(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ステッピングモータの駆動回路およびその駆動方法、それを用いた電子機器
(51)【国際特許分類】
H02P 8/16 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H02P8/16
(21)【出願番号】P 2021562686
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2020044858
(87)【国際公開番号】W WO2021112125
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2019220370
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】土橋 正典
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光央
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-065806(JP,A)
【文献】特許第6258004(JP,B2)
【文献】特開2007-267553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P8/00-8/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力クロックと同期して、ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する駆動回路であって、
前記ステッピングモータのコイル電流の検出値が電流設定値に近づくようにパルス変調されるパルス変調信号を生成する定電流チョッパ回路と、
前記ステッピングモータのコイル電流が所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成する検出窓生成回路と、
前記検出窓の閉状態において
、前記ステッピングモータのコイルに接続されるフルブリッジ回路
の2つの出力のうち一方をハイ出力に割り当てて前記パルス変調信号に応じてスイッチング制御し、他方をロー出力に割り当ててローに固定し、前記検出窓の開状態において、前記フルブリッジ回路をハイインピーダンス状態とするロジック回路と、
前記検出窓の開状態において、前記コイルの逆起電力を検出する逆起電力検出回路と、
前記逆起電力にもとづいて前記電流設定値をフィードバック制御する電流値設定回路と、
を備
え、
前記ロジック回路は、電流ゼロクロス検出に先だって、前記入力クロックのポジエッジと同期して、前記フルブリッジ回路の2つの出力それぞれのハイ出力・ロー出力を逆転させて、ハイ出力におけるスイッチング制御を停止してハイに固定し、前記コイル電流を減少させ、
続いて、前記検出窓生成回路は、前記コイル電流が前記しきい値と交差したタイミングを前記検出窓の始点とし、
続いて、前記ロジック回路は、前記検出窓の終点において、前記フルブリッジ回路の前記2つの出力を、前記検出窓の始点の直前の状態に戻して、前記パルス変調信号にもとづく制御を再開することを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記ステッピングモータの回転数に反比例する周期を検出する回転数検出回路をさらに備え、
前記検出窓は、前記周期の長さに所定の係数を乗じた長さを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記係数の設定データを外部のプロセッサから受信するインタフェース回路と、
前記インタフェース回路が受信した前記設定データを保持するレジスタと、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記逆起電力検出回路による前記逆起電力の検出が完了すると、前記検出窓を終了することを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記フルブリッジ回路に設けられた検出抵抗の電圧降下に応じた電流検出信号を、しきい値と比較し、前記電流検出信号が前記しきい値より小さくなると、ゼロ電流検出信号をアサートするゼロ電流検出回路をさらに備え、
前記検出窓生成回路は、前記ゼロ電流検出信号のアサートを、前記検出窓の始点とすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項6】
前記コイルの端子電圧をしきい値電圧と比較し、前記コイルの端子電圧が前記しきい値電圧とクロスすると、ゼロ電流検出信号をアサートするゼロ電流検出回路をさらに備え、
前記検出窓生成回路は、前記ゼロ電流検出信号のアサートを、前記検出窓の始点とすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項7】
