(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240709BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20240709BHJP
G01R 15/20 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
G01R15/20 A
(21)【出願番号】P 2022071703
(22)【出願日】2022-04-25
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】望月 利朗
(72)【発明者】
【氏名】福原 聡明
(72)【発明者】
【氏名】生内 貴大
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191452(JP,A)
【文献】特開2014-021102(JP,A)
【文献】特開2010-041746(JP,A)
【文献】実開平06-011262(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0331525(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケースと、
前記第1のケースに設置されることで、前記第1のケースとともに内側に空間を形成する第2のケースと、
前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置されるバスバーと、
前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置され、前記バスバーを流れる電流によって発生する磁束を検出する磁気検出部と、
を
有し、
前記バスバーは、板状の底板部とこの底板部の両端のそれぞれから起立している一対の板状の側板部とを具備した「U」字状の部位を備えて構成されており、
前記磁気検出部は、前記バスバーの「U」字状の部位の内側に設置され、
前記バスバーの「U」字状の部位の一部の部位が、前記バスバーの「U」字状の部位の残りの部位に対して着脱自在になっており、前記「U」字状の部位の一部の部位が前記「U」字状の部位の残りの部位から離れた状態では、前記一対の側板部間での電流の流れが遮断されるように構成されている
電気接続箱。
【請求項2】
第1のケースと、
前記第1のケースに設置されることで、前記第1のケースとともに内側に空間を形成する第2のケースと、
前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置されるバスバーと、
前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置され、前記バスバーを流れる電流によって発生する磁束を検出する磁気検出部と、
を有し、
前記バスバーは、板状の底板部とこの底板部の両端のそれぞれから起立している一対の板状の側板部とを具備した「U」字状の部位を備えて構成されており、
前記磁気検出部は、前記バスバーの「U」字状の部位の内側に設置さ
れ、
前記バスバーの「U」字状の部位の一対の側板部のそれぞれは、前記底板部と一体になっている一対の底板部側部位と、一対の反底板部側部位とを備えて構成されており、
前記一対の底板部側部位が、前記一対の反底板部側部位に対して着脱自在になっている
電気接続箱。
【請求項3】
前記第2のケースの前記第1のケースへの設置は、前記第2のケースが前記第1のケースから離れている状態から、前記第1のケースに対して前記第2のケースを所定の方向に移動することでなされるように構成されており、
前記磁気検出部は、平板状の配線板とこの配線板に設けられているホールICとを備えて構成されており、
前記バスバーの「U」字状の部位を構成している一対の側板部の厚さ方向は、前記第2のケースを前記第1のケースに設置するときにおける前記第2のケースの移動方向に対して直交する所定の一方向になっており、
前記配線板の厚さ方向は、前記一対の側板部の厚さ方向と一致している請求
項1または2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記磁気検出部と前記バスバーの「U」字状の部位とを囲むようにして、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置されるシールド材を有する請求項
1または2に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース本体と、ケース本体を閉塞する蓋体と、蓋体がケース本体を閉塞した状態において形成される空間内に、ヒューズ等の回路構成部品が設置されているジャンクションボックスが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジャンクションボックスに電流センサとしての機能を持たせることがある。この場合、電流センサの設置スペースをジャンクションボックスのケース内に確保する必要がある。
