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▶ クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】二酸化チタン分散体
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20240709BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240709BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240709BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/04
A61K8/37
A61Q17/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021519579
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019076942
(87)【国際公開番号】W WO2020074394
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】1816643.9
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】エイミー ローズ ゴッダード
(72)【発明者】
【氏名】ブヘイブン チャバン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マイケル セイヤー
(72)【発明者】
【氏名】イアン ロバート トゥーリー
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-515662(JP,A)
【文献】特表2018-527315(JP,A)
【文献】微小ビーズを用いたビーズミルにおける凝集ナノ粒子の分散,Journal of the Society of Powder Technology,Vol.41,2004年,pp.578-585
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン粒子前駆体が分散媒体中に分散した分散体であって、分散体中の二酸化チタン粒子はDLSによって測定された数平均ピーク値粒径が600nm超過650nm未満であり、分散体中の二酸化チタン粒子の粒径分布が、二酸化チタン粒子前駆体の粒径分布より狭く、分散体は波長1000nmの赤外線の反射率が45~47.47%である、ただし、数平均ピーク値粒径の測定は、分散体をクロダモール(Crodamol)AB(安息香酸C12-C15アルキル)混合物中の3%のハイパーマー(Hypermer)LP1で希釈(0.1%すなわち50g中に0.05g)することによってサンプルを調製し、そのサンプルを15分間超音波で処理し、使い捨てのプラスチックキュベットに移し、DLS測定機器としてマルバーン・ゼータサイザー・ナノZSを用いて、サンプルからの散乱光強度を分析し、コッペル(Koppel),D.E.「強度相関分光法における高分子多分散性の分析(Analysis of Macromolecular Polydispersity in Intensity Correlation Spectroscopy):キュムラントの方法(The Method of Cumulants)」、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J. Chem. Phys)、57(11)、p.4814-4820、1972に記載されたキュムラントの方法によって数平均ピーク値粒径を算出することによって行う、分散体。
【請求項2】
分散体が分散体の総重量を基準として少なくとも50重量%の二酸化チタン粒子前駆体を含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
二酸化チタン粒子前駆体と分散媒体とを一緒に混合し、混合物を2000~7000rpmの回転速度で粉砕することによって得ることができる請求項1または2に記載の分散体。
【請求項4】
粉砕が水平ビーズミルで行われる、請求項3に記載の分散体。
【請求項5】
分散媒体が有機媒体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項6】
分散媒体が安息香酸C12~C15アルキルを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項7】
ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3およびポリヒドロキシステアリン酸から選択される分散剤をさらに含む請求項1~6のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項8】
分散体中の二酸化チタン粒子は、DLSによって測定され、数ベースのd90粒径と数ベースのd10粒径の差として計算された数ベース粒径分布が、二酸化チタン粒子前駆体より少なくとも2%狭い、請求項1~7のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項9】
N-IR分光光度計によって測定したときに、分散体が、二酸化チタン粒子前駆体の赤外線の反射率と比較して、赤外線の反射率の増加を提供する、請求項1~8のいずれか1項に記載の分散体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の分散体を含むパーソナルケア組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の分散体を調製する方法であって、前記方法は、
a)二酸化チタン粒子前駆体を分散媒体と混合する工程、および
b)混合物を粉砕して分散体を提供する工程
を含む、方法。
【請求項12】
分散体中の二酸化チタン粒子の粒径の分布が二酸化チタン粒子前駆体の粒径の分布より狭い、分散媒体中の前駆体粒子の分散体を調製することによって、二酸化チタン粒子前駆体の赤外線反射特性を改善する方法であって、分散体中の二酸化チタン粒子はDLSによって測定された数平均ピーク値粒径が600nm超過650nm未満であり、分散体は波長1000nmの赤外線の反射率が45~47.47%である、ただし、数平均ピーク値粒径の測定は、分散体をクロダモール(Crodamol)AB(安息香酸C12-C15アルキル)混合物中の3%のハイパーマー(Hypermer)LP1で希釈(0.1%すなわち50g中に0.05g)することによってサンプルを調製し、そのサンプルを15分間超音波で処理し、使い捨てのプラスチックキュベットに移し、DLS測定機器としてマルバーン・ゼータサイザー・ナノZSを用いて、サンプルからの散乱光強度を分析し、コッペル(Koppel),D.E.「強度相関分光法における高分子多分散性の分析(Analysis of Macromolecular Polydispersity in Intensity Correlation Spectroscopy):キュムラントの方法(The Method of Cumulants)」、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J. Chem. Phys)、57(11)、p.4814-4820、1972に記載されたキュムラントの方法によって数平均ピーク値粒径を算出することによって行う、方法。
【請求項13】
特に化粧品組成物において、赤外線を、より具体的にはIRA放射線を減衰させるための、請求項1~9のいずれか1項に記載の分散体の使用。
【請求項14】
UV吸収剤をも含む組成物のSPFを改善するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の分散体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン粒子の分散体およびその製造方法に関する。本発明は、さらに、特に赤外線の減衰のための、パーソナルケア製品における前記分散体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の表面に届く太陽の放射線は、紫外線(UV、波長290~400nm)、可視光(400~760nm)および赤外線(IR、760~4000nm)の3つの主要なスペクトルバンドを含む。赤外線は、IRA(760~1440nm)、IRB(1440~3000nm)およびIRC(3000~4000nm)に細分される。紫外線が皮膚の早期老化に重要な役割を果たし、皮膚癌の発症に寄与する可能性があることはよく知られている。したがって、紫外線からの保護は、エンドユーザーにとって極めて重要である。二酸化チタンは、紫外線の減衰剤として長い間使用されてきた。
【0003】
しかし、地球の表面では、紫外線は太陽の放射線全体の約2%しか占めていない。赤外線は、地球表面で太陽の放射線全体の半分以上を占め、その大部分はIRA放射線である。IRAが可視光や紫外線よりも深く皮膚に浸透することもまた報告されている。従って、赤外線、特にIRA放射線は、紫外線と同様に、皮膚の損傷、特に皮膚の早期老化に重要な役割を果たす可能性があることが理解される。
【0004】
赤外線の重要性と潜在的影響についてのこの理解の高まりは、科学界や消費者界の間でより広く報告されるようになってきている。したがって、赤外線(特にIRA放射線)に対してある程度の保護を提供することができるパーソナルケア製品および化粧品が、エンドユーザーによってますます求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術に関する上記の不利益またはその他の不利益の少なくとも1つに対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、特定の特性および特徴を有する二酸化チタン粒子の使用は、分散体またはスラリーの中に存在するとき、赤外線の有益な減衰を提供することが見いだされた。
【0007】
したがって、本発明の第一の態様によれば、明細書に記載の動的光散乱(DLS)によって測定された強度平均ピーク値粒径または(明細書に記載のDLSによって測定された)数平均ピーク値粒径が0.2~2.0μmの範囲内の二酸化チタン粒子前駆体が分散媒体中に分散した分散体であって、分散体中の二酸化チタン粒子の粒径分布が二酸化チタン粒子前駆体の粒径分布よりも狭いことを特徴とする分散体が提供される。
【0008】
