静止衛星の群と、
前記衛星の群の間で信号を送信および受信するための1つまたは複数の地球局からなる地上システムと、
前記衛星の群の間で信号を送信および受信するための複数の衛星端末と、
を提供することと、
リンクバジェットレシピを事前にコンパイルし、全ての潜在的なリンクについて
リンクバジェットを計算することと、
前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて衛星および地上システムリソースを動的に割り当てるのに、前記
事前にコンパイルおよび計算された
リンクバジェットを使用する最適化アルゴリズムを実行することと、
により、
前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムのリソースを動的に割り当てることと、
を含む衛星システムの操作方法。
【請求項31】
前記
最適化アルゴリズムの事前コンパイルおよび実行が、
集中型方法、
分散型方法、および
複数の別々のコントローラ、
から構成されるグループから選択される方法で実行される、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記
リンクバジェットレシピを事前コンパイルし、
リンクバジェットを
計算することが、
リンクバジェットレシピを事前コンパイルし、ベクトル処理を使用して全ての潜在的なリンクについて
リンクバジェットを計算することを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ベクトル処理が、低レベルの並列化スキームを実行することを含む、
請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[本発明の分野]
本発明は、衛星システムに関し、より具体的には、複数のユーザーであって静止もしくはモバイルの、または静止ユーザーおよびモバイルユーザーの任意の組み合わせの複数のユーザーにサービスを提供する衛星通信システムにおいてリソースを特徴付け、割り当てるための、新規のシステムおよび方法の提供に関する。
【0002】
[背景技術]
非静止軌道(NGSO)の衛星を含む、地球軌道における1つまたは複数の衛星を含む通信ネットワークが存在する。NGSO衛星は、低地球軌道(LEO)または中地球軌道(MEO)に存在してもよい。場合によっては、ネットワークは、GSO軌道およびNGSO軌道の両方に衛星を有するネットワークを含む、2つ以上の異なるタイプの地球軌道にある衛星を含んでもよい。衛星は、サービスエリア全体に1つまたは複数のビームを向けるように配置された多数のアンテナ(またはアンテナアレイ)を備えてもよい。衛星は通常、複数のチャネルを介して同時に通信できるように、多数の電波周波数または周波数帯域を採用する。電波周波数は、許容できないレベルの干渉を回避する方法で周波数が使用される場合、衛星で複数回再利用されてもよい。干渉を最小限に抑えるために送信ビームおよび受信ビームを十分に離して配置することは、衛星での周波数の再利用を可能にするために使用できる1つの方法である。
【0003】
これまで、衛星通信ネットワークは、多くの場合GSO(静止軌道)衛星を使用して、多くの静止した顧客にサービスを提供するのが一般的であった。特にGSO衛星を使用するネットワークの場合、衛星は地表から見て空のほぼ固定された位置に留まり、そして、衛星ビームがどこに向けられるべきか、ならびにどの周波数および周波数帯域が各ビームに割り当てられるべきか、を計画するのは簡単である。これらのタイプのネットワークでは、衛星リソースの計画および管理は単純で予測可能である。
【0004】
現在、衛星通信サービスに対する要求が高まっている。衛星通信サービスについては、多くの場合、遠隔地において、場合によってはローカライズされたグループまたはクラスターにおいて、場合によっては、航空機、船舶、およびその他の固定または移動中のプラットフォームの乗客へのモバイルサービスを含む、エリア全体に高度かつランダムに分散されたものにおいてである。これらのサービスは、変動し、揺れ動く、または断続的な要件を持ち合わせる場合がある。これらの種類の環境での衛星リソースの管理は、現在のシステムにおけるものよりも困難である。新興のNGSO衛星ネットワークは、現在、数千または数百万の顧客にサービスを提供するために構築されており、顧客の多くは動いており、様々な端末タイプ、データレート、および性能要件を備えている。NGSO衛星は地球の表面のどの地点に対しても静止していないため、通信サービスを提供する過程で、顧客のサービスをある衛星から別の衛星に切り替える(つまり、「ハンドオフ」を実行する)必要があり得る。さらに、NGSO衛星は、衛星間リンク(ISLs)を使用して相互に通信するように配置され得る。これは、単一の衛星は、通信リンクの地球ベースのデータソースおよび地球ベースのデータ宛先の両方の地理的領域をカバーしない場合があるためである。これらの動的衛星ネットワークにおける顧客の要求を満たすために、衛星および地上ベースのリソースを割り当てて調整するためのシステムおよび方法が必要である。このようなシステムは、リソース最適化技術を利用して、システムの全体的なトポロジに基づいて、1つまたは複数の衛星アンテナビーム、可能性として1つまたは複数のISL接続、および様々な地上ネットワーク要素を割り当てて通信リソースを割り当て、顧客の要求に最適に対応する。
【0005】
既存のリソース最適化手法は、このようなNGSO衛星ネットワークの課題に対処していない。これらのタイプの衛星ネットワークの通信リソースを割り当てるための改善されたシステムおよび方法が必要である。
【0006】
[発明の概要]
本発明の目的は、静止および移動の両方の多数の顧客にサービスを提供する衛星システムにリソースを割り当てるための改善されたシステムおよび方法を提供することである。
【0007】
電気通信に使用されるNGSO衛星群への通信トラフィック要求を満たすための準最適(問題を表すために使用されるパラメータの有限セットの範囲内)ソリューションを発見するためのシステム、方法、および技法が提示される。サービスに対する複数の要求(モバイルもしくは静止、または両方の組み合わせ)が存在する場合、NGSO群は顧客の要求を満たすために衛星リソースを割り当てる必要がある。提示されたシステム、方法、および技法は、線形計画法をシミュレーションおよび予測機能と組み合わせて使用して、最適定式化を利用して目的関数を最大化することができる。含まれている技術は、効率的な方法で希少で制約のある衛星リソースの最適な割り当てを決定する。これらの手法は、放射電力制限、帯域幅制約、周波数再利用制約などの衛星ペイロード制限を満たし、ゲートウェイ容量および帯域幅制限を満たし、且つ、他のGSOおよびNGSOネットワークを許容できない干渉から保護しながら、システム容量、収益、またはその他の測定基準(metrics)を最大化することを考慮する。
【0008】
リソース展開オプティマイザは、衛星リソース割り当ての問題に対して最適またはほぼ最適なソリューションを提供するエンジニアリングシステムおよび方法である。衛星リソースの割り当ての問題は、NGSO群のシステムリソース管理の中核にある。リソース展開オプティマイザは、この問題に対して最適またはほぼ最適なソリューションを生成する。これらのソリューションは、システムリソース管理機能によって、衛星群全体および地上ネットワークを通して通信できる。システムリソース管理機能は、ビーム構成、衛星ビームポインティングおよびビームホッピングスケジュール、衛星伝送電力、チャネル帯域幅、シンボルレート、データレート、ゲートウェイルート選択、およびデータパス優先順位に限定されないがこれらを含む、通信リソースをリアルタイムで割り当てるマスターコントローラとして機能し得る。
【0009】
本発明はまた、群リニアライザ、すなわち、許容できないレベルの干渉から他のネットワークを保護するための電力束密度(pfd)マスクを考慮しながら潜在的なリンクを線形に特徴付けて、そのようにして適用可能な規制要件が満たされることを保証する方法、を含む。群リニアライザは、スペクトル効率やペイロード電力使用を含み、アップリンクとダウンリンクの両方の潜在的な衛星からユーザーへの全てのリンクを考慮に入れることができる。群リニアライザは、要求される計算を独立したタスクとして実行し得、並列処理に適し得る。群リニアライザは、以下を含んでもよい。
【0010】
・各シリアルプロセスが、単一のタイムステップで群を特徴付ける
・多数の独立したシリアルプロセスがプロセッサの大きなプール上で並行して生成され、全てのタイムステップで群を特徴付ける
・タスクの独立性、それらの粗い精度、および並列化の効果的な性質のおかげで、計算要件スケールはプロセッサの数に比例し、大規模なネットワークでも管理可能なままである
本発明は、群アーキテクチュアおよび他の要素の制約内でユーザー容量アップリンクおよびダウンリンク要求を満たすために、衛星リソース(帯域幅、電力など)およびゲートウェイリソース(帯域幅、容量など)を利用可能なリンクに最適またはほぼ最適に割り当てるための割り当てオプティマイザを更に含む。このプロセスは、次を含んでもよい。
・整数の未知数の数を厳密な最小値に制限する問題の定義
・依然多数の整数の未知数がある問題を解決するための3ステップのアプローチ、および
・接続の継続性を確保しながら、時間ステップの連続ストリームを解決するベネチアンブラインド(Venetian Blind)方法FV