【0005】
ジャンクションボックスに電流センサ機能を持たせる場合、完成した電流センサを、ジャンクションボックスのケースにたとえばボルトを用いて組み付けると、ジャンクションボックスのケース内にそのためのスペース等が必要である。
【0006】
これにより、ジャンクションボックスのケースにネジ止め部を設けたりする必要もあり、ジャンクションボックスのサイズが大きくなり、また、電流センサの組付け工数も必要になる。
【0007】
これらの問題は、ジャンクションボックスだけでなく、リレーブロック等の電気接続箱においても同様に発生する。
【0008】
本発明は、電流センサとしての機能を持たせた場合であっても、サイズが大きくなること、および、組み付け工数が増えることを極力防止することができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る電気接続箱は、第1のケースと、前記第1のケースに設置されることで、前記第1のケースとともに内側に空間を形成する第2のケースと、前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置されるバスバーと、前記第2のケースを前記第1のケースに設置することにより、前記空間内で、前記第1のケース、前記第2のケースの少なくともいずれかに設置され、前記バスバーを流れる電流によって発生する磁束を検出する磁気検出部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気接続箱の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の斜視図から第1のケースと第2のケースとを取り除いた図である。
【
図3】
図2の斜視図からシールド材を取り除いた図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気接続箱を分解した状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気接続箱において、シールド材の1つ目の設置態様を示す図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る電気接続箱において、シールド材の2つ目の設置態様を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る電気接続箱において、シールド材の3つ目の設置態様を示す図である。
【
図15】変形例に係る電気接続箱のバスバーと磁気検出部との概略構成を示す斜視図である。
【
図16】
図15で示す斜視図から、脚の短い「U」字状の部位を取り除いた状態を示す図である。
【
図17】脚の短い「U」字状の部位の斜視図である。
【
図18】
図15におけるXVIII-XVIII断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る電気接続箱1は、たとえば、ジャンクションボックスとして使用されるものであり、
図1から
図5で示すように、第1のケース3と第2のケース5とバスバー7と磁気検出部9とを備えて構成されている。
【0012】
ここで、電気接続箱における所定の一方向を縦方向とし、縦方向に対して直交する所定の一方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を高さ方向とする。
【0013】
電気接続箱1において、電気接続箱1を電流センサ付き電気接続箱と呼んでもよく、第1のケース3を下側ケースもしくは箱本体と呼んでもよく、第2のケース5を上側ケースもしくはカバーと呼んでもよい。第1のケース3、第2のケース5は、絶縁性を備えた合成樹脂等で構成されている。磁気検出部(磁束検出部)9は、たとえば、ホール素子とオペアンプとを具備したホールIC11を備えて構成されている。
【0014】
第2のケース5は、ボルト等の固定具を別途使用することなく、第1のケース3にかぶせることで第1のケース3に設置されるようになっている。第2のケース5は、第1のケース3に設置されることで、第1のケース3と一体化するようになっている。第2のケース5が第1のケース3に設置されることで、第2のケース5が第1のケース3とともに内側に空間(内側空間)13を形成するようになっている。
【0015】
バスバー7は、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、空間13内で、第13のケース、第2のケース5の少なくともいずれかに、ボルト等の固定具を別途使用することなく、一体的に設置されるようになっている。
【0016】