特に化粧品組成物、より具体的には赤外線(より具体的にはIRA放射線)からの保護を提供するための化粧品組成物において赤外線を減衰させるための、本発明の第一の態様の二酸化チタン粒子の分散体の使用もまた提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、本発明の第一の態様の二酸化チタン分散体を含むパーソナルケア組成物が提供される。
【0010】
本発明の別の態様は、分散媒体中の前駆体粒子の分散体を調製することによって、(本明細書に記載のDLSによって測定された)強度平均ピーク値粒径または(本明細書に記載のDLSによって測定された)数平均ピーク値粒径が0.2~2.0μmの範囲内の二酸化チタン粒子前駆体の赤外線反射特性を改善する方法であって、分散体中の二酸化チタン粒子の粒径分布が二酸化チタン粒子前駆体の粒径分布より狭いことを特徴とする方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、
a)二酸化チタン粒子前駆体と分散媒体を混合する工程、および
b)分散体を提供するために混合物を粉砕する工程
を含む本発明の第一の態様の二酸化チタン分散体を調製する方法が提供される。
【0012】
さらに、UV吸収剤をも含む組成物における、SPFブースターとしての、またはSPFを増加させるための、本発明の第一の態様の二酸化チタン分散体の使用を提供する。
【0013】
本明細書に記載の特徴のすべては、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれと組み合わせてもよい。
【0014】
本発明は、本発明の第一の態様の組成物が有利な特性を有するという発明者による決定および認識に部分的に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用されるいかなるより上のまたはより下の量または範囲の限界も独立して組み合わせてもよいことが理解されるであろう。
【0016】
本発明の二酸化チタン粒子前駆体は、塩化物プロセスを使用するなどの標準的な手順によって、または硫酸塩プロセスによって、またはチタンオキシジクロリドまたは有機もしくは無機のチタン酸塩のような適切なチタン化合物の加水分解によって、またはたとえば蒸気状態の酸化可能なチタン化合物の酸化によって調製されてもよい。
【0017】
1つの実施形態では、二酸化チタン粒子前駆体は、イルメナイト、ルチルまたはアナターゼのようなチタン含有鉱石を、不純物を除去するために硫酸または塩酸で処理し、次に、得られた溶液に水または酸化剤を添加して水和したTiOを沈殿させることによって製造してもよい。そのような方法は欧州特許第1580166号明細書に記載されており、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。水和したTiOは、チタンアルコキシドを加水分解することによって製造してもよい。商業上の硫酸プロセスにおいてTiO顔料の中間体として製造されるメタチタン酸は、好ましい出発原料である。
【0018】
二酸化チタン粒子前駆体は1種またはそれ以上の追加の金属または金属化合物を含んでもよい。これらの金属化合物は、アルミニウム、亜鉛およびカリウム化合物、またはそれらの組み合わせから選ばれてもよい。1つの実施形態では、TiO粒子前駆体はアルミニウム、亜鉛およびカリウム化合物(たとえばAl、ZnO、KCO)を含む。
【0019】
金属化合物を含む前駆体粒子は、いかなる適切な方法によって製造されてもよい。好ましくは、前駆体粒子は欧州特許第1580166号明細書に記載された方法によって製造される。金属化合物はいかなる適切な化合物であってもよい。好ましい金属化合物は欧州特許第1580166号明細書に記載されている。TiO粒子前駆体は、好ましくは、アルミニウム化合物をAlとして計算して0.1~0.5重量%、亜鉛化合物をZnOとして計算して0.2~1.0重量%、およびカリウム化合物をKCOとして計算して0.1~0.5重量%含む。
【0020】
代替の実施形態では、二酸化チタン粒子前駆体は、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、銀、スズ、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるドーパント金属でドープされてもよい。ドーパントは、好ましくは、クロム、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、銀およびバナジウムからなる群から選択され、より好ましくはマンガンおよびバナジウムから選択され、特に好ましくはマンガン、そしてとりわけ2+および/または3+状態のものから選択される。
【0021】
ドーピングは、当技術分野で知られている通常の方法によって行うことができる。ドーピングは、好ましくは、二酸化チタンと、塩化マンガンまたは酢酸マンガンのような可溶性のドーパント複合体との共沈によって達成される。あるいは、ドーピングは、500℃より高く、通常1,000℃までの温度で、ドーパント複合体(たとえば硝酸マンガン)の存在下でチタン複合体を加熱することによる焼成技術によって行うことができる。ドーパントは、チタン複合体とドーパント複合体(たとえば酢酸マンガン)を含む混合物を、噴霧機によって酸化室の中に噴霧するなどの方法によって、混合物を酸化させることによって添加することもできる。
【0022】
ドープされた二酸化チタン粒子は、ドーパント金属を、好ましくはマンガンを、二酸化チタンの重量を基準として、好ましくは0.01~3重量%、より好ましくは0.05~2重量%、さらに好ましくは0.1~1重量%、そして特に好ましくは0.5~0.7重量%の範囲で含む。
【0023】
本発明の二酸化チタン粒子前駆体は、好ましくは、アナターゼおよび/またはルチル結晶形を含む。粒子中の二酸化チタンは、適切には、大部分がルチルであり、好ましくは70重量%を超える、より好ましくは80重量%を超える、さらに好ましくは90重量%を超える、特に好ましくは95重量%を超え100重量%までのルチルを含む。さらに、二酸化チタン粒子前駆体は、非晶質の二酸化チタンを、好ましくは10%重量未満、より好ましくは5重量%未満、特に好ましくは2重量%未満含む。残りの二酸化チタン(すなわち100%まで)は、結晶質状態にある。1つの実施形態では、粒子中の二酸化チタンは好ましくは実質的にすべて結晶質状態にある。
【0024】
1つの実施形態では、本明細書に記載の二酸化チタン粒子前駆体は好ましくは焼成される。二酸化チタン粒子前駆体は、600℃より高い、適切には700~1500℃の範囲の、好ましくは800~1400℃の、より好ましくは850~1200℃の、そして特に好ましくは900~1100℃の温度で焼成されてもよい。
【0025】
二酸化チタン粒子前駆体は、好ましくは、0.3~1.7μmの、好ましくは0.4~1.4μmの、より好ましくは0.5~1.2μmの、望ましくは0.6~1.0μmの、そして特に好ましくは0.7~0.9μmの範囲内の(本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定された)強度平均ピーク値粒径を有する。
【0026】
二酸化チタン粒子前駆体は、好ましくは、0.3~1.7μmの、好ましくは0.4~1.4μmの、より好ましくは0.5~1.2μmの、望ましくは0.6~1.0μmの、そして特に好ましくは0.7~0.9μmの範囲内の(本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定された)数平均ピーク値粒径を有する。
【0027】
二酸化チタン粒子前駆体は、好ましくは、0.1~10m-1の、適切には0.5~8m-1、好ましくは1.0~6m-1、より好ましくは1.5~5m-1、さらに好ましくは2.0~4m-1、そして特に好ましくは2.2~3.2m-1の範囲内の本明細書に記載されるように測定されたBET比表面積を有する。
【0028】
二酸化チタン粒子前駆体は、好ましくは、
(i)水銀ポロシメトリーによって本明細書に記載されるように測定された平均細孔径が、0.01~10μm、適切には0.05~8μm、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.2~4μm、さらに好ましくは0.3~3μm、そして特に好ましくは10.4~1μmであり、および/または
(ii)水銀ポロシメトリーによって本明細書に記載されるように測定された59,950psiaでの総細孔面積が、0.1~20m-1、適切には0.5~15m-1、好ましくは1~10m-1、より好ましくは1.5~7m-1、さらに好ましくは2~5m-1、そして特に好ましくは2.5~3.5m-1であり、および/または
(iii)水銀ポロシメトリーによって本明細書に記載されるように測定された0.33psiaでのかさ密度が、1.05~1.70g/mL、好ましくは1.15~1.60g/mL、より好ましくは1.25~1.50g/mL、そして望ましくは1.35~1.40g/mLであり、および/または
(iv)水銀ポロシメトリーによって本明細書に記載されるように測定された59950psiaでの見掛け密度が、2.50~3.30g/mL、好ましくは2.60~3.20g/mL、より好ましくは2.70~3.10g/mL、そして望ましくは2.80~3.00g/mLであり、および/または
(v)水銀ポロシメトリーによって本明細書に記載されるように測定された細孔率が、40~65%、好ましくは45~60%、より好ましくは47~57%、望ましくは49~55%、そして特に好ましくは51~53%である。
【0029】
本発明の1つの実施形態では、本発明の二酸化チタン粒子前駆体は、無機および/または有機被膜で被覆される。ドープされた二酸化チタン粒子は、被覆されていなくてもよい、すなわち本質的に二酸化チタンとドーパントからなるものでもよい。
【0030】
存在するときは、無機被膜は、好ましくは、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素の酸化物、またはそれらの混合物(たとえばアルミナおよびシリカ)である。無機被膜(好ましくはアルミナおよび/またはシリカ)の量は、二酸化チタンコア(すなわち被覆されていない)粒子の重量を基準として、適切には、1~15重量%、好ましくは3~8重量%、より好ましくは4~6重量%、さらに好ましくは4.5~5.5重量%、そして特に好ましくは4.8~5.2重量%である。
【0031】
本発明の1つの実施形態では、二酸化チタン粒子前駆体は疎水性である。二酸化チタン前駆体の疎水性は、当技術分野で知られている標準的な手法によって、二酸化チタン粉末のディスクをプレスし、その上に置かれた水滴の接触角を測定することによって測定することができる。疎水性の二酸化チタンの接触角は、好ましくは50°より大きい。
【0032】
