(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】端子接続構造、およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20240709BHJP
H01R 35/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R35/00 A
(21)【出願番号】P 2022004986
(22)【出願日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山村 圭
(72)【発明者】
【氏名】早坂 暢
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 純
(72)【発明者】
【氏名】小門 健人
(72)【発明者】
【氏名】石原 知宏
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-038793(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055806(WO,A1)
【文献】実開昭59-072685(JP,U)
【文献】実開平06-072218(JP,U)
【文献】特開2017-143018(JP,A)
【文献】特開2015-082466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
H01R35/00-35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の素線径を有する導電性の金属線を編んで円筒形状に形成されており、第一端部および第二端部を有する第一編組線と、
第二の素線径を有する導電性の金属線を編んで円筒形状に形成されており、前記第一編組線の内方に収容されて前記第一端部から前記第二端部まで延在している第二編組線と、
前記第一端部に接合された加締め部を有し、かつ前記第一編組線および前記第二編組線の両方に電気的に接続された第一端子と、
前記第二端部に接合された加締め部を有し、かつ前記第一編組線および前記第二編組線の両方に電気的に接続された第二端子と、
を備え、
前記第一の素線径が前記第二の素線径よりも大きく、
前記第二端子は、前記第二端子の加締め部および前記第一編組線および前記第二編組線の軸方向が一致するように前記第一編組線および前記第二編組線に対して接合され、
前記軸方向と直交する断面において、前記第一端子の加締め部が有する底壁の幅方向
および当該幅方向と直交する方向の両方に対して、前記第二端子の加締め部が有する底壁の幅方向が傾斜している
ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されており、加締め部を有し、相手方の端子と接続される第一端子と、
前記ハウジングに収容されており、加締め部を有し、かつ電線に接続される第二端子と、
前記第一端子に接合された第一端部、および前記第二端子に接合された第二端部を有し、前記第一端子と前記第二端子とを電気的に接続する接続導体と、
を備え、
前記接続導体は、
第一の素線径を有する導電性の金属線を編んで円筒形状に形成されており、かつ前記第一端部および前記第二端部を有する第一編組線と、
第二の素線径を有する導電性の金属線を編んで円筒形状に形成されており、かつ前記第一編組線の内方に収容されて前記第一端部から前記第二端部まで延在している第二編組線と、
を有し、
前記第一端子の加締め部は、前記第一端部において前記第一編組線および前記第二編組線の両方に電気的に接続され、
前記第二端子の加締め部は、前記第二端部において前記第一編組線および前記第二編組線の両方に電気的に接続され、
前記第一の素線径が前記第二の素線径よりも大きく、
前記第二端子は、前記第二端子の加締め部および前記接続導体の軸方向が一致するように前記接続導体に対して接合され、
前記軸方向と直交する断面において、前記第一端子の加締め部が有する底壁の幅方向
および当該幅方向と直交する方向の両方に対して、前記第二端子の加締め部が有する底壁の幅方向が傾斜している
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記第二端子は、締結部材によって前記ハウジングに固定されている
請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続構造、コネクタ、および接続導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続導体によって端子を接続する技術がある。特許文献1には、相手端子と嵌合接続される機器側端子と、電線の端末に接続され、かつハウジングに対して固定される電線側端子と、機器側端子と電線側端子との間に亘って接続され軸方向に伸縮可能な接続導体と、を有するコネクタが開示されている。特許文献1のコネクタは、接続導体として、長さ方向の中央部に膨出部が設けられた形態の編組線を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続導体の柔軟性を向上させる手段として、小径の素線で構成された編組線を用いることが考えられる。