磁気検出部9も、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、空間13内で、第13のケース、第2のケース5の少なくともいずれかに、ボルト等の固定具を別途使用することなく、一体的に設置されるようになっている。また、空間13内に設置された磁気検出部9は、バスバー7を流れる電流によって発生する磁束(磁束の強度;磁気)を検出するようになっている。
【0017】
電気接続箱1では、磁気検出部9が磁束の強度を検出することで、バスバー7を流れる電流値をもとめることができるようになっている。
【0018】
ここで、第2のケース5の第1のケース3への設置について例を掲げて説明する。第1のケース3には係止部(図示せず)が設けられている。第2のケース5には被係止部(図示せず)が設けられている。第2のケース5を第1のケース3に設置している途中の状態では、被係止部が係止部に当接等して被係止部が弾性変形するようになっている。第2のケース5を第1のケース3に設置し終えたときに被係止部が復元し、被係止部が係止部に係止され、第2のケース5が第1のケース3に一体的に設置されるようになっている。
【0019】
なお、上記説明では、第1のケース3に係止部が設けられており、第2のケース5に被係止部が設けられているが、第1のケース3に被係止部が設けられており、第2のケース5に係止部が設けられていてもよい。
【0020】
さらに、第1のケース3に係止部と被係止部を設け、第2のケース5にも係止部と被係止部を設けてもよい。そして、第2のケース5が第1のケース3に一体的に設置されたときに、第1のケース3の被係止部が、第2のケース5の係止部に係止され、第2のケースの被係止部が、第1のケースの係止部に係止されるように構成してもよい。
【0021】
また、第1のケース3は開口部を備えた枡状の部位を備えて構成されており、第2のケース5も開口部を備えた枡状の部位を備えて構成されている。そして、第2のケース5の開口部を第1のケース3に開口部に合わせるようにして、第2のケース5を第1のケース3にかぶせるようにして設置する。これにより、第1のケース3の開口部と第2のケース5の開口部とが合わさり、上述した内側空間13が形成されるようになっている。
【0022】
第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、ボルト等の固定具を別途使用せずに、バスバー7が、第1のケース3と第2のケース5との内側空間13で、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに設置される態様について例示する。
【0023】
1つ目の態様は、第2のケース5を第1のケース3に設置する前に、バスバー7が、ボルト等の固定具を別途使用することなく、第1のケース3または第2のケース5に一体的に設置されている態様である。この1つ目の態様では、第1のケース3または第2のケース5の所定の部位(図示せず)で挟み込まれる等して、バスバー7が第1のケース3または第2のケースに一体的に設置されている。そして、第2のケース5を第1のケース3に設置し終えたときに、バスバー7が、第1のケース3と第2のケース5との内側空間13で、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに一体的に設置される。
【0024】
2つ目の態様は、第2のケース5を第1のケース3に設置する前には、バスバー7が、第1のケース3、第2のケース5のいずれにも設置されていない。第2のケース5を第1のケース3に設置し終えたときに、ボルト等の固定具を別途使用することなく、バスバー7が、第1のケース3と第2のケース5との内側空間13で、第1のケース3および第2のケース5に一体的に設置される態様である。この2つ目の態様でも、第1のケース3および第2のケース5の所定の部位(図示せず)で挟み込まれる等して、バスバー7が第1のケース3および第2のケース5に一体的に設置される。
【0025】
3つ目の態様は、第2のケース5を第1のケース3に設置する前に、バスバー7が、第1のケース3または第2のケース5に、ボルト等の固定具を別途使用することなく、仮設置されている。第2のケース5を第1のケース3に設置し終えたときに、ボルト等の固定具を別途使用することなく、バスバー7が、第1のケース3と第2のケース5との内側空間13で、第1のケース3および第2のケース5に一体的に設置される態様である。
【0026】
この3つ目の態様でも、第1のケース3および第2のケース5の所定の部位(図示せず)で挟み込まれる等して、バスバー7が第1のケース3および第2のケース5に一体的に設置されている。なお、仮設置では、たとえば、小さい力をバスバー7に加えるだけで、第1のケース3または第2のケース5に対してバスバー7が動いてしまうが、第1のケース3または第2のケース5に対するバスバー7の位置決めがされている。
【0027】
第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、ボルト等の固定具を別途使用することなく、磁気検出部9が、空間13内で、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに設置される態様を説明する。この態様も、上述したバスバーにおける1つ目の態様、2つ目の態様、3つ目の態様と同様の態様になる。