二酸化チタン粒子前駆体は、それらを疎水性にするために、疎水化剤で被覆することができる。適切な被覆物質は、好ましくは有機の、撥水剤であり、脂肪酸、好ましくは10~20個の炭素原子を含む脂肪酸(たとえばラウリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸)、上記の脂肪酸の塩(たとえばナトリウム、カリウムおよび/またはアルミニウム塩)、ステアリルアルコールのような脂肪族アルコール、ならびにポリジメチルシロキサンおよび置換されたポリジメチルシロキサンのようなシリコーン、ならびにメチルヒドロシロキサンおよびそのポリマーおよびコポリマーのような反応性シリコーンが挙げられる。ステアリン酸および/またはその塩が特に好ましい。
【0033】
1つの実施形態では、二酸化チタン粒子前駆体は、二酸化チタンコア粒子の重量を基準として、15重量%以下、適切には0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは1~5重量%の脂肪酸で処理される。
【0034】
1つの実施形態では、被膜層は、シランカップリング剤を、好ましくはオルガノシランを、より好ましくは一般式(1)のオルガノシランを含む。
4-n-Si-[L-Y] (1)
ただし、
Yは官能基であり、
Xは加水分解性基であり、
Lは連結基であり、
mは0または1、好ましくは1であり、そして
nは1または2、好ましくは1である。
【0035】
したがって、好ましいシランカップリング剤は、一般式X-Si-L-Yを有する。少なくとも1つの官能基(Y)は、たとえば、メチル、エチル、ビニル、カルボキシル、グリシドキシ、エポキシ、グリシジル、アミノ、メルカプト、アクリルおよびメタクリル基からなる群から選択されてもよい。官能基は、好ましくは窒素原子を含み、より好ましくはアミン基である。アミン基は、一級の基でもよいし、二級の基でもよいし、三級の基でもよいし、四級の基でもよく、好ましくは一級のアミン基である。
【0036】
好ましいアミン基は、適切には、式-NR(ただし、各Rは、別々に、水素、低級(すなわちC1-C6)アルキル、アリール、低級アルキルアリール、低級アリールアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレンおよびシクロアルキレンからなる群から選択される基であるか、または前記基を含む。)の基である。好ましい実施形態では、各Rは、別々に、水素および直鎖または分岐のC1-C6アルキル基からなる群から選択され、より好ましくは水素およびC1-C4アルキル基からなる群から選択され、そして特に好ましくは両方のR基が水素である。
【0037】
少なくとも1つの加水分解性基(X)は、-OR、-Cl、-Br、-Iであってもよく、好ましくは-ORであり、ただし各Rは、別々に、水素、低級(すなわちC1-C6)アルキル、アリール、低級アルキルアリール、低級アリールアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレンおよびシクロアルキレンからなる群から選択される基であるか、または前記基を含む。好ましくは、各Rは、別々に、水素および直鎖または分岐のC1-C6アルキル基からなる群から選択され、より好ましくはC1-C4アルキル、さらに好ましくはC1-C2アルキル基、そして特に好ましくはエチル基である。
【0038】
随意の連結基(L)は、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレンおよび/またはシクロアルキレン基を含んでもよいし、前記基からなってもよい。連結基は、好ましくは直鎖または分岐のC1-C6アルキレン基であり、より好ましくはC1-C4アルキレン基であり、そして特に好ましくはC3アルキレン基すなわちプロピル基である。
【0039】
適切なシランカップリング剤の具体例には、メチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリアルコキシシランおよびジフェニルジアルコキシシランのようなフェニルアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシランおよびジメチルジエトキシシランのようなジアルキルジアルコキシシラン、四級シランならびにアミノシランが含まれる。
【0040】
アミノシランが好ましく、適切な物質としては、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノイソブチルトリメトキシシランおよびアミノブチルトリエトキシシランが挙げられる。特に好ましいアミノシランは、アミノプロピルトリエトキシシラン(NH-CHCHCH-Si-[OCHCH)である。
【0041】
被膜層中に存在するシランカップリング剤またはその反応生成物の量は、二酸化チタンコア粒子の重量を基準として、適切には15重量%以下、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.3~7重量%、そして特に好ましくは0.5~3.5重量%である。
【0042】
シランカップリング剤は、無機物質および/または脂肪酸(両方とも本明細書で定義される。)と組み合わせて被膜層で適切に使用される。無機物質は適切にはシリカであり、好ましくは非晶質であり、より好ましくは高度に水和された形態である、すなわち高い割合のヒドロキシル基を含む。シリカは、好ましくは、緻密なシリカの形態ではない。脂肪酸は、好ましくは、ステアリン酸および/またはその塩である。
【0043】
適切には、二酸化チタンコア粒子は、無機物質(好ましくはシリカ)で被覆され、水の中に分散され、50~80℃の範囲の温度に加熱され、その後、シランカップリング剤が加えられ、それは無機物質の表面および/または二酸化チタンコア粒子の表面と反応する。脂肪酸および/またはその塩は、好ましくは、無機物質およびシランカップリング剤の後に適用される。
【0044】
二酸化チタン粒子前駆体は、いかなる焼成段階の前に被覆されてもよいし、いかなる焼成段階の後に被覆されてもよい。好ましい実施形態では、いかなる被膜も、いかなる焼成段階の後に粒子に適用される。したがって、被覆されていない二酸化チタン粒子前駆体が、本明細書に記載された焼成プロセスに供されることが好ましい。
【0045】
1つの実施形態では、二酸化チタン粒子前駆体は、本発明の分散体の形成中に、その場で被覆される。そのような被膜は、本明細書に記載されるような粉砕プロセスの前に分散体混合物に被覆物質を加えることによって適用されてもよい。その場での被覆プロセスのために適した物質の例は、イソステアリン酸、オレス-3ホスファート、オクチル/デシルホスファート、セトレス-5ホスファート、PPG-5-セテス-10ホスファート、トリデセス-5ホスファート、ドバノールC12-C15ホスファート、C9-C15アルキルホスファート、グリセリルトリアセタート、ソルビタンラウラート、ソルビタンイソステアラート、ナトリウムラウリルスルファート、ナトリウムメチルココイルタウラートおよびそれらの混合物である。
【0046】
二酸化チタン粒子前駆体は、いかなる適切な水性または有機液体媒体(「分散媒体」)中で、スラリーまたは好ましくは液体分散体に形成されてもよい。液体とは周囲温度(たとえば25℃)で液体を意味し、分散体とは真の分散体すなわち固形粒子が凝集に対して安定であることを意味する。分散体中の粒子は比較的均一に分散しており、放置時に沈降しにくいが、いくらかの沈降が発生した場合には、粒子は単純な攪拌によって容易に再分散させることができる。
【0047】
あるいは、二酸化チタン粒子は、固体および/または半固体の分散体のローションまたはクリームの形態であってもよい。適切な固体または半固体の分散体は、たとえば50~90重量%、好ましくは60~85重量%の二酸化チタン粒子を、本明細書に開示した任意の1つまたはそれ以上の分散媒体、またはワックス(たとえばモノステアリン酸グリセリン)のような高分子量ポリマー物質と一緒に含んでもよい。
【0048】
化粧品に使用するためには、化粧品として許容し得る物質が分散媒体として好ましい。分散媒体は、水でもよいし、液体、たとえば植物油、脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステルおよび/または脂肪族アルコールのような有機媒体でもよい。分散媒体として適切な1つの有機媒体は、シロキサン流体、特にシクロメチコンとして知られているジメチルシロキサンの環式五量体のような環式オリゴマージアルキルシロキサンである。分散媒体として適切な代替流体には、適切な流動性を有するジメチルシロキサン直鎖オリゴマーまたはポリマーおよび(フェニルトリメチコンとしても知られている)フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シランが含まれる。
【0049】
分散媒体として使用するのに適した他の有機媒体の例としては、C13-C14イソパラフィン、イソヘキサデカン、流動パラフィン(鉱油)、スクアラン、スクアレン、水素化ポリイソブテンおよびポリデセンのような無極性の物質;および安息香酸C12-C15アルキル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル、PPG-15ステアリルエーテル、トリエチルヘキシルトリグリセリド、炭酸ジカプリリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヘリアンサス・アナス(ヒマワリ)種子油、パルミチン酸イソプロピル、およびネオペンタン酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキシルココエート、プロピレングリコールイソステアラート、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン、コハク酸ジエトキシエチル、エイコサン酸カプリリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、乳酸ラウリル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、ペンタエリトリチルテトラカプリラート/テトラカプラート、オレイン酸オレイル、プロピレングリコールイソセテス-3アセタート、PPG-3ベンジルエーテルミリスタート、エチルヘキサン酸セテアリル、ペラルゴン酸エチルヘキシル、PPG-2ミリスチルエーテルプロピオナート、エチルヘキサン酸C14-18アルキルおよびそれらの混合物のような極性の物質が挙げられる。分散媒体は、安息香酸C12-C15アルキル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、トリイソステアリン、オレイン酸エチルまたはジカプリリルエーテルを含んでもよく、好ましくは、分散媒体は、安息香酸C12-C15アルキル、イソステアリン酸イソステアリルまたはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含み、より好ましくは安息香酸C12-C15アルキルまたはイソステアリン酸イソステアリルを含み、特に好ましくは安息香酸C12-C15のアルキルを含む。
