(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】干渉型騒音制御ユニット
(51)【国際特許分類】
G10K 11/172 20060101AFI20240709BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20240709BHJP
E01F 8/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G10K11/172
G10K11/16 140
E01F8/00
(21)【出願番号】P 2021532424
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2019083399
(87)【国際公開番号】W WO2020115004
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521246323
【氏名又は名称】ウェイヴブレイカー アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Wavebreaker AB
【住所又は居所原語表記】Stamsjovagen 20 A, 443 39 Lerum, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トニー ヨハンソン
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-061488(JP,A)
【文献】米国特許第07077093(US,B2)
【文献】特開昭57-116812(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016119475(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03425450(DE,A1)
【文献】特開平08-305373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/172
G10K 11/16
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車からの騒音を低減するための、防音壁に設置するための干渉型騒音制御ユニットであって、
防音壁に固定されるべきハウジングを有しており、該ハウジングが、少なくとも1つの第1の通路および少なくとも1つの第2の通路を有する中空区画を有しており、
前記第1の通路が、第1の通路高さAおよび第1の通路長さBを有しており、
前記第2の通路が、第2の通路高さA’および第2の通路長さB’を有しており、
前記第1の通路高さAが、前記第2の通路高さA’とは異なって
おり、
前記ハウジングが、ケースおよび挿入体を有しており、該挿入体が、前記第1の通路および前記第2の通路を形成する複数のバッフルを有している、
干渉型騒音制御ユニット。
【請求項2】
前記第1の通路高さAが、前記第2の通路高さA’よりも大きく、前記第1の通路長さBが、前記第2の通路長さB’よりも大きい、請求項1記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項3】
前記第2の通路高さA’以下である第3の通路高さA’’と、前記第2の通路長さB’以下である第3の通路長さB’’とを有する第3の通路をさらに有している、請求項1または2記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項4】
前記第1の通路高さAが、80~100mmであって、前記第2の通路高さA’が、50~70mmであって、前記第3の通路高さA’’が、30~50mmである、請求項3記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項5】
前記第1の通路長さBが、0.08~1.1mであり、前記第2の通路長さB’が、0.05~0.8mである、請求項1から4までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項6】
前記干渉型騒音制御ユニットの入口高さが、100~300mmで
ある、請求項1から5までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項7】
通路の総数が、3~4個である、請求項1から6までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項8】
前記第2の通路が、前記第1の通路上に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項9】
前記第1の通路高さAと前記第2の通路高さA’との
比は、1.1~3.0で
ある、請求項3から8までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項10】
