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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】コネクタ嵌合構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240709BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01R13/52 302C
H01R13/631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022106558
(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公開番号】P2024006023
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 剛紀
(72)【発明者】
【氏名】津島 義高
(72)【発明者】
【氏名】小園 誠二
(72)【発明者】
【氏名】岡本 征也
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-004140(JP,A)
【文献】特開2013-129343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/631
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に嵌合して電気的に接続される第1コネクタと第2コネクタとのコネクタ嵌合構造であって、
前記第1コネクタは、
第1接続端子を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに設けられたガイド溝と、を有し、
前記第2コネクタは、
第2接続端子を収容する第2ハウジングと、
前記ガイド溝に挿入されるガイド突部と、
前記第2ハウジングの前記第2接続端子の収容空間への開口を覆う閉位置と、前記開口を覆わない開位置との間で回動可能に設けられたコネクタカバーと、を有し、
前記ガイド突部は、前記コネクタカバーに設けられ、前記コネクタカバーが前記閉位置にあるとき前記第2ハウジング内に収容され、前記コネクタカバーが前記開位置にあるとき前記第2ハウジング外に露出され前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向に沿って延在
前記第2接続端子を収容する空間を画成する前記第2ハウジングの上壁部における前記嵌合方向の前端部には、前記嵌合方向の前方に向けて前記嵌合方向に平行に延びる庇部が延設されており、
前記コネクタカバーが前記開位置にあるときに、前記コネクタカバーの上を向いた面が前記庇部の下面に沿うように配置され、且つ、前記庇部の前記嵌合方向の前端が前記コネクタカバーの前記嵌合方向の前側の端より前記嵌合方向の前側に位置する、
コネクタ嵌合構造。
【請求項2】
前記第2コネクタにおいて、
前記コネクタカバーは、前記開口を覆うカバー部と、前記カバー部の上縁部に設けられた回動軸と、を有し、
前記ガイド突部は、前記コネクタカバーが開位置にある状態において前記カバー部から下方に突出するように設けられ、
前記第1コネクタにおいて、
前記ガイド溝は、前記第1ハウジングの上面に設けられる、
請求項1に記載のコネクタ嵌合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に搭載される各種電装品間を電気的に接続するワイヤハーネス(電線)は、コネクタによって接続されている。このようなコネクタを良好に嵌合するため、例えば特許文献1に記載のコネクタガイド機構を適用することが考えられる。
【0003】
