特許 7518109 電池パック

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-07-08

(45)【発行日】2024-07-17

(54)【発明の名称】電池パック

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/242 20210101AFI20240709BHJP

   H01M 50/209 20210101ALI20240709BHJP

   H01M 50/211 20210101ALI20240709BHJP

   H01M 50/213 20210101ALI20240709BHJP

   H01M 50/284 20210101ALI20240709BHJP

【ＦＩ】

H01M50/242

H01M50/209

H01M50/211

H01M50/213

H01M50/284

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2022014779

(22)【出願日】2022-02-02

(65)【公開番号】P2023112826

(43)【公開日】2023-08-15

【審査請求日】2023-02-17

(73)【特許権者】

【識別番号】520184767

【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー＆ソリューションズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001195

【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】吉田 直剛

(72)【発明者】

【氏名】松山 智

(72)【発明者】

【氏名】本田 亮平

【審査官】小森 重樹

(56)【参考文献】

【文献】特開２００６－３０６２４９（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０２１／１７７１５０（ＷＯ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１６／１４３２１４（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｍ ５０／２０－５０／２９８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の電池セルと、
電子部品および前記電子部品を収納する筐体を含む電子部品ユニットと、
前記複数の電池セルおよび前記電子部品ユニットを収納するケース部材とを備え、
前記電子部品ユニットの前記筐体は底面を有し、
前記ケース部材は、前記筐体の前記底面を支持する床面を有し、
前記ケース部材の前記床面は、第１の平面に沿って延びる第１床面部と、前記第１の平面に対して斜めに交差する第２の平面に沿って延びる第２床面部とを含み、
前記電子部品ユニットの前記筐体における前記底面の少なくとも一部は、前記ケース部材の前記第２床面部上に位置する、電池パック。

【請求項2】

前記筐体の前記底面の少なくとも一部は前記第２の平面に沿って延びる、請求項１に記載の電池パック。

【請求項3】

前記筐体の前記底面は、前記第１の平面に沿って延びる第１底面部と、前記第２の平面に沿って延びる第２底面部とを含む、請求項１または請求項２に記載の電池パック。

【請求項4】

前記ケース部材は、前記床面から立ち上がる側面を有し、
前記電子部品ユニットの前記筐体と前記ケース部材の前記側面との間に設けられた緩衝材をさらに備える、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の電池パック。

【請求項5】

前記複数の電池セルおよび前記電子部品ユニットは、前記第１の平面に平行な方向に沿って並ぶ、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の電池パック。

【請求項6】

前記第１の平面の法線方向に沿って前記電子部品ユニットと並ぶように設けられ、前記電子部品ユニットの前記電子部品および前記複数の電池セルの少なくとも一方に接続される回路を含む制御ユニットをさらに備えた、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の電池パック。

【請求項7】

複数の電池セルと、
電子部品および前記電子部品を収納する筐体を含む電子部品ユニットと、
前記複数の電池セルおよび前記電子部品ユニットを収納するケース部材とを備え、
前記電子部品ユニットの前記筐体は底面を有し、
前記ケース部材は、前記筐体の前記底面を支持する床面と、前記床面と対向する上面とを有し、
前記ケース部材の前記上面は第１の平面に沿って延び、前記ケース部材の前記床面は、前記第１の平面に対して斜めに交差する第２の平面に沿って延びる部分を含み、
前記電子部品ユニットの前記筐体における前記底面の少なくとも一部は、前記ケース部材の前記床面における前記第２の平面に沿って延びる部分上に位置する、電池パック。

【請求項8】

前記筐体の前記底面は、前記第２の平面に沿って延びる部分を含む、請求項７に記載の電池パック。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本技術は、電池パックに関する。

【背景技術】

【0002】

ケース部材の内部空間に電池セルと電子部品ユニットとを収納した電池パックが従来から知られている。このような電池パックは、たとえば特開２００６－３０６２４９号公報（特許文献１）および国際公開第２０１６／１４３２１４号（特許文献２）に示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００６－３０６２４９号公報

【文献】国際公開第２０１６／１４３２１４号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

車両の衝突時など、電池パックが横方向の荷重を受けたとき、ケース部材に収納された電子部品ユニットにも横方向の衝撃荷重が作用し得る。衝撃荷重を吸収するための別機構を設けることも考えられるが、当該機構が大型化すると、ケース部材の内部空間を有効活用することができない。また、上記の衝撃吸収機構を別機構として設けることにより、部品点数、組立工数、および電池パックの重量の増大を招来し得る。