背景に記載されているように、ネットワーク内に数千または数百万のユーザー端末があることは珍しいことではない。ユーザー端末の数に、衛星、ビーム、衛星間通信チャネル、および動作パラメータの数を掛けると、多数の順列および組み合わせができる。このような問題を解決するための従来のアプローチは、衛星およびビームの両方の割り当てを含む、セルごとのリソース割り当てを検討することによって問題を単純化することであろう。従来のアプローチとは対照的に、セルごとの分析は、ここで説明する割り当てオプティマイザーアプローチほど効果的に機能しないことが分かっている。衛星の割り当てがセルによって実行されるかグリッドポイントによって実行されるかにかかわらず、個々のグリッドポイントによるビーム割り当ての私たちが推奨するアプローチは、問題が完全に解決されるとしても不十分なソリューションになり得る従来のアプローチのように入力条件を狭めるよりも、より効果的であることがわかっている。本発明のプロセスは、分析の複雑さを低減し、より容易に解決することができる良好な解決策をもたらす。つまり、割り当て最適化プロセスは、1)最小満足度の優先順位付け、2)平均満足度と最小満足度とのバランスをとる、または3)平均満足度と総容量比率または総収入比率とのバランスを取る、という3つの代替目的で構成されてもよい。第1の目的タイプの場合、問題を解決しやすくするために3段階のアプローチが必要である。
【0011】
・整数(バイナリ)変数を連続変数に変換することにより、混合整数線形計画問題の緩和解(つまり近似解)を決定する
・最小満足度、つまり、要求された帯域幅に対する任意の帯域幅の比率を最大化する、その後、
・より適切に作用する目的、具体的には既知の最小限界を使用して、元の混合整数計画(MIP)問題を解く
さらに、本発明は、要求を実行可能な状態に調整するための要求緩和アルゴリズムを含み得る。ユーザーは、利用可能な容量を超える衛星リソースを要求し得る。効果的なソリューションを提供するために、要求緩和アルゴリズムは、満たすことができる実現可能な要求グリッドを決定するために要求を緩和し得る。この実現可能な要求グリッドは、リアルタイムの運用群リソース管理システムの入力として使用される。
【0012】
本発明はまた、完全なリンクルーティングおよび選択の最適化を含み得る。つまり、ユーザー端末への順方向リンクと戻り方向リンクの両方が、サービスプロバイダーまたは顧客がネットワークに接続する物理的サイトであるゲートウェイを介してポイントオブプレゼンス(PoP)にルーティングされる。このルーティングは割り当てオプティマイザによって決定され、次の制約が追加される。
【0013】
・任意のPoPから任意のユーザー衛星への全てのアクティブリンクによってサポートされる総スループットは、この衛星からそのPoPに割り当てられた全てのユーザーに配信される合計スループットと一致する必要がある(順方向および戻り方向の両方に適用される)
・任意のISL上の全てのアクティブなリンクの総スループットは、ISLスループット性能以下である必要がある
・着陸ステーション/衛星ビームを介して全てのアクティブリンクをサポートするために必要な合計帯域幅は、そのビームを介して割り当てられた合計帯域幅を超えてはならない(順方向および戻り方向の両方に適用される)
・任意で、スループットに過度の影響を与えることなく遅延を最小限に抑えることを目的として、アクティブリンクの遅延をLP最適化対象に混在させることができる、および
・任意で、割り当てオプティマイザのマルチステップバージョンを実行し、LP最適化対象の変更を通じて、PoPから任意のユーザーへの遅延の変化にペナルティを課すことにより、ジッターを最小限に抑えることができる
本発明は、最適化プロセスの一部として、フェージングの分析および軽減機能を含み得る。降雨フェージングまたは降雨減衰は、雨の存在が信号の弱体化を引き起こす衛星通信における考慮事項である。従来技術では、降雨フェージングのマージンは、多くの場合、国際電気通信連合(ITU)の推奨事項を使用した長期的な可用性に基づいており、全てのリンクでの降雨フェージングを考慮する。対照的に、本発明のプロセスでは、降雨フェージングは全てのリンクで体系的に予約されるわけではない。本発明では、群のパフォーマンスは、各リンクで予約されるのではなく、グローバルに分散された過去の降雨量データのセットを使用して決定され、リソース割り当ては、グローバル分布予測の降雨量モデルを使用して最適化される。
【0014】
本発明の一局面は、割り当て可能な通信リソースをそれぞれ有する、複数の非静止衛星および/または静止衛星の群と、前記衛星の群との間で信号を送信および受信するための1つまたは複数の地球局からなる地上システムと、前記衛星の群との間で信号を送信および受信するための複数の衛星端末と、前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムのリソースを動的に割り当てるように動作可能なコントローラと、を含む通信システムとして、特徴付けられる。前記コントローラは、リンクバジェットレシピを事前にコンパイルし、全ての潜在的なリンクのリンクバジェットを計算し、且つ前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムリソースを動的に割り当てるのに、前記事前に計算されたリンクバジェットを使用する最適化アルゴリズムを実行する、ように更に動作可能である。
【0015】
本発明の別の局面は、割り当て可能な通信リソースをそれぞれ有する、複数の非静止衛星および/または静止衛星の群と、前記衛星の群の間で信号を送信および受信するための1つまたは複数の地球局からなる地上システムと、前記衛星の群の間で信号を送信および受信するための複数の衛星端末と、を提供することと、前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて、衛星および地上システムのリソースを動的に割り当てることと、を含む衛星システムの操作方法として特徴付けられ得る。そして、このシステムでは、リンクバジェットレシピを事前にコンパイルし、全ての潜在的なリンクについてリンクバジェットを計算すること、前記複数の衛星端末が必要とする通信サービスの要求に応じて衛星および地上システムリソースを動的に割り当てるのに、前記事前計算されたリンクバジェットを使用する最適化アルゴリズムを実行すること。
【0016】
本発明の他の局面および特徴は、図面と併せて検討した場合、以下の詳細な説明のレビューから当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照する以下の説明からより明らかになるであろう。
【
図1】リソース展開オプティマイザの一実施形態における処理モジュールの例示的なブロック図を示す。
【
図2】リソース展開オプティマイザが適用され得る例示的なシステム図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態において群線形化を実施する方法のフローチャートを示す。
【
図4】動作周波数帯域ごとに、最大ビーム電力放射実効等方放射電力(EIRP)スペクトル密度(dBW/Hz)を評価する方法のフローチャートを示し、これにより、犠牲ネットワークカバレッジ内に位置し、同じ周波数帯域内で動作する、犠牲の均一な分布から犠牲端末全てに対するpfdマスクに従うこととなる。
【
図5】最小満足度問題を優先する対象を単純化する方法のフローチャートを示す。
【
図6】本発明の一実施形態における要求緩和の方法のフローチャートを示す。
【
図7】例示的なビームレイアウトの概略図を示し、ローリングカーペット方法論がどのように実施され得るかを説明する。
【
図9】本発明の一実施形態におけるPFDマスク生成の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
同様の参照番号は、同様のコンポーネントを示すために異なる面で使用される。
【0019】
[発明の詳細な説明]
1つまたは複数の、現在において好ましい実施形態が例として記載されている。請求項に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0020】
上で説明したように、静止および移動の両方の多数の顧客への柔軟なリソース提供を伴う衛星システムにおける、リソースを割り当てるための改善されたシステムおよび方法の必要性が存在する。本発明のリソース展開オプティマイザは、衛星リソースの割り当てをリアルタイムで決定し、衛星群全体および地上ネットワーク全体にこの割り当てを伝達して、この問題に対する解決策を提供する。
【0021】
好ましい実施形態では、リソース展開オプティマイザ100は、
図1に示されるように、以下の構成要素を含む。
【0022】
・要求グリッドジェネレータ105
・リンクバジェットレシピ解釈プログラム110
・群リニアライザ115
・衛星リソースおよびルート割り当てオプティマイザ120
・要求調節器125
・スラック容量要求130
・降雨量予測器135
・リアルタイム降雨量データ140
・ルートジェネレータ145
・フェージングミティゲーター150
・周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータ155
リソース展開オプティマイザ100は、エンジニアリング設計に通常使用される任意のプログラミング言語で実施されてもよい。割り当てオプティマイザ120は、線形計画定式化の複数の過程を使用して構築することができ、例えば、Gurobi、CPLEXなどの任意の利用可能な混合整数線形計画解法を利用することができる。以下に説明するシステムの目的のために、リソース展開オプティマイザ100はGurobiを使用して実施された。
【0023】
リソース展開オプティマイザ100は、離散時間ステップを使用する。時間ステップは十分に小さく(通常は1分)、最小の地面の標高までリンクを十分に利用できる。より短い時間間隔の中間時間サンプルを使用して、元の時間サンプル間の安定したリンクを想定することにより、計算コストを下げ得る。中間ステップの計算では、元のサンプルとは異なり、整数変数またはバイナリ変数を必要としないため、より高速な解像度が実現される。