このコネクタガイド機構は、プラグ、ソケット、プラグ側ガイド、及びソケット側ガイドを有し、プラグ側ガイド及びソケット側ガイドには、プラグのソケットへの差込時にプラグ及びプラグ側ガイドの先端部を軸周り方向の所定位置に合わせる位置決め部を備える。位置決め部は、プラグ側ガイドの先端部に形成された突起部と、ソケット側ガイドの開口部に、突起部が内部に入り込むように形成された溝とを含む。この構成により、位置決め部によって、プラグ及びプラグ側ガイドの先端部が正規方向に規制されるので、プラグの中心軸方向とソケットの中心軸方向とが傾いた関係にある場合であっても、プラグを良好に挿抜できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-24952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたコネクタガイド機構では、プラグ側ガイドの突起部が常時むき出しになっているため、突起部に傷や異物が付き、嵌合に支障が出たり、突起部に付着した異物がソケット内に進入したりする可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、嵌合ガイド用の突部を保護可能なコネクタ嵌合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ嵌合構造は、下記を特徴としている。
相互に嵌合して電気的に接続される第1コネクタと第2コネクタとのコネクタ嵌合構造であって、
前記第1コネクタは、
第1接続端子を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに設けられたガイド溝と、を有し、
前記第2コネクタは、
第2接続端子を収容する第2ハウジングと、
前記ガイド溝に挿入されるガイド突部と、
前記第2ハウジングの前記第2接続端子の収容空間への開口を覆う閉位置と、前記開口を覆わない開位置との間で回動可能に設けられたコネクタカバーと、を有し、
前記ガイド突部は、前記コネクタカバーに設けられ、前記コネクタカバーが前記閉位置にあるとき前記第2ハウジング内に収容され、前記コネクタカバーが前記開位置にあるとき前記第2ハウジング外に露出され前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向に沿って延在
前記第2接続端子を収容する空間を画成する前記第2ハウジングの上壁部における前記嵌合方向の前端部には、前記嵌合方向の前方に向けて前記嵌合方向に平行に延びる庇部が延設されており、
前記コネクタカバーが前記開位置にあるときに、前記コネクタカバーの上を向いた面が前記庇部の下面に沿うように配置され、且つ、前記庇部の前記嵌合方向の前端が前記コネクタカバーの前記嵌合方向の前側の端より前記嵌合方向の前側に位置する、
コネクタ嵌合構造。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコネクタ嵌合構造によれば、嵌合ガイド用の突部を保護できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を構成する第2コネクタの一例としてのインレットと、このインレットに嵌合される第1コネクタの一例としてのインレットプラグとを示す斜視図である。
図2図1に示したインレットのコネクタカバーを開いた状態を示す斜視図である。
図3図1に示したインレットの分解斜視図である。
図4図1に示したインレットのコネクタカバーを閉じた状態を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を構成する第2コネクタの一例としてのインレットを示す斜視図である。
図6図5に示したインレットとインレットプラグの嵌合前の状態を示す断面図である。
図7図5に示したインレットとインレットプラグの嵌合途中状態を示す断面図である。
図8図5に示したインレットとインレットプラグの嵌合完了状態を示す断面図である。
図9図5に示したインレットのカバーが閉じた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ嵌合構造を構成する第2コネクタの一例としてのインレット1と、このインレット1に嵌合される第1コネクタの一例としてのインレットプラグ5とを示す斜視図である。図2は、図1に示したインレット1のコネクタカバー41を開いた状態を示す斜視図である。図3は、図1に示したインレット1の分解斜視図である。
【0013】
図1から図3に示すように、インレット1は、接続端子(第2接続端子)を収容するハウジング20と、ハウジング20を収容保持するアウターケース51と、拾いリブ19と、拾いリブカバー部45aと一体に設けられたコネクタカバー41と、を備える。アウターケース51は第2ハウジングの一例である。拾いリブ19はガイド突部の一例である。拾いリブカバー部45aはガイド保護部の一例である。拾いリブ19は、アウターケース51に設けられ、ガイド溝の一例としての嵌合ガイド溝85に挿入される。拾いリブ19は、嵌合ガイド溝85の溝側面に対向する両側面の先端側に複数の凹部が形成される。嵌合ガイド溝85は、インレットプラグ5のプラグハウジング80に設けられる。拾いリブカバー部45aは、コネクタカバー41と一体に設けられており、コネクタカバー41が閉位置にあるとき拾いリブ19を覆い、コネクタカバー41が開位置にあるとき拾いリブ19を覆わない。