前記定電流チョッパ回路は、
前記コイル電流の検出値を、前記電流設定値にもとづくしきい値と比較するコンパレータと、
所定の周波数で発振するオシレータと、
前記コンパレータの出力に応じてオフレベルに遷移し、前記オシレータの出力に応じてオンレベルに遷移する前記パルス変調信号を出力するフリップフロップと、
を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項8】
ひとつの半導体基板に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項9】
ステッピングモータと、
前記ステッピングモータを駆動する請求項1から8のいずれかに記載の駆動回路と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
入力クロックと同期して、ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する駆動方法であって、
前記ステッピングモータのコイル電流の検出値が電流設定値にもとづく目標量に近づくようにパルス変調されるパルス変調信号を生成するステップと、
前記ステッピングモータのコイル電流が所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成するステップ
と、
前記検出窓の閉状態において
、前記パルス変調信号に応じて、
前記ステッピングモータのコイルに接続されるフルブリッジ回路
の2つの出力のうち一方をハイ出力に割り当てて前記パルス変調信号に応じてスイッチング制御し、他方をロー出力に割り当ててローに固定するステップと、
前記検出窓の開状態において、前記フルブリッジ回路をハイインピーダンス状態とするステップと、
前記検出窓の開状態において、前記コイルの逆起電力を検出するステップと、
前記逆起電力にもとづいて前記電流設定値をフィードバック制御するステップと、
を備え、
電流ゼロクロス検出に先立ち、前記入力クロックのポジエッジと同期して、前記フルブリッジ回路の2つの出力それぞれのハイ出力・ロー出力を逆転させ、ハイ出力におけるスイッチング制御を停止してハイに固定し、それにより、前記コイル電流を減少させて、前記コイル電流が前記しきい値と交差するタイミングを待機し、
前記検出窓の終点において、前記フルブリッジ回路の前記2つの出力を、前記検出窓の始点の直前の状態に戻して、前記パルス変調信号にもとづく制御を再開することを特徴とする駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステッピングモータの駆動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、電子機器、産業機械、ロボットにおいて広く採用される。ステッピングモータは、ホストコントローラが生成する入力クロックに同期して回転する同期モータであり、起動、停止、位置決めに優れた制御性を持っている。さらにステッピングモータは、オープンループでの位置制御が可能であり、またデジタル信号処理に適するという特性を有する。
【0003】
図1は、従来のステッピングモータとその駆動回路を備えるモータシステムのブロック図である。ホストコントローラ2は、駆動回路4に対して、入力クロックCLKを供給する。ステッピングモータ6は、第1コイルL1と第2コイルL2を含む。ステッピングモータ6のロータの位置は、第1コイルL1と第2コイルL2それぞれに流れる電流I
OUT1,I
OUT2の組み合わせに応じて定まる。
【0004】
駆動回路4は、第1コイルL1、第2コイルL2と接続されるフルブリッジ回路8_1,8_2を含む。駆動回路4は、入力クロックCLKと同期して、2個のフルブリッジ回路8_1,8_2の状態を変化させ、これにより電流IOUT1,IOUT2の組み合わせ(励磁位置)を変化させる。
【0005】
図2は、励磁位置を説明する図である。励磁位置は、ステッピングモータ6の2個のコイルL1,L2に流れるコイル電流(駆動電流)I
OUT1,I
OUT2の組み合わせとして把握される。
図2には、8個の励磁位置1~8が示されている。
【0006】
ステッピングモータには、いくつかの励磁方式がある。
1相励磁では、第1コイルL1と第2コイルL2に交互に電流が流れ、励磁位置2,4,6,8を遷移する。2相励磁では、第1コイルL1と第2コイルL2の両方に電流が流れ、励磁位置1,3,5,7を遷移する。1-2相励磁では、1相励磁と2相励磁の組み合わせであり、励磁位置1~8を遷移する。マイクロステップ駆動では、さらに励磁位置が細かく制御される。
【0007】
図3は、1-2相励磁における駆動回路の動作波形図である。この例では、クロックCLKの1パルスごとに、
図2の励磁位置1~8を時計回りに順に遷移していく。OUT1A,OUT1Bは、フルブリッジ回路8_1の状態を、OUT2A,OUT2Bは、フルブリッジ回路8_2の状態を示している。具体的には、「H」は、ハイ電圧を出力する状態を、「L」は、ロー電圧を出力する状態を、「HZ」は、ハイインピーダンス状態を示す。