【0024】
リソース展開オプティマイザ100が実施され得る例示的なネットワーク200は、
図2に示されている。衛星群205、206、207、ユーザー端末210、ポイントオブプレゼンス(PoP)ハードウェア215、ゲートウェイ220、アースステーション225および地上ネットワーク230は、リソース展開オプティマイザ100によって生成された結果に基づいて、リソース割り当て命令がシステムリソース管理機能によって送信され得る相互接続されたグローバルメッシュを形成する。したがって、システムリソース管理機能およびそのリソース展開オプティマイザ100は、ネットワーク200のどんな場所にも配置され得、且つ、それらの命令は、ネットワーク200全体に分散される。ネットワーク200におけるこれらの機能の場所の選択は、固定された物理的な場所を有しない分散されたクラウド系サーバーの使用を含め、運用上のアクセス可能性を維持しながらコストを最小化する方法で行われ得る。
【0025】
要求グリッドジェネレータ105
要求グリッドジェネレータ105は、要求プロファイルに基づいて要求グリッドを構築する。これは、モバイルおよび静止の要求(航空および海上端末からの要求)を含む、関連する要求および端末タイプを含むグリッドポイントのリストを生成する。グリッドポイントの数、場所、および要求は、タイムステップごとに異なってもよい。要求グリッドジェネレータ105は、静的要求とおよび時変要求の両方を処理し、群リニアライザ115への入力を提供する。通常、要求グリッドはテーブルまたはデータベースを含み、グリッドポイントはそのテーブルまたはデータベースのエントリである。
【0026】
リンクバジェットレシピ解釈プログラム110
各タイプの端末について、リンクバジェットの「レシピ」は、事前に決定された入力(衛星座標、ユーザー座標、信号周波数、フェージングの可用性、衛星EIRPスペクトル密度または衛星G/T、衛星C/I、ASI EPFD)、リンクバジェット方程式、および結果の出力(例:信号対雑音比、スペクトル効率)が供給される。リンクバジェットレシピ解釈プログラム110は、入力からリンクバジェットレシピを抽出し、それらを一連の計算タスク(「プリコンパイルされたリンクバジェットレシピ」)にコンパイルする。一連の計算タスクは、群リニアライザ115により多数のリンク(何億ものリンクをサポートする可能性がある)に対してベクトル形式で実行され得る。ベクトル処理(低レベルの並列化スキームの意味で)は、これらの計算を実行するための特に効率的な方法であることが分かった。従来技術のリソース割り当て方法は、多くの場合、単一のリンクバジェット(つまり、入力の固定セット)の繰り返しに基づいているため、多数の端末固有のリンクバジェットを処理できない。他の従来の方法に対するこのベクトルベースの方法を構築することの利点は次のとおりである。
【0027】
1)リンクバジェット定義をリンクバジェット実行から分離することによる、そのリンクバジェット定義の柔軟性および迅速なターンアラウンドタイム、および
2)ベクトル形式の実装を使用した高速実行
群リニアライザ115
群リニアライザ115の目的は、アロケーションオプティマイザ120によって実行されるアロケーションを通知するために必要な量である、潜在的な衛星からユーザーへのリンク(アップリンクおよびダウンリンクの両方)をそれらのスペクトル効率とペイロード電力利用との観点から特徴付けることである。群リニアライザ115は、粗視化並列化を使用して、リソースの最良の利用を達成し得る。このモジュールの重要な側面は次のとおりである。
【0028】
・各シリアルプロセスが、単一のタイムステップで群の瞬時の特徴付けを担う
・多数の独立したシリアルプロセスが、プロセッサの大規模なプール上で並列に生成され、全てのタイムステップで群を特徴付ける、および
・並列プロセスは、使用されるプロセッサの数に比例したソリューションのスループットを生成する。プロセッサの数は、所望のソリューションスループットを達成するためにスケーリングできる。タスクの独立性と並列化の大まかな性質により、ソリューションのスループットがプロセッサの数に比例してスケーリングできる。
【0029】
図3のフローチャートを参照すると、群のインスタント特性評価には次のタスクが含まれる。
【0030】
・要求グリッドジェネレータの出力からダウンリンクおよびアップリンクグリッドの要求を取得する:305
・衛星ごとに、各端末と各グリッドポイントの事前に決定された最小地上高度に基づいて、許容視野内のグリッドポイントのリストを特定する:310。視野をカバーする静的ビーム位置レイアウトから、ビームカバレッジとグリッドポイントとの交差に基づいて、潜在的なビーム位置のリストを特定する。あるいは、グリッドポイントは、サイズと総要求が制限されている固定地上セルにグループ化できる。この場合、衛星ごとに、事前に決定された最小地上高度を満たす全ての可視固定地上セルを特定し、特定されたセルごとに、衛星の視野内の対応する潜在的なビーム位置を計算する。
【0031】
・周波数再利用制約を組み込むためにビームのグループを定義する:315
衛星の視野内のしきい値間隔に基づいて、全てが互いに完全に結合されたビームのグループとして定義される、ビームのクラスターに割り当てられた総有効帯域幅を制限することにより、私達は周波数の再利用を制御する。方法論については、付録Iで詳しく説明する。
【0032】
・衛星ごとおよびビームごとに、規制および調整の制約を満たすダウンリンクスペクトル電力限界を決定する:320
・入力の制約:優先度の高い犠牲ネットワーク衛星の軌道パラメータ、電力フラックス密度(pfd)マスク、犠牲ネットワークの地上カバレッジ、および以下に基づく関連する優先度スペクトル。
【0033】
・他の衛星ネットワークは、干渉から保護する必要のある端末を有する場合がある。これらの端末は「犠牲端末」として識別され、リソース展開の最適化の制約になる。pfdマスクは、犠牲経度、犠牲緯度、および犠牲視点から見た衛星と犠牲衛星間の角度分離の関数として、犠牲端末に許容される瞬間pfdの表形式のデータを含む。
【0034】
・瞬時pfdマスクは、次のように、等価電力束密度(epfd)の累積分布関数(cdf)限界として提供される複数の時間パーセンテージ限界から生成される。
【0035】
・ステップ1:epfd cdfデータポイントの時間パーセンテージ軸を、提供された制限関数から角度分離にマッピングする。十分に長い期間にわたる最悪の場合の衛星角度分離の統計的な累積分布関数(cdf)を補間する。
【0036】
・ステップ2:データポイントの角度分離に基づいて、epfd cdfのepfd軸をpdfにマッピングする。
【0037】
任意の時間における任意の犠牲端末の最悪の場合の衛星は、その犠牲端末に対して最小の角度分離をもたらす群衛星として定義される。インスタントpfdマスクを導出するために上記の方法が適用されるepfd cdf制限関数の一例は、静止衛星システムへの干渉を制御するためのITU第22条で定義されている。さらに、本発明は、付録IIに詳述されるように、GSO犠牲端末への複数の衛星の集約を説明するpfdマスクを定義する方法を含む。
【0038】
・上記の入力に基づいて、群リニアライザ115は、動作周波数帯域ごとに、最大ビーム電力放射実効等方放射電力(EIRP)スペクトル密度(dBW/Hz)を評価する。これは、犠牲ネットワークカバレッジ内に位置し、同じ周波数帯域内で動作している犠牲の均一な分布から全ての犠牲端末に対するpfdマスクへの追従につながる:325。この最大許容EIRPスペクトル密度は、
図4のフローチャート400に従って、次のように決定される。
【0039】
・衛星のu-v空間座標で犠牲のグリッドを生成する:405
・犠牲衛星と犠牲端末のアクティブなペアのリストを計算する:410
・犠牲端末のリストから、端末が衛星の視野にある全てのリンクのグループを形成する:415。これにより、「自衛星」、「視野の中の犠牲端末」のリストが作成される。
【0040】
・上記の2つのペアのリストを、犠牲衛星、自衛星、および犠牲端末の全てのアクティブなトリプレットのリストに減らす:420。
【0041】
・各トリプレットについて、犠牲端子から見た軸外角度を計算する:425。
【0042】
・同じ自衛星と犠牲端末を使って、その軸外角度が他の全ての項目の中で最小の軸外角度よりも大きい項目を削除することによって、トリプレットのリストを減らす:430。
【0043】
・トリプレットのリストを4つ組(犠牲衛星、自衛星、犠牲端末、自衛星ビーム)のリストに拡張して、任意の自衛星についての任意の犠牲に向かうその指向性が明確な潜在的に必要な(この時間ステップで)自衛星ビーム番号を全て含める:435。
【0044】
・各4つ組について、最大許容ビームピークEIRPスペクトル密度を次のように計算する :440。最大許容ビームピークEIRPスペクトル密度=「犠牲の位置と軸外角度で評価されたpfdマスク」マイナス「EIRPスペクトル密度0dBW/Hzに基づく犠牲でのpfd」マイナス「犠牲へのビーム指向性」プラス「ビームピーク指向性」。
【0045】
・4つ組リストを、関連する全ての4つ組リスト項目の全ての値の最小値に対応する、各ペアの最大許容ビームピークEIRPスペクトル密度を持つペア(自衛星、自衛星ビーム)のリストに減らす:445。
【0046】
GSO(地球に対して固定された衛星を使用)とNGSO(地球に対して移動する衛星を使用)の両方の犠牲ネットワークは、この方法を使用して保護され得ることに注意すること。それは、任意の時点での犠牲衛星位置、それらのカバレッジと許容されるpfdマスクの知識にのみ依存するためである。
【0047】