【0050】
分散媒体は植物油または野菜油を含んでもよく、好ましくは、分散媒体はスイートアーモンド油、オリーブ油、アボカド油、ブドウ種子油、ひまわり油、メドウフォーム種子油またはニンジン油を含む。
【0051】
本発明の分散体は、その特性を改善するために、分散剤をも含んでもよい。分散剤は、適切には、二酸化チタン粒子の総重量を基準として、0.01~15重量%、好ましくは0.05~10重量%、より好ましくは0.08~5重量%、そして特に好ましくは0.1~3重量%の範囲で存在する。驚くべきことに、本発明の二酸化チタン粒子前駆体の使用が、より小さい二酸化チタン粒子の真の分散体を調製するのに必要な濃度と比較したときに、分散媒体中の前駆体粒子の真の分散体を製造するのに必要な分散剤の濃度を減少させることが、見いだされた。
【0052】
適切な分散剤としては、置換されたカルボン酸、石鹸塩基およびポリヒドロキシ酸が挙げられる。典型的には、分散剤は式R.CO.AXを有するものであることができる。ただし、AはOのような2価の原子または2価の架橋基である。Xは、水素もしくは金属カチオン、または一級、二級もしくは三級アミノ基またはそれらと酸の塩または第四級アンモニウム塩基であることができる。Rは、-CO-基と共に、式HO-R′-COOHのヒドロキシカルボン酸から誘導されるポリエステル鎖の残基であってもよい。典型的な分散剤の例としては、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸に加えて少量のステアリン酸を含む硬化ヒマシ油脂肪酸およびパルミチン酸に基づくものがある。ヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシ基がないカルボン酸の1つまたはそれ以上のポリエステルまたは塩に基づく分散剤も使用することができる。様々な分子量の化合物を使用することができる。ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3およびポリヒドロキシステアリン酸は好ましい分散剤である。二酸化チタン粒子の被膜層が本明細書に定義されるようなシランカップリング剤を含む場合、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3が特に好ましい。二酸化チタン粒子の被膜層がシランカップリング剤を含まない場合、ポリヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
【0053】
他の適切な分散剤は、脂肪酸アルカノールアミドとカルボン酸のモノエステルおよびその塩である。適切なアルカノールアミドとしては、たとえば、エタノールアミン、プロパノールアミンまたはアミノエチルエタノールアミンに基づくものが挙げられる。分散剤は商業的に超分散剤と呼ばれるものの1つであることができる。ポリヒドロキシステアリン酸は有機媒体における特に好ましい分散剤である。
【0054】
水性媒体で使用されるのに適した分散剤としては、アクリル酸ポリマーまたはその塩が挙げられる。部分的にまたは完全に中和された塩、たとえばアルカリ金属塩やアンモニウム塩が使用可能である。分散剤の例としては、ポリアクリル酸、置換されたアクリル酸ポリマー、アクリル酸のコポリマー、ポリアクリル酸のナトリウムおよび/またはアンモニウム塩ならびにアクリル酸のコポリマーのナトリウムおよび/またはアンモニウム塩である。そのような分散剤は、ポリアクリル酸自体およびそのナトリウムまたはアンモニウム塩ならびに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などのアクリル酸とスルホン酸誘導体のような他の適切なモノマーとのコポリマーによって代表される。アクリル酸または置換されたアクリル酸と重合可能なコモノマーは、カルボキシル基を含むものであることもできる。通常、水性媒体で使用される分散剤は、1,000~10,000Daの範囲の分子量を有し、好ましくは実質的に線状分子である。クエン酸ナトリウムのような物質も共分散剤として使用されてもよい。
【0055】
本発明の分散体は、また、その特性を改善するために、増粘剤をも含んでもよい。増粘剤は、適切には、分散体の総重量を基準として、0.01~10重量%、好ましくは0.05~8重量%、より好ましくは0.08~5重量%、さらに好ましくは0.1~3重量%、そして特に好ましくは0.3~1重量%の範囲で存在する。
【0056】
適切な増粘剤としては、Thixcin R、ヒュームドシリカ、Span 120、Arlacel 1690、Versathix、Procas H3、Bentone Gel TN、Cithrol DPHS、Bentone Gel IHD V、Hypermer B2465F、Hypermer KD14、Atlox 4912、Syncrowax ORM、Syncrowax OSW、Oleocraft LP-20、Oleocraft MP-30、Oleocraft HP-31、Oleocraft MP-32、Atlox 4916、Zephrym PD2206、Bentone 1000、Bentone SD-2およびSucragel CFが挙げられる。
【0057】
本発明の利点は、分散体の総重量を基準として、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも65重量%の、そして通常85重量%以下の二酸化チタン粒子前駆体を適切に含む分散体(特に液体)を製造することができることである。
【0058】
好ましい実施形態では、本発明の分散体は、二酸化チタン粒子前駆体と分散媒体を一緒に混合し、混合物を攪拌し、そして混合物を粉砕することによって調製される。
【0059】
所望により、分散剤を使用する場合、分散体を調製する方法は分散剤を加える工程をも含む。存在するときは、分散剤は、好ましくは、二酸化チタン粒子前駆体と同時に分散媒体に加えられる。
【0060】
混合物は、好ましくは、好ましくは粉砕媒体を含む水平ビーズミルを使用して粉砕される。ミルは、好ましくは、2000~7000rpm、より好ましくは3000~6000rpm、そして特に好ましくは4000~5000rpmの回転速度で操作される。
【0061】
粉砕媒体は、いかなる適切なビーズであってもよく、限定するものではないが、たとえば、ガラス、ジルコニアまたは鋼鉄ビーズであり、より好ましくはジルコニアビーズが粉砕媒体として使用される。
【0062】
本発明の分散体中の二酸化チタン粒子のサイズは、光散乱に基づく手法によって測定することができる。この機能がサイズを得るのに適当な場合には、(i)1つの全面的な平均粒子サイズを与えるキュムラント(またはZ平均)平均粒径、および(ii)散乱光の強度に基づく平均サイズを与えるピークサイズを決定するアルゴリズムを使用して、散乱光の強度を測定する。強度値は粒子サイズ分布データを与えるためにも使用することができ、またはミー(Mie)理論を使用して、数または体積分布に変換することができる。この分布は、それらの散乱(強度)に基づいてではなく、それらの質量または体積に基づいて、サンプル中の多数の成分の相対的な割合を記述する。本出願では、光散乱測定は、本明細書に記載された方法に従って動的光散乱(DLS)によって測定される。
【0063】
1つの実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載した方法に従ってDLSによって測定された強度ベース平均ピーク値粒子サイズが、(i)400nmより大きく、適切には450nmより大きく、より適切には500nmより大きく、好ましくは550nmより大きく、より好ましくは600nmより大きく、そして特に好ましくは650nmより大きく、および/または(ii)1000nm未満、適切には950nm未満、より適切には900nm未満、好ましくは850nm未満、より好ましくは800nm未満、そして特に好ましくは750nm未満であり、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0064】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体のそれよりも小さい強度ベース平均ピーク値粒子サイズを示す。好ましくは、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定したときに、分散体中の二酸化チタン粒子は、二酸化チタン粒子前駆体よりも少なくとも2%小さい、好ましくは少なくとも3.5%小さい、好ましくは少なくとも5%小さい、より好ましくは少なくとも7.5%小さい、望ましくは少なくとも9%小さい、そして特に好ましくは少なくとも12%小さい強度ベース平均ピーク値粒子サイズを示す。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む)の、測定された強度ベース平均ピーク値粒子サイズの%差を決定することによって計算される。
【0065】
1つの実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載のDLSによって測定された強度ベースのメジアン粒子サイズ(d50粒子サイズ)が、(i)0.4μmよりも大きく、適切には0.45μmよりも大きく、より適切には0.50μmよりも大きく、好ましくは55μmよりも大きく、より好ましくは0.60μmよりも大きく、さらに好ましくは0.62μmよりも大きく、そして特に好ましくは0.65μmよりも大きく、および/または(ii)0.73μm未満、適切には0.72μm未満、より適切には0.71μm未満、好ましくは0.70μm未満、より好ましくは0.69μm未満、そして特に好ましくは0.68μm未満であり、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0066】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体よりも小さい強度ベースd50粒子サイズを示す。好ましくは、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定したときに、分散体中の二酸化チタン粒子は、二酸化チタン粒子前駆体よりも少なくとも3.5%小さい、好ましくは少なくとも5%より小さい、好ましくは少なくとも7.5%より小さい、より好ましくは少なくとも10%より小さい、そして特に好ましくは少なくとも13%小さい強度ベースd50粒子サイズを示す。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の、測定された強度ベースd50粒子サイズの%差を測定することによって計算される。