【0008】
通常状態において、ステッピングモータのロータは、入力クロック数に比例したステップ角ずつ同期して回転する。ところが、急な負荷変動や速度変化が生ずると同期が失われる。これを脱調という。ひとたび脱調すると、その後、ステッピングモータを正常に駆動するために特別な処理が必要となるため、脱調を防止することが望まれる。
【0009】
モータを一定の高トルクで駆動すれると、脱調のリスクは低下するが、それと引き換えに効率が低下する。モータを低トルクで駆動すれば、効率は改善するが、脱調のリスクが高まる。特許文献5には、脱調を防止しつつ、出力トルク(すなわち電流量)をフィードバックにより最適化することにより、消費電力を低減して効率を改善する技術(本明細書において高効率モードと称する)が提案されている。この高効率モードでは、モータのコイルに発生する逆起電力を検出し、逆起電力にもとづいて負荷角を推定し、推定した負荷角が所定の目標値に近づくように、電流指令値、すなわちトルクをフィードバック制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平9-103096号公報
【文献】特開2004-120957号公報
【文献】特開2000-184789号公報
【文献】特開2004-180354号公報
【文献】特許第6258004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
逆起電力を検出するためには、コイルに接続されるブリッジ回路の出力をハイインピーダンスとする必要がある。1相励磁、あるいは1-2相励磁方式では、励磁位置4,8においてコイルL1側のフルブリッジ回路8_1がハイインピーダンスとなり、コイルL1の逆起電力が検出でき、励磁位置2,6においてコイルL2側のフルブリッジ回路8_2がハイインピーダンスとなり、コイルL2の逆起電力が検出できる。つまり高効率モードの適用は、1-2相励磁、あるいは1相励磁に限定され、2相両方のコイルに常に電流が流れる2相励磁に適用できなかった。
【0012】
本開示はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ステッピングモータを2相励磁方式にて高効率に駆動可能な駆動回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のある態様は、入力クロックと同期して、ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する駆動回路に関する。駆動回路は、ステッピングモータのコイル電流の検出値が電流設定値に近づくようにパルス変調されるパルス変調信号を生成する定電流チョッパ回路と、ステッピングモータのコイル電流が所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成する検出窓生成回路と、検出窓の開状態において、ステッピングモータのコイルに接続されるフルブリッジ回路をハイインピーダンス状態とするとともに、検出窓の閉状態においてパルス変調信号に応じて、フルブリッジ回路を制御するロジック回路と、検出窓の開状態において、コイルの逆起電力を検出する逆起電力検出回路と、逆起電力にもとづいて電流設定値をフィードバック制御する電流値設定回路と、を備える。
【0014】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本開示のある態様によれば、ステッピングモータを2相励磁方式にて高効率に駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来のステッピングモータとその駆動回路を備えるモータシステムのブロック図である。
【
図3】1-2相励磁における駆動回路の動作波形図である。
【
図4】実施形態に係る駆動回路を備えるモータシステムのブロック図である。
【
図5】
図4の駆動回路による2相励磁駆動の簡略化したタイムチャートである。
【
図6】
図4の駆動回路による逆起電力の検出を説明する波形図である。
【
図8】変形例に係るゼロ電流検出回路の回路図である。
【
図9】
図8のゼロ電流検出回路による電流ゼロクロスの検出を説明する図である。
【
図10】
図10(a)~(c)は、駆動回路を備える電子機器の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0018】