・動作EIRPスペクトル密度を1)最大許容値および2)衛星によりサポートされる最大値の最小値に設定する330。リンクのプールを有用なリンクのみに減らすために、結果として生じる制約付きEIRPスペクトル密度が、事前定義されたしきい値を下回るならば、特定のリンクをオフにすることを選択できる。このしきい値を下回ると、リンクが役に立たなくなり、割り当てオプティマイザによって利用される可能性が低くなる。
【0048】
・リアルタイムの運用群リソース管理システムでは、全てのビームが衛星ビューで静的であるため、トラフィックの場所に関係なく、求められるのに十分に時間的に先にepfd制約されてもよい:335。衛星ビューからの全てのビームは、計画されたユーザー端末が含まれているかどうかに関係なく、事前に制約されるであろう。したがって、新しい端末のほぼリアルタイムの線形化には、次の手順のみが含まれるであろう。
【0049】
1.(新しい)グリッドポイントのターゲットへの割り当て
2.リンクバジェット評価
ビームのefpd制約は、端末の直前の追加、および/または、リアルタイム操作の要求に柔軟性をもたらし、必要がなくても、追加コストが全てのビームの電力制約の計算に関連する。
【0050】
・衛星、ビーム位置、グリッドポイントの有効なトリプレットごとに、高速ベクトル実装を使用して、離散電力スペクトル密度レベルの事前定義された数で「事前コンパイル済みリンクバジェットレシピ」を使用してダウンリンクおよびアップリンクリンクバジェットを評価する:340。また、各リンクに必要な入力RF電力スペクトル密度を評価する。
【0051】
割り当てオプティマイザ120
割り当てオプティマイザ120は、衛星リソース(帯域幅、電力、ISLスループット)およびゲートウェイリソースを利用可能なリンクに割り当てて、適用可能な制約内でユーザー容量のアップリンクおよびダウンリンクの要求を満たす。
【0052】
割り当てオプティマイザ120は、細粒度の並列化などの他の方法が使用される場合に発生する可能性があるボトルネックを回避するために、粗粒度の並列化を使用して実行され得る。
【0053】
各シリアルプロセスは、多くのタイムステップにわたる群リソースの割り当てを担う。接続の継続性に関する制約が存在しない場合は、シリアルプロセスごとに1つのタイムステップを使用できる。接続の最小時間を制限することが求められる場合は、各シリアル最適化プロセスの一部として複数のタイムステップが統合され得る。
【0054】
目標は、並列処理を可能にしながら、このような連続性の制約を満たすソリューションの連続ストリームを取得することであるので、私たちは、たとえば5000x1分のタイムステップの連続ストリームを5つのタイムステップのブロック(合計1000ブロック)に分割する新しい「ベネチアンブラインド」アプローチを開発した。これは、5つのタイムステップの1つおきのブロックを並列に解いて、並列に解かれる500のブロック全てを互いに切断し、ブロックの最初のセットの間でインターリーブされた残りの500のブロックを並列に解く。
【0055】
たとえば、1~20の番号が付けられた20のタイムステップのストリームの場合、タイムステップ1~5および11~15がタイムステップの最初のグループに配置され、タイムステップ6~10および16~20がタイムステップの2番目のグループに配置され得る。次に、並列処理を使用して、タイムステップ1~5を個別の問題として最適化し、続いてタイムステップ11~15などを最適化して、タイムステップの最初のグループの全てのタイムブロックを処理する。これらの最適化のソリューションは、タイムステップの2番目のグループ、つまりタイムステップ6~10および16~20のタイムブロックの境界条件制約として使用できる。したがって、タイムステップの2番目のグループのタイムブロックは、並列処理を使用して、個別の分離された問題として最適化されることもできる。
【0056】
2つの戦略を採用することができる。
【0057】
最初の戦略は、例えば2分など最小接続時間を実施することである。この例では、切断された時間ブロックの最初の解セットは、ブロックからの最初と最後のタイムステップを除いて、「接続」バイナリ変数が5つのタイムステップブロック中で少なくとも2つの連続するタイムステップでオンのままになるようにすることで、2分の連続性制約を実施する。「接続」バイナリ変数は、最適化されている5つのタイムステップタイムブロックの直前と直後のタイムステップで群リニアライザ115の出力に基づいて利用可能であることがわかっているならば、リンクのシングルタイムステップ接続を含めることがでる。インターリーブされたタイムブロックの2番目の解セットでは、すぐ隣の解決された時間ブロックで1つの時間ステップのみ持続する接続にハード制約が設定される。
【0058】
2番目の戦略は、5つのタイムステップブロック中に任意のグリッドポイントによって発生する接続変更の数を最小限に抑えることにより、接続の継続性を促進することである。これは、(重み付き目的アプローチで低重みを使用するか、階層的目的を使用して)2次目的を含めることによって行われる。前の説明では、タイムステップ時間(1分)は他の時間に置き換えることができる。同様に、ブロックサイズ(5タイムステップ)は異なる方法で選択できる(たとえば、10タイムステップ)。最後に、戦略1の場合、接続ごとに必要な連続ステップ数は2とは異なる可能性があり得る。厳しい制約を実施しないことでスループットの低下などの副作用が発生するリスクを私たちは回避できるので、この2番目の戦略が推奨される。
【0059】
「ベネチアンブラインド」アプローチの主な関心は、端末接続の継続性を可能にしながら、計算プロセスの並列化を維持することである。別の方法は、各ブロックをシリアルにシミュレートすることである。これにより、接続時間が長くなる可能性がある。例として、5分(5ステップ×1分)のブロックを使用する「ベネチアンブラインド」アプローチは、接続時間を実際には10分に制限するが、この時間が衛星パスの最大時間に近いか、または実質的にサービス品質の点で十分である限り、シリアルアプローチに対するわずかな妥協は価値がある。この「ベネチアンブラインド」アプローチは、接続の継続性が強制された基本ソリューションを取得するために、時間サンプル間の任意の間隔を選択して、運用システムで採用され得る。高速帯域幅割り当ての再最適化は、隣接するサンプルからの既知の接続を使用して、1秒間隔で中間の時間サンプルを生成するために実行されるであろう。このプロセスにより、積分制約のない純粋なLPソルブが可能になり、元のソルブのセットと比較して、中間時間ソルブが大幅に高速化される。リソース割り当ての最適化は、衛星割り当てとビーム割り当てとの両方で実行される。衛星の割り当ては、個々のグリッドポイントまたはセルで実行できる。ここで、セルは、地上の外接ゾーンにあるグリッドポイントのグループある。衛星の割り当てが個々のグリッドポイントで実行される場合、ビームの割り当ても個々のグリッドポイントで実行される必要がある。衛星の割り当てがセルで実行される場合、ビームの割り当てはセルまたは個々のグリッドポイントのいずれかによって実行できる。ビーム割り当てがセルによって実行される場合、多数のビーム位置が生じ得、これにより、必要なビーム位置の数(ビームホッピングシステムの場合はビームホップ)および周波数再利用制約の数と複雑さが不必要に増加する可能性がある。このため、好ましいアプローチは、個々のグリッドポイントによってビーム割り当てを実行することである。この方法では、グリッドポイントを使用して、衛星の視野内のビームの静的レイアウトから潜在的な衛星ビーム位置の選択を推進する。この方法は、各端末への最大ステアリング範囲を実現し、実際には要求によって駆動されないペイロードビーム数の使用と周波数再利用の制約に人為的にボトルネックを作成することを回避する。個々のグリッドポイントによるビーム割り当てを実行する場合、衛星ビューでのビームの静的レイアウトは、
図8に示すような通常の格子レイアウト、または、ユーザービームの直接放射アレイ(DRA)実装でのスクイントの影響を制限するために、走査角度が増すにつれてビームカバレッジ直径の漸進的な縮小を例えば含むその他の格子、であってもよい。
【0060】
リソース割り当ての最適化は、混合整数計画(MIP)解法を使用して実行できる。
【0061】
次の未知数が定義される。
【0062】
・Bは、群リニアライザによって生成されたNlinksの利用可能なリンクのそれぞれに割り当てられた帯域幅を含むベクトルである。重要なことに、Bの未知数は、ローカルで利用可能なスペクトルの総量に正規化される。このスケーリングにより、問題の条件付けが改善され、LPの解決時間が短縮される。
【0063】
・接続は、Nlinks要素を持つバイナリベクトル変数である。それは、リンクの状態を表し、接続されていない場合は0で、接続されている場合は1である。
【0064】
・Sは、Nlinks要素を持つ実数ベクトル変数である。これは、個々のグリッドポイントの満足度を表し、そのグリッドポイントの容量要求に対する配信スループットの比率として定義される。
【0065】
・Sminは、全ての端末の最小満足度を表す実際のスカラー変数である。
【0066】
次の制約は、混合整数計画の一部を形成する。
【0067】
・周波数再利用の制約:各衛星で、各ビームクラスターについて、帯域幅の割り当ての合計を、ローカルで利用可能な二重偏波スペクトルの合計量に制限する。
【0068】
・衛星とビームごとに、アクティブな離散的な電力レベルの数を1に制限する。
【0069】
・各グリッドポイントについて、接続の総数は1である必要がある。これは、各グリッドポイントについて、そのグリッドポイントに関連付けられている全ての接続変数の合計を1に制限することによって実行される。
【0070】
