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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240709BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240709BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240709BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 505
G02F1/13357
G02B27/01
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022062826
(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公開番号】P2023153509
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 直久
(72)【発明者】
【氏名】三宅 雄太
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-079169(JP,A)
【文献】特開2007-065011(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105319721(CN,A)
【文献】特開2016-031457(JP,A)
【文献】特開2008-089904(JP,A)
【文献】特開平05-289058(JP,A)
【文献】特開2015-102750(JP,A)
【文献】特開2022-130236(JP,A)
【文献】特開2009-151249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
G02F 1/13357
G09F 9/00
G02B 27/01
B60K 35/00-35/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定される第一筐体と、
前記第一筐体に収容される液晶表示装置と、
前記第一筐体に収容され、前記液晶表示装置の背面に対して光を照射するバックライトユニットと、
前記液晶表示装置の表示面または背面の何れかの面に接触させて配置される透明な板状の第一熱伝導部材と、
前記第一熱伝導部材と前記第一筐体との間で熱を伝える第二熱伝導部材と、
前記第二熱伝導部材を制御する制御部と、
を備え、
前記バックライトユニットは、第二筐体と、前記第二筐体に収容された光源と、前記第二筐体および前記光源の熱を放熱するヒートシンクと、を有し、
前記第二熱伝導部材は、前記第一筐体と前記第一熱伝導部材との間に挟み込まれるペルチェ素子であり、
前記第二熱伝導部材は、第一の面および第二の面を有し、前記第一の面を前記第一熱伝導部材に接触させ、かつ前記第二の面を前記第一筐体に接触させて配置され、
前記制御部は、前記ペルチェ素子によって前記液晶表示装置を冷却する冷却制御と、前記ペルチェ素子によって前記液晶表示装置を加熱する加熱制御と、を前記液晶表示装置の温度に基づいて選択的に実行する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記加熱制御において、前記制御部は、前記光源を点灯させると共に、前記ペルチェ素子に前記第二の面から吸熱させ、かつ前記第一の面によって前記第一熱伝導部材を加熱させる
請求項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置において、表示器の損傷を防ぐ技術がある。特許文献1には、液晶セルから表示部材までの間における表示像の光路に、表示像を透過するとともに出射側偏光部材と接する熱伝達部材と、金属材料からなり熱伝達部材を保持する保持部材と、を備えた車両用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-313733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示器の温度を適温に制御することについて、なお改良の余地がある。液晶表示装置の温度を適切に制御できることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、液晶表示装置の温度を適切に制御できる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、筐体と、液晶表示装置と、前記液晶表示装置の表示面または背面の何れかの面に接触させて配置される透明な板状の第一熱伝導部材と、前記第一熱伝導部材と前記筐体との間で熱を伝える第二熱伝導部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、第一熱伝導部材と筐体との間で熱を伝える第二熱伝導部材を有する。よって、本発明に係る車両用表示装置は、液晶表示装置の温度を適切に制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の配置図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成図である。