前記
第1の通路
および前記第2の通路が、屈曲しており、騒音源に面した開口を備え
た鉛直方向の長さ部分と
、水平方向の長さ部分とを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項11】
前記
第1の通路
および前記第2の通路が
、直線的であり、かつ鉛直方向に向けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の干渉型騒音制御ユニット。
【請求項12】
干渉型騒音制御ユニットを製造する方法であって、
ケースを押出成形するステップと、
挿入体を射出成形するステップと、
防音壁に前記ケースを組み付けるステップと、
前記ケースに前記挿入体を組み付けるステップと、
を有している、干渉型騒音制御ユニットを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明のコンセプトは、防音壁に設置すべき干渉型騒音制御ユニットに関する。
【0002】
発明の背景
防音壁は、環境騒音を低減するために使用される。特に、主に500~4000Hzの周波数である列車から出る騒音は、ますます大きな環境問題となっている。
【0003】
騒音低減の効果は、防音壁の場合、主に壁の高さに依存する。たとえば美観や実用性など種々異なる理由のために、壁の高さは制限されることがある。しかし、防音壁に干渉型騒音制御ユニットを設置することによって、騒音低減の効果を高めることができ、防音壁の高さを低く抑えることができるか、またはより低くすることができる。
【0004】
先行技術による干渉音制御ユニットは、種々異なる長さの複数の通路を有している。入ってくる騒音が複数の通路を通過すると、音波が屈折させられて、位相がずらされる。次いで屈折させられた音波が、騒音源から直接に入ってきた騒音と干渉すると、騒音レベルが低減する。
【0005】
干渉型騒音制御ユニットの通路長さの寸法は、どの波長が低減されるべきかを決定する。したがって、異なる通路長さを有する干渉型騒音制御ユニットが広い干渉領域を提供することは周知であり、たとえば、欧州特許出願公開第0057497号が参照される。しかし、干渉領域を広げるだけでなく、所望の干渉領域内における干渉効果を増大させることも望まれている。
【0006】
本発明のコンセプトは、主に500~4000Hzの範囲内のスペクトラムにある列車からの交通騒音を低減する効果が高い干渉型の騒音低減を提供する干渉型騒音制御ユニットを提供することを目的としている。
【0007】
発明の概要
本発明のコンセプトの目的は、先行技術の解決手段よりも少なくともある程度高い騒音低減効果を有する干渉型騒音制御ユニットを提供することである。この目的および以下で明らかになる別の目的は、添付の特許請求の範囲において定義されているように、種々異なるサイズの通路高さを有する干渉型騒音制御ユニットにより達成される。
【0008】
本発明のコンセプトは、種々異なる高さを有する複数の通路を備えた干渉型騒音制御ユニットを提供することにより、騒音制御ユニットの総サイズを増大することなしに、騒音低減効果を、先行技術による干渉型騒音制御ユニットに比べて高くすることができるという洞察に基づいている。
【0009】
本発明のコンセプトの少なくとも第1の態様によれば、列車からの騒音を低減するための、防音壁に設置するための干渉型騒音制御ユニットが提供される。干渉型騒音制御ユニットは、
防音壁に固定されるべきハウジングを有しており、ハウジングが、少なくとも1つの第1の通路および少なくとも1つの第2の通路を有する中空区画を有しており、
第1の通路が、第1の通路高さAおよび第1の通路長さBを有しており、
第2の通路が、第2の通路高さA’および第2の通路長さB’を有しており、
第1の通路高さAが、第2の通路高さA’とは異なっている。
【0010】
干渉型騒音制御ユニットは、列車から出るスペクトラムにおいて高い干渉効果を提供するという利点を有している。
【0011】
なお、本発明の干渉型騒音制御ユニットは、列車からの騒音を低減することに限定されない。本発明のコンセプトは、別の騒音発生手段からの騒音を低減するためにも適用可能であってよい。たとえば、自動車やトラック等の車両からの騒音も、本発明のコンセプトの範囲に含まれることが望ましい。
【0012】
通路高さの寸法が同一である干渉型騒音制御ユニットと比較して、1つの通路を別の通路よりも大きくすることにより、騒音低減効果を増大させることができる。その理由は、伝搬する音波のより大きな部分を、より大きな高さの通路内に含むことができる、すなわち、対象の周波数領域内での干渉型騒音制御ユニットの効果は、別の通路に対する1つの通路の増大した容積に関連付けることができるからである。
【0013】
なお、第2の通路の通路高さとは異なる第1の通路の少なくとも1つの通路高さは、第2の通路の通路幅とは異なる第1の通路の通路幅を有することも意味することを理解されたい。これにより、第1の通路の1つの寸法は、第2の通路の対応する寸法と異なっている。