・衛星ごとに、帯域幅が割り当てられている全てのリンクからの全ての入力電力の合計を、その特定の衛星で利用可能な放射RF電力の合計よりも小さくなるように制限する。各リンクに必要な入力電力は、Bベクトル変数に基づいて、割り当てられた帯域幅によって事前に計算されたRF入力電力スペクトル密度を掛けることによって得られる。
【0071】
・衛星ごとに、ダウンリンクとアップリンクのスループットの合計を、それぞれプロセッサのダウンリンクとアップリンクのスループット性能に制限する。
【0072】
・衛星ごとに、割り当てられた部分ビーム数の合計を、ビームフォーマで利用可能なビームの数に制限する。各アクティブリンクは、割り当てられた帯域幅とビームの最大瞬間帯域幅の比率に等しい部分ビームカウントに貢献した。
【0073】
・割り当てられた帯域幅Bと満足度Sをリンクする一次方程式を定義する。
【0074】
S=[×2S]xB
・グリッドポイント満足度Sのベクトルから最小満足度Sminを取得するために、線形不等式を定義する。
【0075】
Smin<=Sk、全てk
本発明では、求められる目標に応じて、複数のタイプの最適化目的が使用される。例示的な最適化の目的は、以下のようにグループ化できる。
【0076】
1)最低限の満足度を優先する対象
・各タイムステップについて、対象は、優先度の高い順に、最初に最小満足度を最大化し、次に平均満足度を最大化し、最後に総容量を最大化する。
【0077】
・1番目のサブ対象に大きな重み(100x)を、2番目と3番目のサブ対象に小さな重み(1x)を持って上記の組み合わせとして対象を実施する。
【0078】
・上記の目的は、最大問題に重点を置いているため、解決するために非現実的な時間がかかる場合がある。本発明の一部として、その問題を3つの順次解決される問題に分解する。
図5のフローチャートを参照する。
【0079】
・ステップ505:全ての「接続」変数を連続型(実数変数)に設定して、問題をLP問題として解決する。
【0080】
・結果には、グリッドポイントごとに合計1つになる部分的な衛星割り当てが含まれる。
【0081】
・ソリューションは、真のソリューションに上限の適合性を提供する。これを「緩和ソリューション」と呼ぶ。
【0082】
・ソリューションには、「特定の」接続(ソリューションで値が1の接続変数として定義される)と「部分的な」接続(ソリューションで値が0~1の接続変数として定義される)が混在する場合がある。
【0083】
・ステップ510:元のMIP問題の最小満足度を最大化するために解決する。
【0084】
・緩和LPソリューションから、緩和最小満足度を抽出する。
【0085】
・全てのグリッドポイントの満足度を一意の満足度レベル(単一変数)にバインドすることにより、LP問題を再キャストする。この均一な満足度の上限を「緩和最小満足度」の値に設定する。
【0086】
・緩和されたソリューションで「特定」である(つまり、値が1である)ことが判明した全ての「接続」変数を凍結する。つまり、その下限と上限の両方を1に設定することにより、これら変数を方程式で定数に変換する。これにより、解決する未知数の数が減る。
【0087】
・凍結されていない残りの「接続」変数に積分制約を再導入する。つまり、それらを再びバイナリにする。
【0088】
・均一な満足度を最大化するために、減ったMIP問題を解決する。これは、元のMIP問題の正確な最小満足度である。
・ステップ515:より適切に動作する対象および縮小された検索スペースを使用して、元のMIP問題を解決する。
【0089】
・減ったMIP問題で解決された最小満足度に等しい全てのグリッドポイント満足度レベルに最小境界を設定する。
【0090】
・対象を変更して、「最小満足度を最大化する」サブ対象を除外する。
【0091】
・対象は、「平均満足度の最大化」および「総容量の最大化」というサブ対象の均等に重み付けされた組み合わせになるように作成される。
【0092】
・ステップ2のように、緩和されたソリューションで「特定」であることが判明した全ての「接続変数」を凍結する。
【0093】
・個々のグリッドポイントの満足度レベルの境界を、緩和されたソリューションで達成される満足度レベルに厳しくする。これにより、検索スペースが削減され、MIP解決が高速化される。
【0094】
・MIP問題を解決する。最大-最小対象を既知の最小限界に置き換えたため、これは元の問題よりもはるかに速く解決する。
【0095】
2)最小満足度と平均満足度とのバランスをとる対象
この重み付けされた対象は、全てのグリッドポイントにわたって最小満足度および平均満足度を最大化するために等しい重みを与える。これは、特に実現可能または準実現可能な容量要求グリッドで実行している場合に、優れた収束特性を備える。したがって、特別な手順を必要とせず、ストレートMIP定式化を使用して実行できる。この対象タイプは、実行可能または準実行可能であることが分かっている事前調整された要求グリッドでのリソースのリアルタイム割り当てに最も適している。
【0096】
この方法では、平均満足度を総容量比率に置き換えることができる。この比率は、総要求に対する配信された総容量の比率である。あるいは、平均満足度を総収入比率に置き換えることもできる。この比率は、総潜在収入に対する総収入の比率である。この目的のために、収入は、配信されたスループットのグリッドポイントベースの重み付けに基づいて計算される。この方法では、平均満足度を、ポイントごとに配信されるスループットの重み付けに置き換えることもできる。
【0097】
3)平均満足度と総容量比率または総収入比率とのバランスをとる対象
このタイプの対象は、非常に優れた収束特性を持っている。この対象の実際の収束許容誤差が有限であるため、最小満足度を最大化することは対象の一部ではないという事実により、一部のグリッドポイントで時折無効な(null)満足条件につながることが頻繁にあるので、運用シナリオにはあまり適していない。これは、要求調整または緩和を実行する際に非運用シナリオで最適に利用される。
【0098】
要求調節器125
容量要求は、任意の端末に提供される持続的な容量の必要性である。
【0099】
任意の要求グリッド分布は、任意の群設計では達成できない場合がある。たとえば、次の可能性がある。1)瞬間的な個々の端末または地域の総容量要求が、群の能力を超えている可能性がある、または2)継続的に要求に対応できない可能性がある(持続不可能な要求)。運用システムではあるが、通常、システム100に、公称条件下で実行可能な事前調整された要求を供給する。要求調節器125は、満たすことができる実現可能な要求グリッドを定義するために、群設計に要求プロファイルを調整(緩和)することによってこの問題に対処する。この実現可能な要求グリッドは、リアルタイムの運用群リソース管理システムの入力として使用できる。
【0100】
要求調整には、継続的な要求緩和と離散的な要求緩和の2つの方法が交互に使用される。継続的な要求緩和は、事前定義されたポイントごとのスループット要求の完全なセットを前提として、実行可能なポイントごとの要求を見つけようとし、目的関数を最適化する。継続的な要求緩和は、ポイントごとの緩和された要求を以下の重み平均に等しく設定することで構成される。
【0101】
1)先行するタイムステップの有限ウィンドウ(通常は100から1000)で計算された、時間平均されたポイントごとの配信容量
2)前のタイムステップの同じ有限ウィンドウでの時間平均されたポイントごとの緩和された要求
上記の項1と2に適用される重みの合計は、1に等しくなければならない。時間を犠牲にして、項1の重みが大きいほど、緩和容量の収束が速くなり、項2の重みが大きいほど、一般に、緩和容量の合計が高くなる。重み付けは、要求緩和プロセスに使用できる時間に基づいて選択される。
【0102】
対照的に、離散的な要求緩和は、残りのグリッドポイントで元のスループット要求を変更せずに元のセットからグリッドポイントの一部を(必要に応じて)間引くことにより、目的関数を最適化する元のポイントごとの要求の実行可能なサブセットを見つけることで構成される。
図6のフローチャートによると、その方法は次のとおりである。
・必要な個別のFWDおよびRTNスループットを備えた潜在的な端末のセットとして定義された入力要求(アドレス可能な市場を表す場合がある)から開始する:605。
【0103】
・端末の満足度のバイナリ変数を使用して、N個のタイムスライスのブロックで配信容量を最適化する:610。端末の最適な選択は、所望の測定基準を最大化するために行われる(たとえば、総容量、平均満足度、総収入などの1つ以上の重み付された目的を組み込む)。このステップは、それぞれN個のタイムスライスの複数のブロックに対して並行して実行される。
【0104】
・上記の解決されたブロックのストリームにわたって得られた結果に基づいて、入力要求の緩和を実行する615。テストされた時間ストリームにわたる各端末の選択頻度の累積分布関数(cdf)を計算する。緩和は、目標量の容量要求が削除されるように、累積パーセンテージしきい値を下回るcdfの部分に属する端末を選択することで構成される。削除された容量要求のこの目標量は、達成された時間平均総容量と総容量要求の間のギャップの指定された割合(たとえば、50%)として設定される。
【0105】
どちらの要求緩和手法でも、持続不可能な要求に向けて展開された衛星リソースを徐々に解放し、且つ、長期にわたって持続できる他の要求に向けてそれらを再展開することで、総配信可能容量を大幅に改善できる。このプロセスの最終状態は、実現可能な要求プロファイルと、この実現可能な要求に向けた既存の衛星リソースの効率的な展開とを実現する。
【0106】