図3図3は、実施形態に係る画像表示装置の断面図である。
図4図4は、実施形態に係る画像表示装置の平面図である。
図5図5は、実施形態に係る制御部の動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る冷却制御を説明する断面図である。
図7図7は、実施形態に係る加熱制御を説明する断面図である。
図8図8は、実施形態の第1変形例に係る画像表示装置を示す図である。
図9図9は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置を示す図である。
図10図10は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置を示す図である。
図11図11は、実施形態の第3変形例に係る車両用表示装置を示す図である。
図12図12は、実施形態の第3変形例に係る車両用表示装置を示す図である。
図13図13は、実施形態の第3変形例に係る車両用表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図7を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、実施形態に係る車両用表示装置の配置図、図2は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成図、図3は、実施形態に係る画像表示装置の断面図、図4は、実施形態に係る画像表示装置の平面図、図5は、実施形態に係る制御部の動作を説明するフローチャート、図6は、実施形態に係る冷却制御を説明する断面図、図7は、実施形態に係る加熱制御を説明する断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、自動車等の車両100に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置である。車両用表示装置1は、画像の表示光Ltをウインドシールド110に向けて投影する。ウインドシールド110は、車両100のアイポイントEPに対して車両前方に位置しており、かつ車両前後方向XにおいてアイポイントEPと対向している。表示光Ltは、ウインドシールド110の反射面110aによってアイポイントEPに向けて反射される。車両100のドライバは、表示光Ltによって虚像Viを視認することができる。
【0012】
図1および図2に示すように、車両用表示装置1は、筐体2、画像表示装置10、制御部7、第一ミラー11、第二ミラー12、およびカバー8を有する。筐体2は、アイポイントEPに対して車両前方に配置されており、例えば、インストルメントパネル120に収容されている。筐体2は、車両用表示装置1の外殻部材であり、車両100の車体に対して固定される。筐体2は、遮光性の材料で形成されており、例えば、金属で形成される。筐体2は、車両上下方向Zにおいてウインドシールド110と対向する開口21を有する。例示された開口21は、筐体2の上面に配置されており、筐体2の前端部に位置する。
【0013】
画像表示装置10、制御部7、第一ミラー11、および第二ミラー12は、筐体2の内部に配置されている。画像表示装置10は、画像の表示光Ltを出力する装置である。図2および図3に示すように、画像表示装置10は、液晶表示装置3、バックライトユニット4、第一熱伝導部材5、およびペルチェ素子6(第二熱伝導部材)を有する。
【0014】
液晶表示装置3は、例えば、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)である。液晶表示装置3は、表示面31および背面32を有する。表示面31は、画像を表示し、表示光Ltを出力する面である。背面32は、表示面31とは反対側の面である。平面視における液晶表示装置3の形状は、例えば、矩形である。
【0015】