【0028】
バスバー7は、所定形状の平板状部材を曲げ線のところで曲げた状態になっている。これにより、バスバー7に「U」字状の部位(凹部)15が形成されている。上記曲げ線は、直線状に延びているとともに、上記平板状部材の厚さ方向に対して直交している。
【0029】
上述したように、バスバー7は、「U」字状の部位15を備えて構成されている。「U」字状の部位15は、板状(たとえば平板状)の底板部17とこの底板部の両端のそれぞれから上方向に起立している一対の板状(たとえば平板状)の側板部19とを具備している。磁気検出部9は、バスバー7の「U」字状の部位15の内側に設置されている。
【0030】
第2のケース5の第1のケース3への設置は、第2のケース5が第1のケース3から離れている状態から、第1のケース3に対して第2のケース5を所定の方向(下方向に直線的)に移動することでなされるように構成されている。
【0031】
第2のケース5が第1のケース3から離れており第2のケース5を直線的に移動する前の状態では、第2のケース5の第1のケース3に対する姿勢と位置とが、適宜のものになっている。すなわち、第2のケース5の第1のケース3に対する姿勢と位置とが、上述した下側への移動をするだけで第2のケース5が第1のケース3に設置される姿勢と位置になっている。
【0032】
磁気検出部9は、平板状の配線板21とこの配線板21に設けられているホールIC11とを備えて構成されている。なお、配線板21とホールIC11とを備えたものを、配線板アッセンブリと呼ぶ場合がある。ホールIC11は、配線板21の厚さ方向における一方の面に設けられている。さらに、ホールIC11は、配線板21の厚さ方向の一方の面から僅かに突出している。
【0033】
バスバー7の「U」字状の部位15を構成している底板部17の厚さ方向は、第2のケース5を第1のケース3に設置するときにおける第2のケース5の移動方向(上下方向)になっている。
【0034】
バスバー7の「U」字状の部位15を構成している一対の側板部19の厚さ方向は、第2のケース5を第1のケース3に設置するときにおける第2のケース5の移動方向(上下方向)に対して直交する所定の一方向(縦方向)になっている。
【0035】
配線板21の厚さ方向は、一対の側板部19の厚さ方向(縦方向)と一致している。バスバー7と、配線板21とホールIC11とは、バスバー7から僅かに離れている。
【0036】
電気接続箱1には、シールド材25が設けられている。シールド材25は、磁気検出部9とバスバー7の「U」字状の部位15とを囲むようにして、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより形成された空間13内に設けられている。
【0037】
また、シールド材25は、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに、ボルト等の固定具を別途使用することなく、一体的に設置されている。
【0038】
第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、ボルト等の固定具を別途使用することなく、シールド材25が、空間13内で、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに設置される態様を例示する。この態様も、上述したバスバー7における1つ目の態様、2つ目の態様、3つ目の態様と同様の態様になる。
【0039】
ここで、電気接続箱1についてさらに詳しく説明する。
【0040】
バスバー7の「U」字状の部位15を構成している底板部17、一対の側板部19は、矩形な平板状に形成されている。底板部17と一対の側板部19との幅寸法の値(横方向の寸法の値)は互いが一致している。また、「U」字状の部位15は、矩形な細長い平板状の部材をこの長手方向で互いが離れている2つの直線(長手方向に対して直交している直線)のところで、約90°折り曲げた状態になっている形状になっている。
【0041】
底板部17は、厚さ方向が高さ方向になるようにして、空間13内で空間13の下側に配置されている。一対の側板部19のそれぞれは、底板部17の縦方向における両端のそれぞれから、上側に起立している。底板部17と一対の側板部19とを横方向で見ると、
図5で示すように、「U」字状になっている。
【0042】
磁気検出部9の配線板21は、矩形な平板状に形成されている。配線板21は、厚さ方向が縦方向になるようして、バスバー7から離れ空間13内に設置されている。配線板21は下側の部位が、「U」字状の部位15内に入り込んでいる。
【0043】
配線板21の幅寸法の値は、「U」字状の部位15の幅寸法の値よりも大きくなっている。高さ方向で見ると、