【0014】
なお、本明細書中において、前後方向とはハウジング20のコネクタ嵌合方向(図4中、左右方向)に沿う方向であり、インレットプラグ5のプラグハウジング80が嵌合される側を前方とし、上下方向とはハウジング20のコネクタ嵌合方向と直交する方向(図4中、上下方向)であり、アウターケース51の天板50側を上方とする。
【0015】
インレット1のハウジング20は、電気絶縁性の合成樹脂から成形されたものである。ハウジング20は、インレットプラグ5側へ突出する一対の端子収容筒部23,23と、一対の端子収容筒部23,23を覆う中空筒状のフード部21と、一対の端子収容筒部23,23が設けられ、フード部21の後方を塞ぐ後壁26と、を有する。
【0016】
端子収容筒部23内には、高圧ケーブル71の端末部に接続された接続端子が収容されている。接続端子に接続された高圧ケーブルは、端子収容筒部23の後端開口から引き出される。
【0017】
端子収容筒部23の前端には、インレットプラグ5の接続端子(第1接続端子)が挿入される前面開口25が形成されている。前面開口25は、ハウジング20の接続端子の収容空間への開口の一例である。
【0018】
アウターケース51は、底部55と、側壁部材62,64と、天板50とで構成された扁平な筐体である。
【0019】
底部55は、底板部57と一対の支持部58,58とが一体に形成されている。底板部57は、天板50よりも一回り小さいサイズの平板である。底板部57は、前側の中央部に矩形状の開口57aを有し、平面視U字状を呈する。一対の支持部58は、底板部57の上面における左右両端部に設けられ、上面に設けられた略半円筒状の凹部58aに載置されたコネクタカバー41の回動軸46を支持する。
【0020】
側壁部材62,64は、ハウジング20の左右両側に配置され、アウターケース51の両側壁となる。側壁部材62は、下面に略円筒状の凹部62aを有し、側壁部材64は、下面に凹部62aと同様の凹部(図示せず)を有する。凹部58aと側壁部材62の下面に設けられた略半円筒状の凹部62aとの間に、コネクタカバー41の回動軸46の一端部(左側端部)が支持される。回動軸46の他端部(右側端部)は、同様に、凹部58aと側壁部材64の下面に設けられた凹部との間に支持される。側壁部材64の右側面には、回動軸46を回転駆動するためのアクチュエータ79がねじ固定される。
【0021】
天板50は、底板部57及び側壁部材62,64と共にハウジング収容空間を画成する上壁部13の前方に、庇部15が延設されている。
【0022】
庇部15の中央部における下面には、アウターケース51に収容されたハウジング20にインレットプラグ5のプラグハウジング80を嵌合案内するための拾いリブ19が、コネクタ嵌合方向に沿って延設されている。
【0023】
拾いリブ19は、先端が丸められ、左右方向の長さよりもコネクタ嵌合方向の長さが長い略直方体形状を有し、前方側において、左右両側面に、複数の凹部が所定間隔毎に形成されている。この所定間隔は、拾いリブ19のサイズや、嵌合ガイド溝85のサイズ等を考慮して適宜決定される。
【0024】
コネクタカバー41は、端子収容筒部23の前面開口25を覆う略矩形板状のカバー部43と、カバー部43の長辺側端部に設けられた回動軸46と、カバー部43の回動軸46に対向する長辺側端部に設けられた拾いリブカバー45と、を有する。コネクタカバー41は、カバー部43が端子収容筒部23の前面開口25を覆う閉位置と、カバー部43が前面開口25を覆わない開位置との間で回動可能に設けられる。
【0025】
カバー部43は、後面43a側に、図4に示すように、フード部21の開口縁の形状に沿う筒状リブ43bが設けられ、筒状リブ43bの外周面に弾性パッキン49が取り付けられる。弾性パッキン49は、スポンジやゴム等の弾性部材により成形される。コネクタカバー41を閉じた状態、すなわちコネクタカバー41が閉位置にある状態(図4参照)において、弾性パッキン49がハウジング20のフード部21に弾性接触することができる。よって、ハウジング20の前面開口25への塵埃や水等の浸入を更に確実に防止することができる。
【0026】