バックライトユニット4は、液晶表示装置3の背面32に対して光を照射する装置である。画像表示装置10は、バックライトユニット4の光によって表示光Ltを生成する。バックライトユニット4は、筐体41、光源42、およびヒートシンク43を有する。光源42は、例えば、画像縦方向GVおよび画像横方向GHに配列された複数の発光素子を有する。バックライトユニット4は、発光素子の光を集光するレンズや、集光された光を拡散させる拡散部材を有していてもよい。光源42は、液晶表示装置3の背面32に対向して配置されている。平面視における光源42の形状は、例えば、矩形である。
【0016】
筐体41は、液晶表示装置3に対して背面32の側に配置されており、光源42を収容している。筐体41は、金属等の熱伝導性を有する材料で形成されている。筐体41は、光源42を囲む側壁41aを有している。本実施形態の側壁41aは、角筒形状を有している。すなわち、表示光Ltと直交する断面における側壁41aの形状は、矩形である。側壁41aは、第一端面41bおよび第二端面41cを有する。第一端面41bは、側壁41aにおける液晶表示装置3の側の端面である。第二端面41cは、側壁41aにおける第一端面41bの側とは反対側の端面である。
【0017】
ヒートシンク43は、放熱部材であり、筐体41や光源42の熱を周囲に放熱する。例示されたヒートシンク43は、側壁41aに対して背面側に配置されている。ヒートシンク43は、例えば、側壁41aの第二端面41cに接触させて配置される。筐体41が底壁を有する場合、ヒートシンク43は、底壁に接触させて配置されてもよい。すなわち、ヒートシンク43は、側壁41aとの間で熱伝導が可能なように配置される。ヒートシンク43は、背面側に向けて突出した複数のフィン43fを有する。
【0018】
第一熱伝導部材5は、熱伝導性を有する透明な板状の部材である。第一熱伝導部材5は、無色透明であることが好ましい。第一熱伝導部材5は、例えば、サファイアガラス等のガラスで形成される。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3とバックライトユニット4との間に配置される。本実施形態の第一熱伝導部材5は、平板形状に形成されている。平面視における第一熱伝導部材5の形状は、例えば、矩形である。第一熱伝導部材5は、前面51および背面52を有する。第一熱伝導部材5は、前面51を液晶表示装置3の背面32に接触させて配置される。前面51は、背面32の全体に密着していることが好ましい。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3の背面32に対して接着されてもよい。
【0019】
ペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5と筐体41との間で熱を伝える第二熱伝導部材である。ペルチェ素子6は、熱電素子であり、第一の面61および第二の面62を有する。ペルチェ素子6は、電流の向きに応じて第一の面61と第二の面62との間で熱を移動させる。ペルチェ素子6は、第一の面61から第二の面62に向けて熱を移動させること、および第二の面62から第一の面61に向けて熱を移動させることができる。
【0020】
ペルチェ素子6は、第一の面61を第一熱伝導部材5に接触させ、かつ第二の面62を筐体41に接触させて配置される。つまり、ペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5と筐体41との間に挟まれ、第一熱伝導部材5と筐体41との間に介在している。第一の面61は、第一熱伝導部材5の背面52に接触している。第一の面61は、背面52に密着していることが好ましい。第二の面62は、側壁41aの第一端面41bに接触している。第二の面62は、第一端面41bに密着していることが好ましい。本実施形態のペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5から筐体41に熱を移動させることができ、かつ筐体41から第一熱伝導部材5に熱を移動させることができる。
【0021】
図3および図4に示すように、ペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5の外周部に配置されている。また、ペルチェ素子6は、平面視した場合に液晶表示装置3を囲むように配置されている。図4に例示されたペルチェ素子6は、矩形の枠状に配置されている。より詳しくは、ペルチェ素子6は、一対の第一延在部63,63と、一対の第二延在部64,64と、を有する。
【0022】
一対の第一延在部63,63は、平面視した場合に、画像縦方向GVにおいて液晶表示装置3を挟んで配置されている。第一延在部63は、第一熱伝導部材5における画像縦方向GVの端部に位置しており、かつ画像横方向GHに沿って延在している。一対の第二延在部64,64は、平面視した場合に、画像横方向GHにおいて液晶表示装置3を挟んで配置されている。第二延在部64は、第一熱伝導部材5における画像横方向GHの端部に位置しており、かつ画像縦方向GVに沿って延在している。第一延在部63の端部は、第二延在部64の端部とつながっているか、または第二延在部64の近傍に位置している。