しかしながら、素線が小径であると、接続導体が端子に対して接合されるときに素線切れが生じやすくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、接続導体における柔軟性の確保と素線切れの抑制とを両立できる端子接続構造、コネクタ、および接続導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の端子接続構造は、第一の素線径を有する素線を編んで形成されており、第一端部および第二端部を有する第一編組線と、第二の素線径を有する素線を編んで形成されており、前記第一編組線の内方に収容されて前記第一端部から前記第二端部まで延在している第二編組線と、前記第一端部に接合された第一端子と、前記第二端部に接合された第二端子と、を備え、前記第一の素線径が前記第二の素線径よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る端子接続構造の接続導体において、第一編組線は、第一の素線径を有する素線を編んで形成されており、第二編組線は、第二の素線径を有する素線を編んで形成されている。第一の素線径は、第二の素線径よりも大きい。本発明に係る端子接続構造によれば、接続導体における柔軟性の確保と素線切れの抑制とを両立できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るコネクタの内部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るコネクタの内部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコネクタの内部を示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る接続導体を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る接続導体の正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る端子接続構造を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、接続導体に接合された第一端子の断面図である。
【
図9】
図9は、接続導体に接合された第二端子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る端子接続構造、コネクタ、および接続導体につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子接続構造、コネクタ、および接続導体に関する。
図1は、実施形態に係るコネクタを示す斜視図、
図2は、実施形態に係るコネクタの内部を示す斜視図、
図3は、実施形態に係るコネクタの内部を示す正面図、
図4は、実施形態に係るコネクタの内部を示す側面図、
図5は、実施形態に係る接続導体を示す斜視図、
図6は、実施形態に係る接続導体の正面図、
図7は、実施形態に係る端子接続構造を示す斜視図、
図8は、接続導体に接合された第一端子の断面図、
図9は、接続導体に接合された第二端子の断面図である。
【0011】
図8には、
図4のVIII-VIII断面が示されている。
図9には、
図4のIX-IX断面が示されている。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ100は、第一端子3、第一シェル11、第二シェル12、ハウジング13、フロントホルダ14、およびシールドリング15を有する。例示されたコネクタ100は、シールドコネクタであり、第一シェル11および第二シェル12によってノイズを遮蔽する。また、コネクタ100は、第二シェル12および第一シェル11によってシールド部材16を相手側の機器の筐体に接地する。
【0013】
コネクタ100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。コネクタ100が搭載される車両は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)である。コネクタ100が接続される相手側の機器は、インバータであってもよい。後述する電線200は、車両に搭載されたバッテリに接続されてもよい。
【0014】
コネクタ100は、第一方向Xに沿って相手側の機器に対して係合する。本実施形態のコネクタ100は、二つの第一端子3を有している。例示された第一端子3は、メス端子であり、円筒形状の接続部31を有する。接続部31は、第一方向Xに沿って延在している。相手側の機器が有するオス端子は、第一方向Xに沿って接続部31に挿入され、接続部31と電気的に接続される。コネクタ100は、
図2から
図4に示す端子接続構造1および第三端子5によってオス端子と電線200とを電気的に接続する。
【0015】