拾いリブカバー45は、カバー部43の前面側に設けられた、拾いリブカバー部45aを有する板状部材であり、拾いリブ19を覆う被覆位置と、拾いリブ19を覆わない露出位置との間で変位可能に設けられる。拾いリブカバー部45aは、板状部材の左右方向の中央部に設けられた、コネクタ嵌合方向に沿って延びる直方体状の凹部に、拾いリブ19を収容可能である。すなわち、拾いリブカバー部45aは、この凹部を形成する、一対の側壁部45a1,45a1、前壁部45a2、後壁部45a3、及び底壁部45a4によって構成される。
【0027】
回動軸46は、一例として、金属製であり、合成樹脂製のカバー部43及び拾いリブカバー45と一体に成形される。
【0028】
インレット1は、以下のように組み立てられる。コネクタカバー41が、支持部58の凹部58aに回動軸46が収容されるように、底板部57に載置され、回動軸46が凹部62aに収容されるように側壁部材62,64が底板部57の上面に載置される。また、側壁部材62,64の上面に天板50が載置される。この状態で、側壁部材62,64が一対の支持部58に側方からそれぞれねじ固定され、天板50が側壁部材62,64に上方からねじ固定されることにより、アウターケース51が形成される。このアウターケース51内に、接続端子を収容したハウジング20が後方から挿入されて、ハウジング20の後壁26が側壁部材62,64に後方からねじ固定される。組み立てられたインレット1は、天板50を介して例えば電気自動車の車体等に取り付けられる。
【0029】
インレットプラグ5は、インレット1の接続端子に嵌合されるプラグ側接続端子と、プラグ側接続端子を収容する一対の端子収容室83,83を有する第1ハウジングの一例としてのプラグハウジング80と、ブラケット86と、を備えている(図1参照)。
【0030】
プラグハウジング80は、電気絶縁性の合成樹脂から成形されたものである。プラグハウジング80には、ブラケット86が装着されている。
【0031】
プラグハウジング80の上面には、嵌合ガイド溝85が形成されている。嵌合ガイド溝85は、インレット1に向かうにつれて幅が拡大するテーパ部を有する。この嵌合ガイド溝85は、インレットプラグ5がインレット1に嵌合される際、拾いリブ19と係合することにより、プラグハウジング80をハウジング20に嵌合案内することができる。
【0032】
端子収容室83内には、図示しないプラグ側高圧ケーブルの端末部に接続された接続端子が収容されている。この接続端子に接続されたプラグ側高圧ケーブルは、端子収容室83の後端開口から引き出される。
【0033】
次に、図4を参照しながら上述したインレット1とインレットプラグ5の嵌合動作を説明する。図4は、インレット1の左右方向中央における、嵌合方向に沿う切断面を示す。
【0034】
図4に示すように、インレット1とインレットプラグ5とが嵌合されない状態では、コネクタカバー41は、カバー部43がハウジング20の前面開口25(図3参照)を覆う閉位置にある。したがって、インレット1は、防塵、端子保護及び感電防止がされている。また、図4に示すように、インレット1とインレットプラグ5とが嵌合されない状態では、拾いリブカバー部45aが拾いリブ19を覆う被覆位置にある。したがって、インレット1は、拾いリブ19が傷つきや異物付着から保護されている。よって、インレット1は、インレットプラグ5との嵌合に支障が出ることが防止される。また、拾いリブ19への異物付着が防止されることにより、拾いリブ19に付着した異物のインレットプラグ5内へ進入することが防止される。
【0035】
図4に示す状態から、インレットプラグ5のインレット1への挿入嵌合を開始するにあたり、インレット1は、アクチュエータ79が回動軸46を回転させることによって、コネクタカバー41のカバー部43が、前面開口25を覆わない開位置まで回動する。この時、カバー部43に一体に設けられた拾いリブカバー部45aは、カバー部43の回動と同時に、拾いリブ19を覆わない露出位置まで回動する。このようにコネクタカバー41が開放されると、インレット1は、図2に示すように、カバー部43が開位置にあり、拾いリブカバー部45aが露出位置にある状態となる。コネクタカバー41が開放された状態では、カバー部43の左右両側が底板部57の開口57aの左右側に当接し、拾いリブカバー45が開口57aを通って下方に延びている。コネクタカバー41の開放は、拾いリブ19の保護、防塵、端子保護及び感電防止の観点から、インレットプラグ5のインレット1への挿入嵌合直前になされることが好ましい。