一実施形態に係る駆動回路は、入力クロックと同期して、ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する。駆動回路は、ステッピングモータのコイル電流の検出値が電流設定値に近づくようにパルス変調されるパルス変調信号を生成する定電流チョッパ回路と、ステッピングモータのコイル電流が所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成する検出窓生成回路と、検出窓の開状態において、ステッピングモータのコイルに接続されるフルブリッジ回路をハイインピーダンス状態とするとともに、検出窓の閉状態においてパルス変調信号に応じて、フルブリッジ回路を制御するロジック回路と、検出窓の開状態において、コイルの逆起電力を検出する逆起電力検出回路と、逆起電力にもとづいて電流設定値をフィードバック制御する電流値設定回路と、を備える。
【0019】
2相励磁方式では、ある励磁位置とある励磁位置の境界の近傍においてコイル電流がゼロクロスする。そこでコイル電流のゼロクロスを検出し、励磁位置と励磁位置の境界に、逆起電力の検出窓を設けることにより、通常の定電流チョッパ制御に与える影響を最小限に抑えつつ、逆起電力を正確に検出でき、高効率モードにおける電流指令値のフィードバック制御に反映できる。
【0020】
一実施形態において、駆動回路は、ステッピングモータの回転数に反比例する周期を検出する回転数検出回路をさらに備えてもよい。検出窓は、周期の長さに所定の係数を乗じた長さを有してもよい。これにより、回転周期に対する検出窓の長さの比率を安定化できる。
【0021】
一実施形態において、駆動回路は、係数の設定値を保持するレジスタをさらに備えてもよい。レジスタの設定値を書き換えることにより、検出窓の長さを制御できる。
【0022】
一実施形態において、検出窓生成回路は、逆起電力検出回路による逆起電力の検出が完了すると、検出窓を終了してもよい。この場合、検出窓の長さを最小限に留めることができ、定電流チョッパ制御に与える影響をさらに抑えることができる。
【0023】
一実施形態において、駆動回路は、フルブリッジ回路に設けられた検出抵抗の電圧降下に応じた電流検出信号を、しきい値と比較し、電流検出信号がしきい値より小さくなると、ゼロ電流検出信号をアサートするゼロ電流検出回路をさらに備えてもよい。検出窓生成回路は、ゼロ電流検出信号のアサートを、検出窓の始点としてもよい。
【0024】
一実施形態において、定電流チョッパ回路は、コイル電流の検出値を、電流設定値にもとづくしきい値と比較するコンパレータと、所定の周波数で発振するオシレータと、コンパレータの出力に応じてオフレベルに遷移し、オシレータの出力に応じてオンレベルに遷移するパルス変調信号を出力するフリップフロップと、を含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、駆動回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0026】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0030】
図4は、実施形態に係る駆動回路200を備えるモータシステム100のブロック図である。駆動回路200は、ステッピングモータ102およびホストコントローラ2とともにモータシステム100を構成する。ステッピングモータ102は、PM(Permanent Magnet)型、VR型(Variable Reluctance)型、HB(Hybrid)型のいずれであってもよい。
【0031】
駆動回路200の入力ピンINには、ホストコントローラ2から入力クロックCLKが入力される。また駆動回路200の方向指示ピンDIRには、時計回り(CW)、反時計回り(CCW)を指示する方向指示信号DIRが入力される。
【0032】
駆動回路200は、入力クロックCLKが入力されるたびに、方向指示信号DIRに応じた方向に、ステッピングモータ102のロータを所定角、回転させる。
【0033】
駆動回路200は、フルブリッジ回路202_1,202_2、電流値設定回路210、逆起電力検出回路230、回転数検出回路232、定電流チョッパ回路250_1,250_2、検出窓生成回路260、ロジック回路270を備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化される。
【0034】
本実施形態において、ステッピングモータ102は2相モータであり、第1コイルL1と第2コイルL2を含む。駆動回路200は、2相励磁によりステッピングモータ102を駆動可能に構成される。
【0035】
第1チャンネルCH1のフルブリッジ回路202_1は、第1コイルL1と接続される。第2チャンネルCH2のフルブリッジ回路202_2は、第2コイルL2と接続される。
【0036】
フルブリッジ回路202_1、202_2はそれぞれ、4つのトランジスタM1~M4を含むHブリッジ回路である。フルブリッジ回路202_1のトランジスタM1~M4は、ロジック回路270からの制御信号CNT1にもとづいてスイッチングされ、それにより、第1コイルL1の電圧(第1コイル電圧ともいう)VOUT1がスイッチングされる。
【0037】
フルブリッジ回路202_2は、フルブリッジ回路202_1と同様に構成され、そのトランジスタM1~M4は、ロジック回路270からの制御信号CNT2にもとづいてスイッチングされ、それにより、第2コイルL2の電圧(第2コイル電圧ともいう)VOUT2がスイッチングされる。
