(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】流れ検出を改良した船舶用船外機
(51)【国際特許分類】
F02D 35/00 20060101AFI20240709BHJP
B63H 20/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F02D35/00 366H
B63H20/00 510
F02D35/00 305A
(21)【出願番号】P 2021558960
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 GB2020050862
(87)【国際公開番号】W WO2020201744
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-23
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519042375
【氏名又は名称】コックス パワートレイン リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】リチャード コーンウェル
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-012270(JP,A)
【文献】特開2002-120796(JP,A)
【文献】特開2013-104351(JP,A)
【文献】特開2002-235615(JP,A)
【文献】米国特許第04455877(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第03235725(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 35/00-35/10
B63H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を有する船舶用船外機であって、前記内燃機関は、
少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、
前記少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、
前記空気の流れを前記吸気口に送るための吸気経路の一部分を形成する吸気ダクトと、
前記吸気ダクト内に配置された流れ検出装置であって、前記吸気ダクトを通る空気の流れの流量を示す信号を生成するように構成された流量計を備えた、流れ検出装置と、
前記流量計の上流の前記吸気ダクト内に配置された鈍頭体とを備え、
前記流量計は渦放出流量計であり、
前記吸気経路は、前記鈍頭体の上流にある前記吸気ダクトの入口端に接続された複数の空気ダクトを備え、これによって、前記空気の流れが複数の供給源から前記吸気ダクトに送られ
、
前記船舶用船外機は、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた保護カバーをさらに備え、前記保護カバーが前記吸気ダクトの少なくとも一部分を画定し、
前記保護カバーが、前記保護カバーの外側から前記内燃機関の上端部へのアクセスを提供する修理用開口を備え、
前記保護カバーは、前記吸気ダクト内に位置する環状壁を備え、前記鈍頭体は、前記環状壁の外面によって少なくとも部分的に画定され、前記修理用開口は、前記環状壁の内面によって境界付けされる領域内に画定される、船舶用船外機。
【請求項2】
前記内燃機関は、前記少なくとも1つのシリンダからの排気ガスの流れの一部分を、前記複数の空気ダクトの内の1つを介して前記吸気ダクトの前記入口端に再循環させるように構成された排気ガス再循環システムをさらに備える、請求項1に記載の船舶用船外機。
【請求項3】
前記内燃機関は、前記複数の空気ダクトの内の1つを介して前記吸気ダクトの前記入口端に接続された吸気冷却器をさらに備える、請求項1又は2に記載の船舶用船外機。
【請求項4】
前記鈍頭体は、前記吸気ダクト内の空気の流れに対して横断する扁平状上流面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項5】
前記扁平状上流面は、前記吸気ダクトの流れ面積の少なくとも40%を横切って延びている、請求項4に記載の船舶用船外機。
【請求項6】
前記吸気ダクトは、前記鈍頭体の周囲で分岐され、かつ、前記鈍頭体の下流側の単一の流路に収束し、前記流量計は前記単一の流路に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項7】
前記吸気ダクト
の全長は、前記保護カバーによって規定される、請求項
1に記載の船舶用船外機。
【請求項8】
前記保護カバーが
、前記内燃機関のクランク軸のフライホイールを少なくとも部分的に覆うように構成されている計時装置カバーである、請求項
1又は
7に記載の船舶用船外機。
【請求項9】
前記内燃機関が
、垂直方向クランク軸の軸線の回りを回転するように配置されたクランク軸を備え、前記保護カバーが前記クランク軸の上端部を覆い、前記修理用開口が前記クランク軸の上端部へのアクセスを提供する、請求項
1に記載の船舶用船外機。
【請求項10】
前記保護カバーが、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた第1シェルと、前記第1シェルに取り外し可能に取り付けられた第2シェルとを備え、前記第1シェル及び前記第2シェルが共に前記吸気ダクトを画定する、請求項
1及び7~
9のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項11】