【0067】
分散体中の二酸化チタン粒子のサイズ分布は重要である可能性がある。好ましい実施形態では、(i)分散体中の二酸化チタン粒子の数の10%未満が、強度ベースメジアン粒子サイズ(d50)を275nm超、適切には270nm超、より適切には265nm超、好ましくは260nm超、より好ましくは255nm超、特に好ましくは250nm超を下回る強度ベース粒子サイズ(d10粒子サイズ)を有し、および/または(ii)分散体中の二酸化チタン粒子の数の90%超が、強度ベースメジアン粒子サイズ(d50)を455nm未満、適切には450nm未満、より適切には445nm未満、好ましくは440nm未満、より好ましくは435nm未満、そして特に好ましくは430nm未満上回る強度ベース直径(d90粒子サイズ)を有し、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0068】
好ましくは、(d90粒子サイズとd10粒子サイズの差として得られる)強度ベース粒子サイズ分布の幅は、200~730nm、好ましくは250~720nm、好ましくは250~710nm、より好ましくは300~700nm、望ましくは300~690nm、そして特に好ましくは400~680nmである。
【0069】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体よりも狭い強度ベース粒子サイズ分布を示す。好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定し、強度ベースd90粒子サイズと強度ベースd10粒子サイズの差として計算した強度ベース粒子サイズ分布が、二酸化チタン粒子前駆体よりも、少なくとも1.5%狭く、好ましくは少なくとも2.8%狭く、好ましくは少なくとも4%狭く、より好ましくは少なくとも5.5%狭く、望ましくは少なくとも6.8%狭く、そして特に好ましくは少なくとも8%狭い。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、測定された粒子サイズ分布の減少の%を決定することによって計算される。
【0070】
1つの実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定された数平均ピーク値粒子サイズが、(i)350nmより大きく、適切には400nmより大きく、より適切には450nmより大きく、好ましくは500nmより大きく、より好ましくは550nmより大きく、そして特に好ましくは600nmより大きく、および/または(ii)900nm未満、適切には850nm未満、より適切には800nm未満、好ましくは750nm未満、より好ましくは700nm未満、そして特に好ましくは650nm未満であり、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0071】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体よりも小さい数平均ピーク値粒子サイズを示す。好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される数平均ピーク値粒子サイズが、二酸化チタン粒子前駆体よりも少なくとも3%小さく、好ましくは少なくとも5%小さく、好ましくは少なくとも7%小さく、より好ましくは少なくとも10%小さく、望ましくは少なくとも13%小さく、そして特に好ましくは少なくとも16%小さい。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、測定された数ベース平均ピーク値粒子サイズの差の%を決定することによって計算される。
【0072】
1つの実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載のDLSによって測定される数ベースメジアン粒子サイズ(d50粒子サイズ)が、(i)0.30μm超、適切には0.35μm超、より適切には0.40μm超、好ましくは45μm超、より好ましくは0.50μm超、さらに好ましくは0.53μm超、そして特に好ましくは0.56μm超であり、および/または(ii)0.72μm未満、適切には0.70μm未満、より適切には0.67μm未満、好ましくは0.63μm未満、より好ましくは0.60μm未満、そして特に好ましくは0.58μm未満であり、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0073】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体よりも小さい数ベースd50粒子サイズを示す。好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される数ベースd50粒子サイズが、二酸化チタン粒子前駆体よりも少なくとも5%小さく、好ましくは少なくとも7.5%小さく、好ましくは少なくとも10%小さく、より好ましくは少なくとも12.5%小さく、望ましくは少なくとも15%小さく、そして特に好ましくは少なくとも18%小さい。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、測定された数ベースd50粒子サイズの差の%を決定することによって計算される。
【0074】
分散体中の二酸化チタン粒子のサイズ分布は重要である可能性がある。好ましい実施形態では、(i)分散体中の二酸化チタン粒子の数の10%未満が、数ベースメジアン粒子サイズ(d50)を275nm超、適切には270nm超、より適切には265nm超、好ましくは260nm超、より好ましくは255nm超、そして特に好ましくは250nm超、下回る数ベース粒子サイズ(d10粒子サイズ)を有し、および/または(ii)分散体中の二酸化チタン粒子の数の90%超が、数ベースメジアン粒子サイズ(d50)を455nm未満、適切には450nm未満、より適切には445nm未満、好ましくは440nm未満、より好ましくは435nm未満、そして特に好ましくは430nm未満、上回る数ベース直径(d90粒子サイズ)を有し、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせである。
【0075】
好ましくは、(d90粒子サイズとd10粒子サイズとの差として得られる)数ベース粒子サイズ分布の幅は、200~770nm、好ましくは250~760nm、好ましくは250~745nm、より好ましくは300~730nm、望ましくは300~715nm、そして特に好ましくは400~700nmにである。
【0076】
好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、分散体を調製するために使用される二酸化チタン粒子前駆体よりも狭い数ベース粒子サイズ分布を示す。好ましくは、分散体中の二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定され、数ベースd90粒子サイズと数ベースd10粒子サイズとの差として計算された数ベース粒子サイズ分布が、二酸化チタン粒子前駆体より少なくとも2%狭い、好ましくは少なくとも3.5%狭い、好ましくは少なくとも5%狭い、より好ましくは少なくとも7%狭い、より好ましくは少なくとも8.5%小さい、望ましくは少なくとも10%狭い、そして特に好ましくは少なくとも12%狭い。%差は、本明細書に記載の方法に従ってDLSによって測定される、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、測定された粒子サイズ分布の減少の%を決定することによって計算される。
【0077】
本発明の二酸化チタン分散体は、好ましくは、許容し得る透明度を示し、本明細書に記載されるように測定される、524nmでの吸光係数(E524)が、(i)5.0L/g/cm以下、適切には4.0L/g/cm以下、より好ましくは3.2L/g/cm以下、そして特に好ましくは2.6L/g/cm以下であってもよく、および/または(ii)1.5L/g/cm以上、適切には1.8L/g/cm以上、より好ましくは2.0L/g/cm以上、そして特に好ましくは2.2L/g/cm以上であってもよく、および/または(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせであってもよい。
【0078】
本発明の二酸化チタン分散体は、好ましくは、N-IR分光光度計によって本明細書に記載されるように測定したときに、
(i)波長1000nmの赤外線の反射率が、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも40%、そして特に好ましくは少なくとも45%であり、そして一般に80%以下であり、および/または
(ii)波長1200nmの赤外線の反射率が、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、そして特に好ましくは少なくとも40%であり、そして一般に80%以下であり、および/または
(iii)波長1400nmの赤外線の反射率が、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、そして特に好ましくは少なくとも40%であり、そして一般に80%以下である。
【0079】
二酸化チタン分散体は、好ましくは、赤外線の反射率が、N-IR分光光度計によって本明細書に記載されるように測定したときに、二酸化チタン粒子前駆体の反射率と比較して、
(i)1000nmの波長で、少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%、より好ましくは少なくとも6%、望ましくは少なくとも8%、そして特に好ましくは少なくとも10%高く、および/または
(ii)1200nmの波長で、少なくとも2.5%、好ましくは少なくとも4.5%、より好ましくは少なくとも7%、望ましくは少なくとも10%、そして特に好ましくは少なくとも13%高く、および/または
(iii)1400nmの波長で、少なくとも2%、好ましくは少なくとも4.5%、より好ましくは少なくとも7%、望ましくは少なくとも10%、そして特に好ましくは少なくとも12%高い。
IR反射率の%差は、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、各々の波長で測定されるIR反射率の増加の%を決定することによって計算される。