【0038】
電流値設定回路210は、電流設定値IREFを生成する。ステッピングモータ102の始動直後は、電流設定値IREFはある所定値(フルトルク設定値という)IFULLに固定される。所定値IFULLは、電流設定値IREFが取り得る範囲の最大値としてもよく、この場合、ステッピングモータ102はフルトルクで駆動される。この状態を高トルクモードと称する。
【0039】
ステッピングモータ102が安定的に回転しはじめると、言い換えると脱調のおそれが低下すると、高効率モードに遷移する。電流値設定回路210は高効率モードにおいて、電流設定値IREFを、コイルL1,L2の逆起電力VBEMF1,VBEMF2にもとづいてフィードバック制御により調整し、これにより消費電力を削減する。
【0040】
定電流チョッパ回路250_1は、第1コイルL1の通電中に、第1コイルL1に流れるコイル電流IOUT1の検出値INF1が電流設定値IREFにもとづく目標量に近づくようにパルス変調されるパルス変調信号SPWM1を生成する。定電流チョッパ回路250_2は、第2コイルL2に通電中に、第2コイルL2に流れるコイル電流IOUT2の検出値INF2が電流設定値IREFに近づくようにパルス変調されるパルス変調信号SPWM2を生成する。
【0041】
コイル電流IOUT1,IOUT2の検出方法は限定されないが、たとえばフルブリッジ回路202_1,202_2はそれぞれ、電流検出抵抗RNFを含み、電流検出抵抗RNFの電圧降下を、コイル電流IOUTの検出値とすることができる。なお、電流検出抵抗RNFの位置は限定されず、電源側に設けてもよいし、フルブリッジ回路202_#(以下、#は、チャンネル番号1,2を表すものとする。)の2つの出力OUT#A,OUT#Bの間に、駆動対象のコイルL#と直列に設けてもよい。
【0042】
ロジック回路270は、パルス変調信号SPWM1に応じて、第1コイルL1に接続されるフルブリッジ回路202_1の2本のレグの出力のうち一方をスイッチングする。またロジック回路270は、パルス変調信号SPWM2に応じて、第2コイルL2に接続されるフルブリッジ回路202_2の2本のレグの出力のうち一方をスイッチングする。
【0043】
ロジック回路270は、入力クロックCLKが入力される度に、励磁位置を変化させ、各コイルL1,L2に印加する電圧VOUT1,VOUT2を切り替える。励磁位置は、第1コイルL1のコイル電流と第2コイルL2それぞれのコイル電流の大きさと向きの組み合わせとして把握される。励磁位置は、入力クロックCLKのポジエッジのみに応じて遷移してもよいし、ネガエッジのみに応じて遷移してもよいし、それらの両方に応じて遷移してもよい。
【0044】
検出窓生成回路260は、ステッピングモータ102のコイル電流IOUT1の大きさが所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成する。たとえば検出窓生成回路260は、第1コイルL1側の逆起電力の検出期間の間、開状態を示す第1レベル(たとえばハイレベル)となり、それ以外の非検出期間、閉状態を示す第2レベル(たとえばローレベル)となるパルスの検出窓信号BEMF_WIND1を生成する。同様にして、検出窓生成回路260は、コイル電流IOUT2の大きさが所定のしきい値より小さくなるタイミングを始点とする検出窓を生成する。検出窓信号BEMF_WIND1,BEMF_WIND2は、ロジック回路270に供給される。
【0045】
ロジック回路270は、検出窓信号BEMF_WIND#の開状態において、対応するフルブリッジ回路202_#の出力をハイインピーダンス状態とする。またロジック回路270は、検出窓信号BEMF_WIND#の閉状態においてパルス変調信号SPWM#に応じて、フルブリッジ回路202_#を制御する。
【0046】
逆起電力検出回路230は、検出窓信号BEMF_WIND#の開状態において、コイルL#の端子電圧にもとづく逆起電力VBEMF#を検出する。逆起電力VBEMF1,VBEMF2は、高効率モードにおける電流設定値IREFのフィードバック制御のために、電流値設定回路210に供給される。
【0047】
回転数検出回路232は、ステッピングモータ102の回転数(角速度ω)を取得し、回転数ωを示す検出信号(回転数検出信号)を生成する。たとえば回転数検出回路232は、回転数ωの逆数に比例する周期T(=2π/ω)を測定し、周期Tを検出信号(周期検出信号)として出力してもよい。脱調が生じていない状況では、入力パルスINの周波数(周期)は、ステッピングモータ102の回転数(周期)と比例する。したがって回転数検出回路232は、入力パルスIN、またはそれにもとづいて生成される内部信号の周期を測定し、周期検出信号としてもよい。
【0048】