【0005】

本技術の目的は、横方向の荷重を受けたときの電子部品ユニットへの衝撃荷重を緩和することが可能な電池パックを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本技術に係る電池パックは、複数の電池セルと、電子部品および電子部品を収納する筐体を含む電子部品ユニットと、複数の電池セルおよび電子部品ユニットを収納するケース部材とを備える。電子部品ユニットの筐体は底面を有する。

【0007】

１つの局面において、ケース部材は、筐体の底面を支持する床面を有し、ケース部材の床面は、第１の平面に沿って延びる第１床面部と、第１の平面に対して斜めに交差する第２の平面に沿って延びる第２床面部とを含む。

【0008】

他の局面において、ケース部材は、筐体の底面を支持する床面と、床面と対向する上面とを有し、ケース部材の上面は第１の平面に沿って延び、ケース部材の床面は、第１の平面に対して斜めに交差する第２の平面に沿って延びる部分を含む。

【発明の効果】

【0009】

本技術によれば、電池パックにおいて、ケース部材の内部空間を有効活用しながら、横方向の荷重を受けたときの電子部品ユニットへの衝撃荷重を緩和することができる。また、無駄な内部空間を省略することでケース部材を小型化することができるので、電池パックのサイズおよび重量を低減させることができ、さらに部材費低減による製造コスト削減効果もあり得る。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】電池セルを示す斜視図である。

【図2】電池セルおよび電池セルを収納するケース部材を示す斜視図である。

【図3】電池パックのケース部材（蓋部分を除く）を示す斜視図である。

【図4】電池パックの外観図である。

【図5】参考例に係る電池パックを模式的に示す図（その１）である。

【図6】参考例に係る電池パックを模式的に示す図（その２）である。

【図7】１つの実施の形態に係る電池パックを模式的に示す図である。

【図8】電池パックにおける電子部品ユニットの周辺を示す斜視図である。

【図9】図８に示す電子部品ユニットをＹ軸方向から見た状態を示す図である。

【図10】バスバーに形成された緩衝構造を示す図である。

【図11】緩衝材の配置の一例を示す上面図である。

【図12】図１１に示す構造の側面図である。

【図13】緩衝材の配置の他の例を示す上面図である。

【図14】図１３に示す構造の側面図である。

【図15】電池パックにおける各構成ユニットの配置例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。

【0012】

なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。

【0013】

なお、本明細書において、「備える（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）」および「含む（ｉｎｃｌｕｄｅ）」、「有する（ｈａｖｅ）」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。

【0014】

また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め４５°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、１つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向（たとえば機構全体を上下反転させる等）により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。

【0015】

本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。

【0016】

本明細書において、「電池セル」は必ずしも角型のものに限定されず、円筒型、パウチ型、ブレード型など、他の形状のセルも含み得る。「電池セル」は、ハイブリッド車（ＨＥＶ：Hybrid Electric Vehicle）、プラグインハイブリッド車（ＰＨＥＶ：Plug-in Hybrid Electric Vehicle）、および電気自動車（ＢＥＶ：Battery Electric Vehicle）などに搭載可能である。ただし、「電池セル」の用途は、車載用に限定されるものではない。

【0017】

図１は、電池セル１００を示す斜視図である。図１に示すように、電池セル１００は、角型形状を有する。電池セル１００は、電極端子１１０と、筐体１２０と、ガス排出弁１３０とを有する。

【0018】

電極端子１１０は、筐体１２０上に形成されている。電極端子１１０は、Ｙ軸方向（第１の方向）に直交するＸ軸方向（第２の方向）に沿って並ぶ正極端子１１１および負極端子１１２を有する。正極端子１１１および負極端子１１２は、Ｘ軸方向において、互いに離れて設けられている。

【0019】

筐体１２０は、直方体形状を有し、電池セル１００の外観をなす。筐体１２０は、図示しない電極体および電解液を収容するケース本体１２０Ａと、ケース本体１２０Ａの開口を封止する封口板１２０Ｂとを含む。封口板１２０Ｂは、溶接によりケース本体１２０Ａに接合される。

【0020】

筐体１２０は、上面１２１と、下面１２２と、第１側面１２３と、第２側面１２４と、２つの第３側面１２５とを有する。

【0021】

上面１２１は、Ｙ軸方向およびＸ軸方向に直交するＺ軸方向（第３の方向）に直交する平面である。上面１２１には、電極端子１１０が配置されている。下面１２２は、Ｚ軸方向に沿って上面１２１に対向している。