前記内燃機関は、垂直軸線の内燃機関である、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項12】
請求項1~1
1のいずれか一項に記載の船舶用船外機を備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を備えた船舶用船外機であって、吸気ダクトを通る空気の流れの流量を示す信号を生成するように、流量計が配置された吸気ダクトを備える、船舶用船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の内燃機関では、吸気口を介して内燃機関に入る空気の流量測定値を得ることが知られている。この空気流量の測定により、エンジン制御ユニット(ECU)が、例えば、煙制限制御や排気ガス再循環(EGR)制御などの、内燃機関への空気の流れを制御することができ、又は、正しい燃料質量を確実に送ることができる。自動車用途では、空気流量測定値は、典型的には、吸気システム内に配置された熱線又は熱膜式の質量空気流量センサを使用して得られる。熱線式の質量気流センサは、一定電流又は一定電圧のいずれかで吸気ダクト内に懸架されたワイヤを加熱することにより作動する。空気がワイヤを通過して流れ、ワイヤは冷め、その抵抗は減少する。次いで、電流又は電圧を増加させて、ワイヤの温度及び抵抗を増加させて、抵抗を平衡状態に戻す。平衡状態に達するために必要な電流又は電圧の増減は流量に比例し、センサからECUへの比例信号として出力される。熱膜式の空気流量センサは、熱線式の空気流量センサに類似しているが、熱線ではなく熱膜グリッドを使用し、通常は周波数信号を出力する。
【0003】
熱線式及び熱膜式の質量気流センサは、自動車用途に有効であるが、上記センサの海洋環境での使用は、吸気中の塩水噴霧又は湿気に対する感度のため問題となり得る。これにより、センサの読み取り値が不正確になり、センサの耐久性が低下する可能性がある。これらの要因はいずれも、内燃機関の性能を損なう可能性がある。これは、排気規制を満たすために必要とされる有効煙制限及びEGR制御のために、空気流量測定が重要となり得る現代のディーゼル船舶用船外機にとって特に重要であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に関連する1つ又は複数の課題を克服又は緩和する、改良された船舶用船外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、内燃機関を有する船舶用船外機において、前記内燃機関は、少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、前記少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、空気の流れを前記吸気口に送るための吸気経路の一部分を形成する吸気口ダクトと、前記吸気口ダクト内に配置されかつ前記吸気口ダクトを通る空気の流れの流量を示す信号を生成するように構成された流量計を備える流れ検出装置とを備え、前記吸気口ダクト内に前記流量計の上流に配置された鈍頭体とを備え、前記流量計は渦流量計である、船舶用船外機が提供される。
【0006】
この配置により、鈍頭体により、吸気ダクトに沿って通過する空気の流れの中で流れの剥離を引き起こし、渦を発生させる。得られた渦の周波数は流量に比例する。したがって、渦周波数を測定することによって、流量計は、熱線、熱膜、又は、空気の流れの中の塩分又は湿気に特に敏感である任意の他の構成要素なく、流量を示す信号をECUに出力することができる。これにより、より正確な流れ検出が容易になり、さもなければ必要になる可能性のある内燃機関の必要な修理間隔を短縮できる。
【0007】
吸気経路は、空気の流れが空気フィルタ又は空気冷却器などの単一の供給源から吸気ダクトに送られる単一の空気ダクトを備えうる。
【0008】
好ましくは、吸気経路は、前記鈍頭体の上流にある前記吸気ダクトの入口端に接続された複数の空気ダクトを備え、これによって、前記空気の流れが複数の供給源から前記吸気ダクトに送られる。
【0009】
この配置により、鈍頭体による吸気ダクト内の渦の生成によって、海洋環境における改良された流れ検出を提供するだけでなく、複数の空気ダクトに沿って異なる供給源から来る吸気の混合を容易にする。これにより、特に異なる供給源からの吸気が異なる温度、圧力、及び/又は、組成物を有する場合に、吸気の均質性を改良し、より一貫したエンジン性能を促進することができる。したがって、流れ検出装置は、吸気混合を改良しかつ流量検出を改良するという二重の機能を有し、その両方が、より一貫したエンジン性能をもたらすことができる。
【0010】
空気の流れは、任意の適切な空気供給源から供給され得る。例えば、エアフィルタ、空気冷却器、又は、ターボチャージャの圧縮機ハウジングの1つ以上から供給され得る。
【0011】
好ましくは、前記内燃機関は、前記少なくとも1つのシリンダからの排気ガスの流れの一部分を、前記複数の空気ダクトの内の1つを介して前記吸気ダクトの端部の入口に再循環させるように構成された、排気ガス再循環システムをさらに備える。
【0012】
この構成により、鈍頭体による吸気ダクト内の渦の生成によって、海洋環境における改良された流れ検出を提供するだけでなく、EGRシステムによって供給された吸気と吸気の異なる供給源によって供給された空気との改良された混合を容易にする。これは、EGRシステムからの吸気の組成及び温度が、他の供給源からの吸気の組成及び温度とは異なるであろう、排気ガス再循環に特に有用である。したがって、流れ検出装置は、吸気混合を改良しかつ流量検出を改良するという二重の機能を有し、その両方が、より一貫したエンジン性能をもたらすことができる。
【0013】