図4で示すように、縦方向で、「U」字状の部位15の内側に配線板21が位置している。すなわち、配線板21の(
図4の紙面における上端)が「U」字状の部位15の上端(
図4の紙面における上端)よりも上側に位置している。また、
図4の紙面における配線板21の下端(
図4の紙面における下端)が「U」字状の部位15の下端(
図4の紙面における下端)よりも下側に位置している。
【0044】
横方向で見ると、
図5で示すように、配線板21の下端は底板部17の上側に位置して底板部17から僅かに離れている。
【0045】
ホールIC11は、小さな矩形な板状に形成されており、
図5で示すように、たとえば、2つ設けられている。2つのホールIC11は、横方向では、
図4で示すように、配線板21の中央に配置されており、側板部19の内側に配置されている。
図5で示すように、2つのホールIC11は、高さ方向では、お互いが所定の距離だけ離れている。2つのホールIC11は、高さ方向でも、側板部19の内側に配置されている。また、2つのホールIC11は、縦方向では、配線板21の一方の面に設置されており、配線板21の一方の面から僅かに突出している。
【0046】
また、
図5で示すように、縦方向でホールIC11の中心27は、一対の側板部19の間の空間の中央に位置している。すなわち、寸法L5aの値と寸法L5bの値とは互いが等しくなっている。これにより、バスバー7の磁束が平行バスバー(一対の側板部19)の両側からホールIC11に入ることになり、コアを付けることなく磁束を効率良く測定をすることができる。
【0047】
シールド材25は、たとえば円筒状に形成されている。高さ方向で見ると、
図4で示すように、配線板21とホールIC11とがシールド材25の内側に位置している。横方向で見ると、
図5で示すように、「U」字状の部位15の上端部を除く下側の部位と、配線板21の下側の部位とホールIC11とが、シールド材25の内側に位置している。
【0048】
ここで、シールド材25の設置の態様について、
図7から
図9を参照しつつ説明する。
【0049】
1つ目の設置態様では、シールド材25は、たとえば、第1のケース3に一体的に設置されるようになっている。第1のケース3の平板状の底板部29には、背の低い一対の第1の突出部31と、背の高い一対の第2の突出部33とが設けられている。突出部31、33は、底板部29と一体になっている。
【0050】
第1の突出部31は、四角柱状に形成されており、底板部29から上側に突出している。一対の第1の突出部31は縦方向で互いが所定の距離だけ離れている。第2の突出部33は、四角柱状に形成されている弾性部35と、この弾性部35の先端(上端)に設けられている係止部37とを備えて構成されている。弾性部35には、傾斜面39と係止面41とが設けられている。一対の第2の突出部33は縦方向で互いが所定の距離だけ離れている。さらに、縦方向で、一対の第2の突出部33の内側に一対の第1の突出部31が位置している。
【0051】
第1のケース3のシールド材25への設置について説明する。初期状態では、シールド材25が第1のケース3から離れており、シールド材25が第1の突出部31、第2の突出部33の上側に位置している。
【0052】
この初期状態から、第1のケース3に対してシールド材25を下側に移動すると、シールド材25の下端が第2の突出部33の係止部37に形成されている傾斜面39に当接する。シールド材25をさらに下側に移動すると、シールド材25に押されて、第2の突出部33の弾性部35が弾性変形する。シールド材25をさらに下側に移動すると、シールド材25の下端が第1のケース3の底板部29に当接するとともに、弾性部35が復元し、第2の突出部33の係止部37に形成されている係止面41が、シールド材25の上端に当接する。これにより、シールド材25が第1のケース3に設置される。
【0053】
シールド材25が第1のケース3に設置されている状態では、一対の第1の突出部31と一対の第2の突出部33とで、シールド材25が縦方向で挟まれている。高さ方向では、第1のケース3の底板部29と第2の突出部33の係止部37とでシールド材25が挟まれている。そして、シールド材25が第1のケース3に固定されている。
【0054】
なお、
図7、
図9では、第1の突出部31が四角柱状に形成されており、第2の突出部33の弾性部35も四角柱状に形成されている。したがって、シールド材25が第1のケース3に設置されている状態では、第1の突出部31がシールド材25に線接触しており、第2の突出部33の弾性部35もシールド材25に線接触している。
【0055】
そこで、
図10で示すように、第1の突出部31のシールド材25と接する面を、高さ方向で見て円弧状に形成し、第2の突出部33の弾性部35がシールド材25と接する面も、高さ方向で見て円弧状に形成する。そして、シールド材25が第1のケース3に設置されている状態で、第1の突出部31がシールド材25に面接触し、第2の突出部33の弾性部35がシールド材25に面接触するにしてもよい。
【0056】