【0014】
なお、騒音低減の効果を増大させるために、第1の通路の横断面積は、第2の通路の横断面積とは異なっていてもよいことを理解されたい。
【0015】
1つの例示的な実施形態では、第1の通路の通路高さおよび通路幅の両方が、第2の通路の通路高さおよび通路幅よりも大きい。
【0016】
なお、本発明のコンセプトによる干渉型騒音制御ユニットの効果は、実質的に同一の入口高さを有する任意の干渉型騒音制御ユニットと比較して達成されることを理解されたい。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の通路高さAが、第2の通路高さA’よりも大きく、第1の通路長さBが、第2の通路長さB’よりも大きい。
【0018】
意想外にも、騒音低減の効果は、通路長さと通路高さの両方の組み合わせに依存しており、通路長さは騒音低減の下限周波数に影響を与え、通路高さは騒音低減の上限周波数に影響を与えることがわかった。通路長さは、基本周波数およびその高調波を決定し、通路高さは、騒音低減が衰退し始める時期に影響を与える。さらに意想外にも、通路高さの増大は、騒音低減の衰退をより低い周波数において開始させることがわかった。さらに、通路高さは干渉する音波の振幅を増大させるので、少なくとも1つの通路の通路高さの増大によって、より効果的な騒音低減を達成することができる。
【0019】
これにより、第2の通路の通路高さおよび通路幅よりも大きい第1の通路の通路高さおよび通路長さを有する相乗効果が得られる。この相乗効果は、低減効果が衰退し始める上限値に通路高さが大きく影響を与え、下限値に通路長さが大きく影響を与えること、つまり、通路長さが、どの周波数において低減効果が始まるかを決定することに由来する。
【0020】
したがって、通路高さと通路長さとの組み合わせにより、特定の目的、たとえば列車または自動車の騒音低減のために干渉型騒音制御ユニットを特注することが可能である。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、干渉型騒音制御ユニットは、第2の通路高さA’以下である第3の通路高さA’’と、第2の通路長さB’以下である第3の通路長さB’’とを有する第3の通路をさらに有している。
【0022】
これにより、第1の通路高さAは、第3の通路高さA’’よりも大きい第2の通路高さA’よりも大きい。
【0023】
なお、通路高さの好適な順序は、A>A’>A’’であり、通路長さの好適な順序は、B>B’>B’’であることを理解されたい。これらの順序により、干渉型騒音制御ユニットの有効周波数領域は、A>A’およびB>B’の順序の2つの通路のみを有する干渉型騒音制御ユニットに比較して、より効果的であり得る。
【0024】
1つの例示的な実施形態では、干渉型騒音制御ユニットは、3つよりも多い通路を有しており、各通路は、第1の通路および/または第2の通路と比較して、同一または異なる通路高さおよび/または通路長さを有している。
【0025】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の通路高さは、80~100mmであり、第2の通路高さは50~70mmであり、第3の通路高さは30~50mmである。
【0026】
これらの通路高さの間隔内で、吸収された周波数は、特に500~4000kHzの領域の騒音を低減するように集中されている。
【0027】
1つの例示的な実施形態によれば、好適な通路高さA,A’およびA’’は、それぞれ92mm、62mmおよび42mmである。
【0028】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の通路長さBは、0.08~1.1mであり、第2の通路長さB’は、0.05~0.8mである。
【0029】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、第3の通路は、0.05~0.4mの通路長さB’’を有している。
【0030】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、干渉型騒音制御ユニットの入口高さは、100~300mm、好適には200mmである。
【0031】
これにより、干渉型騒音制御ユニットは、低騒音源および高騒音源からの音に干渉することができ、未だに目立たない外観を有している。
【0032】
干渉型騒音制御ユニットの入口高さという用語は、本明細書では、干渉型騒音制御ユニットの通路高さの合計として理解されるべきである。
【0033】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、通路の総数は、3~4個である。
【0034】
これにより、所望の入口高さと、干渉型騒音制御ユニットの所望の通路の数の両方が存在し、これにより各通路の通路高さを制限する。
【0035】