好ましくは、前記内燃機関は、前記複数の空気ダクトの1つを介して前記吸気ダクトの前記入口端に接続された吸気冷却器をさらに備える。
【0014】
この構成により、鈍頭体による吸気ダクト内の渦の生成により、海洋環境における改良された流れ検出を提供するだけでなく、吸気冷却器によって供給される吸気と吸気の異なる供給源によって供給される空気との改良された混合を容易にする。これは、冷却器からの吸気の温度は、他の供給源からの吸気の温度よりも低い可能性が高いので、吸気冷却器が使用される場合に特に有用となりうる。したがって、流れ検出装置は、吸気混合を改良しかつ流量検出を改良するという二重の機能を有し、その両方が、より一貫したエンジン性能をもたらすことができる。
【0015】
好ましくは、前記鈍頭体は、吸気ダクト内の空気の流れに対して横断する扁平状上流面を有する。
【0016】
扁平状上流面は、好ましくは、突出縁部を有する。これは、異なる流量で予測可能で制御された流れの剥離を生成するのに役立つ。扁平状上流面は、吸気ダクトの流れ面積の少なくとも10%、好ましくは、吸気ダクトの流れ面積の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は、少なくとも60%を横切って延在しうる。特定の実施形態では、扁平状上流面は、吸気ダクトの流れ面積の少なくとも70%又は少なくとも80%を横切って延在しうる。これらの値の各々は、吸気混合及び流量検出精度を改良するために、吸気ダクトを通る実質的に全ての空気の流れにおける渦の生成を促進するのに役立つことができる。
【0017】
吸気ダクトは、鈍頭体が配置された単一の流路としうる。
【0018】
好ましくは、吸気ダクトは、鈍頭体の周囲で分岐され、鈍頭体の下流側の単一の流路に収束する。流量計は、好ましくは、単一の流路内に配置される。吸気ダクトは、吸気の流れを鈍頭体の周りの2つの空気経路に分割し、2つの空気経路を鈍頭体の下流側で1つの空気経路に結合している。
【0019】
吸気ダクトは、適切な構造を有しうる。例えば、吸気ダクトは、エンジンブロックに取り付けられた外部導管を備えうる。
【0020】
好ましくは、前記船舶用船外機は、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた保護カバーを更に備え、前記保護カバーは、前記吸気ダクトの少なくとも一部分を画定する。
【0021】
この構成により、保護カバーとは別個の、エンジンブロックに沿って延びる空気ダクトと比較して、船外機の全体的なサイズ及び重量を低減することができる。また、保護カバー自体は、エンジンブロックによって発生する熱から吸気を保護する熱遮蔽として作用しうる。
【0022】
吸気ダクトは、保護カバーによって部分的に画定されうる。このような実施形態では、吸気ダクトは、保護カバーによって規定される第1の長さのダクトと、第1の長さのダクトに接続される第2の長さのダクトとを備えうる。好ましくは、吸気ダクトのほぼ全長は、保護カバーによって規定される。
【0023】
保護装置は、計時装置カバーとしうる。換言すれば、保護カバーは、タイミングホイール及びそれらの対応するタイミングベルト又はタイミングチェーンなどの内燃機関のタイミング部品を覆うために使用することができる。計時装置を修理するために、保護カバーを船舶用船外機から取り外すことができる。
【0024】
保護装置は、実質的に垂直方向クランク軸の軸線の回りを回転するように配置された内燃機関のクランク軸の上端部を覆うように構成することができる。クランク軸は、フライホイールを備えうる。保護カバーは、少なくとも部分的にフライホイールを覆うように構成することができる。
【0025】
保護カバーは、保護カバーの外側から内燃機関の上端部へのアクセスを提供する修理用開口を備えうる。
【0026】
この構成では、保護カバーを取り外すことなく、修理用開口を介して内燃機関の上端部にアクセスできる。したがって、内燃機関を持ち上げる目的で、修理用開口を介して、フライホイールボスなどの内燃機関の上端部のボスにアイボルトをねじ込むことが可能である。修理用開口は、保護カバーの外面と内面との間に延在しうる。
【0027】
保護カバーは、修理用開口を覆う修理用フラップを備えうる。修理用フラップは、操作位置とメンテナンス位置との間で回動可能としうる。操作位置では、修理用フラップを閉じ、それにより、吸気が修理用開口を介して吸気ダクトから逃げることが防止されるように、修理用開口を覆うことができる。メンテナンス位置において、修理用フラップは、修理用開口を開くために修理用開口から離れるように回動させられ、その結果、操作者は修理用開口を通して内燃機関の部品にアクセスすることができる。
【0028】
好ましくは、前記鈍頭体は、前記吸気ダクト内に位置する環状壁の外面によって少なくとも部分的に画定され、前記修理用開口は、前記環状壁の内面によって境界付けされる領域内に画定される。この構成により、修理用開口と鈍頭体とを同一場所に存在させることができる。これにより、修理用開口の存在によって生じる空気の流れに対する不必要な混乱を最小限に抑えることができる。修理用開口は、環状壁の内面によって画定されうる。
【0029】
内燃機関は、好ましくは、実質的に垂直方向クランク軸の軸線の回りを回転するように配置されたクランク軸を備え、保護カバーはクランク軸の上端部を覆い、修理用開口はクランク軸の上端部へのアクセスを提供する。
【0030】
保護カバーは、単一の一体の構成要素としうる。
【0031】