シールド材25の2つ目の設置態様について、
図11、
図12を参照しつつ説明する。
【0057】
2つ目の設置態様は、第2の突出部33の背を低くし、シールド材25に貫通孔43を設けてある点が、
図7から
図10で示す1つ目の設置態様と異なり、その他は、1つ目の設置態様と同様に構成されている。2つ目の設置態様では、第2の突出部33の係止部37が貫通孔43に入っていることで、シールド材25が第1のケース3に設置されている。
【0058】
シールド材25の3つ目の設置態様について、
図13、
図14を参照しつつ説明する。
【0059】
3つ目の設置態様は、第2の突出部33を削除し、第1の突出部31に弾性部35と係止部37とを設け、しかも、第1の突出部31を、シールド材25の円周を3等配する位置に配置している点が、
図11、
図12で示す2つ目の設置態様と異なる。3つ目の設置態様におけるその他のところは、2つ目の設置態様と同様に構成されている。なお、第1の突出部31は、シールド材25の内側に配置されている。
【0060】
ここで、電気接続箱1の組み立てについて説明する。
【0061】
初期状態では、
図6で示すように、第1のケース3とシールド材25とバスバー7と磁気検出部9と第2のケース5とが離れているものとする。
【0062】
この初期状態で、第1のケース3にシールド材25を設置し、バスバー7、磁気検出部9を載せ、第2のケース5を第1のケース3に設置する。これにより、電気接続箱1が組み立てられる。
【0063】
電気接続箱1は、第1のケース3に設置されることで内側に空間13を形成する第2のケース5と、バスバー7を備えて構成されている。バスバー7は、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、空間13内で第1のケース3、第2のケース5に設置されるようになっている。また、電気接続箱1では、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、空間13内で第1のケース3、第2のケース5に設置され磁束を検出する磁気検出部9を備えて構成されている。
【0064】
このように構成されていることで、電気接続箱1に電流センサとしての機能を持たせることができる。また、第2のケース5を第1のケース3に設置することで、空間13内にバスバー7と磁気検出部9とが設置される。これにより、磁気検出部9を組み付けるためのボルト等が不要になり、電気接続箱1のサイズが大きくなること、および、組み付け工数が増えることを防止することができる。また、余計な工数をかけることなく、電流センサとしての機能を有しない電気接続箱と同じようにして電気接続箱1の組立をすることができる。
【0065】
また、電気接続箱1では、バスバー7が、「U」字状の部位15を備えて構成されており、磁気検出部9が、バスバーの「U」字状の部位15の内側に設置されている。これにより、磁束が一対の側板部(平行バスバー)19の両側からホールIC11に入るようになっており、コアを設けることなく弱い磁束をあってもしっかりとした測定をすることができる。そして、電気接続箱1の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0066】
なお、「U」字状の部位15の内側にホールIC11を設けていない構成では、電流の通電部から発生する弱い磁束をホールICに集めるためのコアが必要になり、電気接続箱のサイズが大きくなり、製造コストも上昇してしまう。
【0067】
また、電気接続箱1では、配線板21の厚さ方向が一対の側板部19の厚さ方向と一致しており、一対の側板部19と配線板21とが高さ方向に延びている。すなわち、配線板アッセンブリが縦置きされている。これにより、配線板アッセンブリの設置スペースの省スペース化が図られている。
【0068】
すなわち、電気接続箱1のケース3、5内には、バスバー7、配線板アッセンブリの他に、電気部品等が設置されている場合があるが、電気部品等が設置されていることで、電気接続箱1の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。しかし、一対の側板部19と配線板21とが高さ方向に延びていることで、電気接続箱1のケース3、5内のスペースを有効活用することができ、電気接続箱1が大きくなることが防止される。
【0069】
これに対して、配線板アッセンブリが縦置されておらず、配線板の厚さ方向が上下方向になっている態様(配線板アッセンブリが横置きされている態様)であると、電気接続箱のケース内のデッドスペースが形成されることがあり、電気接続箱が大きくなることがある。
【0070】
また、電気接続箱1では、シールド材25が、第2のケース5を第1のケース3に設置することにより、空間13内で、磁気検出部9とバスバーの「U」字状の部位15とを囲むようにして、第1のケース3、第2のケース5に設置されるようになっている。
【0071】