【0022】

第１側面１２３および第２側面１２４の各側面は、Ｙ軸方向に直交する平面からなる。第１側面１２３および第２側面１２４の各側面は、筐体１２０が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。第１側面１２３および第２側面１２４の各側面は、Ｙ軸方向に見て、矩形形状を有する。第１側面１２３および第２側面１２４の各側面は、Ｙ軸方向に見て、Ｘ軸方向が長手方向となり、Ｚ軸方向が短手方向となる矩形形状を有する。

【0023】

複数の電池セル１００は、Ｙ軸方向に隣り合う電池セル１００，１００の間において、第１側面１２３どうし、第２側面１２４どうしが向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル１００が積層されるＹ軸方向において、正極端子１１１と負極端子１１２とが、交互に並んでいる。

【0024】

ガス排出弁１３０は、上面１２１に設けられている。ガス排出弁１３０は、電池セル１００の温度が上昇し（熱暴走）、筐体１２０の内部で発生したガスにより筐体１２０の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを筐体１２０の外部に排出する。

【0025】

図２，図３は、電池セル１００を収納するケース部材２００を示す斜視図である。図２，図３においては、図示の便宜上、後述するケース部材２００の蓋部分を示していない。

【0026】

図２，図３に示すように、ケース部材２００は、内部空間２１０と、冷却プレート２２０と、側面部２３０，２４０と、フランジ部２５０とを含む。

【0027】

内部空間２１０には、Ｙ軸方向に積層された複数の電池セル１００の積層体（組電池）が収納される。組電池は、Ｘ軸方向に三列並ぶように設けられる。冷却プレート２２０および側面部２３０，２４０は、内部空間２１０を規定する。

【0028】

冷却プレート２２０は、ケース部材２００の床面２６０の少なくとも一部を構成する。図２，図３に示す例において、床面２６０は、Ｘ－Ｙ平面（第１の平面）の方向に延びる第１床面部２６１と、Ｘ－Ｙ平面方向に対して斜めに交差する平面（第２の平面）の方向に延びる第２床面部２６２とを含み、冷却プレート２２０は、第１床面部２６１を構成する。電池セル１００の積層体は、冷却プレート２２０上に載置される。冷却プレート２２０内には冷媒が供給される。冷媒には水が使用されるが、これに限定されない。

【0029】

側面部２３０は、Ｙ軸方向に直交する方向に延びる。側面部２４０は、Ｘ軸方向に直交する方向に延びる。電池セル１００の積層体（セパレータを含む）に対してＹ軸方向の両側に位置し、Ｙ軸方向に直交する方向に延びる側面部２３０は、電池セル１００の積層体を直接支持する（Ｃｅｌｌ－ｔｏ－Ｐａｃｋ構造）。図３中のα部において、電池セル１００の積層体が側面部２３０に当接する。

【0030】

ただし、ケース部材２００は、側面部２３０が電池セル１００の積層体を直接支持するものに限定されず、複数の電池セル１００を含む電池モジュールを収納するもの（Ｃｅｌｌ－Ｍｏｄｕｌｅ－Ｐａｃｋ構造）であってもよい。

【0031】

フランジ部２５０は、側面部２３０，２４０の上端部、すなわち冷却プレート２２０に対して反対側の端部に形成されている。フランジ部２５０は、冷却プレート２２０に対してＺ軸方向に沿って離間し、かつ冷却プレート２２０と平行に形成される。フランジ部２５０は、側面部２３０，２４０から冷却プレート２２０と同じ方向に突出する。

【0032】

図４は、電池パックの外観図である。図４に示すように、フランジ部２５０に蓋部材２７０が組み付けられてケース部材２００の内部空間２１０が密閉される。電池パックは、コネクタ６００をさらに含む。コネクタ６００は、ケース部材２００に収納された電池セル１００および電装部品への給電経路の一部となる。コネクタ６００は、外部配線に接続される。

【0033】

図５，図６は、参考例に係る電池パックを模式的に示す図である。図５，図６の例では、ケース部材２００内に電子部品ユニット７００が収納されている。電子部品ユニット７００は、たとえばセンサ、リレー、抵抗器、制御回路基板などの電子部品を筐体に収納してユニット化したものである。電子部品は、能動素子を含む能動部品（トランジスタなど）と、受動素子を含む受動部品（抵抗など）と、素子を接続ないし切断、または固定するための補助部品（バスバーなど）とを含む。