好ましくは、前記保護カバーは、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた第1シェルと、前記第1シェルに取り外し可能に取り付けられた第2シェルとを備え、前記第1シェルと第2シェルは共に前記吸気ダクトを画定する。取り外し可能な半シェルを有する保護カバーを構成すると、保護カバーと保護カバーの下に配置された内燃機関の部品のメンテナンスを簡単にすることができる。第1の半シェル及び第2の半シェルは、締結部材を受け入れるように配置された複数の対応する取り付け穴を備えうる。保護カバーが修理用開口を備える場合、修理用開口は、第1シェル及び第2シェルを貫通して延在しうる。当該実施形態において、修理用開口は、第2シェルを取り外す必要なしに、内燃機関の上端部へのアクセスを提供する。他の実施態様において、修理用開口は、第1シェル上にのみ配置されうる。このような実施形態では、修理用開口にアクセスするために第2シェルを取り外さなければならない。
【0032】
好ましくは、内燃機関は、垂直軸線の内燃機関(vertical axis internal combustion engine)である。上記の内燃機関では、クランク軸は、内燃機関内に垂直に取り付けられる。内燃機関はガソリンエンジンとしうる。好ましくは、内燃機関はディーゼルエンジンである。内燃機関は、ターボチャージャ付きのディーゼルエンジンとしうる。
【0033】
本明細書で用いる「エンジンブロック」という用語は、エンジンの少なくとも1つのシリンダが設けられた中実構造を指す。この用語は、シリンダヘッドとクランクケースを備えたシリンダブロックの組み合わせ、又はシリンダブロックのみを指す場合がある。エンジンブロックは、単一のエンジンブロック鋳造物から形成することができる。エンジンブロックは、例えばボルトを用いて互いに接続される複数の別々のエンジンブロック鋳造物から形成されうる。
【0034】
エンジンブロックは、単一のシリンダを備えうる。好ましくは、エンジンブロックは、複数のシリンダを備える。
【0035】
エンジンブロックは、単一のシリンダバンクを備えうる。
【0036】
エンジンブロックは、第1シリンダバンク及び第2シリンダバンクを備えうる。第1シリンダバンクと第2シリンダバンクは、V字の構成で配置されうる。
【0037】
エンジンブロックは、3つのシリンダバンクを備えうる。これらの3つのシリンダバンクは、扇形の構成で配置されうる。エンジンブロックは、4つのシリンダバンクを備えうる。これらの4つのシリンダバンクは、W字の構成又は2つのV字の構成で配置されうる。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の船舶用船外機を備える船舶が提供される。
【0039】
本出願の範囲内において、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面における、先の段落に示された様々な態様、実施形態、実施例、及び、代替案、特にその個々の特徴は、独立に又は任意の組合せで理解されることが明確に意図されている。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、組み合わされる特徴が不適合でない限り、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。本出願人は、最初に提出された請求項を変更又は新たな請求項を提出する権利を留保する。この権利には、最初に請求項されたものではないが、他の請求項の任意の特徴に依存するようにかつ/又は組み込むように、最初に提出された請求項を補正する権利が含まれる。
【0040】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下に、単なる例として、添付図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は船舶用船外機を備える小型船舶の概略側面図である。
【
図2a】
図2aは、傾斜位置における船舶用船外機の模式図を示す。
【
図2b】
図2bは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
【
図2c】
図2cは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
【
図2d】
図2dは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
【
図3】
図3は、本発明による船舶用船外機の概略断面を示す図を示す。
【
図4】
図4は
図3に示す内燃機関の周りのガス流れの概略図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す船舶用船外機の内燃機関及び保護カバーの斜視図を示す。
【
図6】
図6は、上部カバーが取り外された、
図5の保護カバーの上側領域の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、船舶用船外機2を備えた船舶1の概略側面図を示す。船舶1は、連絡船やスキューバダイビングボートなどの、船舶用船外機と共に使用するのに適した任意の種類の船舶とすることができる。
図1に示す船舶用船外機2が船舶1の船尾部に取り付けられている。船舶用船外機2は、通常、船舶1の船体内に受け入れられている燃料タンク3に接続されている。リザーバ又は燃料タンク3からの燃料は、燃料ライン4を介して船舶用船外機2に供給される。燃料ライン4は、燃料タンク3と船舶用船外機2との間に配置された、1つ又は複数のフィルタと低圧ポンプと(水が船舶用船外機2に入るのを防止するための)分離器タンクを集合的に配置したものとしうる。
【0043】
以下にさらに詳細に説明するように、船舶用船外機2は、概ね、上側部分21と、中間部分22と下側部分23の3つの部分に分割されている。中間部分22及び下側部分23は、しばしば、集合的に脚部として知られ、この脚部は、排気システムを収容する。プロペラ8は、船舶用船外機2のギアボックスとも呼ばれる、下側部分23において、プロペラシャフト上に回転可能に配置されている。当然のことながら、動作中、プロペラ8は、少なくとも部分的には水中に沈められており、船舶1を推進するために、様々な回転速度で作動させることができる。