さらに、割り当てオプティマイザ120で利用される目的関数を単純化し、計算時間を大幅に短縮するために、要求緩和を使用できる。これは、割り当てオプティマイザ120を、連続変数と離散変数の両方を組み込んだ線形計画法を使用したシングルステップアプローチとして再定式化し、目的関数を書き直して、最小の端末満足度を制約することなく、総配信容量を単純に最大化すること、によって行われる。緩和プロセス中、最適化は瞬間スペクトル効率が最も高い端末からの要求を最初に満たそうとするため、個々のタイムステップソリューションには、容量が配信されていないグリッドポイントが含まれる。ただし、要求プロファイルが実現可能な状態に向かって緩和すると、各端末の要求は、時間の経過とともに経験するスペクトル効率の範囲と一致するレベルに向かって減少し、実現可能な状態に達すると、全ての端末がそれぞれの緩和された要求レベルと一致する容量が割り当てられる。スペクトル効率は、Hz単位の割り当てられた帯域幅に対するbps単位のスループットの比率である。この比率は、衛星に対する地上高度の関数として変化するため、時間とともに変化する。実現可能な要求は、コンスタレーションの形状と端子特性に一致する達成可能な範囲またはスペクトル効率で機能する必要がある。このアプローチは、割り当てオプティマイザ120の負担を軽減し、計算時間を大幅に短縮しながら、より優れた総配信容量を実現するという複合的な利点を備える。
【0107】
容量プールの要求緩和も実行可能
・容量プールは、群キャパシティの固定総量(Mbps単位)を集合的に使用する、リージョンにまたがる、または同様のビジネスによって接続された、グリッドポイントのグループとして定義される。
【0108】
・容量プール要求の満足度は、時間変動容量分析を実行することによって評価される。この分析では、合計即時要求を容量要求エンベロープと等しく保ちながら、容量プールグリッドポイント全体の即時要求分布が各タイムステップでランダムに割り当てられる。持続的な要求に対する満足度は、配信されたプール容量の容量プール要求に対する比率を計算することによって評価される。
【0109】
・容量要求エンベロープは、グリッドポイント容量で使用されるのと同じ要求緩和方法を使用して調整されるが、プール容量に適用される。
【0110】
・調整された(または緩和された)容量要求エンベロープは、実現可能容量要求エンベロープと呼ばれ、システムの入力として使用できる。
【0111】
スラック容量要求130
事前によく分かっている要求は、割り当てオプティマイザ120で予約し得る。ベースライン要求の上と第二優先ベース上で、「スラック容量要求」と呼ばれる追加の要求の層を予約するために、第2段階の最適化が第1段階の最適化に追加される。ここでは、残りの群リソースが許可する。この追加の要求層の分布は、持っている可能性のある追加の要求または直前の環境変化に対する利用可能な洞察によって通知できるが、追加のデータが存在しない均一な要求の均一な層である可能性もある。これにより、衛星リソースの使用のクラスタリングが防止され、群リソースの展開に対する構成の変更を最小限に抑えて、短期間の予期しない要求が満たされる可能性が高まる。短期的な予期しない要求を満たすための主要なメカニズムは、この新しい要求に割り当てられた「スラックキャパシティ」の一部を割り当てることである。このメカニズムは、グローバルリソース最適化の実行を必要としない。
【0112】
ルートジェネレータ145
ユーザー端末へのフォワードリンクとリターンリンクの両方を、顧客が接続する物理的な地上サイトであるポイントオブプレゼンス(PoP)にルーティングする必要がある。各リンクは、次の構成要素で構成される(
図2を参照)。
【0113】
・PoP215からゲートウェイ/着陸ステーション220へのアース接続。
【0114】
・ゲートウェイ/着陸ステーション220に直接接続された衛星である衛星アンテナビームを介して、ゲートウェイ/着陸ステーション220から着陸ステーション衛星206へ。
【0115】
・任意選択で、ISL接続235を介して、続いて群ISLメッシュを介して任意の数の衛星を介して、上記の衛星206から別の衛星207へ。ユーザー端末210に直接接続されている「ユーザー衛星」207に至る。
【0116】
・衛星アンテナビームを使用して「ユーザー衛星」207からユーザー端末210へ。
【0117】
群によってサポートされるリンクのセット全体について、次の目標を達成する必要がある。
【0118】
・全体的なリンク遅延を最小化するか、最大遅延の目標または要件を満たす。これは、割り当てオプティマイザ120でのリンク選択の一部として、遅延のペナルティを介して組み合わされた適切な候補リンクの適切な初期選択によって達成される。
【0119】
・全体的なリンクジッターを最小化するか、最大ジッターの目標または要件を満たす。これは、割り当てオプティマイザ120のマルチタイムステップモードでのリンク選択時のジッターのペナルティによって達成される。
【0120】
・共通のISLセグメントを持つリンクの全てのグループに割り当てられたリンクスループットの合計を制限することにより、群衛星間リンク(ISL)235のいずれにも輻輳がないことを確認する。ISL235は、群内の衛星間で行われる接続である。
【0121】
リンクルートの生成
グローバルに分散されたPoP215の所定のリストが提供される。各ユーザー端末210は、問題への入力として割り当てられたPoP215を有する。その視野内の端末210に基づいて、我々は、衛星205、206、270、PoP215ごとに、潜在的に接続する必要があり得ると判断する。
【0122】
各衛星について、最初に、衛星205、206、207をその潜在的なPoP215のそれぞれに接続するNリンクのインベントリを生成し、Nリンクはユーザーの遅延に対するPoPを最小にする。これは、1)ダイクストラのアルゴリズムまたは2)遅延を最小化する目的を持つMIPベースの方法のいずれか一方から実現される。
【0123】
リンク割り当て最適化
衛星リソースをユーザーリンクに割り当てることに加えて、割り当てオプティマイザ120は、群容量および顧客満足度を最大化しながら、全体的な目標を達成するために(事前に生成されたリンクのインベントリから)リンクルートの最良な組み合わせを最適に選択できる。この目的のために割り当てオプティマイザ120に追加された追加の制約は次のとおりである。
【0124】
・任意のPoP215から任意のユーザー衛星207への全てのアクティブリンクによって支持される総スループットは、この衛星からそのPoP215に割り当てられた全てのユーザーに配信される総スループットと一致する必要がある。これは、順方向ダウンリンク方向および逆方向アップリンク方向の両方に適用される。
【0125】
・群上の任意のISL235を通過する全てのアクティブリンクの総スループットは、ISL235スループット性能以下である必要がある。
【0126】
・着陸ステーション/衛星ビームを通過する全てのアクティブリンクを支持するために必要な合計帯域幅は、そのビームを介して割り当てられた合計帯域幅を超えてはならない。これは、順方向アップリンク方向および逆方向ダウンリンク方向の両方に適用される。
【0127】
・オプションで、スループットに過度の影響を与えることなく遅延を最小限に抑えることを目的として、アクティブリンクの遅延をLP最適化の目的に混在させることができる。
【0128】
・オプションで、割り当てオプティマイザ120のマルチステップバージョンを実行し、且つ、LP最適化目的の変更を通じて、PoP215から任意のユーザーへの遅延の変化にペナルティを課すこと、によりジッターを最小限に抑えることができる。
【0129】
上記の全てに対処するMIPは、計算量が多くなる可能性がある。問題の複雑さを軽減する1つの方法は、最初に割り当てオプティマイザ120を実行して衛星ユーザーリソースのみを割り当て、次に割り当てオプティマイザ120を再実行して、衛星ユーザーリソースを凍結した状態で完全なリンク選択を最適化することである。これにより、遅延の観点からソリューションの品質にいくらかの影響を与える代わりに、解決するMIP問題の複雑さが軽減される。
【0130】
フェージングの分析および軽減150
降雨フェージングまたは降雨減衰は、雨の存在が信号の弱体化を引き起こす衛星通信における主要な既知の課題である。リンク降雨フェージングは、従来、国際電気通信連合(ITU)のフェージング推奨に基づく長期的な可用性に基づいて予約される。降雨フェージングに対処する標準的な方法は、全てのリンクで降雨フェージングを考慮することであった。現在のシステムでは、群リソースを効率的に展開するために、全てのリンクで降雨フェージングが体系的に予約されてはいない。むしろ、過去の群性能は、降雨量のグローバル分布の履歴セットを使用してシミュレートされ、そして、リソース割り当ては、ダウンリンクとアップリンクに次のアプローチを使用して、シミュレートされた降雨量のグローバル分布予測に基づいて最適化される。
【0131】
ダウンリンク:全てのタイムステップで、降雨量予測135に基づいてフェージングを予約するリンクバジェットを生成し、フェージングの事前定義された関数に基づいて「フェージングオフセット」(pfdマスク制限の対象)と呼ばれる追加の衛星パワースペクトル密度を割り当てる。これらのリンクバジェットを割り当てオプティマイザ120への入力として使用する。このオプティマイザは、フェージングと部分的または完全なフェージングオフセットを考慮して、利用可能な衛星ビームパワーと帯域幅を最適に展開する。次に、実際のリンクバジェットは、実際の降雨量に基づくフェージングを予約して再実行される。次に、割り当てオプティマイザ120は、予測されたリンクバジェットに基づく最初の最適化に基づいて衛星リンク選択を凍結したまま、実際のリンクバジェットを使用して再実行できる。この第2段階の最適化は、リアルタイムの信号対雑音比に基づく準リアルタイムのMODCODの選択を考慮して、実際のフェージングを考慮して割り当てられた衛星ビーム帯域幅を最適に調整する。次に、群の性能は、第2段階のリソース割り当てと実際のリンクバジェットの組み合わせに基づいて計算される。フェージングオフセットの生成に使用される予め定義された関数は、シミュレーション結果に基づいて調整され、フェージングをオフセットする必要性と、衛星リソースへの圧力による他のフェードされていないリンクへのこれらのオフセットの影響を制限する必要性とのバランスを取る。あるいは、使用可能なリンクのセットを構築する際に複数のパワースペクトル密度設定が使用される場合、このオフセットフェージングのトレードオフは、割り当てオプティマイザ120に任せることができる。