【0023】
なお、ペルチェ素子6は、枠状に形成された一つの素子であってもよく、複数の素子を組み合わせて枠状に構成されてもよい。例えば、第一延在部63の素子と、第二延在部64の素子とが別であってもよい。第一延在部63は、複数の素子を並べて構成されてもよい。第二延在部64は、複数の素子を並べて構成されてもよい。
【0024】
図4に示すように、ペルチェ素子6は、平面視において液晶表示装置3と重ならないように配置される。つまり、ペルチェ素子6は、光源42から液晶表示装置3に向かう光を遮らないように配置される。平面視した場合に、ペルチェ素子6と液晶表示装置3との間には、わずかに隙間が設けられてもよい。本実施形態の画像表示装置10では、第一熱伝導部材5が液晶表示装置3よりも一回り大きい。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3を囲む矩形の枠状部53を有する。ペルチェ素子6は、枠状部53に配置されており、枠状部53に接触している。枠状部53の幅は、ペルチェ素子6と第一熱伝導部材5との間に十分な接触面積を確保できるように定められている。
【0025】
図2に示す制御部7は、画像表示装置10を制御するように構成されている。制御部7は、例えば、演算部、メモリ、通信インターフェース等を含むコンピュータである。制御部7は、例えば、メモリに記憶しているプログラムに従って、後述する冷却制御および加熱制御を実行する。画像表示装置10には、液晶表示装置3の温度を検出する温度センサ9が設けられている。制御部7は、温度センサ9から液晶表示装置3の温度に関する情報を取得する。
【0026】
図5から図7を参照して、制御部7の動作について説明する。図5に示すフローチャートは、例えば、画像表示装置10の電源がオンであるときに繰り返し実行される。ステップS10において、制御部7は、温度情報を取得する。制御部7は、液晶表示装置3の温度に関する情報を温度センサ9から取得する。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
【0027】
ステップS20において、制御部7は、制御が必要か否かを判定する。ステップS20では、ペルチェ素子6を用いた温度制御の必要性が判断される。制御部7は、液晶表示装置3の温度が下限値以上でかつ上限値以下である場合に温度制御の必要が無いと判断する。一方、制御部7は、液晶表示装置3の温度が下限値未満であるか、または上限値を超えている場合は温度制御の必要があると判断する。ステップS20の判定の結果、制御が必要であるとして肯定判定された場合にはステップS30に進み、否定判定された場合にはフローチャートが一旦終了する。
【0028】
ステップS30において、制御部7は、液晶表示装置3の温度が高いか否かを判定する。制御部7は、液晶表示装置3の温度が上限値を超えている場合、温度が高いと判断する。ステップS30の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS40に進み、否定判定された場合にはステップS50に進む。
【0029】
ステップS40において、制御部7は、冷却制御を実行する。冷却制御は、ペルチェ素子6によって液晶表示装置3を冷却する制御である。図6に示すように、太陽光等の外光L1が液晶表示装置3に集光された場合、液晶表示装置3の温度が上昇する。高温環境であると、液晶表示装置3の温度が上限値を超えることがある。この場合、制御部7は、冷却制御によって液晶表示装置3を冷却する。
【0030】
制御部7は、ペルチェ素子6に流す電流の向きを制御して、第一の面61から第二の面62へと熱を移動させる。つまり、制御部7は、ペルチェ素子6に第一の面61から吸熱させ、かつ第二の面62から放熱させることができる。冷却制御により、図6に矢印AR1で示すように、ペルチェ素子6を介して第一熱伝導部材5からバックライトユニット4の筐体41へと熱が伝えられる。筐体41の熱は、主としてヒートシンク43から放熱される。第一熱伝導部材5が冷却されることで、矢印AR2で示すように、液晶表示装置3の熱が第一熱伝導部材5に逃がされる。
【0031】
ペルチェ素子6は、第一の面61の温度を周辺環境の温度よりも低温として第一熱伝導部材5を効率的に冷却することができる。よって、本実施形態の画像表示装置10は、冷却制御によって液晶表示装置3の温度を上限値以下に低下させることができる。
【0032】
制御部7は、液晶表示装置3の温度が適温まで低下すると、冷却制御を終了する。冷却制御を終了するときの温度の閾値は、例えば、上記の上限値よりも低温側の値である。ステップS40が実行されると、本制御フローは終了する。