【0044】
典型的には、船舶用船外機2は、ピボットピンによって、船舶1の船尾部に回動可能に接続されている。ピボットピンの回りの回動により、操作者が公知の方法で水平軸線の回りで船舶用船外機2を傾斜させて位置調整することができる。更に、当技術分野でよく知られているように、船舶用船外機2は、船舶1の船尾部にも回動可能に装着されており、これにより、略直立軸線を中心に回動して、船舶1を操縦することができる。
【0045】
傾斜とは、船舶用船外機2全体が完全に水中から出て上昇することができるように、船舶用船外機2を十分に上昇させる動きである。船舶用船外機2の傾斜動作は、船舶用船外機2の電源を切った状態又は中立状態で行うことができる。しかしながら、いくつかの例では、船舶用船外機2は、浅い海域での作動を可能にするように、傾斜範囲での船舶用船外機2の限定的な運転を可能にするように構成されうる。従って、船舶用エンジンアセンブリは、主に、脚部の長手軸線が実質的に垂直方向にある状態で作動させられる。船舶用船外機2の脚部の長手軸線と実質的に平行である船舶用船外機2のエンジンのクランク軸は、船舶用船外機2の通常動作中では概ね垂直方向に配向されるであろうが、特定の作動条件下、特に浅い水中で船舶で作動させられる場合には、非垂直方向に配向させることもできる。また、エンジンアセンブリの脚部の長手軸線に実質的に平行に配向されている船舶用船外機2のクランク軸は、垂直クランク軸配置と呼ぶこともできる。また、エンジンアセンブリの脚部の長手軸線に対して実質的に垂直に配向された船舶用船外機2のクランク軸は、水平クランク軸配置と呼ぶこともできる。
【0046】
前述したように、適切に作動するためには、船舶用船外機2の下側部分23が水中に延びる必要がある。しかし、極めて浅い海域では、又は、トレーラーから船舶を進水させる際、船舶用船外機2の下側部分23が下方に傾斜した位置にある場合に、海底で引きずられたり、ボートが傾斜したりすることがある。船舶用船外機2を傾斜させて
図2aに示す位置のように上方に傾斜した位置に傾けることによって、下側部分23及びプロペラ8の損傷を防止する。
【0047】
対照的に、位置調整は、
図2b~
図2dの3つの例に示すように、船舶用船外機2を完全に下降した位置から数度上方への比較的に小さな範囲にわたって移動させる機構である。位置調整は、船舶1の燃費と加速と高速作動の最良の組合せを提供する方向にプロペラ8の推力を方向付けるのに役立つ。
【0048】
船舶1が平面上にある場合(船舶1の重量が、静水揚力ではなく、流体力学的揚力によって主に支持される場合)、船首上げ構成は、抗力が比較的少なく、比較的大きな安定性及び効率をもたらす。これは、例えば
図2bに示すように、ボート又は船舶1の中心線が約3度~5度で上向きである場合に一般的に当てはまる。
【0049】
傾斜が多すぎると、
図2cに示す位置などのように、水中で船舶1の船首が高すぎる状態になる。この形態では、船舶1の船体が水を押しており、その結果、より多くの空気抵抗が生じるので、性能と経済性は減少する。上方への傾斜が大きすぎると、プロペラが通気し、性能がさらに低下することもある。さらに厳しい場合には、船舶1が水中を飛び跳ね、操作者と乗客がボード外に投げ出されてしまう可能性がある。
【0050】
下方に傾斜すると、船舶1の船首が下がり、立ち上がりからの加速に役立つ。
図2dに示すように、下方への傾斜が多すぎると、船舶1が水中を「かきわけ(plough)」、燃費が落ちて速度が上がりにくくなる。高速では、下方への傾斜により船舶1が不安定になることさえある。
【0051】
まず、
図1を参照すると、船舶用船外機2を備えた船舶1の概略側面図が示されている。船舶1は、連絡船やスキューバダイビングボートなどの、船舶用船外機と共に使用するのに適した任意の種類の船舶とすることができる。
図1に示す船舶用船外機2が船舶1の船尾部に取り付けられている。船舶用船外機2は、通常、船舶1の船体内に受け入れられている燃料タンク3に接続されている。リザーバ又は燃料タンク3からの燃料は、燃料ライン4を介して船舶用船外機2に供給される。燃料ライン4は、燃料タンク3と船舶用船外機2との間に配置された、1つ又は複数のフィルタと低圧ポンプと(水が船舶用船外機2に入るのを防止するための)分離器タンクを集合的に配置したものとしうる。
【0052】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による船舶用船外機2の概略断面が示されている。船舶用船外機2は、前述した傾斜及び位置調整作動を行うための傾斜及び位置調整機構7を備えている。この実施形態では、傾斜及び位置調整機構7は、電気制御システムを介して船舶用船外機2を傾斜させ位置調整するように作動させることができる流体圧アクチュエータ71を有する。あるいは、操作者が手で船舶用船外機を回動させる、手動の傾斜及び位置調整機構を提供することも実現可能である。
【0053】