【0132】
2)アップリンク:全てのタイムステップで、降雨量の予測に基づいてフェージングを予約するリンクバジェットを生成し、全ての端末(フェージングと非フェージング)に地上端末の電力を割り当てて、フェージングされていない端末のリンク性能を犠牲にして、他の(フェージングされていない)端末による干渉障害を減らしてフェージングされたリンクを改善する。これらのリンクバジェットを、衛星リンクの最適なセットを最適に選択する割り当てオプティマイザ120への入力として使用する。次に、実際のリンクバジェットは、実際の過去の降雨量に基づいてフェージングの予約を再実行する。次に、割り当てオプティマイザ120は、予測されたリンクバジェットに基づく第1の最適化に基づいて衛星リンク選択を凍結したまま、実際のリンクバジェットを使用して再実行できる。この第2段階の最適化は、リアルタイムの信号対雑音比に基づく準リアルタイムのMODCODの選択を考慮に入れて、フェージングと調整された地上端末の電力レベルを考慮して、利用可能な衛星ビーム帯域幅を最適に調整する。次に、群性能は、第2段階のリソース割り当てと実際のリンクバジェットの組み合わせに基づいて計算される。
【0133】
同様に、リアルタイムの群リソースマネージャは、リアルタイムのデータ140と降雨量の全体的な分布の短期予測を使用して、上記の戦略に基づいて実施される。
【0134】
周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータ155
周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータ155の役割は、任意の衛星および時間ステップについて、割り当てオプティマイザ120によって実行される実効帯域幅割り当てを満たすための周波数およびタイムスロットの実行可能な2D割り当てを見つけることである。この問題は、衛星および時間ステップごとに独立して解決される小規模なMIP問題として定式化され、このタスクの大規模な並列化を可能にする。
【0135】
周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータ155は、1つのタイムステップで1つの衛星に関連する各タスクを伴う並列プロセスとして稼働する。割り当てオプティマイザ120によって実行される大域最適化の出力は、特定の衛星およびビーム位置に関連付けられた各リンクを有する全ての利用可能なリンクでの有効帯域幅割り当てである。実効帯域幅割り当ては、各リンクの帯域幅と滞留時間の割り当ての積を表し、周波数/タイムスロット計画の実現可能性を保証する再利用制約を含む。
【0136】
帯域幅の割り当て(割り当てオプティマイザ120によって実行される)を周波数計画/タイムスロット割り当ての生成から分離することの利点は、割り当てオプティマイザ120で解決する必要のある未知の変数の数を大幅に減らすことである。割り当てオプティマイザ120は、システムのグローバル最適化を担い、周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータ155は、ローカル最適化を実行する。
【0137】
取り残された帯域幅のモデル化
通常のビーム帯域幅の割り当ては、連続変数を使用して行われる。これは、割り当ての粒度が総容量に影響を与えないことを前提とする。このアプローチは、割り当てられたビーム帯域幅の粒度が有限であるため、取り残された有効帯域幅を無視する。これは、たとえば、ビームホッピングシステムの1サイクルあたりのビームホップ数によって駆動できる。この粒度は、ビーム帯域幅変数に整数変数を利用することでモデル化され得る。帯域幅の各単位は、任意の論理ビームに割り当てることができる増分有効ビーム帯域幅(瞬間的なビーム帯域幅とホップ断片の積)の最小単位を表す。
【0138】
ビームスクイント管理
広い周波数帯域にわたってアンテナアレイを使用して生成された操縦可能な電子ビームを使用すると、「ビームスクイント」が発生する。これにより、ビームの実際のスキャン角度は周波数の関数になる。スクイント効果の影響を管理するための一般的なアプローチは、たとえば、衛星の視野の角度サイズがスキャン角度とともに縮小する固定サイズの地上セルに対してビームを向けることで、ビームが利用される角度範囲を3dBビーム幅のごく一部に制限することである。このアプローチには、各ビームを非効率的に利用し、且つ、より多くのビーム(またはホップされたビームシステムではビームホップ)が必要になるという欠点がある。代わりに、私たちの方法は、中心周波数ビーム位置に対する実際の位置に基づいて、端末への周波数の割り当てを管理することで構成される。たとえば、中心周波数のビーム位置に対してより高いスキャン角度に位置するユーザーには高周波チャネルが割り当てられ、中心周波数のビーム位置に対してより低いスキャン角度に位置するユーザーには低周波数チャネルが割り当てられる。この方法では、スクイント範囲を各ユーザーに割り当てられた縮小スペクトルに効果的に制限することにより、3dBのビーム幅の全範囲が利用できることとなる。
【0139】
セルのグループ化
この方法では、端末をセルメンバーが任意の時点で共通の衛星に共同で接続される固定地上セルにグループ化する。これにより、計算速度が向上したり、および/または、運用上の利点が得られたりできる。任意のセルのメンバーは、共通の衛星に接続されているが、必ずしも共通のビームに接続されている必要はないことに注意すること。地球上のセルの地理的範囲は通常、最低高度の衛星が単一の集束ビームを使用してセル全体を照らすことができるように制限される。
【0140】
有限ターゲットカウント制約(ビームホッピングのない有限ビームカウントを表すため)
ビームホッピングがサポートされていない場合など、衛星が制約されたビーム位置のセットをサポートできる群では、システム100は、1つの追加の制約を組み込むことができる:任意の時間に許可されるビーム位置(ターゲットと呼ばれる)の数。この制約は、使用されるビーム位置の離散セットが制限を超えないことを強制する必要があるという点で整数の制約である。
【0141】
通常のMIP検索では、ビームターゲット選択のブランチ選択に一般的なルールが使用される。代わりに、私たちの方法は、要求の高いビームターゲットがノードの実現可能性に大きな影響を与える可能性が高いことに基づいて、各ビームターゲットの容量要求に基づいてブランチの優先順位を設定することである。この方法により、検索が大幅に高速化される。
【0142】
グローバル検索ツリーで実行可能で最適なソリューションの検索に費やす時間を削減するために、全体的な目的に密接に関連する適合基準に基づいて、独立したMIP最適化を介して取得したビーム選択構成の縮小リストを各衛星と時間ステップに関して生成することで、また、任意で、任意のグリッドポイントへの利用可能なリンクを持つ衛星の数に基づいて、そのグリッドポイントへの目的の重みを調整することで、ブランチの数を大幅に削減できる。
【0143】
可用性最適化の方法論
総晴天容量の最適化に加えて、私たちのシステムには、共通して使用されるフェージングモデルに従って、フェード下での長期的なリンクの可用性を最適化する機能が含まれる。これは次のように行われる。
【0144】
・各瞬間リンクの長期的な可用性を特徴付ける。
【0145】
・マルチタイムステップブロックでのリンク割り当てを最適化して、任意の端末へのリンクチェーンの時間平均された長期的な可用性を最大化する。これは、重み付け目的および/または階層目的を使用して晴天の容量最適化と並行して行われる。
【0146】
MIP定式化と比較して解像度を高速化するためにネットワークフロー問題として定式化
制約されたスループット配信問題の定式化には、端末を衛星に割り当てるための整数変数が必要である。非ユニタリ係数と定数を含む多くの衛星制約(例えば、ビーム帯域幅、周波数再利用制約、利用可能な放射RF電力など)のため、混合整数線形計画法は通常、端末を衛星に割り当てるためにバイナリ変数とともに使用される。このようなバイナリ割り当て変数の数が大きいため、計算時間は主に、割り当ての最適な組み合わせを見つけるために使用される分枝限定法の検索プロセスによって駆動される。代わりに、私たちは、フロー値がリンクの数を表すネットワークフロー問題として問題全体を表すことができ、単一係数と整数定数を持つフロー容量制約によって上記の全ての制約を概算できる。これは、フロー変数に積分制約を必要とせずに線形計画解法を使用するだけで解決できるが、それでもユーザーから衛星への割り当てには積分値となる。解像度を元の制約のセットと完全に一致させるために、収束するまで、反復ごとに近似フロー制約を更新してプロセスが繰り返し実行される。この方法は、POPからゲートウェイおよび衛星を介したエンドツーエンドのルーティングを含む完全な問題に適用できる。これにより、(衛星からユーザーへの割り当てのために)リンク選択に積分制約を強制する必要がなくなり、長い検索ツリーが回避される。問題は、混合整数計画問題ではなく、純粋な線形計画問題として解決される。ビームホッピングなしの場合、または操縦可能なアンテナを含むアプリケーションでは、本発明は、ビーム位置選択に使用されるハイブリッドバージョンMIPを有し、一方、ネットワークフロー定式化は、リンク選択(衛星からユーザーへの割り当て)に使用される。