【0033】
ステップS50において、制御部7は、加熱制御を実行する。加熱制御は、ペルチェ素子6によって液晶表示装置3を加熱する制御である。加熱制御は、寒冷時など、液晶表示装置3の温度が低い場合に行なわれる。
【0034】
制御部7は、ペルチェ素子6に流す電流の向きを制御して、第二の面62から第一の面61へと熱を移動させる。つまり、制御部7は、ペルチェ素子6に第二の面62から吸熱させ、かつ第一の面61によって第一熱伝導部材5を加熱させることができる。加熱制御により、図7に矢印AR3で示すように、ペルチェ素子6を介して筐体41から第一熱伝導部材5へと熱が伝えられる。第一熱伝導部材5に伝えられた熱は、矢印AR4で示すように液晶表示装置3を加熱する。
【0035】
制御部7は、加熱制御において、光源42を点灯させる。光源42は、液晶表示装置3に対して光L2を照射する。光源42の熱は、矢印AR5で示すように第一熱伝導部材5および液晶表示装置3を背面側から加熱する。更に、光源42の熱は、筐体41からペルチェ素子6を介して第一熱伝導部材5に伝えられる。
【0036】
本実施形態の加熱制御では、ペルチェ素子6および光源42によって液晶表示装置3が加熱される。液晶表示装置3に対して枠状に配置されたペルチェ素子6は、液晶表示装置3の縁部を加熱することができる。よって、本実施形態の加熱制御は、液晶表示装置3の全体を速やかに加熱することができる。
【0037】
制御部7は、液晶表示装置3の温度が適温まで上昇すると、加熱制御を終了する。加熱制御を終了するときの温度の閾値は、例えば、上記の下限値よりも高温側の値である。ステップS50が実行されると、本制御フローは終了する。
【0038】
上記のように、本実施形態の車両用表示装置1は、液晶表示装置3の温度に基づいて、冷却制御および加熱制御を選択的に実行することができる。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、液晶表示装置3の温度を適切に制御することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、筐体41と、液晶表示装置3と、透明な板状の第一熱伝導部材5と、ペルチェ素子6と、を有する。例示された第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3の背面32に接触させて配置される。ペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5と筐体41との間で熱を伝える第二熱伝導部材である。本実施形態の車両用表示装置1は、第二熱伝導部材によって第一熱伝導部材5と筐体41との間で熱を伝えることができる。よって、液晶表示装置3の温度を適切に制御することができる。
【0040】
本実施形態の車両用表示装置1は、ペルチェ素子6を制御する制御部7を有する。第二熱伝導部材としてのペルチェ素子6は、第一の面61および第二の面62を有しており、第一の面61を第一熱伝導部材5に接触させ、かつ第二の面62を筐体41に接触させて配置される。制御部7は、ペルチェ素子6によって液晶表示装置3を冷却する冷却制御と、ペルチェ素子6によって液晶表示装置3を加熱する加熱制御と、を液晶表示装置3の温度に基づいて選択的に実行する。よって、車両用表示装置1は、液晶表示装置3の温度を適切に制御することができる。
【0041】
本実施形態の車両用表示装置1は、液晶表示装置3の背面32に対して光を照射するバックライトユニット4を有する。バックライトユニット4は、筐体41と、筐体41に収容された光源42と、を有する。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3の背面32に接触させて配置される。ペルチェ素子6は、液晶表示装置3を囲む枠状に配置され、第一熱伝導部材5と筐体41とによって挟まれている。よって、本実施形態のペルチェ素子6は、液晶表示装置3を効率よく冷却または加熱することができる。
【0042】
本実施形態の加熱制御において、制御部7は、光源42を点灯させると共に、ペルチェ素子6に第二の面62から吸熱させ、かつ第一の面61によって第一熱伝導部材5を加熱させる。本実施形態の画像表示装置10は、光源42の熱を筐体41、ペルチェ素子6、および第一熱伝導部材5を介して液晶表示装置3に伝えて液晶表示装置3を加熱することができる。
【0043】
ここで、本実施形態に対する比較例として、ペルチェ素子6を含まない構成について検討する。比較例では、液晶表示装置3に対する冷却は、第一熱伝導部材5による吸熱または第一熱伝導部材5から筐体41等への熱伝達によりなされる。比較例の構成では、液晶表示装置3が受ける熱量に基づいて第一熱伝導部材5の熱容量が設定される。このため、製品ごとに第一熱伝導部材5の大きさを調整する必要がある。また、第一熱伝導部材5の必要な熱容量を考慮すると、第一熱伝導部材5の小型化には限界があり、画像表示装置が大型化しやすい。