【0080】
本発明の二酸化チタン分散体は、好ましくは、本明細書に記載の方法に従ってハイドロサン(Hydrosun)赤外線ランプを使用して測定したときに、700nm~1400nmの波長の赤外線の透過を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%、そして特に好ましくは少なくとも25%防止し、そして一般に80%以下防止する。「透過の防止」とは、反射率および/または吸光度を含む任意の手段によってサンプルを通過する放射線の防止を意味する。
【0081】
本発明の二酸化チタン分散体は、好ましくは、本明細書に記載の方法に従ってハイドロサン赤外線ランプを使用して測定したときに、二酸化チタン粒子前駆体と比較して、780nm~1400nmの波長の赤外線の透過を、少なくとも25%多く、好ましくは少なくとも35%多く、より好ましくは少なくとも45%多く、望ましくは少なくとも55%多く、防止する。IR透過率の差は、本発明の二酸化チタン分散体と二酸化チタン粒子前駆体の類似した撹拌された懸濁液(ただし、分散体と懸濁液は両方とも同じ固体濃度の二酸化チタンを含む。)の間の、測定されたIR透過率の増加の%を決定することによって計算される。
【0082】
1つの実施形態では、本発明の二酸化チタン分散体を含む組成物、好ましくはパーソナルケア組成物、より好ましくは最終用途のスキンまたはヘアケア組成物は、分散体中に二酸化チタン固体を、組成物の総重量を基準として、好ましくは0.1%より多く、より好ましくは0.1~20%、さらに好ましくは0.5~15%、そして特に好ましくは1~10重量%含む。
【0083】
本発明の二酸化チタン分散体は、化粧品組成物(特に水中油型または油中水型乳濁液の形態のもの)を調製するための成分として有用である。組成物は、さらに、日焼け止め、化粧、スキンケアおよびヘアケア組成物で使用される従来の化粧品成分のような意図した用途での使用に適した従来の添加剤を含んでもよい。本発明の二酸化チタン分散体は、化粧品組成物中に存在する唯一の赤外線減衰剤であってもよい。あるいは、他の赤外線減衰剤が組成物中に存在してもよい。
【0084】
1つの実施形態では、他の二酸化チタン、酸化亜鉛および/または他の有機UV吸収剤のような1つまたはそれ以上の日焼け止め剤またはUV吸収剤もまた、全スペクトル太陽放射線またはUVおよびIRを減衰させる組成物を提供するために添加されてもよい。たとえば、本明細書で定義された二酸化チタン分散体は、他の既存の市販の二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛日焼け止めと組み合わせて使用されてもよい。
【0085】
本発明の二酸化チタン分散体は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)、4-メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)、ベンゾフェノン-4(スリソベンゾン)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(ベモトリジノール)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホナート、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルジメチルPABA(パディメートO)、メトキシけい皮酸エチルヘキシル(オクチノキサート)、サリチル酸エチルヘキシル(オクチサレート)、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサラート、p-メトキシけい皮酸イソアミル(アミロキサート)、メトキシけい皮酸イソプロピル、アントラニル酸メンチル(メラディメート)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビソクトリゾール)、オクトクリレン、PABA(アミノ安息香酸)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、およびそれらの混合物のような有機UV吸収剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0086】
UV減衰剤または日焼け止めは、使用されるときは、好ましくは、化粧品組成物の総重量の0.5%~25%、より好ましくは1~20%、そして特に好ましくは2~15重量%の範囲の濃度で存在する。好ましくは、UV減衰剤は、存在するときは、本発明の二酸化チタン分散体よりも高い濃度で存在する。
【0087】
本発明の二酸化チタン分散体は、適切には、UV吸収剤と組み合わせて存在するときは、日焼け止め組成物中のSPFブースターとして使用されてもよい。驚くべきことに、本発明の二酸化チタン分散体がUV吸収剤のSPF効果を改善することができることが見いだされた。
【0088】
好ましくは、本発明の二酸化チタン粒子は、UV吸収剤を含む日焼け止め組成物におけるSPFブースト効果が、二酸化チタン分散体が存在しない組成物で測定されるSPFを基準として、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも18%、望ましくは少なくとも25%であり、そして80%以下である。SPFブースト効果は、UV吸収剤および本発明の二酸化チタン分散体を含む日焼け止め組成物と本発明の二酸化チタン分散体を含まない類似の日焼け止め組成物との間の測定されたSPFの増加の%を決定することによって計算される。
【0089】
UV減衰剤は、存在する場合、N-IR反射率または780~1400nmの波長の赤外線の透過防止に関して、本発明の二酸化チタン分散体の性能に悪影響を及ぼさないことも有利に発見された。
【0090】
本発明の化粧品組成物において、乳濁液の油相は少なくとも1種のエステル油、植物油、アルコール、パラフィン油またはシリコーンを含んでもよい。
【0091】
適切な油相成分としては、無極性油、たとえば鉱油、パラフィン油、特にクローダ(Croda)によってArlamol(商標)HDとして販売されているもののようなイソパラフィン油;または中間極性油、たとえばホホバ油のような植物エステル油、植物グリセリド油、クローダ(Croda)によってCrodamol(商標)GTCC(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)として販売されているもののような動物グリセリド油、合成石油、たとえばパルミチン酸イソプロピルおよびクローダ(Croda)によってCrodamol IPPおよびArlamol DOAとして販売されているもののような合成エステル油、エーテル油、特にBASFによってCetiol OEとして販売されているもの(ジカプリルエーテル)のような2つの脂肪族、たとえばC8~C18アルキル残基のエーテル油、BASFによってEutanol Gとして販売されているもの(オクチルドデカノール)のようなゲルベアルコール、またはダウコーニング(Dow Corning)によってXiameter PMX-200として販売されているもののようなジメチコン油、シクロメチコン油、もしくはそれらの親水性を改善するためにポリオキシアルキレン側鎖を有するシリコーンのようなシリコーン油;またはアルコキシラート皮膚軟化剤、たとえばクローダ(Croda)によってArlamol PS15Eとして販売されているもの(プロポキシル化ステアリルアルコール)のような脂肪族アルコールプロポキシラートを含む高極性油が挙げられる。周囲温度では固体であるが、本発明の組成物を作るために典型的に使用される温度では液体であることができる適切な皮膚軟化剤物質は、ホホバワックス、獣脂およびココナッツワックス/油を含む。無極性油を使用するときは、適切に満足な乳化を達成するためには、特に小さい油滴を得るためには、比較的高濃度の本発明の組成物を使用することが望ましいかもしれない。
【0092】
皮膚軟化剤の混合物を使用することができ、しばしば使用されるであろう。場合によっては、固体の皮膚軟化剤を液体の皮膚軟化剤に完全にまたは部分的に溶解させてもよく、または組み合わせて混合物の凝固点を適切に低くしてもよい。皮膚軟化剤組成物が(脂肪族アルコールのような)周囲温度で固体である場合、得られる分散体は、技術的には乳濁液ではないかもしれない(ほとんどの場合、油性分散相の正確な相は容易には決定することができないが)。しかし、そのような分散体はあたかもそれらが真の乳濁液であるかのように振る舞い、乳濁液という用語はそのような組成物を含むように本明細書では使用される。
【0093】
油相の濃度は大きく異なってもよい。乳濁液中の油の量は、適切には、配合物全体の1~90重量%、好ましくは3~60重量%、より好ましくは5~40重量%、さらに好ましくは8~20重量%、そして特に好ましくは10~15重量%の範囲である。
【0094】
乳濁液中に存在する水(またはポリオール、たとえばグリセリン)の量は、適切には、配合物全体の5%より多く、好ましくは30~90%、より好ましくは50~90%、さらに好ましくは70~85%、そして特に好ましくは75~80重量%の範囲である。
【0095】
本発明の化粧品組成物は、乳化剤系の一部を形成する界面活性剤物質をも含んでもよい。適切な界面活性剤には、比較的親水性の界面活性剤、たとえば10より大きい、好ましくは12より大きいHLB値を有する界面活性剤、および比較的疎水性の界面活性剤、たとえば10未満の、好ましくは8未満のHLB値を有する界面活性剤が含まれる。比較的親水性の界面活性剤には、平均で約10~約100個の範囲のアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド残基を有するアルコキシラート界面活性剤が含まれ、比較的疎水性の界面活性剤には、好ましくは平均で約3~約10個の範囲のアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド残基を有するアルコキシラート界面活性剤が含まれる。
【0096】
他の多くの成分が化粧品組成物に含まれてもよい。これらの成分は、油溶性であってもよいし、水溶性であってもよいし、不溶性であってもよい。そのような物質の例としては次のものが挙げられる。
(i)ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、パラベン(4-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル)、フェノキシエタノール、置換された尿素およびヒダントイン誘導体(たとえばGermaben II Nipaguard BPXおよびNipaguard DMDMHの商品名で商業的に販売されているもの)に基くもののような防腐剤。そのような防腐剤は、好ましくは、組成物の全重量の0.5~2重量%の範囲の濃度で使用される。カプリリルグリコールのような防腐剤ブースターもまた使用されてもよい。