【0147】
「ローリングカーペット」の方法論
・本発明は、衛星から見た固定端末の均一な分布の見かけの動きと同じ一般的な方向に従ってパターンが決定論的曲線に沿って移動する衛星ビュービームレイアウト(
図7に示す)を考案する方法700を含む。この方法には、次の利点がある。任意の衛星に接続された端末が受けるビームハンドオフの周波数(したがって周波数ハンドオフ)を制限する手段を提供し、および
・任意の衛星によって処理される同時瞬間ビーム位置の数を最小限に抑えるので、周波数再利用の制約の数と複雑さが軽減される。
【0148】
図7を参照すると、衛星ビューで見られるような端末は、点705で確認される。衛星の観点から、端末705は、右710に移動するように見える。
図7の多数の円715は、任意の時間におけるアドレス可能なビーム位置のアレイを表す。矢印720に従って、アドレス可能なビーム位置は、端末の見かけの動きと同じ速度で右に切り替わり、端末のビーム遷移の数を最小にするべきであると仮定する。
【0149】
端末の見かけのベクトル速度のマッチングを改善するために、固定された地上ターゲットの見かけの動きの線に沿ってビーム列が流れる曲線ビームレイアウトを考案することができる。すなわち、衛星ビューで右710に移動しているように見える端末705は、実際にはわずかに湾曲した方向に移動しているように見える。この曲線はシステムに組み込むことができる。
【0150】
付録I-周波数の再利用
NGSO衛星の周波数再利用を簡素化するために、ユーザービームは衛星の視野内に静的なパターンで配置される。ビーム幅とビーム間隔の2つの主要な測定基準が、ビームレイアウトを定義する。完全なカバレッジを実現するには、次の方法が使用される。
【0151】
以下が与えられる
Bw:度単位のビーム幅
BS:度単位のビーム間隔
UDelta:UV空間の同じ行のビーム間の水平シフト
VDelta:UV空間の隣接する行のビーム間の垂直シフト
UOffset:UV空間の隣接する行のビーム間の水平シフト
そして、次となる
【0152】
【0153】
以下の場合に、完全なカバレッジが達成される
【0154】
【0155】
【0156】
Bsは、全体的なビーム指向性が高くなるより密なレイアウト用に減らすことができる。追加の適切なサイズのゲートウェイビーム(同じスペクトルで動作する)が、ビーム指向性を最大化するこのレイアウトに追加される。
【0157】
別のビームレイアウト方法は、固定グラウンドセルを有することである。設計された衛星ビームサイズに相関する固定直径の円形セルは、最小のセル数で全てのユーザー端末をカバーするために、地球の周りに最適に配置される。追加の適切なサイズのゲートウェイセル(同じスペクトルで動作する)が、ビームの指向性を最大化するこのレイアウトに追加される。このセルレイアウトは地面に対して移動せず、ビームはこれらのセルをカバーするように向けられる。この方法は、より大きな干渉グループ(特に低高度で)での周波数再利用の制約に複雑さをもたらすが、ビームの指向性においては有利である。
【0158】
レイアウト方法に関係なく、ビームは周波数再利用スキームを定義するために必要なビーム結合グループに組み立てられる。干渉ビームのペアが定義され、ブロン・ケルボッシュ(Bron-Kerbosch)最大クリークアルゴリズムを使用して、最大の干渉グループのセットが生成される。これらのグループは、割り当てられたスペクトルを共有するように制約される。
【0159】
付録II-PFDマスクの生成
ITU第22条に準拠するためのダウンリンクPFDマスク生成の標準的なアプローチは、最初に100%epfd制限に基づいてマスクを合成し、次に、これらマスクが第22条に従ってepfd cdf全体の要件を満たすまで、これらマスクを手動で削減することである。代わりに、私たちは、第22条の全ての時間パーセンテージ制限を満たすために、一連のPFDマスクを準最適に合成する新しい方法を発明した。この準最適合成により、衛星オペレーターは許可されたepfdcdfを最大限に使用できる。PFDマスク生成の新しいPFDマスク合成方法は、ITU勧告1503-2で定義されているように、複数の衛星からのepfd集約を完全に考慮する。
【0160】
方法は、次の手順に従う(
図9のフローチャート900を参照)。
【0161】
・905-ITU勧告1503-2の定義と一致して、合成への入力としてNcoとalpha0を定義する
・910-GSO犠牲緯度とデルタ経度の値の全ての組み合わせについて(デルタ経度はGSO衛星とGSO犠牲端末の間の経度の差である)
・多数の連続するタイムステップにわたる任意のタイムステップで視野内にある全てのNGSO衛星を含むサンプルのリストについて、以下を計算する
・NGSOスラントレンジ
・GSO犠牲端末の視点から見た、NGSOとGSOの間の分離角度アルファ
・alpha<alpha0である全てのサンプルを不適格として定義する
・任意のタイムステップについて:
・そのタイムステップに属し、alpha>=alpha0である全てのサンプルについて、アルファ値の昇順でサンプルを並べ替える。Ncoサンプルを上限に適格として選択し、他の全てのサンプルは不適格に設定する。
【0162】
・任意の時間における合計epfdは、全ての衛星からのepfdの合計として計算される。任意の衛星からのepfdは、衛星pfdから分離角度アルファの関数である端末識別を差し引いたものとして計算される(たとえば、標準の端末識別曲線はITU勧告1428で規定されているとおりである)。衛星pfdは、次のように計算される。pfd=min(pfdmask(alpha)、EIRPSD-RangeLoss(R))。ここで、pfdマスクは、最適化されているpfdマスクの振幅であり、EIRPSDは、衛星により達成可能な最大EIRPスペクトル密度(dBW/MHz)であり、Rはメートル単位のスラントレンジであり、RangeLossはスラントレンジR全体で発生する信号損失であり、RangeLoss(R)=10*log10(4*pi*R2)で与えられる。
【0163】
・総epfdの時間累積分布関数が指定された制限cdf(たとえば、ITU第22条のcdf)以下になるように、分離角度アルファの関数としてpfdマスクの形状を最適化する。この最適化は、混合整数線形計画法を使用して実行され得る。
【0164】
・最適化されたpfdマスクは、このデルタ経度と犠牲緯度について「アルファpfdマスク」と呼ばれる。
【0165】
・915-操作可能なpfdマスクを作成する。ここでは、前のステップで取得した「アルファpfdマスク」を組み合わせて、全ての衛星高度とサブ衛星緯度の運用衛星pfdマスクを導出する。
【0166】
・任意の衛星の高度とサブ衛星の緯度について:
・地球と交差する衛星の視野内の全ての方位角と高度のサンプルについて:
・潜在的なGSO犠牲端末がおそらく位置する地球上の交差点の経度と緯度を計算する
・全てのGEO軌道スロットサンプルについて
・GEO軌道スロットとGSO犠牲端末の経度との間のデルタ経度を計算する
・このデルタ経度および犠牲端末緯度に対応する最も近い「アルファpfdマスク」を選択する
・選択した「アルファpfdマスク」を使用して、最大許容pfd値を評価する
・現在の方位角と高度のサンプルのpfdマスク値を、上記で評価した全てのpfd値の最小値に設定する
オプションおよび代替案
上記の実施に加えて、本発明のシステムは、少なくとも以下の用途に適用され得る。
【0167】
1.低軌道衛星群への適用に加えて、同じリソース割り当てシステムが、単一の静止宇宙船または静止宇宙船のフリートからリソースを最適に展開するように適用され得る。同様に、低軌道宇宙船および静止宇宙船の組み合わせから形成されたハイブリッド群は、このシステムを使用して最適に展開できる。
【0168】
2.リソース展開オプティマイザのアプリケーションは、通信衛星に固有のものではなくてもよい。他の目的の衛星も、特定の要求要件に基づいてリソース展開オプティマイザの恩恵を受け得る。
【0169】
3.リソース展開オプティマイザを開発する別の方法は、様々なコンポーネントに対して他の最適化手法を使用することである。例えば、割り当てオプティマイザ120は、線形計画法フレームワークに代えて、グラフ上の組み合わせ最適化技術に基づいて開発することができる。周波数計画/タイムスロット割り当てジェネレータは、行列割り当て、カバーアレイなどの線形計画法に加えて、他の最適化手法を使用して実施できる。
【0170】
4.MIPおよびLPを解くために、Gurobi以外の他の解法を利用できる。例としては、CPLEX、MOSEKなどがある。
【0171】
結論
1つまたは複数の好ましい実施形態が記載されている。請求項に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0172】
本発明の方法は、オブジェクトコードまたはソースコードなどの様々なフォーマットで格納された実行可能コンピュータソフトウェアのセットで具体化することができる。このようなコードは、単純化するために、プログラミングコード、ソフトウェア、またはコンピュータプログラムとして一般的に説明することができる。本発明の実施形態は、方法ステップの方法でプログラムされたコンピュータプロセッサまたは同様のデバイスによって実行され得るか、またはこれらのステップを実行するための手段を備えた電子システムによって実行され得る。同様に、コンピュータディスケット、ハードドライブ、サムドライブ、CD-ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、または当技術分野で知られている同様のコンピュータソフトウェア記憶媒体などの電子メモリ媒体は、そのような方法ステップを実行するようにプログラムすることができる。
【0173】
全ての引用は、参照により本明細書に組み込まれる。