本実施形態において周期検出信号Tは、検出窓生成回路260に供給される。検出窓生成回路260は、周期検出信号Tにもとづいて、検出窓信号BEMF_WINDの開状態の長さ(検出期間)の長さを設定する。具体的には検出期間は、周期Tの長さに所定の係数(k<1)を乗じた長さを有する。
【0049】
たとえば係数kは、1/32,1/16,1/8,1/4(=1/2n)などに設定することができる。この場合、周期Tを示すデジタル値をビットシフトすることにより、検出期間の長さを取得することができる。
【0050】
以上が駆動回路200の構成である。続いてその動作を説明する。
図5は、
図4の駆動回路200による2相励磁駆動の簡略化したタイムチャートである。ロジック回路270は入力クロックCLKと同期して、励磁位置を1,3,5,7の順(またはその逆順)に変化させる。
【0051】
図6は、
図4の駆動回路200による逆起電力の検出を説明する波形図である。ここでは
図5における励磁位置1番から3番への遷移に着目し、第1コイルL1の逆起電力V
BEMF1の検出を説明する。
【0052】
時刻t0に励磁位置1に遷移する。励磁位置1の間、定電流チョッパ制御が行われる。具体的には、定電流チョッパ回路250_1は、コイル電流IOUT1が電流指令値IREFに近づくようにPWM信号SPWM1を生成する。フルブリッジ回路202_1の第1レグ(M1,M3)の出力OUT1Aは、PWM信号SPWM1にもとづいてスイッチングし、第2レグ(M2,M4)の出力OUT1Bはローに固定される。
【0053】
時刻t1に励磁位置3に遷移すると、OUT1Aがロー、OUT2Aがハイとなり、コイル電流IOUT1が減少し始める。
【0054】
時刻t2にコイル電流IOUT1がゼロ付近のしきい値と交差すると、検出窓生成回路260は検出窓信号BEMF_WIND1をハイとし、(k×T)経過後の時刻t3に、検出窓信号BEMF_WIND1をローとする。この例ではk=1/8である。
【0055】
ロジック回路270は、検出窓信号BEMF_WIND1がハイの間、すなわち検出窓の開状態において、OUT1A,OUT1Bの両方をハイインピーダンスとする。この場合、逆起電力検出回路230は、第1コイルL1の両端の電圧VOUT1A,VOUT1Bの電位差を、逆起電力VBEMF1として取得する。
【0056】
あるいは検出窓の開状態において、フルブリッジ回路202_1の出力OUT1Bをハイインピーダンス、別の出力OUT1Aをローとしてもよい。この間に、逆起電力検出回路230は、第1コイルL1のOUT1B側の端子電圧VOUT1Bを、逆起電力VBEMF1として取得してもよい。
【0057】
電流値設定回路210は、逆起電力VBEMF1にもとづいて、電流指令値IREFを更新する。定電流チョッパ回路250_1は、コイル電流IOUT1が新たな電流指令値IREFに近づくようにPWM信号SPWM1を生成する。フルブリッジ回路202_1の第2レグ(M2,M4)の出力OUT1Bは、PWM信号SPWM1にもとづいてスイッチングし、第1レグ(M1,M3)の出力OUT1Aはローに固定される。
【0058】
以上が駆動回路200の動作である。
2相励磁方式では、ある励磁位置(1)とある励磁位置(3)の境界の近傍においてコイル電流IOUT1がゼロクロスする。そこでコイル電流IOUT1のゼロクロスを検出し、励磁位置(1)と励磁位置(3)の境界に、逆起電力VBEMF1の検出窓を設けることにより、通常の定電流チョッパ制御に与える影響を最小限に抑えつつ、逆起電力VBEMF1を正確に検出でき、高効率モードにおける電流指令値のフィードバック制御に反映できる。
【0059】
図6に示すように、励磁位置1と3の境界の検出窓に加えて、あるいはそれに代えて、励磁位置5と7の境界に検出窓を設けてもよい。検出窓を2箇所に増やすことにより、高効率モードにおける電流指令値I
REFの制御周期を短くでき、応答性を高めることができる。
【0060】
ここでは第1コイルL1の逆起電力の検出を説明したが、第2コイルL2について同様にして逆起電力を検出することができる。
【0061】
図7は、駆動回路200の構成例を示す回路図である。
図7には、第1コイルL1に関連する部分のみが示される。
【0062】
電流値設定回路210について説明する。電流値設定回路210は、フィードバックコントローラ220、フィードフォワードコントローラ240、マルチプレクサ212を含む。フィードフォワードコントローラ240は、始動開始直後の高トルクモードにおいて使用される固定的な電流設定値Ix(=IFULL)を出力する。この電流設定値Ixは、脱調を防止するために大きな値に設定される。
【0063】
フィードバックコントローラ220は、高効率モードにおいてアクティブとなり、逆起電力VBEMFにもとづいてフィードバック制御される電流設定値Iyを出力する。
【0064】
マルチプレクサ212は、モード選択信号MODEに応じて、2つの信号Ix,Iyの一方を選択し、電流設定値Irefとして出力する。
【0065】
フィードバックコントローラ220は、負荷角推定部222、減算器224、PI(比例・積分)制御器226を含む。