図1に示すハウジング13は、第一端子3を保持し、かつ後述する第二端子4および第三端子5を保持する。ハウジング13は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。ハウジング13は、第一方向Xに沿って前面側に向けて突出した二つの筒部13aを有している。一つの筒部13aには、一つの接続部31が収容される。二つの筒部13aは、第二方向Yに沿って並んでいる。第二方向Yは、第一方向Xと直交する方向であり、コネクタ100の幅方向である。ハウジング13の背面は、絶縁性のカバーによって閉塞される。
【0016】
第一シェル11および第二シェル12は、ハウジング13を覆うシールドシェルを構成する。第一シェル11および第二シェル12は、金属等の導電性を有する材料で形成されている。第一シェル11は、相手側の機器の筐体に対して固定され、この筐体に対して電気的に接続される。第一シェル11は、相手側の機器に向けて開口する開口部11aを有する。接続部31および筒部13aは、開口部11aから第一方向Xに沿って前面側に向けて突出している。
【0017】
第二シェル12は、第一シェル11から第三方向Zに沿って突出している。第三方向Zは、第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する方向であり、コネクタ100の高さ方向である。電線200は、第二シェル12から第三方向Zに沿って引き出される。シールド部材16は、電線200を覆う。シールド部材16は、例えば、金属等の導電性を有する材料で形成された編組線である。シールド部材16は、シールドリング15によって第二シェル12に対して加締められる。本実施形態のコネクタ100には、二本の電線200が接続される。二本の電線200は、第二方向Yに沿って並んでいる。
【0018】
図2から
図4に示すように、本実施形態のコネクタ100は、端子接続構造1を有する。端子接続構造1は、ハウジング13の内部に収容されている。端子接続構造1は、接続導体2、第一端子3、および第二端子4を有する。上述したように、第一端子3は、相手側の機器に対して接続される端子である。第二端子4は、接続導体2を介して第一端子3と電気的に接続される。第二端子4は、第三端子5を介して電線200と電気的に接続される。
【0019】
以下の説明では、コネクタ100が有する二つの第一端子3を区別する場合、一方を「第一端子3A」と称し、他方を「第一端子3B」と称する。また、第一端子3Aに対応する接続導体2および第二端子4を「接続導体2A」および「第二端子4A」と称し、第一端子3Bに対応する接続導体2および第二端子4を「接続導体2B」および「第二端子4B」と称する。
【0020】
また、第一端子3A、接続導体2A、および第二端子4Aを含む端子接続構造1を「端子接続構造1A」と称し、第一端子3B、接続導体2B、および第二端子4Bを含む端子接続構造1を「端子接続構造1B」と称する。二つの端子接続構造1A,1Bは、それぞれ第一方向Xに沿って延在している。また、二つの端子接続構造1A,1Bは、第二方向Yにおいて互いに対向している。
【0021】
図5および
図6には、接合前の接続導体2が示されている。接続導体2は、第一編組線21および第二編組線22を有する。第一編組線21は、導電性を有する複数の素線21eを編んで形成されている。第二編組線22は、導電性を有する複数の素線22eを編んで形成されている。素線21e,22eは、例えば、銅線等の金属線である。第一編組線21および第二編組線22は、それぞれ筒形状を有する。
図5および
図6に示すように、第二編組線22は、第一編組線21の内方に収容される。
【0022】
図6に示すように、第一編組線21の素線21eは、第一の素線径E1を有する。本実施形態の第一編組線21では、複数の素線21eの全てが第一の素線径E1を有している。第二編組線22の素線22eは、第二の素線径E2を有する。本実施形態の第二編組線22では、複数の素線22eの全てが第二の素線径E2を有している。
【0023】
図5に示すように、第一編組線21は、第一端部21aおよび第二端部21bを有する。第一端部21aは、第一編組線21の軸方向C1における第一編組線21の一方の端部である。第二端部21bは、軸方向C1における第一編組線21の他方の端部である。第二編組線22は、第一端部21aから第二端部21bまで延在している。軸方向C1における第二編組線22の長さは、軸方向C1における第一編組線21の長さと同じであってもよい。
【0024】
図7および
図8に示すように、第一端子3は、第一端部21aに対して接合される。
図7に示すように、例示された第一端子3は、接続導体2に対して加締められる加締め部32を有する。加締め部32は、一対の加締片32a,32aおよび底壁32bを有する。加締め部32は、所謂Bクリンプと称される形態で接続導体2に対して加締められて第一端部21aに接合される。加締め部32は、例えば、クリンパおよびアンビルを有する端子圧着装置によって接続導体2に圧着される。
【0025】
図8に示すように、第一端子3の加締め部32は、断面形状がB字形状となるように加締められている。加締片32aは、加締片32aの先端を底壁32bに向けながら接続導体2に圧着されている。接続導体2の第一端部21aは、断面形状が略B字形状となるように変形している。加締め部32は、少なくとも第一編組線21に対して圧着され、第一編組線21および第二編組線22に対して電気的に接続される。第一編組線21は、第二編組線22の全周を覆って第二編組線22を保護している。