【0036】
図2に示すようにコネクタカバー41が開放された状態のインレット1側へ、インレットプラグ5を移動させ、プラグハウジング80のアウターケース51内への挿入嵌合を開始する。嵌合開始直後の状態においては、プラグハウジング80の上面が、インレット1の天板50の下面に当接し、拾いリブ19の先端が嵌合ガイド溝85に挿入されている。
【0037】
この状態から、さらにインレットプラグ5をインレット1の後方へ前進させるように深く挿入すると、拾いリブ19の先端が、嵌合ガイド溝85内に案内されて、プラグハウジング80の前端がハウジング20の後壁26に突き当たる。この状態において、インレットプラグ5の接続端子がインレット1の接続端子に嵌合されて接続され、これによりインレット1側の高圧ケーブルとプラグ側高圧ケーブルとが電気的に接続されて使用される。使用後は、インレットプラグ5がインレット1から離脱し、アクチュエータ79が回動軸46を逆方向に回転させることによって、コネクタカバー41が図1及び図4に示した閉じた状態となる。この状態において、カバー部43が閉位置にあるので、ハウジング20内部が保護される。
【0038】
また、インレット1によれば、コネクタカバー41が拾いリブカバー部45aを有することにより、インレット1にインレットプラグ5を挿入嵌合しない状態では、拾いリブ19が、拾いリブカバー部45aに覆われて露出しないため、傷付きや異物付着から保護される。よって、インレット1とインレットプラグ5との嵌合に支障が出たり、インレットプラグ5内に、拾いリブ19に付着した異物が進入したりすることが防止される。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ嵌合構造を構成する第2コネクタの一例としてのインレット1Bを示す斜視図であり、インレット1Bのコネクタカバー41Bが閉じた状態を示す。第2実施形態のインレット1Bには、図1に示したインレットプラグ5が挿入嵌合される。図6は、図5に示したインレット1Bと図1に示したインレットプラグ5の嵌合開始直後の状態を示す断面図である。図7は、インレット1Bとインレットプラグ5の嵌合途中状態を示す断面図である。図8は、インレット1Bとインレットプラグ5の嵌合完了状態を示す断面図である。図9は、インレット1Bのコネクタカバー41Bが閉じた状態を示す断面図である。本実施形態において、第1実施形態に示した部材と同一又は同等の部材については、同一又は同等の符号を付す。
【0040】
第1実施形態のインレット1においては、拾いリブ19がアウターケース51の天板51に設けられていたのに対し、第2実施形態のインレット1Bにおいては、拾いリブ19Bがコネクタカバー41Bに設けられる点が主に異なる。
【0041】
第2実施形態のインレット1Bは、図5から図9に示すように、接続端子(第2接続端子)を収容するハウジング20Bと、ハウジング20Bを収容保持するアウターケース51Bと、拾いリブ19Bと、コネクタカバー41Bと、を備える。アウターケース51Bは第2ハウジングの一例である。拾いリブ19Bはガイド突部の一例である。拾いリブ19Bは、コネクタカバー41Bの下面(カバー部43Bの筒状板部43Bb)に設けられ、ガイド溝の一例としての嵌合ガイド溝85に挿入される。コネクタカバー41Bが前面開口25を覆う閉位置から、前面開口25を覆わない開位置へ回動するのに伴って、コネクタカバー41Bに設けられた拾いリブ19Bが回動する。コネクタカバー41Bの回動により、拾いリブ19Bは、拾いリブ19Bがハウジング20B内部に収容された収容位置から、拾いリブ19Bがハウジング20B外部に露出し、コネクタ嵌合方向(図6から図9における左右方向)に沿って延びた露出位置へ変位する。
【0042】
インレット1Bのハウジング20Bは、インレット1のハウジング20と同一の構成を有する。
【0043】
アウターケース51Bは、底部55Bと、側壁部材62B,64Bと、天板50Bとで構成された扁平な筐体である。
【0044】
底部55Bは、第1実施形態の底部55に設けられていた、コネクタカバー41の回動軸46を支持する構成を有しない点が、底部55と異なる。
【0045】
側壁部材62B,64Bは、コネクタカバー41Bの回動軸46Bを支持するための構成が、下方ではなく上方に設けられる点が、第1実施形態の側壁部材62,64と異なる。側壁部材64Bの右側面には、回動軸46Bを回転駆動するためのアクチュエータ79Bがねじ固定される。