(ii)香料。使用するときは、好ましくは組成物の全重量の0.1~10重量%、より好ましくは約5重量%以下、そして特に好ましくは約2重量%以下の範囲の濃度で使用される。
(iii)アルコール、グリセリンおよびポリエチレングリコールなどのポリオールのような湿潤剤または溶媒。使用するときは、好ましくは全体の組成物の全重量の1~10重量%の範囲の濃度で使用される。
(iv)グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸のようなα-ヒドロキシ酸およびそれらのエステル、ジヒドロキシアセトンのようなセルフタンニング剤。
(v)殺菌剤、特にサリチル酸のような抗にきび成分。
(vi)以下のものを含むビタミンおよびそれらの前駆体。(a)ビタミンA、たとえばパルミチン酸レチニルおよび他のトレチノイン前駆体分子として、(b)ビタミンB、たとえばパンテノールおよびその誘導体として、(c)ビタミンC、たとえばアスコルビン酸およびその誘導体として、(d)ビタミンE、たとえばトコフェリルアセタートとして、(e)ビタミンF、たとえばγ-リノレン酸エステルのような多価不飽和脂肪酸エステルとして。
(vii)天然物質または天然セラミドの機能的模倣物のいずれかとしてのセラミドのようなスキンケア剤。
(vii)合成リン脂質または天然リン脂質のようなリン脂質、たとえばレシチン。
(ix)ベシクル含有配合物。
(x)ゲルマニウム含有化合物。
(xi)有益なスキンケア特性を有する植物抽出物。
(xii)クローダ(Croda)によって販売されているArlatone Dioic DCA(商標)、コウジ酸、アルブチンおよび類似物質のような美白剤。
(xiii)アラントインおよび類似シリーズのような皮膚修復化合物活性剤。
(xiv)カフェインおよび類似化合物。
(xv)メントールまたは樟脳のような冷却添加剤。
(xvi)N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)および柑橘油またはユーカリ油のような防虫剤。
(xvii)精油。
(xviii)エタノール。
(xix)超微細顔料、特に酸化物およびケイ酸塩、たとえば酸化鉄、特にコーティングされた酸化鉄、および/または二酸化チタン、および窒化ホウ素のようなセラミック材料を含む顔料。
(xx)サスポエマルションを与えるために化粧品(make up)および化粧品(cosmetics)に使用されるような他の固体成分。好ましくは、組成物の総重量を基準として1~15重量%、より好ましくは5~15重量%の範囲の量で使用される。および
(xxi)脱臭剤または制汗剤、たとえばアルミニウムクロロハイドレートのようなアルミニウム塩。そのような薬剤は、典型的には、組成物の総重量を基準として40重量%(固形分)以下の濃度で配合物中に存在し、好ましくは組成物の総重量を基準として1~40重量%(固形分)、より好ましくは10~25重量%(固形分)の範囲で存在する。
(xxii)チオグリコール酸カリウムまたはチオグリコール酸カルシウムのような脱毛剤。そのような薬剤は、典型的には、組成物の総重量を基準として15重量%(活性成分)以下の濃度で組成物中に存在し、好ましくは組成物の総重量を基準として1~15重量%(活性成分)、より好ましくは2~7重量%(活性成分)の範囲の濃度で組成物中に存在する。
(xxiii)水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのような育毛剤。そのような薬剤は、典型的には、組成物の総重量を基準として15重量%以下の濃度で組成物中に存在し、好ましくは組成物の総重量を基準として0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%(固形分)の範囲の濃度で組成物中に存在する。
【0097】
本発明の化粧品組成物および乳濁液は、保湿剤、日焼け止め、アフターサン製品、ボディバター、ゲルクリーム、高香料含有製品、香水クリーム、ベビーケア製品、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、スキントーニングおよびスキンホワイトニング製品、ウォーターフリー製品、制汗およびデオドラント製品、日焼け製品、クレンザー、ツー・イン・ワンフォーミングエマルション、マルチエマルション、防腐剤を含まない製品、マイルド配合物、スクラブ配合物(たとえば固体ビーズを含む)、水中シリコーン配合物、顔料含有製品、スプレー可能なエマルション、化粧品、カラー化粧品、シャワー製品、フォーミングエマルション、メイク落とし、アイメイク落としおよびワイプのような広範囲の配合物および最終用途での使用に適している。
【0098】
上記特徴のいずれも相互に排他的ではないことを理解すべきである。上記の特徴のいずれも、本発明のいかなる態様といかなる組み合わせをしてもよい。
【0099】
試験方法
リストされたすべての試験および物理的性質は、本明細書に別段の記載がない限り、または参照される試験方法および手順に別段の記載がない限り、大気圧および周囲温度(すなわち約23℃)で測定されたことが理解されるであろう。
【0100】
本明細書においては、以下の試験方法を使用した。
【0101】
1)BET比表面積測定
二酸化チタン粉末前駆体のサンプルは、マイクロメリティックス(Micromeritics)Gemini VII 2390Pを使用して評価した。0.4~0.5gの乾燥した二酸化チタン粉末を試供用チューブの中に導入し、室温で窒素下で10分間脱気した後、200℃に加熱し、再び窒素下で、この温度に3時間維持した。乾燥したサンプルを液体窒素(-196℃)に浸し、いったん、サンプルが凍結したら、窒素を用いて比表面積(SSA)を分析した。
【0102】
2)水銀ポロシメトリー
サンプルの細孔径分布は、マイクロメリティックス(Micromeritics)Autopore Vポロシメーターを用いて測定した。約0.28gの二酸化チタン粒子前駆体の粉末を、ペネトロメーターのバルブの中に量り入れた。サンプルを含むペネトロメーターをマイクロメリティックス(Micromeritics)Autopore Vポロシメーターに装填し、侵入および押出サイクルの間、0.1~61,000psiaで測定を行なった。平均細孔径、全細孔面積、かさ密度、見掛け密度および細孔率を測定した。
【0103】
3)DLS測定
DLSのためのサンプルは、実施例1の分散体および比較例Aの懸濁液の各々を、クロダモール(Crodamol)AB(安息香酸C12-C15アルキル)混合物中の3%のハイパーマー(Hypermer)LP1で希釈(約0.1%すなわち50g中に約0.05g)することによって調製した。サンプルは15分間超音波で処理し、使い捨てのプラスチックキュベットに移し、マルバーン・ゼータサイザー・ナノZS(Malvern Zetasizer Nano ZS)で分析した。機器は、最初に平衡段階を測定することから始め、次にサンプルからの散乱光強度を分析し、懸濁液中のそれらのブラウン運動に基づいて粒子の流体力学的体積を決定した。キュムラント平均(Z平均)値は、たとえばコッペル(Koppel),D.E.「強度相関分光法における高分子多分散性の分析(Analysis of Macromolecular Polydispersity in Intensity Correlation Spectroscopy):キュムラントの方法(The Method of Cumulants)」、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J. Chem. Phys)、57(11)、p.4814-4820、1972に記載されたキュムラントの方法によって計算し、そして平均ピーク値粒子サイズもまた決定した。強度ベースd10、d50およびd90粒子サイズならびに数ベースd10、d50およびd90の粒子サイズもまた決定した。
【0104】
4)吸光係数
実施例1の分散体のサンプル0.1gを100mLのシクロヘキサンで希釈した。この希釈したサンプルを、その後、さらに、シクロヘキサンでサンプル:シクロヘキサン比1:19に希釈した。総希釈率は1:20,000であった。
希釈したサンプルを、光路長1cmの分光光度計(パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)Lambda 650 UV/VIS分光光度計)に入れ、UVおよび可視光の吸光度を測定した。吸光係数は、式A=E.c.l(ただし、A=吸光度、E=吸光係数(リットル/グラム/cm)、c=濃度(グラム/リットル)、およびl=光路長(cm)から計算した。サンプルの透明度を与えるために、E524に焦点を当てた。
【0105】
5)N-IR反射率
実施例1の分散体および比較例Aの懸濁液の各々0.5gを、24.5gのクロダモール(Crodamol)ABと混合し、1.4%固形分溶液を作製した。これらの溶液を7mLのバイアルの中にピペットで移し、2時間放置した。バイアルを振とうし、N-IR DRIFTS分光計(ニコレ(Nicolet)iS5N、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))で分析した。様々な波長で反射した赤外線の%を測定した。その方法をさらに2回繰り返し、各測定の前にバイアルを振とうし、平均値を決定した。
【0106】
6)全IR-A透過率
実施例3の分散体および比較例Bの懸濁液の各々2mg/cmをトランスポアテープに加えた。テープをPMMA板に貼り付け、トランスポアテープを通して(ハイドロサン(Hydrosun)InfraRed(IR)ランプを用いて100mW/cmで発生させた)780~1400nmの波長の赤外線の透過率を、検出器(ILT1400放射計)を用いて、各々のサンプルについて測定した。IRのパーセンテージ-対照試料(トランスポアテープのみを使用)と比較して検出された放射線の%を測定した。値の減少は、サンプルが反射または吸収特性を示すことを示すであろう。
【0107】
7)日焼け防止指数測定
(たとえば実施例7に記載されているもののような)日焼け止め配合物の日焼け防止指数(SPF)は、スプレッドマスター(spreadmaster)ロボットを使用して、ディフェリー(Diffey)およびロブソン(Robson)、J.Soc.Cosmet.Chem.、第40巻、p.127-133、1989)のインビトロ方法を使用して、測定した。
【実施例
【0108】
本発明は、以下の実施例において、例としてのみ示されるであろう。別段の記載がない限り、部およびパーセントはすべて重量基準で示される。