【0034】

たとえば、車両の衝突時などにおいて、ケース部材２００が横方向（Ｘ軸方向およびＹ軸方向）の荷重を受けたとき、ケース部材２００に収納された電子部品ユニット７００にも横方向の衝撃荷重がそのまま作用する。この結果、図５に示すように、電子部品ユニット７００がケース部材２００の側面部２４０に衝突すると、電子部品ユニット７００内の電子部品（電装部品または制御回路基板）が損傷し得る。

【0035】

電子部品ユニット７００が受ける衝撃荷重を吸収するために、図６に示す緩衝機構７００Ａを設けることが考えられる。しかし、大きな衝撃荷重に耐えうる緩衝機構７００Ａを設けようとすると、緩衝機構７００Ａが大型化し得る。この結果、図６中のＡ１部において、ケース部材２００の内部空間２１０を有効活用することができず、電池パックが大型化し得る。さらに、緩衝機構７００Ａを設けることにより、部品点数、組立工数、および電池パックの重量の増大を招来し得る。

【0036】

図７は、本実施の形態に係る電池パックを模式的に示す図である。図７に示す電池パックにおいて、ケース部材２００は、Ｘ－Ｙ平面の方向に延びる第１床面部２６１と、Ｘ－Ｙ平面の方向に対して斜めに交差する方向に延びる第２床面部２６２とを含む。電子部品ユニット７００の筐体７１０の底面７１１は、第１床面部２６１と平行に延びる第１底面部７１１Ａと、第２床面部２６２と平行に延びる第２底面部７１１Ｂとを含む。ケース部材２００の蓋部材２７０および電子部品ユニット７００の筐体７１０の上面７１２は、第１床面部２６１と平行に延びる。したがって、第２床面部２６２は、ケース部材２００の蓋部材２７０および電子部品ユニット７００の筐体７１０の上面７１２に対して斜めに交差する方向に延びる。

【0037】

図７に示す電池パックにおいては、横方向の衝撃荷重を受けた電子部品ユニット７００の筐体７１０が第２床面部２６２に沿って移動する。このとき、図７に示すように、電子部品ユニット７００に作用する荷重が縦方向（Ｚ軸方向）と横方向（Ｘ軸方向およびＹ軸方向）とに分解される。この結果、電子部品ユニット７００を側面部２３０に近づける横方向の衝撃荷重が緩和される。

【0038】

上述のとおり、本実施の形態に係る電池パックにおいては、電子部品ユニット７００に作用する横方向の衝撃荷重を緩和することができるので、過度に大きな緩衝機構を設けることなく、電子部品ユニット７００の保護を図ることができる。さらに、図７中のＡ２部において、ケース部材２００の内部空間２１０を有効活用することができるので、ケース部材２００を小型化することができ、電池パックのサイズおよび重量を低減させることが可能となる。さらには、部材費低減による電池パックの製造コスト削減効果も期待し得る。

【0039】

図８は、電子部品ユニットの周辺を示す斜視図である。図９は、図８に示す電子部品ユニットをＹ軸方向から見た状態を示す図である。

【0040】

図８，図９に示すように、ケース部材２００の側面部２４０には、コネクタ６００が設けられている。コネクタ６００は、ケース部材２００内に収納された電池セル１００および電子部品ユニット７００への給電口を構成する。

【0041】

電子部品ユニット７００の筐体７１０には、メインリレー７２０と、シャント抵抗器７３０と、セメント抵抗器７４０と、バスバー７５０と、電流センサ７６０とを含む電子部品が収納されている。筐体７１０には、たとえばヒューズ、プリチャージリレーなど、図８，図９に図示されない他の電子部品が収納されていてもよい。

【0042】

筐体７１０に収納される電子部品は、Ｚ軸方向の高さが比較的大きい第１の電子部品（たとえばメインリレー７２０、電流センサ７６０など）と、Ｚ軸方向の高さが比較的小さい第２の電子部品（たとえばシャント抵抗器７３０、セメント抵抗器７４０、バスバー７５０）とを含む。高さが大きい第１の電子部品に対して高さが小さい第２の電子部品を側面部２４０側に近づけて配置することにより、第２床面部２６２上に位置するケース部材２００の内部空間２１０を有効活用することができる。

【0043】

図８，図９に示す例において、電子部品ユニット７００の筐体７１０は、第１床面部２６１上には位置せず、傾斜面である第２床面部２６２上にのみ位置する。図８，図９に示す電子部品ユニット７００においても、図７の例と同様に、電子部品ユニット７００に作用する横方向の衝撃荷重を緩和することができる。