【0044】
これに対して、本実施形態の車両用表示装置1は、ペルチェ素子6によって第一熱伝導部材5を冷却できることから、第一熱伝導部材5の薄型化や第一熱伝導部材5の小型化が可能である。
【0045】
また、比較例では、高温の環境下で液晶表示装置3の温度が上限値を超えた場合、光源42の減光や消灯が必要となる。これに対して、本実施形態の車両用表示装置1は、冷却制御によって液晶表示装置3の温度を上限値以下に制御することが可能である。光源42の減光や消灯が不要であるため、虚像Viの視認性が向上する。
【0046】
なお、制御部7は、液晶表示装置3の温度情報を車両100の制御装置等から取得してもよい。一例として、制御部7は、車両100の温度センサや照度計から取得した情報に基づいて液晶表示装置3の温度を推定してもよい。
【0047】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図8は、実施形態の第1変形例に係る画像表示装置を示す図である。第1変形例の画像表示装置10において、上記実施形態と異なる点は、例えば、伝熱部44を有する点である。図8に示すように、伝熱部44は、バックライトユニット4の側壁41aと、車両用表示装置1の筐体2との間で熱伝導を行なう。伝熱部44は、金属等の熱伝導性を有する材料で形成されている。伝熱部44は、筐体41の一部であってもよい。伝熱部44は、バックライトユニット4の筐体41を筐体2に対して固定する固定部材であってもよい。
【0048】
伝熱部44は、側壁41aにおける第一端面41bと第二端面41cとの間に配置されている。伝熱部44は、側壁41aにおける第一端面41bの側の端部に配置されてもよい。伝熱部44は、側壁41aを囲むフランジ状に設けられてもよい。
【0049】
ペルチェ素子6による冷却制御が実行される場合、図8に矢印AR6で示すように、伝熱部44を介して側壁41aから筐体2に熱が逃がされる。伝熱部44は、液晶表示装置3に対する冷却能力を向上させることができる。
【0050】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図9および図10は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置を示す図である。実施形態の第2変形例について、上記実施形態と異なる点は、例えば、ペルチェ素子6が第一熱伝導部材5と筐体2との間に介在している点である。
【0051】
図9に示すように、第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3に対して側方に突出した突出部54を有する。突出部54は、筐体2の側壁に向けて突出している。ペルチェ素子6は、第一の面61を第一熱伝導部材5に接触させ、かつ第二の面62を筐体2の内壁面22に接触させて配置されている。第二の面62は、例えば、内壁面22における上方を向く面に対して接触している。ペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5の背面52と筐体2の内壁面22との間に挟み込まれている。
【0052】
実施形態の第2変形例に係るペルチェ素子6は、第一熱伝導部材5の熱を筐体2に逃がすことができる。筐体2は、バックライトユニット4の筐体41と比較して体格が大きい。よって、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置1は、液晶表示装置3の温度を適切に制御することができる。また、第2変形例の構成では、ペルチェ素子6と第一熱伝導部材5との接触面積、およびペルチェ素子6と筐体2との接触面積を広くすることが容易である。例えば、筐体41のサイズに制約されることなく上記の接触面積を拡大させることが可能である。
【0053】
制御部7は、上記実施形態の制御部7と同様に、冷却制御および加熱制御を実行することができる。制御部7は、ペルチェ素子6による加熱制御を実行するときに、バックライトユニット4の光源42を点灯させてもよい。
【0054】
なお、図10に示すように、第一熱伝導部材5とペルチェ素子6との間、および筐体2とペルチェ素子6との間には、熱伝導シート65が介在していてもよい。熱伝導シート65は、高い熱伝導性を有するシート部材である。熱伝導シート65の熱伝導率は、第一熱伝導部材5の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。熱伝導シート65は、柔軟性や密着性を有するシートであってもよい。熱伝導シート65は、例えば、シリコン等の樹脂で形成されてもよい。なお、熱伝導シート65に代えて、熱伝導性を有する接着剤が用いられてもよい。