【0109】
実施例1 二酸化チタン粒子の分散体の調製
0.12gのポリヒドロキシステアリン酸を29.88gの安息香酸C12-C15アルキルと混合し、その後、その混合物の中に70gの二酸化チタン粉末前駆体(MPY-100EX、テイカ(Tayca)製)を加えることによって、二酸化チタン粒子の有機液体分散体を製造した。混合物を、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで15分間攪拌し、次に、4,500rpmで作動しかつ粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む水平ビーズミルに15分間通した。結果物は、分散媒体中の二酸化チタンの真の分散体であった。
【0110】
実施例2 増粘剤を含む二酸化チタン粒子の分散体の調製
0.12gのポリヒドロキシステアリン酸を、29.355gの安息香酸C12-C15アルキルおよび0.525gのトリヒドロキシステアリン(Thixcin R、エレメンティス(Elementis)製)と混合し、次に混合物の中に70gの二酸化チタン粉末前駆体(MPY-100EX、テイカ(Tayca))を加えることによって、二酸化チタン粒子の有機液体分散体を製造した。混合物を、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで15分間攪拌し、次に、4,500rpmで作動しかつ粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む水平ビーズミルに15分間通した。結果物は分散媒体中の二酸化チタンの真の分散体であった。
【0111】
実施例3 二酸化チタン粒子の分散体の調製
実施例1の分散体を、0.12%のポリヒドロキシステアリン酸を含む安息香酸C12-C15アルキルの溶液を使用して、さらに、2.5%の固形分に希釈した。得られた分散体を、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで15分間混合した。
【0112】
比較例A 二酸化チタン粒子前駆体の懸濁液の調製
0.12gのポリヒドロキシステアリン酸を29.88gの安息香酸C12-C15アルキルと混合し、その後、混合物の中に70gの二酸化チタン粉末前駆体(MPY-100EX、テイカ(Tayca)製)を加えることによって、二酸化チタン粒子の有機液体懸濁液を製造した。混合物を、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで15分間攪拌した。結果物は、有機液体媒体中の二酸化チタン粒子前駆体の懸濁液であった。
【0113】
比較例B 二酸化チタン粒子前駆体の懸濁液の調製
比較例Aの懸濁液を、さらに、0.12%のポリヒドロキシステアリン酸を含む安息香酸C12-C15アルキルの溶液を使用して、2.5%の固形分に希釈した。得られた懸濁液を、オーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで15分間混合した。
【0114】
実施例4 分散体および懸濁液の分析
上記の実施例および比較例を、本明細書に記載の試験方法に従って分析し、以下の結果が観察された。
【0115】
i)DLS粒子サイズ測定
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
実施例5 分散体とUV減衰剤の組み合わせ
表5中の配合物を以下の方法に従って調製した。
Keltrol、VeegumおよびPricerineをあらかじめ混合し、次に、攪拌しながら水を加えた。混合物を75~85℃に加熱した。次に、パートA成分を混合し、75~85℃に加熱した後、パートAにパートBを加えた。得られた混合物を短時間再加熱した。パートAB混合物を攪拌し、油が確実に混合された後、攪拌しながらパートCに加えた。混合物を100g当たり1分間10000rpmで均質化し、次に撹拌しながら室温に冷却した。次に、パートDを穏やかに攪拌しながら加えた。
配合物の各々によって止められた、すなわち反射されまたは吸着されたIR-A放射線のパーセンテージを、Cosmetics & Toiletries(登録商標)、第132巻、第9号、2017年10月、45~58頁にElise Delamourら(HelioScreen Labs、クレー(Creil)、フランス)によって概説された方法に従って測定し、表6に示す結果を得た。
【0120】
【表5】
【0121】
【表6】
【0122】
結果は、本発明の分散体とUV減衰剤の組み合わせが、赤外線の透過防止に関して、分散体の性能を妨げないことを示している。
【0123】
実施例6 配合物
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
手順:
Keltrol、VeegumおよびPricerineを前もって混合し、その後、攪拌しながら水を加えた。混合物を75~80℃に加熱した。別の容器で、パートAを混合し、75~80℃に加熱した。パートBをパートAに加え、混合物を短時間再加熱した。次に、パートABおよびCを一緒に攪拌しながら加えた。得られた混合物を、100g当たり1分間10000rpmで均質化し、次いで攪拌しながら室温に冷却した。最後に、パートDを穏やかに攪拌しながら加えた。
【0126】
実施例7 UV吸収剤と結合するインビトロSPFに及ぼす分散体の影響
表8中の配合物を以下の方法に従って調製した。
Keltrol、VeegumおよびPricerineを前もって混合し、その後、攪拌しながら水を加えた。混合物を75~80℃に加熱した。別の容器で、パートAを混合し、75~80℃に加熱した。パートBをパートAに加え、混合物を短時間再加熱した。次に、パートABおよびCを一緒に攪拌しながら加えた。得られた混合物を、100g当たり1分間10000rpmで均質化し、次いで攪拌しながら室温に冷却した。最後に、パートDを穏やかに攪拌しながら加えた。
配合物のインビトロSPFは、スプレッドマスター(spreadmaster)ロボットを使用して、ディフェリー(Diffey)およびロブソン(Robson)、J.Soc.Cosmet.Chem.、第40巻、p.127-133、1989のインビトロ方法を使用して、測定した。インビトロSPF測定に及ぼす分散体の影響を測定するために、本発明の分散体を含む配合物と本発明の分散体を含まない配合物を調製した。
【0127】
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
結果は、本発明の分散体とUV吸収剤または減衰剤との組み合わせがインビトロSPFの増加を示すことを示している。
【0130】
本発明は上記の実施形態の詳細に限定されるべきではなく、上記の実施形態は例示としてのみ記載されていることを理解すべきである。多くの変形が可能である。
【0131】
開示された特徴のいずれかまたはすべて、および/または記載された任意の方法またはプロセスの工程のいずれかまたはすべてが、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0132】
本明細書に開示された各特徴は、同一、均等または類似の目的を提供する代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、開示された各特徴は、包括的な一連の均等または類似の特徴の1つの例にすぎない。
【0133】
別段の明記がない限り、上記の記述が適用される。これらの目的のためには、明細書という用語は、明細書ならびに添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む。
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]明細書に記載のDLSによって測定された強度平均ピーク値粒径または明細書に記載のDLSによって測定された数平均ピーク値粒径が0.2~2.0μmの範囲内の二酸化チタン粒子前駆体が分散媒体中に分散した分散体であって、分散体中の二酸化チタン粒子の粒径分布が、二酸化チタン粒子前駆体の粒径分布より狭い、分散体。
[2]DLS測定がマルバーン・ゼータサイザーを使用して行われる、[1]に記載の分散体。
[3]分散体が分散体の総重量を基準として少なくとも50重量%の二酸化チタン粒子前駆体を含む、[1]または[2]に記載の分散体。
[4]二酸化チタン粒子前駆体と分散媒体とを一緒に混合し、混合物を2000~7000rpmの回転速度で粉砕することによって得ることができる[1]~[3]のいずれか1つに記載の分散体。
[5]粉砕が水平ビーズミルで行われる、[4]に記載の分散体。
[6]分散媒体が有機媒体である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の分散体。
[7]分散媒体が安息香酸C12~C15アルキルを含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の分散体。
[8]ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3およびポリヒドロキシステアリン酸から選択される分散剤をさらに含む[1]~[7]のいずれか1つに記載の分散体。
[9]分散体中の二酸化チタン粒子は、DLSによって測定され、数ベースのd90粒径と数ベースのd10粒径の差として計算された数ベース粒径分布が、二酸化チタン粒子前駆体より少なくとも2%狭い、[1]~[8]のいずれか1つに記載の分散体。
[10]N-IR分光光度計によって明細書に記載されるように測定したときに、分散体が、二酸化チタン粒子前駆体の赤外線の反射率と比較して、赤外線の反射率の増加を提供する、[1]~[9]のいずれか1つに記載の分散体。
[11][1]~[10]のいずれか1つに記載の分散体を含むパーソナルケア組成物。
[12][1]~[10]のいずれか1つに記載の分散体を調製する方法であって、前記方法は、
a)二酸化チタン粒子前駆体を分散媒体と混合する工程、および
b)混合物を粉砕して分散体を提供する工程
を含む、方法。
[13]分散体中の二酸化チタン粒子の粒径の分布が二酸化チタン粒子前駆体の粒径の分布より狭い、分散媒体中の前駆体粒子の分散体を調製することによって、明細書に記載のDLSによって測定された強度平均ピーク値粒径または明細書に記載のDLSによって測定された数平均ピーク値粒径が0.2~2.0μmの範囲内の二酸化チタン粒子前駆体の赤外線反射特性を改善する方法。
[14]特に化粧品組成物において、赤外線を、より具体的にはIRA放射線を減衰させるための、[1]~[10]のいずれか1つに記載の分散体の使用。
[15]UV吸収剤をも含む組成物のSPFを改善するための、[1]~[10]のいずれか1つに記載の分散体の使用。