2つの通路間のバッフルの除去は、干渉型騒音制御ユニットの効果を増大させることができる。なぜならば、2つの当初の通路および場合によっては別の通路よりも大きな通路高さを有する新しい通路が提供されるからである。しかし、新しい通路高さのより良い効果を達成するためには、通路の総数が所望の制限内で維持されることを考慮する必要がある。同様に、新しい通路高さの2つの通路を提供するための、通路内への付加的なバッフルの挿入の効果も、通路の総数が適切な制限を超えないことに関係している。
【0036】
したがって、別の通路と通路高さを区別するために、干渉型騒音制御ユニット内にバッフルを挿入するか、またはバッフルを除去するかの決定は、好適には、通路の総数を考慮に入れながら検討されることが望ましい。
【0037】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第2の通路は、第1の通路上に配置されている。
【0038】
これにより、最大の横断面積を有する通路は、地面に最も近く配置されている。
【0039】
なお、第2の通路が第1の通路上に配置されている実施形態において、任意の第3の通路が第2の通路上に配置されていてもよいことを理解されたい。
【0040】
これにより、通路の横断面積のサイズは、干渉型騒音制御ユニット内で上に配置されているほど減少する。代替的には、横断面積のサイズは、第1の通路に比べて減少し、たとえば、干渉型騒音制御ユニット内のすべての通路は、別の通路よりも大きな横断面積を有する第1の通路を除いて、同一の横断面積を有している。
【0041】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の通路高さと第2の通路高さとの比および任意には第3の通路高さに対する第2の通路高さの比は、1.1~3.0であり、好ましくは1.5である。
【0042】
これにより、通路高さは、互いに一定の比を有していてもよい。
【0043】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ハウジングは、ケースと挿入体とを有しており、挿入体が、複数のバッフルを有している。
【0044】
これにより、干渉型騒音制御ユニットは、2つの部材から、つまり1つのケースと少なくとも1つの挿入体とから製造されてよい。当初は別個の2つの部材を有する干渉型騒音制御ユニットの利点は、種々異なる挿入体を1つの既存のシェルに適合させることができ、かつ挿入体を取り外して別の挿入体と交換することができることである。これにより、干渉型騒音制御ユニットは、存在する騒音スペクトラムに適合させることができる。また、製造上の観点からも、より大きな柔軟性を可能にする一方で、より廉価である。
【0045】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、通路は、基本的に直線的であり、鉛直方向に向けられている。
【0046】
これにより、入口からハウジングの内部に向けられた通路は存在しない。代わりに、通路は、騒音をハウジングの内部から干渉型騒音制御ユニットの上部へと導く。
【0047】
本発明のコンセプトの少なくとも第2の態様によれば、干渉型騒音制御ユニットを製造する方法が提供される。方法は、以下のステップを含む:
ケースを押出成形するステップと、
挿入体を射出成形するステップと、
ケースを防音壁に組み付けるステップと、
ケースに挿入体を組み付けるステップ。
【0048】
干渉型騒音制御ユニットは、本発明のコンセプトの第1の態様の干渉型騒音制御ユニットに関連して議論された構造的および/または機能的な特徴のうちのいずれか1つを有していてよい。
【0049】
本発明のコンセプトの第2の態様の方法は、干渉型騒音制御ユニットの、高価かつ極めて大きな成形工具を必要とする射出成形時とは対照的に、極めて長いケースを1回の運転で押出成形することができる点で有利である。ケースが押出成形された後に、射出成形された1つまたは複数の挿入体(射出成形には比較的小さな成形工具を使用することができる)をケース内に挿入することができる。挿入体は、ケースが防音壁に組み付けられる前後に、ケース内に配置することができる。
【0050】
本発明のコンセプトを、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1a】本発明のコンセプトの少なくとも1つの例示的な実施形態による干渉型騒音制御ユニットの内部を示す斜視図である。
【
図1b】
図1aに示した干渉型騒音制御ユニットを示す横断面図であり、
図1bは、
図2cに示す実施形態の横断面も示すことができる。
【
図1c】
図1aおよび
図1bに示した干渉型騒音制御ユニットを示す斜視図である。
【
図2a】
図1a~
図1cに示した並列した複数の干渉型騒音制御ユニットのアセンブリを防音壁に設置して示す斜視図である。
【
図2b】
図1a~
図1cに示した並列した複数の干渉型騒音制御ユニットのアセンブリを防音壁に設置して示す斜視図である。
【
図2c】本発明によるコンセプトの少なくとも1つの例示的な実施形態による干渉型騒音制御ユニットを示す斜視図である。