以上のように、船舶用船外機2は、概ね3つの部分に分割されている。発動機としても知られる上側部分21は、船舶1に動力を供給するための内燃機関30を有する。カウリング部25が内燃機関30の周囲に配置される。上側部分21又は発動機に隣接して下方に延びている、中間部分22及び下側部分23が設けられている。下側部分23は、中間部分22に隣接して下方に延びており、中間部分22は、上側部分21を下側部分23に接続している。中間部分22は、内燃機関30とプロペラシャフト83との間に延びている駆動軸41を収容し、フローティング・コネクタ53(例えばスプライン接続部)を介して内燃機関のクランク軸31に接続されている。駆動軸27の下側端部には、駆動軸41の回転エネルギーを水平方向にプロペラ8に供給するギアボックス又は伝達装置(変速機)が設けられている。より詳細には、駆動軸41の底端部は、プロペラ8のプロペラシャフト83に回転接続可能な一対のかさ歯車85、86に接続されたかさ歯車43を有しうる。中間部分22及び下側部分23は、排気システムを形成し、これは、内燃機関30の排気ガス出口からの排気ガス及び船舶用船外機2からの排気ガスを輸送するための排気ガス流路を画定する。表面空気がプロペラ8の負圧側に吸い込まれるのを防止する通気防止プレート51により、中間部分22を下側部分23から分離する。船舶用船外機2は、更に、伝達装置(変速機)内に延びているシフトロッド45を有し、これにより、シフト機構が作動される。
【0054】
図3に概略的に示す内燃機関30は、種々の燃焼室又は燃焼シリンダ33a、33b及び33cを有する。燃焼シリンダ33a、33b、33cの各々は、可動ピストン35a、35b及び35cを備えている。可動ピストン35a~35cの各々は、その後端において、当技術分野でよく知られているようにクランク軸31に接続されている。可動ピストン35a~35cは、クランク軸31を、シリンダ33a~33cの燃焼区間から、すなわち、対応する入口弁37a、37b、37c及び出口弁38a、38b及び38cによって制御される入口ポート及び出口ポートから分離する。
図3では、内燃機関は、4ストロークV6ディーゼルエンジンの一方側の模式図の形態で示されている。V字形シリンダバンクには、任意の他の量のシリンダを採用しうることが理解されるであろう。また、当業者は、インライン(直列)配置などの任意の他の配置を代替的に利用することができることを理解するであろう。最後に、
図3は4ストローク型エンジンを図示しているが、本発明の駆動システムは、均等的に、2ストローク型燃焼エンジンとして構築することができる。
【0055】
その上端部には、クランク軸31にフライホイール39が設けられている。
図3に詳細には示されていないが、フライホイールは、クランク軸に接続されたプーリを有する。クランク軸プーリは、タイミングベルト81を介してカムシャフト61の駆動プーリ63に接続されている。
図3は、1つのシリンダバンクのみを示すことが理解されるであろう。このように、実質的に同一の第2のカムシャフトを、V6エンジンの第2のシリンダバンクに設けることができ、前記第2のカムシャフトは、第2のタイミングベルトを介してフライホイール39に接続されている。
【0056】
カムシャフト61は、クランク軸31と平行に、即ち、
図3の実質的に垂直軸線に沿って延びている。一般に知られているように、カムシャフト61は、入口弁37a、37b、37c及び出口弁38a、38b、38cを正確なタイミングで作動させるための様々なカムを有している。クランク軸とカムシャフトとの間の回転速度比は、従来、フライホイール、プーリ及びそれらに対応するタイミングベルトによって設定されている。したがって、内燃機関のこれらの部品は、一般に計時装置と呼ばれる。
【0057】
計時装置を水や塵などの環境の影響から保護しかつ操作者に害を及ぼすリスクを防止するために、エンジンブロック30の上部に保護カバー100を配置することができる。
図3では、保護カバー100がエンジンブロック30の上端部を覆って図示されているが、保護カバーはエンジンブロック30の任意の他の部分にまたがるように配置することもできることが理解されよう。保護カバー100は、
図5及び
図6に関連してより詳細に後述する。
【0058】
図4は、内燃機関30への及びそこからのガス流れの概略図である。内燃機関30は、空気の流れが内燃機関のシリンダに送り出される吸気マニホールド93と、排気ガスがそれによってシリンダから除去される排気マニホールド94とを有している。内燃機関30は、さらに、空気の流れを吸気マニホールド93に送るための吸気経路の一部分を形成する吸気ダクト200を有している。また、空気入口95と、ターボチャージャ60と、給気冷却器91と、排気ガス循環システム70が空気入口経路に沿って配置されている。ターボチャージャ60は、圧縮機ハウジング61と、軸63によって接続されたタービンハウジング62とを有する。タービンハウジング6
2は、その入口側で排気マニホールドダクト64によって排気マニホールド94に接続され、その出口側でターボチャージャ排気ダクト65によって船舶用船外機の排気システムに接続されている。圧縮機ハウジング6
1は、その入口側で入口ダクト96によって空気入口95に接続されており、その出口側で圧縮機出口ダクト97によって給気冷却器91に接続されている。この給気冷却器91は、その出口側で給気ダクト98によって吸気ダクト200に接続されている。EGRシステム70は、その入口側で高温EGRダクト71によって排気マニホールドダクト64に接続されるEGR冷却器を有している。高温EGRダクト71は、ターボチャージャ60の上流の位置で排気マニホールドダクト64から分岐されている。EGR冷却器の出口側は、冷却されたEGRダクト72によって吸気ダクト200に接続されている。給気冷却器91及びEGRシステム70は、吸気ダクト200のための複数の空気供給源を表している。給気ダクト98及び冷却されたEGRダクト72は、複数の空気ダクトを表し、これによって、空気の流れが複数の空気供給源から吸気ダクト200に送られる。
【0059】