【0046】
天板50Bは、庇部15Bの下面に厚板部15B1が設けられる点が天板50と異なる。
コネクタカバー41Bは、ハウジング20Bの端子収容筒部23の前面開口25を覆う略矩形板状のカバー部43Bと、カバー部43Bの長辺側上端部に設けられた回動軸46Bと、を有する。コネクタカバー41Bは、カバー部43Bが端子収容筒部23の前面開口25を覆う閉位置と、カバー部43Aが前面開口25を覆わない開位置との間で回動可能に設けられる。
【0047】
カバー部43Bは、後面43Ba側に、フード部21の開口縁の形状に沿う筒状板部43Bbが設けられ、筒状板部43Bbの外周面に弾性パッキン49Bが取り付けられる。弾性パッキン49Bは、スポンジやゴム等の弾性部材により成形される。筒状板部43Bbの中央部には、アウターケース51Bに収容されたハウジング20Bにインレットプラグ5のプラグハウジング80を嵌合案内するための拾いリブ19Bが、コネクタカバー41Bを開いた状態においてコネクタ嵌合方向に沿うように延設されている。コネクタカバー41Bを閉じた状態、すなわちコネクタカバー41Bが閉位置にある状態(図9参照)において、拾いリブ19Bがハウジング20B内部に収容され、弾性パッキン49Bがハウジング20Bのフード部に弾性接触することができる。よって、ハウジング20Bの前面開口25への塵埃や水等の浸入を更に確実に防止することができる。
【0048】
インレット1Bは、インレット1と同様に組み立てられて、天板50Bを介して例えば電気自動車の車体等に取り付けられる。
【0049】
次に、図6から図9を参照しながら上述したインレット1Bとインレットプラグ5の嵌合動作を説明する。図6から図9は、インレット1Bの左右方向中央における、嵌合方向に沿う切断面を示す。
【0050】
図9に示すように、インレット1Bとインレットプラグ5とが嵌合されない状態では、コネクタカバー41Bは、カバー部43Bがハウジング20Bの前面開口25を覆う閉位置にある。したがって、インレット1Bは、防塵、端子保護及び感電防止がされている。また、コネクタカバー41Bが閉位置にある状態では、カバー部43の筒状板部Bbに設けられた拾いリブ19Bは、ハウジング20B内部に収容されている。したがって、インレット1Bは、拾いリブ19Bが傷つきや異物付着から保護されている。よって、インレット1Bは、インレットプラグ5との嵌合に支障が出ることが防止される。また、拾いリブ19Bへの異物付着が防止されることにより、拾いリブ19Bに付着した異物のインレットプラグ5内へ進入することが防止される。車両走行中は、コネクタカバー41Bが閉位置にあり、拾いリブ19Bがインレット1B内部に収容されているため、拾いリブ19Bに傷や異物が付くことが防止でき、インレット1Bとインレットプラグ5とを確実に嵌合可能となる。
【0051】
図9に示す状態から、インレットプラグ5のインレット1Bへの挿入嵌合を開始するにあたり、インレット1Bは、アクチュエータ79Bが回動軸46Bを回転させることによって、コネクタカバー41Bのカバー部43Bを開位置に回動させる。コネクタカバー41Bが開位置に回動して、図6に示すようにカバー部43Bの上面が庇部15Bの下面に沿うように配置される。
【0052】
図6に示す開放状態において、コネクタカバー41Bは前面開口25を覆わない開位置まで回動され、カバー部43Bに設けられた拾いリブ19Bは、ハウジング20B外部に露出され、コネクタ嵌合方向に沿って延びるように配置される。コネクタカバー41Bの開放は、拾いリブ19Bの保護、防塵、端子保護及び感電防止の観点から、インレットプラグ5のインレット1Bへの挿入嵌合直前になされることが好ましい。
【0053】
コネクタカバー41Bが開放状態とされたインレット1Bに対して、図6に示すY1方向にインレットプラグ5を移動させ、プラグハウジング80のアウターケース51B内への挿入嵌合を開始する。図7に示す嵌合途中の状態においては、プラグハウジング80の上面が、インレット1Bの天板50Bの下面に近接し、拾いリブ19Bが嵌合ガイド溝85に挿入されている。
【0054】