【
図3】本発明のコンセプトの少なくとも1つの例示的な実施形態による干渉型騒音制御ユニットを示す横断面図である。
【0052】
図面の詳細な説明
以下の説明では、列車または自動車からの騒音を低減するための防音壁に設置するための干渉型騒音制御ユニットを参照しながら、本発明のコンセプトを説明する。
【0053】
図1a,
図1bおよび
図1cは、防音壁に設置すべき干渉型騒音制御ユニット1を示している。干渉型騒音制御ユニット1は、第1の通路高さAおよび第1の通路長さBを有する第1の通路10と、第2の通路高さA’および第2の通路長さB’を有する第2の通路20と、第3の通路高さA’’および第3の通路長さB’’を有する第3の通路30と、第4の通路高さA’’’および第4の通路長さB’’’を有する第4の通路40とを備えている。つまり、
図1a,
図1bおよび
図1cに図示されている通路のうちのそれぞれ1つの通路は、明確な通路高さと明確な通路長さとを有している。さらに、
図1a,
図1bおよび
図1cに示した通路10,20,30,40は、最大の通路高さおよび最長の通路長さを有する第1の通路10が、別の通路よりも下にあるように位置決めされている。第1の通路10上の複数の通路は、より上に配置されているほど通路高さおよび通路長さが減少するように配置されている。
【0054】
通路10,20,30,40は、角度付けされた複数のバッフル15によって互いに分離されている。
図1a,
図1bおよび
図1cでは、不均等な長さの5個のバッフル15が、その間で互いに異なる間隔を空けて位置決めされている。隣り合う2つのバッフル15の間の間隔は、それぞれの通路の通路高さを規定する。
図1a,
図1b,
図1cに示すように、各通路高さは通路全体を通じて一定である。
【0055】
騒音が干渉型騒音制御ユニット1に到達すると、音波が通路10,20,30,40に入る。通路内で、音波は、干渉型騒音制御ユニット1を通過していない音波の周波数と比べて出現する音波の周波数が位相をずらされているように、位相をずらされている。次いで、出現した音波は、干渉型騒音制御ユニット1を通過していない音波と出会い、干渉が発生し、音量低減領域が提供される。
【0056】
図1a,
図1bおよび
図1cに示した通路10,20,30,40のそれぞれが、明確な通路長さを有しているので、干渉スペクトラムの間隔が拡大される。
【0057】
図2aおよび
図2bは、防音壁50に設置された並列した複数の干渉型騒音制御ユニット1のアセンブリ100を示している。干渉型騒音制御ユニット1は、干渉型騒音制御ユニットの入口5を騒音源(図示せず)に向けて設置されている。
図1cにも示した干渉型騒音制御ユニット1の入口5は、防音壁50の上に位置決めされている。ハウジング70内に含まれる通路10,20,30,40は、防音壁50の背面に向かって延びている。つまり、干渉型騒音制御ユニット1の入口5が、防音壁50上に載置している一方で、ハウジング70は防音壁50の背後に位置決めされている。代替的には、干渉型騒音制御ユニットは、防音壁の、好適には騒音源に面している側に位置決めされていてもよい。これにより、入口およびハウジングの両方が、騒音源の位置から見て、防音壁の正面に位置決めされている。この位置は、干渉型騒音制御ユニットが防音壁の外側から見えにくくなるという点で有利である。明確にするために、
図2aおよび
図2bでは、ハウジング70の側壁7は除去されている。干渉型騒音制御ユニット1の上部は、入ってきた音波が干渉型騒音制御ユニット1の上から出ることを可能にするように開放されている。したがって、出てきた音波は干渉型騒音制御ユニット1の上部で騒音に出会い、干渉型騒音制御ユニット1および防音壁50の周囲に音量低減領域が提供されている。
【0058】
図2aおよび
図2bは、干渉型騒音制御ユニット1を既存の防音壁50に設置することができ、既存の防音壁50が種々異なる高さまたは長さで形成されていてもよいことを描いた斜視図である。
【0059】
図2cは、シェルまたはケース80および複数の挿入体90から作成された干渉型騒音制御ユニット1’を示している。ケース80および挿入体90は一緒に、防音壁50に組み付けられるハウジング70を形成する。ケース80は1つの部材から製造され、挿入体90は、ケース80に組み付けられる2つの部材から製造されている。これにより、ケース80が防音壁50に取り付けられたままで、挿入体90を交換することができる。
【0060】
図3は、通路を有しない入口5を有する干渉型騒音制御ユニット1’’を示している。通路10,20,30,40は、干渉型騒音制御ユニット1’’の出口6に接続されている、すなわち、バッフル15は、鉛直方向に、かつ実質的に直線的に配置されている。
図3では、通路10,20,30,40の水平方向の通路が存在しないので、通路幅は通路高さであると解釈される。通路10,20,30,40のそれぞれは、明確な通路幅/高さA,A’,A’’,A’’’と、明確な通路長さB,B’,B’’,B’’’とを有している。