【0066】
フィードバックコントローラ220は、推定された負荷角φが所定の目標角φREFに近づくように、電流設定値Iyを生成する。具体的には減算器224は、負荷角φに応じた検出値cosφとその目標値cos(φREF)の誤差ERRを生成する。PI制御器226は、誤差ERRがゼロとなるようにPI制御演算を行い、電流設定値Iyを生成する。フィードバックコントローラ220の処理は、誤差増幅器を用いたアナログ回路でも実現可能である。
【0067】
定電流チョッパ回路250_1は、D/Aコンバータ252、PWMコンパレータ254、オシレータ256、フリップフロップ258を含む。D/Aコンバータ252は、電流設定値IREFをアナログ電圧VREFに変換する。PWMコンパレータ254は、フィードバック信号INF1を基準電圧VREFと比較し、INF1>VREFとなると、オフ信号SOFFをアサート(ハイ)する。オシレータ256は、チョッピング周波数を規定する周期的なオン信号SONを生成する。フリップフロップ258は、オン信号SONに応じてオンレベル(たとえばハイ)に遷移し、オフ信号SOFFに応じてオフレベル(たとえばロー)に遷移するPWM信号SPWM1を出力する。
【0068】
上述したように逆起電力検出回路230は、ステッピングモータ102のコイルL1(L2)に生ずる逆起電力VBEMF1(VBEMF2)を検出する。
【0069】
回転数検出回路232は、ステッピングモータ102の回転数(角速度ω)を取得し、回転数ωを示す検出信号を生成する。たとえば回転数検出回路232は、回転数ωの逆数に比例する周期T(=2π/ω)を測定し、周期Tを検出信号として出力してもよい。脱調が生じていない状況では、入力パルスINの周波数(周期)は、ステッピングモータ102の回転数(周期)と比例する。したがって回転数検出回路232は、入力パルスIN、またはそれにもとづいて生成される内部信号の周期を測定し、検出信号としてもよい。
【0070】
負荷角推定部222は、逆起電力VBEMFおよび回転数ωにもとづいて負荷角φを推定する。負荷角φは、第1コイルL1に流れる駆動電流で定まる電流ベクトル(つまり位置指令)と、ロータ(可動子)の位置の差に相当する。逆起電力VBEMF1は、以下の式(1)で与えられる。
VBEMF=KE・ω・cosφ …(1)
KEは逆起電力定数、ωは回転数である。したがって、逆起電力VBEMFと回転数ωを測定することで、負荷角φと相関を有する検出値を生成することができる。たとえば、cosφを検出値としてもよく、この場合、検出値は式(2)で表される。
cosφ=VBEMF・ω-1/KE
=VBEMF・(T/2π)・KE
-1 …(2)
【0071】
ゼロ電流検出回路290は、コイル電流IOUT1の絶対値が、所定のしきい値IZEROより小さくなると、ゼロ電流検出信号SZCをアサート(たとえばハイ)する。その限りでないが、ゼロ電流検出回路290は、フルブリッジ回路202_1に設けられた検出抵抗RNFの電圧降下に応じた電流検出信号INF1を、しきい値電圧VZEROと比較するコンパレータ292を含んでもよい。検出窓生成回路260は、ゼロ電流検出信号SZCのアサートを、検出窓の始点とする。
【0072】
駆動回路200は、インタフェース回路280およびレジスタ282を備える。インタフェース回路280は、係数kの設定データを、外部のプロセッサ(たとえば
図4のホストコントローラ2)から受信する。レジスタ282は、インタフェース回路280が受信した設定データを保持する。インタフェースの種類は限定されないが、たとえばI
2C(Inter IC)インタフェースやSPI(Serial Peripheral Interface)などを用いてもよい。
【0073】
以上、実施形態について説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0074】
(変形例1)
図7の駆動回路200では、ゼロ電流検出回路290は、電流検出抵抗R
Fの電圧降下にもとづいてコイル電流I
OUT1のゼロクロスを検出したがその限りでない。たとえばゼロ電流検出回路290は、コイルL1の端子電圧にもとづいて、コイル電流I
OUT1のゼロクロスを検出してもよい。
【0075】
図8は、変形例に係るゼロ電流検出回路290Aの回路図である。ゼロ電流検出回路290は、コイルL1の端子電圧V
OUT1Aをゼロ近傍のしきい値電圧V
ZCと比較するコンパレータ294を含む。
【0076】
図9は、
図8のゼロ電流検出回路290Aによる電流ゼロクロスの検出を説明する図である。時刻t
0より前の期間、OUT1A側がPWM信号によってチョッパ制御される。PWM信号のハイ区間において、端子電圧V
OUT1Aは、式(3)で表される。
V
OUT1A=V
DD-R
ON1×I
OUT1 …(3)
となる。R
ON1はトランジスタM1のオン抵抗である。またPWM信号のロー区間において、端子電圧V
OUT1Aは式(4)で表される。
V