【0026】
図7に示すように、第二端子4は、接続導体2の第二端部21bに対して接合される。例示された第二端子4は、接続導体2に対して圧着される。第二端子4は、接続部41および加締め部42を有する。接続部41は、平板形状を有しており、貫通孔41aを有する。加締め部42は、一対の加締片42a,42aおよび底壁42bを有する。第二端子4は、加締め部42および接続導体2の軸方向が一致するように接続導体2に対して接合される。
【0027】
図9に示すように、第二端子4の加締め部42は、所謂Bクリンプと称される形態で接続導体2に対して圧着される。加締め部42は、例えば、端子圧着装置によって第二端部21bに圧着される。加締片42aは、加締片42aの先端を底壁42bに向けながら接続導体2に圧着されている。接続導体2の第二端部21bは、断面形状が略B字形状となるように変形している。加締め部42は、少なくとも第一編組線21に対して圧着され、第一編組線21および第二編組線22に対して電気的に接続される。第一編組線21は、第二編組線22の全周を覆って第二編組線22を保護している。
【0028】
図7に示すように、第二端子4において、接続部41は、加締め部42の軸方向に対して直交している。言い換えると、第二端子4は、接続部41と加締め部42との間でL字状に折れ曲がっている。接続部41は、例えば、第一方向Xと直交する方向に向けて加締め部42から突出している。
【0029】
図7および
図8に示すように、コネクタ100の内部において、第一端子3および第二端子4は、接続導体2の軸方向に関して異なる回転位置にある。ここで、第一端子3および第二端子4の回転位置は、接続導体2の軸方向C1に関する回転位置である。つまり、第一端子3および第二端子4の回転位置は、接続導体2の中心軸線に関する回転方向の位置である。
【0030】
図8に示すように、第一端子3は、底壁32bの幅方向W1が第三方向Zに沿うように保持されている。例示されたコネクタ100では、幅方向W1が第三方向Zと一致する。
図9に示すように、第二端子4は、底壁42bの幅方向W2が第二方向Yに対して傾斜するように保持されている。例示されたコネクタ100では、幅方向W2が第二方向Yおよび第三方向Zの何れに対しても傾斜している。
【0031】
第二端子4の底壁42bをこのように傾斜させることで、
図3に示すように、接続部31の間隔Wd1を小さくすることが可能である。第二端子4の接続部41は、貫通孔41aから加締め部42へ向かうに従って互いに近づくように、第三方向Zに対して傾斜している。第二端子4を傾斜させることにより、コネクタ100の小型化が可能となる。例えば、第二方向Yおよび第三方向Zにおけるハウジング13の小型化を図ることができる。また、第二端子4を傾斜させることにより、接続部31の間隔Wd1を所望の値に合わせ込むことが容易となる。例えば、電線200間隔Wd2に対して接続部31の間隔Wd1を自由に設定することが可能となる。
【0032】
接続導体2に対する第一端子3および第二端子4の回転位置は、接続導体2に対して端子3,4が接合される時点で互いに異なっていてもよい。この場合、第一端子3は接続導体2に対して第一の回転位置で接合され、第二端子4は接続導体2に対して第二の回転位置で接合される。第一の回転位置および第二の回転位置は、軸方向C1に関して異なる位相の位置である。
【0033】
接続導体2に対する第一端子3および第二端子4の回転位置は、端子接続構造1がハウジング13に対して組み付けられるときに互いに異なる位置とされてもよい。この場合、端子接続構造1は、例えば、接続導体2を捩りながらハウジング13に対して組み付けられる。本実施形態の接続導体2は、二つの編組線21,22を組み合わせて構成されていることから、捩り変形に対して高い柔軟性を有している。接続導体2は、捩り変形を許容できるように、余長を有していてもよい。
【0034】
図4に示すように、第二端子4の接続部41は、第三端子5に接続される。第三端子5は、電線200に接続される端子であり、第三方向Zに延在している。第三端子5は、接続部51および加締め部52を有する。加締め部52は、電線200の芯線に対して圧着される。第二端子4の接続部41および第三端子5の接続部51は、ボルト6によって締結される。より詳しくは、ボルト6は、接続部51の貫通孔および接続部41の貫通孔41aに挿通されてナット13bに螺合される。ナット13bは、ハウジング13によって保持されている。つまり、第二端子4および第三端子5は、ボルト6によってハウジング13に対して固定される。
【0035】