【0044】

図１０は、バスバー７５０に形成された衝撃吸収部７５１（緩衝構造）を示す図である。衝撃吸収部７５１は、湾曲状に形成されている。横方向（Ｚ軸方向に直交する方向）の衝撃印加時において、衝撃吸収部７５１は、衝撃荷重を吸収しながら潰れるように、図１０（ａ）の状態から図１０（ｂ）の状態に変形し得る。

【0045】

バスバー７５０は、筐体７１０に収納された電装部品とコネクタ６００とを電気的に接続するために、電装部品およびコネクタ６００に固定されている。バスバー７５０が横方向の荷重を吸収しながら変形することにより、電子部品ユニット７００に作用する横方向の衝撃荷重を緩和することができる。また、図示はしないが、上述の横方向（Ｚ軸方向に直交する方向）とは逆方向の衝撃印加時においても、衝撃吸収部７５１が図１０（ａ）の状態からさらに広がるように変形しながら衝撃荷重を緩和することもできる。

【0046】

バスバー７５０は、たとえば板状の銅またはアルミニウムにより構成することができる。アルミニウムによりバスバー７５０を構成することにより、銅の場合と比較して、重量を低減することができるとともに、衝撃吸収部７５１を変形させやすくすることができる。また、バスバーとしては、板状の部材の他、ハーネスを用いてもよい。

【0047】

次に、図１１～図１４を参照して、電子部品ユニット７００に対する衝撃を緩和する緩衝リブ８００（緩衝材）の配置の例について説明する。図１１～図１４に示すように、ケース部材２００（側面部２３０，２４０）と電子部品ユニット７００（筐体７１０）との間に緩衝リブ８００が設けられ得る。緩衝リブ８００は、ケース部材２００と同一素材により一体に形成されてもよい。

【0048】

図１１は、緩衝材の配置の一例を示す上面図であり、図１２は、図１１に示す構造の側面図である。図１１，図１２に示す例では、電子部品ユニット７００の第２底面部７１１Ｂの先端側に位置し、Ｙ軸方向に延びる側面部２４０上にのみ緩衝リブ８００が設けられている。

【0049】

図１３は、緩衝材の配置の他の例を示す上面図であり、図１４は、図１３に示す構造の側面図である。図１３，図１４に示す例では、Ｙ軸方向に延びる側面部２４０に加えて、Ｘ軸方向に延びる側面部２３０にも緩衝リブ８００が設けられている。

【0050】

図１５は、電池パックにおける各構成ユニットの配置例を示す図である。図１５に示す例では、電子部品ユニット７００の上方に制御基板を含む制御ユニット９００が配置されている。制御ユニット９００の制御基板は、電子部品ユニット７００内の電子部品および電池セル１００に接続される制御回路を含む。

【0051】

本実施の形態において、第１床面部２６１に対する第２床面部２６２の傾斜角度は、たとえば３０°以下程度であるが、傾斜角度はこれに限定されない。第２床面部２６２のＸ軸方向の長さは、たとえばケース部材２００のＸ軸方向の全長の１／３以上１／２以下程度であるが、第２床面部２６２の長さはこれに限定されない。第２床面部２６２の上端は、第１床面部２６１からＺ軸方向に１５０ｍｍ以下程度離れているが、第２床面部２６２の上端の高さはこれに限定されない。第２床面部２６２の設置範囲および傾斜角度は、ケース部材２００のサイズおよび電池セル１００のセル数などにより適宜変更され得る。第２床面部２６２の途中部において第２床面部２６２の傾斜角度が変動してもよい。

【0052】

以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【符号の説明】

【0053】

１００ 電池セル、１１０ 電極端子、１１１ 正極端子、１１２ 負極端子、１２０ 筐体、１２０Ａ ケース本体、１２０Ｂ 封口板、１２１ 上面、１２２ 下面、１２３ 第１側面、１２４ 第２側面、１２５ 第３側面、１３０ ガス排出弁、２００ ケース部材、２１０ 内部空間、２２０ 冷却プレート、２３０，２４０ 側面部、２５０ フランジ部、２６０ 床面、２６１ 第１床面部、２６２ 第２床面部、２７０ 蓋部材、６００ コネクタ、７００ 電子部品ユニット、７００Ａ 緩衝機構、７１０ 筐体、７１１ 底面、７１１Ａ 第１底面部、７１１Ｂ 第２底面部、７１２ 上面、７２０ メインリレー、７３０ シャント抵抗器、７４０ セメント抵抗器、７５０ バスバー、７５１ 衝撃吸収部、７６０ 電流センサ、８００ 緩衝リブ、９００ 制御ユニット、２４００ 支持部。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】