OUT1A=-(R
NF+R
ON3)×I
OUT1 …(4)
R
ON3はトランジスタM3のオン抵抗である。
【0077】
時刻t1にOUT1Aがロー、OUT1Bがハイとなると、コイル電流IOUT1が減少し始める。このときOUT1A端子の電圧VOUT1Aは式(4)で表される。したがってコイル電流IOUT1の減少とともに、端子電圧VOUT1Aは増大していく。コイル電流IOUT1がゼロ近傍のしきい値IZCまで小さくなると、端子電圧VOUT1Aは、電流IZCに対応するしきい値VZCとクロスし、ゼロ電流検出信号SZCがアサートされる。
【0078】
(変形例2)
実施形態では、検出窓の長さを、ステッピングモータ102の回転数に追従して変化させたが、その限りでない。たとえば、検出窓生成回路260は、逆起電力検出回路230による逆起電力VBEMFの検出が完了すると、検出窓を終了してもよい。この場合、検出窓の長さを最小限に留めることができ、定電流チョッパ制御に与える影響をさらに抑えることができる。
【0079】
(変形例3)
フルブリッジ回路202は、駆動回路200とは別チップであってもよいし、ディスクリート部品であってもよい。
【0080】
(変形例4)
高効率モードにおける電流設定値Iyの生成方法は、実施形態で説明したものに限定されない。たとえば逆起電力VBEMF1の目標値VBEMF(REF)を定めておき、逆起電力VBEMF1が目標値VBEMF(REF)に近づくように、フィードバックループを構成してもよい。
【0081】
(変形例5)
実施形態ではフィードバックコントローラ220をPI制御器で構成したがその限りでなく、PIDコントローラなどを採用してもよい。
【0082】
最後に、駆動回路200の用途を説明する。駆動回路200は、さまざまな電子機器に利用される。
図10(a)~(c)は、駆動回路200を備える電子機器の例を示す斜視図である。
【0083】
図10(a)の電子機器は、光ディスク装置500である。光ディスク装置500は、光ディスク502と、ピックアップ504、を備える。ピックアップ504は、光ディスク502にデータを書き込み、読み出すために設けられる。ピックアップ504は、光ディスク502の記録面上を、光ディスクの半径方向に可動となっている(トラッキング)。また、ピックアップ504と光ディスクの距離も可変となっている(フォーカシング)。ピックアップ504は、図示しないステッピングモータにより位置決めされる。駆動回路200は、ステッピングモータを制御する。この構成によれば、脱調を防止しながら高効率で、ピックアップ504を高精度に位置決めできる。
【0084】
図10(b)の電子機器は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話端末など、撮像機能付きデバイス600である。デバイス600は、撮像素子602、オートフォーカス用レンズ604を備える。ステッピングモータ102は、オートフォーカス用レンズ604の位置決めを行う。駆動回路200はステッピングモータ102を駆動するこの構成によれば、脱調を防止しながら高効率で、オートフォーカス用レンズ604を高精度に位置決めできる。オートフォーカス用レンズの他、手ぶれ補正用のレンズの駆動に駆動回路200を用いてもよい。あるいは駆動回路200は、絞り制御に用いてもよい。
【0085】
図10(c)の電子機器は、プリンタ700である。プリンタ700は、ヘッド702、ガイドレール704を備える。ヘッド702は、ガイドレール704に沿って位置決め可能に支持されている。ステッピングモータ102は、ヘッド702の位置を制御する。駆動回路200は、ステッピングモータ102を制御する。この構成によれば、脱調を防止しながら高効率で、ヘッド702を高精度に位置決めできる。ヘッド駆動用のほか、用紙送り機構用のモータの駆動に、駆動回路200を用いてもよい。
【0086】
駆動回路200は、
図10(a)~(c)に示すような民生機器のみでなく、産業機器やロボットも好適に用いることができる。
【0087】
実施形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ステッピングモータの駆動技術に関する。
【符号の説明】
【0089】
L1 第1コイル
L2 第2コイル
2 ホストコントローラ
100 モータシステム
102 ステッピングモータ
200 駆動回路
202 フルブリッジ回路
RNF 検出抵抗
210 電流値設定回路
212 マルチプレクサ
214 加算器
220 フィードバックコントローラ
222 負荷角推定部
224 減算器
226 PI制御器
230 逆起電力検出回路
232 回転数検出回路
240 フィードフォワードコントローラ
250 定電流チョッパ回路
252 D/Aコンバータ
254 PWMコンパレータ
256 オシレータ
258 フリップフロップ
260 検出窓生成回路
270 ロジック回路
290 ゼロ電流検出回路
292 コンパレータ
280 インタフェース回路