図7に示すように、接続導体2は、中間部2cを有する。中間部2cは、第一端部21aと第二端部21bとの間の部分である。言い換えると、中間部2cは、第一端子3と第二端子4との間の部分である。中間部2cは、柔軟性を有しており、第二端子4に対する第一端子3の相対移動や第一端子3の姿勢の変化を許容する。例えば、中間部2cは、第二端子4に入力された振動や外力が第一端子3へ伝達されてしまうことを規制できる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る端子接続構造1は、第一編組線21と、第二編組線22と、第一端子3と、第二端子4と、を有する。第一編組線21は、第一の素線径E1を有する素線21eを編んで形成されており、第一端部21aおよび第二端部21bを有する。第二編組線22は、第二の素線径E2を有する素線22eを編んで形成されている。第二編組線22は、第一編組線21の内方に収容されて第一端部21aから第二端部21bまで延在している。第一端子3は、第一端部21aに接合される。第二端子4は第二端部21bに接合される。第一の素線径E1は、第二の素線径E2よりも大きい。
【0037】
第一端子3が第一端部21aに接合されるときに、第一編組線21は第二編組線22と第一端子3との間に介在して第二編組線22を保護することができる。同様に、第二端子4が第二端部21bに接合されるときに、第一編組線21は第二編組線22と第二端子4との間に介在して第二編組線22を保護することができる。本実施形態に係る端子接続構造1では、第一の素線径E1が第二の素線径E2よりも大きい。よって、第一編組線21は、自らの素線21eにおける素線切れを抑制することができると共に、第二編組線22における素線22eの素線切れを抑制することができる。このように、本実施形態の端子接続構造1は、接続導体2における柔軟性の確保と接合時における素線切れの抑制とを両立させることができる。
【0038】
第一の素線径E1は、例えば、0.12[mm]または0.32[mm]であってもよい。第二の素線径E2は、0.05[mm]または0.08[mm]であってもよい。第一の素線径E1と第二の素線径E2との比(E1/E2)は、例えば、下記式(1)で示される範囲の値であってもよい。
1.5≦E1/E2≦6.4 (1)
【0039】
本実施形態に係るコネクタ100は、ハウジング13と、第一端子3と、第二端子4と、接続導体2と、を有する。第一端子3は、ハウジング13に収容されており、相手方の端子と接続される。第二端子4は、ハウジング13に収容されており、かつ電線200に接続される。接続導体2は、第一端子3に接合された第一端部21a、および第二端子4に接合された第二端部21bを有し、第一端子3と第二端子4とを電気的に接続する。
【0040】
接続導体2は、第一編組線21と、第二編組線22と、を有する。第一編組線21は、第一の素線径E1を有する素線21eを編んで形成されており、かつ前記第一端部21aおよび第二端部21bを有する。第二編組線22は、第二の素線径E2を有する素線22eを編んで形成されており、かつ第一編組線21の内方に収容されて第一端部21aから第二端部21bまで延在している。第一の素線径E1は、第二の素線径E2よりも大きい。本実施形態のコネクタ100は、接続導体2における柔軟性の確保と接合時における素線切れの抑制とを両立させることができる。
【0041】
本実施形態の第二端子4は、ボルト6によってハウジング13に固定されている。ボルト6は、第二端子4を固定する締結部材の一例である。本実施形態のコネクタ100は、柔軟性を有する接続導体2によって第一端子3と第二端子4とを接続することで、第一端子3に作用するモーメントや荷重を緩和することができる。
【0042】
なお、接続導体2に対する第一端子3および第二端子4の圧着形態は、Bクリンプには限定されない。接続導体2に対する第一端子3および第二端子4の接合方法は、圧着には限定されない。第一端子3および第二端子4は、例えば、接続導体2に対して超音波接合されてもよい。第一編組線21は、第二編組線22を保護し、加振されるときの素線22eの素線切れを抑制することができる。
【0043】
接続導体2は、第一端子3と第二端子4との間で屈曲していてもよい。例えば、接続導体2は、第一端子3と第二端子4との間においてL字状に屈曲していてもよい。この場合、第二端子4は、電線200の芯線に接合されてもよい。例えば、第二端子4は、接続部41に代えて電線200に圧着される加締め部を有していてもよい。
【0044】
なお、端子接続構造1の適用対象は、相手方の端子と電線200とを接続するコネクタ100には限定されない。端子接続構造1は、例えば、車両において接地線として用いられてもよい。この場合、例えば、第一端子がバッテリに接続され、第二端子が車両のボデーに接続される。
【0045】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0046】
1(1A,1B) 端子接続構造
2(2A,2B):接続導体
3(3A,3B) 第一端子
4(4A,4B) 第二端子
5 第三端子
6 ボルト
11:第一シェル、 11a:開口部
12:第二シェル
13:ハウジング、 13a:筒部、 13b:ナット
14:フロントホルダ、 15:シールドリング、16:シールド部材
21:第一編組線、 21a:第一端部、 21b:第二端部、 21e:素線
22:第二編組線、 22e:素線
31:接続部、 32:加締め部、 32a:加締片、 32b:底壁
41:接続部、 42:加締め部、 42a:加締片、 42b:底壁
100 コネクタ
200 電線
C1:軸方向
W1,W2:幅方向
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向