これにより、ノイズが除去されバスバー7を流れる電流の正確な値を検出することができ、シールド材25を組み付けるためのボルト等が不要になり、電気接続箱1のサイズが大きくなること、および、組み付け工数が増えることを極力防止することができる。
【0072】
ここで、変形例に係る電気接続箱1aについて、
図15から
図18を参照しつつ説明する。変形例に係る電気接続箱1aは、バスバー7の「U」字状の部位15が分割されている点が、本発明の実施形態に係る電気接続箱1と異なり、その他の点は、電気接続箱1と同様に構成されている。なお、
図15から
図18では、バスバー7、磁気検出部9以外のものの表示を省略している。変形例に係る電気接続箱1aは、たとえば、サービスプラグとして使用されるようになっている。
【0073】
バスバー7の「U」字状の部位15の一部の部位45が、バスバー7の「U」字状の部位15の残りの部位47に対して着脱自在になっている。そして、「U」字状の部位15の一部の部位45が「U」字状の部位15の残りの部位47から離れた状態では、一対の側板部19の間での電流の流れが遮断される(電路が切断される)ように構成されている。
【0074】
電気接続箱1aでは、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに形成されている開口部(図示せず)を通して、「U」字状の部位15の残りの部位47から離れた「U」字状の部位15の一部の部位45を、取り出せるようになっている。すなわち、「U」字状の部位15の一部の部位45を第1のケース3および第2のケース5の外側に取り出せるようになっている。
【0075】
また、「U」字状の部位15の一部の部位45が「U」字状の部位15の残りの部位47に設置されている状態では、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに形成されている開口部が塞がれるようになっている。
【0076】
電気接続箱1aについて、さらに説明する。バスバー7の「U」字状の部位15の一対の側板部19のそれぞれは、一対の底板部側部位49と、一対の反底板部側部位51とを備えて構成されている。一対の底板部側部位49は、底板部17と一体になっている。一対の反底板部側部位51のそれぞれは、一対の底板部側部位49とは別体になっている。底板部29と一対の底板部側部位49とは背の低い(上下方向の寸法が詰まった)「U」字状になっている。
【0077】
底板部17と一対の底板部側部位49とを(一部の部位45を)、一対の反底板部側部位51(残りの部位47)に対して、側板部19の起立方向(上下方向)に直線的移動する。これにより、一対の底板部側部位49と底板部17とが、一対の反底板部側部位51に対して着脱自在になっている。
【0078】
第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに形成されている開口部(図示せず)を通して、一対の反底板部側部位51から離れた底板部17と一対の底板部側部位49とを、第1のケース3および第2のケース5の外側に取り出せるようになっている。
【0079】
また、底板部17および一対の底板部側部位49が一対の反底板部側部位51に設置されている状態では、第1のケース3、第2のケース5の少なくともいずれかに形成されている開口部が塞がれるようになっている。
【0080】
反底板部側部位51の上端部には、矩形な筒状部位53が形成されている。筒状部位53内には、板バネ状の付勢部55が設けられている。そして、底板部側部位49の下端部が、筒状部位53内の挿入されることで、一対の反底板部側部位51と一対の底板部側部位49とが接続され導通するようになっている。このとき、付勢部55によって、底板部側部位49は所定も面圧で反底板部側部位51に接触している。
【0081】
電気接続箱1では、バスバー7の「U」字状の部位15の一部の部位45が「U」字状の部位15の残りの部位47から離れた状態で、一対の側板部19の間での電流の流れが遮断されるように構成されている。これにより、電気接続箱1をたとえば電流センサ機能付きのサービスプラグとして使用することができる。
【0082】
また、電気接続箱1では、底板部17と一対の底板部側部位49とが、一対の反底板部側部位51に対して着脱自在になっている。これによっても、電気接続箱1を電流センサ機能付きのサービスプラグとして使用することができる。
【0083】
また、電気接続箱1、1aを、ジャンクションボックス、サービスプラグ以外のリレーブロック、ヒューズブロック等として、使用してもよい。
【0084】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 電気接続箱
3 第1のケース
5 第2のケース
7 バスバー
9 磁気検出部
11 ホールIC
13 空間
15 「U」字状の部位
17 底板部
19 側板部
21 配線板
25 シールド材
45 一部の部位
47 残りの部位
49 底板部側部位
51 反底板部側部位