動作中、排気ガスは内燃機関内の各シリンダから排出され、排気マニホールド94によってシリンダから離れて排気マニホールドダクト64に方向付けられる。排気ガスの再循環が必要な場合、排気ガスの一部分が排気マニホールドダクト64から高温EGRダクト71を介してEGRシステム70に分流される。残りの排気ガスは、ターボチャージャ60のタービンハウジング62に送られ、ターボチャージャ排気ダクト65を介してターボチャージャ60及び内燃機関を出る前にタービンを駆動するために使用される。再循環された排気ガスは、EGR冷却器によって冷却され、冷却されたEGRダクト72によって吸気ダクト200の入口端201に送られる。一方、周囲の空気は、空気入口95及び入口ダクト96を通って圧縮機ハウジング61内に吸い込まれ、回転している圧縮機によって加圧される。加圧された空気は、圧縮機出口ダクト97によって圧縮機ハウジング61から給気冷却器91に送られ、給気ダクト98を介して吸気ダクト200の入口端201に流入する。給気冷却器91からの冷却された加圧空気と、EGRシステム70からの冷却された排気ガスは、空気の流れとして吸気ダクト200に沿って共に流れ、次いで、吸気ダクト200の出口端202を通って吸気マニホールド93に送られる。
【0060】
内燃機関への空気の流れの測定を容易にするために、内燃機関30は、吸気ダクト200内に配置された流れ検出装置210を有している。流れ検出装置210は、流量計211と、流量計211の上流に位置する鈍頭体212とを有する。鈍頭体212は、吸気ダクト200内の空気の流れに対して横断して配置された扁平状上流面213を有する。扁平状上流面213は、空気の流れの中に延びて、空気の流れの剥離及び渦の生成を促す突出縁部214を有する。流量計211は、吸気ダクト200内の空気の流れの流量を示す信号を生成するように構成された渦流量計である。この例では、流量計211は、吸気ダクト200内の渦220の周波数を測定し、この測定値を周波数信号としてエンジン制御ユニット(図示せず)に出力する。ECUは、当業者によって理解されるように、周波数信号に基づいて流量を計算する。
【0061】
図5は、吸気ダクトが保護カバーに組み込まれている内燃機関の斜視図を示す。図示のように、内燃機関30は、エンジンブロックの上部にまたがって計時装置を保護する、取り外し可能な保護カバー100を有している。保護カバー100は、メンテナンス目的のために容易にアクセスできるように、内燃機関30に取り外し可能に取り付けられている。保護カバー100は、本体101と、吸気ダクト200の少なくとも一部分を形成する取り外し可能なカバー103とを備える。本体101は、三角形状の第1部分101aと円形の第2部分101bとを有している。第1部分101aは、内燃機関の計時装置及びカムシャフトを覆うように構成される。第2部分101bは、クランク軸のフライホイールを覆うように構成されている。本体は、更に、吸気ダクト200の下側部分を形成する開放流路を画定する隆起したフランジ101cを有している。取り外し可能なカバー103は、取り外し可能なカバー103の外側縁部に沿ってかつ本体101の隆起したフランジ101cに沿って配置された複数の取り付け穴125を介して、本体101に取り外し可能に取り付けられている。取り外し可能なカバー103は、隆起したフランジ101cによって画定される開放流路を閉じて、吸気ダクト200を形成する。このようにして、本体101は、吸気ダクトの第1の下側シェルを提供し、取り外し可能なカバー103は、吸気ダクトの第2の上側シェルを提供し、第1シェルと第2シェルは結合して吸気ダクトを画定する。他の例では、保護カバーは、本体及び取り外し可能なカバーを備える2つの片の構成ではなく、吸気ダクトを画定する単一片としうる。吸気ダクト200は、分岐して略Y字形状であり、入口端201において単一の入口105を有し、反対の出口端202において2つの出口107a、107bを有する。入口105が吸気冷却器91に接続されている。出口107a、107bは、空気入口105とは反対側の端部に配置されている。空気出口107a、107bの各々は、それぞれ吸気マニホールド93a、93bに接続されている。吸気ダクト200は、吸気冷却器91からの冷却された吸気を、エンジンの上端部を横切って両方の吸気マニホールド93a、93bに供給する。保護カバー100は、保護カバー100の外側から内燃機関の上端部へのアクセスを提供する修理用開口127を更に含む。この例では、修理用開口127は円形であり、本体101と取り外し可能なカバー103の両方を貫通して延びており、クランク軸の上端部へのアクセスを提供している。他の例では、修理用開口は、取り外し可能なカバー103の提供によって閉じられるように、異なる形状を有していてもよく、かつ/又は、本体101を通ってのみ延びていてもよい。
【0062】
図6は、保護カバーの取り外し可能なカバーが取り外されている、
図5の内燃機関の保護カバーの上側領域を示している。見て分かるように、吸気ダクト200内の流れ検出装置210の鈍頭体212は、扁平状上流面213の下流側にある円筒状部分215を備える。円筒状部分215は、本体101の隆起したフランジ101cの開放流路の底部から上方に延びる環状壁216の外面によって画定される。本体101を貫通する修理用開口127は、環状壁216の内面によって画定される。従って、修理用開口127と鈍頭体212とは、吸気ダクト200内に同一場所にある。吸気ダクト200は、トロイダル部分において修理用開口127の周囲で分岐され、トロイダル部分の下流側で単一の流路部分に収束する。流量計211は、単一の流路部分に位置している。吸気ダクト200は、全体の幅Wdを有する。鈍頭体の扁平状上流面213は、ダクト200内の空気の流れに対して実質的に垂直に延び、この領域内のダクト200の全幅Wdの少なくとも40%である幅Wsを有する。保護カバー100は、また、本体101を通って吸気ダクト200の出口端に向かって延びる更なる修理用開口128を有している。さらなる修理用開口128により、取り外し可能なカバー103が取り外された場合に、保護カバー100全体を取り外す必要はなく、操作者がエンジンの計時装置に迅速にアクセスできるようにすることができる。通常の使用中に修理用開口128を閉じるために、修理用開口128の下端に修理用フラップ(図示せず)を設けうる。