さらにインレットプラグ5をインレット1Bの後方(図7に示すY2方向)へ前進させるように深く挿入すると、拾いリブ19Bの先端が、嵌合ガイド溝85内に案内されて、プラグハウジング80の前端がハウジング20Bの後壁26Bに突き当たる(図8参照)。この状態において、インレットプラグ5の接続端子がインレット1Bの接続端子に嵌合されて接続され、これによりインレット1B側の高圧ケーブルとプラグ側高圧ケーブルとが電気的に接続されて使用される。使用後は、インレットプラグ5がインレット1Bから離脱する。そして、アクチュエータ79Bが回動軸46Bを逆方向に回転させることによって、コネクタカバー41Bが閉じた状態となる(図9参照)。この状態において、カバー部43Bが閉位置にあるので、ハウジング20B内部が保護される。
【0055】
また、インレット1Bによれば、インレット1Bにインレットプラグ5を挿入嵌合しない状態では、カバー部43Bに設けられた拾いリブ19Bが、ハウジング20B内部に収容されて露出しないため、傷付きや異物付着から保護される。よって、インレット1Bとインレットプラグ5との嵌合に支障が出たり、インレットプラグ5内に、拾いリブ19Bに付着した異物が進入したりすることが防止される。したがって、インレット1Bとインレットプラグ5との嵌合動作を確実に行うことができる。
【0056】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、コネクタとして電気自動車等に用いられるインレットを例に説明したが、本発明のコネクタはこれに限らず、本発明の趣旨に基づく種々のコネクタに応用することができる。
【0058】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ嵌合構造の実施形態の特徴を以下に簡潔に纏める。
【0059】
[1] 相互に嵌合して電気的に接続される第1コネクタ(インレットプラグ5)と第2コネクタ(インレット1B)とのコネクタ嵌合構造であって、
前記第1コネクタ(インレットプラグ5)は、
第1接続端子を収容する第1ハウジング(プラグハウジング80)と、
前記第1ハウジングに設けられたガイド溝(嵌合ガイド溝85)と、を有し、
前記第2コネクタ(インレット1B)は、
第2接続端子を収容する第2ハウジング(アウターケース51B)と、
前記ガイド溝に挿入されるガイド突部(拾いリブ19B)と、
前記第2ハウジングの前記第2接続端子の収容空間への開口(前面開口25)を覆う閉位置と、前記開口を覆わない開位置との間で回動可能に設けられたコネクタカバー(41B)と、を有し、
前記ガイド突部は、前記コネクタカバーに設けられ、前記コネクタカバーが前記閉位置にあるとき前記第2ハウジング内に収容され、前記コネクタカバーが前記開位置にあるとき前記第2ハウジング外に露出され前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向に沿って延在する、
コネクタ嵌合構造。
【0060】
上記[1]の構成のコネクタ嵌合構造によれば、第1コネクタと第2コネクタとを嵌合しない状態では、ガイド突部が第2ハウジング内に収容されて露出しないため、傷付きや異物付着から保護される。よって、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合に支障が出たり、第1コネクタ内に、ガイド突部に付着した異物が進入したりすることが防止される。
【0061】
[2] 前記第2コネクタ(インレット1B)において、
前記コネクタカバー(41B)は、前記開口(前面開口25)を覆うカバー部(43B)と、前記カバー部の上縁部に設けられた回動軸(46B)と、を有し、
前記ガイド突部(拾いリブ19B)は、前記コネクタカバーが開位置にある状態において前記カバー部から下方に突出するように設けられ、
前記第1コネクタ(インレットプラグ5)において、
前記ガイド溝(嵌合ガイド溝85)は、前記第1ハウジング(プラグハウジング80)の上面に設けられる、
上記[1]に記載のコネクタ嵌合構造。
【0062】
上記[2]の構成のコネクタ嵌合構造によれば、コネクタカバーが上方に回動して開位置にある第2コネクタに対して、第2コネクタの下方から第1コネクタを近接させてガイド突部をガイド溝に挿入することで、第1コネクタと第2コネクタとを良好に嵌合できる。
【符号の説明】
【0063】
1B インレット(第2コネクタ)
5 インレットプラグ(第1コネクタ)
19B 拾いリブ
23 端子収容筒部
25 前面開口
41B コネクタカバー
43B カバー部
46B 回動軸
51B アウターケース(第2ハウジング)
80 プラグハウジング(第1ハウジング)
85 嵌合ガイド溝(ガイド溝)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9