【0055】
なお、実施形態の第2変形例において、液晶表示装置3に対する第一熱伝導部材5の位置は、背面32の側には限定されない。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3の表示面31の側に配置されてもよい。
【0056】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。図11から図13は、実施形態の第3変形例に係る車両用表示装置を示す図である。実施形態の第3変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、第二熱伝導部材として高い熱伝導性を有する金属部材を有する点である。
【0057】
図11に示す第二熱伝導部材70は、第一熱伝導部材5よりも高い熱伝導率を有する。第二熱伝導部材70は、例えば、銅やアルミニウム等の金属や合金で形成される。第二熱伝導部材70の形状は、例えば、板状または棒状である。図11に例示された第二熱伝導部材70は、略L字形状をなすように屈曲している。第二熱伝導部材70は、第一接触部71、および第二接触部72を有する。第二熱伝導部材70は、第一接触部71と第二接触部72との間で屈曲している。第一接触部71は、第一熱伝導部材5に接触しており、例えば、第一熱伝導部材5の背面52に接着される。第二接触部72は、筐体2の内壁面22に接触している。第二接触部72は、筐体2に対して接着されてもよく、締結部材等によって筐体2に固定されてもよい。
【0058】
図12に示す筐体2は、本体23およびカバー24を有する。本体23は、筒形状を有しており、画像表示装置10を収容している。カバー24は、本体23の開口部を閉塞している。例示された本体23は、樹脂で形成されており、カバー24は、金属で形成されている。カバー24の熱伝導率は、本体23の熱伝導率よりも大きい。
【0059】
図12に示す第二熱伝導部材70は、略U字形状をなすように屈曲している。より詳しくは、第二熱伝導部材70は、第一接触部71、第二接触部73、および中間部74を有する。例示された中間部74の形状は、本体23の軸方向に沿った直線形状である。第二熱伝導部材70は、第一接触部71および第二接触部73が中間部74に対して直交するように折れ曲がっている。第一接触部71は、第一熱伝導部材5に接触しており、例えば、背面52に接着される。第二接触部73は、筐体2のカバー24に接触している。第二接触部73は、カバー24に対して接着されてもよく、締結部材等によってカバー24に固定されてもよい。
【0060】
なお、図13に示すように、第一熱伝導部材5と第二熱伝導部材70との間、および筐体2と第二熱伝導部材70との間には、熱伝導シート65が介在していてもよい。熱伝導シート65に代えて、熱伝導性を有する接着剤が用いられてもよい。
【0061】
第二熱伝導部材70の形状は、図11から図13に例示された形状には限定されない。例えば、図12に示す形状に代えて、第二熱伝導部材70は、略Z字形状をなすように折れ曲がっていてもよい。言い換えると、第一接触部71および第二接触部73は、中間部74に対して互いに逆の側に折れ曲がっていてもよい。第二熱伝導部材70の形状は任意であり、第一熱伝導部材5と筐体2との間で適切に熱を伝えることができるように設計される。
【0062】
なお、実施形態の第3変形例において、液晶表示装置3に対する第一熱伝導部材5の位置は、背面32の側には限定されない。第一熱伝導部材5は、液晶表示装置3の表示面31の側に配置されてもよい。
【0063】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 車両用表示装置
2:筐体、 3:液晶表示装置、 4:バックライトユニット、 5:第一熱伝導部材
6:ペルチェ素子(第二熱伝導部材)、 7:制御部、 8:カバー、 9:温度センサ
10:画像表示装置
11:第一ミラー、 12:第二ミラー
21 開口、 22:内壁面、 23:本体、 24:カバー
31:表示面、 32:背面
41:筐体、 41a:側壁、 41b:第一端面、 41c:第二端面
42:光源、 43:ヒートシンク
51:前面、 52:背面、 53:枠状部、 54:突出部
65:熱伝導シート
61:第一の面、 62:第二の面、 63:第一延在部、 64:第二延在部
70:第二熱伝導部材、 71:第一接触部、 72,73:第二接触部
100:車両、 110:ウインドシールド、 110a:反射面
GH:画像横方向、 GV:画像縦方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13