【0063】
動作中、空気の流れは、空気入口105を通って本体101と取り外し可能なカバー103との間に画定された吸気ダクト200に入る。空気の流れは、鈍頭体212に到達すると、上流面213に衝突し、空気流に渦を発生させる。空気は、トロイダル部分の鈍頭体212の周囲の2つの別々の経路に続き、単一の流路部分で結合し、それによって、流量計は渦の周波数を検出して空気流の流量を示す信号を出力する。単一の流路部分から、ダクト200は再び分岐し、2つの吸気マニホールドの間で空気の流れを分割する。
【0064】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して上述したが、添付の特許請求の範囲に規定されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は修正を行いうることが理解されよう。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
内燃機関を有する船舶用船外機であって、前記内燃機関は、
少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、
前記少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、
前記空気の流れを前記吸気口に送るための吸気経路の一部分を形成する吸気ダクトと、
前記吸気ダクト内に配置された流れ検出装置であって、前記吸気ダクトを通る空気の流れの流量を示す信号を生成するように構成された流量計を備えた、流れ検出装置と、
前記流量計の上流の前記吸気ダクト内に配置された鈍頭体とを備え、
前記流量計は渦放出流量計である、船舶用船外機である。
第2の態様は、
前記吸気経路は、前記鈍頭体の上流にある前記吸気ダクトの入口端に接続された複数の空気ダクトを備え、これによって、前記空気の流れが複数の供給源から前記吸気ダクトに送られる、第1の態様における船舶用船外機である。
第3の態様は、
前記内燃機関は、前記少なくとも1つのシリンダからの排気ガスの流れの一部分を、前記複数の空気ダクトの内の1つを介して前記吸気ダクトの前記入口端に再循環させるように構成された排気ガス再循環システムをさらに備える、第2の態様における船舶用船外機である。
第4の態様は、
前記内燃機関は、前記複数の空気ダクトの内の1つを介して前記吸気ダクトの前記入口端に接続された吸気冷却器をさらに備える、第2の態様又は第3の態様における船舶用船外機である。
第5の態様は、
前記鈍頭体は、前記吸気ダクト内の空気の流れに対して横断する扁平状上流面を有する、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第6の態様は、
前記扁平状上流面は、前記吸気ダクトの流れ面積の少なくとも40%を横切って延びている、第5の態様における船舶用船外機である。
第7の態様は、
前記吸気ダクトは、前記鈍頭体の周囲で分岐され、かつ、前記鈍頭体の下流側の単一の流路に収束し、前記流量計は前記単一の流路に配置されている、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第8の態様は、
前記船舶用船外機は、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた保護カバーをさらに備え、前記保護カバーが前記吸気ダクトの少なくとも一部分を画定する、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第9の態様は、
前記吸気ダクトの実質的全長は、前記保護カバーによって規定される、第8の態様における船舶用船外機である。
第10の態様は、
前記保護カバーが計時装置カバーである、第8の態様又は第9の態様における船舶用船外機である。
第11の態様は、
前記保護カバーが、前記保護カバーの外側から前記内燃機関の上端部へのアクセスを提供する修理用開口を備える、第8の態様~第10の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第12の態様は、
前記保護カバーは、前記吸気ダクト内に位置する環状壁を備え、前記鈍頭体は、前記環状壁の外面によって少なくとも部分的に画定され、前記修理用開口は、前記環状壁の内面によって境界付けされる領域内に画定される、第11の態様における船舶用船外機である。
第13の態様は、
前記内燃機関が、実質的に垂直方向クランク軸の軸線の回りを回転するように配置されたクランク軸を備え、前記保護カバーが前記クランク軸の上端部を覆い、前記修理用開口が前記クランク軸の上端部へのアクセスを提供する、第11の態様又は第12の態様における船舶用船外機である。
第14の態様は、
前記保護カバーが、前記内燃機関に取り外し可能に取り付けられた第1シェルと、前記第1シェルに取り外し可能に取り付けられた第2シェルとを備え、前記第1シェル及び前記第2シェルが共に前記吸気ダクトを画定する、第8の態様~第13の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第15の態様は、
前記内燃機関は、垂直軸線の内燃機関である、第1の態様~第14の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第16の態様は、
第1の態様~第15の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機を備える船舶である。